JP6272615B2 - パワーユニットの補機取り付け構造 - Google Patents
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請求項2に記載の発明は、シリンダヘッドとそれを覆うヘッドカバーと、前記シリンダヘッドに支持されたカムシャフトの一端側に設けられ同カムシャフトと同軸線で接続して回転する被動シャフトを有する補機を備え、前記カムシャフトの前記一端側のカム山により押圧駆動される弁駆動部材を備えたパワーユニットの補機取り付け構造において、前記パワーユニットは、シリンダ軸線がクランク軸方向において2本並び、前記シリンダヘッド上に前記クランク軸と平行に吸気カムシャフトおよび排気カムシャフトを備えた直列2気筒DOHC式の内燃機関で構成され、前記吸気カムシャフトの一端側に前記補機が設けられ、前記吸気カムシャフトの前記一端側の軸端に前記吸気カムシャフトの軸線と垂直方向の補機駆動用の直線溝を有し、前記補機側の前記被動シャフトには前記直線溝と嵌合する直線リブが突設されるとともに、同直線リブは、前記被動シャフトの軸線を含む中央部に前記弁駆動部材を通過させる逃げ部を備え、前記直線溝は、前記シリンダ軸線方向に見て前記弁駆動部材と重なる位置にあり、前記被動シャフトの逃げ部は、前記直線リブに前記弁駆動部材を通過させる傾斜切欠き部を設けることによって備えられたことを特徴とするパワーユニットの補機取り付け構造である。
補機側の被動シャフトを直線リブの逃げ部が弁駆動部材を通過させる回動位置にすれば、直線リブによる支障無しに弁駆動部材の取り外し取り付け操作ができ、
整備性が向上するとともに、逃げ部によって直線リブをカムシャフトの軸心方向で弁駆動部材に近づけることができてパワーユニットを小型化することができる。
そして、クランク軸に設けられた2つのタイミング合わせマークの一方により、カムシャフトの取り外し位相が容易に判別できてパワーユニットのメンテナンス性を向上できる。
また、請求項2に記載の発明のパワーユニットの補機取り付け構造によれば、カムシャフトは、その直線溝の方向を所定の上下方向にして補機側の被動シャフトの直線リブに沿って移動させることで、補機を取り外すことなく、シリンダヘッドから取り外すことができ、
補機側の被動シャフトを直線リブの逃げ部が弁駆動部材を通過させる回動位置にすれば、直線リブによる支障無しに弁駆動部材の取り外し取り付け操作ができ、
整備性が向上するとともに、逃げ部によって直線リブをカムシャフトの軸心方向で弁駆動部材に近づけることができてパワーユニットを小型化することができる。
そして、カムシャフトの小型化と補機の内側配置が可能となり、メンテナンス性が確保される。
バルブリフタの中側にシム部材が収納されたので、バルブリフタの頂面はカム山と当接する範囲の大きさでよく、バルブリフタの小型化が図られ、更なるパワーユニットの小型化に寄与することができる。
ウォーターポンプ装置の取り外しによる工数的およびスペース的なメンテナンス性の低下を防止でき、メンテナンススペースの削減によって更なるパワーユニットの小型化に寄与することができる。
図1に示す姿勢において、図示左方が車両前方、図示上方が車両上方、図示向こう側が車両右方、図示手前側が車両左方である。
図中において、矢印FRは車両の向きに従い前方を、LHは左方を、RHは右方を、UPは上方を、それぞれ示す。
図1に示されるように、クランク軸21を車幅方向に配置して軸支するクランクケース20は、クランク軸21を中心に分割面20aで上下に分割される上下割りに構成されている。
上部クランクケース20Aの前側上面には、2個のシリンダボア22a(図3参照)を有するシリンダブロック22と、シリンダヘッド23が、シリンダ軸線Xをやや前傾させて、上方に突出するように順に重ね合わされて締結され、さらにシリンダヘッド23の上にはヘッドカバー24が被せられている。
一方、下側クランクケース20Bの下にはオイルパン25が取り付けられる。また、下側クランクケース20Bの前部にはオイルフィルタ26が設けてある。
クランクケース20は、クランク軸21より後方に延在して、クランク軸21のほか、クランク軸21より後方のクランクケース20内に配設される変速機5のメイン軸51、カウンタ軸52等を、クランク軸21と平行に車幅方向に配向して回転自在に軸支している。
メイン軸51とカウンタ軸52は、クランク軸21と同様に上側クランクケース20Aと下側クランクケース20Bとの分割面20aに軸受を介して保持されている。
カウンタ軸52は、クランクケース20の左方に貫通して外部に突出し、パワーユニット1の最終の出力軸となっており、突出部位に出力スプロケット11がスプライン嵌合されている。
以下、図示されないが、出力スプロケット11に巻き掛けられる駆動チェーンが、後輪側の被動スプロケットに架渡されて後輪に回転動力が伝達される。
シリンダヘッド23には、シリンダボア22aの中を摺動するピストン27の頂面に対向する面がドーム状に凹んで燃焼室30が形成されている。
1気筒ごとに左右に並んだ2つの吸気弁口33からそれぞれ後方に延出した吸気ポート35は、上流側で1気筒ごとに集合吸気ポート35aに集合しており、集合吸気ポート35aにはスロットル装置10が接続される。
また、1気筒ごとに左右に並んだ2つの排気弁口34からそれぞれ前方に延出した排気ポート36は、下流側で1気筒ごとに集合排気ポート36aに集合しており、集合排気ポート36aには、図示しない排気管が接続される。
シリンダヘッド23における各燃焼室30の天井面30aには、中央部のシリンダ軸線X付近に点火プラグ29が先端の電極部を燃焼室30に臨ませて螺入されている(図3参照)。
排気弁32も、同様でバルブステム32aが排気ポート36の上壁に嵌着されたバルブガイド37に摺動自在に支持され、バルブステム32aの先端の傘部32bが排気弁口34を開閉する。
周壁74bは、シリンダヘッド23に設けられた筒部材23aの内周面に摺動移動自在に嵌合されている。
排気弁31側も、吸気弁32側と同様に構成される。
一方、各カム45、46のベース円と、各バルブリフタ74の上昇位置との間隔が広すぎれば、カム山が接触するときに衝撃、騒音が発生してしまう。
したがって、各カム45、46のベース円と、各バルブリフタ74の上昇位置との間隔を最適に調整するように、シム部材73の厚さが調整設定される。
その場合は、バルブリフタ74を上方へ抜き出してシム部材73を交換するため、その前に各バルブリフタ74の上方を覆っている各カムシャフト41、42を取り外す必要が生じる。
すなわち、ウォーターポンプ装置8は、インペラ室85と一体化された冷却水吐出通路86がシリンダヘッド23の側面に締結ボルト91により組立てられる。
そのため、吸気カムシャフト41のメンテナンス時のウォーターポンプ装置8の取り外しを防止できるので内部冷却水の流出に伴うメンテナンス性の低下を防止できる。
シリンダブロック22側の水冷ジャケット39が開口する冷却水出口22Bには冷却水流出管90が取り付けられ、内燃機関2内を巡った後の冷却水を図示しないサーモスタットまで送っている。
なお、排気カムシャフト42の右側の端部には、図3に図示されないが、フランジ部42b(図9参照)を介して、排気側被動スプロケット44が取り付けられている。
図5に示されるように、ウォーターポンプ装置8のポンプ軸81の右端には、吸気カムシャフト41の直線溝41aと嵌合し、ポンプ軸81の軸線Pと垂直な直線リブ81aが突設されている。
したがって、吸気カムシャフト41とポンプ軸81とが同軸心に配置され、吸気カムシャフト41の直線溝41aにポンプ軸81の直線リブ81aが嵌合されると、吸気カムシャフト41の回転によってポンプ軸81が回転駆動される。
ここで図6図示のように、吸気カムシャフト41の直線溝41aとポンプ軸81の直線リブ81aとが上下方向、好ましくはシリンダ軸線X方向を向いた状態で(図2参照)停止させると、カムシャフトホルダ23dを取り外した後、直線溝41aを直線リブ81aに沿って上方に抜き出すことで、吸気カムシャフト41とポンプ軸81との係合を解いて、ウォーターポンプ装置8をシリンダヘッド23から取り外すことなく、吸気カムシャフト41を取り外すことができる。
図6図示のように、吸気カムシャフト41の左端側の吸気カム45Aのカム山により押圧駆動される左端側のバルブリフタ74A(図7参照)は、それを収容する左端側の筒部材23aAに収容された状態で、ポンプ軸81の直線リブ81aとオーバーラップしているため、抜き出しに支障が生ずる恐れがあるが、本実施形態では図5、図7図示の構造によって問題を解消している。
すなわち、直線リブ81aはポンプ軸81の軸線Pと垂直に直線状に延びる突起を、ポンプ軸81の外周側のみを残してポンプ軸81の軸線P回りを切り欠いて、左端側のバルブリフタ74Aを通過させる傾斜切欠き部81aaを設けることによって逃げ部81bとし、蝶ねじの翼のような形状に形成されている。
図7図示のように、吸気カムシャフト41を取り外した後、直線リブ81aが、左端側のバルブリフタ74Aの抜き出し方向と略垂直になるようにポンプ軸81を回動させれば、図7中に抜き出し中のバルブリフタ74Aの外形を2点鎖線で特に示すように、バルブリフタ74Aは逃げ部81bを通って、直線リブ81aに引っ掛かることなく抜き出すことができる。
また、逃げ部81bによって直線リブ81aを、吸気カムシャフト41の軸線S方向、すなわちポンプ軸81の軸線P方向で、バルブリフタ74Aに近づけることができて、シリンダ軸線X方向に見てバルブリフタ74Aと重なる位置にでき、吸気カムシャフト41が小型化し、ウォーターポンプ装置8が図3に示されるように内側配置され、パワーユニット1を小型化することができる。
したがって、図8にクランクアングルと、各気筒に対する吸気カム45、排気カム46のカム山の突出状態の関係を示すように、第1気筒C1と第2気筒C2においてクランクアングルに応じて同期して、それぞれに対応する吸気カム45、排気カム46のカム山が対応するバルブリフタ74に向けて突出する。(図8においては、カム山の突出方向が上向きに図示されているが、実際はバルブリフタ74に向けて下方に突出する。)
各カム山が突出していないクランクアングルの期間は、各カム山のベース円に対応する期間である。
吸気カムシャフト41においては、第1気筒C1、第2気筒C2ともにバルブリフタ74に向けて吸気カム45のカム山の突出がない期間であり、図示のクランクアングルがCA2の範囲であって、最も好ましいのは上記第1タイミングT1のクランクアングル720度(あるいは0度)に対して、クランクアングルが180度の時であり、この時を第2タイミングT2とする。
具体的には、第1、第2タイミング合わせマークT、2Tは、クランク軸21と同軸で同回転する交流発電機(ACG)15のローターホイール16の外周縁16aに刻印され、すなわち、実質的にクランク軸21に印字されたと同じになる。
また、所定の検知個所としては、ACGカバー17に開けられ、通常は塞ぎ栓17aで塞がれた覗き窓17bから視認検知するものとしている。
なお、図9、図10における、バルブリフタ74の位置や隙間ゲージ18の図示は、タペットクリアランスの測定を行うことを示すためだけのもので、実際の形態、大きさと異なる。
排気カムシャフト42の排気カム46のカム山はバルブリフタ74に向かって突出状態ではなく、排気カムシャフト42のタペットクリアランスの測定等が行われる。
また、排気カムシャフト42にはウォーターポンプ装置8が取り付けられておらず、且つ、排気カム46のカム山が突出状態でないので、排気カムシャフト42の取り外し、シム部材73の交換等のメンテナンスを行える。
吸気カムシャフト41の吸気カム45のカム山はバルブリフタ74に向けて突出状態ではなく、吸気カムシャフト41のタペットクリアランスの測定等が行われる。
また、吸気カムシャフト41のフランジ部41bの中心の仮想線41baが示すように、吸気カムシャフト41の左側の軸端に設けられる直線溝41aが、図中右上に引出し図示されるように、シリンダ軸線X方向を向いており、カムシャフトホルダ23d(図2、図3参照)を取り外した後、直線溝41aを直線溝41aに嵌合しているポンプ軸81の直線リブ81aに沿って上方に抜き出すことで、吸気カムシャフト41とポンプ軸81との係合を解いて、ウォーターポンプ装置8をシリンダヘッド23から取り外すことなく、吸気カムシャフト41を取り外すことができ、シム部材73の交換等のメンテナンスを行える。
すなわち、シム部材73交換等のメンテナンス時においてウォーターポンプ装置8の取り外しが不要なので、ウォーターポンプ装置8から内燃機関2までの冷却水吐出通路86を、ウォーターポンプ装置8の取り外しを考慮した場合の可撓性ホースとする必要がなく、ウォーターポンプ装置8と一体化されたものとすることができ、冷却水吐出通路86がコンパクトに形成され部品点数が減じると共に、メンテナンスを効率よく行えるものとなっている。
また、各機器の左右の配置は、実施形態の説明の便宜上、図示のものに特定して記載したが、上記実施形態に示すものと左右逆となる配置のものであってもよく、本発明に含まれる。
Claims (7)
- シリンダヘッド(23)とそれを覆うヘッドカバー(24)と、
前記シリンダヘッド(23)に支持されたカムシャフト(41)の一端側に設けられ同カムシャフト(41)と同軸線で接続して回転する被動シャフト(81)を有する補機(8)を備え、
前記カムシャフト(41)の前記一端側のカム山(45)により押圧駆動される弁駆動部材(74)を備えたパワーユニット(1)の補機取り付け構造において、
前記パワーユニット(1)は、シリンダ軸線(X)がクランク軸(21)方向において2本並び、クランクピン(21a)の位相が相互に180度ずれ、前記シリンダヘッド(23)上に前記クランク軸(21)と平行に吸気カムシャフト(41)および排気カムシャフト(42)を備えた直列2気筒DOHC式の内燃機関(2)で構成され、前記吸気カムシャフト(41)の一端側に前記補機(8)が設けられ、
前記吸気カムシャフト(41)の前記一端側の軸端に前記吸気カムシャフト(41)の軸線(S)と垂直方向の補機(8)駆動用の直線溝(41a)を有し、
前記補機(8)側の前記被動シャフト(81)には前記直線溝(41a)と嵌合する直線リブ(81a)が突設されるとともに、同直線リブ(81a)は、前記被動シャフト(81)の軸線(P)を含む中央部に前記弁駆動部材(74)を通過させる逃げ部(81b)を備え、
前記クランク軸(21)方向で前記補機(8)取り付け側から見て、前記クランク軸(21)にはタイミング合わせマーク(T,2T)が180度間隔で2個所印字されており、その一方のタイミング合わせマーク(2T)が所定の位置の時、前記吸気カムシャフト(41)の一端側の軸端の補機(8)駆動用の前記直線溝(41a)が前記シリンダ軸線(X)の方向となるように設けられたことを特徴とするパワーユニットの補機取り付け構造。 - シリンダヘッド(23)とそれを覆うヘッドカバー(24)と、
前記シリンダヘッド(23)に支持されたカムシャフト(41)の一端側に設けられ同カムシャフト(41)と同軸線で接続して回転する被動シャフト(81)を有する補機(8)を備え、
前記カムシャフト(41)の前記一端側のカム山(45)により押圧駆動される弁駆動部材(74)を備えたパワーユニット(1)の補機取り付け構造において、
前記パワーユニット(1)は、シリンダ軸線(X)がクランク軸(21)方向において2本並び、前記シリンダヘッド(23)上に前記クランク軸(21)と平行に吸気カムシャフト(41)および排気カムシャフト(42)を備えた直列2気筒DOHC式の内燃機関(2)で構成され、前記吸気カムシャフト(41)の一端側に前記補機(8)が設けられ、
前記吸気カムシャフト(41)の前記一端側の軸端に前記吸気カムシャフト(41)の軸線(S)と垂直方向の補機(8)駆動用の直線溝(41a)を有し、
前記補機(8)側の前記被動シャフト(81)には前記直線溝(41a)と嵌合する直線リブ(81a)が突設されるとともに、同直線リブ(81a)は、前記被動シャフト(81)の軸線(P)を含む中央部に前記弁駆動部材(74)を通過させる逃げ部(81b)を備え、
前記直線溝(41a)は、前記シリンダ軸線(X)方向に見て前記弁駆動部材(74)と重なる位置にあり、前記被動シャフト(81)の逃げ部(81b)は、前記直線リブ(81a)に前記弁駆動部材(74)を通過させる傾斜切欠き部(81aa)を設けることによって備えられたことを特徴とするパワーユニットの補機取り付け構造。 - 前記弁駆動部材(74)は、前記シリンダヘッド(23)に設けられた吸気弁(31)または排気弁(32)のバルブリフタ(74)であり、同バルブリフタ(74)と前記吸気弁(31)または排気弁(32)のステムエンド(31c,32c)との間にシム部材(73)を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパワーユニットの補機取り付け構造。
- 前記補機(8)はウォーターポンプ装置(8)であり、
同ウォーターポンプ装置(8)は、前記吸気カムシャフト(41)の前記一端側に設けられたことを特徴とする請求項3に記載のパワーユニットの補機取り付け構造。 - 前記内燃機関(2)の吸気系部品は、スロットル装置(10)のスロットルバルブ(101)と、同スロットルバルブ(101)を駆動するスロットル駆動モータ(102)とを備え、同スロットル駆動モータ(102)の動力をスロットルバルブ(101)へ伝動するための駆動系部材(103)が前記ウォーターポンプ装置(8)に近設されたことを特徴とする請求項4に記載のパワーユニットの補機取り付け構造。
- 前記ウォーターポンプ装置(8)は、インペラ室(85)を備え、同インペラ室(85)から前記パワーユニット(1)の前記内燃機関(2)の冷却水入口(23c)までの冷却水吐出通路(86)のポンプ本体(80)側が一体成形されたことを特徴とする請求項5に記載のパワーユニットの補機取り付け構造。
- 前記ウォーターポンプ装置(8)は、前記インペラ室(85)と一体化された前記冷却水吐出通路(86)が前記シリンダヘッド(23)の側面に締結具(91)により組立てられることを特徴とする請求項6に記載のパワーユニットの補機取り付け構造。
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