以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[1.概略構成]
図1は、シャッタ装置1を背面側から見た図である(尚、第3地板13の図示を省略している)。図2は、図1におけるII−II線における、シャッタ装置1の断面図である。図3は、シャッタ装置1を背面側から見た図であって、一部を省略して、先幕チャージ機構230及び後幕チャージ機構330を中心に描いた図である。図4は、シャッタ装置1を背面側から見た図であって、一部を省略して、先幕アーム係止機構240及び後幕アーム係止機構340を中心に描いた図である。図5は、シャッタ装置1を背面側から見た図であって、一部を省略して、先幕チャージ保持機構250及び後幕チャージ保持機構350を中心に描いた図である。図6は、図5のIV−IV線における、シャッタ装置1の断面図である。
シャッタ装置1は、地板ユニット100と、先幕ユニット200と、後幕ユニット300と、駆動カム機構400とを備えている。
地板ユニット100は、図2に示すように、第1地板11と、第2地板12と、第3地板13とを有している。第1地板11、第2地板12、第3地板13は、所定の間隔を空けて互いに対向する状態でX軸方向に配列されている。第1地板11と第3地板13との間に第2地板12が配置されている。第1地板11と第2地板12とには、略長方形状の開口が形成されている。X軸方向を向いて見たときに、第1地板11の開口11aと第2地板12の開口12aとは、重なり合っている。第1地板11と第2地板12との間には、羽根室Rが形成されている。
シャッタ装置1は、カメラに組み込まれたときに、第1地板11をレンズ鏡筒側に、第3地板13を撮像素子側にして配置される。説明の便宜上、X軸方向において第1地板11側を前側、第3地板13側を後側と称する。
先幕ユニット200は、先幕羽根群210と、先幕駆動アーム221と、先幕従動アーム222と、先幕駆動レバー223と、先幕チャージ機構230と、先幕アーム係止機構240と、先幕チャージ保持機構250とを有している。
後幕ユニット300は、後幕羽根群310と、後幕駆動アーム321と、後幕従動アーム322と、後幕駆動レバー323と、後幕チャージ機構330と、後幕アーム係止機構340と、後幕チャージ保持機構350とを有している。
[2.駆動アーム及び羽根群]
[2−1.先幕ユニット]
先幕駆動アーム221は、第1地板11と第2地板12との間において回転軸A回りに回転自在に支持されている。回転軸Aは、X軸と平行に延びている。後述する回転軸B〜M、l1、m1もX軸と平行に延びている。
また、先幕駆動レバー223は、第2地板12と第3板13との間において回転軸A回りに回転自在に支持されている。先幕駆動レバー223は、図1に示すように、第1アーム223aと、第2アーム223bと、第3アーム223cとを有している。第1アーム223aの先端部には、先幕駆動アーム221の方へ延びる連結ピン223dが設けられている。連結ピン223dは、第2地板12に形成された円弧状の第1長孔12bを貫通して先幕駆動アーム221に連結されている。つまり、先幕駆動アーム221は、先幕駆動レバー223と一体となって回転する。第2アーム223bの先端部は、後方に立ち上がるように屈曲しており、立ち上がった部分に当接部223eが設けられている。当接部223eには、後述する先幕チャージレバー232の第2アーム232bが当接する。第3アーム223cには、後述する先幕保持レバー241の係止部241dが係合する。先幕駆動レバー223は、先幕駆動部材の一例である。
先幕従動アーム222は、第1地板11と第2地板12との間において回転軸B回りに回転自在に支持されている。
先幕羽根群210は、第1〜第4先幕羽根21a〜21dを有している。尚、各先幕羽根を区別しないときには、単に「先幕羽根21」と称する。各先幕羽根21は、先幕駆動アーム221及び先幕従動アーム222に回転自在に連結されている。先幕駆動アーム221及び先幕従動アーム222おいては、先端側から順に第1先幕羽根21a、第2先幕羽根21b、第3先幕羽根21c、第4先幕羽根21dが連結されている。
先幕駆動アーム221、先幕従動アーム222及び先幕羽根群210は、リンク機構を構成する。先幕駆動アーム221が回転すると、それに連動して先幕羽根群210が回転する。このとき、先幕羽根群210は、先幕従動アーム222にも連結されているので、先幕従動アーム222が回転軸Bを中心に回転することによって先幕羽根群210は、X軸に直交するY軸方向へ移動する。図1において、先幕駆動アーム221が時計回り(この方向を以下「開方向」という)に回転すると、先幕羽根群210の4枚の先幕羽根21が開口11a,12aの外側の位置(以下、「開位置」という)において互いに重なり合い、開口11a,12aを覆っていない状態、即ち、開放する状態(以下、「開状態」という)となる。一方、先幕駆動アーム221が反時計回り(この方向を以下「閉方向」という)に回転すると、開口11a,12aの外側の位置において互いに重なり合っていた先幕羽根群210の4枚の先幕羽根21が展開して、4枚の先幕羽根21で開口11a,12aを覆った状態(以下、この状態を「閉状態」といい、この位置を「閉位置」という)となる。先幕従動アーム222の回転方向についても、先幕駆動アーム221の開方向及び閉方向に対応する回転方向をそれぞれ開方向及び閉方向と称する。また、先幕駆動レバー223の回転方向についても、先幕駆動アーム221の開方向及び閉方向に対応する回転方向をそれぞれ開方向及び閉方向と称する。
また、先幕従動アーム222は、閉方向、即ち、先幕羽根群210が閉位置へ移動する方向へ先幕セットバネ224によって付勢されている。
[2−2.後幕ユニット]
後幕駆動アーム321は、第1地板11と第2地板12との間において回転軸C回りに回転自在に支持されている。
また、後幕駆動レバー323は、第2地板12と第3板13との間において回転軸C回りに回転自在に支持されている。後幕駆動レバー323は、図1に示すように、第1アーム323aと、第2アーム323bと、第3アーム323cとを有している。第1アーム323aの先端部には、後幕駆動アーム321の方へ延びる連結ピン323dが設けられている。連結ピン323dは、第2地板12に形成された円弧状の第2長孔12cを貫通して後幕駆動アーム321に連結されている。つまり、後幕駆動アーム321は、後幕駆動レバー323と一体となって回転する。第2アーム323bの先端部は、後方に立ち上がるように屈曲しており、立ち上がった部分に当接部323eが設けられている。当接部323eには、後述する後幕チャージレバー332の第2アーム332bが当接する。第3アーム323cには、後述する後幕保持レバー341の第2アーム341bが係合する。後幕駆動レバー323は、後幕駆動部材の一例である。
後幕従動アーム322は、第1地板11と第2地板12との間において回転軸D回りに回転自在に支持されている。
後幕羽根群310は、第1〜第4後幕羽根31a〜31dを有している。尚、各後幕羽根を区別しないときには、単に「後幕羽根31」と称する。各後幕羽根31は、後幕駆動アーム321及び後幕従動アーム322に回転自在に連結されている。後幕駆動アーム321及び後幕従動アーム322おいては、先端側から順に第1後幕羽根31a、第2後幕羽根31b、第3後幕羽根31c、第4後幕羽根31dが連結されている。
後幕駆動アーム321、後幕従動アーム322及び後幕羽根群310は、リンク機構を構成する。後幕駆動アーム321が回転すると、それに連動して後幕羽根群310が回転する。このとき、後幕羽根群310は、後幕従動アーム322にも連結されているので、後幕従動アーム322が回転軸Dを中心に回転することによって後幕羽根群310は、Y軸方向へ移動する。図1において、後幕駆動アーム321が反時計回り(この方向を以下「開方向」という)に回転すると、後幕羽根群310の4枚の後幕羽根31が開口11a,12aの外側の位置(以下、「開位置」という)において互いに重なり合い、開口11a,12aを覆っていない状態、即ち、開放する状態(以下、「開状態」という)となる。一方、後幕駆動アーム321が時計回り(この方向を以下「閉方向」という)に回転すると、開口11a,12aの外側の位置(以下、「閉位置」)において互いに重なり合っていた後幕羽根群310の4枚の後幕羽根31が展開して、4枚の後幕羽根31で開口11a,12aを覆った状態(以下、「閉状態」という)となる。後幕従動アーム322の回転方向についても、後幕駆動アーム321の開方向及び閉方向に対応する回転方向をそれぞれ開方向及び閉方向と称する。また、後幕駆動レバー323の回転方向についても、後幕駆動アーム321の開方向及び閉方向に対応する回転方向をそれぞれ開方向及び閉方向と称する。
また、後幕従動アーム322は、開方向、即ち、後幕羽根群310が開位置へ移動する方向へ後幕セットバネ324によって付勢されている。
[3.駆動カム]
駆動カム機構400は、円筒部45と、円筒部45の外周に設けられた第1〜第4カム部41〜44と、円筒部45の外周に設けられたギア46と、図示省略のギア列及び駆動モータとを有している。駆動カム機構400は、第2地板12と第3地板13との間において回転軸E回りに回転自在に支持されている。円筒部45の軸心は、回転軸Eと一致している。ギア46は、ギア列を介して駆動モータに連結されている。駆動カム機構400は、ギア46及びギア列を介して駆動モータに回転駆動される。駆動カム機構400は、回転軸E回りの一方向(図3において時計回り)に回転駆動される。駆動カム機構400は、先幕ユニット200と後幕ユニット300とで共通のカム機構である。つまり、先幕ユニット200及び後幕ユニット300は、共通の駆動カム機構400によって駆動される。駆動カム機構400は、先幕カム機構の一例でもあり、後幕カム機構の一例でもある。
各カム部は、所定の外径を有する扇形状をしており、円筒部45の外周において所定の角度位置に設けられている。各カム部の隅部は、R形状に形成されている。詳しくは、第1カム部41は、最も外形が大きく、回転軸Eを中心として概略180°の範囲に設けられている。第2〜第4カム部42〜44は、第1カム部41よりも小さい、概ね同じ外形を有している。第2カム部42は、第1カム部41のうち駆動カム機構400の回転方向における末尾側の端部と重なる位置に設けられている。第2カム部42は、第1カム部41よりも後方に設けられている。第3カム部43は、第1カム部41よりも前方であって、第2カム部42よりも駆動カム機構400の回転方向における末尾側に設けられている。第4カム部44は、第2カム部42よりも後方であって、第3カム部43よりも駆動カム機構400の回転方向における末尾側に設けられている。第1カム部41は、先幕チャージカム部及び後幕チャージカム部の一例である。すなわち、先幕チャージカム部と後幕チャージカム部とは、共通の1つの第1カム部41によって形成される。第2カム部42は、先幕付勢カム部の一例である。第3カム部43は、後幕閉保持解除カム部の一例である。第4カム部44は、後幕付勢カム部の一例である。
[4.チャージ機構]
先幕チャージ機構230及び後幕チャージ機構330は、駆動カム機構400によって駆動される。
[4−1.先幕ユニット]
先幕チャージ機構230は、図3に示すように、先幕駆動アーム221の付勢力を発生させる先幕駆動バネ231と、先幕駆動バネ231を弾性変形させる先幕チャージレバー232と、先幕駆動バネ231の端部を保持するラチェット機構233と、先幕チャージレバー232の制動を行うブレーキレバー234とを有している。
先幕駆動バネ231は、コイルバネであって、第2地板12と第3地板13との間においてシャフト231aの回りに巻回されている。シャフト231aの軸心は、回転軸Aと一致している。先幕駆動バネ231の一端部は、先幕チャージレバー232に連結されている。先幕駆動バネ231の他端部は、ラチェット機構233に連結されている。
先幕チャージレバー232は、回転軸A回りに回転自在に第2地板12及び第3地板13に支持されている。先幕チャージレバー232には、先幕駆動バネ231の端部が連結されているので、先幕チャージレバー232が回転軸A回りに回転すると、先幕チャージレバー232が巻き上げられ、回転軸A回りの弾性力が発生する。この弾性力が先幕駆動アーム221の付勢力となる。そのため、先幕駆動バネ231の弾性力が開放されるときには、先幕駆動バネ231の弾性力が先幕従動アーム222に設けられた先幕セットバネ224の弾性力よりも十分に強いため、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231の弾性力により回転軸A回りに回転させられる。以下、回転軸A回りの回転方向に関し、先幕駆動バネ231を巻き上げる方向を「チャージ方向」と称し、先幕駆動バネ231の弾性力が開放される方向を「駆動方向」と称する。先幕チャージレバー232は、先幕チャージ部材の一例である。
先幕チャージレバー232は、第1アーム232aと、第2アーム232bと、第3アーム232cとを有している。第1アーム232aの先端には、ローラ232dが回転自在に支持されている。ローラ232dのX軸方向位置は、駆動カム機構400の第1カム部41と同じである。第2アーム232bのX軸方向位置は、先幕駆動レバー223の当接部223eと同じである。第2アーム232bの先端部は、先幕チャージレバー232が回転するときに当接部223eに当接する。第3アーム232cの先端部には、後述する先幕係止レバー251と係合する係合部232eが設けられている。
ラチェット機構233は、ラチェットリング233aと、 ラチェットリング233aの回転を規制するラチェット爪部233bと、ラチェット爪部233bを付勢する付勢バネ233cとを有している。 ラチェットリング233aは、回転軸A回りに回転自在に第3地板13に支持されている。ラチェットリング233aには、先幕駆動バネ231の端部が連結されている。ラチェットリング233aの外周面には、複数の歯が設けられている。ラチェット爪部233bは、回転軸F回りに回転自在に第3地板13に支持されている。ラチェット爪部233bは、回転軸F回りにおいてラチェットリング233aの歯に係合する方向へ付勢バネ233cにより付勢されている。ラチェット爪部233bがラチェットリング233aの歯に係合することによって、 ラチェットリング233aの回転が規制され、ラチェットリング233aの回転軸A回りの角度位置が決められる。ラチェットリング233aの回転軸A回りの角度位置が決められることによって、先幕駆動バネ231の端部の回転軸A回りの角度位置が決められる。
ブレーキレバー234は、回転軸G回りに回転自在に第2地板12に押さえ部234fを介して支持されている。ブレーキレバー234は、第1アーム234aと、第2アーム234bと、第3アーム234cとを有している。第1アーム234aには、先幕チャージレバー232が回転するときにその第3アーム232cが摺動する摺動面234dが設けられている。第2アーム234bには、先幕チャージレバー232が駆動方向に回転するときに第3アーム232cが当接する。ブレーキレバー234は、押さえ部234fと第2地板12との間に狭持されている。このとき、押さえ部234fとブレーキレバー234との間には、ウェーブワッシャ234gが介設されている。ウェーブワッシャ234gは、ブレーキレバー234が回転する際の回転抵抗として機能する。また、押さえ部234fには、ゴム製のストッパ234hが設けられている。第2アーム234bが先幕チャージレバー232の第3アーム232cに押されて、ブレーキレバー234が回転軸G回りに回転していくと、ブレーキレバー234の第3アーム234cがストッパ234hに当接する。これにより、ブレーキレバー234の回転が規制される。尚、ウェーブワッシャ234gは、金属製であり得るが、ブレーキレバー234に適切な回転抵抗を与えることができる限り金属以外の材質で形成されていてもよい。さらには、ブレーキレバー234に適切な回転抵抗を与えることができる限りは、ウェーブワッシャ234g以外の部材をブレーキレバー234に設けてもよい。
このように構成された先幕チャージ機構230においては、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231の付勢力により駆動方向へ最も回転したときにはブレーキレバー234に当接して停止している。先幕チャージレバー232のローラ232dが駆動カム機構400の第1カム部41の回転軌跡上に位置している。この状態で駆動カム機構400が回転して、第1カム部41がローラ232dに当接すると、ローラ232dが第1カム部41の外周面に乗り上げるように、先幕チャージレバー232が回転軸A回りに回転する。その結果、先幕チャージレバー231が先幕駆動バネ231を巻き上げ、即ち、チャージし、先幕駆動バネ231に付勢力が発生する。このとき、先幕チャージレバー232の第3アーム232cは、ブレーキレバー234の摺動面234d上を摺動する。そのため、ブレーキレバー234は、先幕チャージレバー232の回転に連動して、回転軸G回りに回転する。その結果、ブレーキレバー234の第3アーム234cは、ストッパ234hから離間する。
先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231を巻き上げた状態で先幕チャージ保持機構250により保持される。先幕チャージ保持機構250による保持については後述する。この状態においては、第1カム部41がローラ232dに当接しないようになっても、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231を巻き上げた状態で保持される。
先幕チャージ保持機構250による先幕チャージレバー232の保持が解除されると、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231の付勢力により駆動方向へ回転する。先幕チャージレバー232が駆動方向へ回転すると、先幕チャージレバー232の第2アーム232bが先幕駆動レバー223の当接部223eを押圧して、先幕駆動レバー223を開方向へ回転させる。これにより、先幕駆動アーム221及び先幕従動アーム222が開方向へ回転し、先幕羽根群210が開位置へ移動する。このとき、ブレーキレバー234の第2アーム234bは、先幕チャージレバー232の第3アーム232cの回転軌跡上に位置している。そのため、先幕チャージレバー232の第3アーム232cは、ブレーキレバー234の第2アーム234bに衝突する。ブレーキレバー234は、先幕チャージレバー232の衝突により回転軸G回りに回転させられるものの、ウェーブワッシャ234gの回転抵抗によって先幕チャージレバー232の回転を制動する。これにより、先幕チャージレバー232の回転は、徐々に遅くなっていく。最終的には、ブレーキレバー234の第3アーム234cがストッパ234hに当接することによって、ブレーキレバー234の回転が停止するとともに、先幕チャージレバー232の回転も停止する。
尚、 先幕チャージレバー232の回転により先幕駆動バネ231が巻き上げられる量、即ち、先幕駆動バネ231による弾性力は、ラチェットリング233aの回転軸A回りの角度位置によって調整される。
[4−2.後幕ユニット]
後幕チャージ機構330は、図3に示すように、後幕駆動アーム321の付勢力を発生させる後幕駆動バネ331と、後幕駆動バネ331を弾性変形させる後幕チャージレバー332と、後幕駆動バネ331の端部を保持するラチェット機構333と、後幕チャージレバー332の制動を行うブレーキレバー334とを有している。
後幕駆動バネ331は、コイルバネであって、第2地板12と第3地板13との間においてシャフト331aの回りに巻回されている。シャフト331aの軸心は、回転軸Cと一致している。後幕駆動バネ331の一端部は、後幕チャージレバー332に連結されている。後幕駆動バネ331の他端部は、ラチェット機構333に連結されている。後幕駆動バネ331は、後幕チャージレバー332により巻き上げられることによって、回転軸C回りの弾性力を発生させる。この弾性力が後幕駆動アーム321の付勢力となる。
後幕チャージレバー332は、回転軸C回りに回転自在に第2地板12及び第3地板13に支持されている。後幕チャージレバー332には、後幕駆動バネ331の端部が連結されているので、後幕チャージレバー332が回転軸C回りに回転すると、後幕チャージレバー332が巻き上げられ、後幕駆動バネ331に弾性力が発生する。一方、後幕駆動バネ331の弾性力が開放されるときには、後幕駆動バネ331の弾性力が後幕従動アーム322に設けられた後幕セットバネ324の弾性力よりも十分に強いため、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331の弾性力により回転軸C回りに回転させられる。以下、回転軸C回りの回転方向に関し、後幕駆動バネ331を巻き上げる方向を「チャージ方向」と称し、後幕駆動バネ331の弾性力が開放される方向を「駆動方向」と称する。
後幕チャージレバー332は、第1アーム332aと、第2アーム332bと、第3アーム332cとを有している。第1アーム332aの先端には、ローラ332dが回転自在に支持されている。ローラ332dのX軸方向位置は、駆動カム機構400の第1カム部41と同じである。第2アーム332bのX軸方向位置は、後幕駆動レバー323の当接部323eと同じである。第2アーム332bの先端部は、後幕チャージレバー332が回転するときに当接部323eに当接する。また、第2アーム332bには、後述する後幕係止レバー351と係合する係合部332eが設けられている。係合部332eは、第2アーム332bから屈曲して後方へ延びている。第3アーム332cは、ブレーキレバー334と係合する。
ラチェット機構333は、ラチェットリング333aと、 ラチェットリング333aの回転を規制するラチェット爪部333bと、ラチェット爪部333bを付勢する付勢バネ333cとを有している。 ラチェットリング333aは、回転軸C回りに回転自在に第3地板13に支持されている。ラチェットリング333aには、後幕駆動バネ331の端部が連結されている。ラチェットリング333aの外周面には、複数の歯が設けられている。ラチェット爪部333bは、回転軸H回りに回転自在に第3地板13に支持されている。ラチェット爪部333bは、回転軸H回りにおいてラチェットリング333aの歯に係合する方向へ付勢バネ333cにより付勢されている。ラチェット爪部333bがラチェットリング333aの歯に係合することによって、 ラチェットリング333aの回転が規制され、ラチェットリング333aの回転軸C回りの角度位置が決められる。ラチェットリング333aの回転軸C回りの角度位置が決められることによって、後幕駆動バネ331の端部の回転軸C回りの角度位置が決められる。
ブレーキレバー334は、回転軸I回りに回転自在に第2地板12に押さえ部334fを介して支持されている。ブレーキレバー334は、第1アーム334aと、第2アーム334bと、第3アーム334cとを有している。第1アーム334aには、後幕チャージレバー332が回転するときにその第3アーム332cが摺動する摺動面334dが設けられている。第2アーム334bには、後幕チャージレバー332が駆動方向に回転するときに第3アーム332cが当接する。ブレーキレバー334は、押さえ部334fと第2地板12との間に狭持されている。このとき、押さえ部334fとブレーキレバー334との間には、ウェーブワッシャ334gが介設されている。ウェーブワッシャ334gは、ブレーキレバー334が回転する際の回転抵抗として機能する。また、押さえ部334fには、ゴム製のストッパ334hが設けられている。第2アーム334bが後幕チャージレバー332の第3アーム332cに押されて、ブレーキレバー334が回転軸I回りに回転していくと、ブレーキレバー334の第3アーム334cがストッパ334hに当接する。これにより、ブレーキレバー334の回転が規制される。尚、ウェーブワッシャ334gは、金属製であり得るが、ブレーキレバー334に適切な回転抵抗を与えることができる限り金属以外の材質で形成されていてもよい。さらには、ブレーキレバー334に適切な回転抵抗を与えることができる限りは、ウェーブワッシャ334g以外の部材をブレーキレバー334に設けてもよい。
このように構成された後幕チャージ機構330においては、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331の付勢力により駆動方向へ最も回転したときにはブレーキレバー334に当接して停止している。後幕チャージレバー332のローラ332dが駆動カム機構400の第1カム部41の回転軌跡上に位置している。この状態で駆動カム機構400が回転して、第1カム部41がローラ332dに当接すると、ローラ332dが第1カム部41の外周面に乗り上げるように、後幕チャージレバー332が回転軸C回りに回転する。その結果、後幕チャージレバー331が後幕駆動バネ331を巻き上げ、即ち、チャージし、後幕駆動バネ331に付勢力が発生する。このとき、後幕チャージレバー332の第3アーム332cは、ブレーキレバー334の摺動面334d上を摺動する。そのため、ブレーキレバー334は、後幕チャージレバー332の回転に連動して、回転軸I回りに回転する。その結果、ブレーキレバー334の第3アーム334cは、ストッパ334hから離間する。
後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331を巻き上げた状態で後幕チャージ保持機構350により保持される。後幕チャージ保持機構350による保持については後述する。この状態においては、第1カム部41がローラ332dに当接しないようになっても、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331を巻き上げた状態で保持される。
後幕チャージ保持機構350による後幕チャージレバー332の保持が解除されると、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331の付勢力により駆動方向へ回転する。後幕チャージレバー332が駆動方向へ回転すると、後幕チャージレバー332の第2アーム332bが後幕駆動レバー323の当接部323eを押圧して、後幕駆動レバー323を閉方向へ回転させる。これにより、後幕駆動アーム321及び後幕従動アーム322が閉方向へ回転し、後幕羽根群310が閉位置へ移動する。このとき、ブレーキレバー334の第2アーム334bは、後幕チャージレバー332の第3アーム332cの回転軌跡上に位置している。そのため、後幕チャージレバー332の第3アーム332cは、ブレーキレバー334の第2アーム334bに衝突する。ブレーキレバー334は、後幕チャージレバー332の衝突により回転軸I回りに回転させられるものの、ウェーブワッシャ334gの回転抵抗によって後幕チャージレバー332の回転を制動する。これにより、後幕チャージレバー332の回転は、徐々に遅くなっていく。最終的には、ブレーキレバー334の第3アーム334cがストッパ334hに当接することによって、ブレーキレバー334の回転が停止するとともに、後幕チャージレバー332の回転も停止する。
尚、 後幕チャージレバー332の回転により後幕駆動バネ331が巻き上げられる量、即ち、後幕駆動バネ331による弾性力は、ラチェットリング333aの回転軸C回りの角度位置によって調整される。
[5.アーム係止機構]
先幕アーム係止機構240及び後幕アーム係止機構340は、駆動カム機構400によって駆動される。
[5−1.先幕ユニット]
先幕アーム係止機構240は、図4に示すように、先幕保持レバー241と、先幕保持レバー241を付勢する付勢バネ242とを有している。
先幕保持レバー241は、回転軸J回りに回転自在に支持されている。先幕保持レバー241は、第1アーム241aと第2アーム241bとを有している。先幕保持レバー241は、第2先幕保持部材の一例である。
第1アーム241aの先端には、ローラ241cが回転自在に設けられている。 ローラ241cのX軸方向位置は、駆動カム機構400の第2カム部42と同じである。第1アーム241aには、係止部241dが第1アーム241aから突出するように設けられている。詳しくは後述するが、係止部241dは、先幕駆動レバー223を係止する。
第2アーム241bの先端部は、先幕チャージ保持機構250の後述する先幕付勢レバー253に連結されている。
付勢バネ242は、回転軸J回りに巻きかけられており、先幕保持レバー241を回転軸J回りの一方向(図では、時計回り)に付勢している。第2地板12には、先幕保持レバー241の回転を制限する第1ストッパ12dが設けられている。先幕保持レバー241は、付勢バネ242の付勢力により回転軸J回りに回転し、第2アーム241bが第1ストッパ12dに当接する位置で停止している。
先幕保持レバー241が第1ストッパ12dに当接する位置に位置するときには、係止部241dは、先幕駆動レバー223の第3アーム223cの回転軌跡上に位置している。以下、先幕保持レバー241のこの位置を「保持位置」と称する。先幕保持レバー241が保持位置に位置するときには、閉方向へ回転しようとする先幕駆動レバー223の第3アーム223cを係止部241dが係止する。こうして、先幕保持レバー241は、先幕駆動レバー223を保持する。
また、先幕保持レバー241が保持位置に位置するときには、ローラ241cは、第2カム部42の回転軌跡上に位置している。この状態で駆動カム機構400が回転して第2カム部42がローラ241cに当接すると、ローラ241cが第2カム部42の外周面に乗り上げるように、先幕保持レバー241が回転軸J回りに付勢バネ242の付勢方向とは逆に回転する。これにより、係止部241dが第3アーム223cの回転軌跡外へ移動する。その結果、先幕保持レバー241による先幕駆動レバー223の保持が解除される。先幕保持レバー241のこの位置を「解除位置」と称する。
[5−2.後幕ユニット]
後幕アーム係止機構340は、図4に示すように、後幕保持レバー341と、後幕保持レバー341を付勢する付勢バネ342とを有している。
後幕保持レバー341は、回転軸K回りに回転自在に支持されている。後幕保持レバー341は、第1アーム341aと第2アーム341bと第3アーム341cとを有している。後幕保持レバー341は、第2後幕保持部材の一例である。
第1アーム341aの先端には、ローラ341dが回転自在に設けられている。ローラ341dのX軸方向位置は、駆動カム機構400の第3カム部43と同じである。
第2アーム341bの先端部は、詳しくは後述するが、後幕駆動レバー323を係止する。
第3アーム341cの先端部は、後方に立ち上がるように屈曲し、立ち上がった部分に当接部341eが設けられている。当接部341eには、後述する伝達レバー356の第2アーム356bが当接する。
付勢バネ342は、回転軸K回りに巻きかけられており、後幕保持レバー341を回転軸K回りの一方向(図では、時計回り)に付勢している。第2地板12には、後幕保持レバー341の回転を制限する第2ストッパ12eが設けられている。つまり、後幕保持レバー341は、付勢バネ342に付勢されて回転軸K回りに第2ストッパ12eに接触する位置まで回転する。
後幕保持レバー341が第2ストッパ12eに当接する位置に位置するときには、第2アーム341bの先端部は、後幕駆動レバー323の第3アーム323cの回転軌跡上に位置している。以下、後幕保持レバー341のこの位置を「保持位置」と称する。後幕保持レバー341が保持位置に位置するときには、開方向へ回転しようとする後幕駆動レバー323の第3アーム323cを第2アーム341bが係止する。こうして、後幕保持レバー341は、後幕駆動レバー323を保持する。
また、後幕保持レバー341が保持位置に位置するときには、ローラ341dは、第3カム部43の回転軌跡上に位置している。この状態で駆動カム機構400が回転して第3カム部43がローラ341dに当接すると、ローラ341dが第3カム部43の外周面に乗り上げるように、後幕保持レバー341が回転軸K回りに付勢バネ342の付勢方向とは逆に回転する。これにより、第2アーム341bが第3アーム323cの回転軌跡外へ移動する。その結果、後幕保持レバー341による後幕駆動レバー323の保持が解除される。後幕保持レバー341のこの位置を「解除位置」と称する。
[6.チャージ保持機構]
先幕チャージ保持機構250及び後幕チャージ保持機構350は、駆動カム機構400によって駆動される。
[6−1.先幕ユニット]
先幕チャージ保持機構250は、先幕チャージレバー232を係止する先幕係止レバー251と、先幕係止レバー251を後述する係止位置に保持する先幕吸着ユニット252と、先幕係止レバー251を係止位置から離れる方向である解除方向へ付勢する先幕付勢レバー253とを有している。
先幕係止レバー251は、その一端部が回転軸L回りに回転自在に支持されている。先幕係止レバー251の他端部には、連結ピン251aが設けられている。連結ピン251aは、先幕付勢レバー253に連結されている。
先幕係止レバー251には、係止片254が設けられている。係止片254は、回転軸l1回りに回転自在に先幕係止レバー251に支持されている。係止片254の先端部は、屈曲して前方へ延びている。係止片254の前方へ延びる部分に係止部254aが設けられている。係止部254aのX軸方向位置は、先幕チャージレバー232の係合部232eと同じである。係止片254は、付勢バネ254bによって回転軸l1回りの一方向(図では時計回り)に付勢されている。回転軸l1回りの一方向に付勢された係止片254は、係止部254aが先幕係止レバー251に当接する位置で停止している。係止片254のこの位置を「係止位置」と称する。先幕係止レバー251は、先幕係止部材の一例である。
また、先幕係止レバー251には、吸着片255が設けられている。吸着片255は、パーマロイで構成されている。
先幕係止レバー251は、回転軸L回りに回転し、係止部254aが先幕チャージレバー232の係合部232eの回転軌跡上の位置である係止位置と、係止部254aが先幕チャージレバー232の係合部232eの回転軌跡外の位置である解除位置との間で移動可能に構成されている。 また、先幕係止レバー251が係止位置に位置するときには、吸着片255が先幕吸着ユニット252に当接している。一方、先幕係止レバー251が解除位置に位置するときには、吸着片255が先幕吸着ユニット252から離間している。
先幕吸着ユニット252は、電磁石を有している。先幕吸着ユニット252は、先幕係止レバー251が係止位置に位置するときに電磁石に通電することによって吸着片255を吸着する。こうして、先幕吸着ユニット252は、先幕係止レバー251を係止位置において電磁力により保持する。先幕吸着ユニット252は、第1先幕保持部材の一例である。
先幕付勢レバー253の一端部は、先幕保持レバー241の第2アーム241bに回転自在に連結されている。先幕付勢レバー253の他端部には、連結ピン253aが設けられている。先幕付勢レバー253の中間部には、長孔253cが貫通形成されている。長孔253cには、先幕係止レバー251の連結ピン251aが挿通されている。こうして、先幕付勢レバー253は、長孔253c及び連結ピン251aを介して先幕係止レバー251に連結されている。連結ピン251aは、長孔253c内をその長手方向に移動可能である。また、付勢バネ253bの一端部が連結ピン253aに連結され、付勢バネ253bの他端部が連結ピン251aに連結されている。つまり、連結ピン251aは、付勢バネ253bにより、長孔253c内において連結ピン253aの方へ付勢されている。先幕保持レバー241、先幕付勢レバー253及び付勢バネ253bは、先幕付勢機構の一例である。
このように構成された先幕チャージ保持機構250は、先幕アーム係止機構240の先幕保持レバー241によって駆動される。
詳しくは、先幕保持レバー241と先幕付勢レバー253と先幕係止レバー251は、リンク機構を構成している。先幕保持レバー241が保持位置に位置するときには、先幕付勢レバー253及び先幕係止レバー251もそれに対応した位置に位置している。具体的には、先幕係止レバー251は、係止位置に位置している。このとき、連結ピン251aは、付勢バネ253bの付勢力により長孔253cの、連結ピン253a側の端部に位置している。
こうして、先幕保持レバー241が付勢バネ242の付勢力により先幕付勢レバー253を介して先幕係止レバー251を係止位置に位置させることによって、先幕チャージレバー232を先幕駆動バネ231をチャージした状態で係止片254により係止することができる。つまり、先幕係止レバー251が係止位置において先幕チャージレバー232がチャージ方向へ回転すると、先幕チャージレバー232の第3アーム232cが係止部254aに衝突する。係止片254は、第3アーム232cに押し退けられ、付勢バネ254bの付勢力に抗して回転軸l1回りに回転させられる。こうして、係止片254が第3アーム232cの通過を可能とする位置を「退避位置」と称する。第3アーム232cが係止部254aの横を通り過ぎると、係止片254は、付勢バネ254bの付勢力によって係止位置へ戻る。その結果、先幕チャージレバー232の駆動方向への回転が先幕係止レバー251、具体的には、係止片254により規制される。
一方、先幕保持レバー241が解除位置に位置するときには、先幕付勢レバー253及び先幕係止レバー251もそれに対応した位置に位置している。具体的には、先幕係止レバー251は、解除位置に位置している。このとき、連結ピン251aは、付勢バネ253bの付勢力により長孔253cの、連結ピン253a側の端部に位置している。
ただし、先幕係止レバー251が先幕吸着ユニット252によって係止位置に保持されている場合には、先幕保持レバー241が第2カム部42によって解除位置に位置するとしても、先幕係止レバー251は係止位置に保持されたままである。一方、先幕付勢レバー253は、先幕保持レバー241に連動して、先幕保持レバー241の解除位置に対応した位置に移動する。このとき、長孔253cが、連結ピン251aに対して相対的に移動する。すなわち、連結ピン251aが、長孔253c内を連結ピン253aから離間する方向へ移動している。その結果、付勢バネ253bが引っ張られて弾性力が発生する。この弾性力は、連結ピン251aを連結ピン253aの方へ引き寄せる付勢力として作用する。この状態で、先幕吸着ユニット252の電磁石への通電が停止されると、先幕係止レバー251は、付勢バネ253bの付勢力により係止位置から解除位置へ移動する。先幕係止レバー251が係止位置において先幕チャージレバー232を係止していた場合には、先幕係止レバー251による先幕チャージレバー232の係止が解除される。
このように、先幕付勢機構を構成する先幕付勢レバー253及び付勢バネ253bは、先幕保持レバー241と連動している。すなわち、先幕保持レバー241は、先幕付勢機構の一部、即ち、先幕チャージ保持機構250の一部としても機能する。
[6−2.後幕ユニット]
後幕チャージ保持機構350は、後幕チャージレバー332を係止する後幕係止レバー351と、後幕係止レバー351を後述する係止位置に保持する後幕吸着ユニット352と、後幕係止レバー351を係止位置から離れる方向である解除方向へ付勢する後幕付勢レバー353と、後幕付勢レバー353を動作させる伝達レバー356とを有している。
後幕係止レバー351は、その一端部が回転軸M回りに回転自在に支持されている。後幕係止レバー351の他端部には、連結ピン351aが設けられている。連結ピン351aは、後幕付勢レバー353に連結されている。
後幕係止レバー351には、係止片354が設けられている。係止片354は、鉤状に形成されている。係止片354は、回転軸m1回りに回転自在に後幕係止レバー351に支持されている。係止片354のX軸方向位置は、後幕チャージレバー332の係合部332eと同じである。係止片354は、付勢バネ354bによって回転軸m1回りの一方向(図では反時計回り)に付勢されている。回転軸m1回りの一方向に付勢された係止片354は、係止片354の一部が後幕係止レバー351から突出する位置で停止している。係止片354のこの位置を「係止位置」と称する。後幕係止レバー351は、後幕係止部材の一例である。
また、後幕係止レバー351には、吸着片355が設けられている。吸着片355は、パーマロイで構成されている。
後幕係止レバー351は、回転軸M回りに回転し、係止片354が後幕チャージレバー332の係合部332eの回転軌跡上の位置である係止位置と、係止片354が後幕チャージレバー332の係合部332eの回転軌跡外の位置である解除位置との間で移動可能に構成されている。 また、後幕係止レバー351が係止位置に位置するときには、吸着片355が後幕吸着ユニット352に当接している。一方、後幕係止レバー351が解除位置に位置するときには、吸着片355が後幕吸着ユニット352から離間している。
後幕吸着ユニット352は、電磁石を有している。後幕吸着ユニット352は、後幕係止レバー351が係止位置に位置するときに電磁石に通電することによって吸着片355を吸着する。こうして、後幕吸着ユニット352は、後幕係止レバー351を係止位置において電磁力により保持する。後幕吸着ユニット352は、第1後幕保持部材の一例である。
伝達レバー356は、回転軸K回りに回転自在に支持されている。伝達レバー356は、第1アーム356aと第2アーム356bとを有している。第1アーム356aの先端には、ローラ356cが回転自在に設けられている。 ローラ356cのX軸方向位置は、駆動カム機構400の第4カム部44と同じである。第2アーム356bの先端部は、後幕付勢レバー353に連結されている。
伝達レバー356には、付勢バネ356dが設けられている。付勢バネ356dは、回転軸K回りに巻きかけられており、伝達レバー356を回転軸K回りの一方向(図では時計回り)に付勢している。伝達レバー356は、付勢バネ356dに付勢されて回転軸K回りに第2ストッパ12eに接触する位置まで回転する。伝達レバー356のこの位置を「係止位置」と称する。
伝達レバー356が第2ストッパ12eに当接する位置に位置するときには、ローラ356cは、第4カム部44の回転軌跡上に位置している。この状態で駆動カム機構400が回転して第4カム部44がローラ356cに当接すると、ローラ356cが第4カム部44の外周面に乗り上げるように、伝達レバー356が回転軸K回りの他方向へ回転する。伝達レバー356のこの位置を「解除位置」と称する。
後幕付勢レバー353の一端部は、伝達レバー356の第2アーム356bに回転自在に連結されている。後幕付勢レバー353の他端部には、長孔353cが貫通形成されている。後幕付勢レバー353の中間部には、連結ピン353aが設けられている。長孔353cには、後幕係止レバー351の連結ピン351aが挿通されている。こうして、後幕付勢レバー353は、長孔353c及び連結ピン351aを介して後幕係止レバー351に連結されている。連結ピン351aは、長孔353c内をその長手方向に移動可能である。また、付勢バネ353bの一端部が連結ピン353aに連結され、付勢バネ353bの他端部が連結ピン351aに連結されている。つまり、連結ピン351aは、付勢バネ353bにより、長孔353c内において連結ピン353aの方へ付勢されている。
このように構成された後幕チャージ保持機構350においては、伝達レバー356と後幕付勢レバー353と後幕係止レバー351は、リンク機構を構成している。伝達レバー356が係止位置に位置するときには、後幕付勢レバー353及び後幕係止レバー351もそれに対応した位置に位置している。具体的には、後幕係止レバー351は、係止位置に位置している。このとき、連結ピン351aは、付勢バネ353bの付勢力により長孔353cの、連結ピン353a側の端部に位置している。
こうして、伝達レバー356が付勢バネ356dの付勢力により後幕付勢レバー353を介して後幕係止レバー351を係止位置に位置させることによって、後幕チャージレバー332を後幕駆動バネ331をチャージした状態で係止片354により係止することができる。つまり、後幕係止レバー351が係止位置において後幕吸着ユニット352に保持されているときに後幕チャージレバー332がチャージ方向へ回転すると、後幕チャージレバー332の係合部332eが係止片354に衝突する。係止片354は、係合部332eに押し退けられ、付勢バネ354bの付勢力に抗して回転軸m1回りに回転させられる。こうして、係止片354が係合部332eの通過を可能とする位置を「退避位置」と称する。係合部332eが係止片354の横を通り過ぎると、係止片354は、付勢バネ354bの付勢力によって係止位置へ戻る。その結果、後幕チャージレバー332の駆動方向への回転が後幕係止レバー351、具体的には、係止片354により規制される。
一方、伝達レバー356が解除位置に位置するときには、後幕付勢レバー353及び後幕係止レバー351もそれに対応した位置に位置している。具体的には、後幕係止レバー351は、解除位置に位置している。このとき、連結ピン351aは、付勢バネ353bの付勢力により長孔353cの、連結ピン353a側の端部に位置している。
ただし、後幕係止レバー351が後幕吸着ユニット352によって係止位置に保持されている場合には、第4カム部44によって伝達レバー356が解除位置に位置するとしても、後幕係止レバー351は係止位置に保持されたままである。一方、後幕付勢レバー353は、伝達レバー356に連動して、伝達レバー356の解除位置に対応した位置に移動する。このとき、長孔353cが、連結ピン351aに対して相対的に移動する。すなわち、連結ピン351aが、長孔353c内を連結ピン351aから離間する方向へ移動している。その結果、付勢バネ353bが引っ張られて弾性力が発生する。この弾性力は、連結ピン351aを連結ピン353aの方へ引き寄せる付勢力として作用する。この状態で、後幕吸着ユニット352の電磁石への通電が停止されると、後幕係止レバー351は、付勢バネ353bの付勢力により係止位置から解除位置へ移動する。後幕係止レバー351が係止位置において後幕チャージレバー332を係止していた場合には、後幕係止レバー351による後幕チャージレバー332の係止が解除される。後幕保持レバー341、後幕付勢レバー353及び付勢バネ353bは、後幕付勢機構の一例である。
[7.シャッタ装置の動作]
以下、シャッタ装置1の動作について説明する。露光が完了した直後の状態から説明を開始する。
[7−1.露光完了直後]
図1に示すように、露光完了直後は、先幕羽根群210は、開口11a,12aの外側で互いに重なり合った開状態となっている一方、後幕羽根群310は、展開して開口11a,12aを覆った閉状態となっている。
また、図5に示すように、先幕ユニット200において、先幕係止レバー251は、解除位置に位置し、先幕係止レバー251による先幕チャージレバー232の係止が解除されている。それに加えて、先幕チャージレバー232のローラ232dは、第1カム部41に係合していない。そのため、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231の付勢力により駆動方向へ回転している。先幕チャージレバー232は、図3に示すように、第3アーム232cがブレーキレバー234の第2アーム234bに当接し、それによりブレーキレバー234の第3アーム234cがストッパ234hに当接する位置まで回転している。先幕チャージレバー232は、そこで停止している。このとき、先幕チャージレバー232の第2アーム232bは、先幕駆動レバー223の当接部223eに当接して、先幕駆動レバー223を先幕チャージレバー232と共に開方向へ回転させている。こうして、先幕羽根群210は、開状態となっている。
一方、図5に示すように、後幕ユニット300において、後幕係止レバー351は、解除位置に位置し、後幕係止レバー351による後幕チャージレバー332の係止が解除されている。それに加えて、後幕チャージレバー332のローラ332dは、第1カム部41に係合していない。そのため、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331の付勢力により駆動方向へ回転している。後幕チャージレバー332は、図3に示すように、第3アーム332cがブレーキレバー334の第2アーム334bに当接し、それによりブレーキレバー334の第3アーム334cがストッパ334hに当接する位置まで回転している。後幕チャージレバー332は、そこで停止している。このとき、後幕チャージレバー332の第2アーム332bは、後幕駆動レバー323の当接部323eに当接して、後幕駆動レバー323を後幕チャージレバー332と共に閉方向へ回転させている。こうして、後幕羽根群310は、閉状態となっている。
このとき、図5に示すように、先幕ユニット200において、先幕保持レバー241のローラ241cは、第2カム部42と係合している。詳しくは、ローラ241cは、第2カム部42の外周面に乗り上げている。これにより、先幕保持レバー241は、解除位置に位置している。また、後幕ユニット300において、伝達レバー356のローラ356cは、第4カム部44と係合している。詳しくは、ローラ356cは、第4カム部44の外周面に乗り上げている。これにより、伝達レバー356の第2アーム356bの先端部が後幕保持レバー341の当接部341eに当接し、後幕保持レバー341は、図5に示すように、解除位置に位置している。
[7−2.後幕チャージ開始]
次に、後幕ユニット300のチャージ開始について、図7,8を用いて説明する。図7は、後幕ユニット300のチャージが開始されたときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図8は、後幕ユニット300のチャージが開始されたときのブレーキレバーの状態を示す説明図である。
露光が完了すると、後幕ユニット300のチャージを開始する。このとき、イメージセンサ(図示省略)からの電荷の読出も並行して行うため、後幕羽根群310が開口11a,12aを覆った状態が保持される。つまり、後幕羽根群310が閉状態のまま、後幕チャージ機構330のチャージが行われる。
露光が完了すると、駆動カム機構400が回転し、第2カム部42と先幕保持レバー241のローラ241cとの係合が解除されると共に、第4カム部44と伝達レバー356のローラ356cとの係合が解除される。
それにより、先幕保持レバー241は、付勢バネ242の付勢力により保持位置へ移動する。保持位置においては、係止部241dが、先幕駆動レバー223の第3アーム223cの回転軌跡上に位置している。このとき、係止部241dは、第3アーム223cよりも回転軸A回りの閉方向側に位置する。先幕駆動レバー223は、先幕従動アーム222に設けられた先幕セットバネ224(図1参照)の付勢力により、回転軸A回りの閉方向に付勢されている。この付勢力により、先幕駆動レバー223の当接部223eが先幕チャージレバー232の第2アーム232bに当接している。一方、先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231(図3参照)により回転軸A回りの駆動方向(先幕駆動レバー223の閉方向とは逆向き)へ付勢されている。先幕駆動バネ231の付勢力は、先幕セットバネ224の付勢力よりも大きいので、先幕駆動レバー223は、当接部223eが先幕チャージレバー232の第2アーム232bに当接した位置で停止している。このとき、先幕駆動レバー223の第3アーム223cは、先幕保持レバー241の係止部241dに接触していない。
この先幕保持レバー241の移動に連動して、先幕チャージ保持機構250の先幕係止レバー251も係止位置へ移動する。先幕係止レバー251の吸着片255は、先幕吸着ユニット252に押し付けられる。
同様に、伝達レバー356は、付勢バネ356dの付勢力により係止位置へ移動する。この伝達レバー356の移動に連動して、後幕係止レバー351も係止位置へ移動する。後幕係止レバー351の吸着片355は、後幕吸着ユニット352に押し付けられる。
このとき、当接部341eが伝達レバー356の第2アーム356bによって押圧されていた後幕保持レバー341も、伝達レバー356に連動して、付勢バネ342の付勢力により保持位置へ移動する。保持位置においては、後幕保持レバー341の第2アーム341bが、後幕駆動レバー323の第3アーム323cの回転軌跡上に位置する。このとき、第2アーム341bは、第3アーム323cよりも回転軸A回りの開方向側に位置する。後幕駆動レバー323は、後幕従動アーム322に設けられた後幕セットバネ324の付勢力により、回転軸A回りの開方向に付勢されている。そのため、後幕駆動レバー323の当接部323eが後幕チャージレバー332の第2アーム332bに当接している。ただし、後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331により回転軸A回りの駆動方向(後幕駆動レバー323の開方向とは逆向き)へ付勢されている。後幕駆動バネ331の付勢力は、後幕セットバネ324の付勢力よりも大きいので、後幕駆動レバー323は、当接部323eが後幕チャージレバー332の第2アーム332bに当接した位置で停止している。このとき、後幕駆動レバー323の第3アーム323cは、後幕保持レバー341の第2アーム341bに接触していない。
駆動カム機構400がさらに回転すると、後幕チャージレバー332のローラ332dと第1カム部41とが係合し始める。これにより、後幕チャージレバー332がチャージ方向に回転し始め、後幕駆動バネ331(図3参照)の巻き上げ、即ち、チャージが開始される。
後幕チャージレバー332が回転すると、係合部332eが係合片354に当接する。後幕チャージレバー332がその状態からさらに回転すると、係合片354は、係合部332eに押し退けられ、付勢バネ354bの付勢力に抗して退避位置へ回転する。これにより、係合部332eの通過が可能となる。
また、後幕チャージレバー332がチャージ方向へ回転することによって、第2アーム332bによる後幕駆動レバー323の回転規制が解除される。これにより、後幕駆動レバー323は、後幕チャージレバー332のチャージ方向への回転に伴って開方向へ回転する。しかしながら、後幕駆動レバー323が開方向へ回転するとすぐに、第3アーム323cが後幕保持レバー341の第2アーム341bに当接し、その回転が停止させられる。つまり、後幕駆動レバー323は、後幕保持レバー341により保持された状態となる。
さらに、図8に示すように、後幕チャージレバー332が回転すると、第3アーム332cがブレーキレバー334の摺動面334dを摺動する。それに連動して、ブレーキレバー334が回転し、ブレーキレバー334の第3アーム334cがストッパ334hから離間していく。
[7−3.後幕チャージ完了]
次に、後幕ユニット300のチャージ完了について、図9を用いて説明する。図9は、後幕ユニット300のチャージ完了後のチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。
ローラ332dが第1カム部41の外周面に完全に乗り上げると、係合部332eが係合片354の横を通り過ぎ、係合片354は付勢バネ354bの付勢力により元の状態、即ち、係止位置に戻る。つまり、係合片354は、係合部332eの回転軌跡上であって、回転軸C回りで係合部332eよりも駆動方向側に位置する。
尚、図示は省略するが、後幕チャージレバー332の第3アーム332cは、ブレーキレバー334の第1アーム334aの先端部において摺動面334dに当接している。
こうして、後幕ユニット300のチャージが完了する。
[7−4.先幕チャージ開始]
次に、先幕ユニット200のチャージが開始されるときの動作について、図10,11を用いて説明する。図10は、先幕ユニット200のチャージが開始されたときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図11は、先幕ユニット200のチャージが開始されたときのブレーキレバーの状態を示す説明図である。
駆動カム機構400がさらに回転すると、先幕チャージレバー232のローラ232dと第1カム部41とが係合し始める。これにより、先幕チャージレバー232がチャージ方向に回転し始め、先幕駆動バネ231(図3参照)の巻き上げ、即ち、チャージが開始される。
先幕チャージレバー232が回転すると、先幕チャージレバー232の第3アーム232cが係止片254の係止部254aに当接する。先幕チャージレバー232がその状態からさらに回転すると、係止片254は、第3アーム232cに押し退けられ、付勢バネ254b(図4参照)の付勢力に抗して退避位置へ回転する。これにより、第3アーム232cの通過が可能となる。
また、先幕チャージレバー232がチャージ方向へ回転することによって、第2アーム232bによる先幕駆動レバー223の回転規制が解除される。これにより、先幕駆動レバー223は、先幕チャージレバー232のチャージ方向への回転に伴って閉方向へ回転する。しかしながら、先幕駆動レバー223が閉方向へ回転するとすぐに、第3アーム223cが先幕保持レバー241の係止部241dに当接し、その回転が停止させられる。つまり、先幕駆動レバー223は、先幕保持レバー241により保持された状態となる。
さらに、図11に示すように、先幕チャージレバー232が回転すると、第3アーム232cがブレーキレバー234の摺動面234dを摺動する。それに連動して、ブレーキレバー234が回転し、ブレーキレバー234の第3アーム234cがストッパ234hから離間していく。
[7−5.先幕チャージ完了]
次に、先幕ユニット200のチャージが完了するときの動作について、図12を用いて説明する。図12は、先幕ユニット200のチャージ完了後のチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。
ローラ232dが第1カム部41の外周面に完全に乗り上げると、第3アーム232cの係合部232eが係止部254aの横を通り過ぎ、係止片254は付勢バネ254bの付勢力により元の状態、即ち、係止位置に戻る。つまり、係止部254aは、係合部232eの回転軌跡上であって、回転軸A回りで係合部232eよりも駆動方向側に位置する。
こうして、先幕ユニット200のチャージが完了する。
このように、1つの駆動カム機構400で先幕ユニット200及び後幕ユニット300の両方のチャージを行う構成であっても、先幕ユニット200のチャージと後幕ユニット300のチャージとのタイミングをずらす(即ち、同時に行わない)ことによって、駆動カム機構400の駆動力を低減することができる。特に、先幕駆動バネ231及び後幕駆動バネ331の弾性定数が大きいときに有効である。
[7−6.ライブビュー]
次に、ライブビューを行うときの動作について、図13,14を用いて説明する。図13は、後幕アーム係止機構340を保持解除したときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図14は、後幕アーム係止機構340を保持解除したときの駆動アーム、従動アーム及び羽根群の状態を示す説明図である。
駆動カム機構400がさらに回転すると、第3カム部43が後幕保持レバー341のローラ341dに係合し、後幕保持レバー341は、付勢バネ342の付勢力に抗して回転する。図13に示すように、ローラ341dが第3カム部43の外周面に乗り上げたときには、後幕保持レバー341は、解除位置まで移動している。これにより、後幕保持レバー341による後幕駆動レバー323の保持が解除される。その結果、後幕駆動レバー323は、後幕セットバネ324の付勢力により開方向へ回転する。後幕駆動レバー323は、当接部323eが後幕チャージレバー332の第2アーム332bに当接する位置で停止する。
このとき、図14に示すように、後幕駆動レバー323の回転に連動して、後幕駆動アーム321及び後幕従動アーム322も開方向に回転する。その結果、後幕羽根群310が開口11a,12aの外側で重なり合った開状態となる。このとき、先幕駆動レバー223は先幕保持レバー241に係止されているので、先幕羽根群210は、開状態のままである。こうして、開口11a,12aが開放され、ライブビュー撮影が可能となる。
[7−7.露光準備]
次に、露光準備の動作について、図15〜18を用いて説明する。図15は、第1カム部41と後幕チャージレバー332との係合が解除されたときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図16は、先幕アーム係止機構240を保持解除したときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図17は、先幕アーム係止機構240を保持解除したときの駆動アーム、従動アーム及び羽根群の状態を示す説明図である。図18は、第1カム部41と先幕チャージレバー232との係合が解除されたときのチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。
まず、先幕チャージ保持機構250の先幕吸着ユニット252に通電して、先幕吸着ユニット252により先幕係止レバー251の吸着片255を吸着する。それと共に、後幕チャージ保持機構350の後幕吸着ユニット352に通電して、後幕吸着ユニット352により後幕係止レバー351の吸着片355を吸着する。
その後、駆動カム機構400がさらに回転すると、図15に示すように、第1カム部41と後幕チャージレバー332のローラ332dとの係合が解除される。後幕チャージレバー332は、後幕駆動バネ331の付勢力により駆動方向へ回転するが、すぐに係合部332eが係止片354に係合して、後幕チャージレバー332の回転が規制される。つまり、後幕チャージレバー332が後幕係止レバー351に係止された状態となる。
尚、後幕チャージレバー332が駆動方向へ回転すると、当接部323eを介して後幕チャージレバー332に当接している後幕駆動レバー323も駆動方向へ回転する。
駆動カム機構400がさらに回転すると、第2カム部42が先幕保持レバー241のローラ241cに係合し、先幕保持レバー241は、付勢バネ242(図4参照)の付勢力に抗して回転する。図16に示すように、ローラ241cが第2カム部42の外周面に乗り上げたときには、先幕保持レバー241は、解除位置まで移動している。これにより、先幕保持レバー241による先幕駆動レバー223の保持が解除される。その結果、先幕駆動レバー223は、先幕セットバネ224(図1参照)の付勢力により閉方向へ回転する。先幕駆動レバー223は、当接部223eが先幕チャージレバー232の第2アーム232bに当接する位置で停止する。
このとき、図17に示すように、先幕駆動レバー223の回転に連動して、先幕駆動アーム221及び先幕従動アーム222も閉方向に回転する。その結果、先幕羽根群210が開口11a,12aを覆う閉状態となる。こうして、開口11a,12aが遮蔽される。
また、図16に示すように、先幕保持レバー241が解除位置に移動すると、それに連動して、先幕付勢レバー253が移動する。しかしながら、先幕係止レバー251は、吸着片255が先幕吸着ユニット252に吸着されているので係止位置に留まる。その結果、先幕係止レバー251の連結ピン251aが、先幕付勢レバー253の長孔253c内を相対的に移動し、先幕付勢レバー253の連結ピン253aから離れていく。これにより、付勢バネ253bに弾性力が発生する。こうして、先幕係止レバー251を係止位置に吸着している一方で、先幕係止レバー251を解除位置へ移動させる付勢力が蓄積された状態となる。
第2カム部42が先幕保持レバー241のローラ241cに係合するのと略同じタイミングで、第4カム部44が伝達レバー356のローラ356cに係合する。第4カム部44がローラ356cに係合すると、図16に示すように、伝達レバー356は、付勢バネ356d(図5参照)の付勢力に抗して回転し、解除位置へ移動する。伝達レバー356が解除位置に移動すると、それに連動して、後幕付勢レバー353が移動する。しかしながら、後幕係止レバー351は、吸着片355が後幕吸着ユニット352に吸着されているので係止位置に留まる。その結果、後幕係止レバー351の連結ピン351aが、後幕付勢レバー353の長孔353c内を相対的に移動し、後幕付勢レバー353の連結ピン353aから離れていく。これにより、付勢バネ353bに弾性力が発生する。こうして、後幕係止レバー351を係止位置に吸着している一方で、後幕係止レバー351を解除位置へ移動させる付勢力が蓄積された状態となる。
駆動カム機構400がさらに回転すると、図18に示すように、第1カム部41と先幕チャージレバー232のローラ232dとの係合が解除される。先幕チャージレバー232は、先幕駆動バネ231の付勢力により駆動方向へ回転するが、すぐに係合部232eが係止片254の係止部254aに係合して、先幕チャージレバー232の回転が規制される。つまり、先幕チャージレバー232が先幕係止レバー251に係止された状態となる。
尚、先幕チャージレバー232が駆動方向へ回転すると、当接部223eを介して先幕チャージレバー232に当接している先幕駆動レバー223も駆動方向へ回転する。
こうして、露光の準備が完了する。
尚、先幕吸着ユニット252による先幕係止レバー251の吸着片255の吸着タイミングは、第2カム部42が先幕保持レバー241のローラ241cに係合する前であれば、前記タイミングに限定されるものではない。同様に、後幕吸着ユニット352による後幕係止レバー351の吸着片355の吸着タイミングは、第4カム部44が伝達レバー356のローラ356cに係合する前であれば、上記タイミングに限定されるものではない。
[7−8.露光]
次に、露光動作について、図19,20を用いて説明する。図19は、露光中のチャージ機構、アーム係止機構及びチャージ保持機構の状態を示す説明図である。図20は、露光中の駆動アーム、従動アーム及び羽根群の状態を示す説明図である。
露光を開始するときには、先幕チャージ保持機構250の先幕吸着ユニット252への通電を停止すると共に、後幕チャージ保持機構350の後幕吸着ユニット352への通電を停止する。
詳しくは、まず、先幕チャージ保持機構250の先幕吸着ユニット252への通電を停止する。すると、図19に示すように、先幕係止レバー251は、付勢バネ253bの付勢力により係止位置から解除位置へ移動する。先幕係止レバー251が解除位置へ移動すると、係止片254による先幕チャージレバー232の係止が解除される。その結果、先幕チャージレバー232が先幕駆動バネ231の付勢力によって駆動方向へ回転する。このとき、先幕チャージレバー232の第2アーム232bが先幕駆動レバー223の当接部223eを押圧するので、先幕駆動レバー223は、先幕チャージレバー232と共に開方向へ回転する。先幕駆動レバー223が開方向へ回転すると、図20に示すように、先幕駆動アーム221及び先幕従動アーム222も開方向へ回転し、先幕羽根群210が開位置へ移動する。
先幕チャージ保持機構250の先幕吸着ユニット252への通電を停止してから所定時間経過後に、後幕チャージ保持機構350の後幕吸着ユニット352への通電を停止する。すると、図19に示すように、後幕係止レバー351は、付勢バネ353bの付勢力により係止位置から解除位置へ移動する。後幕係止レバー351が解除位置へ移動すると、係止片354による後幕チャージレバー332の係止が解除される。その結果、後幕チャージレバー332が後幕駆動バネ331の付勢力によって駆動方向へ回転する。このとき、後幕チャージレバー332の第2アーム332bが後幕駆動レバー323の当接部323eを押圧するので、後幕駆動レバー323は、後幕チャージレバー332と共に閉方向へ回転する。後幕駆動レバー323が閉方向へ回転すると、図20に示すように、後幕駆動アーム321及び後幕従動アーム322も閉方向へ回転し、後幕羽根群310が閉位置へ移動する。
こうして、先幕吸着ユニット252への通電の停止と後幕吸着ユニット352への通電の停止とを少しの時間差を設けて行うことによって、図20に示すように、先幕羽根群210と後幕羽根群310は、それらの間にスリット状の開口を形成した状態で上から下へ移動していく。
先幕チャージレバー232が駆動方向へ回転していくと、やがて、先幕チャージレバー232の第3アーム232cがブレーキレバー234の第2アーム234bに当接する。これにより、ブレーキレバー234が回転する。このとき、ブレーキレバー234にはウェーブワッシャ234gにより回転抵抗が付与されているので、先幕チャージレバー232の回転はブレーキレバー234により制動される。やがて、図3に示すように、ブレーキレバー234の第3アーム234cがストッパ234hに当接し、ブレーキレバー234の回転が規制される。これにより、先幕チャージレバー232の回転も停止する。
同様に、後幕チャージレバー332が駆動方向へ回転していくと、やがて、後幕チャージレバー332の第3アーム332cがブレーキレバー334の第2アーム334bに当接する。これにより、ブレーキレバー334が回転する。このとき、ブレーキレバー334にはウェーブワッシャ334gにより回転抵抗が付与されているので、後幕チャージレバー332の回転はブレーキレバー334により制動される。やがて、ブレーキレバー334の第3アーム334cがストッパ334hに当接し、ブレーキレバー334の回転が規制される。これにより、後幕チャージレバー332の回転も停止する。
先幕チャージレバー232,332の回転が停止したときには、図1に示すように、先幕羽根群210は開状態となり、後幕羽根群310は閉状態となる。
こうして、露光が完了する。
[8.効果]
前記シャッタ装置1は、開口11aが形成された地板11と、前記開口11aを開閉可能な先幕羽根21と、回転可能に構成され、閉方向に回転することによって前記先幕羽根21を前記開口11aを覆う位置である閉位置に移動させる一方、該閉方向とは逆向きの開方向に回転することによって前記先幕羽根21を前記開口11aを開放する位置である開位置に移動させる先幕駆動レバー223と、先幕駆動バネ231及び該先幕駆動バネ231を弾性変形させる先幕チャージレバー232を有し、該先幕チャージレバー232を該先幕駆動バネ231を弾性変形させる方向であるチャージ方向に回転させることによって該先幕駆動バネ231に付勢力を発生させる一方、該先幕駆動バネ231の付勢力により該先幕チャージレバー232を該チャージ方向とは逆向きの駆動方向に回転させることによって該先幕チャージレバー232が前記先幕駆動レバー223を前記開方向へ回転させる先幕チャージ機構230と、前記先幕チャージレバー232をチャージ方向に回転させた状態で係止する先幕係止レバー251と、前記先幕係止レバー251が前記先幕チャージレバー232を係止した状態で該先幕係止レバー251を電磁力によって保持する先幕吸着ユニット252と、前記先幕吸着ユニット252が前記先幕係止レバー251を保持した後に、前記先幕チャージレバー232の係止が解除される方向である解除方向に該先幕係止レバー251を付勢する付勢力を発生する先幕付勢機構とを備えている。一例として、先幕保持レバー241、先幕付勢レバー253及び付勢バネ253bが先幕付勢機構を構成している。
この構成によれば、先幕駆動レバー223を開方向に回転させることによって先幕羽根21が開口11aを開放する開位置に移動し、先幕駆動レバー223を閉方向に回転させることによって先幕羽根21が開口11aを覆う閉位置に移動する。この先幕羽根21の開位置への移動は、先幕駆動バネ231の付勢力により先幕チャージレバー232が駆動方向に回転し、該先幕チャージレバー232が先幕駆動レバー223を開方向への回転させることによって実現される。先幕駆動バネ231の付勢力は、先幕チャージレバー232をチャージ方向に回転させることによって発生させる。先幕係止レバー251は、チャージ方向に回転させた状態の先幕チャージレバー232を係止し、先幕チャージレバー232を係止した先幕係止レバー251を先幕吸着ユニット252が電磁力により保持している。先幕吸着ユニット252が先幕係止レバー251の保持を解除すると、先幕係止レバー251は、先幕付勢機構によって解除方向へ移動させられる。これにより、先幕係止レバー251による先幕チャージレバー232の係止が解除され、先幕チャージレバー232が先幕駆動バネ231の付勢力により駆動方向へ回転する。
このように、先幕駆動バネ231を弾性変形させた先幕チャージレバー232を直接、保持するのではなく、該先幕チャージレバー232を先幕係止レバー251で係止し、該先幕係止レバー251を先幕吸着ユニット252によって保持している。こうすることによって、先幕チャージレバー232を直接保持する構成に比べて、先幕チャージレバー232を保持する電磁力を小さくすることができる。
その結果、開口11a,12aが大きなフルフレーム用のシャッタ装置であっても、先幕チャージレバー232の保持する電磁力を小さくすることができるので、シャッタ装置を小型化することができ、消費電力を低減することができる。
また、前記先幕吸着ユニット252は、前記先幕付勢機構が前記先幕係止レバー251を前記解除方向へ付勢している状態において前記先幕係止レバー251の保持を解除することによって、前記先幕チャージレバー232を前記先幕駆動バネ231の付勢力により前記駆動方向に回転させる。
この構成によれば、先幕係止レバー251が先幕吸着ユニット252に保持されているときに、前記先幕付勢機構が先幕係止レバー251を解除方向へ付勢している。そのため、先幕吸着ユニット252が先幕係止レバー251の保持を解除すると、先幕係止レバー251が解除方向へ移動する。つまり、先幕吸着ユニット252が先幕係止レバー251の保持を解除することによって、先幕羽根21の開位置への移動を開始させることができる。
また、前記先幕付勢機構は、前記先幕係止レバー251を前記解除方向へ付勢していないときには、前記先幕係止レバー251による前記先幕チャージレバー232の係止が外れないように該先幕係止レバー251の移動を規制する。
具体的には、先幕付勢機構の先幕保持レバー241及び先幕付勢レバー253が先幕係止レバー251を係止位置に位置させている。このとき、先幕係止レバー251の連結ピン251aは、先幕付勢レバー253の長孔253c内において連結ピン253a側の端部に位置している。そのため、先幕係止レバー251は、解除方向への移動が規制されている。これにより、先幕係止レバー251による先幕チャージレバー232の係止を維持することができる。
さらに、前記先幕付勢機構は、前記先幕羽根21を前記開位置に移動させた状態の前記先幕駆動レバー223を保持する先幕保持レバー241を有し、前記先幕駆動レバー223は、前記閉方向へ付勢されており、前記先幕付勢機構が前記先幕係止レバー251を前記解除方向へ付勢するときに前記先幕保持レバー241による保持が解除されることによって該閉方向へ回転する。
つまり、先幕係止レバー251が解除方向へ付勢されるときは、先幕吸着ユニット252による先幕係止レバー251の保持が解除される前段階であり、即ち、先幕羽根21が先幕駆動レバー223によって開位置へ移動させられる前段階である。そのため、先幕保持レバー241は、先幕係止レバー251が解除方向へ付勢されるときに該先幕駆動レバー223の保持を解除して、先幕駆動レバー223を閉方向へ回転させ、先幕羽根21を閉位置に位置させておく。つまり、先幕係止レバー251が解除方向へ付勢されるときに、それ以降に行われる先幕羽根21の開位置への移動に備えて、先幕羽根21を閉位置に位置させておく。
このような構成によれば、先幕羽根21を開位置に保持することができる。そして、先幕チャージレバー232は、先幕駆動レバー223とは独立して、先幕駆動バネ231のチャージを行うことができる。そして、露光を行う際には、先幕羽根21を容易に閉位置に移動させることができる。その結果、ノーマリーオープンを容易に実現することができる。
また、前記シャッタ装置1は、前記先幕チャージレバー232を前記チャージ方向に回転させる第1カム部41と、前記先幕係止レバー251が前記解除方向へ付勢されるように前記先幕付勢機構を作動させる第2カム部42とを有するカム機構400をさらに備えている。
この構成によれば、先幕チャージレバー232及び先幕付勢機構の駆動をカム機構400によって行うことができる。
前記先幕付勢機構と前記先幕保持レバー241とは、連動しており、前記第2カム部42によって作動させられる。
前記の構成によれば、先幕保持レバー241による先幕駆動レバー223の保持解除と、先幕付勢機構による付勢力の発生とを連動させることができる。つまり、先幕羽根21の閉位置への移動と、先幕係止レバー251の解除方向への付勢とを連動させることができる。先幕係止レバー251が解除方向へ付勢されるときは、露光の準備段階なので、それに合わせて、先幕羽根21を閉位置へ移動させておくことができる。
前記先幕係止レバー251は、前記先幕チャージレバー232を係止する係止位置と、該先幕チャージレバー232の通過を可能とする退避位置との間で変位可能に設けられた係止片254を有し、前記係止片254は、前記先幕係止レバー251が前記先幕吸着ユニット252により保持された状態において、前記退避位置へ移動することによって前記先幕チャージレバー232を通過させた後、前記係止位置へ移動することによって該先幕チャージレバー232を係止する。
この構成によれば、先幕係止レバー251が先幕吸着ユニット252に保持された状態であっても、先幕チャージレバー232を係止片254に容易に係合させることができる。
また、前記シャッタ装置1は、開口11aが形成された地板11と、前記開口11aを開閉可能な後幕羽根31と、回転可能に構成され、開方向に回転することによって前記後幕羽根31を前記開口11aを開放する位置である開位置に移動させる一方、該開方向とは逆向きの閉方向に回転することによって前記後幕羽根31を前記開口11aを覆う位置である閉位置に移動させる後幕駆動レバー323と、後幕駆動バネ331及び該後幕駆動バネ331を弾性変形させる後幕チャージレバー332を有し、該後幕チャージレバー332を該後幕駆動バネ331を弾性変形させる方向であるチャージ方向に回転させることによって該後幕駆動バネ331に付勢力を発生させる一方、該後幕駆動バネ331の付勢力により該後幕チャージレバー332を該チャージ方向とは逆向きの駆動方向に回転させることによって該後幕チャージレバー332が前記後幕駆動レバー323を前記閉方向へ回転させる後幕チャージ機構330と、前記後幕チャージレバー332をチャージ方向に回転させた状態で係止する後幕係止レバー351と、前記後幕係止レバー351が前記後幕チャージレバー332を係止した状態で該後幕係止レバー351を電磁力によって保持する後幕吸着ユニット352と、前記後幕吸着ユニット352が前記後幕係止レバー351を保持した後に、前記後幕係止レバー351の係止が解除される方向である解除方向に該後幕係止レバー351を付勢する付勢力を発生する後幕付勢機構とを備えている。一例として、伝達レバー356、後幕付勢レバー353及び付勢バネ353bが後幕付勢機構を構成している。
この構成によれば、後幕駆動レバー323を開方向に回転させることによって後幕羽根31が開口11aを開放する開位置に移動し、後幕駆動レバー323を閉方向に回転させることによって後幕羽根31が開口11aを覆う閉位置に移動する。この後幕羽根31の閉位置への移動は、後幕駆動バネ331の付勢力により後幕チャージレバー332が駆動方向に回転し、該後幕チャージレバー332が後幕駆動レバー323を閉方向への回転させることによって実現される。後幕駆動バネ331の付勢力は、後幕チャージレバー332をチャージ方向に回転させることによって発生させる。後幕係止レバー351は、チャージ方向に回転させた状態の後幕チャージレバー332を係止し、後幕チャージレバー332を係止した後幕係止レバー351を後幕吸着ユニット352が電磁力により保持している。後幕吸着ユニット352が後幕係止レバー351の保持を解除すると、後幕係止レバー351は、後幕付勢機構によって解除方向へ移動させられる。これにより、後幕係止レバー351による後幕チャージレバー332の係止が解除され、後幕チャージレバー332が後幕駆動バネ331の付勢力により駆動方向へ回転する。
このように、後幕駆動バネ331を弾性変形させた後幕チャージレバー332を直接、保持するのではなく、該後幕チャージレバー332を後幕係止レバー351で係止し、該後幕係止レバー351を後幕吸着ユニット352によって保持している。こうすることによって、後幕チャージレバー332を直接保持する構成に比べて、後幕チャージレバー332を保持する電磁力を小さくすることができる。
また、前記後幕吸着ユニット352は、前記後幕付勢機構が前記後幕係止レバー351を前記解除方向へ付勢している状態において前記後幕係止レバー351の保持を解除することによって、前記後幕チャージレバー332を前記後幕駆動バネ331の付勢力により前記駆動方向に回転させる。
この構成によれば、後幕係止レバー351が後幕吸着ユニット352に保持されているときに、前記後幕付勢機構が後幕係止レバー351を解除方向へ付勢している。そのため、後幕吸着ユニット352が後幕係止レバー351の保持を解除すると、後幕係止レバー351が解除方向へ移動する。つまり、後幕吸着ユニット352が後幕係止レバー351の保持を解除することによって、後幕羽根31の閉位置への移動を開始させることができる。
また、前記後幕付勢機構は、前記後幕係止レバー351を前記解除方向へ付勢していないときには、前記後幕係止レバー351による前記後幕チャージレバー332部材の係止が外れないように該後幕係止レバー351の移動を規制する。
具体的には、後幕付勢機構の伝達レバー356及び後幕付勢レバー353が後幕係止レバー351を係止位置に位置させている。このとき、後幕係止レバー351の連結ピン351aは、後幕付勢レバー353の長孔353c内において連結ピン353a側の端部に位置している。そのため、後幕係止レバー351は、解除方向への移動が規制されている。これにより、後幕係止レバー351による後幕チャージレバー332の係止を維持することができる。
さらに、前記シャッタ装置1は、前記後幕羽根31を前記閉位置に移動させた状態の前記後幕駆動レバー323を保持する後幕保持レバー341をさらに備え、前記後幕駆動レバー323は、前記開方向へ付勢されており、前記後幕保持レバー341による保持が解除されることによって該開方向へ回転する。
つまり、前記後幕駆動レバー323は、後幕羽根31を閉位置に移動させた状態で後幕保持レバー341により保持される。イメージセンサの電荷の読出を行う際には、開口11a,12aを覆って、イメージセンサに光が入射しないようにしておく必要がある。つまり、後幕保持レバー341によって、後幕羽根31を閉位置に保持しておくことによってイメージセンサの電荷の読出を行うことができる。また、後幕駆動レバー323が後幕保持レバー341を保持している間に、後幕チャージレバー332が後幕駆動バネ331のチャージを行うことができる。つまり、イメージセンサの電荷の読出と後幕駆動バネ331のチャージとを並行して行うことができる。
前記後幕保持レバー341は、前記後幕付勢機構が前記後幕係止レバー351を前記解除方向へ付勢するときに前記後幕駆動レバー323の保持を解除する。
つまり、後幕係止レバー351が解除方向へ付勢されるときは、後幕吸着ユニット352による後幕係止レバー351の保持が解除される前段階であり、即ち、後幕羽根31が後幕駆動レバー323によって閉位置へ移動させられる前段階である。そのため、後幕保持レバー341は、後幕係止レバー351が解除方向へ付勢されるときに該後幕駆動レバー323の保持を解除して、後幕駆動レバー323を改方向へ回転させ、後幕羽根31を開位置に位置させておく。つまり、後幕係止レバー351が解除方向へ付勢されるときに、それ以降に行われる後幕羽根31の閉位置への移動に備えて、後幕羽根31を開位置に位置させておく。
また、前記シャッタ装置1は、前記後幕チャージレバー332を前記チャージ方向に回転させる第1カム部41と、前記後幕係止レバー351が前記解除方向へ付勢されるように前記後幕付勢機構を作動させる第4カム部44とを有するカム機構400をさらに備えている。
この構成によれば、後幕チャージレバー332及び後幕付勢機構の駆動をカム機構400によって行うことができる。
カム機構400は、前記後幕保持レバー341を作動させる第3カム部43をさらに有する。
この構成によれば、後幕チャージレバー332及び後幕付勢機構に加えて、後幕保持レバー341の駆動をカム機構400によって行うことができる。
また、前記先幕カム機構と前記後幕カム機構とは、1つの共通のカム機構400である。
この構成によれば、カム機構400が先幕カム機構及び後幕カム機構として共用される。つまり、カム機構の個数を減らすことができるので、シャッタ装置1の小型化することができる。
前記カム機構400は、所定の回転軸E回りに回転駆動され、前記第2カム部42、前記第3カム部43及び第4カム部44の前記回転軸E方向の位置は、前記第1カム部41と異なる。
第2〜第4カム部42〜44を回転軸E方向において第1カム部41と同じ位置に配置すると、複数のカム部を回転軸E回りの単一の円周上に配置しなければならず、カム機構400が大きくなってしまう。それに対して、前記の構成によれば、少なくとも第2〜第4カム部42〜44の回転軸E方向の位置が第1カム部41と異なっているので、カム機構400を小型化することができる。さらに、少なくとも第2〜第4カム部42〜44を第1カム部41とは異なる円周上に配置することができるので、設計自由度を高めることができる。
さらに、前記共通のカム機構400は、前記後幕チャージレバー332を前記チャージ方向に回転させ、該後幕チャージレバー332の回転が完了した後、前記先幕チャージレバー232を前記チャージ方向に回転させ始める。
この構成によれば、先幕チャージレバー232と後幕チャージレバー332とを同時に回転させないので、カム機構400の出力を小さくすることができる。その結果、カム機構400の駆動モータを小さくすることができ、ひいては、シャッタ装置1を小型化することができる。
前記後幕係止レバー351は、前記後幕チャージレバー332を係止する係止位置と、該後幕チャージレバー332の通過を可能とする退避位置との間で変位可能に設けられた係止片354を有し、前記係止片354は、前記後幕係止レバー351が前記後幕吸着ユニット352により保持された状態において、前記退避位置へ移動することによって前記後幕チャージレバー332を通過させた後、前記係止位置へ移動することによって該後幕チャージレバー332を係止する。
この構成によれば、後幕係止レバー351が後幕吸着ユニット352に保持された状態であっても、後幕チャージレバー332を係止片354に容易に係合させることができる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記シャッタ装置1は、先幕ユニット200と後幕ユニット300とを備えているが、何れか一方を備えていなくてもよい。例えば、電子シャッタを何れかのユニットのように機能させることができる。
前記実施形態では、先幕羽根群210及び後幕羽根群310は、それぞれ4枚の羽根を有しているが、羽根の枚数はこれに限られるものではない。羽根の枚数は、1枚でもよいし、5枚以上であってもよい。
また、前記実施形態では、先幕羽根群210の駆動を、先幕駆動アーム221、先幕従動アーム222及び先幕駆動レバー223を介して行っているが、この構成に限られるものではない。例えば、先幕チャージレバー232が先幕駆動アーム221と直接係合する構成においては、先幕駆動レバー223を省略することもできる。後幕羽根群310の駆動についても同様である。
また、先幕羽根群210が開状態における先幕駆動レバー223の保持、チャージ後の先幕チャージレバー232の先幕係止レバー251による係止、先幕係止レバー251の吸着、及び先幕係止レバー251の解除方向への付勢のための構成は、一例である。先幕駆動レバー223の保持、先幕チャージレバー232の係止、並びに、先幕係止レバー251の吸着及び付勢を実現できる限りは、任意の構成を採用することができる。例えば、先幕保持レバー241は、先幕駆動レバー223の係止と、先幕係止レバー251の解除方向への付勢との両方の機能を有するが、先幕保持レバー241が何れか一方だけの機能を有し、他方の機能を有する部材を別途設けてもよい。また、先幕係止レバー251の係止位置と解除位置との間の移動と先幕係止レバー251の解除方向への付勢を、先幕保持レバー241及び先幕付勢レバー253を含む共通の機構により実現しているが、それぞれを行う別々の機構を設けてもよい。後幕ユニット300についても同様である。
また、前記実施形態では、各部材及び機構の駆動を1つの駆動カム機構400によって実現しているが、これに限られるものではない。各部材及び機構の駆動源を複数設けてもよい。例えば、先幕ユニット200を駆動する先幕カム機構と、後幕ユニット300を駆動する、先幕カム機構とは別の後幕カム機構とを設けてもよい。
さらに、前記実施形態では、その構成上、第1カム部41が始めに後幕チャージレバー332をチャージ方向に回転させ、そのチャージが完了した後に、先幕チャージレバー232をチャージ方向に回転させ始めているが、これに限られるものではない。例えば、先に先幕チャージレバー232をチャージ方向に回転させ、そのチャージが完了した後に、後幕チャージレバー332をチャージ方向に回転させ始めてもよい。尚、駆動カム機構400の駆動モータの出力が大きい場合には、先幕チャージレバー232と後幕チャージレバー332とを同時に回転させてもよい。
また、先幕係止レバー251には、係止片254が回転可能に設けられており、これにより、先幕チャージレバー232の通過及び係止を容易にしている。しかし、先幕チャージレバー232を通過させ且つ係止する構成は、これに限られるものではない。例えば、先幕係止レバー251の係止片254を回転不能とし、先幕チャージレバー232の係合部232eを回転可能に構成してもよい。つまり、先幕チャージレバー232が係止片254を通過するときには係合部232eが回転するようにし、係止片254の通過後には係合部232eが元の状態に戻るように構成してもよい。後幕係止レバー351の係止片354についても同様である。
また、前記実施形態では、先幕保持レバー241が第2カム部42と係合して、先幕保持レバー241による先幕駆動レバー223の保持が解除されるときには、後幕チャージレバー332と第1カム部41との係合が解除されているが、これに限られるものではない。例えば、後幕チャージレバー332のローラ332dが第1カム部41に乗り上げている状態において、先幕保持レバー241のローラ241cと第2カム部42とが係合するように構成してもよい。この構成において、後幕チャージレバー332と第1カム部41とが係合し且つ先幕保持レバー241と第2カム部42とが係合した状態でカム機構400の駆動モータを停止することによって、ノーマリークローズタイプのシャッタとして使用することも可能である。