JP6280465B2 - エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンに関し、詳しくは、冷始動時のPM発生量を低減することができるエンジンに関する。
従来、エンジン温度が所定の冷始動判定温度値を超える温始動の場合には、燃焼室に温始動燃料値の燃料が供給され、冷始動判定温度値以下の冷始動の場合には、温始動燃料値よりも増量された冷始動燃料増量値の燃料が供給されるように構成された、エンジンがある(例えば、特許文献1参照)。
この種のエンジンによれば、冷始動時に多くの燃料が燃焼室に供給され、冷始動の失敗を防止することができる利点がある。
しかし、この特許文献1のものでは、冷始動開始時から冷始動燃料増量値の燃料が供給されるため、問題がある。
特開2004−116394号公報(図1参照)
《問題点》 エンジン冷始動時のPM発生量が多くなる。
特許文献1のものでは、冷始動開始時から冷始動燃料増量値の燃料が供給されるため、低温のエンジンに過剰な燃料が供給され、燃料の気化不足による不完全燃焼で、冷始動時のPM発生量が多くなる。
本発明の課題は、冷始動時のPM発生量を低減することができるエンジンを提供することにある。
本発明の発明者らは、研究の結果、冷始動開始時に、少なめの燃料を供給し、エンジンを予熱した後、増量された燃料を供給すれば、増量された燃料の気化が促進され、燃焼の改善により、冷始動時のPM発生量を低減することができることを発見し、この発明に至った。
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
エンジン温度が所定の冷始動判定温度値(T1)を超える温始動の場合には、燃焼室(1)に温始動燃料値(Q1)の燃料が供給され、図2に例示するように、冷始動判定温度値(T1)以下の冷始動の場合には、温始動燃料値(Q1)よりも増量された冷始動燃料増量値(Q3)の燃料が供給されるように構成された、エンジンにおいて、
図1に例示するように、記憶装置(2)とエンジン温度検出装置(3)と電子制御装置(4)と燃料供給装置(5)とエンジン回転速度検出装置(6)と計時装置(7)とを備え、
図2に例示するように、記憶装置(2)に、冷始動判定温度値(T1)と、冷始動燃料増量値(Q3)と、これよりも少量の冷始動開始燃料制限値(Q2)と、初爆予想回転値(N1)よりも高速の予熱下限回転値(N2)と、予熱設定期間(t1)が記憶され、
図2に例示するように、エンジン温度が冷始動判定温度値(T1)以下であることが検出された冷始動の場合には、電子制御装置(4)の制御で、始動開始の場合に冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、その後、エンジン回転速度が予熱下限回転値(N2)以上となる予熱運転が予熱設定期間(t1)の間維持されたことが検出された予熱成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 冷始動時のPM発生量を低減することができる。
図2に例示するように、冷始動開始の場合に、少なめの冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、この燃料の燃焼でエンジンが予熱された後、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるので、増量された燃料の気化が促進され、燃焼の改善により、冷始動時のPM発生量を低減することができる。
特に、図1に例示するように、排気装置(28)にDPF(26)が設けられているエンジンの場合には、DPF(26)でのPM堆積速度が低下し、DPF(26)の交換頻度を少なくすることができる。
《効果》 冷始動の失敗を抑制することができる。
増量された燃料の気化が促進され、燃焼改善により、冷始動の失敗を抑制することができる。
特に、図1に例示するように、エンジン油圧ポンプのエンジン等、始動時から油圧ポンプ(27)等の負荷が掛かっているエンジンの場合でも、冷始動の失敗が起こりにくい。
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 冷始動時のPM発生量を低減することができる。
図3に例示するように、冷始動失敗の場合に、電子制御装置(4)の制御で、燃料供給が停止(S37)されるように構成されているので、無駄な燃料供給が早期に停止され、冷始動時のPM発生量を低減することができる。
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 スタータの無駄な作動を防止することができる。
図3に例示するように、前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入されていても、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電が停止(S38)されるように構成されているので、スタータ(9)の無駄な作動を防止することができる。
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 再始動に支障は生じない。
図3に例示するように、前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)され、スタータ(9)への通電が停止(S38)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)からスタータ通電停止位置(SW1)に戻された後、スタータ通電位置(SW2)に再投入されたことが検出された場合に、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電開始(S6)と燃料供給開始(S7)とが再開されて、エンジンが再始動されるように構成されているので、再始動に支障は生じない。
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 再始動時のPM発生量を低減することができる。
図3に例示するように、前記冷始動失敗後で、エンジンが再始動される場合には、最初の冷始動と同様に、再始動の開始の場合に、冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、前記予熱成功の場合に、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されているので、再始動時のPM発生量を低減することができる。
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 冷始動成功後のエンジン回転の安定化を図ることができる。
図2に例示するように、冷始動で、エンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇したことが検出された冷始動成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジンのアイドル回転速度を上昇させるアイドルアップ運転(S15)が行われるように構成されているので、エンジン温度が上昇し、冷始動成功後のエンジン回転の安定化を図ることができる。
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン回転安定化後の燃料の消費が抑制される。
図2に例示するように、前記アイドルアップ運転(S15)で、エンジン回転速度がアイドルアップ上限回転値(N5)まで上昇したことが検出されたアイドルアップ運転完了(S17)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジン温度の上昇につれてエンジン回転速度を下げるアイドルダウン運転(S19)が行われるように構成されているので、エンジン回転安定後の燃料の消費が抑制される。
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 アイドルダウン運転後の運転が適正化される。
図2に例示するように、前記アイドルダウン運転(S19)で、エンジン回転速度がアイドルダウン下限回転値(N4)まで下降したことが検出されたアイドルダウン運転完了(S21)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、アクセル開度に応じた回転速度制御(S22)が行われるように構成されているので、アイドルダウン運転(S19)後の運転が適正化される。
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン温度を簡易かつ正確に検出することができる。
エンジン温度は、エンジン冷却水温度、エンジンオイル温度、エンジン機壁温度、エンジン周辺温度のいずれかに基づいて検出されるように構成されているので、エンジン温度を簡易かつ正確に検出することができる。
本発明の実施形態に係るエンジンの模式図である。 図1のエンジンの冷始動成功時のタイムチャートである。 図1のエンジンの冷始動失敗時のタイムチャートである。 図1のエンジンの冷始動時のフローチャートである。 図1のエンジンの冷始動成功時のフローチャートである。 図1のエンジンの温始動時のフローチャートである。 図1のエンジンの始動失敗時のフローチャートである。
図1〜図7は本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図であり、この実施形態では、ディーゼルエンジンについて説明する。
このエンジンの概要は、次の通りである。
図1に示すように、このエンジンは燃焼室(1)と燃料供給装置(5)と始動装置(11)と排気装置(28)を備えている。
燃焼室(1)はシリンダ(12)内のピストン(35)の上方に形成されている。燃料供給装置(5)は、燃料噴射ポンプ(13)と電動アクチュエータ(14)と電子制御装置(4)を備えている。始動装置(11)は、キースイッチ(8)とスタータ(9)とを備えている。電子制御装置(4)はエンジンECUである。ECUは、電子制御ユニットの略称であり、マイコンである。排気装置(28)はDOC(29)とDPF(26)とを備えている。DPF(26)にPMが堆積すると、排気中に可燃性ガスを混入させ、可燃性ガスをDOC(29)で触媒燃焼させ、その燃焼熱で排気温度を上げ、DPF(26)に堆積したPMを焼却除去する。DOCはディーゼル酸化触媒の略称、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称、PMは排気中の粒子状物質の略称である。
燃料供給装置(5)の概要は、次の通りである。
図1に示すように、燃料噴射ポンプ(13)は燃料調量ラック(15)を備えている。燃料調量ラック(15)は、燃料増量側と燃料減量側に摺動可能とされ、付勢スプリング(16)で燃料増量方向に付勢(16a)されている。燃料噴射ポンプ(13)には燃料噴射パイプ(33)を介して燃料インジェクタ(34)が接続され、燃料インジェクタ(34)は燃焼室(1)に差し込まれている。電動アクチュエータ(14)は、リニアソレノイドで、出力ロッド(17)と可動鉄心(18)と電磁コイル(19)とリターンスプリング(20)とを備え、燃料調量ラック(15)を出力ロッド(17)で受け止めている。可動鉄心(18)は出力ロッド(17)に連結され、電磁コイル(19)に発生する吸引力(19a)とリターンスプリング(20)の付勢力(20a)との不釣合い力により、出力ロッド(17)を摺動させ、燃料調量ラック(15)の燃料調量位置を調節する。燃料供給装置(5)には、コモンレールシステムを用いてもよい。
図1に示すように、電動アクチュエータ(14)は電子制御装置(4)を介してエンジン温度検出装置(3)とアクセル開度検出装置(10)とエンジン回転速度検出装置(6)と燃料調量位置検出装置(21)に連携され、始動時は、エンジン温度の検出と燃料調量位置の検出に基づいて燃料調量ラック(15)の燃料調量位置を調節し、燃料噴射ポンプ(13)から燃焼室(1)への燃料供給量を制御する。始動後は、アクセル開度とエンジン回転速度と燃料調量位置の検出に基づいて、燃料調量ラック(15)の燃料調量位置を調節し、燃料噴射ポンプ(13)から燃焼室(1)への燃料供給量を調節し、エンジン回転速度を制御する。アクセル開度検出装置(10)は、アクセルレバー(22)の操作位置を検出し、エンジン回転速度検出装置(6)はクランク軸(23)の回転速度を検出し、燃料調量位置検出装置(21)は燃料調量ラック(15)の燃料調量位置を検出する。アクセル開度検出装置(10)は、アクセルペダルの操作位置を検出するものであってもよい。
始動装置(11)の概要は、次の通りである。
図1に示すように、キースイッチ(8)は、電子制御装置(4)を介して、スタータ(9)やバッテリ(24)と連携されている。キースイッチ(8)は、OFF位置(SW0)、アクセサリ位置(SW1)、スタート位置(SW2)を備えている。キースイッチ(8)がOFF位置(SW0)に投入されている間は、バッテリ(24)から電子制御装置(4)やスタータ(9)等のエンジン各部への通電はなされない。キースイッチ(8)がアクセサリ位置(SW1)に投入されると、バッテリ(4)から電子制御装置(4)には通電されるが、スタータ(9)には通電されない。すなわち、アクセサリ位置(SW1)はスタータ通電停止位置となっている。キースイッチ(8)がスタート位置(SW2)に投入されている間は、バッテリ(24)から電子制御装置(4)とともにスタータ(9)にも通電され、電動アクチュエータ(14)で燃料調量ラック(15)の燃料調量位置が始動位置に調節される。すなわち、スタート位置(SW2)はスタータ通電位置となっている。キースイッチ(8)がスタート位置(SW2)に投入されると、スタータ(9)が起動して、クランク軸(23)がクランキングされるとともに、燃料噴射ポンプ(13)から燃焼室(1)に燃料が供給され、エンジンが始動する。なお、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)からスタータ通電停止位置(SW1)に戻されると、スタータ(9)は停止する。
図1に示すように、スタータ(9)にはピニオンギヤ(30)が取り付けられ、フライホイール(31)にはリングギヤ(32)が取り付けられ、始動時にはピニオンギヤ(30)がリングギヤ(32)に噛み合い、クランク軸(23)がクランキングされ、初爆後はリングギヤ(32)の回転速度がピニオンギヤ(30)の回転速度を上回り、ピニオンギヤ(30)がリングギヤ(32)から外れる。フライホイール(31)には、油圧ポンプ(27)がクラッチを介することなく接続されているため、エンジンには始動時から油圧ポンプ(27)の負荷が掛かる。
エンジン温度が所定の冷始動判定温度値(T1)を超える温始動の場合には、燃焼室(1)に温始動燃料値(Q1)の燃料が供給され、図2に示すように、冷始動判定温度値(T1)以下の冷始動の場合には、温始動燃料値(Q1)よりも増量された冷始動燃料増量値(Q3)の燃料が供給されるように構成されている。
なお、図中の(Q0)は燃料無供給値である。
図1に示すように、このエンジンは、記憶装置(2)とエンジン温度検出装置(3)と計時装置(7)とを備えている。
図2に示すように、記憶装置(2)に、冷始動判定温度値(T1)と、冷始動燃料増量値(Q3)と、これよりも少量の冷始動開始燃料制限値(Q2)と、初爆予想回転値(N1)よりも高速の予熱下限回転値(N2)と、予熱設定期間(t1)が記憶されている。
図2に示すように、エンジン温度が冷始動判定温度値(T1)以下であることが検出された冷始動の場合には、電子制御装置(4)の制御で、始動開始の場合に冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、その後、エンジン回転速度が予熱下限回転値(N2)以上となる予熱運転が予熱設定期間(t1)の間維持されたことが検出された予熱成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されている。
図1に示すように、記憶装置(2)には、電子制御装置(4)に内蔵されたフラッシュメモリが用いられている。記憶装置(2)にはP−ROM、EP−ROM、E2P−ROMを用いてもよい。計時装置(7)には、電子制御装置(4)の演算回路が用いられている。エンジン温度検出装置(3)には、エンジン冷却水温度検出センサが用いられ、エンジン温度は、シリンダ(12)周囲の冷却水ジャケット(25)の冷却水温度に基づいて検出される。エンジン温度は、エンジンオイル温度、エンジン機壁温度、エンジン周辺温度のいずれかに基づいて検出されるように構成されていてもよい。
図2に示す冷始動判定温度値(T1)には、摂氏零下20度の温度値が用いられている。冷始動判定温度値(T1)には、例えば、摂氏零度〜零下20度の任意の温度値を用いてもよい。
図2に示すように、記憶装置(2)に予熱下限回転値(N2)よりも高速の始動成功判定回転値(N3)が記憶され、冷始動で、エンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇したことが検出された冷始動成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジンのアイドル回転速度を上昇させるアイドルアップ運転(S15)が行われるように構成されている。
図2に示すように、記憶装置(2)にアイドルアップ上限回転値(N5)が記憶されている。
前記アイドルアップ運転(S15)で、エンジン回転速度がアイドルアップ上限回転値(N5)まで上昇したことが検出されたアイドルアップ運転完了(S17)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジン温度の上昇につれてエンジン回転速度を下げるアイドルダウン運転(S19)が行われるように構成されている。
図2に示すように、記憶装置(2)にアイドルダウン下限回転値(N4)が記憶されている。
前記アイドルダウン運転(S19)で、エンジン回転速度がアイドルダウン下限回転値(N4)まで下降したことが検出されたアイドルダウン運転完了(S21)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、アクセル開度に応じた回転速度制御(S22)が行われるように構成されている。
図3に示すように、記憶装置(2)に冷始動設定期間(t2)が記憶されている。図3に示すように、冷始動の燃料供給開始時点(t0)から冷始動設定期間(t2)が経過しても、エンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇しないことが検出された冷始動失敗の場合に、電子制御装置(4)の制御で、燃料供給が停止(S37)されるように構成されている。
冷始動設定期間(t2)は、予熱設定期間(t1)が終了した後に終了する長さに設定されている。
図3に示すように、前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入されていても、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電が停止(S38)されるように構成されている。
図3に示すように、前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)され、スタータ(9)への通電が停止(S38)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)からスタータ通電停止位置(SW1)に戻された後、スタータ通電位置(SW2)に再投入されたことが検出された場合に、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電開始(S6)と燃料供給開始(S7)とが再開されて、エンジンが再始動されるように構成されている。
図3に示すように、前記冷始動失敗後、エンジンが再始動される場合には、最初の冷始動と同様に、再始動の開始の場合に、冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、前記予熱成功の場合に、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されている。
電子制御装置(4)による始動制御の流れは、次の通りである。
図4に示すように、ステップ(S1)では、キースイッチ(8)がスタータ通電停止位置(SW1)に投入されたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S2)でエンジン温度が冷始動判定温度値(T1)以下か否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S3)で冷始動の判定がなされ、ステップ(S4)で燃料供給量が冷始動開始燃料制限値(Q2)に設定され、ステップ(S5)でキースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入されたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S6)でスタータ(9)への通電が開始され、ステップ(S7)で冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始される。
次に、ステップ(S8)でエンジン回転速度が予熱下限回転値(N2)以上まで上昇したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S9)でエンジン回転速度が予熱下限回転値(N2)以上となる予熱運転が予熱設定期間(t1)の間維持されたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S10)で予熱成功の判定がなされる。
次に、冷始動開始燃料制限値(Q2)に代え、ステップ(S11)で冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始され、ステップ(S12)でエンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S13)で冷始動成功の判定がなされ、ステップ(S14)に進む。
なお、ステップ(S1)(S5)での上記判定が否定された場合には、判定が肯定されるまで同じステップを繰り返す。
図5に示すように、ステップ(S14)では、アクセル開度がアイドル位置か否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S15)でアイドルアップ運転がなされ、ステップ(S16)でエンジン回転速度がアイドルアップ上限回転(N5)まで上昇したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S17)でアイドルアップ運転完了とされ、ステップ(S18)でアクセル開度がアイドル位置か否かが判定され、判定が肯定の場合には、ステップ(S19)でアイドルダウン運転がなされ、ステップ(S20)でエンジン回転速度がアイドルダウン下限回転値(N4)まで下降したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S21)でアイドルダウン運転完了とされ、ステップ(S22)でアクセル開度に応じた回転速度制御がなされる。
なお、ステップ(S14)(S18)での判定が否定された場合には、ステップ(S22)に進む。ステップ(S16)での判定が否定された場合には、ステップ(S14)に戻り、ステップ(S20)での判定が否定された場合には、ステップ(S18)に戻る。
図4に示すステップ(S2)での判定が否定の場合には、ステップ(S23)で温始動と判定され、ステップ(S24)に進む。
図6に示すように、ステップ(S24)では、燃料供給量が温始動燃料値(Q1)に設定され、ステップ(S25)でキースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入された否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S26)でスタータ(9)への通電が開始され、ステップ(S27)で温始動燃料値(Q1)の燃料供給が開始され、ステップ(S28)でエンジン回転速度が所定期間内に始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S29)で温始動成功の判定がなされ、ステップ(S30)でアクセル開度に応じた回転速度制御がなされる。
なお、ステップ(S25)での判定が否定された場合には、判定が肯定されるまで同じステップを繰り返す。
図6に示すステップ(S28)での判定が否定された場合、ステップ(S31)で温始動失敗の判定がなされ、ステップ(S37)に進む。
図4のステップ(S8)での判定が否定された場合には、ステップ(S32)で、予熱下限回転値(N2)未満で所定時間経過したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S33)で冷始動失敗の判定がなされ、ステップ(S37)に進む。
なお、ステップ(S32)での判定が否定の場合には、ステップ(S8)に戻る。
図4に示すステップ(S9)での判定が否定された場合には、ステップ(S34)で冷始動失敗の判定がなされ、ステップ(S37)に進む。
図4に示すステップ(S12)での判定が否定された場合には、ステップ(S35)で燃料供給開始時点(t0)から冷始動設定期間(t2)が経過したか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S36)で冷始動失敗の判定がなされ、ステップ(S37)に進む。
なお、ステップ(S35)での判定が否定された場合には、ステップ(S12)に戻る。
図7に示すように、ステップ(S31)(S33)(S34)(S36)で始動失敗の判定がなされた場合には、ステップ(S37)で燃料供給が停止され、ステップ(S38)でスタータ(9)への通電停止がなされ、ステップ(S39)でキースイッチ(8)がスタータ通電停止位置(SW1)に戻されたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S40)でキースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入されたか否かが判定され、判定が肯定された場合には、ステップ(S41)に進む。
なお、ステップ(S39)(S40)での各判定が否定された場合には、同じステップを繰り返す。
ステップ(S41)では、次の処理がなされる。
ステップ(S31)の温始動失敗判定からステップ(S37)に進んだ場合には、再始動のため、図6のステップ(S26)に戻り、スタータ(9)への通電が開始される。また、ステップ(S33)(S34)(S36)の冷始動失敗判定からステップ(S37)に進んだ場合には、再始動のため、図4のステップ(S6)に戻り、スタータ(9)への通電が開始される。
(1) 燃焼室
(2) 記憶装置
(3) エンジン温度検出装置
(4) 電子制御装置
(5) 燃料供給装置
(6) エンジン回転速度検出装置
(7) 計時装置
(8) キースイッチ
(9) スタータ
(10) アクセル開度検出装置
(T1) 冷始動判定温度値
(Q1) 温始動燃料値
(Q2) 冷始動開始燃料制限値
(Q3) 冷始動燃料増量値
(N1) 初爆予想回転値
(N2) 予熱下限回転値
(N3) 始動成功判定回転値
(N4) アイドルダウン下限回転値
(N5) アイドルアップ上限回転値
(t1) 予熱設定期間
(t2) 冷始動設定期間
(SW1) スタータ通電停止位置
(SW2) スタータ通電位置
(S6) スタータへの通電開始
(S7) Q2の燃料供給が開始
(S11) Q3に増量された燃料供給が開始
(S15) アイドルアップ運転
(S17) アイドルアップ運転完了
(S19) アイドルダウン運転
(S21) アイドルダウン運転完了
(S22) 回転速度制御
(S37) 燃料供給が停止
(S38) スタータへの通電が停止

Claims (9)

  1. エンジン温度が所定の冷始動判定温度値(T1)を超える温始動の場合には、燃焼室(1)に温始動燃料値(Q1)の燃料が供給され、冷始動判定温度値(T1)以下の冷始動の場合には、温始動燃料値(Q1)よりも増量された冷始動燃料増量値(Q3)の燃料が供給されるように構成された、エンジンにおいて、
    記憶装置(2)とエンジン温度検出装置(3)と電子制御装置(4)と燃料供給装置(5)とエンジン回転速度検出装置(6)と計時装置(7)とを備え、
    記憶装置(2)に、冷始動判定温度値(T1)と、冷始動燃料増量値(Q3)と、これよりも少量の冷始動開始燃料制限値(Q2)と、初爆予想回転値(N1)よりも高速の予熱下限回転値(N2)と、予熱設定期間(t1)が記憶され、
    エンジン温度が冷始動判定温度値(T1)以下であることが検出された冷始動の場合には、電子制御装置(4)の制御で、始動開始の場合に冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、その後、エンジン回転速度が予熱下限回転値(N2)以上となる予熱運転が予熱設定期間(t1)の間維持されたことが検出された予熱成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1に記載されたエンジンにおいて、
    記憶装置(2)に、冷始動設定期間(t2)と、予熱下限回転値(N2)よりも高速の始動成功判定回転値(N3)が記憶され、
    冷始動の燃料供給開始時点(t0)から冷始動設定期間(t2)が経過しても、エンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇しないことが検出された冷始動失敗の場合に、電子制御装置(4)の制御で、燃料供給が停止(S37)されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  3. 請求項2に記載されたエンジンにおいて、
    キースイッチ(8)とスタータ(9)とを備え
    前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)に投入されていても、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電が停止(S38)されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  4. 請求項3に記載されたエンジンにおいて、
    前記冷始動失敗で、燃料供給が停止(S37)され、スタータ(9)への通電が停止(S38)された場合には、キースイッチ(8)がスタータ通電位置(SW2)からスタータ通電停止位置(SW1)に戻された後、スタータ通電位置(SW2)に再投入されたことが検出された場合に、電子制御装置(4)の制御で、スタータ(9)への通電開始(S6)と燃料供給開始(S7)とが再開されて、エンジンが再始動されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  5. 請求項4に記載されたエンジンにおいて、
    前記冷始動失敗後で、エンジンが再始動される場合には、最初の冷始動と同様に、再始動の開始の場合に、冷始動開始燃料制限値(Q2)の燃料供給が開始(S7)され、前記予熱成功の場合に、冷始動燃料増量値(Q3)に増量された燃料供給が開始(S11)されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
    アクセル開度検出装置(10)を備え、
    記憶装置(2)に予熱下限回転値(N2)よりも高速の始動成功判定回転値(N3)が記憶され、
    冷始動で、エンジン回転速度が始動成功判定回転値(N3)以上まで上昇したことが検出された冷始動成功の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジンのアイドル回転速度を上昇させるアイドルアップ運転(S15)が行われるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  7. 請求項6に記載されたエンジンにおいて、
    記憶装置(2)にアイドルアップ上限回転値(N5)が記憶され、
    前記アイドルアップ運転(S15)で、エンジン回転速度がアイドルアップ上限回転値(N5)まで上昇したことが検出されたアイドルアップ運転完了(S17)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、エンジン温度の上昇につれてエンジン回転速度を下げるアイドルダウン運転(S19)が行われるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  8. 請求項7に記載されたエンジンにおいて、
    記憶装置(2)にアイドルダウン下限回転値(N4)が記憶され、
    前記アイドルダウン運転(S19)で、エンジン回転速度がアイドルダウン下限回転値(N4)まで下降したことが検出されたアイドルダウン運転完了(S21)の場合に、電子制御装置(4)の制御で、アクセル開度に応じた回転速度制御(S22)が行われるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載されたエンジンにおいて、
    エンジン温度は、エンジン冷却水温度、エンジンオイル温度、エンジン機壁温度、エンジン周辺温度のいずれかに基づいて検出されるように構成されている、ことを特徴とするエンジン。
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