JP6059483B2 - 眼鏡レンズの設計方法および眼鏡レンズの製造方法 - Google Patents

眼鏡レンズの設計方法および眼鏡レンズの製造方法 Download PDF

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本発明は、眼鏡レンズの設計方法、眼鏡レンズの製造方法および眼鏡レンズに関する。
累進屈折力レンズは、装用時においてレンズの上方に位置する遠方視用矯正領域(以下、遠用部と呼ぶ)と、レンズの下方に位置する近方視用矯正領域(以下、近用部と呼ぶ)と、双方の領域の間で連続的に屈折力が変化する累進領域(以下、中間部と呼ぶ)とを備えている。この中間部の性質上、形状的なゆがみに由来する収差がどうしても発生してしまい、レンズ全面に亘って収差を抑えることは困難である。
そのため、眼鏡レンズの設計では、仕様によって形状に制限がある中で極力収差の発生を抑えると同時に、必然的に発生してしまう収差をレンズ面上でどのように分布させるかが非常に重要な要素となっている。例えば、レンズ面内を透過する光線における屈折力に基づいてレンズ面の形状を決定することで、レンズの収差を補正する設計方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第4361254号公報
眼鏡レンズの装用者において、使用感に関する嗜好は、様々なものがある。例えば、くっきり見えることを重視する人や、視線を振ったときのゆれ・ゆがみを気にする人、多少ぼやけても焦点の合うエリアが広いものを好む人など、個々人によって求める使用感が異なる。さらに、個人によって、目を動かす量、すなわちレンズの使用部位が異なることも考慮すると、個人に適した収差分布が異なっていると考えられる。しかしながら、従来技術では、装用者個人に適した収差分布については考慮されていなかったので、装用者が必要としない領域・精度で収差の補正を行ってしまう可能性があり、その結果、装用者の必要とする領域で収差が悪化して装用者が使用感に不満を抱く可能性があった。
(1)本発明による眼鏡レンズの設計方法は、眼鏡レンズの装用者が許容し得る収差量である収差許容量を決定する収差許容量決定工程と、装用者が使用している眼鏡レンズの収差である使用レンズ収差を決定する使用レンズ収差決定工程と、予め眼鏡レンズの仕様として定められた仕様目標収差と、収差許容量と、使用レンズ収差とに基づいて、眼鏡レンズの設計において目標とする収差量である設計目標収差を決定する設計目標収差決定工程と、設計目標収差に基づいて、眼鏡レンズの設計を行う設計工程と、を有し、設計目標収差決定工程では、仕様目標収差に収差許容量を加算した値よりも使用レンズ収差が大きい第1の場合には、仕様目標収差に収差許容量を加算した値を設計目標収差として決定し、使用レンズ収差に収差許容量を加算した値よりも仕様目標収差が大きい第2の場合には、使用レンズ収差に収差許容量を加算した値を設計目標収差として決定し、第1の場合および第2の場合以外は、仕様目標収差と使用レンズ収差と収差許容量を用いて算出した値を設計目標収差として決定する
(2)本発明による眼鏡レンズの製造方法は、請求項1〜のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの設計方法によって設計された眼鏡レンズを製造する。
本発明によれば、装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを設計できる。
仕様目標収差の一例を説明する図である。 第1の実施の形態における眼鏡レンズの設計方法の流れを説明するフローチャートである。 収差許容量の一例を説明する図である。 設計目標収差の一例を説明する図である。 第2の実施の形態における眼鏡レンズの設計方法の流れを説明するフローチャートである。 第2の実施の形態において設計目標収差を決定する方法を説明する図である。
(第1の実施の形態)
図面を参照して、本発明による第1の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、屈折力の単位は、特に言及しない場合にはディオプター(D)によって表されるものとする。また、以下の説明において、累進屈折力レンズの「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」等と表記する場合は、当該累進屈折力レンズが眼鏡用に加工される場合において眼鏡を装用したときのレンズの位置関係に基づくものとする。例えば、累進屈折力レンズの遠用部の下方とは、遠用部の領域内にあって中間部に近い領域を示す。さらに、以下に説明する各図面において、レンズの位置関係(上下左右)は、紙面に対する位置関係(上下左右)と一致するものとする。さらに、以下の説明において、レンズを構成する2つの屈折面のうち、眼鏡レンズの装用状態で物体側の屈折面を「外面」とし、眼球側の屈折面を「内面」と呼ぶ。
以下に説明する設計方法は、単焦点または多焦点の眼鏡レンズの設計に用いることができるが、見ようとする対象物の眼からの距離に応じて使用する領域が異なり、視線の移動が制限されやすい累進屈折力レンズの設計において効果を発揮しやすい。
累進屈折力レンズでは、非点収差と平均球面度数の分布の組み合わせによって、レンズ面上における明視可能な領域が判定される。具体的には、平均球面度数の分布と装用者の調節力によって、ピントの合わせることのできるレンズ面上の領域や物体までの距離をある程度予想することができる。また、非点収差の分布によって見え方に対するボケをある程度予想することができる。なお、本説明において、非点収差および平均球面度数は、レンズ面上の任意の点を透過した光線における最大の球面度数をDmaxとし、最小の球面度数をDminとしたとき、次の式(1)および(2)でそれぞれ表されるものとする。
非点収差=(Dmax−Dmin) … (1)
平均球面度数=(Dmax+Dmin)/2 … (2)
例えば、個別受注タイプの眼鏡レンズ製品の場合、平均球面度数や非点収差の分布が製品の仕様として定められており、従来、眼鏡レンズの設計は、この製品の仕様として定められた収差分布(以下、仕様目標収差と呼ぶ)を目標として行われていた。すなわち、眼鏡レンズの装用者の処方条件(例えば、球面度数、加入度、瞳孔距離、アイポイント、乱視度数、乱視軸など)がどのような条件であっても、眼鏡レンズの収差分布が仕様目標収差に近づくように眼鏡レンズの外面および内面の最適化設計が行われていた。
図1は、この仕様目標収差の一例を示した図である。なお、図1では、非点収差の分布を等高線によって示している。また、図1は、物体側から左目用レンズを見たときの図である。図1に示す例では、近用部の中央および側方領域に渡るまで収差が低減するように仕様目標収差が設定されており、近用部の収差目標が厳しくなっている。眼鏡レンズの最適化設計では仕様目標収差を目指して設計が行われるが、装用者の処方条件によっては、必ずしも仕様目標収差を達成できない場合がある。特に、図1に示すように近用部の収差目標が厳しい場合、最適化設計において、仮に近用部の厳しい収差目標を達成したとしても、その代わりに遠用部の収差目標が達成できず、遠用部の収差が悪化する場合もある。
一般的に、眼鏡レンズの使用感に関する嗜好は、装用者ごとにさまざまである。例えば、近用部の収差が少ないことよりも、遠用部の収差が少ないことを重視する装用者の場合には、上記のように遠用部の収差が悪化したレンズでは使用感に不満を抱く可能性もある。
そこで、このような問題を解決するため、本実施形態における眼鏡レンズの設計方法では、個々の装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを設計する。以下、本実施形態における累進屈折力眼鏡レンズの設計方法の流れを、図2に示すフローチャートに沿って説明する。
ステップS1において、眼鏡レンズの装用者が許容しうる収差量(以下、収差許容量と呼ぶ)を決定する。この収差許容量は、上述した仕様目標収差通りの収差量を基準値(0)として決定される。また、ここで用いる収差としては、上述した非点収差や平均球面度数に加え、面平均屈折力、面非点隔差、ディストーションなどが挙げられるが、眼鏡レンズの光学性能を評価する目的であれば、これらに限定されるものではない。なお、面平均屈折力および面非点隔差は、累進屈折力面上の任意の点における最大主曲率をψmaxとし、最小主曲率をψminとし、レンズの屈折率をnとしたとき、次の式(3)および(4)でそれぞれ表されるものとする。
面平均屈折力=(ψmax+ψmin)×(n−1)/2 … (3)
面非点隔差=(ψmax−ψmin)×(n−1) … (4)
また、収差許容量は、外面および内面のうち眼鏡レンズの光学性能の評価基準となる一方の面において、レンズの幾何中心から水平方向にx(mm)の位置にあり且つ当該幾何中心から鉛直方向にy(mm)の位置にあるレンズ面上の任意の点Q(x,y)において決定される。この収差許容量を決定する点Qは、少なくとも1点以上あればよく、例えば、レンズの遠用基準点や近用基準点などにおいて収差許容量を決定してもよい。
しかしながら、収差許容量は、視線の向き、すなわち網膜上での結像位置によって異なる可能性があるため、収差許容量を決定する点Qを複数点とし、レンズ面上に分布させる方が好ましい。また、収差許容量は、装用者から当該装用者が観察する対象物までの距離に応じて異なる可能性があるため、異なる複数の当該距離において、距離別に収差許容量を決定する方が好ましい。これらは、様々な距離のものをレンズ面の特定領域で見る累進屈折力レンズにおいて特に効果的である。
図3は、収差許容量の分布の一例を示した図である。なお、図3でも、非点収差の分布を等高線によって示している。また、図3も、物体側から左目用レンズを見たときの図である。図3に示す例では、使用される機会が少ないレンズ下方の耳側および鼻側の収差発生領域において収差許容量が多めに決定されており、逆に常用されるようなレンズの遠用部、中間部の中央領域においては収差許容量が少なめに決定されている。
ステップS2(図2)において、ステップS1で決定した収差許容量に基づいて、眼鏡レンズの設計の目標とする収差分布(以下、設計目標収差と呼ぶ)を決定する。具体的には、レンズ面上の任意の点Q(x,y)において、収差許容量をT(x,y)とし、上述した仕様目標収差をS(x,y)とし、設計目標収差をG(x,y)として、設計目標収差G(x,y)を、次の式(5)により算出する。
G(x,y)=S(x,y)+T(x,y) … (5)
すなわち、仕様目標収差に対して収差許容量を考慮することで、設計目標収差を決定する。図4は、図1に示した仕様目標収差に対して図3に示した収差許容量を考慮して決定された設計目標収差の一例を示す図である。なお、図4でも、非点収差の分布を等高線によって示している。図1に示した仕様目標収差と比べて、図4に示す設計目標収差では、近用部の0.5以下の領域が狭くなり、かつ近用部側方領域の収差目標が緩和されている。このように、装用者の収差許容量の範囲内で仕様目標収差を緩和したことにより、装用者の処方条件がどんな条件であっても、最適化設計において装用者に適した収差分布の眼鏡レンズを設計できる可能性を高くすることができる。
ステップS3(図2)において、装用者の処方条件のもとで、ステップS2で決定した設計目標収差を実現するように眼鏡のレンズ面の形状を変化させる。ステップS4において、ステップS3で形状を変化させたレンズの収差を評価する。ステップS5において、ステップS4で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値以下であるか否かを判定する。ステップS4で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値以下である場合には、設計目標収差をほぼ実現するレンズが設計されたとしてステップS5を肯定判定し、ステップS6へ進む。一方、ステップS4で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値よりも大きい場合には、ステップS5を否定判定してステップS3に戻る。
ステップS6において、ステップS5までの工程で設計された眼鏡レンズを製造する。この結果、装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを装用者に提供することができる。
なお、ステップS3〜S5の設計工程は、装用者の処方条件と設計目標収差に基づいて、累進屈折力眼鏡レンズの光学性能を最適化する最適化設計の工程であり、上述した方法に限らず、公知の設計方法を用いることができる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)本実施形態における累進屈折力眼鏡レンズの設計方法では、装用者の収差許容量を決定し、収差許容量に基づいて設計目標収差を決定し、設計目標収差に基づいて累進屈折力眼鏡レンズの設計を行うので、装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを設計できる。
(2)上記(1)の累進屈折力眼鏡レンズの設計方法において、仕様目標収差と収差許容量とに基づいて設計目標収差を決定するので、製品が目指す光学性能を実現しながらも、装用者に適した収差分布を有する累進屈折力眼鏡レンズを設計できる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態における累進屈折力眼鏡レンズの設計方法を説明する。第2の実施の形態では、上記収差許容量に加え、装用者が現在使用している眼鏡レンズ(すなわち当該設計方法で設計する眼鏡レンズの前に使用している眼鏡レンズ)の収差分布(以下、使用レンズ収差と呼ぶ)を考慮して設計目標収差を決定する点が第1の実施の形態と異なっている。以下、第2の実施形態における累進屈折力眼鏡レンズの設計方法の流れを、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
ステップS11において、上述した第1の実施の形態のステップS1と同様にして収差許容量を決定する。ステップS12において、装用者の使用レンズ収差を決定する。使用レンズ収差を決定する方法としては、装用者が現在使用している眼鏡レンズの収差分布を測定機器によって測定してもよいし、出所がはっきりしている自社製品の眼鏡レンズ等であれば、眼鏡レンズの詳細な収差分布データを取得するようにしてもよい。
ステップS13において、ステップS11で決定した収差許容量とステップS12で決定した使用レンズ収差とに基づいて、設計目標収差を決定する。図6は、この設計目標収差の決定方法を具体的に説明する図である。図6は、レンズ面上の任意の点Q(x,y)における、使用レンズ収差B(x,y)、仕様目標収差S(x,y)、および設計目標収差G(x,y)を示す。また、仕様目標収差S(x,y)に収差許容量T(x,y)を加算した値(S(x,y)+T(x,y))、および使用レンズ収差S(x,y)に収差許容量T(x,y)を加算した値(B(x,y)+T(x,y))も示す。なお、図6の横軸はレンズ面上での位置を示し、縦軸は収差量を示す。
S(x,y)+T(x,y)≦B(x,y)を満たす場合(図6のP1からP2の間)には、設計目標収差G(x,y)を、次の式(6)により算出する。
G(x,y)=S(x,y)+T(x,y) … (6)
B(x,y)+T(x,y)≦S(x,y)を満たす場合(図6のP3からP4の間)には、設計目標収差G(x,y)を、次の式(7)により算出する。
G(x,y)=B(x,y)+T(x,y) … (7)
S(x,y)+T(x,y)>B(x,y)且つB(x,y)+T(x,y)>S(x,y)を満たす場合(図6のP2からP3の間)には、設計目標収差G(x,y)を、次の式(8)により算出する。
G(x,y)={S(x,y)+B(x,y)+T(x,y)}/2 … (8)
すなわち、仕様目標収差に収差許容量を加算した値よりも使用レンズ収差が大きい場合には、使用レンズ収差を用いずに、仕様目標収差に収差許容量を加算した値を設計目標収差とする。また、使用レンズ収差に収差許容量を加算した値よりも仕様目標収差が大きい場合には、仕様目標収差を用いずに、使用レンズ収差に収差許容量を加算した値を設計目標収差とする。これらの場合以外は、仕様目標収差と使用レンズ収差と収差許容量を用いて設計目標収差を算出する。このように設計目標収差を決定することにより、収差許容量の範囲内において収差をできるだけ低減すると共に、装用者の眼鏡レンズのかけかえによるストレスを低減することができる。
ステップS14(図5)において、装用者の処方条件のもとで、ステップS13で決定した設計目標収差を実現するように眼鏡のレンズ面の形状を変化させる。ステップS15において、ステップS15で形状を変化させたレンズの収差を評価する。ステップS16において、ステップS15で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値以下であるか否かを判定する。ステップS15で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値以下である場合には、設計目標収差をほぼ実現するレンズが設計されたとしてステップS16を肯定判定し、ステップS17へ進む。一方、ステップS15で評価したレンズの収差と設計目標収差との差分が所定閾値よりも大きい場合には、ステップS16を否定判定してステップS14に戻る。
ステップS17において、ステップS5までの工程で設計された眼鏡レンズを製造する。この結果、装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを装用者に提供することができる。
なお、ステップS14〜S16の設計工程は、装用者の処方条件と設計目標収差に基づいて、累進屈折力眼鏡レンズの光学性能を最適化する最適化設計の工程であり、上述した方法に限らず、公知の設計方法を用いることができる。
以上説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
本実施形態における累進屈折力の眼鏡レンズの設計方法では、収差許容量を決定し、使用レンズ収差を決定し、仕様目標収差と収差許容量と使用レンズ収差とに基づいて設計目標収差を決定するので、装用者の眼鏡レンズのかけかえによるストレスを低減すると共に、製品が目指す光学性能を実現し且つ装用者に適した収差分布を有する累進屈折力眼鏡レンズを設計できる。
(変形例1)
上述した実施の形態では、装用者の収差許容量を検眼レンズを用いて測定する例について説明したが、この方法に限らず、本発明の意図に逸脱しないならば、いかなる収差許容量の決定方法を用いるようにしてもよい。
例えば、予め様々な属性を有する複数の被験者について収差許容量を測定して、収差許容量の統計データを生成しておき、眼鏡店において、この統計データをもとに顧客の属性に応じて収差許容量を決定するようにしてもよい。例えば、統計データとして、デスクワークが多い生活環境の被験者について統計した第1の収差許容量と、車の運転が多い生活環境の被験者について統計した第2の収差許容量とを準備しておく。そして、眼鏡店に来店した顧客がデスクワークの多い生活環境である場合は、眼鏡レンズの設計において第1の収差許容量を用い、車の運転が多い生活環境である場合は、眼鏡レンズの設計において第2の収差許容量を用いる。このように、統計データに基づいて顧客の属性に合った収差許容量を決定することにより、収差許容量の決定に関して顧客に与える負荷を少なくすることができる。なお、属性としては、生活環境のほか、例えば年齢や使用するレンズのタイプなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
また例えば、眼鏡レンズ面上の各位置において装用者の使用頻度を示す使用位置頻度情報に基づいて収差許容量を決定するようにしてもよい。装用者の使用位置頻度情報については、例えば被験者の眼球運動データに基づいて被験者の視線が眼鏡レンズを透過する透過点(すなわち被験者がレンズを使用した位置)を検出する視線検出装置を用いて測定する。そして、レンズ面において使用頻度が高い領域については収差許容量を少なめに決定し、使用頻度が低い領域については収差許容量を高めに決定する。
(変形例2)
上述した第2の実施の形態では、式(6)〜(8)により設計目標収差を決定する例について説明したが、この他の方法で設計目標収差を決定するようにしてもよい。例えば、レンズ面上の任意の点Q(x,y)において、収差許容量をT(x,y)とし、仕様目標収差をS(x,y)とし、使用レンズ収差をB(x,y)とし、設計目標収差をG(x,y)として、設計目標収差G(x,y)を、次の式(9)により算出するようにしてもよい。なお、式(9)において、kは重み係数であり、0≦k≦1であるとする。
G(x,y)={S(x,y)×k+T(x,y)(1−k)}/2+T(x,y)…(9)
なお、仕様目標収差の重み付けを高くする場合にはkの値を大きく設定し、使用レンズ収差の重み付けを高くする場合にはkの値を小さく設定する。kの値については、例えば装用者の嗜好などに応じて適宜設定すればよい。
変形例2によれば、第1の重み係数(k)を乗じた仕様目標収差と第2の重み係数(1−k)を乗じた使用レンズ収差とを平均した値に収差許容量を加算した値を設計目標収差として決定するようにしたことにより、装用者の眼鏡レンズのかけかえによるストレスを低減すると共に、製品が目指す光学性能を実現し且つ装用者に適した収差分布を有する眼鏡レンズを設計できる。
(変形例3)
上述した実施の形態では、累進屈折力眼鏡レンズを設計する例について説明したが、これに限らず、単焦点または多焦点の眼鏡レンズを本発明の設計方法を用いて設計するようにしてもよい。
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
S(x,y)…仕様目標収差、T(x,y)…収差許容量、G(x,y)…設計目標収差、B(x,y)…使用レンズ収差

Claims (7)

  1. 眼鏡レンズの装用者が許容し得る収差量である収差許容量を決定する収差許容量決定工程と、
    前記装用者が使用している眼鏡レンズの収差である使用レンズ収差を決定する使用レンズ収差決定工程と、
    予め前記眼鏡レンズの仕様として定められた仕様目標収差と、前記収差許容量と、前記使用レンズ収差とに基づいて、前記眼鏡レンズの設計において目標とする収差量である設計目標収差を決定する設計目標収差決定工程と、
    前記設計目標収差に基づいて、前記眼鏡レンズの設計を行う設計工程と、
    を有し、
    前記設計目標収差決定工程では、前記仕様目標収差に前記収差許容量を加算した値よりも前記使用レンズ収差が大きい第1の場合には、前記仕様目標収差に前記収差許容量を加算した値を前記設計目標収差として決定し、前記使用レンズ収差に前記収差許容量を加算した値よりも前記仕様目標収差が大きい第2の場合には、前記使用レンズ収差に前記収差許容量を加算した値を前記設計目標収差として決定し、前記第1の場合および前記第2の場合以外は、前記仕様目標収差と前記使用レンズ収差と前記収差許容量を用いて算出した値を前記設計目標収差として決定する眼鏡レンズの設計方法。
  2. 請求項1に記載の眼鏡レンズの設計方法において、
    前記収差許容量決定工程では、前記収差許容量を、前記眼鏡レンズのレンズ面上の少なくとも1つ以上の点において決定する眼鏡レンズの設計方法。
  3. 請求項1または2に記載の眼鏡レンズの設計方法において、
    前記収差許容量決定工程では、前記装用者から前記装用者が観察する対象物までの距離ごとに前記収差許容量を決定する眼鏡レンズの設計方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの設計方法において、
    前記収差許容量決定工程では、前記眼鏡レンズ面上の各位置において前記装用者の使用頻度を示す使用頻度位置情報に基づいて、前記収差許容量を決定する眼鏡レンズの設計方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの設計方法において、
    前記収差許容量決定工程では、複数の被験者の収差許容量を統計した統計データをもとに前記装用者の属性に応じて前記収差許容量を決定する眼鏡レンズの設計方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの設計方法において、
    前記収差とは、非点収差、平均球面度数、ディストーション、面非点隔差、および面平均屈折力のうちの少なくとも1つである眼鏡レンズの設計方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の眼鏡レンズの設計方法によって設計された眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズの製造方法。
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