JP5884646B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層および電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、および電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
これらの問題を解決するために、感光層の側から密着強度を上げる検討はこれまでも実施されてきたが(例えば特許文献3参照)、基体側からの密着性改良は、金属層の蒸着前に追加の工程を必要とするものが多く(例えば特許文献4及び5参照)、工数の多さとコストの面から推進されてこなかった。
はなかった。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものである。
即ち、本発明の目的は、感光層とシート状導電性支持体の機械的密着性が良好で、電気特性が良好なシート形状を有する電子写真感光体を提供することにある。
を制限することで、感光層を形成する材料に依存せず、感光層と支持体の密着性を改良できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明の要旨は、シート状のポリエステルフィルム上に金属蒸着層と感光層をこの順に有する電子写真感光体において、該ポリエステルフィルムは平均粒子径が異なる2種類以上の無定形シリカ粒子を含有し、該ポリエステルフィルムのヘーズ値が45〜70%であることを特徴とした、シート形状を有する電子写真感光体に存する。その中でも好ましくは、該ポリエステルフィルムのヘーズ値が48〜68%であることを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の要旨は、感光層の膜厚が25μm以下であることを特徴とする上述の電子写真感光体に存する。
さらには、本発明の要旨は、上述した電子写真感光体を搭載する画像形成装置に存する。
本発明の電子写真感光体の具体的な構成としては、基体としてポリエステルフィルムを有し、ポリエステルフィルム上にアルミニウム等を蒸着することで導電性基体とし、その上に、必要に応じて下引き層を介し、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を主成分とした電荷輸送層を積層した積層型感光体が一般的である。または、導電性基体上に、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等も挙げられる。また、これらの電子写真感光体は、シート形状を有する。
電子写真感光体の形状は、一般に、ドラム形状、ベルト形状、シート形状があり、本願発明の電子写真感光体は、シート形状を有する。シート形状とは、感光体部品として単体で平面を保つことができる形状を示す。シート形状を有する感光体は、これをさらにドラムに巻き付けて感光体とすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは具体的には、その表面にアルミニウム、チタン等の金属もしくはそれらの合金を真空蒸着法によって被覆形成させた上で、感光体シート用基材として使用される。本発明のポリエステルフィルムは、感光層との密着性を確保するために、JISK6714に準じたポリエステルフィルムのヘーズ値(曇価、濁度)を45〜70%、好ましくは48〜68%とすることが必要である。
上記のように、ヘーズ値又は空気漏れ指数が規定の範囲となるように均一粗面化されたフィルム表面には、通常アルミニウムの真空蒸着加工を経た後、感光層が形成される(後述)。
としては、単独重合体または共重合体のほかに、他の樹脂との小割合のブレンドも使用することができる。
なる不活性粒子、架橋ポリマー等の不活性粒子、あるいは、ポリエステル合成時に使用する金属化合物触媒、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等によってポリエステル製造時にポリマー内部に形成される粒子等を挙げることができる。
本発明においては、不活性添加粒子として、平均粒子径の異なる2種以上の無定形シリカ粒子を含有することが必要である。ここで添加する無定形シリカ粒子の平均粒子径は、通常1〜10μmの範囲であり、好ましくは2〜7μmの範囲である。
まず、ポリエステルフィルムを構成する原料を押出機へ供給し、溶融混練後、押し出す。積層フィルムの場合は、異なる押出機から供給された原料の溶融ポリマーをTダイ内でスリット状に積層してから押し出す。次に、ダイから押し出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面均一性、冷却効果を向上させるためには、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法が好ましく採用される。次いで、得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。まず、通常70〜150℃、好ましくは75〜130℃の延伸温度、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の延伸倍率の条件下、前記未延伸シートを一方向(縦方向)に延伸する。かかる延伸にはロールおよびテンター方式の延伸機を使用することができる。次いで、通常75〜150℃、好ましくは80〜140℃の延伸温度で、通常2.0〜6.0倍、好ましくは2.5〜5.0倍の延伸倍率の条件下、一段目と直交する
方向(横方向)に延伸を行い、二軸配向フィルムを得る。かかる延伸には、テンター方式の延伸機を使用することができる。
こうして製造されたポリエステルフィルムの厚みは通常30〜150μmであり、好ましくは50〜120μm、更に好ましくは70〜100μmである。
このポリエステルフィルム上に形成されることにより導電性支持体を構成する金属蒸着層の金属としては、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ITO(インジウム−スズ酸化物)等が挙げられるが、中でもアルミニウムが好ましい。なお、金属蒸着層の厚みは、通常、40〜100nm程度であり、前記樹脂フィルムへの蒸着は、前記金属を電熱加熱溶融蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法等の公知の蒸着法でなされる。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10質量%から500質量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷
発生材料としては例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。これらの微粒子をたとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100質量部に対して30から500質量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
る。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
ポリアリレート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。これらの樹脂は単独でも、複数を混合して用いてもよい。
また膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよいが、本発明の効果は10〜25μmに於いて特に顕著となる。なお電荷輸送層には、成膜性、可とう性、塗布性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの添加物を含有させてもよい。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
分散型感光層の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物
質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50質量%の範囲で、より好ましくは1〜20質量%の範囲で使用される。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
感光層の膜厚は、以下の方法で測定することができる。
公知の方法で塗布された感光体シートに於いて、塗布の開始部分やあるいは塗布の端部を用いて、まず、支持体の厚みを計測する。つまり、感光層を溶解することのできる溶剤(一般には塗布に際し用いた溶剤)を用いて、感光層を剥離する。このとき、もし下引き層がある場合は、下引き層を溶解しない溶剤であることが必要である。単層型感光体の場合は感光層がそのまま剥離され、電荷発生層と電荷輸送層が積層された二層型感光体の場合は二層ともが剥離される。この剥離された部分は、導電性支持体(下引き層を有する場合は下引き層を含む)の厚みとして検知できる。
すなわち、単層型感光体の場合は感光層そのものの厚み、積層型感光体の場合は二層分の厚みを以て感光層の厚みと定義される。
なお、測定は、例えばデジタル電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製K351C
型)により直径2mmの測定子を用いて測定することができるが、この他のいかなる公知の膜厚測定法を用いてもよい。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の製造方法は特に限定されないが、通常、これらの感光体を構成する各層は、シート形状を有する電子写真感光体の感光層形成方法として公知な、ダイコート法、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法等により支持体上に塗布して形成される。
塗布後の感光体は、塗布膜の溶剤が実質的に蒸発除去されるまで乾燥工程に付される。乾燥方法としては、従前公知で行なわれている方法を適用することができ、例えば加熱ローラー、熱風乾燥機、上記乾燥機、赤外線乾燥機及び/又は遠赤外線乾燥機等によって行
なわれ、乾燥温度は、通常60〜140℃の範囲で実施される。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、簡単に説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
なお、本発明の電子写真感光体を用いる画像形成装置では、電子写真感光体1と帯電装置2が、大掛かりな軽印刷装置の中に組み込まれることが多い。
トナーの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができるだけでなく、軽印刷機では液体トナーを使用することもできる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。液体トナーは径を1〜3μmとすることができ、さらに高精細な画像出力に適している。
どの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、中間転写ドラムを使用した形を示す。この転写装置5は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
記録紙P上に転写されたトナーは、定着器を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
現像ローラー4に担持された帯電トナーが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラー方式の構成としてもよい。
なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
<ポリエステルフィルムに用いるフィラー(微粒子)の平均粒子径(d50:μm)>
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測
定した等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を平均粒径とした。
東洋精機製、デジベック平滑度試験機を用いて、JIS8119:1998に従って測定した。まず、フィルムを試料台の中心にくるようにセットし、フィルムの上にゴム製押え板および加圧板を置き、加圧装置によって100kPaの圧力をかけた。容積380mlの大真空容器を選択し、容器内の圧力を50.7kPaより低くした後、10mlの空気が流れる時間、すなわち、容器内の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化するまでの時間を秒単位で測定した。
日本電色工業製VG‐2000型光沢度計を用いて、60度鏡面光沢度(60°)をJISZ8741に準じて測定した。すなわち、入射角、反射角60度における黒色標準板の反射率を基準に試料の反射率を求め光沢度とした。
<フィルムヘーズ>
日本電色工業製NDH‐2000型濁度計を用いて、JISK6714に準じ、日本電色工業社製によりフィルムの濁度を測定した。
以降、実施例の具体的説明を行う。
製造例1
ベント付き二軸押出機を使用し、平均粒子径4.1μmの無定形シリカ粒子(A)を3000ppmと、平均粒子径3.2μmの無定形シリカ粒子(B)を4000ppm含有するポリエチレンテレフタレートを280℃〜300℃の温度で溶融押し出しし、静電密着法を併用しながら冷却ドラム上にキャストして、無定形フィルムを得た。このフィルムを82℃で縦方向に3.3倍延伸し、さらに120℃で横方向に3.9倍延伸し、230℃で熱処理して、厚さ75μmのポリエステルフィルムを得た。
製造例1において、シリカ粒子(A)を3000ppmと、シリカ粒子(B)を5000ppm含有するポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
製造例3
製造例1において、シリカ粒子(A)を3000ppmと、シリカ粒子(B)を3000ppm含有するポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
製造例1において、シリカ粒子(A)を3000ppmと、シリカ粒子(B)を1000ppm含有するポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較製造例1
製造例1において、シリカ粒子(A)を3000ppmを含有し、シリカ粒子(B)を含有しないポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
製造例1において、シリカ粒子(B)を4000ppmを含有し、シリカ粒子(A)を含有しないポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較製造例3
製造例1において、シリカ粒子(A)を10000ppm含有し、シリカ粒子(B)を含有しないポリエチレンテレフタレートを使用する以外は同様にして、厚さ75μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例1
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10質量部を1,2−ジメトキシエタン150質量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作成した。こうして得られた160質量部の顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100質量部と適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
で塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、以下に示すヒドラゾン化合物の電荷輸送物質40質量部、繰り返し単位(1)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)100質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70質量%、トルエン30質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
この感光体シートA1を、100mm×251mmのサイズに断裁して電気特性測定に用い、また、10mm×200mmのサイズに断裁して引っ張り試験機用のサンプルとした。
実施例1のポリエステルフィルムを、製造例2で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートB1を作製した。
実施例3
実施例1のポリエステルフィルムを、製造例3で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートC1を作製した。
実施例1のポリエステルフィルムを、製造例4で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートD1を作製した。
比較例1
実施例1のポリエステルフィルムを、比較製造例1で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートE1を作製した。
実施例1のポリエステルフィルムを、比較製造例2で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例1と同様にして感光体シートF1を作製した。
比較例3
実施例1のポリエステルフィルムを、比較製造例3で製造されたポリエステルフィルム
にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートG1を作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートA2を作製した。
実施例5のポリエステルフィルムを、製造例2で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートB2を作製した。
実施例7
実施例5のポリエステルフィルムを、製造例3で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートC2を作製した。
実施例5のポリエステルフィルムを、製造例4で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートD2を作製した。
比較例4
実施例5のポリエステルフィルムを、比較製造例1で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートE2を作製した。
実施例5のポリエステルフィルムを、比較製造例2で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートF2を作製した。
比較例6
実施例5のポリエステルフィルムを、比較製造例3で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例5と同様にして感光体シートG2を作製した。
上記のように作製した感光体シートA1,B1,C1,D1,E1,F1,G1,A2,B2,C2,D2,E2,F2及びG2について、以下の電気特性試験と引っ張り試験を行なった。フィルムの物性値と結果を表−1にまとめた。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、日本画像学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートA1〜G2を直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム支持体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの180ms後の表面電位(以下、VLと呼ぶことがある)を測定
した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
サンプルを引っ張り試験機で挟み、実効距離を150mmとし、20mm/minの速度で引っ張った。破断時に、ベースのポリエステルフィルムと感光層が同時に破断するが、破断面から感光層が剥がれてしまう場合と、感光層がフィルムと一体化している場合がある。以下のように判定基準を定義した。
○:破断面からの感光層剥離がほぼ見られなかった
△:破断面からの剥離が若干見られた
×:破断面からの感光層剥離が激しく見られた
よって、感光層を自由に設計したい場合には、本発明のポリエステルフィルムを用いることが有効であり、その感光体が特性に優れることになる。
幅が1250mmであり、製造例1の方法で製造された二軸延伸ポリエチレンテレフタラートフィルムの表面に70nmの厚さでアルミニウム蒸着膜を設け、巻き取り、長さ3000mのロールとした。この際、片側にマスキング処理を施し、アルミニウムのない部分を55mm幅で同時に作製した。
た共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、酸化アルミニウム/共重合ポリアミドを質量比1/1で含有する固形分濃度8.0%の分散液とした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10質量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを150質量部混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5質量% 1,2−ジメトキシエタン溶液50質量部、およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5質量%1,2−ジメトキシエタン溶液50質量部を混合し、更に適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
次に、特開2002−80432中に示された以下構造を主成分とする異性体からなる電荷輸送物質45質量部、繰り返し単位(1)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量50,000)100質量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名Irganox1076)8質量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05質量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70質量%、トルエン30質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
このようにして得られた感光層の塗布されたロール状シートを、連続式の断裁機を用い
て353mm×584mmのサイズに切り出し、感光体シートを得た。さらにこのシートの両端から、アセトン及びエタノールを用いて、感光層をそれぞれ25mmの幅で剥離して、電子写真感光体H1を得た。
実施例9のポリエステルフィルムを、比較製造例1で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、実施例9と同様にして感光体シートI1を作製した。
製造した感光体シートH1及びI1について以下の実機試験を行なった。
<実機試験>
市販の軽印刷機ヒューレットパッカード社製TurboStreamに感光体シートを装着し、画像評価を行なった。装着に於いては、機内のアルミニウムドラムに感光体シートを巻き付け、両端の未塗布領域を重ね合わせてドラム上に感光体シートを保持した。片側のアルミニウム層を除去したことで、静電気によって容易に重ね合わせることができた。
一方で感光体I1では、端面での感光層の毛羽立ちが発生し、長期に印字を繰り返した場合に感光層の剥離が発生する可能性が示唆された。
実施例9で得られたロール状シートを、連続式の断裁機を用いて381mm×245mmのサイズに切り出し、適切な位置にガイドリブ及び導電帯を設け、両端を1mm重ね合わせて超音波融着することで、幅245mm、周長380mmの電子写真感光体ベルトH2を得た。
比較例8のポリエステルフィルムを、比較製造例1で製造されたポリエステルフィルムにした以外は、比較例8と同様にして感光体ベルトI2を作製した。
製造した感光体ベルトH2及びI2について以下の実機試験を行なった。
<実機試験>
この感光体ベルトを、市販のレーザービームプリンタRicoh社製Ipsio2200に装着し、画像評価及び100枚の連続印字評価を行なったが、感光体H2及びI2のいずれに於いても問題は発生せず、ポリエステルフィルムによる差異は観測されなかった。
Claims (7)
- シート状のポリエステルフィルム上に金属蒸着層と感光層をこの順に有する電子写真感光体において、該ポリエステルフィルムは平均粒子径が異なる2種類以上の無定形シリカ粒子を含有し、該ポリエステルフィルムのヘーズ値が45〜70%であり、シート形状を有することを特徴とする電子写真感光体。
- 該ポリエステルフィルムのヘーズ値が48〜68%であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- シート状のポリエステルフィルム上に金属蒸着層と感光層をこの順に有する電子写真感光体において、該ポリエステルフィルムは平均粒子径が異なる2種類以上の無定形シリカ粒子を含有し、空気漏れ指数が800〜2000秒の範囲であり、シート形状を有することを特徴とする電子写真感光体。
- 該ポリエステルフィルムの空気漏れ指数が1200〜1800秒であることを特徴とする、請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真感光体がドラムに巻きつけられていることを特徴とする電子写真感光体。
- 感光層の膜厚が25μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を搭載した画像形成装置。
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