JP2004036823A - オルダム継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な構造を採用したり、肉厚を厚くするなどしなくても、トルク伝達時にキー溝内壁面がキー部から反作用として受ける力により筒部が外側へ倒れ込む現象を小さく抑え、これにより筒部に過大な応力をかかり難くし、ひいてはオルダム継手の耐久性を向上させる。
【解決手段】カムシャフトの後端部に形成された円筒部のキー溝13には、中間ディスク20のキー部21が遊嵌される。キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所にはテーパ面16が形成されており、このテーパ面16の存在により、キー部21とキー溝内壁面13Aは、円筒部12の外周面から径方向内側へシフトした所定位置Tで当接するようになっている。
【選択図】 図2
【解決手段】カムシャフトの後端部に形成された円筒部のキー溝13には、中間ディスク20のキー部21が遊嵌される。キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所にはテーパ面16が形成されており、このテーパ面16の存在により、キー部21とキー溝内壁面13Aは、円筒部12の外周面から径方向内側へシフトした所定位置Tで当接するようになっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2本の軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平2−240411号公報および特開2001−254752号公報には、この種のオルダム継手が開示されている。オルダム継手は、駆動側部材と、中間部材と、従動側部材とから構成され、この三部品によって二本の軸をトルク伝達可能に連結する。例えば自動車用エンジンでは、カムシャフトの回転動力を使ってポンプを駆動する構成が採用されており、このカムシャフトとポンプの入力軸との連結にオルダム継手が使用されていた。
【0003】
図7は、自動車エンジンに使用されるオルダム継手の構成部品の1つであり、カムシャフトの端部に設けられるボス(駆動側部材)を示す。ボス51は円筒部52を備え、円筒部52には径方向に真っ直ぐ横断するキー溝53が凹設されている。円筒部52の内周面付け根部分には応力緩和のためのフィレット(曲面)54が周に沿って形成され、またキー溝53の内壁面付け根部分にも応力緩和のためのフィレット55が形成されている。
【0004】
図8(a)に示すように、ボス51と中間部材(中間ディスク)20は、キー溝53とキー部21が嵌め込み係合されることで連結される。キー溝53の内壁面のうち、ボス51の回転時にキー部21と当接する側の面がトルク伝達面56となる。トルク伝達面56は、円筒部52の径方向と平行な平坦面となっており、一方、キー部21のトルク伝達面56と対向する面も中間ディスク20の径方向と平行な平坦面になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、キー溝53とキー部21との間には僅かな隙間(ガタ)があるため、図8(a)に示すようにキー部21はトルク伝達面56に対し外周端で当接し、この部位での当接によってトルクが伝達されていた。
【0006】
しかし、キー部21がトルク伝達面56の外周端で当接すると、円筒部52は、キー部21から力の反作用を外周端で受け、図8(b)に示すように円筒部52の筒壁52Aが外側へ倒れ込むように変形してフィレット54に応力が集中するという問題があった。この場合、オルダム継手はその使用に耐えうるだけの強度は有するものの、円筒部52、ひいてはオルダム継手のさらなる耐久性が要求される場合は、筒壁52Aの肉厚を厚くして補強するなどの方法を採らざるを得なかった。しかし、円筒部52の肉厚を厚くすると、軽量化ニーズやスペース制約などの要求を満たせなくなるので、この種の補強対策は事実上採ることができなかった。従って、軽量化ニーズやスペース制約など一定の制約の下では、円筒部52、ひいてはオルダム継手の耐久性をさらに向上させることは困難な状況にあった。
【0007】
なお、特開2001−254752号公報に開示された自在継手では、カップリングおよびピンに、半円形装着溝を形成してこの溝に円柱体を挿入して抜け止めして応力分散する構造を採用していた。しかし、この構成では、半円形装着溝の形成工程、円柱体の挿入工程が必要でオルダム継手の製造方法が複雑になるうえ、継手構造も複雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑な構造を採用したり、肉厚を厚くするなどの方法を適用しなくても、トルク伝達時にキー溝内壁面がキー部から反作用として受ける力に起因し筒部が外側へ倒れ込む現象を小さく抑制し、これにより筒部に過大な応力をかかり難くし、ひいてはその耐久性を向上できるオルダム継手を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために請求項1に記載の発明では、オルダム継手は、2本の軸の連結端に各々設けられる2つの連結部材と、両連結部材間に係合連結される中間部材とを備え、該2本の軸はこのオルダム継手によりトルク伝達可能に連結される。前記中間部材はキー部を有し、前記2つの連結部材のうち少なくとも一方は前記キー部と嵌合するキー溝を有する筒部を備える。トルク伝達時に互いに当接する前記キー部と前記筒部のキー溝内壁面との少なくとも一方には、当該キー部とキー溝内壁面との当接箇所を、前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されている。なお、連結部材は、軸に組付けされる一つの独立した部材を構成するものの他、軸に一体形成されて軸の一部を構成する連結部も含む概念である。以下の請求項においても同様である。
【0010】
この発明によれば、2本の軸が三部材を備えるオルダム継手により連結され、一方の軸(駆動側軸)から他方の軸(従動側軸)へトルク伝達される。中間部材のキー部が筒部のキー溝に嵌合された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー部とキー溝内壁面の少なくとも一方に形成された加工面の存在により、キー部とキー溝内壁面の当接箇所が筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れ込む応力変形が抑えられ易くなる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のオルダム継手において、前記加工面は前記キー溝内壁面に設けられている。
この発明によれば、中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー溝内壁面に設けられた加工面の存在により、キー部がキー溝内壁面に当接する当接箇所が筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れ込む応力変形が抑えられ易くなる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、第1軸と第2軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手は、前記第1軸の端部から軸方向に突出する突部と、前記突部と係合する係合穴又は係合凹部を有するとともに径方向外側へ突出するキー部とを有する中間部材と、前記第2軸の端部に設けられて前記キー部と係合可能なキー溝が形成された筒部とを備える。前記キー部とトルク伝達方向で対向する前記筒部のキー溝内壁面には、前記キー部がトルク伝達時に当接する当接箇所を、前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されている。
【0013】
この発明によれば、第1軸と第2軸は、突部が中間部材の係合穴又は係合凹部に係合するとともに、中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌されることで、トルク伝達可能に連結される。中間部材の径方向内側に第1軸とのトルク伝達部が、また、径方向外側に第2軸とのトルク伝達部が設定されることで、軸方向に大きなスペースを取ることなくオルダム継手を配置できるが、一方で最外周に中間部材を覆う形で筒部の設定が必要になる。中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー溝内壁面に設けられた加工面の存在により、キー部がキー溝内壁面に当接する当接箇所は筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れる方向の応力変形が抑制され易くなる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルダム継手において、前記加工面は、前記キー溝内壁面にその径方向外側部位を切除するように形成されていることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明の作用を得るための加工面は、キー溝内壁面にその径方向外側部位を切除するように形成されるので、この加工面の加工等(切削、成形等)が簡単で済む。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のオルダム継手において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し30〜50%の範囲内の値であることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、キー溝内壁面における加工面を除く部分の径方向幅を、キー溝内壁面の径方向全幅に対し30〜50%の範囲内の値に設定したので、筒部内周側のフィレットと、キー溝内壁面側のフィレットにそれぞれかかる各集中応力の偏りを小さくし易くなる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のオルダム継手において、前記加工面は、前記加工面はテーパ面であることを要旨とする。
この発明によれば、加工面がテーパ面であるので、請求項4又は5に記載の発明の作用を得るうえで、キー溝内壁面における径方向外側部位に加工面を設けるために必要な加工等(切削、成形等)が簡単で済む。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のオルダム継手において、前記テーパ面は、前記筒部の径方向に対してなす角度が10度以内であることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、請求項6に記載の発明の作用に加え、テーパ面が筒部の径方向に対してなす角度が10度以内であることから、テーパ面形成による筒部の肉取り量が少なく筒部外壁の剛性が確保され易い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0022】
図4は、自動車用エンジンの動弁機構を構成するカムシャフトと、ポンプの入力軸とをオルダム継手により連結する連結構造を示す。この図においてオルダム継手は分解状態で示されている。カムシャフト10には複数のカム10Aが軸線上等間隔の位置に突設されており、カムシャフト10が1回転する度に各カム10Aと対応する各バルブ(図示省略)がそれぞれ所定のタイミングで一度ずつ開閉する。
【0023】
オルダム継手1は、カムシャフト10の端部に形成されたボス11と、中間ディスク20と、ポンプ(図示省略)から延出する入力軸30の先端部に形成された突部31とにより構成される。入力軸30および中間ディスク20については、従来技術と同様の構造である。ここで、オルダム継手1は、入力軸30とカムシャフト10の二軸を一体回転可能(トルク伝達可能)に連結するために用いられ、入力軸30により第1軸が、カムシャフト10により第2軸がそれぞれ構成される。
【0024】
ポンプは、例えばサプライポンプであって、カムシャフト10の回転トルクを入力として駆動され、燃料をコモンレールに圧送してコモンレール内の燃料圧を所定値に高めるものである。
【0025】
オルダム継手1は、カムシャフト10の端部(連結端)に設けられたボス11と、中間ディスク(中間部材)20と、ポンプの入力軸30の先端部(連結端)に設けられた突部31とから構成される。本実施形態では、オルダム継手1を構成する連結部材としてのボス11および突部31はそれぞれ軸10,30の端部に一体形成されている。
【0026】
ボス11は、カムシャフト10の軸径よりも大きな外径を有する略有底円筒状の円筒部12を備え、その円筒部12にはその径方向を真っ直ぐ横断するキー溝(凹溝)13が凹設されている。円筒部12は、カムシャフト10と同一の軸心をもち、カムシャフト10と同一軸線上で回転する。中間ディスク20は、円筒部12の筒内に配置可能な略円板形状の支持板部22と、この支持板部22の径方向両側に突出する一対のキー部21とを有し、支持板部22の中央部には四角形の連結孔23が形成されている。一方、入力軸30には、連結孔23に嵌挿可能な四角柱状の突部31が、その先端から軸方向に延びるように突設されている。
【0027】
ボス11と中間ディスク20は、キー溝13にキー部21が嵌め込まれることでトルク伝達可能に連結される。また、中間ディスク20と入力軸30は、四角柱状の突部31が四角形の連結孔23に嵌挿されることでトルク伝達可能に連結される。駆動側の軸のトルクを従動側の軸に効率よく伝達するため、円筒部12は駆動側の軸であるカムシャフト10に設けられ、突部31は従動側の軸である入力軸30に設けられる。
【0028】
本実施形態では、ボス11が有する円筒部12の構造に特徴がある。図1は、カムシャフトの端部に形成されたボスを示す。ボス11を構成する円筒部52の内周面付け根部分には断面略円弧形状のフィレット14が周に沿って形成され、一方、キー溝13の内壁面付け根部分には断面略円弧形状のフィレット15が形成されている。
【0029】
図1,図2に示すように、キー溝13の2つの内壁面のうちキー部21とトルク伝達方向において対向する側の内壁面(以下、キー溝内壁面という)13Aは、外周寄り部分に形成された加工面としてのテーパ面(斜面)16と、このテーパ面16を除く内周側部位を形成するトルク伝達面17とからなる。トルク伝達面17は、円筒部12の径方向に平行な平坦面に形成され、一方のテーパ面16は、キー溝内壁面13Aの径方向外側部位を切除する形状の斜面に形成されている。
【0030】
一方、キー部21の側面は中間ディスク20の径方向に平行な平坦面となっており、キー部21はキー溝13に対し若干の隙間を介して遊嵌されるようになっている。キー溝内壁面13Aとキー部21との当接箇所を通じて円筒部12から中間ディスク20へのトルク伝達が行われ、さらに中間ディスク20の連結孔23に嵌挿された突部31にトルクが伝達されることで、カムシャフト10と入力軸30は一体回転する。
【0031】
本実施形態では、キー溝内壁面13Aの外周寄り部位に設けたテーパ面16により、キー部21がキー溝内壁面13Aに当接する当接箇所(トルク伝達箇所)を円筒部12の外周面より内側(径方向内側)となる所定位置(図2におけるT位置)にシフトさせている。すなわち、キー溝13に遊嵌されたキー部21は、両者間にある若干の隙間(ガタ)によりトルク伝達面17に対して若干傾く姿勢をとるが、この傾き角に比べテーパ面16がトルク伝達面17に対してなす角度が十分大きいため、キー部21はテーパ面16とトルク伝達面17とのほぼ境界位置(T位置)で当接する。このようにトルク伝達箇所が円筒部12の外周端から径方向内側へシフトすることで、キー部21から円筒部12に加わる力がキー溝内壁面13Aの外周縁付近における筒壁12Aに集中することが回避され、円筒部12の筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象が小さく抑制されるようにしている。
【0032】
トルク伝達箇所Tを径方向内側へシフトさせれば、筒壁12Aの外側への倒れ込み現象が抑制されてフィレット14にかかる応力は緩和される。しかし、キー部21から筒壁12Aの径方向にかかる力が緩和される一方、キー部21から筒壁12Aの周方向にかかる力が増すため、トルク伝達箇所Tを径方向内側へシフトさせたその背反作用として、フィレット15の応力が増加する。そこで、本実施形態では、フィレット14とフィレット15の一方に過大な応力がかからないよう両応力のバランスを考慮し、トルク伝達箇所T、すなわち図3に示すトルク伝達面17の径方向幅(以下、単にトルク伝達面幅という)Wを、適切な値に設定している。本実施形態では、トルク伝達面幅Wを、円筒部12の肉厚(以下、筒部肉厚(筒壁の径方向全幅)という)Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定している。また、テーパ面16の角度θを大きくとるとテーパ面16付近における筒壁12Aの剛性が低下するため、本実施形態ではその角度θを10度以内としている。
【0033】
角度θは、キー部21とキー溝13とのガタを考慮しても、キー部21がキー溝内壁面13Aの外周端で接触しないようにできる値であれば足り、本実施形態ではキー部21とキー溝13との寸法公差等を考慮し、1度以上の角度が確保されれば目的は達成される。従って、テーパ面16の角度θは、一応効果が得られる範囲が1〜80度の範囲、好ましい範囲が2〜50度、最適な範囲が5〜20度である。特に最適範囲5〜20度であれば筒壁12Aの剛性が確保され易い。
【0034】
先に述べたように、フィレット14,15にかかる各応力は、トルク伝達面幅Wに依存する。すなわち、トルク伝達面幅Wを小さくしてトルク伝達位置Tが径方向内側へシフトするに連れて、フィレット14の応力が小さくなる一方、フィレット15の応力は逆に大きくなる。よって、フィレット14,15の一方でも過大な応力がかかることを回避するため、フィレット14,15にかかる各応力が巧くバランスするようトルク伝達面幅Wを設定する必要がある。
【0035】
本実施形態では、フィレット14,15にかかる各応力を巧くバランスできるように、トルク伝達面幅Wを筒部肉厚Rに対し30〜50%の範囲内の値とする最適範囲の値を採用しているが、最適範囲の値を設定することは必ずしも必須ではない。トルク伝達面幅Wは、筒部肉厚Rに対し20〜60%の範囲内の値に設定するのが好ましく、この場合、フィレット14,15の一方にやや過大気味の応力が発生するが、筒壁12Aの外側への倒れ込み現象はかなり抑制できる。またトルク伝達面幅Wは、筒部肉厚Rに対し10〜80%の範囲内の値にあれば筒壁12Aの外側への倒れ込み現象を一応低減できる。もちろん、トルク伝達面幅Wは、トルク伝達位置を径方向内側の所定位置にシフトすることが可能なその他の値に設定することもでき、筒部肉厚Rに対し0%(例えばキー溝内壁面全域をテーパ面)としたり、90%(例えばキー溝内壁面の外周端寄り1割のみテーパ面)としてもその値なりの効果は得られる。
【0036】
従って、カムシャフト10からオルダム継手1を介して入力軸30に回転トルクが伝達される際は、円筒部12の外周面より径方向内側へシフトした当接箇所(トルク伝達箇所)Tにてトルク伝達が行われるので、筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象が小さく抑えられる。この結果、フィレット14に過大な応力がかかることが回避される。また、トルク伝達面幅Wが筒部肉厚(径方向全幅)Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定されているため、フィレット14とフィレット15の一方のみに過大な応力がかかることが回避される。よって、円筒部12、ひいてはオルダム継手1の耐久性が向上することになる。
【0037】
なお、本実施形態のボス11(つまり円筒部12)を適用したオルダム継手1についてFEM強度解析を行った結果、フィレット14の応力が従来よりも33%低減されることが認められた。このとき、フィレット15の応力は、強度的に問題のない十分許容範囲内の値を示した。
【0038】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ボス11(つまり円筒部12)を構成要素とするオルダム継手1において、円筒部12のキー溝内壁面13Aにおける外周端寄り箇所にテーパ面16を形成し、トルク伝達箇所Tを円筒部12の外周面より径方向内側へシフトさせた。従って、トルク伝達時にキー部21から反作用として受ける力によって筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象を小さく抑制できることから、フィレット14に過大な応力がかかることを回避できる。この結果、筒壁12Aの肉厚を厚くするなどの補強対策を採用しなくても、オルダム継手1の耐久性を向上させることができる。
【0039】
(2)テーパ面16のなす角度θを10度以内と小さな値に設定しているため、テーパ面16の形成によって筒壁12Aから切除される部分(量)が少なく済み、キー溝13付近における筒壁12Aの剛性低下を回避し易くなる。
【0040】
(3)トルク伝達面幅Wを筒部肉厚Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定し、円筒部12の内周面から径方向外側へ筒壁12Aの肉厚に対し30〜50%の範囲内の箇所でキー部21がキー溝内壁面13Aと当接するようにした。従って、フィレット14,15にかかる各応力を一方が過大とならないようバランスさせることができる。よって、円筒部12において局所的に過大な応力がかかる部位をなるべく減らし、オルダム継手1の耐久性向上に寄与できる。
【0041】
(4)キー部21とキー溝内壁面13Aとの当接箇所を円筒部12の径方向内側へシフトさせる加工面として、テーパ面16を採用したので、加工あるいは成型が簡単である。
【0042】
(5)筒状のボス11の応力緩和が図られることから、カムシャフト10とポンプの入力軸30との連結に使用されるこのオルダム継手1の寿命を延ばすことができる。
【0043】
なお、実施の形態は上記に限定されず、以下の変形例を採用することもできる。
○ キー溝内壁面13Aに設ける加工面は、前記実施形態に限定されない。キー部21との当接箇所を円筒部12の外周面より径方向内側へシフトさせられる面形状であればよい。例えば図5(a)〜(d)に示す加工面であってもよい。同図(a)は加工面を円弧面41としたものである。もちろん円弧面に限らず凸の曲面であれば足りる。また、同図(b)はキー溝内壁面13Aの外周端寄りと内周端寄りの両側二箇所にテーパ面42,43を形成した例である。テーパ面42,43に挟まれたトルク伝達面44は、キー部21とキー溝13間の遊び分のガタを見込んでキー部21がトルク伝達面44と面接触するように、若干の傾き角を設けている。この構成によれば、キー溝内壁面13Aにおけるトルク伝達箇所を円筒部12の径方向内側にシフトさせることができるので、円筒部12に局所的な過大な応力がかかることを回避できる。さらにキー部21がキー溝内壁面13Aと面接触し易くなるため、線接触に比べキー部21から受けた力を分散し易く、応力緩和に一層寄与する。また同図(c)は、加工面をテーパ面ではなく、キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所を段差状に切除する段差面45とした構成である。また同図(d)は、キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所のみに加工面としての円弧面46を形成した例である。もちろん円弧面46は曲面であれば足り、またトルク伝達箇所を円筒部の外周面より径方向内側へシフトできるのであれば凹曲面であっても構わない。
【0044】
○ 加工面はキー溝内壁面に設けることに限定されない。例えば加工面はキー部に設けることもできる。図6に示すように、キー部21の側面先端部(外周側端部)にテーパ面21Aを形成し、キー部21とキー溝内壁面13Aとの当接箇所を円筒部12の径方向内側へシフトさせる構成とする。もちろん、加工面(例えばテーパ面)は、キー部21とキー溝内壁面13Aの両方に設けられていてもよい。
【0045】
○ オルダム継手は前記実施形態の構造のものに限定されない。例えば互いに連結される2軸の連結端にそれぞれ筒部が設けられ、中間部材(中間ディスク)に形成された十字状のキー部のうち対向する一対ずつを各筒部のキー溝にそれぞれ係合(遊嵌)させることで、2軸をトルク伝達可能に連結するタイプのオルダム継手に本発明を適用することができる。この場合、2つの筒部のキー溝内壁面に加工面を設ける。
【0046】
○ 前記実施形態では、連結部材としてのボス11(円筒部12)や突部31は、軸に一体形成される構成であったが、連結部材は軸に組付けられる部品であってもよい。
【0047】
○ 突部31が係合される係合部を連結孔23に替え、係合凹部としての連結凹部としてもよい。凹部であっても突部との係合は可能である。
○ 前記実施形態では、オルダム継手をディーゼルエンジンに適用したが、ガソリンエンジンに適用してもよい。さらに自動車において2軸を連結する継手として本発明のオルダム継手を使用することができる。さらに自動車以外の技術分野(例えば産業車両、航空機、工作機械、紡績機械等)において、2軸を連結する継手としてオルダム継手を使用することができる。
【0048】
以下、前記各実施形態及び別例などから把握される技術的思想を記載する。
(1)請求項2〜7のいずれか一項に記載のオルダム継手において、前記2軸のうち少なくとも駆動側の軸には前記筒部が設けられていることを要旨とする。
【0049】
この発明によれば、駆動側の軸に筒部が設けられているため、駆動側の軸の回転力を効率よく従動側の軸に伝達することができ、このときキー部が筒部のキー溝内壁面に当接する当接箇所が内側へシフトするため、筒部、ひいてはオルダム継手の耐久性を向上させることができる。
【0050】
(2)請求項6において、前記テーパ面は前記なす角度が1度以上である。1度以上の角度が確保されれば前記当接箇所をシフトさせる目的は達成できる。
(3)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が1〜80度の範囲内の値である。
【0051】
(4)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が2〜50度の範囲内の値である。
(5)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が5〜20度の範囲内の値である。テーパ面の前記なす角度が5〜20度の範囲であれば筒部の筒壁の剛性が一応効果的に確保される。
【0052】
(6)請求項4において、前記加工面は、前記筒部の外周面から径方向内側へ該筒部の肉厚の20%以上シフトする箇所で前記キー部が前記キー溝内壁面と当接するように形成されていることを特徴とする。
【0053】
(7)請求項4において、前記加工面は、前記筒部の内周面から径方向外側へ該筒部の肉厚に対し30〜50%の範囲内の箇所で前記キー部が前記キー溝内壁面と当接するように形成されていることを特徴とする。この構成によれば、キー部とキー溝内壁面が上記箇所で当接することにより、筒部の筒壁の内周側付け根とキー溝内壁面側付け根にそれぞれかかる各応力の一方が過大となる不具合を回避し易い。
【0054】
(8)請求項4において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し20〜60%の範囲内の値であることを特徴とする。20〜60%の範囲内の値に設定されている場合、フィレットの一方にやや過大気味の集中応力が発生するが、筒部の外側への倒れ込みはかなり抑制できる。
【0055】
(9)請求項4において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し10〜80%の範囲内の値であることを特徴とする。10〜80%の範囲内の値であれば、筒部の外側への倒れ込みは一応低減できる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜7に記載の発明によれば、トルク伝達時にキー溝内壁面がキー部から反作用として受ける力に起因し筒部が外側へ倒れ込む現象を小さく抑えられ、これにより筒部に過大な応力をかかり難くし、ひいてはオルダム継手の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のボスを示す斜視図。
【図2】キー部と円筒部との当接部分を示す要部正面図。
【図3】円筒部の部分正面図。
【図4】クランクシャフトとポンプの入力軸間に設けられるオルダム継手の分解斜視図。
【図5】オルダム継手の変形例を示す要部正面図。
【図6】図5と異なるオルダム継手の変形例を示す要部正面図。
【図7】従来のオルダム継手を構成する円筒部の斜視図。
【図8】(a)は従来のオルダム継手を構成する円筒部とキー部との当接箇所を示す部分正面図、(b)は円筒部を示す部分側面図。
【符号の説明】
1…オルダム継手、10…軸及び第2軸としてのカムシャフト、11…連結部材としてのボス、12…筒部としての円筒部、13…キー溝、13A…キー溝内壁面、16…加工面としてのテーパ面、17…トルク伝達面、20…中間部材としての中間ディスク、21…キー部、21A…加工面としてのテーパ面、23…係合穴としての連結孔、30…軸及び第1軸としての入力軸、31…連結部材としての突部、41…加工面としての円弧面、42…加工面としてのテーパ面、45…加工面としての段差面、46…加工面としての円弧面、T…当接箇所としてのトルク伝達箇所、W…径方向幅としてのトルク伝達面幅、θ…なす角としての角度。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2本の軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平2−240411号公報および特開2001−254752号公報には、この種のオルダム継手が開示されている。オルダム継手は、駆動側部材と、中間部材と、従動側部材とから構成され、この三部品によって二本の軸をトルク伝達可能に連結する。例えば自動車用エンジンでは、カムシャフトの回転動力を使ってポンプを駆動する構成が採用されており、このカムシャフトとポンプの入力軸との連結にオルダム継手が使用されていた。
【0003】
図7は、自動車エンジンに使用されるオルダム継手の構成部品の1つであり、カムシャフトの端部に設けられるボス(駆動側部材)を示す。ボス51は円筒部52を備え、円筒部52には径方向に真っ直ぐ横断するキー溝53が凹設されている。円筒部52の内周面付け根部分には応力緩和のためのフィレット(曲面)54が周に沿って形成され、またキー溝53の内壁面付け根部分にも応力緩和のためのフィレット55が形成されている。
【0004】
図8(a)に示すように、ボス51と中間部材(中間ディスク)20は、キー溝53とキー部21が嵌め込み係合されることで連結される。キー溝53の内壁面のうち、ボス51の回転時にキー部21と当接する側の面がトルク伝達面56となる。トルク伝達面56は、円筒部52の径方向と平行な平坦面となっており、一方、キー部21のトルク伝達面56と対向する面も中間ディスク20の径方向と平行な平坦面になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、キー溝53とキー部21との間には僅かな隙間(ガタ)があるため、図8(a)に示すようにキー部21はトルク伝達面56に対し外周端で当接し、この部位での当接によってトルクが伝達されていた。
【0006】
しかし、キー部21がトルク伝達面56の外周端で当接すると、円筒部52は、キー部21から力の反作用を外周端で受け、図8(b)に示すように円筒部52の筒壁52Aが外側へ倒れ込むように変形してフィレット54に応力が集中するという問題があった。この場合、オルダム継手はその使用に耐えうるだけの強度は有するものの、円筒部52、ひいてはオルダム継手のさらなる耐久性が要求される場合は、筒壁52Aの肉厚を厚くして補強するなどの方法を採らざるを得なかった。しかし、円筒部52の肉厚を厚くすると、軽量化ニーズやスペース制約などの要求を満たせなくなるので、この種の補強対策は事実上採ることができなかった。従って、軽量化ニーズやスペース制約など一定の制約の下では、円筒部52、ひいてはオルダム継手の耐久性をさらに向上させることは困難な状況にあった。
【0007】
なお、特開2001−254752号公報に開示された自在継手では、カップリングおよびピンに、半円形装着溝を形成してこの溝に円柱体を挿入して抜け止めして応力分散する構造を採用していた。しかし、この構成では、半円形装着溝の形成工程、円柱体の挿入工程が必要でオルダム継手の製造方法が複雑になるうえ、継手構造も複雑になるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑な構造を採用したり、肉厚を厚くするなどの方法を適用しなくても、トルク伝達時にキー溝内壁面がキー部から反作用として受ける力に起因し筒部が外側へ倒れ込む現象を小さく抑制し、これにより筒部に過大な応力をかかり難くし、ひいてはその耐久性を向上できるオルダム継手を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために請求項1に記載の発明では、オルダム継手は、2本の軸の連結端に各々設けられる2つの連結部材と、両連結部材間に係合連結される中間部材とを備え、該2本の軸はこのオルダム継手によりトルク伝達可能に連結される。前記中間部材はキー部を有し、前記2つの連結部材のうち少なくとも一方は前記キー部と嵌合するキー溝を有する筒部を備える。トルク伝達時に互いに当接する前記キー部と前記筒部のキー溝内壁面との少なくとも一方には、当該キー部とキー溝内壁面との当接箇所を、前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されている。なお、連結部材は、軸に組付けされる一つの独立した部材を構成するものの他、軸に一体形成されて軸の一部を構成する連結部も含む概念である。以下の請求項においても同様である。
【0010】
この発明によれば、2本の軸が三部材を備えるオルダム継手により連結され、一方の軸(駆動側軸)から他方の軸(従動側軸)へトルク伝達される。中間部材のキー部が筒部のキー溝に嵌合された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー部とキー溝内壁面の少なくとも一方に形成された加工面の存在により、キー部とキー溝内壁面の当接箇所が筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れ込む応力変形が抑えられ易くなる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のオルダム継手において、前記加工面は前記キー溝内壁面に設けられている。
この発明によれば、中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー溝内壁面に設けられた加工面の存在により、キー部がキー溝内壁面に当接する当接箇所が筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れ込む応力変形が抑えられ易くなる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、第1軸と第2軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手は、前記第1軸の端部から軸方向に突出する突部と、前記突部と係合する係合穴又は係合凹部を有するとともに径方向外側へ突出するキー部とを有する中間部材と、前記第2軸の端部に設けられて前記キー部と係合可能なキー溝が形成された筒部とを備える。前記キー部とトルク伝達方向で対向する前記筒部のキー溝内壁面には、前記キー部がトルク伝達時に当接する当接箇所を、前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されている。
【0013】
この発明によれば、第1軸と第2軸は、突部が中間部材の係合穴又は係合凹部に係合するとともに、中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌されることで、トルク伝達可能に連結される。中間部材の径方向内側に第1軸とのトルク伝達部が、また、径方向外側に第2軸とのトルク伝達部が設定されることで、軸方向に大きなスペースを取ることなくオルダム継手を配置できるが、一方で最外周に中間部材を覆う形で筒部の設定が必要になる。中間部材のキー部が筒部のキー溝に遊嵌された状態で2軸間のトルク伝達が行われるが、キー溝内壁面に設けられた加工面の存在により、キー部がキー溝内壁面に当接する当接箇所は筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトする。従って、筒部がキー部から受ける力が外周側に偏ることが回避され易く、キー溝近傍において筒部の筒壁が外側へ倒れる方向の応力変形が抑制され易くなる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルダム継手において、前記加工面は、前記キー溝内壁面にその径方向外側部位を切除するように形成されていることを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明の作用を得るための加工面は、キー溝内壁面にその径方向外側部位を切除するように形成されるので、この加工面の加工等(切削、成形等)が簡単で済む。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のオルダム継手において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し30〜50%の範囲内の値であることを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、請求項4に記載の発明の作用に加え、キー溝内壁面における加工面を除く部分の径方向幅を、キー溝内壁面の径方向全幅に対し30〜50%の範囲内の値に設定したので、筒部内周側のフィレットと、キー溝内壁面側のフィレットにそれぞれかかる各集中応力の偏りを小さくし易くなる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のオルダム継手において、前記加工面は、前記加工面はテーパ面であることを要旨とする。
この発明によれば、加工面がテーパ面であるので、請求項4又は5に記載の発明の作用を得るうえで、キー溝内壁面における径方向外側部位に加工面を設けるために必要な加工等(切削、成形等)が簡単で済む。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のオルダム継手において、前記テーパ面は、前記筒部の径方向に対してなす角度が10度以内であることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、請求項6に記載の発明の作用に加え、テーパ面が筒部の径方向に対してなす角度が10度以内であることから、テーパ面形成による筒部の肉取り量が少なく筒部外壁の剛性が確保され易い。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車用エンジンに適用した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0022】
図4は、自動車用エンジンの動弁機構を構成するカムシャフトと、ポンプの入力軸とをオルダム継手により連結する連結構造を示す。この図においてオルダム継手は分解状態で示されている。カムシャフト10には複数のカム10Aが軸線上等間隔の位置に突設されており、カムシャフト10が1回転する度に各カム10Aと対応する各バルブ(図示省略)がそれぞれ所定のタイミングで一度ずつ開閉する。
【0023】
オルダム継手1は、カムシャフト10の端部に形成されたボス11と、中間ディスク20と、ポンプ(図示省略)から延出する入力軸30の先端部に形成された突部31とにより構成される。入力軸30および中間ディスク20については、従来技術と同様の構造である。ここで、オルダム継手1は、入力軸30とカムシャフト10の二軸を一体回転可能(トルク伝達可能)に連結するために用いられ、入力軸30により第1軸が、カムシャフト10により第2軸がそれぞれ構成される。
【0024】
ポンプは、例えばサプライポンプであって、カムシャフト10の回転トルクを入力として駆動され、燃料をコモンレールに圧送してコモンレール内の燃料圧を所定値に高めるものである。
【0025】
オルダム継手1は、カムシャフト10の端部(連結端)に設けられたボス11と、中間ディスク(中間部材)20と、ポンプの入力軸30の先端部(連結端)に設けられた突部31とから構成される。本実施形態では、オルダム継手1を構成する連結部材としてのボス11および突部31はそれぞれ軸10,30の端部に一体形成されている。
【0026】
ボス11は、カムシャフト10の軸径よりも大きな外径を有する略有底円筒状の円筒部12を備え、その円筒部12にはその径方向を真っ直ぐ横断するキー溝(凹溝)13が凹設されている。円筒部12は、カムシャフト10と同一の軸心をもち、カムシャフト10と同一軸線上で回転する。中間ディスク20は、円筒部12の筒内に配置可能な略円板形状の支持板部22と、この支持板部22の径方向両側に突出する一対のキー部21とを有し、支持板部22の中央部には四角形の連結孔23が形成されている。一方、入力軸30には、連結孔23に嵌挿可能な四角柱状の突部31が、その先端から軸方向に延びるように突設されている。
【0027】
ボス11と中間ディスク20は、キー溝13にキー部21が嵌め込まれることでトルク伝達可能に連結される。また、中間ディスク20と入力軸30は、四角柱状の突部31が四角形の連結孔23に嵌挿されることでトルク伝達可能に連結される。駆動側の軸のトルクを従動側の軸に効率よく伝達するため、円筒部12は駆動側の軸であるカムシャフト10に設けられ、突部31は従動側の軸である入力軸30に設けられる。
【0028】
本実施形態では、ボス11が有する円筒部12の構造に特徴がある。図1は、カムシャフトの端部に形成されたボスを示す。ボス11を構成する円筒部52の内周面付け根部分には断面略円弧形状のフィレット14が周に沿って形成され、一方、キー溝13の内壁面付け根部分には断面略円弧形状のフィレット15が形成されている。
【0029】
図1,図2に示すように、キー溝13の2つの内壁面のうちキー部21とトルク伝達方向において対向する側の内壁面(以下、キー溝内壁面という)13Aは、外周寄り部分に形成された加工面としてのテーパ面(斜面)16と、このテーパ面16を除く内周側部位を形成するトルク伝達面17とからなる。トルク伝達面17は、円筒部12の径方向に平行な平坦面に形成され、一方のテーパ面16は、キー溝内壁面13Aの径方向外側部位を切除する形状の斜面に形成されている。
【0030】
一方、キー部21の側面は中間ディスク20の径方向に平行な平坦面となっており、キー部21はキー溝13に対し若干の隙間を介して遊嵌されるようになっている。キー溝内壁面13Aとキー部21との当接箇所を通じて円筒部12から中間ディスク20へのトルク伝達が行われ、さらに中間ディスク20の連結孔23に嵌挿された突部31にトルクが伝達されることで、カムシャフト10と入力軸30は一体回転する。
【0031】
本実施形態では、キー溝内壁面13Aの外周寄り部位に設けたテーパ面16により、キー部21がキー溝内壁面13Aに当接する当接箇所(トルク伝達箇所)を円筒部12の外周面より内側(径方向内側)となる所定位置(図2におけるT位置)にシフトさせている。すなわち、キー溝13に遊嵌されたキー部21は、両者間にある若干の隙間(ガタ)によりトルク伝達面17に対して若干傾く姿勢をとるが、この傾き角に比べテーパ面16がトルク伝達面17に対してなす角度が十分大きいため、キー部21はテーパ面16とトルク伝達面17とのほぼ境界位置(T位置)で当接する。このようにトルク伝達箇所が円筒部12の外周端から径方向内側へシフトすることで、キー部21から円筒部12に加わる力がキー溝内壁面13Aの外周縁付近における筒壁12Aに集中することが回避され、円筒部12の筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象が小さく抑制されるようにしている。
【0032】
トルク伝達箇所Tを径方向内側へシフトさせれば、筒壁12Aの外側への倒れ込み現象が抑制されてフィレット14にかかる応力は緩和される。しかし、キー部21から筒壁12Aの径方向にかかる力が緩和される一方、キー部21から筒壁12Aの周方向にかかる力が増すため、トルク伝達箇所Tを径方向内側へシフトさせたその背反作用として、フィレット15の応力が増加する。そこで、本実施形態では、フィレット14とフィレット15の一方に過大な応力がかからないよう両応力のバランスを考慮し、トルク伝達箇所T、すなわち図3に示すトルク伝達面17の径方向幅(以下、単にトルク伝達面幅という)Wを、適切な値に設定している。本実施形態では、トルク伝達面幅Wを、円筒部12の肉厚(以下、筒部肉厚(筒壁の径方向全幅)という)Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定している。また、テーパ面16の角度θを大きくとるとテーパ面16付近における筒壁12Aの剛性が低下するため、本実施形態ではその角度θを10度以内としている。
【0033】
角度θは、キー部21とキー溝13とのガタを考慮しても、キー部21がキー溝内壁面13Aの外周端で接触しないようにできる値であれば足り、本実施形態ではキー部21とキー溝13との寸法公差等を考慮し、1度以上の角度が確保されれば目的は達成される。従って、テーパ面16の角度θは、一応効果が得られる範囲が1〜80度の範囲、好ましい範囲が2〜50度、最適な範囲が5〜20度である。特に最適範囲5〜20度であれば筒壁12Aの剛性が確保され易い。
【0034】
先に述べたように、フィレット14,15にかかる各応力は、トルク伝達面幅Wに依存する。すなわち、トルク伝達面幅Wを小さくしてトルク伝達位置Tが径方向内側へシフトするに連れて、フィレット14の応力が小さくなる一方、フィレット15の応力は逆に大きくなる。よって、フィレット14,15の一方でも過大な応力がかかることを回避するため、フィレット14,15にかかる各応力が巧くバランスするようトルク伝達面幅Wを設定する必要がある。
【0035】
本実施形態では、フィレット14,15にかかる各応力を巧くバランスできるように、トルク伝達面幅Wを筒部肉厚Rに対し30〜50%の範囲内の値とする最適範囲の値を採用しているが、最適範囲の値を設定することは必ずしも必須ではない。トルク伝達面幅Wは、筒部肉厚Rに対し20〜60%の範囲内の値に設定するのが好ましく、この場合、フィレット14,15の一方にやや過大気味の応力が発生するが、筒壁12Aの外側への倒れ込み現象はかなり抑制できる。またトルク伝達面幅Wは、筒部肉厚Rに対し10〜80%の範囲内の値にあれば筒壁12Aの外側への倒れ込み現象を一応低減できる。もちろん、トルク伝達面幅Wは、トルク伝達位置を径方向内側の所定位置にシフトすることが可能なその他の値に設定することもでき、筒部肉厚Rに対し0%(例えばキー溝内壁面全域をテーパ面)としたり、90%(例えばキー溝内壁面の外周端寄り1割のみテーパ面)としてもその値なりの効果は得られる。
【0036】
従って、カムシャフト10からオルダム継手1を介して入力軸30に回転トルクが伝達される際は、円筒部12の外周面より径方向内側へシフトした当接箇所(トルク伝達箇所)Tにてトルク伝達が行われるので、筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象が小さく抑えられる。この結果、フィレット14に過大な応力がかかることが回避される。また、トルク伝達面幅Wが筒部肉厚(径方向全幅)Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定されているため、フィレット14とフィレット15の一方のみに過大な応力がかかることが回避される。よって、円筒部12、ひいてはオルダム継手1の耐久性が向上することになる。
【0037】
なお、本実施形態のボス11(つまり円筒部12)を適用したオルダム継手1についてFEM強度解析を行った結果、フィレット14の応力が従来よりも33%低減されることが認められた。このとき、フィレット15の応力は、強度的に問題のない十分許容範囲内の値を示した。
【0038】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ボス11(つまり円筒部12)を構成要素とするオルダム継手1において、円筒部12のキー溝内壁面13Aにおける外周端寄り箇所にテーパ面16を形成し、トルク伝達箇所Tを円筒部12の外周面より径方向内側へシフトさせた。従って、トルク伝達時にキー部21から反作用として受ける力によって筒壁12Aが外側へ倒れ込む現象を小さく抑制できることから、フィレット14に過大な応力がかかることを回避できる。この結果、筒壁12Aの肉厚を厚くするなどの補強対策を採用しなくても、オルダム継手1の耐久性を向上させることができる。
【0039】
(2)テーパ面16のなす角度θを10度以内と小さな値に設定しているため、テーパ面16の形成によって筒壁12Aから切除される部分(量)が少なく済み、キー溝13付近における筒壁12Aの剛性低下を回避し易くなる。
【0040】
(3)トルク伝達面幅Wを筒部肉厚Rに対し30〜50%の範囲内の値に設定し、円筒部12の内周面から径方向外側へ筒壁12Aの肉厚に対し30〜50%の範囲内の箇所でキー部21がキー溝内壁面13Aと当接するようにした。従って、フィレット14,15にかかる各応力を一方が過大とならないようバランスさせることができる。よって、円筒部12において局所的に過大な応力がかかる部位をなるべく減らし、オルダム継手1の耐久性向上に寄与できる。
【0041】
(4)キー部21とキー溝内壁面13Aとの当接箇所を円筒部12の径方向内側へシフトさせる加工面として、テーパ面16を採用したので、加工あるいは成型が簡単である。
【0042】
(5)筒状のボス11の応力緩和が図られることから、カムシャフト10とポンプの入力軸30との連結に使用されるこのオルダム継手1の寿命を延ばすことができる。
【0043】
なお、実施の形態は上記に限定されず、以下の変形例を採用することもできる。
○ キー溝内壁面13Aに設ける加工面は、前記実施形態に限定されない。キー部21との当接箇所を円筒部12の外周面より径方向内側へシフトさせられる面形状であればよい。例えば図5(a)〜(d)に示す加工面であってもよい。同図(a)は加工面を円弧面41としたものである。もちろん円弧面に限らず凸の曲面であれば足りる。また、同図(b)はキー溝内壁面13Aの外周端寄りと内周端寄りの両側二箇所にテーパ面42,43を形成した例である。テーパ面42,43に挟まれたトルク伝達面44は、キー部21とキー溝13間の遊び分のガタを見込んでキー部21がトルク伝達面44と面接触するように、若干の傾き角を設けている。この構成によれば、キー溝内壁面13Aにおけるトルク伝達箇所を円筒部12の径方向内側にシフトさせることができるので、円筒部12に局所的な過大な応力がかかることを回避できる。さらにキー部21がキー溝内壁面13Aと面接触し易くなるため、線接触に比べキー部21から受けた力を分散し易く、応力緩和に一層寄与する。また同図(c)は、加工面をテーパ面ではなく、キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所を段差状に切除する段差面45とした構成である。また同図(d)は、キー溝内壁面13Aの外周端寄り箇所のみに加工面としての円弧面46を形成した例である。もちろん円弧面46は曲面であれば足り、またトルク伝達箇所を円筒部の外周面より径方向内側へシフトできるのであれば凹曲面であっても構わない。
【0044】
○ 加工面はキー溝内壁面に設けることに限定されない。例えば加工面はキー部に設けることもできる。図6に示すように、キー部21の側面先端部(外周側端部)にテーパ面21Aを形成し、キー部21とキー溝内壁面13Aとの当接箇所を円筒部12の径方向内側へシフトさせる構成とする。もちろん、加工面(例えばテーパ面)は、キー部21とキー溝内壁面13Aの両方に設けられていてもよい。
【0045】
○ オルダム継手は前記実施形態の構造のものに限定されない。例えば互いに連結される2軸の連結端にそれぞれ筒部が設けられ、中間部材(中間ディスク)に形成された十字状のキー部のうち対向する一対ずつを各筒部のキー溝にそれぞれ係合(遊嵌)させることで、2軸をトルク伝達可能に連結するタイプのオルダム継手に本発明を適用することができる。この場合、2つの筒部のキー溝内壁面に加工面を設ける。
【0046】
○ 前記実施形態では、連結部材としてのボス11(円筒部12)や突部31は、軸に一体形成される構成であったが、連結部材は軸に組付けられる部品であってもよい。
【0047】
○ 突部31が係合される係合部を連結孔23に替え、係合凹部としての連結凹部としてもよい。凹部であっても突部との係合は可能である。
○ 前記実施形態では、オルダム継手をディーゼルエンジンに適用したが、ガソリンエンジンに適用してもよい。さらに自動車において2軸を連結する継手として本発明のオルダム継手を使用することができる。さらに自動車以外の技術分野(例えば産業車両、航空機、工作機械、紡績機械等)において、2軸を連結する継手としてオルダム継手を使用することができる。
【0048】
以下、前記各実施形態及び別例などから把握される技術的思想を記載する。
(1)請求項2〜7のいずれか一項に記載のオルダム継手において、前記2軸のうち少なくとも駆動側の軸には前記筒部が設けられていることを要旨とする。
【0049】
この発明によれば、駆動側の軸に筒部が設けられているため、駆動側の軸の回転力を効率よく従動側の軸に伝達することができ、このときキー部が筒部のキー溝内壁面に当接する当接箇所が内側へシフトするため、筒部、ひいてはオルダム継手の耐久性を向上させることができる。
【0050】
(2)請求項6において、前記テーパ面は前記なす角度が1度以上である。1度以上の角度が確保されれば前記当接箇所をシフトさせる目的は達成できる。
(3)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が1〜80度の範囲内の値である。
【0051】
(4)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が2〜50度の範囲内の値である。
(5)請求項6において、前記テーパ面は、前記なす角度が5〜20度の範囲内の値である。テーパ面の前記なす角度が5〜20度の範囲であれば筒部の筒壁の剛性が一応効果的に確保される。
【0052】
(6)請求項4において、前記加工面は、前記筒部の外周面から径方向内側へ該筒部の肉厚の20%以上シフトする箇所で前記キー部が前記キー溝内壁面と当接するように形成されていることを特徴とする。
【0053】
(7)請求項4において、前記加工面は、前記筒部の内周面から径方向外側へ該筒部の肉厚に対し30〜50%の範囲内の箇所で前記キー部が前記キー溝内壁面と当接するように形成されていることを特徴とする。この構成によれば、キー部とキー溝内壁面が上記箇所で当接することにより、筒部の筒壁の内周側付け根とキー溝内壁面側付け根にそれぞれかかる各応力の一方が過大となる不具合を回避し易い。
【0054】
(8)請求項4において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し20〜60%の範囲内の値であることを特徴とする。20〜60%の範囲内の値に設定されている場合、フィレットの一方にやや過大気味の集中応力が発生するが、筒部の外側への倒れ込みはかなり抑制できる。
【0055】
(9)請求項4において、前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し10〜80%の範囲内の値であることを特徴とする。10〜80%の範囲内の値であれば、筒部の外側への倒れ込みは一応低減できる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜7に記載の発明によれば、トルク伝達時にキー溝内壁面がキー部から反作用として受ける力に起因し筒部が外側へ倒れ込む現象を小さく抑えられ、これにより筒部に過大な応力をかかり難くし、ひいてはオルダム継手の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のボスを示す斜視図。
【図2】キー部と円筒部との当接部分を示す要部正面図。
【図3】円筒部の部分正面図。
【図4】クランクシャフトとポンプの入力軸間に設けられるオルダム継手の分解斜視図。
【図5】オルダム継手の変形例を示す要部正面図。
【図6】図5と異なるオルダム継手の変形例を示す要部正面図。
【図7】従来のオルダム継手を構成する円筒部の斜視図。
【図8】(a)は従来のオルダム継手を構成する円筒部とキー部との当接箇所を示す部分正面図、(b)は円筒部を示す部分側面図。
【符号の説明】
1…オルダム継手、10…軸及び第2軸としてのカムシャフト、11…連結部材としてのボス、12…筒部としての円筒部、13…キー溝、13A…キー溝内壁面、16…加工面としてのテーパ面、17…トルク伝達面、20…中間部材としての中間ディスク、21…キー部、21A…加工面としてのテーパ面、23…係合穴としての連結孔、30…軸及び第1軸としての入力軸、31…連結部材としての突部、41…加工面としての円弧面、42…加工面としてのテーパ面、45…加工面としての段差面、46…加工面としての円弧面、T…当接箇所としてのトルク伝達箇所、W…径方向幅としてのトルク伝達面幅、θ…なす角としての角度。
Claims (7)
- 2本の軸の連結端に各々設けられる2つの連結部材と、両連結部材間に係合連結される中間部材とを備え、該2本の軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手であって、
前記中間部材はキー部を有し、
前記2つの連結部材のうち少なくとも一方は前記キー部と遊嵌するキー溝を有する筒部を備え、
トルク伝達時に互いに当接する前記キー部と前記筒部のキー溝内壁面との少なくとも一方には、当該キー部とキー溝内壁面との当接箇所を前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されていることを特徴とするオルダム継手。 - 前記加工面は前記キー溝内壁面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオルダム継手。
- 第1軸と第2軸をトルク伝達可能に連結するオルダム継手であって、
前記第1軸の端部から軸方向に突出する突部と、
前記突部と係合する係合穴又は係合凹部を有するとともに径方向外側へ突出するキー部とを有する中間部材と、
前記第2軸の端部に設けられて前記キー部と係合可能なキー溝が形成された筒部とを備え、
前記キー部とトルク伝達方向で対向する前記筒部のキー溝内壁面には、前記キー部がトルク伝達時に当接する当接箇所を、前記筒部の外周面より径方向内側の所定位置へシフトさせる加工面が形成されていることを特徴とするオルダム継手。 - 前記加工面は、前記キー溝内壁面にその径方向外側部位を切除するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のオルダム継手。
- 前記キー溝内壁面における前記加工面を除く部分の径方向幅は、前記キー溝内壁面の径方向全幅に対し30〜50%の範囲内の値であることを特徴とする請求項4に記載のオルダム継手。
- 前記加工面はテーパ面であることを特徴とする請求項4又は5に記載のオルダム継手。
- 前記テーパ面は、前記筒部の径方向に対してなす角度が10度以内であることを特徴とする請求項6に記載のオルダム継手。
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