JP6287219B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置に関する。特に、感光層の接着性に関して優れ、且つ、電気特性の良好な電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、近年では、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンターなどに広く使われ応用されてきている。これらの画像形成装置に使用される電子写真感光体は、電荷発生剤、電荷輸送剤及びバインダー樹脂を含む感光層を、導電性支持基体上に形成した、いわゆる有機感光体が主流である。
しかし、導電性支持基体上に直接感光層を塗布する電子写真感光体では、導電性支持基体と感光層が近接するため電荷が感光層に注入するおそれがあり、微視的な表面電荷の消失もしくは減少により画像欠陥が発生することがある。また、導電性支持基体の表面状態に影響されて、均一な厚さの感光層を形成することが困難になり、感光層の厚みにムラが生じることで、濃度ムラや、ピンホールなどの画像欠陥が生じるおそれがある。このような画像形成は特に、高温高湿環境下において顕著である。
このような画像欠陥の防止を意図して、導電性支持基体からの電荷注入阻止、導電性支持基体表面欠陥の隠蔽、感光層と基体の接着性向上などのために、導電性支持基体と電荷発生層の間に、下引き層を設けることが行われている。下引き層には、有機溶媒可溶性ポリアミド樹脂などが用いられている(特許文献1〜9)。
一方、従来のポリアミド樹脂などからなる単一の下引き層を有する電子写真感光体は、残留電位の蓄積が大きく、経時的な感度の大幅な低下や画像のかぶりなどが発生することがある。
そこで、導電性支持基体の影響による残留電位の改善や画像欠陥の防止を目的として、導電性支持基体に金属酸化物の微粒子を含んだ有機溶媒可溶性ポリアミド樹脂からなる下引き層を設けることなどが行われている。(特許文献4〜9)
また、下引き層もしくは中間層を積層させる方法や、N−アルコキシ(メトキシ)メチル化ナイロンを下引き層もしくは中間層に含有させる方法も行われており、導電性支持体からの電荷の注入を抑制し地汚れ抑制効果を高める手段として有効とされている。(特許文献8〜9)
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体は、様々な利点を有するが、電子写真感光体として必要とされる特性のすべてを満足するわけではなく、特に、複写機やプリンターでの繰り返し使用においては、感光層が次第に劣化するという問題があるため、繰り返し使用によるダメージが少なく、高感度かつ低残留電位であり、電気特性が安定していることが望まれる。これらの特性は、電荷発生物質や電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂に大きく依存する。電荷発生物質としては、光入力用光源に対する感度を持つ必要があるため、主にフタロシアニン顔料やアゾ顔料が使われる。電荷輸送物質としては、多種のものが知られているが、アミン系化合物は、非常に低い残留電位を示すことから広く利用されている(例えば、特許文献10及び特許文献11参照)。
上述のように、数多くの電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂など感光体材料が知られているが、その中から闇雲に高性能を有すると知られている材料を組み合わせて用いれ
ば、優れた電子写真感光体特性を有し、かつ画像形成装置に使用した場合に、実際に所望する高画質な画像が得られる電子写真感光体を提供可能になるわけではない。特に近年、耐磨耗性の向上が望まれており、その一つの解決手段として、電荷輸送層に耐摩耗性に優れた結着樹脂を用いて、電荷輸送物質の含有量を減少させることにより、結着樹脂の性能を極力損なわない手法がある。
特公昭58−45707号公報 特開昭60−168157号公報 特開平2−183265号公報 特開平2−242265号公報 特開2006−208474号公報 特開2009−237179号公報 特開2011−197261号公報 特開2010−49279号公報 特開平9−68821号公報 特開2000−075517号公報 特開2002−040688号公報
しかしこの場合は、発明者らの検討によれば、感光層の収縮が大きくなり、内部応力が大きくなるため、感光層の接着性が悪化し、感光層と下引き層、又は下引き層と支持体の間で剥離する欠点があった。同時に、接着性の悪化に伴って、電気特性も著しく悪化する、接着性向上を目的に下引き層のバインダー樹脂を変えると電気特性が悪化するといった現象が見られた。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、収縮の大きさに関わらず、感光層の接着性が極めて良好に保たれ、更に、良好な電気特性と画像特性とを両立する電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、導電性支持基体上に少なくとも下引き層及び感光層を基体側からこの順に積層して成る電子写真感光体において、該下引き層が、特定構造のブロック共重合ポリアミド樹脂を下引き層に用いることにより、接着性を改善できることを見出した。即ち本発明の要旨は以下の<1>〜<12>に存する。
<1>導電性支持体上に少なくとも下引き層及び感光層を前記導電性支持体側から順に積層して成る電子写真感光体であって、前記下引き層が、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、並びにポリエーテル成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリアミド樹脂を含有する、電子写真感光体。
<2>導電性支持体上に少なくとも下引き層及び感光層を前記導電性支持体側から順に積層して成る電子写真感光体であって、前記下引き層が、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、並びにポリエーテル成分を含み、エステル結合を有するポリアミド樹脂を含有する、電子写真感光体。
<3>前記ポリアミド樹脂が、前記直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、並びに前記ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか
一方を含むポリアミドブロックと、前記ポリエーテル成分を含むポリエーテルブロックとのブロック共重合ポリアミド樹脂である、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4>前記ブロック共重合ポリアミド樹脂が、下記一般式[1]で表される、<3>に記載の電子写真感光体。
−[HS−SS]− ・・・[1]
(式[1]中、HSはハードセグメントを表し、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方と、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とを含むポリアミドブロックを少なくとも一種含むポリマー単位である。SSはソフトセグメントを表し、少なくとも一種のポリエーテル成分を含むポリエーテルブロックを含むポリマー単位である。)
<5>前記一般式[1]で表されるブロック共重合ポリアミド樹脂中のHSとSSがエステル結合で結ばれている、<4>に記載の電子写真感光体。
<6>前記ポリエーテルブロックがポリテトラメチレンエーテルグリコール又はポリプロピレンエーテルグリコールを含む、<3>〜<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<7>前記下引き層における前記ポリエーテルブロック含有量が4質量%以上である、<3>〜<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<8>前記ポリアミドブロックが単一構造のラクタム及びアミノカルボン酸の少なくともいずれか一方を重合して得られる、<3>〜<7>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<9>前記ブロック共重合ポリアミド樹脂にダイマー酸成分を含まない、<3>〜<8>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<10>前記ブロック共重合ポリアミド樹脂にジアミン成分を含まない、<3>〜<9>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<11><1>〜<10>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した前記電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部及び前記電子写真感光体上をクリーニングするクリーニング部からなる群のうち少なくとも一つの部分とを備える、電子写真感光体カートリッジ。
<12><1>〜<10>のいずれか1項に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電部、帯電した前記電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部及び前記電子写真感光体上をクリーニングするクリーニング部を備える、画像形成装置。
本発明に係る画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 実施例で使用するチタニルフタロシアニン顔料のCuKα特性X線回折ピークを示すチャート図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
[電子写真感光体]
以下、本発明の電子写真感光体について詳述する。
<導電性支持体>
感光体に用いる導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添
加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100−300g/l、溶存アルミニウム濃度は2−15g/l、液温は15−30℃、電解電圧は10−20V、電流密度は0.5−2A/dmの範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行うことは好ましい。封孔処理は、通常の方法でよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3−6g/lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、25−40℃、好ましくは30−35℃で、また、フッ化ニッケル水溶液のpHは、4.5−6.5、好ましくは5.5−6.0の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることが出来る。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1−3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることが出来るが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5−20g/lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80−100℃、好ましくは90−98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0−6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることが出来る。処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。
次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に引き抜き加工
、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム基体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な基体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、下引き層を設ける。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。これらは単独として用いてもよいし、又はいくつかの樹脂、金属酸化物等の粒子を同時に用いてもよい。
下引き層に用いられる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素含む金属酸化物粒子が挙げられる。1種類の粒子のみを用いていてもよいし、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることが出来る。また、複数の結晶状態のものが含有されていてもよい。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径としては10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
<ポリアミド樹脂>
本発明の下引き層は、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、並びにポリエーテル成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むポリアミド樹脂を含有する。又は、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、並びにポリエーテル成分を含み、エステル結合を有するポリアミド樹脂を含有する。ジカルボン酸成分は、直鎖状及び分岐鎖状の成分を両方含んでいてもよく、環状鎖は直鎖及び分岐鎖のいずれにも含まれない。また、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分を両方含んでいてもよい。
ポリエーテル成分を含むポリエーテルブロックとのブロック共重合ポリアミド樹脂であることが電気特性及び接着性の点から更に好ましく、前記ブロック共重合ポリアミド樹脂が、下記一般式[1]で表されることが特に好ましい。
式[1]
−[HS−SS]n−
(式[1]中、HSはハードセグメントを表し、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方と、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とを含むポリアミドブロックを少なくとも一種含むポリマー単位である。SSはソフトセグメントを表し、少なくとも一種のポリエーテル成分を含むポリエーテルブロックを含むポリマー単位である。)
前記ラクタムおよび前記アミノカルボン酸としては、炭素数は、経済性、入手の容易さの観点から通常2以上、好ましくは4以上、更に好ましくは6以上である。上限は、通常20以下、好ましくは16以下、更に好ましくは12以下である。
例えば、α−ラクタム、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム、ε−ラクタム(カプロラクタム)、ω−ラクタム(ラウリルラクタム、ドデカンラクタム)などのラクタ
ム化合物、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸が挙げられる。経済性、入手の容易さの観点から、カプロラクタム、ドデカンラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が好ましい。また、ラクタムおよびアミノカルボン酸は、複数成分を用いることができるが、単一成分(単一構造)であることが好ましく、ポリアミドブロックは単一構造のラクタム及びアミノカルボン酸の少なくともいずれか一方を重合して得られることがより好ましい。
ラクタムおよびアミノカルボン酸の成分量としては、下限は通常、全ポリアミドブロックの1mol%以上、耐水性、耐摩耗性、耐衝撃性の観点から好ましくは10mol%以上、更に好ましくは30mol%以上、特に好ましくは50mol%以上である。上限は通常、全ポリアミドブロックの99mol%以下であり、経済性、製造の容易性の観点から好ましくは80mol%以下、更に好ましくは70mol%以下である。
前記直鎖状又は分岐鎖状ジカルボン酸としては、炭素数は、経済性、入手の容易さの観点から通常2以上、好ましくは3以上、更に好ましくは4以上である。上限は、通常32以下、好ましくは26以下、更に好ましくは22以下である。
例えば、シュウ酸、マロン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、ノナデセン酸、エイコセン酸などの脂肪族モノ不飽和脂肪酸;デカジエン酸、ウンデカジエン酸、ドデカジエン酸、トリデカジエン酸、テトラデカジエン酸、ペンタデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘプタデカジエン酸、オクタデカジエン酸、ノナデカジエン酸、エイコサジエン酸、およびドコサジエン酸などのジ不飽和脂肪酸;などが挙げられる。弾性変形率向上の観点から、直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。具体的には、合成の容易さの観点から、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が好ましく、経済性、入手の容易さの観点から、アジピン酸が特に好ましい。これらは、複数成分を用いることができる。また、ブロック共重合ポリアミド樹脂は、電気特性の観点から重合成分としてダイマー酸や環状ジカルボン酸を含まないことが好ましい。
ジカルボン酸の成分量としては、下限は通常、ポリアミド樹脂全体の1mol%以上、
好ましくは3mol%以上、更に好ましくは5mol%以上、特に好ましくは10mol%以上である。上限は通常、ポリアミド樹脂全体の50mol%以下、好ましくは45mol%以下、更に好ましくは40mol%以下、特に好ましくは30mol%以下である。
上記ジカルボン酸成分と、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸成分とを含むものをポリアミドブロックと呼ぶが、ポリアミドブロックに含まれていてもよい他の成分としては、例えばジアミン、環状ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。
ポリエーテルブロックは、ポリエーテル成分が含まれていればよい。ポリエーテル成分とは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリC2〜6アルキレングリコール、ポリC2〜4アルキレングリコールなどが挙げられる。これらのうち、ポリエーテルブロックには、低吸水性の観点から、ポリプロピレングリコール(PPG)またはポリテトラメチレングリコール(PTMG)が含まれることが好ましく、PPGとPTMGを共に含んでいてもよい。これらは、複数成分を用いることができる。ポリエーテルブロックに含まれていてもよい他の成分としては、例えばジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げ
られる。
ポリエーテルの成分量としては、接着性の観点から、下限は通常、ポリアミド樹脂全体の1mol%以上、好ましくは3mol%以上、更に好ましくは5mol%以上、特に好ましくは10mol%以上である。電気特性の観点から、上限は通常、ポリアミド樹脂全体の90mol%以下、好ましくは85mol%以下、更に好ましくは80mol%以下、特に好ましくは70mol%以下である。
また、下引き層中のポリエーテルの成分量としては、接着性の観点から、下限は通常、下引き層中の1質量%以上、好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。電気特性の観点から、上限は通常、下引き層中の50質量%以下、好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
下引き層におけるポリエーテルブロックの含有量としては、接着性の点から、下限は通常、下引き層中の1質量%以上、好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、特に好ましくは8質量%以上である。電気特性の観点から、上限は通常、下引き層中の60質量%以下、好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
上記ポリアミドブロックとポリエーテルブロックのブロック共重合ポリアミド樹脂に含まれていてもよいその他の成分として、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ピペラジン等のジアミン、トリメリット酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。ブロック共重合ポリアミド樹脂の重合成分としては、ジアミン成分を含まないことが電気特性の点から好ましい。
ブロック共重合ポリアミド樹脂中の成分量は、下記範囲とすることが好ましい。但し、全ての成分の合計は、100重量%となる。
ポリエーテル成分量は、下限は、通常15重量%以上、30重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。上限は、通常90重量%以下、80重量%以下が好ましい。
ラクタム及びアミノカルボン酸の成分量は合計で、下限は、通常5重量%以上、10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましい。上限は、通常50重量%以下、30重量%以下が好ましい。
直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分量は合計で、下限は、通常0.5重量%以上、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましい。上限は、通常20重量%以下、10重量%以下が好ましい。
式[1]で表されるブロック共重合ポリアミド樹脂において、低温剛化(可撓性グレード)、密度、耐加水分解性(低吸水性)および耐老化性(耐熱酸化および耐紫外線)に関して有利な特性を得ることができることからHSとSSがエステル結合で結ばれていることが好ましい。
SSの数平均分子量は、下限は、通常100以上、接着性の観点から好ましくは300以上、更に好ましくは500以上である。上限は、通常10000であり、溶剤可溶性の観点から好ましくは6000以下、さらに好ましくは4000以下である。
HSの数平均分子量は、下限は、通常300以上、接着性の観点から好ましくは500以上、更に好ましくは600以上である。上限は、通常10000以下であり、溶剤可溶性の観点から好ましくは6000以下、さらに好ましくは4000以下である。
HSとSSとの割合(質量比)は、HS/SSの上限は通常85/15以下であり、ポリアミド樹脂の接着性の観点から、好ましくは70/30以下、さらに好ましくは50/50以下、特に好ましくは45/55以下である。HS/SSの下限は、耐衝撃性、機械的強度、熱的特性の観点から通常10/90以上、好ましくは15/85以上、更に好ましくは20/80以上、特に好ましくは25/75以上である。
前記ポリアミド樹脂のアミノ基濃度は、特に制限されないが、下限は通常10mmol/kg以上である。接着性の観点から好ましくは15mmol/kg以上、さらに好ましくは20mmol/kg以上である。上限は、通常300mmol/kg以下、電気特性の観点から好ましくは280mmol/kg以下、さらに好ましくは250mmol/kg以下である。
前記ポリアミド樹脂のカルボキシル基濃度は、特に制限されないが、下限は通常10mmol/kg以上であり、熱安定性が高く、長期安定性の観点から好ましくは15mmol/kg以上、さらに好ましくは20mmol/kg以上である。上限は、通常300mmol/kg以下であり、電気特性の観点から好ましくは280mmol/kg以下、さらに好ましくは250mmol/kg以下である。
前記ポリアミド樹脂の数平均分子量は、下限は、通常5000以上であり、下引き層の膜厚の均一性の観点から好ましくは6000以上、更に好ましくは7000以上である。上限は、通常200000以下であり、樹脂の溶剤に対する可溶性の観点から、好ましくは100000以下、さらに好ましくは70000以下である。なお、数平均分子量は、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより、ポリメタクリル酸メチル換算で測定できる。
前記ポリアミド樹脂のアミド結合含有量は、ブロック共重合ポリアミド樹脂当たり、100ユニット以下の範囲から選択でき、耐リーク性の点から、下限は、通常30ユニット以上であり、熱溶着性、相溶性の観点から好ましくは40ユニット以上、さらに好ましくは50以上である。上限は、通常90ユニット以下であり、吸水性の観点から好ましくは80ユニット以下、さらに好ましくは70ユニット以下である。なお、アミド結合含有量は、例えば、数平均分子量を繰り返し単位(1ユニット)の分子量で除することにより、算出できる。
前記ポリアミド樹脂は、非晶性であってもよく、結晶性を有していてもよい。ブロック共重合ポリアミド樹脂の結晶化度は、20%以下、好ましくは10%以下である。なお、結晶化度は、慣用の方法、例えば、密度や融解熱に基づく測定法、X線回折法、赤外吸収法などにより測定できる。
前記ポリアミド樹脂の融点又は軟化点は、下限は、通常75℃以上であり、電子写真感光体の乾燥最低温度の観点から好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。上限は、通常160℃以下であり、電子写真感光体の乾燥最高温度の観点から好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
ブロック共重合ポリアミド樹脂の融点は、各成分が相溶し、示差走査熱量計(DSC)で単一のピークが生じる場合、単一のピークに対応する温度を意味する。各成分が非相溶であり、DSCで複数のピークが生じる場合、複数のピークのうち高温側のピークに対応する温度がブロック共重合ポリアミド樹脂の融点を意味するものである。熱溶融性は、示差走査熱量計により軟化温度として測定でき、結晶性のブロック共重合ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量計により測定できる。
前記ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、特開2010−22239
6や特開2002−371189に開示されているような公知の方法を用いることができる。
実際には2段階法と、1段階法の2つの方法が用いられる。2段階法では、まずポリアミドブロックを製造し、第2段階でポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合する。1段階法では、ポリアミド先駆体と、連鎖制限剤と、ポリエーテルとを混合する。基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られ、各種の反応物がランダムに(統計的に)反応し、ポリマー鎖中に分布する。1段階法でも2段階法でも触媒の存在下で実施するのが好ましい。1段階法ではポリアミドブロックも作られる。すなわち、前記ポリアミド樹脂をポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合する任意の手段で生成できる。
ポリアミドブロックがカルボン酸末端基を含み、ポリエーテルがポリエーテルジオールである化合物の製造方法を詳細に説明する。2段階法では、初めに連鎖制限剤であるジカルボン酸の存在下でポリアミド先駆体を縮合してカルボン酸末端基を有するポリアミドブロックを作り、第2段階でポリエーテルと触媒を添加する。ポリアミド先駆体がラクタム又はα,ω-アミノカルボン酸だけの場合にはジカルボン酸を添加する。ポリアミド先駆
体がジカルボン酸で既に構成される場合には、ジアミンの化学当量を過剰に用いる。反応は一般に180〜300℃、好ましくは200〜260℃で行い、反応器内の圧力は5〜30バールとし、約2時間これを維持する。反応器を脱気して圧力をゆっくりと下げ、過剰な水は例えば1,2時間の蒸留で除去する。
カルボン酸末端を有するポリアミドを製造した後、ポリエーテルと触媒とを添加する。ポリエーテル及び触媒は1回又は複数回で添加できる。好ましい実施例では、ポリエーテルを初めに添加する。ポリエーテルのOH末端基とポリアミドのCOOH末端基との反応と、エステル結合の形成及び水の除去とが一緒に始まる。反応混合物中の水を蒸留によってできるだけ除去した後、触媒を導入してポリアミドブロックのポリエーテルブロックへの結合を完成させる。この第2段階は好ましくは少なくとも5mmHg(650Pa)の減圧下で反応物及び得られたコポリマーが溶融状態にあるような温度で攪拌しながら実施する。この温度は例えば100〜400℃、一般に200〜300℃にすることができる。溶融ポリマーから攪拌器に加わるトルクを測定するか、攪拌器の消費電力を測定することによって反応をモニターし、このトルク又は消費電力値によって反応の終点を決定する。
触媒とはエステル化によってポリアミドブロックをポリエーテルブロックに結合させる任意の化合物を意味する。この触媒はチタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群の中から選択される金属(M)の誘導体であるのが有利である。この誘導体の例としては一般式: M(OR)4で表されるテトラアルコキシドが挙げられる(ここで、Mはチタン、
ジルコニウム又はハフニウムを表し、Rは、1〜24個の炭素原子を有する線形又は枝分れしたアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい)。
触媒として用いられるテトラアルコキシドのR基の中のC1〜C24アルキル基は例えば
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、エチルヘキシル、デシル、ドデシル又はヘキサドデシル等である。好ましい触媒はR基はC1〜C8アルキル基(互いに同一でも、異なっていてもよい)テトラアルコキシドである。このような触媒の例としては特に
Zr(OC254、Zr(O−isoC374、Zr(OC494、Zr(OC5114、Zr(OC6134、Hf(OC254、Hf(OC494又はHf(OisoC374が挙げられる。
触媒は上記式:M(OR)4で表される一種又は複数のテトラアルコキシドのみにする
ことができるが、一種又は複数のテトラアルコキシドと、式:(R1O)pYで表される一
種又は複数のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコラートとの組み合せにすることもできる(ここで、R1は炭化水素残基、好ましくはC1〜C24、更に好ましくはC1〜C8アルキル残基を表し、Yはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を表し、pはYの原子価である)。混合触媒として組合わさるこのアルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラート及びジルコニウム又はハフニウムテトラアルコキシドの量は広範囲で変えることができるが、アルコラートのモル比がテトラアルコキシドのモル比とほぼ同じになるような量のアルコラート及びテトラアルコキシドを用いるのが好ましい。
触媒の質量比、すなわち触媒がアルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラートを含まない場合の一種又は複数のテトラアルコキシドの量、又は触媒がこれら2種類の化合物の組み合せから成る場合には一種又は複数のテトラアルコキシドと一種又は複数のアルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコラートの量は、ジカルボン酸ポリアミドとポリアルキレングリコールとの混合物の質量の0.01〜5%、好ましくは0.05〜2%にするのが好ましい。
他の誘導体の例としては金属(M)塩、特に金属(M)と有機酸との塩及び金属(M)の酸化物及び/又は金属(M)の水酸化物と有機酸との錯塩を挙げることができる。有機酸は蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリン(valerique)酸、カプロン酸、カプリル
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸及びクロトン酸にすることができる。酢酸及びプロピオン酸が特に好ましく、Mはジルコニウムであるのが有利である。これらの塩はジルコニル塩とよぶことができる。はこのジルコニウムと有機酸との塩又は上記錯塩はプロセス中にZrO++を放出すると考えられるが、この説明に縛られるものではない。酢酸ジルコニル(zirconyl acetate)の名称で市販の製品が用いられ、その使用量はM(OR)4誘導体と同じである。
また、ポリアミドブロックがカルボン酸末端基を含み、ポリエーテルがポリエーテルジアミンである化合物の製造法を詳細に示す。2段階法では、初めに連鎖制限剤であるジカルボン酸の存在下でポリアミド先駆体を縮合してカルボン酸末端基を有するポリアミドブロックを作り、第2段階でポリエーテルと必要に応じて触媒を添加する。ポリアミド先駆体がラクタム又はα,ω-アミノカルボン酸だけの場合にはジカルボン酸を添加する。ポ
リアミド先駆体がジカルボン酸で既に構成される場合には、ジアミンの化学当量を過剰に用いる。反応は一般に180〜300℃、好ましくは200〜260℃で行い、反応器内の圧力は5〜30バールとし、約2時間これを維持する。反応器を脱気して圧力をゆっくりと下げ、過剰な水は例えば1,2時間の蒸留で除去する。
カルボン酸末端を有するポリアミドを作った後、ポリエーテルと必要に応じて触媒とを添加する。ポリエーテル及び触媒は1回又は複数回で添加できる。好ましい実施例では、ポリエーテルを初めに添加する。ポリエーテルのNH2末端基とポリアミドのCOOH末
端基との反応と、アミド結合の形成及び水の除去とが一緒に始まる。反応混合物中の水を蒸留によってできるだけ除去した後、必要に応じて触媒を導入してポリアミドブロックのポリエーテルブロックへの結合を完成させる。この第2段階は好ましくは少なくとも5mmHg(650Pa)の減圧下で反応物及び得られたコポリマーが溶融状態にあるような温度で攪拌しながら実施する。この温度は例えば100〜400℃、一般に200〜300℃でよい。溶融ポリマーから攪拌器に加わるトルクを測定するか、攪拌器の消費電力を測定することによって反応をモニターし、このトルク又は消費電力値によって反応の終点を決定する。触媒とはエステル化によってポリアミドブロックをポリエーテルブロックに結合させる任意の化合物を意味する。プロトン性触媒が好ましい。
1段階法では、2段階法で用いられる全ての反応物、例えばポリアミド先駆体、連鎖制限剤のジカルボン酸、ポリエーテル及び触媒の全てを混合する。これらは前記の2段階法で用いたものと同じ反応物及び触媒である。ポリアミド先駆体がラクタムのみの場合には少量の水を添加するのが有利である。コポリマーは基本的に同一のポリエーテルブロックと同一のポリアミドブロックとを有するが、少量の各種の反応物を任意の方法で反応させ、ポリマー鎖中にランダムに分布させることもできる。前記2段階法の第一段階と同様に、反応器を閉じ、攪拌しながら加熱する。圧力は5〜30バールにする。変化しなくなったら、溶融反応物を激しく攪拌しながら反応器を減圧する。その後は前記2段階法の場合と同様にする。
下引き層は、前記金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、上記のポリアミド樹脂の他に樹脂を混合して用いても良い。混合しても良い樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知の結着樹脂を用いることが出来る。これらは硬化剤とともに硬化した形でも使用できる。
<感光層>
本発明の感光体は、導電性支持体上に感光層を有する。本発明の感光体には、電荷発生層(電荷発生材料を含む層)と電荷輸送層(電荷輸送材料を含む層)を含む積層型の感光層を有する積層型感光体、あるいは電荷発生材料と電荷輸送材料を同一の感光層中に含む単層型感光体がある。
<積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光層(機能分離型感光層)の電荷発生層は、電荷発生材料を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生材料及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料;などの各種光導電材料が使用できる。特に有機顔料が好ましく、更にはフタロシアニン顔料及びアゾ顔料が特に好ましい。なお、電荷発生物質は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
中でも電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、その具体例としては、無金属フタロシアニン;銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコーン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシ
アニン類;などが使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などが挙げられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit. Kristallogr.159(1982)173)、A型はβ型とも呼ばれ、安定型として知られているものである。D型はY型とも呼ばれる準安定型で、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理、磨砕処理、溶剤処理等が知られている。
これらの電荷発生物質は、通常、その微粒子を例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリビニルプロピオナール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。なお、この際バインダー樹脂として本発明に係るポリエステル樹脂を使用してもよい。また、バインダー樹脂は1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
電荷発生層における電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、通常500質量部以下、好ましくは300質量部以下である。
また、電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上であり、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下である。
電荷発生層には、本発明の効果を著しく損なわない限り上述した以外の成分を含有していてもよい。例えば、電荷発生層には添加剤を含有させても良い。これらの添加剤は、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために用いられるもので、その例を挙げると、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子求引性化合物、染料、顔料、レベリング剤、残留電位抑制剤、分散補助剤、可視光遮光剤、増感剤、界面活性剤などが挙げられる。なお、可塑剤を用いれば層の機械的強度等が改良でき、残留電位抑制剤を用いれば残留電位を抑制でき、分散補助剤を用いれば分散安定性を向上させることができ、レベリング剤を用いれば塗布液の塗布性を改善できる。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコーンオイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはシリコーンオイルやワックス、及びフッ素系樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子を含有させてもよい。また、無機化合物の粒子を含有させてもよい。
<電荷輸送層>
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、必要に応じて使用さ
れるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては、公知の他の電荷輸送物質を用いることができ、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0006287219
Figure 0006287219
バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から特に好ましい。一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。
まず、ポリエステル樹脂について説明する。一般に、ポリエステル樹脂は、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2 − ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2 − ビス(
4 −ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールA のアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA 、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2
〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、芳香族ビスフェノール等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
これらのポリエステル樹脂のうち、好ましいのは下記式(A)で示される構造単位を有する、全芳香族系のポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂)である。
Figure 0006287219
(式(A)中、Ar〜Arはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す。uは0以上2以下
の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す)。
上記式(A)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、好ましくは7以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。炭素数が多すぎる場合、製造コストが高くなり、電気特性も悪化する恐れがある。
Ar〜Arの具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。中でも、アリーレン基としては、電気特性の観点から、1,4−フェニレン基が好ましい。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、Ar〜Arの置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
より詳しくは、Ar及びArは、それぞれ独立に置換基の数は0以上2以下が好ましく、接着性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐磨耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基の数は0以上2以下が好ましく
、耐磨耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(A)において、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基である。アルキレン基としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンが好ましく、より好ましくは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンであり、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
また、上記式(A)において、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基であって、中でも、Xは、酸素原子であることが好ましい。その際、vは0か1であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
uが1の場合に好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2
,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル
−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
uが0の場合のジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、イソフタル酸残基
、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボ
ン酸残基、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、フタル酸
残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビ
フェニル−4,4'−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テ
レフタル酸残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0006287219
次に、ポリカーボネート樹脂について説明する。一般に、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)や溶液法のような溶剤法で製造されたものや、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が、安価な製法として広く用いられている。ビスフェノール類としては、下記の化合物が好適に用いられる。なお、ポリカーボネート樹脂としては、一種のビスフェノール類からなるホモポリマーだけでなく、二種以上のビスフェノール類を共重合させて製造されるコポリマーも用いられる。
Figure 0006287219
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
Figure 0006287219
本発明で用いられるバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、また、その上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,00以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光体の機械的強度が不足する可能性があり、大き過ぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常は120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から70質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には40μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは35μm以下が特に好適に用いられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し下引き層上に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を十分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とする。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
[カートリッジ、画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いたドラムカートリッジ、画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。
図1において、1はドラム状感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段2により、その表面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部3において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。
形成された静電潜像は、次に現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により給紙部から給送された転写体(紙など)Pに順次転写されていく。図1では、現像手段4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像手段4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
像転写された転写体はついで定着手段7に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。定着手段7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71、72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は
、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段6により転写残りのトナーが除去され、除電手段により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
本発明の電子写真感光体を使用するにあたって、帯電器としては、コロトロン、スコロトロンなどのコロナ帯電器の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。直接帯電手段として、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光を用いることができる。
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。
トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁造粒、懸濁重合、乳化重合凝集法等のケミカルトナーを用いることができる。特に、ケミカルトナーの場合には、4〜8μm程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
転写行程はコロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着、IH定着、ベルト定着、IHF定着などが用いられ、これら定着方式は単独で用いても良く、複数の定着方式を組み合わせた形で使用してもよい。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有してもよい。
本発明に係る電子写真感光体を用いたカートリッジは、上記感光体1と、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニング手段6からなる群のうち少なくとも一の部分とを備えていればよい。
本発明においては、上記ドラム状感光体1、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6等の構成要素の内の複数のものをドラムカートリッジとして一体に結合して構成し、このドラムカートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電手段2、現像手段4及びクリーニング手段6の内、少なくとも1つをドラム状感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化とすることが出来る。
また、本発明に係る電子写真感光体、帯電手段2、露光部3、現像手段4及びクリーニ
ング手段6を備える画像形成装置に適用することも可能である。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた5リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸400.0g及びアジピン酸100.0gを仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1800)1500.0g、テトラブチルジルコネート2.0g及び酸化防止剤(トミノックス917)5.0gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、更に30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1.56kgのポリアミド樹脂Iのペレットを得た。
[製造例2]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた5リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸600.0g及びアジピン酸100.0gを仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1800)1800.0g、テトラブチルジルコネート2.0g及び酸化防止剤(トミノックス917)5.0gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、更に30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1.94kgのポリアミド樹脂IIのペレットを得た。
[製造例3]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた5リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸800.02g、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のXTJ−542、全アミン:1.95meq/g)1049.30g、アジピン酸150.68g、次亜
リン酸ナトリウムの35.55質量%水溶液2.81g及び酸化防止剤(トミノックス917)5.00gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度50rpmで行った。4時間かけて室温から225℃まで昇温し、225℃で10時間重合を行った。次に、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1.68kgのポリアミド樹脂IIIのペレットを得た。
[製造例4]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた5リットルの圧力容器に11−アミノウンデカン酸490.0g及びアジピン酸100.0gを仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1800)1800.0g、テトラブチルジルコネート2.0g及び酸化防止剤(トミノックス917)5.0gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速500mL/分で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度50rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、更に30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1.83kgのポリアミド樹脂IVのペレットを得た。
<本実施例で使用するその他のポリアミド樹脂>
・ポリアミド樹脂V:PA−100 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂VI:PA−105A T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂VII:PA−201 T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂VIII:FR−101 株式会社 鉛市製
・ポリアミド樹脂IX:FR−301 株式会社 鉛市製
・ポリアミド樹脂X:TXM−78A T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂XI:TXM−80A T&K TOKA株式会社製
・ポリアミド樹脂XII:特許文献 特開2011−170041号公報 実施例に記載の
共重合ポリアミド
本実施例で使用するポリアミド樹脂に含まれるブロックと結合の有無を表−1に示す。(○:有り,×:無し)
Figure 0006287219
<感光体シート作成方法>
[実施例1]
以下の手順に従い、電子写真感光体の1形態である感光体シートを作製した。初めに、下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ポリアミド樹脂Iを加熱しながら撹拌、混合してポリアミド樹脂を溶解させた後、超音波分散処
理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が6/1/3で、疎水性処理酸化チタン/ポリアミド樹脂Iを質量比3/1で含有する、固形分濃度1
8.0%の下引き層用分散液とした。
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の膜厚が1.5μmになるようにワイヤーバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。こうして得られた160質量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0質量%の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
この電荷発生層形成用塗布液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として特開2002−80432号公報中の実施例1に示された、下記式(CTM-1)で表わされる構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる混合
物を50質量部、下記繰り返し構造からなるポリアリレートA(PAR-A、粘度平均分子量
41,000)100質量部、及びレベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006287219
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートSE1を作製した。
<感光体の電気特性の評価>
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体を
アルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用いた。780nmの光を1.0μJ/cm照射した時点の表面電位(VL)、及び感度を表す指標として、表面電位を−350Vまで半減させるのに必要な露光量(半減露光量)を測定した。VL測定に際しては、露光−電位測定に要する時間を100msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行った。感度(半減露光量)及びVLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示す。電気特性の結果を表−2に示す。以下シートを用いた結果については、「実施例s」「比較例s」と標記する。
<接着性試験用感光体の製造>
上記<感光体シート作成方法>で用いた、アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚さ0.5mmのアルミ板を用いた以外は<感光体シート作成方法>と同様に接着性試験用感光体PE1を作製した。
<接着性試験>
この接着性試験用感光体上に、NTカッターを用いて、5mm間隔で縦に3本、横に4本切り込みを入れ、2×3の6マスを作製した。その上からセロテープ(登録商標)(ニチバン製)を貼り付け、接着面に対し90゜に引き上げることで、感光層の接着性を試験した。これを5箇所行い、計30マスのうち、支持体上に残存した感光層のマス数の割合を残存率として評価した。残存したマス数が多いほど残存率は高く、接着性は良好である。結果を表−3に示す。表−3中、厚さ0.5mmのアルミ板を用いた感光体の結果は、実施例1pで示した。以下アルミ板を用いた結果については、「実施例p」「比較例p」と標記する。
[実施例2]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、下記繰り返し構造からなるポリアリレートB(PAR-B)を100質量部とした以外
は、実施例1と同様にして感光体シートSE2、及び接着性試験用感光体PE2を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 0006287219
[実施例3]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR-A)の代
わりに、下記繰り返し構造からなるポリアリレートC(PAR-C)を100質量部とした以外
は、実施例1と同様にして感光体シートSE3、及び接着性試験用感光体PE3を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 0006287219
[実施例4]
実施例3の電荷輸送物質CTM-1の代わりに、電荷輸送物質として特開2009−205
04号公報中の製造例4に示された下記式(CTM-2)で表わされる構造を主成分とする、
幾何異性体の化合物群からなる混合物を50質量部とした以外は、実施例3と同様にして感光体シートSE4、及び接着性試験用感光体PE4を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 0006287219
[実施例5]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂II
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE5、及び接着性試験用感光体PE5を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例6]
実施例4の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂II
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE6、及び接着性試験用感光体PE6を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例7]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE7、及び接着性試験用感光体PE7を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例8]
実施例4の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE8、及び接着性試験用感光体PE8を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例9]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IV
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE9、及び接着性試験用感光体PE9を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例10]
実施例4の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IV
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE10、及び接着性試験用感光体PE10を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[実施例11]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIIとポリアミド樹脂XIIを質量比1/3でブレンドして使用した以外は、実施例1と同様に
して感光体シートSE11、及び接着性試験用感光体PE11を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例1]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Vを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP1、及び接着性試験用感光体PP1を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例2]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP2、及び接着性試験用感光体PP2を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例3]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP3、及び接着性試験用感光体PP3を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例4]
実施例4の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP4、及び接着性試験用感光体PP4を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例5]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VIIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP5、及び接着性試験用感光体PP5
を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例6]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IX
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP6、及び接着性試験用感光体PP6を
作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例7]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Xを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP7、及び接着性試験用感光体PP7を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例8]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP8、及び接着性試験用感光体PP8を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例9]
実施例1の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XIIを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP9、及び接着性試験用感光体PP9を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例10]
実施例2の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP10、及び接着性試験用感光体PP10を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例11]
実施例3の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP11、及び接着性試験用感光体PP11を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
[比較例12]
実施例4の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XI
を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートSP12、及び接着性試験用感光体PP12を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−2及び表−3に示した。
Figure 0006287219
表−2の実施例1s、実施例5s、実施例7s、実施例9sは比較例3sより表面電位(VL
)の絶対値が小さく良好な電気特性を示している。これは、実施例1s、実施例5s、実施例7s、実施例9sに用いられているポリアミド樹脂に含まれるポリアミドブロックが単一のアミノカルボン酸の重合で構成されているためと考えられる。比較例3sに用いられて
いるポリアミド樹脂に含まれるポリアミドブロックはジアミンとジカルボン酸との重合で未反応となったアミノ基末端又はカルボキシシル基末端が電気特性の悪化へ影響を与えていると思われる。比較例8sは、感光体シートが作成可能であり評価が可能であった中で
は著しく電気特性が悪化している。これは比較例8sに用いられているポリアミド樹脂が
カルボキシル基末端を有しているため電気的な偏りが生じたためである。
Figure 0006287219
表−3の結果からわかるように、ポリエーテルブロックを含むポリアミド樹脂を下引き層に用いると、接着性が著しく改善されることがわかる。更にブロック共重合体中のHSとSSがポリエステル結合で結ばれているポリアミド樹脂を下引き層に用いると、より接着性の低い感光層との接着性を改善することが可能である。比較例12pにおいて、ポリ
アリレート樹脂(PAR-C)と電荷輸送物質(CTM-2)を組み合わせた剥がれやすい組成である感光層の場合には、感光層と電荷発生層の接着性が非常に悪く、乾燥直後に感光層が浮き上がっている様子が確認された。一方、実施例4p及び6p、では感光層の接着性が著しく改善されていることがわかる。実施例8pは、残存率は0であるが、電荷輸送層で剥離しており、下引き層と隣接する基体及び電荷発生層との接着が確認でき、比較例4pとは異なる結果であった。また下引き層中におけるポリエーテルブロックの含有量が多い方が、良好な接着性を示すことがわかる。
表−2、及び表−3の結果から本発明の範囲内の感光体は安定的に良好な電気特性を示し、接着性も極めて良好に保たれている。一方、本発明の範囲外の感光体では、電気特性が悪化するケースがあり、これは接着性の悪化に起因するもの、及び下引き層の重合成分の違いによるものである。
[実施例12]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた結着樹脂のポリアリレートA(PAR−A
)の代わりに、下記繰り返し構造からなるポリカーボネートD(PCR−D)を100質量部とした以外は、実施例1と同様にして接着性試験用感光体PE12を作製した。これらの
感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
Figure 0006287219
[実施例13]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IIを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PE13を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
[実施例14]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IVを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PE14を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
[比較例13]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂Vを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PP13を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
[比較例14]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂VIIIを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PP14を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
[比較例15]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂IXを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PP15を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
[比較例16]
実施例12の下引き層用分散液に用いたポリアミド樹脂Iの代わりに、ポリアミド樹脂XIIを用いた以外は、実施例12と同様にして接着性試験用感光体PP16を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−4に示した。
Figure 0006287219
[実施例15]
実施例5の下引き層用分散液の代わりに、実施例5における疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した下引き層用塗布液を用い、下引き層の厚みを0.1μmにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE12、及び接着性試験用感光体PE15を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−5及び表−6に示した。
[実施例16]
実施例7の下引き層用分散液の代わりに、実施例7における疎水性処理酸化チタンを用いずに作成した下引き層用塗布液を用い、下引き層の厚みを0.1μmにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートSE13、及び接着性試験用感光体PE16を作製した。これらの感光体を実施例1と同様に評価し、結果を表−5及び表−6に示した。
Figure 0006287219
Figure 0006287219
<感光体ドラムの製造>
[実施例17]
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ260.5mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1で用いた下引き層形成用塗布液、電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液を、浸漬塗布法により順次塗布し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.5μm、0.4μm、21μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムDE1を得た。
ここで、作製した感光体ドラムを用いて、画像特性試験を行った。
画像特性試験は、ヒューレットパッカード社製カラープリンターHP Color LaserJet 4650dn(クリーニングブレード、カウンター当接方式)を用いて行った。
作製した感光体ドラムとトナーとをシアン色用のプロセスカートリッジに装着し、このカートリッジをプリンターに装着した。温度10℃、湿度15%環境下(LL環境下と称することがある)で、10,000枚の画像形成を行い、ゴースト、かぶり、濃度低下、フィルミング(FLと略することがある)、クリーニング不良(CLと略することがある)、膜減り性の評価を行った。結果を表−7に示す。
[耐膜減り性試験]
初期感光体ドラムの膜厚をFisher Scope膜厚計にて測定し、10,000枚印刷後の膜厚を同じくFisher Scope膜厚計にて測定し、その差を測ることにより、1,000枚あたりの膜減りを求めた。
[その他の評価]
また、クリーニング不良(CL)、フィルミング(FL)、画像品質について、以下の通りランク付けを行った。なお、カブリは目視評価により行った。
「クリーニング不良」項目
◎:まったくクリーニング不良が発生していない。
○:うっすらとクリーニング不良の発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
△:クリーニング不良の発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
×:全面にクリーニング不良が発生しており、実用上問題のあるレベル。
「フィルミング」項目
◎:まったくフィルミングが発生していない。
○:うっすらとフィルミングの発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
△:フィルミングの発生が確認できるが、実用上使用可能なレベル。
×:全面にフィルミングが発生しており、実用上問題のあるレベル。
「画像品質」項目
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどがわずかに観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどが観察されるが、実用上使用可能なレベルである。
×:ゴースト、LL環境下での濃度不良、地肌部の汚れなどが明らかで、実用上問題がある。
[実施例18]
実施例17で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリアリレートC(PAR-C)を使用した。即ち、実施例3で使用した電荷輸送層用塗布
液を用いた以外は、実施例17と同様にして、感光体ドラムDE2を得た。
[比較例17]
実施例17で用いた下引き層形成用塗布液に使用したポリアミド樹脂Iの代わりに、ポ
リアミド樹脂XIIを使用した、即ち、比較例9で使用した下引き層形成用塗布液を用いた
以外は、実施例17と同様にして、感光体ドラムDP1を得た。
[実施例19]
実施例17で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリカーボネートD(PCR−D)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以外は、実施例17と同様にして、感光体ドラムDP2を得た。
Figure 0006287219
Figure 0006287219
表−7の結果から、電荷輸送層にポリアリレート樹脂を用いた場合、ポリカーボネートを使用したときよりも、膜減り性が良好であることがわかる。特に、ポリアリレートCは良好である。またポリアリレート樹脂はクリーニング、フィルミングに関しても、良好であることがわかる。一方、比較例17に示したように、本発明の構成ではないポリアミド樹脂を含有する下引き層を有する感光体DP1は濃度低下による画像品質の悪化が確認され
た。これは、接着性の悪化による、電気特性不良が原因と考えられる。
[実施例20]
実施例17で用いたアルミニウム製シリンダーの代わりに、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ376mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダーを用いた以外は実施例17と同様にして感光体ドラムDE4を作製した。
[実施例21]
実施例20で用いた電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わり
に、ポリカーボネートD(PCR−D)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以外は実施例20と同様にして感光体ドラムDE5を作製した。
[比較例18]
実施例20で用いた下引き層形成用塗布液に使用したポリアミド樹脂Iの代わりに、ポ
リアミド樹脂XIIを使用した、即ち、比較例17で使用した下引き層形成用塗布液を用い
、更に電荷輸送層用塗布液に使用したポリアリレートA(PAR-A)の代わりに、下記繰り返
し構造からなるポリカーボネートE(PCR―E)を使用した電荷輸送層用塗布液を用いた以
外は実施例20と同様にして感光体ドラムDP2を作製した。
Figure 0006287219
ここで作製した感光体ドラムDE4、DE5及びDP2、沖データ社製カラープリンターMIC
ROLINE Pro 9800PS−E用のブラックドラムカートリッジに装着した。次に、特開2007−213050の現像用トナーAの製造方法(乳化重合凝集法)に従って製造した現像用トナー(体積平均粒径7.05μm、Dv/Dn=1.14、平均円形度0.963)をブラックトナーカートリッジに搭載した。これらのドラムカートリッジ、トナーカートリッジを上記プリンターに装着した。
MICROLINE Pro 9800PS−Eの仕様
4連タンデム
カラー36ppm、モノクロ40ppm
1200dpi
接触ローラ帯電(直流電圧印加)
LED露光
除電光あり
温度25℃、湿度50%の条件下、約5%の印字面積を有するテキスト文書を30,
000枚の画像形成を行った。その時の画像特性試験の結果を表−8示す。
Figure 0006287219
表−8示したように、本発明の構成である、実施例20の電子写真感光体DE4は、30
,000枚印刷後も、良好な画像特性を示した。しかし、比較例18の感光体ドラムDP2
ドラムの端部に小さな膜剥がれが発生し、それが原因で画像の端部に汚れが見られ、実使用上問題のある結果となった。
表−2〜表−8結果から、本発明の構成を採用することにより良好な接着性を示し、同時に良好な電気特性をも安定的に示すことがわかる。また、これらの感光体は、画像特性も良好な結果を示した。

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に少なくとも下引き層及び感光層を前記導電性支持体側から順に積層し
    て成る電子写真感光体であって、
    前記下引き層がポリアミド樹脂を含有し、該ポリアミド樹脂が重合成分として、直鎖状
    及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいずれか一方、ラクタム成分及びアミノカ
    ルボン酸成分の少なくともいずれか一方ポリエーテル成分、並びにエステル結合を有す
    る、電子写真感光体。
  2. 前記ポリアミド樹脂が、前記直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいず
    れか一方、並びに前記ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分の少なくともいずれか一方
    を含むポリアミドブロックと、前記ポリエーテル成分を含むポリエーテルブロックとのブ
    ロック共重合ポリアミド樹脂である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ブロック共重合ポリアミド樹脂が、下記一般式[1]で表される、請求項に記載
    の電子写真感光体。
    −[HS−SS]n− ・・・[1]
    (式[1]中、HSはハードセグメントを表し、ラクタム成分及びアミノカルボン酸成分
    の少なくともいずれか一方と、直鎖状及び分岐鎖状のジカルボン酸成分の少なくともいず
    れか一方とを含むポリアミドブロックを少なくとも一種含むポリマー単位である。SSは
    ソフトセグメントを表し、少なくとも一種のポリエーテル成分を含むポリエーテルブロッ
    クを含むポリマー単位である。)
  4. 前記一般式[1]で表されるブロック共重合ポリアミド樹脂中のHSとSSがエステル
    結合で結ばれている、請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記ポリエーテルブロックがポリテトラメチレンエーテルグリコール又はポリプロピレ
    ンエーテルグリコールを含む、請求項のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記下引き層における前記ポリエーテルブロック含有量が4質量%以上である、請求項
    のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記ポリアミドブロックが単一構造のラクタム及びアミノカルボン酸の少なくともいず
    れか一方を重合して得られる、請求項のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電さ
    せる帯電部、帯電した前記電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、前記電
    子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部及び前記電子写真感光体上をクリ
    ーニングするクリーニング部からなる群のうち少なくとも一つの部分とを備える、電子写
    真感光体カートリッジ。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させ
    る帯電部、帯電した前記電子写真感光体を露光させ静電潜像を形成する露光部、前記電子
    写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像部及び前記電子写真感光体上をクリー
    ニングするクリーニング部を備える、画像形成装置。
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