JP6277657B2 - 画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
トナー及び不揮発性のキャリア液を含む液体現像剤を貯留し、且つ前記液体現像剤により、前記静電潜像保持体の表面に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を非浸透性の記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記記録媒体の表面に転写された前記トナー像に対し加熱および加圧を施して、前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着装置と、
を備え、
前記トナーのSP値をSP(t)、前記不揮発性のキャリア液のSP値をSP(c)、前記記録媒体のSP値をSP(m)としたとき、SP(t)とSP(c)との差の絶対値が1.5以上7.0以下であり、且つ下記関係式(A)を満たし、
関係式(A): |SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|
前記トナーにおける65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が、1×10 1 以上1×10 3 以下である
画像形成装置。
前記定着装置が、前記トナーの溶融温度以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置と、前記第1加熱装置での加熱後に前記トナーの溶融温度以上の温度で、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置と、を有する請求項1に記載の画像形成装置。
前記第2加熱加圧装置が、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す加熱加圧ロールと、前記加熱加圧ロールに付着した前記不揮発性のキャリア液を除去するキャリア液除去部材と、を備える請求項2に記載の画像形成装置。
前記不揮発性のキャリア液が、ジメチルシリコーンを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
トナー及び不揮発性のキャリア液を含む液体現像剤により、前記静電潜像保持体の表面に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を非浸透性の記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写された前記トナー像に対し加熱および加圧を施して、前記トナーを前記記録媒体に定着する定着工程と、
を有し、
前記トナーのSP値をSP(t)、前記不揮発性のキャリア液のSP値をSP(c)、前記記録媒体のSP値をSP(m)としたとき、SP(t)とSP(c)との差の絶対値が1.5以上7.0以下であり、且つ下記関係式(A)を満たし、
関係式(A): |SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|
前記トナーにおける65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が、1×10 1 以上1×10 3 以下である
画像形成方法。
前記定着工程が、前記トナーの溶融温度以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱工程と、前記第1加熱工程での加熱後に前記トナーの溶融温度以上の温度で、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧工程と、を有する請求項5に記載の画像形成方法。
前記第2加熱加圧工程が、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す加熱加圧ロールと、前記加熱加圧ロールに付着した不揮発性のキャリア液を除去するキャリア液除去部材と、を備える加熱加圧装置により行われる請求項6に記載の画像形成方法。
前記不揮発性のキャリア液が、ジメチルシリコーンを含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
請求項2に係る発明によれば、定着装置が第1加熱装置を備えない場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、第2加熱加圧装置がキャリア液除去部材を備えない場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成装置が提供される。
請求項1に係る発明によれば、トナーが上記貯蔵弾性率特性を持たない場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、不揮発性のキャリア液がパラフィンオイルを含む場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成装置が提供される。
請求項6に係る発明によれば、定着工程が第1加熱工程を有さない場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成方法が提供される。
請求項7に係る発明によれば、第2加熱加圧工程が加熱加圧ロールに付着した不揮発性のキャリア液を除去するキャリア液除去部材を備えない加熱加圧装置により行われる場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成方法が提供される。
請求項5に係る発明によれば、トナーが上記貯蔵弾性率特性を持たない場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成方法が提供される。
請求項8に係る発明によれば、不揮発性のキャリア液がパラフィンオイルを含む場合に比べ、非浸透性の記録媒体に対して定着強度に優れた定着画像を形成し得る画像形成方法が提供される。
関係式(A): |SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|
このため、この状態でトナー像を定着すると、トナー同士、及びトナーと記録媒体とが強度に結びつき合うものと考えられる。
具体的には、定着装置は、トナーの溶融温度以上の温度(例えばトナーの貯蔵弾性率が1×105Paとなる温度(A)以上の温度)にまで、トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置と、第1加熱装置での加熱後にトナーの溶融温度以上の温度(例えば前記温度(A)以上の温度)で、トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置と、を有することがよい。そして、この定着装置により、トナーの溶融温度以上の温度にまで、トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱工程と、第1加熱工程での加熱後に前記トナーの溶融温度以上の温度で、トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧工程と、を有する定着工程を実施することがよい。
以下、液体現像剤(トナー及び不揮発性のキャリア液)と非浸透性の記録媒体とのSP値の関係の詳細について説明する。
関係式(1): SP(c)<SP(t)<SP(m)
関係式(2): SP(c)>SP(t)>SP(m)
関係式(3): SP(c)>SP(m)>SP(t)[但し、|SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|]
関係式(4): SP(c)<SP(m)<SP(t)[但し、|SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|]
ΔSP(tc)が1.5未満であると、定着画像中でのキャリア液の残留が発生し定着強度に劣る。また7.0を超えると、キャリア液へのトナーの分散性が低下する。
ΔSP(tm)を上記範囲とすると、記録媒体への転写及び定着過程でトナー像中のトナーと記録媒体との間からキャリア液が排除され易くなり、定着画像と記録媒体との密着性が強まり、定着強度が高まり易くなる。
SP値の算出は、Van KreverenとHoftyzerの推算法により求められる。同方法は、凝集エネルギー密度が置換基の種類および数に依存していると考え、置換基毎に定められた凝集エネルギー値を基に、高分子のSP値をセグメント単位で計算するものである。同方法で計算された凝集エネルギーの値の多くは実験値の範囲内にあり、値として実用性が高いことが特徴である。凝集エネルギーを物質のモル容積で割り、平方根を取ったものがSP値となる(参考文献:SP値 基礎・応用と計算方法、山本秀樹著、株式会社情報機構 2005年出版)。
参考までに、SP値をSI単位(J1/2/m3/2)に換算する場合には、2046を乗ずればよい。
液体現像剤は、トナーと不揮発性のキャリア液とを含む。液体現像剤は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。
トナーは、結着樹脂を含む。トナーは、離型剤、着色剤、その他の添加成分を含んでもよい。
結着樹脂は、特に制限されないが、重付加反応または重縮合反応により合成されたものであることが、低温定着性、保存安定性の点で望ましい。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が挙げられる。この中では、組み合わせて用いる結晶性樹脂との相溶性、離型剤の内包性の観点からポリエステル樹脂が望ましく用いられる。
なお、本実施形態において「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいうが、少なくとも重量平均分子量が5000を超える結晶性の樹脂を意味し、通常は、重量平均分子量が10000以上の結晶性の樹脂を意味する。
結晶性樹脂は、溶融温度を有するため特定温度における粘度の低下が大きく、定着の際にトナーが加熱された際に、結晶性樹脂分子が熱的に活動を開始してから定着し得る領域までの温度差を小さくし得るため、更に優れた低温定着性を付与し得る。トナー粒子中の結晶性樹脂の望ましい含有量は、1質量%以上10質量%以下の範囲、更に望ましくは2質量%以上8質量%以下の範囲である。
なお、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成成分(カルボン酸成分、アルコール成分)を1単位(モル)としたときの百分率を指す。
具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類;が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキルまたはアルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性樹脂としては、公知のトナー用の非晶性結着樹脂が利用され、例えば、スチレン−アクリル樹脂等を利用し得るが、非晶性ポリエステル樹脂を用いることが好適である。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上80℃以下の範囲が望ましく、55℃以上65℃以下の範囲がより望ましい。また、重量平均分子量は8000以上30000以下の範囲であることが望ましく、8000以上16000以下の範囲であることがより望ましい。そして、第三成分を共重合してもよい。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、これと組み合わせて用いる結晶性ポリエステル化合物と共通のアルコール成分またはカルボン酸成分を持つことが混和性を高める上で望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いるカルボン酸成分としては、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた種々のジカルボン酸が用いられる。アルコール成分としても、非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる種々のジオールが用いられるが、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた脂肪族ジオールに加えて、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等を用いてもよい。
さらに、トナー製造性、耐熱性および透明性の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いることが特に望ましい。また、カルボン酸成分、アルコール成分とも複数の成分を含んでもよく、特に、ビスフェノールSは耐熱性を高める効果をもつ。
結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させてもよく、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。
具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。また結着樹脂がビニル樹脂の場合は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸類;グリセリンモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸とアルコール類等とのエステル類;オルト、メタ、パラ位のいずれかにスルホニル基を有するスチレンの誘導体;スルホニル基含有ビニルナフタレン等のスルホニル基置換芳香族ビニル;等が挙げられる。
ここで用いる界面活性剤は、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、および、種々のグラフトポリマー等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系、石油系のワックス、およびそれらの変性物などが挙げられる。
これらの離型剤粒子は、トナーの作製に際して、その他の樹脂粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
離型剤の分散径の標準偏差は0.05以下であることが望ましく、0.04以下であることがより望ましい。
なお、トナー中に分散含有される離型剤の平均分散径は、TEM(透過型電子顕微鏡)写真を、画像解析装置(ニレコ社製、Luzex画像解析装置)で解析し、100個のトナー粒子中の離型剤の分散径(=(長径+短径)/2)の平均値を計算することで求められ、標準偏差はこのとき得られた個々の分散径を元に求められる。
ここで露出率はXPS(X線光電子分光)測定により求められる。XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施される。ここで、C1Sスペクトルのピーク分離法によってトナー表面の離型剤量を定量する。ピーク分離法は、測定されたC1Sスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。分離のベースとなる成分スペクトルには、トナーの作製に用いた離型剤、結着樹脂、結晶性樹脂を単独に測定して得られたC1Sスペクトルを用いる。
着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の各種染料などが挙げられる。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、着色剤粒子の体積平均粒径も、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用い測定される。なお、着色剤の添加量は、トナー粒子全体に対し、1質量%以上20質量%以下の範囲に設定するのが望ましい。
着色剤の表面処理に用いるポリマーとしては、アクリロニトリル重合体、メチルメタクリレート重合体等が挙げられる。
トナーを磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させるが、ここで使用する磁性粉としては、フェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金またはこれら金属を含む化合物などが挙げられる。さらに、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
トナーは、公知のいかなるトナー製造方法によって作製してもよいが、特にいわゆる湿式製法、すなわち、水若しくは有機溶媒中、またはそれらの混合溶媒中で、結着樹脂と着色剤とを含む着色粒子を造粒する造粒工程と、着色粒子を洗浄し、乾燥する洗浄乾燥工程とを経て製造されることが、前述のトナー粒子表面の元素組成を制御する上で望ましい。
本実施形態のトナーを乳化重合凝集法により作製する場合、凝集工程と、融合工程とを少なくとも経て作製されるものであるが、凝集工程を経て形成された凝集粒子(コア粒子)の表面に樹脂粒子を付着させたコア−シェル構造を有する凝集粒子を形成する付着工程を設けてもよい。
凝集工程においては、非晶性樹脂や結晶性樹脂等の結着樹脂を分散させた樹脂粒子分散液(なお、非晶性樹脂や結晶性樹脂等をそれぞれ別々の分散液として準備してもよい)と、着色剤を分散させた着色剤分散液と、離型剤を分散させた離型剤分散液と、を混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、加熱は、非晶性樹脂のガラス転移温度を下回る温度で実施する。望ましい温度範囲は、5℃から25℃下回る範囲である。
前記凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上するため特に望ましい。
無機粒子分散液は前述の着色剤分散液等における方法で作製され、無機粒子の分散平均粒径は100nm以上500nm以下の範囲とすることが望ましい。
凝集工程、または、凝集工程および付着工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを必要な範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
なお、このときのpH値のねらい目によって、特に前記第IA族元素(水素除く)の存在割合が望ましい範囲に制御される。
第IA族元素(水素除く)の存在割合を目的とする範囲とするためには、pHを6.0以上8.0以下の範囲とすることが望ましく、6.5以上7.5以下の範囲とすることがより望ましい。
なお、融合は、非晶性樹脂のガラス転移温度(または結晶性樹脂の溶融温度)以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、または、融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、または融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
凝集粒子の融合工程を終了した後、洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を行なってもよく、これらの工程を経て求められるトナー粒子を得る。洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が望ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、種々の外添剤を添加してもよい。
トナーは、65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が1×101以上1×103以下であることがよい。この貯蔵弾性率特性を持つトナーは、加熱によって貯蔵弾性率の急峻な変化(具体的には65℃から90℃の温度範囲で弾性率の急峻な変化)が生じ易い特性を持つ。貯蔵弾性率の急峻な変化が生じるトナーは、定着の際の溶融過程でトナーの溶け残りが抑制されトナー間の隙間が低減されて、定着画像中でのキャリア液の残留が抑制されるものと推察される。定着画像中での残留キャリア液が抑制されることでトナー同士が強固に結びつき合い易くなるものと考えられ、優れたトナー同士の定着性が得られ易くなると推察される。その結果、非浸透性の記録媒体に対して、より定着強度に優れた定着画像が形成され易くなると推察される。
一方、90℃での貯蔵弾性率G’(90)を1×103Pa以上とすると、定着時にホットオフセットの発生が抑制され易くなる。また、90℃での貯蔵弾性率G’(90)を1×106Pa以下とすると、定着画像中でのキャリア液の残留が抑制され、優れた定着強度が得られ易くなる。
また、測定を行う前に、20℃から100℃まで10℃間隔で、歪量の応力依存性を確認し、各温度における応力と歪量が線形関係である歪量範囲を求める。測定中は各測定温度における歪量を0.01%以上0.5%以下の範囲に維持し、全ての測定温度域において応力と歪量とが線形関係になるよう制御し、これらの測定の結果から貯蔵弾性率を求める。
また、上記第IA族元素としては、Na、Kを含むことが望ましい、
また、第IIA族元素としてはMg、Ca、第IIIB族元素としてはAl、第IVB族元素としてはSiを含むことが望ましい。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて、粒径が2.0μmから60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2の式によって求められる。
キャリア液は、非揮発性であって、トナーとのSP値の差(ΔSP(tc))が1.5以上7.0以下で、且つ関係式(A)を満たすキャリア液(不揮発性オイル)が用いられる。従って、トナー及び記録媒体のSP値によって、ΔSP(tc)が上記範囲となり、且つ関係式(A)を満たすキャリア液を選択して用いる。
ここで、不揮発性のキャリア液とは、引火点が170℃以上、または150℃で24時間後における揮発分が8質量%以下であるキャリア液を意味する。
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル(市販品では信越化学工業社製、KF−96、KF−965、KF−968等)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−99等)、メチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−50、KF−54等)等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えばエチレングリコール(市販品では和光純薬工業社製)、ジエチレングリコール(市販品では和光純薬工業社製)、プロピレングリコール(市販品では和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記引火点は、JIS K2265−4(2007年)により測定される。
記録媒体は、非浸透性であって、関係式(A)を満たす記録媒体が用いられる。従って、トナー及びキャリア液のSP値によって、関係式(A)を満たす記録媒体を選択して用いる。
ここで、非浸透性記録媒体とは、記録媒体上に10g/m2以下の液膜を形成した際に、1時間後の媒体上の液膜の重量変化が1%以下である記録媒体を意味する。但し、重量変化からは液膜の揮発分を除く。
これらの中でも、関係式(A)を満たす観点から、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、66−ナイロンからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂シートが望ましい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)について、図面を用いて詳細に説明する。
画像形成装置100は、感光体(静電潜像保持体の一例)10、帯電装置20、露光装置(潜像形成装置の一例)12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18、転写ローラ(転写装置の一例)28、非接触加熱装置(第1加熱装置の一例)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置の一例)34Aおよび34Bを含んで構成される。
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るよう設けられる。液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる攪拌部材によって攪拌してもよい。
なお、非接触加熱装置32での加熱の温度は、90℃以上であることが望ましく、更には100℃以上125℃以下であることがより望ましい。また、加熱の時間は非接触加熱装置32の記録媒体30進行方向長さとプロセススピードとによって決まる。
加熱加圧ロール34Aおよび34Bは、記録媒体30を挟んでニップを形成するよう対向配置される。加熱加圧ロール34Aおよび34Bは、金属ロールに弾性ゴム層、およびトナー離型のための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって記録媒体30を挟み込んでいる。また、少なくとも加熱加圧ロール34Aおよび34Bの一方にヒータを備えているが、該ヒータは加熱加圧ロール34Aおよび34Bの両方が備えていてもよい。
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写残トナー粒子クリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーの発生が低減されている場合は、クリーナ18は設けなくともよい。また、加熱加圧ロール34Aに付着したキャリア液は、ブレード34Cにより除去され、キャリア液回収部34Dにより回収される。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写ローラ28、クリーナ18、および、非接触加熱装置(第1加熱装置)32、加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置)34Aおよび34Bは、すべて感光体10の回転速度と同期をとって動作されている。
図2に示す画像形成装置は、シアン現像ユニット101−C、マゼンタ現像ユニット101−M、イエロー現像ユニット101−Y、黒現像ユニット101−Kを有する。各現像ユニットは、現像剤タンク102、現像剤供給ロール103、供給量規制手段104、現像ロール(現像装置の一例)105、現像ロールクリーナ106、感光体(静電潜像保持体の一例)107、帯電装置108、露光装置(潜像形成装置の一例)109、一次転写装置110、および感光体クリーナ111を有する。また、4つの各現像ユニットの感光体107それぞれに接するよう中間転写体125が設けられ、更に中間転写体125に転写されたトナー像を記録媒体127に転写する二次転写装置124、126が設けられる。記録媒体127の進行方向の二次転写装置124、126よりも下流側には定着ユニット(定着装置の一例)131が設けられ、更に定着ユニット131の下流側には排出ロール135が設けられる。
定着ユニット131には、記録媒体127進行方向の上流側から順に非接触加熱装置(第1加熱装置の一例)136および138と、ヒートロール132およびプレッシャーロール133(第2加熱加圧装置の一例)と、が設けられる。ヒートロール132には、記録媒体30上のトナー像に接触して、加熱且つ加圧した後、付着したキャリア液を除去するためのブレード132A(キャリア液除去部材の一例)、およびブレード132Aで除去したキャリア液を回収するキャリア液回収部132Bが設けられている。
定着ユニット131は、記録媒体127進行方向の上流側から順に第1加熱装置および第2加熱加圧装置を有し、第1加熱装置として非接触加熱装置136および138を有する。非接触加熱装置136および138は、板状の加熱装置であり表面が金属でなる板状体の内部にはヒータが設けてある。非接触加熱装置136および138の位置でトナー像はトナーの溶融温度以上の温度(例えばトナーの貯蔵弾性率が1×105Paとなる温度(A)以上の温度)にまで加熱される。
ヒートロール132およびプレッシャーロール133は、記録媒体127を挟んでニップを形成するよう対向配置される。ヒートロール132およびプレッシャーロール133のそれぞれは、金属ロールに弾性ゴム層、およびトナー離型のための離型層を形成し、定められた圧力とニップ幅が得られるよう図示しない加圧機構によって記録媒体127を挟み込んでいる。また、ヒートロール132およびプレッシャーロール133の両方にヒータを備えているが、該ヒータはヒートロール132およびプレッシャーロール133の一方のみに備えていてもよい。
更に、上記図1に示す画像形成装置における現像装置14は画像形成装置100に脱着されるプロセスカートリッジの方式としてもよく、更に図2に示す画像形成装置における現像剤タンク102、現像剤供給ロール103、供給量規制手段104、現像ロール105、現像ロールクリーナ106を一体化して、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジの方式としてもよい。
まず、各例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(樹脂の分子量)
以下の条件により樹脂の分子量を測定した。GPCとして「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(Refractive Index)検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
トナー、樹脂粒子、着色剤粒子等の体積平均粒径は、以下の方法により測定した。
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒径を測定した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、望ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に、測定試料を0.5mg以上50mg以下加え、これを前記電解液100ml以上150ml以下中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0μmから60μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2より算出され、数平均粒度指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2より算出され、小径側個数平均粒度指標(下GSDp)は{(D50p)/(D16p)}により算出される。
ガラス転移温度(Tg)および溶融温度(Tm)は、ASTMD3418−8に準拠して測定された各極大ピークより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、溶融温度は吸熱ピークの頂点の温度とした。測定には示差走査熱量計(DSC−7、パーキンエルマー社製)を用いた。また、装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の溶融温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用いた。
−非晶性ポリエステル樹脂(1)・非晶性樹脂粒子分散液(1a)の調製−
・ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
35モル部
・ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
65モル部
・テレフタル酸 80モル部
・n−ドデセニルコハク酸 15モル部
・トリメリット酸 10モル部
加熱乾燥した二口フラスコに、上記の成分と、これらの酸成分(テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸、トリメリット酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチル錫オキサイドと、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
また、非晶性ポリエステル樹脂(1)を示差走査熱量計(DSC)により測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は62℃であった。
得られた非晶性樹脂粒子分散液(1a)に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径D50vは0.3μm、標準偏差1.2であった。
・1,4−ブタンジオール(和光純薬工業社製) 293部
・ドデカンジカルボン酸(和光純薬工業社製) 750部
・触媒(ジブチル錫オキサイド) 0.3部
加熱乾燥した3口フラスコに、上記の成分を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で2時間攪拌を行った。その後、減圧下にて230℃まで徐々に昇温を行い5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
また、結晶性ポリエステル樹脂(2)の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は70℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂(2)を用いた以外は、樹脂粒子分散液(1a)における条件にて結晶性樹脂粒子分散液(2a)を作製した。得られた分散液に含まれる粒子の体積平均粒径D50vは0.25μm、標準偏差1.3であった。
・フタロシアニン顔料(大日精化社製、PVFASTBLUE) 25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK) 2部
・イオン交換水 125部
上記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散して着色剤分散液(1)を得た。
・ペンタエリスリトールベヘン酸テトラエステルワックス 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 300部
上記成分を混合し溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子分散液(1)を得た。
・疎水性シリカ(日本アエロジル製、RX200) 100部
・アニオン界面活性剤(日油社製、ニューレックスR) 2部
・イオン交換水 1000部
上記成分を混合し、溶解した後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で分散した後、超音波ホモジナイザー(RUS−600CCVP、日本精機製作所)にて200パス分散させ、無機粒子分散液(1)を得た。
・非晶性樹脂粒子分散液(1a) 145部
・結晶性樹脂粒子分散液(2a) 30部
・着色剤分散液(1) 42部
・離型剤粒子分散液(1) 36部
・無機粒子分散液(1) 10部
・硫酸アルミニウム(和光純薬工業社製) 0.5部
・イオン交換水 300部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH2.7に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで攪拌しながら加熱した。48℃で120分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.6μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
更に30分48℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が6.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。この凝集粒子分散液のpHは3.2であった。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を穏やかに添加してpHを8.0に調整した後、攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥してトナー粒子(1)を得た。
また、前述の方法によりトナー(1)のSP値を求めたところ、SP値は9.0であった。
−液体現像剤(A1)の調製−
上記より得たトナー(1)と、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96−20cs)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(A1)を得た。
−液体現像剤(A2)の調製−
上記より得たトナー(1)と、エチレングリコール(和光純薬工業社製)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(A2)を得た。
−参考比較用液体現像剤(B1)の調製−
上記より得たトナー(1)と、流動パラフィンオイル(松村石油(株)製、モレスコホワイトP40、引火点:130℃)と、をガラス瓶中で混合し液体現像剤(B1)を得た。
なお上記液体現像剤A1、A2および非架橋液体現像剤B1については、分散性評価のためには濃度10%、定着性評価のためには濃度30%の液体現像剤を用いた。
−比較用液体現像剤(B2)の調製−
上記より得たトナー(1)と、シクロヘキサン(和光純薬工業社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の参考比較用の液体現像剤(B2)を得た。
−参考比較用液体現像剤(B3)の調製−
上記より得たトナー(1)と、トルエン(和光純薬工業社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の参考比較用の液体現像剤(B3)を得た。
−参考比較用液体現像剤(B4)の調製−
上記より得たトナー(1)と、テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の参考比較用の液体現像剤(B4)を得た。
−参考比較用液体現像剤(B5)の調製−
上記より得たトナー(1)と、アセトン(和光純薬工業社製)と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の参考比較用の液体現像剤(B5)を得た。
−参考比較用液体現像剤(B6)の調製−
上記より得たトナー(1)と、水と、をガラス瓶中で混合しトナー濃度10%の参考比較用の液体現像剤(B6)を得た。
上記より得た液体現像剤および比較用液体現像剤のそれぞれについて、トナー(1)の分散性を目視および拡大観察にて評価し、以下の評価基準に従って評価した。なお、本評価はトナーとキャリア液とを混合して1時間放置した後に行った。結果を下記表1に示す。
・分散 :目視および拡大観察下でトナー粒子がムラなく分散している状態
・完全溶融:目視および拡大観察下でトナー粒子が観測されない状態
・凝集 :目視観察下で粗大粒子が観測される状態
・分離 :目視観察下でキャリア液とトナー粒子が完全分離している状態
(液体現像剤(1)の調製)
上記より得たトナー(1)と、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96−20cs)と、トナー濃度30%となるように混合して、液体現像剤を得た。
次いで、液体現像用の画像形成装置の試作機(定着装置を2段階定着とし、1段階目ではハロゲンヒーターによりトナー像に非接触で加熱を施し、2段階目ではキャリア液除去用のブレードが配置された加熱加圧ロール対により加熱および加圧を施す構成とした)を準備し、得られた液体現像剤(1)を充填すると共に、記録媒体としてポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム:商品名「エンブレット(ユニチカ社製)」)を充填した。
そして、この画像形成装置により、記録媒体への液体現像剤転写時のトナー質量(TMA)が3.5g/m2、キャリア液質量(CMA)が3.5g/m2となるよう調整して現像を行い、プロセススピード80m/minの速度で、更に定着条件を1段階目110℃で非接触加熱、2段階目130℃、2.7kg/cm2で加熱加圧を施す条件とし、記録媒体上に定着画像を形成した。
得られた定着画像について、次の評価を行った。結果を表2に示す。
定着画像のキャリア液残留量を、熱重量分析装置(商品名「TGA−50(島津製作所社製)」)により測定した。具体的には、記録媒体上から掻き取った定着像の粉末を熱重量分析装置で測定して、定着画像のキャリア液残留量を測定した。
定着画像の割れについては、定着画像を折り曲げ、定荷重(200g)のローラーで3往復し、画像を開いた際の割れ幅を測定して評価した。評価基準は以下の通りである。
G1:40μm以内
G2:40μmを超え、60μm以内
G3:60μmを超え、80μm以内
NG:80μmより広い
定着画像の剥がれについては、定面積の粘着テープ(18mm×10mmのニチバン製セロテープ(登録商標))を指で軽く押し付け、それを剥がした際に、画像がスポット状に剥がれてくる数を測定して評価した。評価基準は以下の通りである。
G1:0個
G2:1個以上2個以下
G3:3個以下5個以下
NG:6個以上
表2に従って、トナー、キャリア液、及び記録媒体の種類を変更した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤を調製し、これを用いて画像形成を行った。そして、得られた定着画像について評価を行った。結果を表2に示す。
但し、実施例7では、ハロゲンヒーターによりトナー像に非接触で加熱する1段階目の定着を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして定着画像を形成した。
また、実施例8では、2段階目定着を行う加熱加圧ロールからキャリア液除去用のブレードを取り外した以外は、実施例1と同様にして定着画像を形成した。
なお、比較例2では、フィルム上に画像が残らず全て流れてしまい、定着画像が得られなかった。
−キャリア液−
・シリコーンオイル: 商品名「KF−96−20cs(信越化学工業社製)」、SP値=7.1
・エチレングリコール(和光純薬工業社製)、SP値=14.6
・パラフィンオイル: 商品名「モレスコホワイトP40(モレスコ社製)」、SP値=8.4
・PSフィルム: ポリスチレンフィルム(商品名「OPSフィルム(旭化成ケミカルズ社製)」)、SP値=9.1
・PMMAフィルム: ポリメタクリ酸メチルフィルム(商品名「アクリプレン(三菱レイヨン社製)」)、SP値=9.5
・PCVフィルム: ポリ塩化ビニルフィルム(商品名「PVCフィルム(ミネロン化成工業社製)」)、SP値=9.7
・PETフィルム: ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「エンブレット(ユニチカ社製)」)、SP値=10.7
・66−NYフィルム: 66−ナイロンフィルム(商品名「エンブレム(ユニチカ社製)」)、SP値=13.6
・PTFEフィルム: ポリテトラフルオロエチレンフィルム(商品名「ニトフロン(日東電工社製)」)、SP値=6.2
12 露光装置(潜像形成装置の一例)
14 現像装置
16 中間転写体
18 クリーナ
20 帯電装置
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写ローラ
29 定着画像
30 記録媒体
32 非接触加熱装置(第1加熱装置の一例)
34A,34B 加熱加圧ロール(第2加熱加圧装置の一例)
100 画像形成装置
101−C シアン現像ユニット
101−M マゼンタ現像ユニット
101−Y イエロー現像ユニット
101−K 黒現像ユニット
102 現像剤タンク
103 現像剤供給ロール
104 供給量規制手段
105 現像ロール
106 現像ロールクリーナ
107 感光体(静電潜像保持体の一例)
108 帯電装置
109 露光装置(潜像形成装置の一例)
110 一次転写装置
111 感光体クリーナ
112 液体現像剤
121 駆動ロール
122 支持ロール
124,126 二次転写装置
125 中間転写体
127 記録媒体
131 定着ユニット(定着装置の一例)
132 ヒートロール(第2加熱加圧装置の一例)
133 プレッシャーロール(第2加熱加圧装置の一例)
134 ヒータ
135 排出ロール
136,138 非接触加熱装置(第1加熱装置の一例)
Claims (8)
- 静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
トナー及び不揮発性のキャリア液を含む液体現像剤を貯留し、且つ前記液体現像剤により、前記静電潜像保持体の表面に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を非浸透性の記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記記録媒体の表面に転写された前記トナー像に対し加熱および加圧を施して、前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着装置と、
を備え、
前記トナーのSP値をSP(t)、前記不揮発性のキャリア液のSP値をSP(c)、前記記録媒体のSP値をSP(m)としたとき、SP(t)とSP(c)との差の絶対値が1.5以上7.0以下であり、且つ下記関係式(A)を満たし、
関係式(A): |SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|
前記トナーにおける65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が、1×10 1 以上1×10 3 以下である
画像形成装置。 - 前記定着装置が、前記トナーの溶融温度以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱装置と、前記第1加熱装置での加熱後に前記トナーの溶融温度以上の温度で、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧装置と、を有する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記第2加熱加圧装置が、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す加熱加圧ロールと、前記加熱加圧ロールに付着した前記不揮発性のキャリア液を除去するキャリア液除去部材と、を備える請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記不揮発性のキャリア液が、ジメチルシリコーンを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 静電潜像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記静電潜像保持体の表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
トナー及び不揮発性のキャリア液を含む液体現像剤により、前記静電潜像保持体の表面に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を非浸透性の記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写された前記トナー像に対し加熱および加圧を施して、前記トナーを前記記録媒体に定着する定着工程と、
を有し、
前記トナーのSP値をSP(t)、前記不揮発性のキャリア液のSP値をSP(c)、前記記録媒体のSP値をSP(m)としたとき、SP(t)とSP(c)との差の絶対値が1.5以上7.0以下であり、且つ下記関係式(A)を満たし、
関係式(A): |SP(c)−SP(m)|>|SP(t)−SP(m)|
前記トナーにおける65℃での貯蔵弾性率G’(65)と90℃での貯蔵弾性率G’(90)との比G’(65)/G’(90)が、1×10 1 以上1×10 3 以下である
画像形成方法。 - 前記定着工程が、前記トナーの溶融温度以上の温度にまで、前記トナー像に対し非接触で加熱を施す第1加熱工程と、前記第1加熱工程での加熱後に前記トナーの溶融温度以上の温度で、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す第2加熱加圧工程と、を有する請求項5に記載の画像形成方法。
- 前記第2加熱加圧工程が、前記トナー像に対し加熱しつつ加圧を施す加熱加圧ロールと、前記加熱加圧ロールに付着した不揮発性のキャリア液を除去するキャリア液除去部材と、を備える加熱加圧装置により行われる請求項6に記載の画像形成方法。
- 前記不揮発性のキャリア液が、ジメチルシリコーンを含む請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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