以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、シート製造装置の構成について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに形成する技術に基づくものである。本実施形態にかかるシート製造装置は、シートの材料の少なくとも一部を空気中で流す搬送路と、材料を用いてシートを成形する成形部と、を備え、搬送路は、光が透過する透過部と、透過部に対して発光する発光部と透過部を通過した光を受光する受光部を有する光学式検出器を備え、受光部で受光した光が予め定められた閾値より大きいときに材料が流れていないと判断する制御部を有し、シート製造装置の累積の使用時間がより長いときの方が閾値がより小さいことを特徴とするものである。また、本実施形態にかかるシート製造方法は、上記シート製造装置でシートを製造するシート製造方法あって、受光部で受光した光が予め定められた閾値より大きいときに材料が流れていないと判断する場合に、シート製造装置の累積の使用時間がより長いときの方が閾値がより小さなるようにするものである。以下、具体的にシート製造装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、供給部10と、粗砕部20と、解繊部30と、分級部40と、選別部50と、添加物投入部60と、堆積部70と、成形部200と、搬送路201,202,203、光学式検出器300等を備えている。そして、これらの部材を制御する制御部2を備えている。
供給部10は、粗砕部20に古紙Puを供給するものである。供給部10は、例えば、複数枚の古紙Puを重ねて貯めておくトレー11と、トレー11中の古紙Puを粗砕部20に連続して投入可能な自動送り機構12等を備えている。シート製造装置1に供給する古紙Puとしては、例えば、オフィスで現在主流となっているA4サイズの用紙等である。
粗砕部20は、供給された古紙Puを数センチメートル角の紙片に裁断するものである。粗砕部20では、粗砕刃21を備え、通常のシュレッダーの刃の切断幅を広げたような装置を構成している。これにより、供給された古紙Puを容易に紙片に裁断することができる。そして、分断された粗砕紙は、搬送路201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕紙を繊維状に解きほぐす解繊を行うものである。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒である。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、搬送路202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に搬送路202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、搬送された繊維をインク粒と脱墨繊維(脱墨解繊物)とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。繊維からインク粒を除去することを脱墨と言う。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方にむかって径が小さくなる。
分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口40bへ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出される。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が多量に含まれた短繊維混合物が排出される。そして、排出されたインク粒が多量に含まれる短繊維混合物は、分級部40の上部排気口40cに接続された搬送路206を介して受け部80に回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから搬送路203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや搬送路206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む分級物を複数の開口を有する選別ドラム51から通過させて選別するものである。さらに、具体的には、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口を通過した通過物は、ホッパー部56で受けてから搬送路204を介して堆積部70に搬送される。一方、選別部50の選別により開口を通過しなかった残留物は、排出部57から送り路としての搬送路205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口を通過した通過物は搬送路204を介して堆積部70に空気中で搬送される。選別部50から堆積部70へは、気流を発生させる図示しないブロアーによって搬送されてもよいし、上方にある選別部50から下方にある堆積部70に重力で搬送されてもよい。搬送路204における選別部50と堆積部70との間には、搬送される通過物に対して樹脂(例えば、融着樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加物を添加する添加物投入部60が設けられている。なお、添加物としては、融着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤等を投入することも可能である。これらの添加物は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。
堆積部70は、搬送路204から投入された繊維を含む通過物と樹脂とを含む材料を用いて堆積させてウエブWを形成するものである。堆積部70は、繊維を空気中に均一に分散させる機構と、分散された繊維をメッシュベルト73上に堆積する機構を有している。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブとして示している。
まず、繊維を空気中に均一に分散させる機構として、堆積部70には、繊維及び樹脂が内部に投入されるフォーミングドラム71が配置されている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させることにより通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜることができる。フォーミングドラム71には複数の小孔を有するスクリーンが設けられている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させて、通過物(繊維)中に樹脂(添加剤)を均一に混ぜるとともに、小孔を通過した繊維や繊維と樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
フォーミングドラム71の下方には、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73が配されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向に移動するようになっている。
また、フォーミングドラム71の鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、フォーミングドラム71の小孔スクリーンを通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを形成することができる。フォーミングドラム71からの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属製でも、樹脂製でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものであってもよい。なお、メッシュベルト73のメッシュの穴径が大きすぎるとメッシュの間に繊維が入り込み、ウエブW(シート)を成形したときの凸凹になり、一方、メッシュの穴径が小さすぎると、サクション装置75による安定した気流を形成しづらい。このため、メッシュの穴径は適宜調整することが好ましい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブWの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブとして示している。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、搬送部100によって搬送される。本実施形態の搬送部100は、メッシュベルト73から最終的にシートPr(ウエブW)としてスタッカー160に投入されるまでの間のウエブWの搬送過程を示している。従って、メッシュベルト73の他、各種ローラー等は搬送部100の一部として機能する。搬送部としては、搬送ベルトや搬送ローラーなどの少なくとも一つがあればよい。具体的には、まず、搬送部100の一部であるメッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。次いで、ウエブWは、メッシュベルト73から搬送方向(図中の矢印)に従って搬送される。なお、本実施形態では、堆積部70や搬送部100は、ウエブWを用いてシートPrを成形する成形部200の一部である。
ウエブWの搬送方向における堆積部70の下流側に加圧部が配置されている。なお、本実施形態の加圧部は、ウエブWを加圧するローラー141を有する加圧部140である。メッシュベルト73とローラー141との間にウエブWを通過させることにより、ウエブWを加圧することができる。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。
ウエブWの搬送方向における加圧部140よりも下流側には、切断部前ローラー120が配置されている。切断部前ローラー120は、一対のローラー121で構成されている。一対のローラー121のうち、一方が駆動制御ローラーであり、他方が従動ローラーである。
また、切断部前ローラー120を回転させる駆動伝達部にはワンウエイクラッチが用いられている。ワンウエイクラッチは、一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構を有し、逆方向に対して空転するように構成されている。これにより、切断部後ローラー125と切断部前ローラー120との速度差でウエブWに過度のテンションが掛けられた際、切断部前ローラー120側で空転するため、ウエブWへのテンションが抑制され、ウエブWが引きちぎられることを防止できる。
ウエブWの搬送方向における切断部前ローラー120の下流側には、搬送されるウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断する切断部110が配置されている。切断部110は、カッターを備え、連続状のウエブWを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状(シート状)に切断する。切断部110は、例えば、ロータリーカッターを適用することができる。これによれば、ウエブWを搬送させながら切断が可能となる。従って、切断時にウエブWの搬送を停止させないので、製造効率を向上させることができる。なお、切断部110は、ロータリーカッターの他、各種カッターを適用してもよい。
切断部110よりウエブWの搬送方向の下流側には、切断部後ローラー125が配置されている。切断部後ローラー125は、一対のローラー126を有している。一対のローラー126のうち、一方が駆動制御ローラーであり、他方が従動ローラーである。
本実施形態では、切断部前ローラー120と切断部後ローラー125との速度差によってウエブWにテンションをかけることができる。そして、ウエブWにテンションをかけた状態で切断部110を駆動してウエブWを切断するように構成されている。
切断部後ローラー125よりもウエブWの搬送方向の下流側に、加熱加圧部150を構成する一対の加熱加圧ローラー151が配置されている。当該加熱加圧部150は、ウエブWに含まれる繊維同士を樹脂を介して結着(定着)させるものである。加熱加圧ローラー151の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられており、当該一対の加熱加圧ローラー151間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱加圧ローラー151によって加熱加圧されることで、樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。これにより、密度が高まってウエブWとしての強度が向上する。
加熱加圧部150よりもウエブWの搬送方向の下流側に、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断する後切断部130が配置されている。後切断部130は、カッターを備え、ウエブWの搬送方向における所定の切断位置に従って切断する。これにより、所望するサイズのシートPr(ウエブW)が成形される。そして、切断されたシートPr(ウエブW)はスタッカー160等に積載される。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状で)あってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
次に、シート製造装置の光学式検出器及びその周辺部の構成について説明する。図2は、光学式検出器及びその周辺部の構成を示し、図2(a)は側断面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。ここで、搬送路は解繊部30よりも搬送方向の下流で、堆積部70より搬送方向の上流にあればよく、特に限定されない。なお、本実施形態では、解繊部30と分級部40とが接続された搬送路202を例にして説明する。
図2(a)に示すように、搬送路202は搬送路202が曲がっている曲げ部210(210a,210b)を有している。本実施形態では、図2に示すように、断面視において搬送路202は、材料の搬送方向の上流側において水平方向に配置された水平部219a,219bを有している。そして、水平部219a,219bには曲げ部210a,210bが繋がっている。そして、曲げ部210a,210bの材料の搬送方向の下流側には、曲げ部210に繋げられた直線部211a,211bを有している。水平部219a,219bに対する直線部211a,211bの開き角度θは、45度以上150度以下である。なお、本実施形態の開き角度θはほぼ90度に設定されている。このように搬送路202を構成することにより、曲げ部210の材料の搬送方向の上流側から気流によって搬送される材料は曲げ部210よりも下流側の搬送路において遠心力で搬送路202の一方側、すなわち、曲げ部210aの一部や直線部211a側に片寄って搬送される。
材料の搬送方向において搬送路202の曲げ部210以後の直線部211aの途中位置に光学式検出器300が配置されている。本実施形態の光学式検出器300は、搬送路202を流れる材料の有無状態を検出するものである。光学式検出器300の配置位置は、直線部211aと曲げ部210との接続部から光学式検出器300の光軸Sまでの距離Hが、例えば、搬送路202の内径の9倍以内となるように設定される。距離Hが9倍を超えると、遠心力の影響が小さくなり、搬送路202の一方側に材料が片寄らなくなる場合がある。距離Hを9倍以内にすることで、確実に片寄ったところで検出できるので、検出精度がよくなる。距離Hは600mm以内としてもよい。そして、本実施形態では、光学式検出器300は搬送路202の直線部211a,211bに対応する位置に配置されている。
光学式検出器300は、光を発する発光部300aと発光部300aから発せられた光を受ける受光部300bとを備えている。そして、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが、直線部211a,211bに対して垂直方向となるよう、発光部300aと受光部300bとが搬送路202を介して配置されている。発光部300aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等である。光学式検出器300は、制御部に接続され、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。なお、本実施形態では、直線部211a側、すなわち、材料が片寄って搬送される側に発光部300aを配置し、反対側の直線部211b側に受光部300bを配置したが、この構成に限定されない。例えば、直線部211a側に受光部300bを配置し、反対側の直線部211b側に発光部300aを配置してもよい。
また、搬送路202の少なくとも一部であって、光学式検出器300の発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sに対応する部分は光が透過するように構成されている。これにより、光学式検出器300の発光部300aから発せられた光を受光部300bで受けることができる。本実施形態では、搬送路202の直線部211a,211bの一部は透光性を有する透過部材220が配置されている。なお、透過部材220は、少なくとも発光部300aと受光部300bとにおける光軸S上に設けられていればよく、搬送路202の周方向の全体に配置してもよいし、一部分に配置されていてもよい。
また、図2(b)に示すように、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが搬送路202の内部を通過するように、発光部300aと受光部300bとが配置されている。なお、本実施形態では、発光部300aと受光部300bとにおける光軸Sが、遠心力により材料Fが最も片寄る部分を通る位置に発光部300aと受光部300bとが配置されている。搬送路202中を気流によって材料Fが搬送される際に、材料Fがある場合は、材料Fは遠心力により図2(b)において搬送路202の内部の最も右側を通る。光軸Sが最も材料Fが片寄る部分を通るため材料Fがあれば必ず検知でき、精度よく材料Fの有無状態を検出することができる。
次に、シート製造装置の動作方法について図2及び図3を用いて説明する。図3は、シート製造装置の動作方法を示す説明図である。なお、本実施形態では、シート製造装置の搬送路を搬送させる材料の有無状態を光学式検出器によって検出する方法について詳細に説明する。
まず、解繊部30で解繊された材料F(解繊物)が解繊部30で発生された気流によって搬送路202を通って分級部40側に搬送される。そして、解繊部30から分級部40に搬送される際、材料Fは搬送路202の水平部219a,219bを通る。このときの材料Fは、図2(a)に示すように搬送路202内の全体に散らばって搬送される。
次いで、材料Fは搬送路202の曲げ部210a,210bを通る。曲げ部210a,210bは水平部219a,219bから直線部211a,211bへ材料Fを搬送する部分である。このときの材料Fは、曲げ部210で遠心力により一方の曲げ部210a側(曲げ部210の外周側)に寄せられる。
次いで、材料Fは搬送路202の直線部211a,211bを通る。このときの材料Fは、気流によって搬送される材料が遠心力により一方の直線部211a側に片寄って搬送される。そして、直線部211a側に片寄って搬送される材料Fの有無状態を光学式検出器300によって検出する。検出方法としては、光学式検出器300の発光部300aから光を発生させ、発せられた光を受光部300bによって受ける。このとき、発光部300aと受光部300bとの間に材料Fが通過すると、発光部300aからの光が材料Fによって遮られ、受光部300bで受ける受光量が低下する。すなわち、発光部300aから光を発生させ、発せられた光を受ける受光部300bの受光量が大きい場合は材料Fが搬送されていない状態を示す。一方、発光部300aからの光が材料Fによって遮られ、受光部300bで受ける受光量が低下する場合は、材料Fが搬送されている状態を示す。これにより、材料Fの有無状態を検出することができる。
さらに詳細には、図3に示すように、発光部300aからの光を受光した受光部300bの受光量(アナログ信号)を取得する。取得された受光量に基づき、受光量の閾値Stよりも大きい場合をOFFとし、受光量の閾値Stよりも小さい場合をONとするデジタル信号を生成する。そして、所定周期(例えば、10ms)のクロック信号を生成させ、クロック信号の立ち上がり時におけるデジタル信号のONの回数をカウントする。そして、所定時間(例えば、20sec.)内におけるデジタル信号のONの回数をカウントする。このようにしてカウントされた回数(カウント数)と実際に搬送された材料の重量との関係式を求めることにより、カウント数により、材料Fの搬送重量が算出される。これにより、搬送される材料Fの搬送重量を管理することができ、一定量の材料の搬送が可能となる。そして、例えば、所定時間内におけるカウント数を規定しておき、検出されたカウント数が規定のカウント数よりも少ない場合には、表示や警報等により原料の投入が少ない旨を作業者等に警告することができる。また、検出されたカウント数が規定のカウント数よりも多い場合には、被解繊物Puの坪量が規定値よりも大きすぎる旨を作業者等に警告することができる。カウント数が0であれば、原料が投入されてないことを検出できる。
そして、直線部211a,211bを搬送された材料Fは分級部40に投入されて、分級される。以降、堆積部70や成形部200等を介してシートPrが製造される。
次に、光学式検出器における閾値の設定方法をについて説明する。図4は、光学式検出器における閾値の設定方法を示す説明図である。上記のように、本実施形態では、シート製造装置1の搬送路202を搬送させる材料の有無状態を光学式検出器300によって検出するが、シート製造装置1の使用時間が長くなるほど搬送路202の透過部材220に材料の一部が付着する量が多くなっていく。そうすると、光学式検出器300において発光部300aから発光された光を受ける受光部300bの受光量が低下していくこととなる。一方、材料の付着等により受光量が変化しているにも関わらず、閾値が不変のままであると、搬送路202に材料が流れていない場合でも、搬送路202に材料が流れていると判断してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態のシート製造装置1では、受光部300bで受光した光が予め定められた閾値より大きいときに材料が流れていないと判断する制御部2を有し、シート製造装置の累積の使用時間がより長いときの方が閾値がより小さくなるように設定する。すなわち、シート製造装置1の累積の使用時間により閾値が適正に調整可能とする。例えば、シート製造装置1が材料Fを流していない状態で発光したときの受光部300bの受光量がより小さいときのほうがより大きいときよりも閾値Stを小さくする。さらには、シート製造装置1が材料Fを流していない状態で発光したときの受光部300bの受光量が、シート製造装置1の使用開始時の受光量よりも小さい場合に、閾値Stを小さくする。以下、具体的な光学式検出器300の閾値の設定方法をについて説明する。
まず、図4(a)に示すように、シート製造装置1の初期状態において、光学式検出器300の受光部300bで受光した受光量を計測する。この場合の初期状態とは、例えば、搬送路202の透過部材220が清掃された状態である。そして、この初期状態において搬送路202に材料Fが流れていない状態で光学式検出器300を駆動させる。そして、発光部300aから光を発光させ、発光された光を受光部300bで受光した受光量Lv1を計測する。そして、計測した受光量Lv1に所定数m(1.0未満の係数(例えば0.75))を掛けて閾値St1を算出する。そして、算出された初期状態の閾値St1を用いて材料Fの搬送(シート製造装置1の稼働)を開始させる。
次いで、例えば、シート製造装置1の累積使用時間が規定の時間に達した場合に、初期状態の閾値St1を新たな閾値St2に設定し直す。具体的には、図4(b)に示すように、シート製造装置1の累積使用時間が規定の時間に達した時点において、光学式検出器300の受光部300bで受光した受光量を計測する。詳細には、シート製造装置1の累積使用時間が規定の時間に達した時点で搬送路202に材料Fが流れていない状態で光学式検出器300を駆動させる。そして、発光部300aから光を発光させ、発光された光を受光部300bで受光した受光量Lv2を計測する。そして、計測した受光量Lv2に所定数m(1.0未満の係数)を掛けて閾値St2を算出する。なお、本実施形態では、閾値St1及び閾値St2を算出するために用いられる所定数mは同じ値である。そして、算出された新たな閾値St2を用いて材料Fの搬送(シート製造装置1の稼働)を開始させる。なお、本実施形態では、受光量Lv2に所定数(1.0未満の係数)を掛けて閾値St2を算出する。
ここで、図4(a)及び図4(b)に示すように、累積使用時間が規定の時間に達した状態の受光量Lv2は初期状態の受光量Lv1に比べ低くなる傾向にある。これは、シート製造装置1の累積使用時間の経過に伴い、搬送路202の透過部材220に材料Fの一部が付着したり、透過部材220が損傷したりして、透過部材220を透過する透光度が低下するためと考えられる。この場合、初期状態の受光量Lv1から受光量Lv2に受光量が低下しているにも関わらず、閾値St1を用いて材料Fの有無を検出した場合、全体の受光量が低下しているため、搬送路202(透過部材220)に材料が流れていない場合でも、搬送路202に材料が流れていると判断してしまう。そこで、シート製造装置1の累積使用時間が規定の時間に達した場合には、再度閾値Stを設定し直し、具体的には閾値St1から受光量Lv2に対応した閾値St2に変更することにより、材料Fの有無の判定を正確に行うことができる。
なお、閾値Stを設定する方法としては、シート製造装置1の累積使用時間が規定の時間に達した場合の他、搬送路202に材料Fを流していないときの受光量Lvに基づいて閾値Stを設定してもよい。この場合、例えば、所定時間が経過するごとに光学式検出器300の受光部300bで受光した受光量Lv2を計測し、計測した受光量Lv2に所定数m(1.0未満の係数)を掛けて閾値St2を算出する。このようにしても、シート製造装置1の累積の使用時間によって変化する受光量Lに応じた適正な閾値Stを設定することができる。このようにすると、シート製造装置1が材料Fを流していない状態で発光したときの受光部300bの受光量がより小さいときのほうがより大きいときよりも閾値Stを小さくすることになる。
さらに、閾値Stを設定し直す他の方法としては、例えば、シート製造装置1に投入した累積の原材料に基づいて閾値Stを設定してもよい。この場合、例えば、シート製造装置1に投入される原材料としての古紙Puの枚数を累積カウントする。そして、投入された古紙Puの累積枚数が所定の枚数に達するごとに光学式検出器300の受光部300bで受光した受光量Lv2を計測し、計測した受光量Lv2に所定数m(1.0未満の係数)を掛けて閾値St2を算出する。このようにしても、シート製造装置1の使用経過に伴って原材料の投入量によって変化する受光量Lに応じた適正な閾値Stを設定することができる。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
シート製造装置1の使用時間に伴い、受光量Lv1が受光量Lv2に変化した場合に、受光量Lv1に対応して設定された閾値St1を見直し、受光量Lv2に対応する閾値St2に設定し直す。これにより、シート製造装置1の累積の使用時間に伴って閾値Stが適正に調整されるため、光学式検出器300の検出精度を適正に保持し、解繊物の搬送重量の誤差検出を低減させることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記実施形態では、搬送路202の曲げ部210は、水平部219a,219bに対してほぼ90度曲がった構成としたが、この構成に限定されない。図5は、変形例にかかる光学式検出器及びその周辺部の構成を示す構成図である。図5(a)に示すように、搬送路202aが螺旋形状を有している。そして、搬送路202aの途中に180度以上の曲がった曲げ部291を有している。そして、曲げ部291に対応する位置に光学式検出器300が配置されている。このようにしても、気流により曲げ部291の一方側に材料が片寄るため、材料の有無状態を検出することができる。また、図5(b)に示すように、搬送路202bの途中に曲げ部としての窪み部292を有している。そして、窪み部292に対応する位置に光学式検出器300が配置されている。このように搬送路の断面を縮小するようにしても、気流により窪み部292に材料が寄るため、材料の有無状態を検出することができる。つまり、遠心力を用いなくても、材料を寄せたところで検出すればよい。
(変形例2)上記実施形態では、搬送路202に光学式検出器300を配置したが、この構成に限定されない。例えば、搬送路203や搬送路204等に光学式検出器300を配置してもよい。図1において、搬送路203や搬送路204も曲げ部を有しており、この曲げ部または曲げ部よりも下流側に光学式検出器300を設ければよい。このようにすれば、例えば、搬送路203に光学式検出器300を配置した場合には、分級物の有無状態が検出され、分級物の搬送重量を管理することができる。また、搬送路204に光学式検出器300を配置した場合には、選別物の有無状態が検出され、選別物の搬送重量を管理することができる。なお、曲げ部が曲がる方向は、気流による遠心力を用いる場合はどの方向でも問題ない。重力を用いる場合は、曲げ部よりも上流側の搬送路は鉛直方向下方へ向かうのが望ましいので、搬送路202ではなく、搬送路203や搬送路204が望ましい。さらに、搬送路203や搬送路204等に配置された各光学式検出器300において、シート製造装置1の累積の使用時間に伴って適宜閾値Stを設定し直す。このようにすれば、上記実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記実施形態では、材料として解繊物の搬送における有無状態を検出したが、これに限定されない。シートの材料の少なくとも一部であれば、特に限定されず、例えば、繊維だけでもよいし、樹脂だけでもよいし、その他のものが含まれていてもよい。このようにしても、搬送物の有無状態を検出することができる。
(変形例4)上記実施形態では、材料Fの搬送方向において曲げ部210以後であって、曲げ部よりも下流側である直線部211a,211bに対応する位置に光学式検出器300を配置したが、これに限定されない。例えば、曲げ部210に対応する位置に光学式検出器300を配置してもよい。曲げ部210以後は、曲げ部及び曲げ部よりも材料Fの搬送方向における下流側の搬送路を含む。このようにしても、曲げ部210において気流により曲げ部210の一方の曲げ部210aに片寄るため、材料Fの有無状態を検出することができる。