JP6285432B2 - 航空機ギャレー用の食事カート - Google Patents

Description

競争市場の中で、航空各社は、顧客が自分たちの製品を選択するように誘導するために、フライト中により多くのサービスを提供するように努めてきた。航空各社は、娯楽から食事提供までの産業のあらゆる面で、乗客への新規でより良いサービス方法を継続して模索している。特に、料理と飲み物のサービスは、航空機の設計とレイアウトにおける重要な考慮事項である。現在重要視されている一側面は、飲み物サービスであり、扱いやすく操作しやすい形態で飲み物を配る間、乗客を邪魔することなくいかに飲み物を彼らに届けるかである。

短距離フライト、中距離フライトおよび長距離フライトの乗客にケータリングサービスを提供するために、料理と飲み物のエリア、すなわち「ギャレー」に料理と飲み物を保管し、また移動式のケータリングカートも収納する。これらのカートは、冷たい食事かまたは温かい食事と冷たい食事の組み合わせと飲み物との機内でのデリバリー、保管および配付に関連する多くの機能を果たす。業界共通のある慣習は、食事をギャレー内の冷却器に保管して、フライト中の乗客による消費に確実に適したものとすることである。これは、「長距離」ルートの場合すなわち数時間のルートの場合、特に当てはまる。食事の一部が加熱を必要とする場合、顧客へのサービスの直前にトレーを乾燥またはスチームオーブンに入れる。

ギャレーオーブンに入れるために、食事は通常、「食事キャリア」として既知の、棚状の金属製オープンエンドボックス内に積み重ねられる。食事キャリアに入れるためには、ギャレーカートから、あるいは場合によっては、食事ボックス（別名標準ユニット（ＳＵ））内に設けられた付属の保管場所から食事を個々に載せなければならない。

長距離フライトでは、特にフライト中に複数回の調理した食事をサービスする場合には、食品の安全性の理由から食事ボックスを収納するコンパートメントの冷却が必要であろう。食事ボックスのこの冷却は、「コンパートメント」冷却または「上部作業デッキ」（ＡＷＤ）冷却として一般に知られている。あるいは、「カートベイ」冷却または「下部作業デッキ」（ＢＷＤ）冷却としても知られる、作業デッキより低い従来のサービスカート内に食事を保管することも行われている。この場合、食事キャリアから個々に食事を取り出して調理用オーブンに入れ、その後すぐにオーブンから個々に取り出してカートに戻す。

乗客に温かい料理を配付するために通常行われていることは、お湯やコーヒーのコンテナと共に、カートの頂部に置かれた一時的なコンテナ内に加熱した料理を入れることである。食事サービスの間に、温かい料理は、通常、サービス用カート内のプラスチックの食事トレー上に保管されている残りの食事と一緒にされる。乗客定員数の多い航空機で十分な食料を保管するには、相当な数のサービスカートが必要となり得、これらのカートの空荷重量によって航空機の運航重量は著しく増加し得る。この問題に対して、より実用的で軽量の解決策が求められている。

さらに、航空機の航務の一部として、乗務員は、勤務中に多くの役割を果たさなければならないであろう。これらの役割は、従来の食事サービスから免税品販売およびごみ収集までに及び得る。ギャレー冷却システムの故障という緊急事態では、通常、カートの内容物を冷却し続けるドライアイスのブロックを個々のカートに載荷して、一次的にカートを冷却する。これらの種々の機能のすべてを提供でき、軽量で、機内で操作しやすい多目的カートが求められている。

本発明は、好適にはＣＦＲＣ（炭素繊維強化複合材）で構築され、２つの主要部を組み合わせて一体のシャーシを形成する軽量のギャレーサービスカートである。カートは、食事の加熱のために、機内ギャレーの従来のオーブンまたはスチームオーブンに直接入れられる満載された標準食事コンテナを４個収容する４つのコンパートメントを有する。カートの機能が向上していることによって、機内食のサービス開始時には、食事を冷却されたカート内のコンパクトな食事キャリアに保管でき、載荷された食事キャリア全体をオーブンに入れて加熱できる。調理サイクルが終了すると、食事を個々のトレーまたは部品内に分けることなく、キャリアをカートに戻して機内に運び、乗客にサービスできる。

好適な実施形態でのカートは、入れられたコンテナの追加的な長さを収容するためのＣＦＲＣ製の「キャップ」状のドアを有する。カート内での横方向の移動を防止するために、キャリアはガイドで保持され、また４つの食事キャリアはすべてカートのいずれの側からも投入できる。好適には、キャップドアは２７０°まで旋回または折り重なってカートの側面にぴったり隣接し、標準のサービスカートの許容できる外部空間限度内に留まる。さらに、キャップドアを固定するために、さらに別の好適な実施形態では、４点ロッキングシステムを有するダブルパドルラッチが採用されており、パドル機構の１つが故障した場合でも、カートドアは確実に適切に保持される。両方のラッチが故障した場合には、カートドアは手動でも固定できる。軽量の材料が使用された従来のフットブレーキ構成が採用される。

本発明の第１の実施形態の上方から見た斜視図である。 図１の実施形態の平面図である。 ４点ロッキングラッチを示す図１の実施形態の拡大図（一部透視図）である。 図２Ａのロッキングラッチのロックしていない状態を示す拡大図（一部透視図）である。 ドライアイストレーを有する別の実施形態の上方から見た斜視図である。 図３Ａの実施形態の平面図である。 頂部旋回ドアを有する別の実施形態の上方から見た斜視図である。 図４Ａの実施形態の平面図である。 ワインラックを有する別の実施形態の上方から見た斜視図である。 図５Ａの実施形態の頂部の拡大側面図（一部透視図）である。 本発明の別の実施形態の上方から見た斜視図である。 図６Ａの実施形態の頂部の側断面図である。

図１Ａは、機内での食事と飲み物サービス用の、一体で４コンパートメントの軽量な料理・飲み物ギャレーカート１０を示す。カート１０は、好適には炭素繊維強化複合材（ＣＦＲＣ）で構築されていてもよく、ほぼ矩形のフレーム１１と水平棚１２を備えて内部コンパートメントを上半分１４と下半分１６とに分割している。コンパートメントのそれぞれの半分１４、１６には、２つの標準のままの食事キャリア１７が収容され、従って、カート１０は、その狭い側面にも拘わらず、４つの完全な食事キャリア１７を保持できる。これらの食事キャリア１７の保管は、食事キャリア１７を食事サービス前の加熱のために標準のギャレーオーブンに直接入れられ、その後個々の料理トレーを取り除くことなくカートに戻せるため、便利である。また、該カートによって、食事を下部デッキ保管せずに断熱性カートの食事キャリア内に保管し、適当な時間オーブンに入れた後、キャリア内に維持したままカートに戻し、乗客へのサービスのために機内に運ぶことが可能になる。これは、食事を個々にオーブンとカートに出し入れするのに対して、時間と労力が大幅に削減されることを表している。また、複数の仕切りにより、温かい食事を上半分１４に保管し冷たい食事を下半分１６に保管することができ、冷たい食事がその温度を維持したまま提供されると同時に温かい食事が外にさらされなくて済む。

カート１０は、食事を保持して搭載されたキャリア１７の追加的な長さを収容するために好適にはカート本体を超えて拡張するＣＦＲＣ製の「キャップ」ドア１５を備える。キャップドア１５は、キャリア１７の近接端を受け入れながらドアの閉止を可能とする中空の容積を画定する。カート１０の両端に位置するこれらのキャップドア１５は好適には、図１Ａに示すように、２７０°の円弧で旋回してカート１０の側面に当接する。ドアのこの旋回によって、通路でのカートの占有面積が少なくて済み、通路に位置する際の乗客や乗務員の移動が容易になる。

コンパートメントの内部には、キャリア１７や食事トレー１９を保持および安定させて転位や動きを防ぐ、前もって作られたガイド２１が備えられている。ガイド２１はキャリア１７とトレー１９の両方を固定しているが、これらは必要に応じて分離できる（例えば、上部は温かい食事用キャリア１７、下部は冷たい非加熱の食事）。カート１０は前面と後面から開くので、キャリアはどちらの側からも載荷でき、給仕人は、４つのコンパートメントすべてに容易にまた便利にアクセスできる。カート１０には、キャスター２２あるいは他のタイプの車輪が装備されており、キャスタ（または車輪）は、カート１０の移動に繋がり得る航空機の上昇や降下、あるいは乱流によりフロアが傾斜した時に、カート１０を適当な位置に置き固定できるブレーキ２４を備えている。カート１０の上面に沿った各端には、カートを容易に押して操縦できるハンドル２６（図１Ｂ）が設けられている。カートは、食事キャリア、温かい食事構成物、飲み物あるいは、料理と飲み物のサービス中に必要な他のアイテムをセットするための上部平面２５を有していてもよい。シャーシの保護のために、ドア周りおよびカートの側面に沿って、取り換え可能な弾力のあるシリコンゴム挿入物（非図示）を使用してもよい。

ハンドル２６に加えて、カート１０の各端には好適には、一対の４点ロッキングパドルラッチ４０が装備されていてもよい。これらのロッキングパドルラッチは二重の冗長性を持ち、１つが故障しても、ドア１５はカート１０に対して確実に閉まったままである。また、カートドアは、両方のラッチが故障した場合は手動でも固定される。パドルラッチ４０の作動を図２Ａと２Ｂに示す。図示のように、ロック位置では、ダブルパドル５０は、カートドアの上面７０にぴったり重なっている。カート１０にはスラムラッチレバー５２（ロック位置で示す）が装備されていてもよく、このレバーは、ドア本体の凹部ノッチまたはソケット（非図示）に係合してドアの頂部５４を保持する。開口カム５６は水平姿勢にあり、ドア保持ピン５８は、ドアの下方に延伸しカート１０の底部６０のピン係合孔に係合して、ドアが不意に開くことを防止する。すなわち、ピンは、カートフロアにある間、ドアを閉じてロックしておく。

カートドアを開けるために、パドル５０を図２Ｂにおいて５０ａで示す開口位置内まで引っ張ると、ラッチ４０がピボットピン６２を中心にすぐに旋回して、カム５６がスラムラッチレバー５２と接触する。カム５６がスラムラッチレバー５２と接触すると、該レバーを上方に押し上げて、頂部でのドア（この状態における５２ａで示すスラムラッチレバー）との係合が解除される。ドア下部保持ピンレバー６４は、同時に回転止め位置６４ａ（図２Ｂ）まで回転し、これによって、カート底部の保持ピン５８が引き抜かれてラッチを開口位置に保持する。ピン５８はもはやカートのベースに係合していないので、ドアは自由に開く。

ラッチ４０は、積み込みのために閉止位置に戻されてもよい。ドアを閉じると、カム５６が頂部ラッチングレバー５２を上方に押してドアを自動的に係合する。ラッチが閉まっている時は、パドル５０を前方に回転させて手動でピン５８を上げることができ、あるいはラッチがロック位置（スラム位置）にある時は、パドル５０にばね荷重をかけて上方に移動させ得る。

図３〜６は、食事トレーの食事キャリアのすぐ上で握りハンドル間の自由空間を利用する、代替可能および再構成可能なモジュールシステムの変形例を示す。これによって、航空会社は、同じ基本的なカートシャーシでさまざまな異なる機能を持てる。図３Ａと３Ｂには、いずれのドアも開けることなくコンパートメントの飲料５６や他のアイテムに容易にアクセスできる頂部開口カート１５０を示す。開口した頂面５５は、アイテムが加温され、または冷却されるのを保つのに効率的ではないので、ある場合には、アイテムを温かくあるいは冷たく保ってカート１５０の頂部上に飲料を保持できる浅い容器を形成するために一時的な蓋を使用してもよい。

図４Ａと４Ｂは、開くとカート内部にアクセスできる一対の旋回蓋あるいはカバー６２を有するカート６０を示す。これは、温かい料理または冷たい料理のサービス時に、サービスの間その温度をより一定に維持するのに有利であろう。すなわち、温かい料理を一方の側に入れ、冷たい飲み物を他方の側に入れてもよいだろう。あるいは、この構成は、料理と飲み物サービス後の不要物収集ユニットとしても使用できるであろう。食事トレーはごみ箱に置き換わり、旋回カバー６２を上げることによって容易に詰められる。一方の側を再利用可能物用に使用し、他方の側をごみと廃棄物用に使用できるであろう。

図４Ａと４Ｂはごみと再利用オプションを示しており、カート１６０は、ごみと再利用可能物の収集と保管用の二重の収集手段としての機能を果たす。旋回蓋６２によって、カート内の２つのビンをごみ用と再利用物用に分けられる。

あるいは、旋回蓋６２によって、軽食とごみ、飲料と軽食などの他の目的用のビンを分けられる。また、コンパートメントにはカートの内部の衛生状態を維持するビニール袋７７を搭載して、容器を必要としないことも好適であろう。

図５Ａと５Ｂは、上面にワインボトルホルダー２２０を備えた本発明のカート１７０の別の構成を示す。ワインボトルホルダーは、それぞれがワインボトル用の３つの空洞を有する３辺２２５ａ、２２５ｂ、２２５ｃを備えたモジュール式の部品である。もちろん、これ以外の構成とサイズであってもよい。ワインボトルホルダー２２０は、カート１７０上面の凹部に収まり、料理と飲み物サービスに加えてワインサービスが可能になる。図６Ａと６Ｂは、浅いトレー３１０オプションを有するカート１８０の別の実施形態を示す。トレー３１０は、カート１８０の内容物を大気温度より低い冷却器温度に維持するためのドライアイスあるいは同様の冷却製品の保管に使用できる。機内の冷却システムの故障時には、食事をカート内のキャリアに保管して、ドライアイス（非図示）を充填した浅いトレー３１０で冷却できる。

搭載可能なすべてのオプションによって、該カートは、ＫＳＳＵ、ＡＣＥあるいはＡｔｌａｓ標準のＢＷＤ冷却または非冷却コンパートメントに搭載できる（その標準カートサイズ用に設計されれば）。本発明によって、既存のカートに対する多くの利点が提供される。本発明のカートでは、その構造と部品にＣＦＲＣを使用し、可能な限り重い金属部品を削減することによって、構造重量を大幅に低減できる。また、最大４個の載荷されたオーブン食事キャリアを組み込むこともできる。該カートでは、その上部および下部分割部用の分離したダブルドアのオプションが可能となり、またダブルドアオプションの有無に拘わらず、要望に応じて、載荷した食事トレーと食事キャリアの任意の組み込みが可能である。

本発明の他の利点としては、乗客への食事サービスの間に、カート内の加熱およびまたは冷却料理を別々に運べることが挙げられ、これによって安全性が向上する。さらに、該カートによって、個々の食事取り扱いを削減し、集中型の４点ロッキングダブルパドルラッチまたは３点ロッキング側面搭載パドルラッチを採用することによって、サービスサイクル時間に対するオーブンへの保管が改善される。また、本発明のカートでは、ドアのシール性を向上させ、金属加工を削減し、統合ヒンジに適合し得るＣＦＲＣ「キャップ」ドアが採用されている。異なる構成やモジュールを追加することができ、また顧客の要求に適合させるために、ベースシャーシを代えることなく新規のモジュールを備え得る。重要なことは、カート構成はすべて標準のカートベイに保管できることである。

Claims (7)

1. 航空機用のサービスカートであって、
   両端に２つずつ区画を有する筐体である４区画筐体であって、前記４区画筐体の各区画により、複数個の機内食キャリアを保持し得るように構成された、炭素繊維強化複合材からなる前記４区画筐体と、
   前記４区画筐体の各区画ごとに遮蔽するキャップドアであって、それぞれの区画を遮蔽する位置と前記サービスカートの側面に当接する位置との間で約２７０°旋回するように構成されたキャップドアと、
   前記機内食キャリアの内壁上に設けられて食事トレーを固定する複数のガイドと、
   前記キャップドアが不意に開くことを防止する、キャップドアごとのパドルラッチシステムであって、前記キャップドアを閉鎖するときにカート搭載のレバーと係合して前記レバーを前記キャップドア上部のノッチ内へ動かすよう配置され、前記キャップドアが閉鎖されたときに前記カートの底部の孔に係合するように前記キャップドアの下方に延びる保持ピンに接続されたピンレバーを同時に回転させるカムを有するパドルラッチを含み、前記パドルラッチのパドルが前記キャップドアから引き離されると前記パドルラッチがピボットピンを中心に旋回し、前記カムが前記レバーに係合して前記レバーを前記ノッチから動かすと同時に、前記ピンレバーが回転して前記保持ピンが前記カートの底部の孔から引き抜かれて前記キャップドアを開くことができる、前記パドルラッチシステムと、を備えることを特徴とするサービスカート。
2. 前記サービスカートの移動を防止するブレーキシステムをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。
3. 前記４区画筐体の一部の内壁上に設けられて食事トレーを固定する複数のガイドをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。
4. モジュール式の取り外し可能なワインラックをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。
5. 前記サービスカートの上面は、区画ごとに別々に開く一対の旋回蓋を備えることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。
6. 前記パドルラッチシステムは、手動でロックできることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。
7. ドライアイス容器モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項１に記載のサービスカート。

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