以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態におけるシャッタ装置を備えた撮像装置の構成について説明する。図1は、撮像装置(デジタル一眼レフカメラ)10の構成図である。撮像装置10は、カメラ本体1と、カメラ本体1に着脱可能な交換レンズ(レンズ装置)2とを備えて構成される。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、カメラ本体とレンズ装置とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
カメラ本体1は、焦点検出ユニット3、光学ファインダーユニット4、メインミラー5、サブミラー6、シャッタ装置(フォーカルプレンシャッタ)100、および、撮像センサ(撮像素子)7を有する。交換レンズ2を透過した光束Lは、カメラ本体1のメインミラー5に入射する。メインミラー5は、撮影光路内を進退可能なハーフミラーである。メインミラー5で反射した光束L1は、光学ファインダーユニット4に導かれる。一方、メインミラー5を透過した光束L2は、サブミラー6により下方へ反射され、焦点検出ユニット3へ導かれる。サブミラー6は、メインミラー5に回動可能に保持され、メインミラー5と同時に撮影光路内を進退する。
サブミラー6の後方には、シャッタ装置100が設けられている。シャッタ装置100の後方には、撮像センサ7が設けられている。撮像センサ7は、交換レンズ(撮像光学系)2を介して形成された光学像を光電変換し、画像データを出力する。メインミラー5およびサブミラー6が撮影光路から退避すると、交換レンズ2を通過した光束Lは、シャッタ装置100のアパーチャ(開口部)を通過して撮像センサ7へ入射する。撮影の際には、撮像センサ7のリセット動作、および、シャッタ装置100のシャッタ羽根群がアパーチャの開口サイズを変化させることにより、露光量を制御する。
次に、図2および図3を参照して、シャッタ装置100の構成および動作について説明する。図2は、シャッタ装置100の分解斜視図である。図3は、シャッタ装置100の駆動部の正面(レンズ側)から見た部分拡大図である。なお、図3(A)はシャッタ地板120等の一部の部品を省略して示しており、図3(B)は図3(A)からさらにいくつかの部品を省略して示している。
シャッタ地板120には、所定の間隔をあけてカバー板121が取り付けられている。シャッタ地板120およびカバー板121には、互いに類似した形状のアパーチャ(開口)120a、121aがそれぞれ形成されている。2つのアパーチャ120a、121aを重ね合わせた長方形の露光開口が、シャッタ装置100を通過する光束を規定している。また、シャッタ地板120とカバー板121との間に羽根室が形成されている。その羽根室の内部には、遮光羽根と羽根アームとを備えて構成されるシャッタ羽根群101が配置されている。
シャッタ羽根群101は、アパーチャ(開口)120a、121aを閉鎖する閉鎖状態(重畳状態)と開口を開放する開放状態(展開状態)との間で往復移動可能である。シャッタ羽根群101には、羽根レバー102が連結されている。羽根レバー102は、シャッタ羽根群101が開口を閉鎖する第1の方向(右回転方向、展開方向)および開口を開放する第2の方向(左回転方向、重畳方向)に回動可能である。
シャッタ地板120には、軸120b、120c、120d、120e、120fが設けられている。またシャッタ地板120の裏側には、軸120bと同軸に設けられた軸(不図示)が設けられており、この軸にはシャッタ羽根群101が駆動可能に取り付けられている。軸120bには、羽根レバー(第1の駆動手段)102および駆動レバー(第2の駆動手段)103が回動可能に取り付けられている。羽根レバー102は、軸102cを有する。軸102cは、シャッタ羽根群101の羽根アームに係合している。すなわち羽根レバー102は、シャッタ羽根群101と連結している。したがって、羽根レバー102の回動に伴ってシャッタ羽根群101が展開または重畳され、それによりアパーチャ120a、121aを通過する光束が制御される。
シャッタ羽根群101には、羽根付勢ばね(第1の付勢手段)106が取り付けられている。羽根付勢ばね106による正面から見て右回転方向の付勢力により、シャッタ羽根群101は展開状態を保持することが可能となる。羽根レバー102には、アーマチュア110が多少の遊びをもって取り付けられている。シャッタ羽根群101が重畳した状態において、ヨーク119は、アーマチュア110に確実に接触する位置において、カバー部材(不図示)に取り付けられている。すなわち、シャッタ羽根群101が重畳した状態において、羽根レバー102は、アーマチュア110をヨーク119に対してオーバーチャージした状態になっている。また、ヨーク119に巻き付いているコイル(電磁石)109に通電することにより、ヨーク119は磁力でアーマチュア110を吸着保持することが可能である。
駆動レバー103は、メインばね(第2の付勢手段)107により、正面図で右回転方向に付勢されている。羽根レバー102は、面102aを有する。駆動レバー103は、メインばね107により付勢されることで、羽根レバー102の面102aに当接する当接部103aを有する。駆動レバー103は、メインばね107により付勢されることで、羽根レバー102と一体となってシャッタ羽根群101を、正面図において右回転方向(展開方向)に駆動する。
シャッタ地板120の軸120cには、羽根駆動カム(第3の駆動手段)104およびチャージカム(第4の駆動手段)105が回動可能に設けられている。シャッタ地板120の軸120dには、羽根駆動伝達レバー(第1の動力伝達手段)113およびチャージ伝達レバー(第2の動力伝達手段)114が回動可能に設けられている。羽根駆動伝達レバー113は、ばね(第3の付勢手段)116により、正面図において左回転方向(羽根駆動カム104に当接する方向)に付勢されている。チャージ伝達レバー114は、ばね118により、正面図において左回転方向(チャージカム105に当接する方向)に付勢されている。
羽根駆動カム104およびチャージカム105は、一体的に回動するように一体成形されているか、または、一体的に回動するように互いに取り付けられており、ギア列(不図示)を介してモータ108からの動力により正面図において左回転方向に回動する。羽根駆動カム104は、カム面104aを有する。カム面104aは、羽根駆動伝達レバー113のカムフォロワ部113aに接触して、羽根駆動伝達レバー113を駆動する。羽根駆動伝達レバー113は、カム面113bを有する。カム面113bは、羽根レバー102のカムフォロワ部102bに接触して、羽根レバー102を駆動する。チャージカム105は、カム面105aを有する。カム面105aは、チャージ伝達レバー114のカムフォロワ部114aに接触して、チャージ伝達レバー114を駆動する。チャージ伝達レバー114は、カム面114bを有する。カム面114bは、駆動レバー103のカムフォロワ部103bに接触して、駆動レバー103を駆動する。すなわち、羽根駆動カム104の回動により当接した羽根駆動伝達レバー113が回動することで、羽根レバー102を駆動する。また、チャージカム105の回動により当接したチャージ伝達レバー114が回動することで、駆動レバー103を駆動する。
羽根駆動カム104は、回動中心と同心円のカムトップ面104bを有する。カムトップ面104bは、カム面104aと一続きになるように設けられている。チャージカム105は、回動中心と同心円のカムトップ面105bを有する。カムトップ面105bは、カム面105aと一続きになるように設けられている。羽根駆動伝達レバー113は、回動中心と同心円のカムトップ面113cを有する。カムトップ面113cは、カム面113bと一続きになるように設けられている。チャージ伝達レバー114は、回動中心と同心円のカムトップ面114cを有する。カムトップ面114cは、カム面114bと一続きになるように設けられている。
シャッタ地板120の軸120eには、羽根係止レバー(第1の係止手段)115が回動可能に取り付けられている。羽根係止レバー115は、ばね(不図示)により、正面図において右回転方向に付勢されている。羽根係止レバー115は、フック部115aを有し、シャッタ羽根群101が展開される(羽根レバー102が正面図で右回転方向に回転する)際に、羽根レバー102のフック部102dが羽根係止レバー115のフック部115aを押しのけてフックが引っ掛る。これにより、羽根レバー102をシャッタ羽根群101が展開された状態で係止させる。チャージ伝達レバー114は、ピン部114dを有する。羽根係止レバー115は、チャージ伝達レバー114がチャージカム105により駆動されると、ピン部114dと当接し、正面図において左回転方向に回動させられることで係止が解除された状態になる。
シャッタ地板120の軸120fには、羽根駆動伝達係止レバー(第2の係止手段)117が回動可能に取り付けられている。羽根駆動伝達係止レバー117は、ばね(不図示)により、正面図において左回転方向に付勢されている。羽根駆動伝達レバー113は、係止カム部113dを有し、ばね116の付勢力により正面図において左回転に駆動された際に、羽根駆動伝達係止レバー117が羽根駆動伝達レバー113の正面図で右回転の動きを抑制する。チャージ伝達レバー114は、係止解除カム部114eを有する。羽根駆動伝達係止レバー117は、チャージ伝達レバー114がチャージカム105により正面図において左回転方向に駆動されると、羽根駆動伝達係止レバー117を正面図で右回転方向に押しのけて係止を解除する。
次に、図4乃至図6を参照して、シャッタ装置100の動きを説明する。図4は、シャッタ装置100の動作を示すタイミングチャートである。図5は、シャッタ装置100の駆動部の待機位相から撮影位相までの説明図である。図6は、シャッタ装置100の駆動部のチャージ位相から羽根戻し駆動位相までの説明図である。図5(A)~(D)および図6(E)~(H)は、図4中に示される状態A~Hにそれぞれ対応する。また、図5(A´)~(D´)および図6(E´)~(H´)はそれぞれ、図5(A)~(D)および図6(E)~(H)における一部の部品を省略して示した図である。
図4において、状態Aは、シャッタ装置100が撮影待機位置で停止している状態(待機位相)であり、図5(A)の状態に相当する。図5(A)の状態において、シャッタ羽根群101は重畳状態であり、アパーチャ120a、121aは開放された状態である。羽根駆動伝達レバー113は、ばね116によりカムフォロワ部113aが羽根駆動カム104のカムトップ面104bに接するように付勢されることで、回動を規制されている。チャージ伝達レバー114は、ばね118によりカムフォロワ部114aがチャージカム105のカムトップ面105bに接するように付勢されることで、回動を規制されている。駆動レバー103は、メインばね107により羽根レバー102の面102aに当接するように付勢されている。
羽根レバー102は、駆動レバー103および羽根付勢ばね106により、カムフォロワ部102bが羽根駆動伝達レバー113のカムトップ面113cに接するように付勢されている。これにより、羽根レバー102および駆動レバー103の回動が規制されている。このとき羽根レバー102は、保持するアーマチュア110をヨーク119に対してオーバーチャージしており、ヨーク119とアーマチュア110は接触状態にある。羽根係止レバー115は、チャージ伝達レバー114のピン部114dにより係止解除状態(正面図において左回転方向に回転した状態)で保持されている。羽根駆動伝達係止レバー117は、係止解除カム部114eにより係止解除状態(正面図において右回転方向に回転した状態)で保持されている。
図4および図5(A)に示される状態Aから駆動を開始する際には、まず、ヨーク119に巻き付いているコイル109に通電することで、ヨーク119に磁力を発生させ、アーマチュア110を吸着保持する。そしてモータ108に通電することで、ギア列(不図示)を介して一体となって回転する羽根駆動カム104およびチャージカム105を回動させる。チャージカム105が回動を開始すると、チャージ伝達レバー114のカムフォロワ部114aは、その回動を規制していたチャージカム105のカムトップ面105bから離れる。チャージ伝達レバー114は、ばね118の付勢力により、正面図において左回転方向に駆動される。
チャージ伝達レバー114が駆動されることにより、ピン部114dは羽根係止レバー115から離れ、羽根係止レバー115は羽根レバー102を係止可能な状態となる。同時に、係止カム部113dは羽根駆動伝達係止レバー117から離れ、羽根駆動伝達係止レバー117は羽根駆動伝達レバー113を係止可能な状態となる。
一方、羽根駆動カム104は、図4に示されるようにカム面104aが徐々に低くなり、同時に、羽根駆動伝達レバー113はばね116の付勢力により羽根駆動カム104のカム面104aに追従して回動する。羽根駆動伝達レバー113が回動することにより、羽根レバー102は、カムフォロワ部102bが羽根駆動伝達レバー113のカム面113bから外れて回動を開始する。このとき駆動レバー103は、メインばね107の付勢力により、羽根レバー102と一体となって回動する。
図4および図5(B)の状態Bは、羽根レバー102のヨーク119に対するオーバーチャージ量がゼロになるところまで、羽根レバー102が回動した状態(走行準備位相)である。この位相において、羽根レバー102とアーマチュア110との遊びが無くなり、羽根レバー102とアーマチュア110とが衝突する。この位相より先の位相では、アーマチュア110がヨーク119に吸着保持されることにより、羽根レバー102および駆動レバー103の回動が規制され、羽根駆動カム104および羽根駆動伝達レバー113のみが駆動される。このとき、羽根駆動伝達レバー113のカム面113bおよび羽根駆動カム104のカム面104aの両方を斜面にしていることで、羽根レバー102の回動速度を制御し、羽根レバー102とアーマチュア110との衝突時の衝撃力を低下させている。これにより、意図しない吸着解除を防止することができ、誤動作を防ぐことが可能である。また、羽根レバー102に保持されているシャッタ羽根群101の揺れを低減することができ、露光量の繊細な調整のため、シャッタ羽根群101の揺れが収束してから行う露光動作へ素早く移行することが可能となる。その結果、連写速度の向上やレリーズタイムラグの短縮が可能となる。
図4および図5(C)の状態Cは、アーマチュア110の吸着保持が継続されたまま、さらに羽根駆動カム104が回動して、羽根駆動伝達レバー113が正面図において左回転方向に回動した状態(撮影位相)である。この位相まで羽根駆動カム104およびチャージカム105が回動すると、モータ108への通電を停止する。モータ108への通電停止後にコイル109への通電を停止すると、アーマチュア110の磁力による吸着保持が解除され、駆動レバー103および羽根レバー102は、メインばね107の付勢力により、正面図において右回転方向に回動を開始する。羽根レバー102の回動にしたがってシャッタ羽根群101は展開されていき、アパーチャ120a、121aを通過する光束を遮っていく。撮像センサ7のリセット動作およびシャッタ羽根群101の展開動作を制御することにより、撮像センサ7の露光量を制御する(露光動作を行う)ことができる。
ここで、羽根駆動伝達レバー113が正面図において左回転方向に回動した際、羽根駆動伝達係止レバー117は、ばね(不図示)の付勢により、正面図において左回転方向に回動し、羽根駆動伝達レバー113の係止カム部113dに当接する。これにより、羽根駆動伝達レバー113のバウンド(正面図における右回転方向の回動)を抑制することができる。羽根レバー102の作動範囲に羽根駆動伝達レバー113が存在すると、羽根駆動伝達レバー113が羽根レバー102と衝突し、撮像センサ7の露光量を正確に制御することができない。このため、シャッタ羽根群101の展開動作を開始する前に、羽根駆動伝達レバー113のバウンドを停止させる必要がある。本実施形態では、羽根駆動伝達係止レバー117を設けることにより、レリーズタイムラグの短縮および連写速度の向上を図ることができる。
図4および図5(D)の状態Dは、露光量制御(シャッタ羽根群101の展開動作、羽根レバー102の正面図における右回転方向の回動)が終了した状態(撮影位相)である。羽根レバー102の正面図で右回転方向の回動が完了する前に、羽根レバー102のフック部102dは、羽根係止レバー115のフック部115aを押しのけて、嵌り合い係止状態となる。シャッタ羽根群101は、展開状態になった後に大きくバウンド(重畳方向への回動)すると、一度完全に遮光されたアパーチャ120a、121aが再度開口してしまう可能性がある。そこで羽根レバー102の動きを羽根係止レバー115により規制することで、シャッタ羽根群101のバウンドを抑制することができる。その結果、意図しない再露光で露出量が変動することを防ぐことが可能となる。
図4および図6(E)の状態Eは、メインばね107をチャージ(駆動レバー103を正面図において左回転方向に回動)している間の状態(チャージ位相)である。撮像センサ7のリセット動作およびシャッタ羽根群101の展開動作により露光量制御が完了した後、電気回路(不図示)は撮像センサ7から露光情報を読み出し、同時にモータ108に通電されて羽根駆動カム104およびチャージカム105の駆動が開始する。チャージカム105が回動すると、カム面105aはチャージ伝達レバー114のカムフォロワ部114aに当接し、チャージ伝達レバー114をばね118の付勢力に抗して回動させる。チャージ伝達レバー114が回動を開始すると、カム面114bは駆動レバー103のカムフォロワ部103bに当接し、駆動レバー103を介してメインばね107をチャージする。
このとき、駆動レバー103の駆動角は約90度であり、非常に大きい。このため、シャッタ地板120の同一面に設けられたチャージカム105で直接駆動レバー103を駆動するには、駆動レバー103のカムフォロワ部103bがチャージカム105の回転中心に一度近づいてから遠ざかるようなチャージを行う必要がある。このようなチャージを行う場合、負荷の平滑化が困難であり、大きなトルクを出力することが可能なモータ108が必要となる。本実施形態では、回動中心からの距離が、チャージカム105との接点のほうが駆動レバー103との接点よりも短くなるように構成されたチャージ伝達レバー114を介して駆動を行う。このような構成により、チャージカム105のカム面105aを回動中心から外側への一方向で使用することができ、通常のカムと同様に負荷の平滑化をすることが可能となる。その結果、小型で低コストである低トルクのモータ108を採用することができる。
図4および図6(F)の状態Fは、メインばね107のチャージ(駆動レバー103を正面図において左回転方向への回動)が完了した状態(転送待ち位相)である。状態Eの位相(チャージ位相)からチャージカム105の駆動を続けると、駆動レバー103のカムフォロワ部103bは、チャージ伝達レバー114のカムトップ面114cに接触し、駆動レバー103の回動が停止する。そして、チャージ伝達レバー114のカムフォロワ部114aは、チャージカム105のカムトップ面105bに接触し、チャージ伝達レバー114の回動が停止する。これにより、駆動レバー103の停止位置は、チャージカム105の形状誤差に影響を受けない。その結果、駆動レバー103の停止位置を安定させることができる。
チャージ伝達レバー114は、正面図で左回転方向に回動し、係止解除カム部114eで羽根駆動伝達係止レバー117を正面図で右回転方向に回動させることで、係止解除状態(羽根駆動伝達レバー113を正面図で右回転方向に回動可能な状態)にする。そして、チャージ伝達レバー114は、ピン部114dで羽根係止レバー115を正面図で左回転方向に回動することで、係止解除状態(羽根レバー102を正面図で左回転方向に回動可能な状態)にする。状態Fの位相(転送待ち位相)まで駆動を行うと、モータ108への通電を停止し、羽根駆動カム104およびチャージカム105の駆動を止める。
撮像センサ7から露光情報を読み出している間にアパーチャ120a、121aを開口してしまうと、アパーチャ120a、121aを通過した光束がノイズになる可能性がある。このようなノイズを防止するため、撮像センサ7から露光情報を読み出している間、シャッタ装置100は状態Fの位相(転送待ち位相)で停止し、シャッタ羽根群101を展開状態にしておく必要がある。
露光情報の読み出しが完了した後、次の撮影の準備として、シャッタ羽根群101を重畳状態にして、アパーチャ120a、121aを開放状態にするため、モータ108に再度通電して羽根駆動カム104およいチャージカム105を駆動する。羽根駆動カム104は、正面図において左回転方向に回動すると、カム面104aが羽根駆動伝達レバー113のカムフォロワ部113aに接触して、羽根駆動伝達レバー113をばね116の付勢力に抗して正面図で右回転方向に回動させる。羽根駆動伝達レバー113は、回動を続けると、カム面113bが羽根レバー102のカムフォロワ部102bに接触して、羽根レバー102を羽根付勢ばね106の付勢力に抗して正面図で左回転方向に回動させる。
図4および図6(G)の状態Gは、羽根レバー102を回動している間の状態(羽根戻し駆動位相)である。図6(G´)に示されるように、羽根駆動伝達レバー113のカム面113bは、状態Gの位相(羽根戻し駆動位相)の先で切り替わるように構成されており、面が切り替わると羽根レバー102の回動速度が遅くなる。さらに回動を続けると、図4および図6(H)に示されるように、羽根レバー102の面102aは、駆動レバー103に接触する。さらに駆動を続けると、ヨーク119とアーマチュア110とが接触する。このように、羽根レバー102と駆動レバー103とが接触する前に羽根レバー102の回動速度を低下させることで、羽根レバー102と駆動レバー103との間の衝突を和らげ、挙動の安定および耐久性の向上を図ることができる。
ここで、羽根レバー102は、駆動レバー103と接触した後、強い付勢力を発生するメインばね107の付勢力に抗して駆動するため、さらに大きな減速をすることが可能となる。このような構成により、ヨーク119とアーマチュア110との接触のタイミングでの回動速度をより低下させることができる。このため、耐久性の向上に加え、シャッタ羽根群101の振動等の挙動の安定により、次の撮影動作開始までの時間を短縮して、連写速度の向上を図ることができる。本実施形態において、羽根レバー102の回動速度を明確な変曲点を設けて減速しているが、緩やかに減速するように羽根駆動カム104のカム面104aや羽根駆動伝達レバー113のカム面113bを構成してもよい。
さらに駆動を続けると、ヨーク119およびアーマチュア110はオーバーチャージされ、羽根レバー102のカムフォロワ部102bは、羽根駆動伝達レバー113のカムトップ面113cに接触する。そして、羽根駆動伝達レバー113のカムフォロワ部113aは、羽根駆動カム104のカムトップ面104bに接触する。これにより、羽根レバー102の停止位置は羽根駆動カム104の形状誤差に影響を受けないため、羽根レバー102の停止位置を安定させることができる。
羽根駆動伝達レバー113のカムフォロワ部113aは、羽根駆動カム104のカムトップ面104bに接触した後、モータ108への通電を停止することで、撮影準備状態である図4および図5(A)に示される位相(待機位相)で停止する。以上のように、状態Aから状態Hを経て状態Aに戻るまでの一連の動作が、本実施形態におけるシャッタ装置100が1回の撮影に必要な動作である。
このように本実施形態では、撮影準備のためのシャッタ羽根群101の重畳動作(羽根レバー102を正面図で左回転方向に回動する動作)を、モータ108の出力により行う。このため、メインばね107および羽根付勢ばね106の付勢方向を正面図で右回転方向にそろえることができる。また、本実施形態の構成では、露光量の制御の際にシャッタ羽根群101を展開する羽根レバー102に対して、メインばね107と羽根付勢ばね106とを合わせた付勢力が働くため、メインばね107の付勢力を小さくすることが可能となる。モータ108は、メインばね107のチャージ動作の際に最大出力を要求される。このため、メインばね107の付勢力を小さくすることで、より小型、軽量、かつ低コストである低トルクのモータ108を使用することができる。
このように本実施形態において、シャッタ装置100は、シャッタ羽根群101、第1の駆動手段、第2の駆動手段、第1の付勢手段、第2の付勢手段、第3の駆動手段、および、第4の駆動手段を有する。シャッタ羽根群は、開口を閉鎖する閉鎖状態(展開状態)と開口を開放する開放状態(重畳状態)との間で往復移動可能である。第1の駆動手段(羽根レバー102)は、シャッタ羽根群と連結されている。第2の駆動手段(駆動レバー103)は、シャッタ羽根群が開口を閉鎖する第1の方向(右回転方向、展開方向)に第1の駆動手段を駆動する。第1の付勢手段(羽根付勢ばね106)は、第1の方向に第1の駆動手段を付勢する。第2の付勢手段(メインばね107)は、第1の方向に第2の駆動手段を付勢する。第3の駆動手段(羽根駆動カム)は、シャッタ羽根群が開口を開放する第2の方向(左回転方向、重畳方向)に第1の駆動手段を駆動する。第4の駆動手段(チャージカム105)は、第2の方向に第2の駆動手段を駆動する。
好ましくは、シャッタ装置は、第3の駆動手段および第4の駆動手段を駆動するモータ108を有する。また好ましくは、シャッタ装置は、ヨーク119と、ヨークに巻き付いたコイル109とを有する。ヨークは、コイルへの通電により、第1の駆動手段のアーマチュア110を吸着保持することが可能である。また好ましくは、第3の駆動手段が第1の駆動手段を駆動する際に、第1の駆動手段が減速した後に第1の駆動手段と第2の駆動手段とが接触し、第1の駆動手段と第2の駆動手段とが接触した後にアーマチュアとヨークとが接触する。
本実施形態において、シャッタ装置は、第1の動力伝達手段(羽根駆動伝達レバー113)および第2の動力伝達手段(チャージ伝達レバー114)を有する。第1の動力伝達手段は、第3の駆動手段の動力を第1の駆動手段に伝達する。第2の動力伝達手段は、第4の駆動手段の動力を第2の駆動手段に伝達する。
好ましくは、シャッタ装置は、第1の駆動手段が第2の駆動手段により駆動された状態で第1の駆動手段を係止する第1の係止手段(羽根係止レバー115)を有する。より好ましくは、第1の係止手段による第1の駆動手段の係止は、第4の駆動手段が第2の動力伝達手段を駆動することにより解除される。
好ましくは、シャッタ装置は、第3の付勢手段(ばね116)および第2の係止手段(羽根駆動伝達係止レバー117)を有する。第3の付勢手段は、第1の動力伝達手段を付勢する。第2の係止手段は、第1の動力伝達手段が第3の付勢手段の付勢力により駆動された状態で、第1の動力伝達手段を係止する。より好ましくは、第2の係止手段による第1の動力伝達手段の係止は、第4の駆動手段が第2の動力伝達手段を駆動することにより解除される。
本実施形態のシャッタ装置は、低トルクのモータで駆動することが可能である。このため本実施形態によれば、小型化および低コスト化を実現可能なシャッタ装置および撮像装置を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。