JP2004068943A - 軸継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】両回転軸のミスアライメントを許容するための、係合孔12とトルク伝達片との隙間に起因する摩耗や打音の発生を防止した軸継手を提供する。
【解決手段】剛材からなる継手本体10に形成された筒状保持部11の内周に、ゴム状弾性材料からなるブッシュ状の弾性体20が、外周のスリーブ21を介して圧入されている。継手本体10及び弾性体20には、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片を挿入可能な係合孔12,22が軸方向に重合した状態で開設され、継手本体10の係合孔12の内面121a〜124aとトルク伝達片との間には隙間が形成され、弾性体20の係合孔22のトルク授受部221a〜224aがトルク伝達片の挿入によって予圧縮される。
【選択図】 図2
【解決手段】剛材からなる継手本体10に形成された筒状保持部11の内周に、ゴム状弾性材料からなるブッシュ状の弾性体20が、外周のスリーブ21を介して圧入されている。継手本体10及び弾性体20には、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片を挿入可能な係合孔12,22が軸方向に重合した状態で開設され、継手本体10の係合孔12の内面121a〜124aとトルク伝達片との間には隙間が形成され、弾性体20の係合孔22のトルク授受部221a〜224aがトルク伝達片の挿入によって予圧縮される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの駆動軸と油圧ポンプの回転軸など、駆動側回転軸と従動側回転軸とを回転接続する軸継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の技術に係る軸継手を、接続対象の回転軸と共に示す分離斜視図である。この図5において、例えばモータの出力軸である駆動側回転軸110の軸端110aには、その直径方向に対称に並んだ一対のトルク伝達片111,112が突設されており、駆動側回転軸110の軸端110aと対向する、例えば油圧ポンプの回転軸である従動側回転軸120の軸端120aにも、同様のトルク伝達片121,122が突設されている。両回転軸110,120を連結する軸継手100は、軸方向に貫通した十字孔101を有する。
【0003】
すなわち、駆動側回転軸110のトルク伝達片111,112と、従動側回転軸120のトルク伝達片121,122は、互いにほぼ直角をなして交差するように組み合わされた状態で、軸継手100の十字孔101に、その軸方向両側から挿入されることによって、トルク伝達可能な状態に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術によれば、駆動側回転軸110のトルク伝達片111,112及び従動側回転軸120のトルク伝達片121,122と、軸継手100の十字孔101との間には、両回転軸110,120間の芯ずれなどミスアライメントを許容するために、ある程度の隙間が設定されていることから、この隙間に起因するガタつきによって、十字孔101の内面と、トルク伝達片111,112及び121,122が摺動し、経時的な摩耗を生じ、その摩耗粉が、他部品に悪影響を与えるおそれがある。また、前記ガタつきによって、打音を発生する問題も指摘される。
【0005】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、両回転軸のミスアライメントを許容するための隙間に起因する摩耗や打音の発生を防止した軸継手を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る軸継手は、剛材からなる継手本体と、ゴム状弾性材料からなる弾性体が軸方向に互いに結合され、前記継手本体及び弾性体には、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片を挿入可能な係合孔が軸方向に重合した状態で開設され、前記継手本体の係合孔の内面と前記トルク伝達片との間には隙間が形成され、前記弾性体の係合孔のトルク授受部が前記トルク伝達片の挿入によって予圧縮されるものである。
【0007】
請求項2の発明に係る軸継手は、請求項1に記載の構成において、弾性体が外周にスリーブを有するブッシュ状をなし、継手本体の軸方向一端外周に形成された筒状保持部の内周に圧入されたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軸継手の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本形態による軸継手1を、接続対象の回転軸2,3と共に示す分離斜視図、図2は、本形態による軸継手1を単独で示すもので、(A)は軸心と平行な方向から見た図、(B)は(A)におけるB−B’断面図であり、図3は、本形態による軸継手1を示す分解斜視図、図4は、本形態による軸継手1を軸心と平行な方向から見た作用説明図である。
【0009】
まず図1において、参照符号2,3は、それぞれ本形態の軸継手1による接続対象の回転軸で、このうち、駆動側回転軸2は、例えばモータの出力軸であり、従動側回転軸3は、例えば前記モータによって回転される油圧ポンプやあるいは減速機等の回転軸である。両回転軸2,3は、その軸端が軸方向に互いに対向される。
【0010】
駆動側回転軸2の軸端には、軸方向に所定の高さを有する一対のトルク伝達片2a,2bが、直径方向に対称に突設されており、従動側回転軸3の軸端にも同様に、軸方向に所定の高さを有する一対のトルク伝達片3a,3bが、直径方向に対称に突設されている。
【0011】
軸継手1は、図2及び図3に示されるように、剛材、例えば金属材料あるいは硬質の合成樹脂材料からなる継手本体10と、ゴム状弾性材料からなる弾性体20が軸方向に互いに結合された構造を有する。詳しくは、継手本体10は、その軸方向一端外周に筒状保持部11が形成されており、弾性体20は、継手本体10の筒状保持部11に適当な締め代をもって圧入される金属製のスリーブ21の内周に、一体的に加硫接着されたブッシュ状をなすものである。
【0012】
継手本体10及び弾性体20には、それぞれ軸方向に貫通し互いに重合した係合孔12,22が開設されている。このうち、継手本体10の係合孔12は、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを遊挿可能な、半径方向に延びるU字状の四個の係合切欠121〜124を、その中心線が軸心Oにおいて互いに90度で交差するように形成した十字孔状をなすものである。
【0013】
一方、弾性体20の係合孔22は、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを弾性的な接触状態に挿入可能な、U字状の四個の係合切欠221〜224を、90度間隔で形成した十字孔状をなすものである。詳しくは、図2(A)に示されるように、係合切欠222及びこれに時計回りの方向に隣接する係合切欠223の中心線の交点P1と、係合切欠224及びこれに時計回りの方向に隣接する係合切欠221の中心線の交点P2は、軸心Oを中心として互いに180度対称位置にある。すなわち、弾性体20の係合孔22における各係合切欠221〜224のトルク授受部221a〜224aが、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面のうち、前記トルク授受部221a〜224aと対応する内面121a〜124aより適宜高くなっている。
【0014】
このため、駆動側回転軸2が例えば図4における時計回りの方向(矢印R方向)へ回転するものである場合、弾性体20は、この駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bからのトルクをトルク授受部221a,223aで受け、これと交差するトルク授受部222a,224aから、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bへ伝達することになる。
【0015】
なお、本形態において、弾性体20の係合孔22におけるおける各係合切欠221〜224のトルク授受部221a〜224aと反対側の内面は、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面と略面一となっているが、これには限定されない。
【0016】
本形態の軸継手1は、鋳造あるいは合成樹脂成形によって、図3に示されるような継手本体10を製作する一方、金型内に、予め加硫接着剤を塗布した金属製のスリーブ21をセットして未加硫ゴム材料を充填し、加熱・加圧することによって、図3に示されるような、スリーブ21と一体のブッシュ状の弾性体20を成形してから、この成形体を、図2(B)に示されるように、継手本体10における筒状保持部11の内周に圧入することによって、製造されるものである。
【0017】
なお、予め継手本体10の筒状保持部11の内周面と、スリーブ21の外周面のいずれか一方に、軸方向に軸方向に延びる係合凸条を形成し、他方にこれと係合する係合溝を形成しておくことによって、前記圧入に際して、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124と、弾性体20の係合孔22における係合切欠221〜224との位置決めを、容易に、かつ正確に行うことができる。
【0018】
以上のように構成された軸継手1は、図1に示されるように、軸方向に互いに対向する駆動側回転軸2と従動側回転軸3の間に介在して、両軸2,3を回転接続するものである。すなわち、駆動側回転軸2及び従動側回転軸3は、そのトルク伝達片2a,2b及び3a,3bが、軸継手1における係合孔12,22に挿入され、詳しくは、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bは、例えば係合孔12,22における係合切欠121,221及びこれと180度対称の係合切欠123,223に挿入され、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、例えば係合切欠122,222及びこれと180度対称の係合切欠124,224に挿入される。
【0019】
このとき、駆動側回転軸2と従動側回転軸3の軸心が僅かにずれた状態や、駆動側回転軸2と従動側回転軸3の軸心が互いに交差した状態などのミスアライメントがあっても、剛材からなる継手本体10の係合孔12と、これに挿入された駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bとの間には隙間が存在するため、軸継手1は、このようなミスアライメント状態での両回転軸2,3の接続を許容する。
【0020】
弾性体20の係合切欠221,223、及び係合切欠222,224は、その中心線が軸心Oを中心として対称にずれているため、挿入された駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、図4に示されるように、継手本体10の係合切欠121〜124に対して適当な傾斜角度をなす。その結果、トルク伝達片2a,2bは、弾性体20のトルク授受部221a,223aを予圧縮して弾性的に圧接されると共に、その圧縮反力によって、係合切欠121,221及び123,223における回転方向Rと反対側の内面に押し付けられ、同様に、トルク伝達片3a,3bは、弾性体20のトルク授受部222a,224aに弾性的に圧接されると共に、その圧縮反力によって、係合切欠122,222及び124,224における回転方向R側の内面に押し付けられる。このため、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bと、継手本体10の係合孔12との間には、隙間が存在するにも拘らずガタつきが発生することがなく、これに起因する摩耗や打音の発生も、有効に防止される。
【0021】
ここで、駆動側回転軸2が図1及び図4におけるR方向へ回転すると、そのトルクは、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bが、弾性体20のトルク授受部221a,223aを回転方向へ弾性的に押圧するようにして弾性体20に伝達され、更に前記トルク授受部221a,223aと交差するトルク授受部222a,224aが、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを回転方向へ弾性的に押圧するようにして、従動側回転軸3に伝達され、従動側回転軸3が駆動側回転軸2と同方向へ回転される。
【0022】
上述したトルク伝達過程では、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、通常、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面121a〜124aに対して非接触状態にあり、弾性体20のトルク授受部221a〜224aに弾性的に接触しているので、モータの振動やギヤの噛合等に起因する両回転軸2,3間での振動の伝達が、有効に絶縁される。
【0023】
また、過大なトルクが作用することによって、弾性体20のトルク授受部221a〜224aの変形量が所定の大きさに達した時点で、トルク伝達片2a,2b又はトルク伝達片3a,3bが、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124のトルク授受側の内面121a〜124aと接触するので、弾性体20の過大な変形が防止される。
【0024】
なお、先に説明したように、継手本体10へのスリーブ21の圧入に際して位置決めを容易にする目的で、継手本体10の筒状保持部11の内周面と、スリーブ21の外周面のいずれか一方に、軸方向に軸方向に延びる係合凸条を形成し、他方にこれと係合する係合溝を形成した場合は、過大トルクの入力時に、筒状保持部11とスリーブ21の間にスリップを生じるのを防止することができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る軸継手によれば、剛材からなる継手本体と、ゴム状弾性材料からなる弾性体が軸方向に互いに結合され、弾性体の予圧縮によって、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片と、継手本体の係合孔との隙間に起因するガタ付きをなくしたため、摩耗や打音の発生を、有効に防止することができる。
【0026】
請求項2の発明に係る軸継手によれば、弾性体が外周にスリーブを有するブッシュ状をなし、継手本体の軸方向一端外周に形成された筒状保持部の内周に圧入される構造としたため、容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態による軸継手1を、接続対象の回転軸2,3と共に示す分離斜視図である。
【図2】図1の軸継手1を単独で示すもので、(A)は軸心と平行な方向から見た図、(B)は(A)におけるB−B’断面図である。
【図3】図1の軸継手1を示す分解斜視図である。
【図4】図1の軸継手1を軸心と平行な方向から見た作用説明図である。
【図5】従来の技術に係る軸継手100を、接続対象の回転軸110,120と共に示す分離斜視図である。
【符号の説明】
1 軸継手
2 駆動側回転軸
2a,2b,3a,3b トルク伝達片
3 従動側回転軸
10 継手本体
11 筒状保持部
12 係合孔
121〜124 係合切欠
121a〜124a 内面
20 弾性体
21 スリーブ
22 係合孔
221〜224 係合切欠
221a〜224a トルク授受部
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータの駆動軸と油圧ポンプの回転軸など、駆動側回転軸と従動側回転軸とを回転接続する軸継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の技術に係る軸継手を、接続対象の回転軸と共に示す分離斜視図である。この図5において、例えばモータの出力軸である駆動側回転軸110の軸端110aには、その直径方向に対称に並んだ一対のトルク伝達片111,112が突設されており、駆動側回転軸110の軸端110aと対向する、例えば油圧ポンプの回転軸である従動側回転軸120の軸端120aにも、同様のトルク伝達片121,122が突設されている。両回転軸110,120を連結する軸継手100は、軸方向に貫通した十字孔101を有する。
【0003】
すなわち、駆動側回転軸110のトルク伝達片111,112と、従動側回転軸120のトルク伝達片121,122は、互いにほぼ直角をなして交差するように組み合わされた状態で、軸継手100の十字孔101に、その軸方向両側から挿入されることによって、トルク伝達可能な状態に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術によれば、駆動側回転軸110のトルク伝達片111,112及び従動側回転軸120のトルク伝達片121,122と、軸継手100の十字孔101との間には、両回転軸110,120間の芯ずれなどミスアライメントを許容するために、ある程度の隙間が設定されていることから、この隙間に起因するガタつきによって、十字孔101の内面と、トルク伝達片111,112及び121,122が摺動し、経時的な摩耗を生じ、その摩耗粉が、他部品に悪影響を与えるおそれがある。また、前記ガタつきによって、打音を発生する問題も指摘される。
【0005】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、両回転軸のミスアライメントを許容するための隙間に起因する摩耗や打音の発生を防止した軸継手を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る軸継手は、剛材からなる継手本体と、ゴム状弾性材料からなる弾性体が軸方向に互いに結合され、前記継手本体及び弾性体には、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片を挿入可能な係合孔が軸方向に重合した状態で開設され、前記継手本体の係合孔の内面と前記トルク伝達片との間には隙間が形成され、前記弾性体の係合孔のトルク授受部が前記トルク伝達片の挿入によって予圧縮されるものである。
【0007】
請求項2の発明に係る軸継手は、請求項1に記載の構成において、弾性体が外周にスリーブを有するブッシュ状をなし、継手本体の軸方向一端外周に形成された筒状保持部の内周に圧入されたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る軸継手の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本形態による軸継手1を、接続対象の回転軸2,3と共に示す分離斜視図、図2は、本形態による軸継手1を単独で示すもので、(A)は軸心と平行な方向から見た図、(B)は(A)におけるB−B’断面図であり、図3は、本形態による軸継手1を示す分解斜視図、図4は、本形態による軸継手1を軸心と平行な方向から見た作用説明図である。
【0009】
まず図1において、参照符号2,3は、それぞれ本形態の軸継手1による接続対象の回転軸で、このうち、駆動側回転軸2は、例えばモータの出力軸であり、従動側回転軸3は、例えば前記モータによって回転される油圧ポンプやあるいは減速機等の回転軸である。両回転軸2,3は、その軸端が軸方向に互いに対向される。
【0010】
駆動側回転軸2の軸端には、軸方向に所定の高さを有する一対のトルク伝達片2a,2bが、直径方向に対称に突設されており、従動側回転軸3の軸端にも同様に、軸方向に所定の高さを有する一対のトルク伝達片3a,3bが、直径方向に対称に突設されている。
【0011】
軸継手1は、図2及び図3に示されるように、剛材、例えば金属材料あるいは硬質の合成樹脂材料からなる継手本体10と、ゴム状弾性材料からなる弾性体20が軸方向に互いに結合された構造を有する。詳しくは、継手本体10は、その軸方向一端外周に筒状保持部11が形成されており、弾性体20は、継手本体10の筒状保持部11に適当な締め代をもって圧入される金属製のスリーブ21の内周に、一体的に加硫接着されたブッシュ状をなすものである。
【0012】
継手本体10及び弾性体20には、それぞれ軸方向に貫通し互いに重合した係合孔12,22が開設されている。このうち、継手本体10の係合孔12は、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを遊挿可能な、半径方向に延びるU字状の四個の係合切欠121〜124を、その中心線が軸心Oにおいて互いに90度で交差するように形成した十字孔状をなすものである。
【0013】
一方、弾性体20の係合孔22は、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを弾性的な接触状態に挿入可能な、U字状の四個の係合切欠221〜224を、90度間隔で形成した十字孔状をなすものである。詳しくは、図2(A)に示されるように、係合切欠222及びこれに時計回りの方向に隣接する係合切欠223の中心線の交点P1と、係合切欠224及びこれに時計回りの方向に隣接する係合切欠221の中心線の交点P2は、軸心Oを中心として互いに180度対称位置にある。すなわち、弾性体20の係合孔22における各係合切欠221〜224のトルク授受部221a〜224aが、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面のうち、前記トルク授受部221a〜224aと対応する内面121a〜124aより適宜高くなっている。
【0014】
このため、駆動側回転軸2が例えば図4における時計回りの方向(矢印R方向)へ回転するものである場合、弾性体20は、この駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bからのトルクをトルク授受部221a,223aで受け、これと交差するトルク授受部222a,224aから、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bへ伝達することになる。
【0015】
なお、本形態において、弾性体20の係合孔22におけるおける各係合切欠221〜224のトルク授受部221a〜224aと反対側の内面は、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面と略面一となっているが、これには限定されない。
【0016】
本形態の軸継手1は、鋳造あるいは合成樹脂成形によって、図3に示されるような継手本体10を製作する一方、金型内に、予め加硫接着剤を塗布した金属製のスリーブ21をセットして未加硫ゴム材料を充填し、加熱・加圧することによって、図3に示されるような、スリーブ21と一体のブッシュ状の弾性体20を成形してから、この成形体を、図2(B)に示されるように、継手本体10における筒状保持部11の内周に圧入することによって、製造されるものである。
【0017】
なお、予め継手本体10の筒状保持部11の内周面と、スリーブ21の外周面のいずれか一方に、軸方向に軸方向に延びる係合凸条を形成し、他方にこれと係合する係合溝を形成しておくことによって、前記圧入に際して、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124と、弾性体20の係合孔22における係合切欠221〜224との位置決めを、容易に、かつ正確に行うことができる。
【0018】
以上のように構成された軸継手1は、図1に示されるように、軸方向に互いに対向する駆動側回転軸2と従動側回転軸3の間に介在して、両軸2,3を回転接続するものである。すなわち、駆動側回転軸2及び従動側回転軸3は、そのトルク伝達片2a,2b及び3a,3bが、軸継手1における係合孔12,22に挿入され、詳しくは、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bは、例えば係合孔12,22における係合切欠121,221及びこれと180度対称の係合切欠123,223に挿入され、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、例えば係合切欠122,222及びこれと180度対称の係合切欠124,224に挿入される。
【0019】
このとき、駆動側回転軸2と従動側回転軸3の軸心が僅かにずれた状態や、駆動側回転軸2と従動側回転軸3の軸心が互いに交差した状態などのミスアライメントがあっても、剛材からなる継手本体10の係合孔12と、これに挿入された駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bとの間には隙間が存在するため、軸継手1は、このようなミスアライメント状態での両回転軸2,3の接続を許容する。
【0020】
弾性体20の係合切欠221,223、及び係合切欠222,224は、その中心線が軸心Oを中心として対称にずれているため、挿入された駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、図4に示されるように、継手本体10の係合切欠121〜124に対して適当な傾斜角度をなす。その結果、トルク伝達片2a,2bは、弾性体20のトルク授受部221a,223aを予圧縮して弾性的に圧接されると共に、その圧縮反力によって、係合切欠121,221及び123,223における回転方向Rと反対側の内面に押し付けられ、同様に、トルク伝達片3a,3bは、弾性体20のトルク授受部222a,224aに弾性的に圧接されると共に、その圧縮反力によって、係合切欠122,222及び124,224における回転方向R側の内面に押し付けられる。このため、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bと、継手本体10の係合孔12との間には、隙間が存在するにも拘らずガタつきが発生することがなく、これに起因する摩耗や打音の発生も、有効に防止される。
【0021】
ここで、駆動側回転軸2が図1及び図4におけるR方向へ回転すると、そのトルクは、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2bが、弾性体20のトルク授受部221a,223aを回転方向へ弾性的に押圧するようにして弾性体20に伝達され、更に前記トルク授受部221a,223aと交差するトルク授受部222a,224aが、従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bを回転方向へ弾性的に押圧するようにして、従動側回転軸3に伝達され、従動側回転軸3が駆動側回転軸2と同方向へ回転される。
【0022】
上述したトルク伝達過程では、駆動側回転軸2のトルク伝達片2a,2b及び従動側回転軸3のトルク伝達片3a,3bは、通常、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124の内面121a〜124aに対して非接触状態にあり、弾性体20のトルク授受部221a〜224aに弾性的に接触しているので、モータの振動やギヤの噛合等に起因する両回転軸2,3間での振動の伝達が、有効に絶縁される。
【0023】
また、過大なトルクが作用することによって、弾性体20のトルク授受部221a〜224aの変形量が所定の大きさに達した時点で、トルク伝達片2a,2b又はトルク伝達片3a,3bが、継手本体10の係合孔12における係合切欠121〜124のトルク授受側の内面121a〜124aと接触するので、弾性体20の過大な変形が防止される。
【0024】
なお、先に説明したように、継手本体10へのスリーブ21の圧入に際して位置決めを容易にする目的で、継手本体10の筒状保持部11の内周面と、スリーブ21の外周面のいずれか一方に、軸方向に軸方向に延びる係合凸条を形成し、他方にこれと係合する係合溝を形成した場合は、過大トルクの入力時に、筒状保持部11とスリーブ21の間にスリップを生じるのを防止することができる。
【0025】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る軸継手によれば、剛材からなる継手本体と、ゴム状弾性材料からなる弾性体が軸方向に互いに結合され、弾性体の予圧縮によって、駆動側回転軸のトルク伝達片及び従動側回転軸のトルク伝達片と、継手本体の係合孔との隙間に起因するガタ付きをなくしたため、摩耗や打音の発生を、有効に防止することができる。
【0026】
請求項2の発明に係る軸継手によれば、弾性体が外周にスリーブを有するブッシュ状をなし、継手本体の軸方向一端外周に形成された筒状保持部の内周に圧入される構造としたため、容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態による軸継手1を、接続対象の回転軸2,3と共に示す分離斜視図である。
【図2】図1の軸継手1を単独で示すもので、(A)は軸心と平行な方向から見た図、(B)は(A)におけるB−B’断面図である。
【図3】図1の軸継手1を示す分解斜視図である。
【図4】図1の軸継手1を軸心と平行な方向から見た作用説明図である。
【図5】従来の技術に係る軸継手100を、接続対象の回転軸110,120と共に示す分離斜視図である。
【符号の説明】
1 軸継手
2 駆動側回転軸
2a,2b,3a,3b トルク伝達片
3 従動側回転軸
10 継手本体
11 筒状保持部
12 係合孔
121〜124 係合切欠
121a〜124a 内面
20 弾性体
21 スリーブ
22 係合孔
221〜224 係合切欠
221a〜224a トルク授受部
Claims (2)
- 剛材からなる継手本体(10)と、ゴム状弾性材料からなる弾性体(20)が軸方向に互いに結合され、前記継手本体(10)及び弾性体(20)には、駆動側回転軸(2)のトルク伝達片(2a,2b)及び従動側回転軸(3)のトルク伝達片(3a,3b)を挿入可能な係合孔(12,22)が軸方向に重合した状態で開設され、前記継手本体(10)の係合孔(12)の内面(121a〜124a)と前記トルク伝達片(2a,2b,3a,3b)との間には隙間(121G〜124G)が形成され、前記弾性体(20)の係合孔(22)のトルク授受部(221a〜224a)が前記トルク伝達片(2a,2b,3a,3b)の挿入によって予圧縮されることを特徴とする軸継手。
- 弾性体(20)が外周にスリーブ(21)を有するブッシュ状をなし、継手本体(10)の軸方向一端外周に形成された筒状保持部(11)の内周に圧入されたことを特徴とする請求項1に記載の軸継手。
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- 2002-08-07 JP JP2002229924A patent/JP2004068943A/ja not_active Withdrawn
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