JP2004036829A - 回転軸の連結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク伝達部のガタつきによる異音や干渉面の破損、摩耗の発生を抑えることができ、トルク伝達部に応力が集中しにくい構造の回転軸の連結構造を提供する。
【解決手段】駆動側の回転軸1と従動側の回転軸2とを互いに連結する構造であって、一方の回転軸2の端部に六角形状の凹部3を設けるとともに他方の回転軸1の端部に六角形状の凸部4を設ける。凸部4は凹部3に挿入されて外周六面のうち一面おきの三面の干渉面4a,4b,4cにて凹部3の内面に干渉し、残りの面4d,4e,4fには、干渉面4a,4b,4cに予圧縮を付与する弾性体6が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動側の回転軸1と従動側の回転軸2とを互いに連結する構造であって、一方の回転軸2の端部に六角形状の凹部3を設けるとともに他方の回転軸1の端部に六角形状の凸部4を設ける。凸部4は凹部3に挿入されて外周六面のうち一面おきの三面の干渉面4a,4b,4cにて凹部3の内面に干渉し、残りの面4d,4e,4fには、干渉面4a,4b,4cに予圧縮を付与する弾性体6が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動側の回転軸と従動側の回転軸とを互いに連結して回転トルクを伝達するために用いられる回転軸の連結構造に関するものである。本発明の回転軸の連結構造は例えば、車両用のブレーキポンプシャフトに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図4に示す従来のブレーキポンプシャフトの連結構造は、組付け時にポンプ側シャフト101とモーター側シャフト102の芯ズレを吸収するために、十字型のジョイント103を介してポンプ側シャフト101とモーター側シャフト102を互い違いに組み付けることにより動力を伝達する構造となっている。
【0003】
しかしながら、この従来の連結構造には、以下のような問題がある。
▲1▼ シャフト101,102とジョイント103の間に、組付けのための回転方向クリアランス(ガタ)があるために、動力伝達時にガタつきによる異音(衝突音)が発生する。
▲2▼ ガタつきにより、シャフト101,102とジョイント103の間で衝撃による干渉となるために、干渉面に破損や摩耗が発生する。
▲3▼ シャフト101,102の形状仕様からして、そのトルク伝達部である突起状の組付け部101a,102aの根本部分に応力が集中し易い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、トルク伝達部のガタつきによる異音や干渉面の破損、摩耗の発生を抑えることができ、またトルク伝達部に応力が集中しにくい構造の回転軸の連結構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による連結構造は、駆動側の回転軸と従動側の回転軸とを互いに連結する構造であって、一方の回転軸の端部に六角形状の凹部を設けるとともに他方の回転軸の端部に六角形状の凸部を設け、前記凸部は前記凹部に挿入されて外周六面のうちの一面おきの三面の干渉面にて前記凹部の内面に干渉し、残りの面には、前記干渉面に予圧縮を付与する弾性体を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の請求項2による連結構造は、上記した請求項1の連結構造において、凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に捩ったときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造を有することを特徴とするものである。
【0007】
上記構成を備えた本発明の請求項1による連結構造においては、一方の回転軸の端部に六角形状の凹部が設けられるとともに、他方の回転軸の端部に六角形状の凸部が設けられる。従動側の回転軸に凹部が設けられる場合には駆動側の回転軸に凸部が設けられ、反対に、駆動側の回転軸に凹部が設けられる場合には従動側の回転軸に凸部が設けられる。何れにしても凹部に凸部が挿入され、挿入された凸部はその外周六面のうち一面おきの三面を干渉面として凹部の内面に干渉する。干渉は三面同時であり、何れも面接触であり、この干渉面が伝達トルクの授受面とされる。このとき凸部の外周六面のうち残りの三面は凹部の内面と接触していない。したがって凹部の開口形状が正六角形である場合、凸部は正六角形ではなく例えば正三角形の頂部をそれぞれカットしたような形状とされており、この場合、このカット各面が干渉面とされる。
【0008】
残りの三面の全部または少なくとも一面にはゴム状弾性材製の弾性体が加硫接着等により固定されており、凹部に凸部を挿入するときに凹部に圧入される。圧入された弾性体は凸部と凹部内面間で圧縮されて反発力により回転モーメントを発生させ、干渉面に予圧縮を付与し、すなわち干渉面を凹部内面に弾性的に押し付ける。したがって当該連結構造によると、凸部の干渉面が弾性体による予圧縮を受けて挿入後常に凹部内面に干渉した状態が実現されるために、ガタつきによる異音の発生を抑えることが可能となり、またガタつきによって干渉面に破損や摩耗等が発生するのを抑えることが可能となる。また、上記従来技術における十字型のジョイントと比較して、当該連結構造は六角形の三面でトルクを受ける構造であるために、応力が集中しにくい構造となっている。
【0009】
上記したように凸部の外周六面のうちの残りの三面が凹部内面と非接触とされることに伴って、当該連結構造は、請求項2に記載したように、凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に捩ったときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造を有している。したがって凹部に凸部を挿入するときに、凸部の干渉面が凹部内面にそのまま干渉する回転位置ではなく、この位置から凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に相対回転変位させて凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される状態とし、この状態で挿入を行なうことにより、外周面に弾性体を備えた凸部を比較的円滑に凹部に挿入することが可能となる。
【0010】
また、当該連結構造は、例えば車両用ブレーキポンプにおけるモーター側シャフトとポンプ側シャフトとの連結部に用いられる。ブレーキポンプシャフトはその回転方向が一定であって、凹部および凸部の組付け後、弾性体に入力が作用しないために、その耐久性に問題を生じることはない。
【0011】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一の連結構造ないし軸継手は以下の内容を備えている。
【0013】
▲1▼ 六角形の凹部を設けたシャフトに対し、略六角形の凸部を設けたシャフトを圧入する構造であって、トルク伝達のための干渉面を三面とし、逆側の面にはゴムを加硫接着することにより、凹凸部に常に予圧縮を与える構造。
▲2▼ ポンプ側シャフトに軸方向に正六角形の凹部を設け、モーター側シャフトにはポンプ側シャフトの六角形の凹部の三面に干渉するような略六角形の凸部を設け、干渉する三面と逆側の面にゴムを加硫接着し、ポンプ側の凹部に圧入して組み付ける構造。但し、ポンプ側とモーター側の組付け凹凸は逆にしても良い。
▲3▼ 略六角形の形状の三面を使って、ゴムの予圧縮によりガタなくトルクを伝える構造。
【0014】
▲4▼ 上記構造は主に、ブレーキポンプシャフトに用いられる。
▲5▼ ゴム圧入部の締め代の大きさについては、組付け後、ゴム部には入力が入らないため、組付け時に破損せず、また長期使用にて極端にへたりの発生しない程度の締め代に設定する。目安としては、ゴム容積の10%程度が適当である。
▲6▼ シャフトの組付方法については、ゴムを圧縮する方向に捩ることによりトルク受け面にクリアランスが発生するため、容易に挿入が可能である(ゴムを圧縮方向に捩った状態にて挿入する)。組付け後、ゴムの反発力によりトルク受け面は押し付けられるため、トルク受け面にクリアランスは存在せず、入力のレスポンスが良い(組付け後、ゴムの反発力によりトルク受け面は押し付けられた状態となる)。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係る連結構造をその中心軸線と直交する一平面で裁断した断面を示している。図2は同連結構造を中心軸線を含む一平面で裁断した断面を示している。また図1は図2におけるB−B線断面図であり、図2は図1におけるA−A線断面図である。
【0017】
当該実施例に係る連結構造は、自動車用のブレーキポンプにおけるモーター側シャフト1とポンプ側シャフト2との連結部に用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、両シャフト1、2は、図1において右回り(矢印方向)に回転する。
【0018】
すなわち先ず、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部端面に六角形状に開口する凹部3が設けられ、これに対応して駆動軸であるモーター側シャフト1の端部端面に六角形状を呈する凸部4が設けられている。凹部3の開口形状は正六角形とされ、凸部4は正三角形の頂部をそれぞれ斜めにカットした形状とされている。
【0019】
凸部4は凹部3に挿入され、その外周六面のうちの一面おきの三面を干渉面4a,4b,4cとして凹部3の内面に干渉している。干渉は三面が同時に行なわれ、何れも面接触とされ、この三つの干渉面4a,4b,4cが伝達トルクの授受面とされている。凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fは凹部3の内面と接触しておらず、ここに弾性体6を収容するための空間部5が設けられている。
【0020】
凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fにはそれぞれゴム状弾性材製の弾性体6が加硫接着されており、この弾性体6は凸部4を凹部3に挿入するのに伴って凹部3に圧入されている。圧入された弾性体6は凸部4と凹部3内面間で圧縮され、その反発力によって凸部4に凹部3に対する図上右回りの回転モーメントを発生させ、干渉面4a,4b,4cに予圧縮を付与し、これにより干渉面4a,4b,4cは凹部3内面に弾性的に押し付けられている。弾性体6の締め代は、その容積の10%程度が適当である。
【0021】
したがって、当該連結構造によると、凸部4の干渉面4a,4b,4cが弾性体6による予圧縮を受けて挿入後、常に凹部3内面に弾性的に押し付けられた状態とされるために、凸部4と凹部3内面とにガタつきが発生することがない。したがって、ガタつきによる異音の発生を防止することができ、またガタつきによって干渉面4a,4b,4cに破損や摩耗等が発生するのを防止することができる。また、上記従来技術における十字型のジョイントと比較して、当該連結構造は六角形の三面でトルクを受ける構造であるために、トルク伝達部に応力が集中しにくいものである。
【0022】
また、上記したように凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fが凹部3内面と非接触とされることに伴って、当該連結構造は、図3に示すように、凹部3に対して凸部4を弾性体6を圧縮する方向(図上左回り)に捩ったときに凸部4の干渉面4a,4b,4cと凹部3の内面との間にクリアランス7が形成される構造を有している。
【0023】
したがって、凹部3に凸部4を挿入するときに、凸部4の干渉面4a,4b,4cが凹部3内面にそのまま干渉する回転位置(図1の位置)ではなく、この位置から凹部3に対して凸部4を弾性体6を圧縮する方向(図上左回り)に相対回転変位させて凸部4の干渉面4a,4b,4cと凹部3の内面との間にクリアランス7が形成される状態(図3の状態)とし、この状態で挿入を行なうことにより、外面に弾性体6を備えた凸部4を比較的円滑に凹部3に挿入することができる。
【0024】
また、当該連結構造を用いるブレーキポンプシャフトはその回転方向が一定であって(反対回りに回転することは想定されていない)、凹部3および凸部4の組付け後には弾性体6にトルクが作用しないため、弾性体6の耐久性に問題を生じることもない。
【0025】
尚、当該実施例では、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部に凹部3を設けるとともに、駆動軸であるモーター側シャフト1の端部に凸部4を設ける構成としたが、上記したようにその配置は反対であっても良く、すなわち駆動軸であるモーター側シャフト1の端部に凹部3を設けるとともに、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部に凸部4を設ける構成としても良い。この場合には、凹部3の内周六面のうちの三面から凸部4へと回転トルクが伝達される。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0027】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1による連結構造においては、上記構成により、六角形状の凸部の干渉面が同じく六角形状の凹部の相手内面に常に弾性的に押し付けられる構造であるために、ガタつきによる異音や干渉面の破損、摩耗の発生を抑えることができ、トルク伝達部に応力が集中しにくい構造の回転軸の連結構造を提供することができる。
【0028】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2による連結構造においては、上記構成により、凸部を凹部に挿入するときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造であるために、外面に弾性体を備えた凸部を比較的円滑に凹部に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る連結構造をその中心軸線と直交する一平面で裁断した断面図
【図2】同連結構造をその中心軸線を含む一平面で裁断した断面図
【図3】凹部に対して凸部を回転変位させた状態の断面図
【図4】従来例に係る連結構造の説明図
【符号の説明】
1 モーター側シャフト(駆動側の回転軸、他方の回転軸)
2 ポンプ側シャフト(従動側の回転軸、一方の回転軸)
3 凹部
4 凸部
4a,4b,4c 干渉面
4d,4e,4f 残りの面
5 空間部
6 弾性体
7 クリアランス
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動側の回転軸と従動側の回転軸とを互いに連結して回転トルクを伝達するために用いられる回転軸の連結構造に関するものである。本発明の回転軸の連結構造は例えば、車両用のブレーキポンプシャフトに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図4に示す従来のブレーキポンプシャフトの連結構造は、組付け時にポンプ側シャフト101とモーター側シャフト102の芯ズレを吸収するために、十字型のジョイント103を介してポンプ側シャフト101とモーター側シャフト102を互い違いに組み付けることにより動力を伝達する構造となっている。
【0003】
しかしながら、この従来の連結構造には、以下のような問題がある。
▲1▼ シャフト101,102とジョイント103の間に、組付けのための回転方向クリアランス(ガタ)があるために、動力伝達時にガタつきによる異音(衝突音)が発生する。
▲2▼ ガタつきにより、シャフト101,102とジョイント103の間で衝撃による干渉となるために、干渉面に破損や摩耗が発生する。
▲3▼ シャフト101,102の形状仕様からして、そのトルク伝達部である突起状の組付け部101a,102aの根本部分に応力が集中し易い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、トルク伝達部のガタつきによる異音や干渉面の破損、摩耗の発生を抑えることができ、またトルク伝達部に応力が集中しにくい構造の回転軸の連結構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による連結構造は、駆動側の回転軸と従動側の回転軸とを互いに連結する構造であって、一方の回転軸の端部に六角形状の凹部を設けるとともに他方の回転軸の端部に六角形状の凸部を設け、前記凸部は前記凹部に挿入されて外周六面のうちの一面おきの三面の干渉面にて前記凹部の内面に干渉し、残りの面には、前記干渉面に予圧縮を付与する弾性体を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の請求項2による連結構造は、上記した請求項1の連結構造において、凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に捩ったときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造を有することを特徴とするものである。
【0007】
上記構成を備えた本発明の請求項1による連結構造においては、一方の回転軸の端部に六角形状の凹部が設けられるとともに、他方の回転軸の端部に六角形状の凸部が設けられる。従動側の回転軸に凹部が設けられる場合には駆動側の回転軸に凸部が設けられ、反対に、駆動側の回転軸に凹部が設けられる場合には従動側の回転軸に凸部が設けられる。何れにしても凹部に凸部が挿入され、挿入された凸部はその外周六面のうち一面おきの三面を干渉面として凹部の内面に干渉する。干渉は三面同時であり、何れも面接触であり、この干渉面が伝達トルクの授受面とされる。このとき凸部の外周六面のうち残りの三面は凹部の内面と接触していない。したがって凹部の開口形状が正六角形である場合、凸部は正六角形ではなく例えば正三角形の頂部をそれぞれカットしたような形状とされており、この場合、このカット各面が干渉面とされる。
【0008】
残りの三面の全部または少なくとも一面にはゴム状弾性材製の弾性体が加硫接着等により固定されており、凹部に凸部を挿入するときに凹部に圧入される。圧入された弾性体は凸部と凹部内面間で圧縮されて反発力により回転モーメントを発生させ、干渉面に予圧縮を付与し、すなわち干渉面を凹部内面に弾性的に押し付ける。したがって当該連結構造によると、凸部の干渉面が弾性体による予圧縮を受けて挿入後常に凹部内面に干渉した状態が実現されるために、ガタつきによる異音の発生を抑えることが可能となり、またガタつきによって干渉面に破損や摩耗等が発生するのを抑えることが可能となる。また、上記従来技術における十字型のジョイントと比較して、当該連結構造は六角形の三面でトルクを受ける構造であるために、応力が集中しにくい構造となっている。
【0009】
上記したように凸部の外周六面のうちの残りの三面が凹部内面と非接触とされることに伴って、当該連結構造は、請求項2に記載したように、凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に捩ったときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造を有している。したがって凹部に凸部を挿入するときに、凸部の干渉面が凹部内面にそのまま干渉する回転位置ではなく、この位置から凹部に対して凸部を弾性体を圧縮する方向に相対回転変位させて凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される状態とし、この状態で挿入を行なうことにより、外周面に弾性体を備えた凸部を比較的円滑に凹部に挿入することが可能となる。
【0010】
また、当該連結構造は、例えば車両用ブレーキポンプにおけるモーター側シャフトとポンプ側シャフトとの連結部に用いられる。ブレーキポンプシャフトはその回転方向が一定であって、凹部および凸部の組付け後、弾性体に入力が作用しないために、その耐久性に問題を生じることはない。
【0011】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一の連結構造ないし軸継手は以下の内容を備えている。
【0013】
▲1▼ 六角形の凹部を設けたシャフトに対し、略六角形の凸部を設けたシャフトを圧入する構造であって、トルク伝達のための干渉面を三面とし、逆側の面にはゴムを加硫接着することにより、凹凸部に常に予圧縮を与える構造。
▲2▼ ポンプ側シャフトに軸方向に正六角形の凹部を設け、モーター側シャフトにはポンプ側シャフトの六角形の凹部の三面に干渉するような略六角形の凸部を設け、干渉する三面と逆側の面にゴムを加硫接着し、ポンプ側の凹部に圧入して組み付ける構造。但し、ポンプ側とモーター側の組付け凹凸は逆にしても良い。
▲3▼ 略六角形の形状の三面を使って、ゴムの予圧縮によりガタなくトルクを伝える構造。
【0014】
▲4▼ 上記構造は主に、ブレーキポンプシャフトに用いられる。
▲5▼ ゴム圧入部の締め代の大きさについては、組付け後、ゴム部には入力が入らないため、組付け時に破損せず、また長期使用にて極端にへたりの発生しない程度の締め代に設定する。目安としては、ゴム容積の10%程度が適当である。
▲6▼ シャフトの組付方法については、ゴムを圧縮する方向に捩ることによりトルク受け面にクリアランスが発生するため、容易に挿入が可能である(ゴムを圧縮方向に捩った状態にて挿入する)。組付け後、ゴムの反発力によりトルク受け面は押し付けられるため、トルク受け面にクリアランスは存在せず、入力のレスポンスが良い(組付け後、ゴムの反発力によりトルク受け面は押し付けられた状態となる)。
【0015】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係る連結構造をその中心軸線と直交する一平面で裁断した断面を示している。図2は同連結構造を中心軸線を含む一平面で裁断した断面を示している。また図1は図2におけるB−B線断面図であり、図2は図1におけるA−A線断面図である。
【0017】
当該実施例に係る連結構造は、自動車用のブレーキポンプにおけるモーター側シャフト1とポンプ側シャフト2との連結部に用いられるものであって、以下のように構成されている。尚、両シャフト1、2は、図1において右回り(矢印方向)に回転する。
【0018】
すなわち先ず、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部端面に六角形状に開口する凹部3が設けられ、これに対応して駆動軸であるモーター側シャフト1の端部端面に六角形状を呈する凸部4が設けられている。凹部3の開口形状は正六角形とされ、凸部4は正三角形の頂部をそれぞれ斜めにカットした形状とされている。
【0019】
凸部4は凹部3に挿入され、その外周六面のうちの一面おきの三面を干渉面4a,4b,4cとして凹部3の内面に干渉している。干渉は三面が同時に行なわれ、何れも面接触とされ、この三つの干渉面4a,4b,4cが伝達トルクの授受面とされている。凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fは凹部3の内面と接触しておらず、ここに弾性体6を収容するための空間部5が設けられている。
【0020】
凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fにはそれぞれゴム状弾性材製の弾性体6が加硫接着されており、この弾性体6は凸部4を凹部3に挿入するのに伴って凹部3に圧入されている。圧入された弾性体6は凸部4と凹部3内面間で圧縮され、その反発力によって凸部4に凹部3に対する図上右回りの回転モーメントを発生させ、干渉面4a,4b,4cに予圧縮を付与し、これにより干渉面4a,4b,4cは凹部3内面に弾性的に押し付けられている。弾性体6の締め代は、その容積の10%程度が適当である。
【0021】
したがって、当該連結構造によると、凸部4の干渉面4a,4b,4cが弾性体6による予圧縮を受けて挿入後、常に凹部3内面に弾性的に押し付けられた状態とされるために、凸部4と凹部3内面とにガタつきが発生することがない。したがって、ガタつきによる異音の発生を防止することができ、またガタつきによって干渉面4a,4b,4cに破損や摩耗等が発生するのを防止することができる。また、上記従来技術における十字型のジョイントと比較して、当該連結構造は六角形の三面でトルクを受ける構造であるために、トルク伝達部に応力が集中しにくいものである。
【0022】
また、上記したように凸部4の外周六面のうちの残りの三面4d,4e,4fが凹部3内面と非接触とされることに伴って、当該連結構造は、図3に示すように、凹部3に対して凸部4を弾性体6を圧縮する方向(図上左回り)に捩ったときに凸部4の干渉面4a,4b,4cと凹部3の内面との間にクリアランス7が形成される構造を有している。
【0023】
したがって、凹部3に凸部4を挿入するときに、凸部4の干渉面4a,4b,4cが凹部3内面にそのまま干渉する回転位置(図1の位置)ではなく、この位置から凹部3に対して凸部4を弾性体6を圧縮する方向(図上左回り)に相対回転変位させて凸部4の干渉面4a,4b,4cと凹部3の内面との間にクリアランス7が形成される状態(図3の状態)とし、この状態で挿入を行なうことにより、外面に弾性体6を備えた凸部4を比較的円滑に凹部3に挿入することができる。
【0024】
また、当該連結構造を用いるブレーキポンプシャフトはその回転方向が一定であって(反対回りに回転することは想定されていない)、凹部3および凸部4の組付け後には弾性体6にトルクが作用しないため、弾性体6の耐久性に問題を生じることもない。
【0025】
尚、当該実施例では、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部に凹部3を設けるとともに、駆動軸であるモーター側シャフト1の端部に凸部4を設ける構成としたが、上記したようにその配置は反対であっても良く、すなわち駆動軸であるモーター側シャフト1の端部に凹部3を設けるとともに、従動軸であるポンプ側シャフト2の端部に凸部4を設ける構成としても良い。この場合には、凹部3の内周六面のうちの三面から凸部4へと回転トルクが伝達される。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0027】
すなわち、上記構成を備えた本発明の請求項1による連結構造においては、上記構成により、六角形状の凸部の干渉面が同じく六角形状の凹部の相手内面に常に弾性的に押し付けられる構造であるために、ガタつきによる異音や干渉面の破損、摩耗の発生を抑えることができ、トルク伝達部に応力が集中しにくい構造の回転軸の連結構造を提供することができる。
【0028】
また、上記構成を備えた本発明の請求項2による連結構造においては、上記構成により、凸部を凹部に挿入するときに凸部の干渉面と凹部の内面との間にクリアランスが形成される構造であるために、外面に弾性体を備えた凸部を比較的円滑に凹部に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る連結構造をその中心軸線と直交する一平面で裁断した断面図
【図2】同連結構造をその中心軸線を含む一平面で裁断した断面図
【図3】凹部に対して凸部を回転変位させた状態の断面図
【図4】従来例に係る連結構造の説明図
【符号の説明】
1 モーター側シャフト(駆動側の回転軸、他方の回転軸)
2 ポンプ側シャフト(従動側の回転軸、一方の回転軸)
3 凹部
4 凸部
4a,4b,4c 干渉面
4d,4e,4f 残りの面
5 空間部
6 弾性体
7 クリアランス
Claims (2)
- 駆動側の回転軸(1)と従動側の回転軸(2)とを互いに連結する構造であって、
一方の回転軸(2)の端部に六角形状の凹部(3)を設けるとともに他方の回転軸(1)の端部に六角形状の凸部(4)を設け、前記凸部(4)は前記凹部(3)に挿入されて外周六面のうちの一面おきの三面の干渉面(4a)(4b)(4c)にて前記凹部(3)の内面に干渉し、残りの面(4d)(4e)(4f)には、前記干渉面(4a)(4b)(4c)に予圧縮を付与する弾性体(6)を設けたことを特徴とする回転軸の連結構造。 - 請求項1の連結構造において、
凹部(3)に対して凸部(4)を弾性体(6)を圧縮する方向に捩ったときに凸部(4)の干渉面(4a)(4b)(4c)と凹部(3)の内面との間にクリアランス(7)が形成される構造を有することを特徴とする回転軸の連結構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002197244A JP2004036829A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 回転軸の連結構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002197244A JP2004036829A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 回転軸の連結構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004036829A true JP2004036829A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31705068
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002197244A Pending JP2004036829A (ja) | 2002-07-05 | 2002-07-05 | 回転軸の連結構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004036829A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009000041A1 (en) * | 2007-06-27 | 2008-12-31 | Gcc Ip Pty Ltd | A driving force member |
JP2011169416A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | サスペンションサポート |
-
2002
- 2002-07-05 JP JP2002197244A patent/JP2004036829A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009000041A1 (en) * | 2007-06-27 | 2008-12-31 | Gcc Ip Pty Ltd | A driving force member |
US8311455B2 (en) | 2007-06-27 | 2012-11-13 | Katun Corporation | Driving force member |
JP2011169416A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | サスペンションサポート |
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