JP5834496B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層および電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、および電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
表面保護層などの機能層を持たない一般的な感光体の場合、このような負荷を受けるのは感光層である。感光層は、通常バインダー樹脂と光導電性物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。
リスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
また、その未塗布領域の作成に於いて、シート状導電性基体の全域に感光層が塗布されている感光体シートから、感光層の一部を溶剤にて剥離する場合があるが、バインダー樹脂によっては溶剤での剥離が困難である場合があり、実用上の制限となっていた。感光層の溶剤剥離性は、主として感光層のバインダー樹脂の溶解性に支配されるため、溶剤及びバインダー樹脂の選定が重要となるが、溶解性の低い樹脂(シート状電子写真感光体に汎用されるビスフェノールAポリカーボネート樹脂など)は安全性の低い溶剤(1,4−ジオキサンやクロロベンゼン)にしか溶解しないという問題を抱えている。そのため、商品化に於いては溶解性の高い樹脂の中から材料選択をせざるを得ないのが実状である。
即ち、本発明の目的は、未塗布領域を有し、感光層とシート状導電性支持体の機械的密着性が良好で、その一方では溶剤剥離性に優れ、さらに電気特性が良好なシート状電子写真感光体を提供することにある。
すなわち本発明の第1の要旨は、シート状の導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、シート面の一端に感光層未塗布領域、他端に絶縁部を有し、該感光層未塗布領域と該絶縁部とは重ね合わせて使用するものであり、該感光層が下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の第2の要旨は、該バインダー樹脂が、上記一般式(1)と下記構造式(2)との共重合体である、上述の電子写真感光体に存する。
さらには、本発明の第5の要旨は、上述した電子写真感光体を搭載する画像形成装置に存する。
きる。
本発明の電子写真感光体は、シート状の導電性支持体を有し、そのシート面内に感光層の未塗布領域を有し、その感光層は本発明の特定繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂を含有し、該樹脂は感光体の導電性支持体上に設けられる感光層のバインダー樹脂として用いられる。
本発明の導電性支持体としては、樹脂や紙、その中でも二軸延伸フィルムに金属層を積層したものが好ましく、二軸延伸フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等の線状ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、機械的強度、寸法安定性等の点から線状ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタラートが好ましい。なお、フィルムの厚みは通常30〜150μmであり、好ましくは50〜120μm、更に好ましくは70〜100μmである。
支持体表面は、平滑であっても良いし、樹脂製膜時に粒径の大きな粒子を混合すること等によって、粗面化されていても良い。
本発明の電子写真感光体の感光層は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有する。
また、前記一般式(1)で表される繰り返し構造を含むポリカーボネート樹脂は、共重合成分を有していてもよく、共重合成分としては、下記構造式(2)で表される繰り返し構造が好ましい。さらには、前記一般式(1)が下記構造式(3)で表されることが好ましい。
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂またはポリアリレート樹脂が好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
<電荷発生層>
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生材料としては例えばセレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。これらの微粒子をたとえばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μmから1
μm、好ましくは0.15μmから0.6μmが好適である。
。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して
30〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲で使用される。本発明に係るポリカーボネート樹脂を用いる効果は、特に電荷輸送物質の割合が少ない場合に顕著となり、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が、好ましくは65部以下、より好ましくは55部以下、更に好ましくは45部以下で使用される。
なお、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられる。
分散型感光層の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、前出の電荷発生物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
感光層の膜厚は、以下の方法で測定することができる。
公知の方法で塗布された感光体シートに於いて、塗布の開始部分やあるいは塗布の端部を用いて、まず、支持体の厚みを計測する。つまり、感光層を溶解することのできる溶剤(一般には塗布に際し用いた溶剤)を用いて、感光層を剥離する。このとき、もし下引き層がある場合は、下引き層を溶解しない溶剤であることが必要である。単層型感光体の場合は感光層がそのまま剥離され、電荷発生層と電荷輸送層が積層された二層型感光体の場合は二層ともが剥離される。この剥離された部分は、導電性支持体(下引き層を有する場合は下引き層を含む)の厚みとして検知できる。
すなわち、単層型感光体の場合は感光層そのものの厚み、積層型感光体の場合は二層分の厚みを以て感光層の厚みと定義される。
型)により直径2mmの測定子を用いて測定することができるが、この他のいかなる公知の膜厚測定法を用いてもよい。
<電子写真感光体の調製方法>
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は特に限定されないが、通常、これらの感光体を構成する各層は、シート状電子写真感光体の感光層形成方法として公知な、ダイコート法、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法等により支持体上に塗布して形成される。
塗布後の感光体は、塗布膜の溶剤が実質的に蒸発除去されるまで乾燥工程に付される。乾燥方法としては、従前公知で行なわれている方法を適用することができ、例えば加熱ローラー、熱風乾燥機、上記乾燥機、赤外線乾燥機及び/又は遠赤外線乾燥機等によって行なわれ、乾燥温度は、通常60〜140℃の範囲で実施される。
<溶剤剥離性>
シート状感光体を公知の塗布方法にて作成する場合、ロール状に巻かれた導電性支持体を巻き出しながら塗布し、それを切り出すことになるため、導電性支持体の一部のみに感光層を存在させることは難しく、シート全域が感光層とならざるを得ない。そのため、接地用の感光層未塗布部を得るためには、後加工にて未塗布領域を作成する必要があり、感光層の剥離容易性が重要になってくる。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置(図示せず)が設けられる。
周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジと言う)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。また、電子写真感光体1と帯電装置2が、もっと大掛かりな軽印刷装置の中に組み込まれる場合もある。
トナーの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができるだけでなく、軽印刷機では液体トナーを使用することもできる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。液体トナーは径を1〜3μmとすることができ、さらに高精細な画像出力に適している。
記録紙P上に転写されたトナーは、定着器を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱
され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
現像ローラー4に担持された帯電トナーが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
ここで、バインダー樹脂の粘度平均分子量の測定について説明する。
0.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
<感光体シートの製造>
実施例1
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL
8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が BR>A60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作成した。こうして得られた160重量部の顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部と適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
次に、以下に示すヒドラゾン化合物の電荷輸送物質40重量部、繰り返し単位(1−1)からなる本発明に係るポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22,000)100重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70重量%、トルエン30重量%)640重量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
この液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートA1を作製した。
実施例2
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(1−2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートB1を作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートC1を作
製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールA)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートを作製しようとしたが、この樹脂はテトラヒドロフラン/トルエンの混合溶剤にはきれいには溶解しなかった。そのため、溶剤を1,4−ジオキサン100%にすることで、感光体シートD1を作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールZ)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートE1を作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)33部と、下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールA)か
らなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)67部の混合にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートを作製しようとしたが、この樹脂はテトラヒドロフラン/トルエンの混合溶剤には溶解しなかった。そのため、溶剤を1,4−ジオキサン100%にすることで、感光体シートF1を作製した。
感光層の膜厚を13μmとした以外は、実施例1と同様にして感光体A2を得た。
実施例4
感光層の膜厚を13μmとした以外は、実施例2と同様にして感光体B2を得た。
比較例5
感光層の膜厚を13μmとした以外は、比較例1と同様にして感光体C2を得た。
感光層の膜厚を13μmとした以外は、比較例2と同様にして感光体D2を得た。
比較例7
感光層の膜厚を13μmとした以外は、比較例3と同様にして感光体E2を得た。
比較例8
感光層の膜厚を13μmとした以外は、比較例4と同様にして感光体F2を得た。
実施例1で得られた下引き層形成用塗布液を、陽極酸化されていないアルミニウムシリンダー(外径80mm、長さ350mm、厚さ1mm)上に、シリンダー下端から320mm位置まで浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が1.2μmとなるように下引き層を設けた。
次に、実施例1で得られたオキシチタニウムフタロシアニンの顔料分散液に、下引き層を設けた前記アルミニウムシリンダーを下端から320mm位置まで浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を形成した。
同一のドラムを2本作成し、1本は電気特性試験に、もう1本は密着性試験に用いた。
浸漬塗布方法を用いているため、溶剤による剥離を行わずに未塗布領域を作成することができた。
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(1−2)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22,000)にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムH1を作製した。
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムI1を作製した。
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールA)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムを作製しようとしたが、この樹脂はテトラヒドロフラン/トルエンの混合溶剤にはきれいには溶解しなかった。そのため、溶剤を1,4−ジオキサン100%にすることで、感光体ドラムJ1を作製した。
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールZ)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムK1を作製した。
参考例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた、繰り返し単位(1−1)からなるポリカーボネート樹脂を下記構造の繰り返し単位(3)のみからなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20,000)33部と、下記構造の繰り返し単位(ビスフェノールA)からなるポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量30,000)67部の混合にした以外は、参考例1と同様にして感光体ドラムを作製しようとしたが、この樹脂はテトラヒドロフラン/トルエンの混合溶剤にはきれいには溶解しなかった。そのため、溶剤を1,4−ジオキサン100%にすることで、感光体ドラムL1を作製した。
<電気特性試験>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、日本画像学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートA1〜F2を直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム支持体との導通を取った上で、また、感光体ドラムG1〜L1はそのまま用い、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行なった。その際、感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの180ms後の
表面電位(以下、VLと呼ぶことがある)を測定した。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
セロハンテープ(ニチバン製)を100mm長に切り出し、未塗布領域のある感光体シートまたは感光体ドラムに於いて、感光層部分に50mm、未塗布部分に30mmを貼り付け、残りの20mm(未塗布部分に貼り付けた方に続いている)を持って斜め45゜上方に引き上げることで、感光層の密着性を試験した。
境界)からの剥がれが発生し、実使用上問題がある。また、感光体用の樹脂としてよく知られるビスフェノールAやビスフェノールZのみからなる樹脂を用いた感光体D1,D2,E1,E2は、電気特性に劣る。また、これらの樹脂を混合したとしても、その両特性のよい点を維持することはできず、却って悪い点のみが強調される。
さらに、ビスフェノールAのポリカーボネート樹脂のように、溶剤に対する溶解性で問題が出ないことが確認された。
また、参考例からわかるように、ドラム状の導電性支持体を用いた場合は、いずれのバインダー樹脂を使用した場合も密着性に問題は見られず、本発明に係る樹脂を用いることをせずとも、構造式(3)のホモポリマーを用いれば、電気特性が良好で、かつ密着性にも問題のない感光体ドラムを得ることができる。
以上から、本発明に係る共重合ポリカーボネート樹脂の使用は、シート状の導電性支持体の場合に効果を発現し、さらに、シート面内に感光層未塗布領域を有する場合に特に効果を発揮する。
幅が500mmであり、膜中にシリカ粒子を含有させることで表面が粗面化(Ra=0.1μm)された厚み75μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタラートフィルムの表面に70nmの厚さでアルミニウム蒸着膜を設け、巻き取り、長さ2000mのロールとした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを150重量部混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)の5重量% 1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部、およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部を混合し、更に適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて最終的に固形分濃度4.0%の分散液を調製した。
法を用い、その上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、電荷発生層を設けた。
次に、特開2002−80432中に示された以下構造を主成分とする異性体からなる電荷輸送物質45重量部、繰り返し単位(1−1)からなる本発明に係るポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量22,000)100重量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名Irganox1076)8重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン70重量%、トルエン30重量%)640重量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
このようにして得られた感光層の塗布されたロール状シートを、連続式の断裁機を用いて353mm×584mmのサイズに切り出し、感光体シートを得た。さらにこのシートの両端から、アセトン及びエタノールを用いて、感光層をそれぞれ25mmの幅で剥離し、さらに片側は水酸化ナトリウム溶液を用いてアルミ蒸着層も除去した。このようにして、電子写真感光体Mを得た。
<実機試験>
市販の軽印刷機ヒューレットパッカード社製TurboStreamに感光体シートMを装着し、画像評価を行なった。装着に於いては、機内のアルミニウムドラムに感光体シートを巻き付け、両端の未塗布領域を重ね合わせてドラム上に感光体シートMを保持した。片側のアルミニウム層を除去したことで、静電気によって容易に重ね合わせることができた。
以上から、本発明に係るポリカーボネート樹脂を用いた場合に限り、電気特性、画像特
性、実使用性(密着性)のいずれにも優れる感光体を初めて得ることができることがわかる。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
P 記録紙
Claims (7)
- シート状の導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、シート面の一端に感光層未塗布領域、他端に絶縁部を有し、該感光層未塗布領域と該絶縁部を重ね合わせて使用するものであり、該感光層が下記一般式(1)で表される繰り返し構造を含む共重合ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(式(1)中、R1、R2、R3及びR4は水素原子または炭素数4以下のアルキル基を表し、Zは結合する炭素原子を含めて炭素数5〜8の環状飽和脂肪族アルキル基を形成し、且つ該環状飽和脂肪族アルキル基は、1〜3個のメチル基を置換基として有する。) - 該バインダー樹脂が、上記一般式(1)と下記構造式(2)との共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 該バインダー樹脂中に於いて、構造式(2)の占めるモル比率が一般式(1)の占めるモル比率よりも大きいことを特徴とする、請求項2に記載の電子写真感光体。
- 該バインダー樹脂中に於いて、構造式(2)の占めるモル比率が一般式(1)の占めるモル比率の2倍以上であることを特徴とする、請求項2に記載の電子写真感光体。
- 一般式(1)が下記構造式(3)で表される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に
記載の電子写真感光体。
- 感光層の膜厚が17μm以上であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子写真感光体を搭載した画像形成装置。
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