JP6276986B2 - 反転式スロープの取付構造 - Google Patents
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Description
格納状態のスロープ板が撓むと、スロープ板を床面として使用する者に違和感を与えてしまうだけでなく、隙間に挟み込まれた砂や小石がスロープ板及びベース部材と干渉してこれらを傷つけてしまうおそれがある。また、この撓みを防止するために剛性を高めたスロープ板を形成すれば、その厚みが増大したり台座部が大型化したりして、コスト増を招くおそれがある。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的として位置づけることができる。
(3)また、前記ベース部材は、中空部を有するアルミの押出し成形体であってもよい。
(4)この場合、前記第一のボルト孔は、前記ベース部材の前記中空部を形成する上部及び下部を貫通して形成されてもよい。
(6)この場合、前記スティフナは、前記乗車口側から前記車両の内側に向かって延設されてもよい。
(8)前記ベース部材は、前記乗降口側の端部から下方に突出し前記台座部に当接する突起部を有してもよい。
(9)前記キャップは、熱可塑性樹脂で形成され、前記第一のボルト孔に係止されてもよい。
(10)前記台座部と前記ベース部材との間に弾性体が設けられ、前記弾性体は、前記台座部の上面と前記ベース部材の下面とに当接してもよい。
また、ベース部材と台座部とを締結ボルトとナットとで締結するため、反転式スロープを台座部に対して容易に着脱することができ、着脱時間の短縮も図ることができる。
本発明にかかる反転式スロープは、例えばバスや電車などの車両の乗降口に装備され、主に車椅子の使用者が車椅子に乗ったまま車両に乗降できるようにするためのものである。特に、反転式スロープは、以下に詳細を説明するように、ベース部材と、これに一端部を枢支されたスロープ板とを備え、両者が折り重ねられた状態では車両の床下に格納され、格納状態からスロープ板が反転された状態では乗降口と車両外部の地面あるいはプラットホームとの間に斜面を形成しうる。
[1−1.全体構成]
図2に示すように、本実施形態にかかる反転式スロープ1は、車両(ここでは、ノンステップバスを例示する)の乗車口6の床面部2に取り付けられている。乗降口6は、車体側面に設けられるパネル部材7,枠状のフレームに取り付けられる枠パネル8や敷居部材9で縦長の矩形に形成され、ドア3がスライドすることによって開閉される。
ドア3は、床面部2の最外側端部2aよりも車室内側で車両前後方向にスライドするように取り付けられ、床面部2の外側端部の一部は、車両の外部に露出している。
また、スロープ板20は、格納状態ではベース部材10の上方に重ねられて台座部30に格納され、床面部2がなす平面と略同一面上に平面を形成する。
以下、台座部30,ベース部材10,スロープ板20の順に各構成を説明する。
図3に示すように、台座部30は、車両の乗降口6の床面部2から略矩形状に切り取られて上下方向に長く開放するように形成された空間に設けられており、その車両前後方向の長さは、乗降口6の車両前後方向の長さよりも少し小さく形成されている。なお、台座部30の下方には、車両前後方向に延びる車体フレーム(図示略)が配設されており、この車体フレームによって台座部30が下方から支持されている。
図4に示すように、上述の台座部30には、反転式スロープ1のベース部材10が配置されて固定される。ベース部材10は、平面視で略矩形をなすベース本体13と、ベース本体13の車両内側端部に結合された縦枠部材11と、ベース本体13の前後方向の両端部にそれぞれ結合された横枠部材12,12とを有する。縦枠部材11は、箱部31の縦面部31cに接して配置され、横枠部材12,12は、箱部31の横面部31b,31bにそれぞれ接して配置される。
図1は、格納状態の反転式スロープ1を示す図であり、図4に示すA−A線に沿った拡大断面図である。図1に示すように、ベース本体13は、反転式スロープ1の格納状態では、スロープ板20との間に隙間Sを有する。この隙間Sは、格納状態のスロープ板20とベース部材10との間に挟みこまれた砂や小石を保持するための空間であり、たとえこの隙間Sに砂や小石が挟み込まれたとしても、スロープ板20は床面部2に格納される。
枠部11dの上面は、床面部2に係止されたフランジ部11bの上面と、ベース本体13の本体上部15の上面とを滑らかに接続するように平面で形成されており、枠部11dの下面は、縦スティフナ34の接続部34cに当接してこれに沿うように形成されている。なお、枠部11dの上面は、ベース本体13とこれよりも高い位置に設けられる床面部2との段差をなくすように、両者の間で傾斜面を形成し、格納状態のスロープ板20に当接してこれを支持する。
結合部12aの凹んだ空間には、ベース本体13の前端部又は後端部が挿入され、横枠部材12とベース本体13とが例えばリベット(図示略)によって結合される。フランジ部12bは、台座部30よりも車両前後方向の前方又は後方の床面部2に配置されて係止される。凹部12cは、上方に向かって開放する隙間を形成し、格納状態のスロープ板20の後述するガイド29を収納する。
図1に示すように、スロープ板20は、ベース部材10のヒンジ部17に丸棒1aを介して枢支されている。スロープ板20は、格納状態ではベース部材10の上方に重ねられ、展開状態では車両の外部で斜面を形成しうる。スロープ板20の略矩形状の両面は、互いに平行に設けられる格納面部20a及び展開面部20bで構成される。
一方、展開状態では、格納面部20aがスロープ板20の下面に位置し、展開面部20bがスロープ板20の上面に位置する。このとき、展開面部20bは地面Gとベース部材10の上面との段差をなくすように車両の外部で平面を形成し、床面として使用される。
また、図4に示すように、スロープ板20のスロープ部22には、左右方向に延びる前後端縁からそれぞれ展開面部20bに対して略直角に立設されたガイド部29,29が延設されている。各ガイド部29は、格納状態では横枠部材12の凹部12cによって形成される隙間に格納され、スロープ板20を安定して保持する。
次に、上述の反転式スロープ1の取付構造を説明する。
反転式スロープ1は、ベース部材10に対してスロープ板20が展開した状態で、台座部30の上方に配置されて固定される。台座部30に対するベース部材10の左右方向の位置決めは、突起部17aを台座部30に対して車両の内方から当接することによって行なうことができる。そして、ベース部材10が台座部30の上方の適切な位置に配置されたら、横スティフナ33に溶接されたナット51に締結ボルト52を螺合することによって、ベース部材10を台座部30に対して固定する。このようにベース部材10を台座部30に固定した状態では、弾性体70がベース部材10の下面と台座部30の上面とに当接する。
図1に示すように、上述のように締結された締結ボルト52及びナット51の上方には、締結ボルト52の露出した上面を覆うように、熱可塑性樹脂で形成されたキャップ40が取り付けられる。キャップ40は各上部ボルト孔19bに対して上方から挿入されてベース部材10に係止される。これにより、本体上部15の開口した各上部ボルト孔19bが塞がれる。
キャップ40は、その上面部42が、ベース部材10の上面よりも上方に突出して設けられる。このキャップ40の上面部42の突出量は、格納状態でベース部材10とスロープ板20との間に形成される隙間Sの高さ寸法(即ち、ベース本体13の上面とスロープ部22の表面との距離)と略一致するように設定される。
なお、横スティフナ33Bの長手方向中央部に設けられた台座側ボルト孔35と対応するベース側ボルト孔19に取り付けられたキャップ40は、格納状態のスロープ板20のヒンジ部25と先端斜面部26との中間部の中央位置に当接する。これによって、スロープ板20の中央位置が、キャップ40を介してベース部材10で支持される。
(1)上述の反転式スロープ1の取付構造によれば、キャップ40の上面部42が格納状態のスロープ板20に当接するため、格納状態のスロープ板20の上に乗員が乗っても、ベース部材10とスロープ板20との隙間Sにおいてキャップ40が突っ張り部材として機能し、スロープ板20からの乗員の負荷を受ける。これにより、スロープ板20は一端部(ヒンジ部)25及び他端部(先端傾斜面部)26だけでなくキャップ40を介することによっても、ベース部材10及び台座部30で支持される。
また、ベース部材10と台座部30とを締結ボルト52とナット51とで締結するため、反転式スロープ1を台座部30に対して容易に着脱することができ、着脱時間の短縮を図ることができる。
(3)同様に、ベース部材10が中空部18を有するので、ベース部材10を軽量化でき、これにより、反転式スロープ1の軽量化を図ることができる。また、ベース部材10がアルミの押出し成形体であるので、製造が容易である。
(5)台座部30がスティフナ33を備えているため、台座部30の強度を向上させることができる。これにより、台座部30に固定されるベース部材10をより確実に支持することができる。また、スティフナ33には、第二のボルト孔35が形成されるとともにこれと対応する位置の内面にナット51が溶接されているため、締結ボルト52とナット51との締結を容易に行なうことができる。
(7)第一及び第二のボルト孔19,35が、格納状態のスロープ板20の一端部25と他端部26との中間部の中央位置に対応する個所に設けられているため、変形し易いスロープ板20の中央位置を、キャップ40を介してベース部材10で効果的に支持することができる。
(10)弾性体70が、台座部30とベース部材10との間に設けられ、台座部30の上面とベース部材10の下面とに当接するため、例えば車両の振動によって台座部30とベース部材10とが擦れてしまうことを抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上述した実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせてもよい。
さらに、台座部30は、上記のように床面部2から切り取られた部分に取り付けられるものでなくてもよく、例えば床面部2に凹設されるものであってもよい。
一方、上述の車椅子が通行する二つの領域に横スティフナ33が配設されれば、ベース部材10が車椅子の通行時に受ける負荷を、横スティフナ33によって効果的に支持することができる。
また、上記の弾性体70は、少なくも台座部30の上面とベース部材10の下面とに当接するものであればよく、その具体的な形状及び配置は任意であり、個数も上記のものに限定されない。
2 床面部
6 乗車口
10 ベース部材
13 ベース本体
17a 突起部
18 中空部
19 ベース側ボルト孔(第一のボルト孔)
20 スロープ板
21 中空部
30 台座部
33(33A,33B,33C) 横スティフナ(スティフナ)
35 台座側ボルト孔(第二のボルト孔)
40 キャップ
42 上面部
51 ナット
52 締結ボルト
70 弾性体
S 隙間
Claims (10)
- 車両の乗降口の床面部に設けられた台座部と、前記台座部に固定されたベース部材と、前記ベース部材の前記乗降口側の端部に一端部が枢支され、格納状態において他端部が前記ベース部材に支持されるとともにその中間部が前記ベース部材と隙間を介して重ねられ、展開状態において前記車両の外部で斜面を形成しうる回動可能なスロープ板と、を備えた反転式スロープの取付構造であって、
前記ベース部材における前記隙間の下方に位置する個所に貫通して形成された第一のボルト孔と、
前記台座部における前記第一のボルト孔と対応する個所に貫通して形成された第二のボルト孔と、
前記第一及び第二のボルト孔に挿通されナットと締結されて前記ベース部材を前記台座部に固定するための締結ボルトと、
前記第一のボルト孔に取り付けられ、前記締結ボルト及び前記ナットの何れか一方の露出した上面を覆うキャップと、を有し、
前記キャップは、その上面部が前記ベース部材の上面よりも上方に突出して前記格納状態の前記スロープ板に当接した
ことを特徴とする、反転式スロープの取付構造。 - 前記スロープ板は、中空部を有するアルミの押出し成形体である
ことを特徴とする、請求項1に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記ベース部材は、中空部を有するアルミの押出し成形体である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記第一のボルト孔は、前記ベース部材の前記中空部を形成する上部及び下部を貫通して形成された
ことを特徴とする、請求項3に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記台座部は、ハット型断面のスティフナを備え、
前記スティフナには、前記第二のボルト孔が形成されるとともに前記第二のボルト孔と対応する位置の内面に前記ナットが溶接された
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記スティフナは、前記乗車口側から前記車両の内側に向かって延設された
ことを特徴とする、請求項5に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記第一及び第二のボルト孔は、前記格納状態における前記スロープ板の前記中間部の中央位置に対応する個所に設けられた
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記ベース部材は、前記乗降口側の端部から下方に突出し前記台座部に当接する突起部を有した
ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記キャップは、熱可塑性樹脂で形成され、前記第一のボルト孔に係止された
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の反転式スロープの取付構造。 - 前記台座部と前記ベース部材との間に弾性体が設けられ、
前記弾性体は、前記台座部の上面と前記ベース部材の下面とに当接した
ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の反転式スロープの取付構造。
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