JP2014002317A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】感光層とシート状導電性支持体の機械的密着性が良好で、電気特性が良好なシート形状を有する電子写真感光体を提供する。
【解決手段】シート状の導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。

【選択図】なし

Description

本発明は、軽印刷機や複写機、プリンター等に用いられるシート状電子写真感光体に関する。詳しくは、耐摩耗性に極めて優れ、且つ、密着性及び電気特性の良好なシート状電子写真感光体、及びそれを搭載した画像形成装置に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、軽印刷機、複写機、各種プリンターなどの分野で広く使われている。
電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層および電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、および電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
そして、その中でも、性状がフレキシブルで装置内に配置する際の自由度が大きい等の理由からシート状感光体を端部で接合したエンドレスベルト状の感光体が好んで使用され、また、広い面積の感光体を容易に作製でき、安価で取り替えが容易である等の理由からシート状の感光体をドラムに巻き付けた形の感光体が好んで使用される(例えば特許文献1及び2参照)。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては例えば帯電器として用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光や除電光で生成したキャリアが感光層内を流れることや外部からの光によって感光層組成物が分解したりなど、化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、転写部材や紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。また、特にエンドレスベルト状感光体に於いては、ベルトユニットを構成するローラー周囲を繰り返し通過する際に発生する屈曲および張力のため、感光体表面にクラックを発生することもある。特にこのような感光層表面に生じる損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
また、シート状感光体はその柔軟性故に、導電性支持体と感光層の密着性を確保することが難しく、感光層の剥がれが懸念される問題があった。
表面保護層などの機能層を持たない一般的な感光体の場合、このような負荷を受けるのは感光層である。感光層は、通常バインダー樹脂と光導電性物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。
感光層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性
樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている。
特に近年、耐摩耗性に優れたポリカーボネート樹脂が開発されている(例えば特許文献3及び特許文献4)。
実開平6−16966号公報 特開2000−10315号公報 特開2011−26574号公報 特開2011−26575号公報
さて、従来のシート状感光体は、シート面内に未塗布領域を有する場合などに、その境界線から剥離してしまうという問題があり、導電性支持体と感光層の密着性を維持するために使用できるバインダー樹脂に制限があるのが実情であり、そのため、十分に良好な耐摩耗性を確保することが困難であった。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものである。
即ち、本発明の目的は、感光層とシート状導電性支持体の機械的密着性が良好で、電気特性も良好で、さらに耐摩耗性が良好なシート状電子写真感光体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、感光層に極めて限定的な特定の構造を有する共重合ポリカーボネート樹脂を含有させることにより、シート状導電性支持体との機械的密着性を損なうことなく、良好な電気特性及び極めて良好な耐摩耗性を示すことを見いだし、本発明の完成に至った。
すなわち本発明の要旨は、シート状の導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の要旨は、該ポリカーボネート樹脂の成分が、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体に存する。
n/(m+n)=0.35〜0.45
本発明の別の要旨は、シート面内に感光層未塗布領域を有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
本発明の別の要旨は、シート面内に、絶縁部分を有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
さらには、本発明の要旨は、上述した電子写真感光体を搭載する画像形成装置に存する。
本発明によれば、シート状導電性支持体との機械的密着性を損なうことなく、良好な電気特性及び極めて良好な耐摩耗性を示すシート状電子写真感光体を得ることができる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一例を示す概念図である。 本発明の実施例で用いられるオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図である。 本発明の実施例で用いられる感光体シートの概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の電子写真感光体は、シート状の導電性支持体を有し、その感光層は本発明の特定繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂を含有し、該樹脂は感光体の導電性支持体上に設けられる感光層のバインダー樹脂として用いられる。
本発明の感光層の具体的な構成としては、導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を主成分とした電荷輸送層を積層した積層型感光体、導電性支持体上に、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。本発明における、特定繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂は、単層型感光体ではその感光層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
<導電性支持体>
シート状の導電性支持体とは、導電性支持体として単体で平面を保つことができるものを示す。本発明の導電性支持体としては、樹脂や紙、その中でも二軸延伸フィルムに金属層を積層したものが好ましく、二軸延伸フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等の線状ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、機械的強度、寸法安定性等の点から線状ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタラートが好ましい。なお、フィルムの厚みは通常30〜150μmであり、好ましくは50〜120μm、更に好ましくは70〜100μmである。
また、導電性支持体を構成する金属蒸着層の金属としては、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ITO(インジウム−スズ酸化物)等が挙げられるが、中でもアルミニウムが好ましい。なお、金属蒸着層の厚みは、通常、40〜100nm程度であり、前記樹脂フィルムへの蒸着は、前記金属を電熱加熱溶融蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の公知の蒸着法でなされる。
また、金属層としては、アルミニウム箔、ニッケル箔等の金属箔や、これら金属を積層したラミネートフィルムを用いることができる。この場合の金属箔は、5μm以下が好ましい。また、金属箔の上にさらに適当な抵抗値を持つ導電性材料を積層することもできる。
支持体表面は、平滑であっても良いし、樹脂製膜時に粒径の大きな粒子を混合すること等によって、粗面化されていても良い。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明の電子写真感光体の感光層は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有する。
n/(m+n)は、0.25〜0.47である。n/(m+n)は、耐摩耗性確保の観点から、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.35以上である。また上限は、製造安定性の観点から、好ましくは0.46以下、更に好ましくは0.45以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、特許文献3及び特許文献4に記載の方法に従って、製造することができる。
一般式(1)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂において、粘度平均分子量は、感光層を塗布形成するのに適するよう、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が10,000未満であると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、300,000以上であると、感光層を適当な膜厚に塗布形成する事が困難である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、他の樹脂と混合して、電子写真感光体に用いることも可能である。ここで併用される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
まず、ポリエステル樹脂について説明する。一般に、ポリエステル樹脂は、原料モノマーとして、多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2 − ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2 − ビス(
4 −ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールA のアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA 、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2
〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、芳香族ビスフェノール等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
これらのポリエステル樹脂のうち、好ましいのは下記式(A)で示される構造単位を有
する、全芳香族系のポリエステル樹脂(ポリアリレート樹脂)である。
(式(A)中、Ar〜Arはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す。vは0以上2以下の整数を表す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基を表す)。
上記式(A)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アリーレン基が有する炭素数としては、通常6以上、好ましくは7以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。炭素数が多すぎる場合、製造コストが高くなり、電気特性も悪化する恐れがある。
Ar〜Arの具体例としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基等が挙げられる。中でも、アリーレン基としては、電気特性の観点から、1,4−フェニレン基が好ましい。アリーレン基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、Ar〜Arの置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
より詳しくは、Ar及びArは、それぞれ独立に置換基の数は0以上2以下が好ましく、接着性の観点から置換基を有することがより好ましく、中でも、耐磨耗性の観点から置換基の数は1個であることが特に好ましい。また、置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
一方、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基の数は0以上2以下が好ましく、耐磨耗性の観点から置換基を有さないことがより好ましい。
また、上記式(A)において、Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基である。アルキレン基としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンが好ましく、より好ましくは、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、シクロヘキシレンであり、特に好ましくは−CH−、−CH(CH)−である。
また、上記式(A)において、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、またはアルキレン基であって、中でも、Xは、酸素原子であることが好ましい。その際、vは0か1であることが好ましく、1であることが特に好ましい。
vが1の場合に好ましいジカルボン酸残基の具体的としては、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカルボン酸
残基、ジフェニルエーテル−3,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基等が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル
−2,4'−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基がより好ましく、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
vが0の場合のジカルボン酸残基の具体例としては、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボ
ン酸残基、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸残基が挙げられ、好ましくは、フタル酸
残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸残基、ビ
フェニル−4,4'−ジカルボン酸残基であり、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テ
レフタル酸残基であり、これらのジカルボン酸残基を複数組み合わせて用いることも可能である。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂混合して用いてもよい。
次に、ポリカーボネート樹脂について説明する。一般に、ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンとを溶液中で反応させる、界面法(界面重縮合法)や溶液法のような溶剤法で製造されたものや、ビスフェノールと炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が、安価な製法として広く用いられている。ビスフェノール類としては、下記の化合物が好適に用いられる。なお、ポリカーボネート樹脂としては、一種のビスフェノール類からなるホモポリマーだけでなく、二種以上のビスフェノール類を共重合させて製造されるコポリマーも用いられる。
上記のうち、好ましいのは下記式(B)で示される構造単位を有するポリカーボネートである。
( 一般式(B)中、置換基R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜1
0のアルキル基を表し、置換基は結合して環を形成しても良い。置換基R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、j及びkは0〜4を
表す。W は、単結合、酸素原子、-CR-を表し、置換基R及びRは、それぞ
れ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基を表す。但し、tとuのユニットは異なる構造をとる。)
アルキル基の炭素数としては、通常6以下であり、4以下が好ましく、3以下が特に好ましい。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、tertブチル基、イソブチル基等の分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等の環状アルキル基が挙げられるが、この中でも合成の観点から、メチル基が特に好ましい。また、置換基が相互に結合して環を形成していても良い。
アリール基の炭素数としては、通常30以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、ピレニル基等が挙げられ、合成の観点からフェニル基又はナフチル基が好ましく、耐クラック性の観点からはナフチル基が特に好ましく、製造の容易さの観点からはフェニル基が特に好ましい。
前記バインダー樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を用いてもよい。
混合して用いても良いバインダー樹脂の粘度平均分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、また、その上限は、好ましくは150,000以下、より好ましくは120,000以下、更に好ましくは100,00以下であることが望ましい。粘度平均分子量の値が小さすぎる場合、感光体の機械的強度が不足する可能性があり、大き過ぎる場合、感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下する可能性がある。
併用する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、同一層中の樹脂全体に対して通常、50質量部以下、好ましくは30質量部位以下、更に好ましくは20質量部以下であり、本発明の効果を十分に得るためには、他の樹脂を併用しないことが特に好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましくは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10質量%から500質量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
<電荷発生層>
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生材料としては例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。これらの微粒子をたとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100質量部に対して30から500質量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit. Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである
。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。また、オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5質量%以下であることが好ましい。該塩素含有量は元素分析から求めることができる。該オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式[L]で表される塩素化オキシチタニウムフタロシアニン
の割合が、下記式[M]で表される無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マス
スペクトル強度比で、0.070以下であるものである。また、好ましくはマススペクトル強度比が0.060以下であり、より好ましくは0.055以下である。製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、0.02以上が好ましく、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、0.03以下が好ましい。塩素置換量は、特開2001−115054号公報の手法に基づいて測定する。
ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
<電荷輸送層>
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙
げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。
前記電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
この中でも、電気特性及び塗布性の観点から、CT-1、CT-2、CT-7、CT-13、ET-1、ET−2、ET−3が好ましい。これらの電荷輸送材料を組み合わせても良く、CTとETとの組み合わ
せが好ましい。これらの電荷輸送材料が、本発明に係るポリカーボネート樹脂を含むバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100質量部に対して30〜200質量部、好ましくは40〜150質量部の範囲で使用される。本発明に係るポリカーボネート樹脂を用いる効果は、特に電荷輸送物質の割合が少ない場合に顕著となり、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質が、好ましくは65質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは45質量部以下で使用される。
また膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよいが、本発明に係るポリカーボネート樹脂を使う効果は、特に20μm以下の場合に顕著となる。
なお、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
<分散型(単層型)感光層>
分散型感光層の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50質量%の範囲で、より好ましくは1〜20質量%の範囲で使用される。
感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用されるが、この場合も、17μm以上の場合に顕著な効果が得られる。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けたりしても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
<感光層膜厚の測定方法>
感光層の膜厚は、以下の方法で測定することができる。
公知の方法で塗布された感光体シートに於いて、塗布の開始部分やあるいは塗布の端部を用いて、まず、支持体の厚みを計測する。つまり、感光層を溶解することのできる溶剤(一般には塗布に際し用いた溶剤)を用いて、感光層を剥離する。このとき、もし下引き層がある場合は、下引き層を溶解しない溶剤であることが必要である。単層型感光体の場合は感光層がそのまま剥離され、電荷発生層と電荷輸送層が積層された二層型感光体の場合は二層ともが剥離される。この剥離された部分は、導電性支持体(下引き層を有する場合は下引き層を含む)の厚みとして検知できる。
一方、感光層の塗布された部分については、塗布幅方向、塗布進行方向含め、任意の10点に於いて、シート全体の厚みを計測し、平均値を算出する。このシート全体厚みから、事前に調べた支持体(+下引き層)の厚みをマイナスすることにより、感光層の厚みを知ることができる。
すなわち、単層型感光体の場合は感光層そのものの厚み、積層型感光体の場合は二層分の厚みを以て感光層の厚みと定義される。
なお、測定は、例えばデジタル電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製K351C
型)により直径2mmの測定子を用いて測定することができるが、この他のいかなる公知の膜厚測定法を用いてもよい。
<電子写真感光体の製造方法>
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は特に限定されないが、通常、これらの感光体を構成する各層は、シート状電子写真感光体の感光層形成方法として公知な、ダイコート法、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法等により支持体上に塗布して形成される。
各層の形成方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
塗布後の感光体は、塗布膜の溶剤が実質的に蒸発除去されるまで乾燥工程に付される。乾燥方法としては、従前公知で行なわれている方法を適用することができ、例えば加熱ローラー、熱風乾燥機、上記乾燥機、赤外線乾燥機及び/又は遠赤外線乾燥機等によって行なわれ、乾燥温度は、通常60〜140℃の範囲で実施される。
このようにして得られたシート状感光体は、必要に応じ適切な大きさに切断される工程を経て、例えば、その両端部を超音波融着等公知の方法によって接合してエンドレスベルトとして使用される他、そのままドラムに巻き付けて使用される。ドラムに巻き付ける場合、細巻きにしたロールをドラム内部に保持して巻き出す形を取ることもあれば、1枚のシートを巻き付けることもある。
いずれの形状の場合も、接地のために導電層を設けることがあるが、本発明に於いては、感光体シート面内に導電層の代わりに剥き出しの感光層の未塗布領域を有することが好ましい。この未塗布領域は、通常、シート面内の端部に形成される。
感光層の未塗布領域は、塗布工程の後で剥離によって作製されるのが一般的であったが、近年は、塗布幅を制限して塗布する技術も発達している。こうして作製された未塗布領域の導電性支持体(例えばPETフィルム上に蒸着されたアルミニウム層)によって導通が確保される。作製位置は、特に限定されないが、通常シートの端部に作製され、長軸方向の端部に作製されることが好ましく、長軸方向のいずれか一方の端部に作製されることが特に好ましい。また、図3における未塗布領域に示すように、シートの長軸方向の長さを長辺とする長方形とすることが好ましい。未塗布領域の面積は、十分に導通を確保する観点からシート全体の面積に対して通常0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることが更に好ましい。また、感光層領域を有効に確保する観点からシート全体の面積に対して通常10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
また、導通を確保するための未塗布領域とは別の場所に、導電性を排除した支持体部分を作製することもできる。その場合、例えばアルミニウム層を水酸化ナトリウム溶液で剥離したり、あるいは蒸着の際にマスキングによって未蒸着部分を作製することで、絶縁部を得ることができる。こうして作製された絶縁領域によって、静電気の力で感光体シートをドラム基体に巻き付けるのが容易となる。作製位置は、特に限定されないが、通常シートの端部に作製され、長軸方向の端部に作製されることが好ましく、長軸方向のいずれか一方の端部に作製されることが特に好ましい。また、図3における絶縁領域に示すように、シートの長軸方向の長さを長辺とする長方形とすることが好ましい。絶縁領域の面積は、十分に静電気による密着性を確保する観点からシート全体の面積に対して通常1%以上、2%以上であることが更に好ましい。また、感光層領域を有効に確保する観点からシート全体の面積に対して通常10%以下、5%以下であることが更に好ましい。
<画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置(図示せず)が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、シート状導電性支持体の表面に上述した感光層を形成し、超音波融着によってエンドレスベルト状とした感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてコロナ放電型の帯電装置(コロトロン)を示しているが、他にもスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ローラや帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジと言う)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。また、電子写真感光体1と帯電装置2が、もっと大掛かりな軽印刷装置の中に組み込まれる場合もある。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmや830nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光、あるいは適切なフィルターを通した白色光などで露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。
トナーの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができるだけでなく、軽印刷機では液体トナーを使用することもできる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。液体トナーは径を1〜3μmとすることができ、さらに高精細な画像出力に適している。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
記録紙P上に転写されたトナーは、定着器を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラー4に担持された帯電トナーが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラー方式の構成としてもよい。特に、エンドレスベルト状感光体は、各色のカラー画像を繰り返し現像する4サイクル方式のフルカラー印刷に適している。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」を示す。
ここで、バインダー樹脂の粘度平均分子量の測定について説明する。
樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、2
0.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
<感光体シートの製造>
実施例1
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイアバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作成した。こうして得られた160質量
部の顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部と適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
この分散液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイアバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、以下に示すヒドラゾン化合物の電荷輸送物質35質量部、特許文献1及び2に記載された方法で製造された、(1−1)の繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂100質量部(粘度平均分子量50,000)、酸化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン4質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70質量%、トルエン30質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
この液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が19μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成し、感光体シートAを作製した。
この感光体シートAを、100mm×251mmのサイズに断裁して電気特性測定に用いた。また、もう1枚同一のものを作成し直径100mmの円上に切断し、摩耗試験に使用した。さらに同一のものをもう1枚作成し、端部をアセトン及びエタノールで剥離することによって未塗布領域100mm×100mmのあるサンプルを得、密着強度試験に使用した。
実施例2
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(1−2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートBを作製した。
比較例1
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートCを作製した。
比較例2
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートDを作製した。
比較例3
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(4)からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートEを作製した。
参考例1
実施例1で得られた下引き層形成用塗布液を、陽極酸化されていないアルミニウムシリンダー(外径80mm、長さ350mm、厚さ1mm)上に、シリンダー下端から320mm位置まで浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1.2μmとなるように下引き層を設けた。
次に、実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニンの顔料分散液に、下引き層を設けた前記アルミニウムシリンダーを下端から320mm位置まで浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
さらに、実施例1で得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるようにシリンダー下端から320mm位置まで浸漬塗布し、積層型感光層を有する感光体ドラムFを得た。
同一のドラムを2本作成し、1本は電気特性試験に、もう1本は密着性試験に用いた。
参考例2
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(1−2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムGを作製した。
参考例3
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムHを作製した。
参考例4
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートIを作製した。
参考例5
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(4)からなるポリアリレート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートJを作製した。
製造した感光体シートA,B,C,D,Eについて以下の電気特性試験と摩耗試験、密着性試験を行ない、感光体ドラムF,G,H,I,Jについては以下の電気特性試験と密着性試験を行なった。これらの結果を表1にまとめた。
<電気特性試験>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、日本画像学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートA〜Eを直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム支持体との導通を取った上で、また、感光体ドラムF〜Jはそのまま用い、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が−900Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.2μJ/cm2で露光したときの180ms後の表面電位
(以下、VLと呼ぶことがある)を測定した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
<摩耗試験>
直径10cmの円状に切断した感光体シートをテーバー摩耗試験機(Taber社製)により、摩耗評価を行なった。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10F(TypeIII)を用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩
耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。
<密着性試験>
セロハンテープ(ニチバン製)を100mm長に切り出し、未塗布領域のある感光体シートまたは感光体ドラムに於いて、感光層部分に50mm、未塗布部分に30mmを貼り付け、残りの20mm(未塗布部分に貼り付けた方に続いている)を持って斜め45゜上方に引き上げることで、感光層の密着性を試験した。
○:感光層端部からの剥離がまったく見られなかった
×:感光層端部からの剥離が見られ、感光層が除去された
この結果から、摩耗特性に優れたポリアリレート樹脂(4)と同等の摩耗特性を維持し、かつ、電気特性と密着性を確保できるポリカーボネート樹脂が本発明で見出されたことがわかる。
参考例からわかるように、ドラム状の感光体では、ポリアリレート樹脂(4)を使用することに比して本発明の樹脂の利点は少ないが、本発明のシート形状で使用する場合に限り効果がある。
実施例5
幅が650mmであり、膜中にシリカ粒子を含有させることで表面が粗面化(Ra=0.1μm)された厚み75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタラートフィルムの表面に、片側65mmの未蒸着部分(絶縁部分)を作りながら70nmの厚さでアルミニウム蒸着膜を設け、巻き取り、長さ3000mのロールとした。
次に、平均一次粒子径13nmの酸化アルミニウム粒子(日本アエロジル社製 Aluminum Oxide C)を、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中で超音波により分散させることにより、酸化アルミニウムの分散スラリーとなし、該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール(質量比7/3)の混合溶媒、及び、実施例1で用いた共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、酸化アルミニウム/共重合ポリアミドを質量比1/1で含有する固形分濃度8.0%の分散液とした。
この下引き層用塗布液を、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタラートフィルムのロールを巻き出しながら、リバースコート法を用い、その上に乾燥後の膜厚が1.2μmとなるように塗布し、下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜
、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10質量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを150質量部混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を製造した。この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5質量% 1,2−ジメトキシエタン溶液50質量部、およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液50質量部を混合し、更に適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
このようにして得られた電荷発生層用塗布液を、上述の下引き層を形成したアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタラートフィルムのロールを巻き出しながら、リバースコート法を用い、その上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、電荷発生層を設けた。
次に、特開2002−80432中に示された以下構造を主成分とする異性体からなる電荷輸送物質45質量部、繰り返し単位(1−1)からなる本発明に係るポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)100質量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名Irganox1076)8質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70質量%、トルエン30質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
このようにして得られた電荷輸送層用塗布液を、上述の下引き層及び電荷発生層を形成したアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタラートフィルムのロールを巻き出しながら、ダイコート法を用い、その上に乾燥後の膜厚が18μmとなるように塗布し、電荷輸送層を設けた。
このようにして得られた感光層の塗布されたロール状シートを、連続式の断裁機を用いて353mm×584mmのサイズに切り出し、感光体シートを得た。さらにこのシートの両端から、アセトン及びエタノールを用いて、感光層をそれぞれ25mmの幅で剥離した(片側はアルミ未蒸着部分を含む)。このようにして、電子写真感光体Kを得た。
製造した感光体シートKについて以下の実機試験を行なった。
<実機試験>
市販の軽印刷機ヒューレットパッカード社製TurboStreamに感光体シートKを装着し、画像評価を行なった。装着に於いては、機内のアルミニウムドラムに感光体シートを巻き付け、両端の未塗布領域を重ね合わせてドラム上に感光体シートKを保持した
この感光体Kを用いて、5000枚の連続印刷を行なったが、5000枚印字後も良好な画像を得た。さらに、機内で感光層が端部から剥がれる等のトラブルもなく、実使用上も問題なかった。
以上から、本発明に係るポリカーボネート樹脂を用いた場合に限り、電気特性、寿命(耐摩耗性)、実使用性(密着性)のいずれにも優れる感光体を初めて得ることができることがわかる。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
P 記録紙

Claims (5)

  1. シート状の導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 該ポリカーボネート樹脂の成分が、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    n/(m+n)=0.35〜0.45
  3. シート面内に感光層未塗布領域を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. シート面内に、絶縁部分を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を搭載した画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015169831A (ja) * 2014-03-07 2015-09-28 三菱化学株式会社 シート状電子写真感光体、及びシート状電子写真感光体の製造方法
JP2017156518A (ja) * 2016-03-01 2017-09-07 三菱ケミカル株式会社 シート状電子写真感光体

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