JP2004332754A - 軸部材、回転部材および回転伝達部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸部材10と回転部材20との回転結合部において、軸部11の回転伝達面13に対向する回転部材20の穴部21の回転伝達面23を内方へ膨らむ凸曲面として、トルクを伝達する各回転伝達面13,23同士を面接触させる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸部材、この軸部材が挿入される穴部を有する回転部材および軸部材と回転部材とが互いに係合して回転力を伝達する回転伝達部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ギアやロータ等の回転部材およびこれらと一体に回転する軸部材のように、一方の回転力(トルク)を他方に伝達させる回転伝達部材では、回転時に相互に受けるトルクによる両部材の回り止めとして、キーによる結合や、円筒面の一部を切り欠いた断面D字状の孔形状と軸形状とによる結合(いわゆるDカット結合)などの構造が採用されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−266885号公報(図28)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなDカット結合では、一方の部材が回転して他方の部材を回転させるとき、Dカットの直線(平面)部分でトルクが伝達されるので、軸側のDカットのエッジが孔側のDカットの平面部分に食い込み、この部分に集中的に負荷がかかって破損が生じてしまうおそれがある。そこで特許文献1では、この問題を解決するために、孔部の直線部分を円弧部や軸部よりも剛性の高い部材により形成することが提案されている。
【0005】
このような剛性の高い部材(ピン部材)を備えた孔部を有する回転部材を樹脂成形により製造するには、金型内にインサート部品としてピン部材をインサートしておいて樹脂を射出し成形するインサート成形や、ピン部材を埋め込むスペースを設けて成形した後でピン部材を挿入する工程を行う必要がある。
しかしながら、ピン部材を後から埋め込んで製造するのは工程増による製造時間およびコストの増大を招き、またインサート成形は装置の複雑化を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたもので、製造が容易で生産性に優れ、回転時のトルクによる破損が発生しにくい軸部材、回転部材および回転伝達部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、軸線回りに回転し、回転方向と交差する回転伝達面を有する軸部材であって、回転伝達面が外方へ膨らむ凸曲面からなることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、相手部材に対して当接する回転伝達面が、相手部材側へ向かい膨らむ凸曲面であるので、相手部材側の回転伝達面に対して曲面で外接してトルクを伝達することになり、トルク伝達時の負荷の集中が生じにくく、軸部材および相手部材の破損を防止することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、軸部材の製造が容易となる。
【0009】
請求項2の発明は、軸線回りに回転し、回転方向と交差する回転伝達面を有する穴部を備えた回転部材であって、回転伝達面が内方へ膨らむ凸曲面からなることを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、相手部材に対して当接する回転伝達面が、相手部材側へ向かい膨らむ凸曲面であるので、相手部材側の回転伝達面に対して曲面で外接してトルクを伝達することになり、トルク伝達時の負荷の集中が生じにくく、回転部材および相手部材の破損を防止することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、回転部材の製造が容易となる。
【0011】
請求項3の発明は、樹脂製の回転部材に請求項2の発明を適用することを特徴としている。
【0012】
この発明では、トルク伝達時の負荷が集中しにくい回転伝達面が設けられているので、樹脂製であっても破損が生じにくい回転部材を得ることができる。また、弾性を有する樹脂製の回転部材とすることにより、トルクにより負荷を受けてもその変形が一時的なものとなるので、相手部材側のエッジの食い込みを防止する効果を長期間にわたり持続させることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の樹脂製の回転部材が、射出成形により成形されていることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、射出成形により製造されているので、回転時に軸部材によって損傷されにくい回転部材が均一な品質かつ低コストで得られる。また、この回転部材が、回転伝達面を凸曲面状とするだけのシンプルな形状であることから、射出成形用の金型製造が容易であり、金型の破損や充填不良等の問題を生じさせにくい。
【0015】
請求項5の発明は、燃料用の内接型オイルポンプに用いられるロータとして請求項2から4の回転部材を適用することを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、トルク伝達時の負荷により破損されにくいロータが得られるので、部品寿命の長い内接型オイルポンプを実現することができる。特に、ロータを樹脂製とすることにより、相手側部材(軸部材)を傷つけることもなく、潤滑性が高く、低騒音の内接型オイルポンプを実現することができる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項2から5の回転部材と、この回転部材の穴部に係合した請求項1の軸部材とを備えた回転伝達部材であって、回転方向に対向して互いに当接する凸曲面からなる各回転伝達面によって、これら軸部材および回転部材の一方から他方へ回転力を伝達させることを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、凸曲面である回転伝達面同士で外接してトルクを伝達するので、負荷の集中が生じにくく、軸部材および回転部材が破損されにくい回転伝達部材を提供することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、回転伝達部材の製造が容易となる。
【0019】
請求項7の発明は、軸部材と、この軸部材が挿入される穴部を有する回転部材とが互いに係合して、一方から他方へ回転力を伝達する回転伝達部材であって、軸部材および穴部には、回転方向に対向して互いに当接する回転伝達面がそれぞれ設けられ、軸部材および穴部の少なくともいずれか一方に設けられた回転伝達面が、他方に設けられた回転伝達面に対して外接する凸曲面であることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、互いに当接する回転伝達面の少なくとも一方が他方側へ膨らむ凸曲面であるので、回転伝達面同士が面接触となり、負荷の集中が生じにくく、軸部材および回転部材が破損されにくい回転伝達部材を提供することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、回転伝達部材の製造が容易となる。
【0021】
請求項8の発明に係る回転伝達部材は、請求項6または7の回転伝達部材において、軸部材が軸線を中心とする円筒面を有し、回転伝達面がこの円筒面の一部を切り欠いて設けられ、回転部材の穴部が軸線を中心とする円筒面を有し、回転伝達面がこの円筒面の一部を切り欠いて設けられ、軸部材の回転伝達面と円筒面との交線において両面がなす角度αと、回転部材の穴部の回転伝達面と円筒面との交線において両面がなす角度βとが、
β<α
の関係を満たしていることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、いわゆるDカット結合の回転伝達部材において、外接曲面による面接触でトルクが伝達されるので、軸側のDカットのエッジ部分が穴側の回転伝達面に当接せず、負荷の集中を防止して部材の破損を防止することができる。
【0023】
また、軸側のDカットのエッジ部分の角度αよりも、穴側のDカットの隅部分の角度βの方が小さいことにより、穴側の隅部分に軸側のエッジが入り込むことができなくなっている。つまり、軸部と穴部とが、円弧部分および回転伝達面の少なくともいずれかで当接される、あるいはその2カ所で当接されることになるので、より負荷の集中が生じにくく、破損が生じにくい回転伝達部材を得ることができる。
【0024】
請求項9の発明は、請求項6から8の回転伝達部材において、軸部材が軸線を中心とする円筒面を有し、回転伝達面がこの円筒面の一部を切り欠いて設けられた平面であり、回転部材の穴部が軸線を中心とする円筒面を有し、回転伝達面がこの円筒面の一部を切り欠いて設けられた凸曲面であり、回転部材において凸曲面と円筒面との各交線を結ぶ平面と、この平面と平行な凸曲面の接面との間隔をa、軸部材の平面と回転部材の凸曲面とのクリアランスをbとすると、
b/2≦a≦2b
であることを特徴としている。
【0025】
上記範囲を逸脱するa<b/2であると、エッジの食い込みを防止する効果が不十分となる。また、2b<aであると、両部材間の回転方向のがたつきが大きくなり、回転駆動時に異音が発生する虞がある。
つまり、この発明によれば、回転部材と軸部材とのクリアランスが好適となり、回転伝達部材におけるトルク伝達時の負荷集中を効果的に防止することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項6から9の回転伝達部材において、回転部材が樹脂製であることを特徴としている。
【0027】
この発明では、トルク伝達時の負荷が集中しにくい回転伝達面が設けられているので、樹脂製であっても破損が生じにくいの回転部材を得ることができる。また、弾性を有する樹脂製の回転部材とすることにより、トルクにより負荷を受けてもその変形が一時的なものとなるので、軸部材側のエッジの食い込みを防止する効果を長期間にわたり持続させることができる。
【0028】
請求項11の発明は、請求項10の樹脂製の回転部材が、射出成形により成形されていることを特徴としている。
【0029】
この発明によれば、射出成形により製造されているので、回転時に軸部材によって損傷されにくく、均一な品質かつ低コストで得られる回転部材を備えた回転伝達部材が得られる。また、この回転部材が、回転伝達面を凸曲面状とするだけのシンプルな形状であることから、射出成形用の金型製造が容易であり、金型の破損や充填不良等の問題を生じさせにくい。
【0030】
請求項12の発明は、請求項6から11のいずれかの回転伝達部材において、回転部材が燃料用の内接型オイルポンプに用いられるロータであることを特徴としている。
【0031】
この発明によれば、トルク伝達時の負荷により破損されにくいロータが得られるので、部品寿命の長い内接型オイルポンプを実現することができる。特に、ロータを樹脂製とすることにより、軸部材を傷つけることもなく、潤滑性が高く、低騒音の内接型オイルポンプを実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る回転伝達部材の構成を示す。この回転伝達部材は、シャフト(軸部材)10と、ロータ(回転部材)20とが一体に回転して、一方から他方へとトルクを伝達する構成となっている。
【0033】
シャフト10は、ねじり剛性の高いたとえば鋼材からなり、図示しない駆動機構によって軸線O1を中心として回転される。この軸部材10は、軸線O1に交差する断面形状が略D字状である軸部11を有している。
一方、ロータ20は、たとえば歯車機構のギアや、内接型のギアポンプにおいてアウターロータの内側に噛み合うインナーロータ等であって、たとえば樹脂射出成形により全体が製造されている。このロータ20の中心部には、軸線O2に交差する断面形状が略D字状である穴部21が形成されている。
これらシャフト10とロータ20とは、ロータ20の穴部21とシャフト10の軸部11とが係合して、いわゆるDカット結合により一体に回転するように固定される。
【0034】
ここで、シャフト10は、図2に示すように軸線O1を中心とする直径5mmの円筒面12と、この円筒面12の一部を切り欠き回転方向に交差する平面状(円筒面からの深さ0.65mm)の回転伝達面13とが、軸線O1に沿って一様な断面形状を有するように設けられている。
また、この軸部11が挿入されるロータ20の穴部21は、図3に示すように軸線O2を中心とする直径5mmの円筒面22と、この円筒面22から内方側へ突出する凸曲面状の回転伝達面23とが、軸線O2に沿って一様な断面形状を有するように設けられている。この回転伝達面23の凸曲面は、本実施形態では、円筒面22から深さ0.65mmの平面に外接し、円筒面22からの深さ0.60mmの平面と円筒面22との各交線24を通る円弧面となっている。
【0035】
これら軸部11および穴部21は、軸線O1,O2に沿って一様な断面形状を有しており、各円筒面12,22が嵌合されることにより各軸線O1,O2を一致させて係合する。このように係合した軸部11および穴部21において、各回転伝達面13,23は回転方向に対向し、軸部11の回転伝達面13に対して、穴部21の回転伝達面23が外接している。
【0036】
このような形状のシャフト10およびロータ20では、シャフト10の円筒面12と回転伝達面13との各交点(交線)14において円筒面12の接線12lと回転伝達面13とがなす角度をα、ロータ20の円筒面22と回転伝達面23との各交点(交線)24において円筒面22および回転伝達面23の各接線22l,23lがなす角度をβとすると、
β<α
の関係が成り立っている。
【0037】
また、シャフト10およびロータ20は、図5に示すように、各軸線O1,O2を一致させた状態で、穴部21の回転伝達面23と円筒面22との各交線24を結ぶ平面23aと、この平面23aと平行な回転伝達面23の接面23bとの間隔(深さ)をa、接面23bと軸部11の回転伝達面13とのクリアランスをbとすると、
b/2≦a≦2b
を満たすように構成されている。
【0038】
これらシャフト10とロータ20とは、軸部11が穴部21に挿入されることによって円筒面12,22同士が嵌り合う。そして、シャフト10が軸線O1を中心として回転されることにより、軸線O1を中心に回転する回転伝達面13によって回転伝達面23が押され、シャフト10からロータ20へと回転力(トルク)が伝達されて、シャフト10と一体にロータ20が回転する。
【0039】
ここで、トルク伝達時のシャフト10およびロータ20について、各部材の形状を誇張した図4から図6を参照して考察する。
回転伝達面13が軸線O1回りに回転することにより、互いに押圧力を受けるシャフト10およびロータ20のいずれか、あるいは双方がわずかに変形し、回転伝達面13と回転伝達面23との当接点Aが曲線(曲面)状の回転伝達面23に沿って移動する。そして、ロータ20は、シャフト10に対してわずかに相対的に回転した状態で、シャフト10の回転伝達面13から回転力を伝達されて回転する。
【0040】
このとき、穴部21の回転伝達面23が内方へ突出する凸曲面であるため、当接点Aから離れた交点14は回転伝達面23から離れている。つまり、この曲面に対しては軸部11の回転伝達面13が接しており、交点14が回転伝達面23に食い込むことはない。また、両部材に変形が生じる場合、特に、樹脂製であるロータ20には変形が生じやすいが、凸曲面である回転伝達面23には軸部11のエッジは食い込まない。さらに、その変形が大きくなると当接点Aが交点24側に移動するが、軸部11の角αよりも穴部21の角βの方が小さいので、軸部11の角(エッジ)は穴部21の隅に入り込めず、したがって交点14が交点24に達することはなく、交点14が回転伝達面23に食い込むことはない。その上、ロータ20が樹脂製であるので、軸部11のエッジが破損されてロータ20と軸部11とが空転する虞がない。
【0041】
また、図6に示すように、シャフト10とロータ20との間にクリアランスclが設けられている場合、上述した押圧力による変形に加えて、シャフト10とロータ20とがこのクリアランスclの分だけ大きく微小回転可能となる。この場合も、交点14が交点24に達することはなく、交点14が回転伝達面23に食い込むことはない。
【0042】
さらに、図5に示すように、回転伝達面23の深さaと、各回転伝達面13,23間のクリアランスbとの関係がb/2≦aであることにより、回転伝達面13のエッジが回転伝達面23に食い込むことを効果的に防止できる。また、a≦2bであることにより、軸部11と穴部21とのがたつきが大きくならず、回転時の異音の発生等を防止することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の回転伝達部材によれば、Dカット形状の穴部21の回転伝達面23が内径側へ膨らむ凸曲面となっているので、各回転伝達面13,23同士の面接触によりトルクが伝達され、軸部11の回転伝達面13の角部(エッジ)は穴部21の内面に食い込まず、負荷の集中は生じない。
【0044】
したがって、軸部11と穴部21とを、ロータ20を変形させる虞のある圧入を採用せずに、回転結合することができる。これにより、たとえば強度の高い金属製のシャフト10と、潤滑性や成形性に優れた樹脂製のロータ20とを用いた回転伝達部材であっても、部材同士の結合による変形をロータ20に生じさせることなく実現でき、精密な歯面形状を要する歯車機構やギアポンプ等にも採用可能となる。
【0045】
次に、図7に、本発明の第2の実施形態に係る回転伝達部材の要部を示す。
本実施形態の回転伝達部材も第1の実施形態と同様に、シャフト(軸部材)30と、ロータ(回転部材)40とが一体に回転してトルクを伝達する構成となっていて、シャフト30およびロータ40には、それぞれ嵌合固定用の軸部31および穴部41が設けられている。
【0046】
本実施形態の軸部31は、軸線O3を中心とする円筒面32と、この円筒面32の一部分を切り欠く回転伝達面33とを有しており、この回転伝達面33が外側へ膨らむ凸曲面となっている。一方、穴部41は、軸線O4を中心とする円筒面42と、この円筒面42の一部分を切り欠く回転伝達面43とを有している。本実施形態の回転伝達部材では、これらシャフト30とロータ40とが、軸部31と穴部41とのDカット結合により一体に回転するように固定されている。そして、この係合状態において、穴部41の回転伝達面43に対して、軸部31の回転伝達面33が外接する構成となっている。
【0047】
本実施形態の回転伝達部材は、第1の実施形態とは反対に軸部31側が凸曲面となっている。これにより、シャフト30が回転したとき、クリアランスやシャフト30およびロータ40の変形により両部材が相対的に回転しても、シャフト30のエッジ部分(円筒面32と回転伝達面33とが交わる角部)が穴部41の内面に食い込むことがない。
【0048】
また、軸部31の回転伝達面33と円筒面32との交点における円筒面32と回転伝達面33とがなす角度αと、穴部41の回転伝達面43と円筒面42との交点における円筒面42と回転伝達面43とがなす角度βとが、β<αの関係を満たしているので、軸部31のエッジ部分が穴部41の隅部分(円筒面42と回転伝達面43とが交わる隅部)に入り込まず、両部材間が面接触することになり、負荷を集中させずにトルクを伝達させることができる。
【0049】
なお、以上の実施形態において示した各構成部材、その諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求に基づき種々変更可能である。
たとえば、上記各実施形態では曲面状の回転伝達面を円弧面としたが、円弧面に限らず楕円曲面などでもよい。また、上記各実施形態では当接する回転伝達面の一方を曲面、他方を平面としたが、両方の回転伝達面をそれぞれ他方側へ膨らむ曲面として、互いに外接するようにしてもよい。
【0050】
また、上記各実施形態では、軸部材と回転部材のそれぞれに、各1カ所ずつの回転伝達面を設けた構成としたが、この回転伝達面をそれぞれ2カ所設けた構成(いわゆるダブルDカット)とし、その回転伝達面を凸曲面としてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る軸部材によれば、相手部材に対して当接する回転伝達面が、相手部材側へ向かい膨らむ凸曲面であるので、相手部材側の回転伝達面に対して曲面で外接してトルクを伝達することになり、トルク伝達時の負荷の集中が生じにくく、軸部材および相手部材の破損を防止することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、軸部材の製造が容易となる。
【0052】
請求項2の発明に係る回転部材によれば、相手部材に対して当接する回転伝達面が、相手部材側へ向かい膨らむ凸曲面であるので、相手部材側の回転伝達面に対して曲面で外接してトルクを伝達することになり、トルク伝達時の負荷の集中が生じにくく、回転部材および相手部材の破損を防止することができる。したがって、従来よりも強度が低い材質を採用することができるので、たとえば潤滑性や成形性に富む樹脂性の回転部材を実現することができる。
また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、軸部材の製造が容易となる。
【0053】
請求項3の発明によれば、樹脂製であっても破損が生じにくい回転部材を得ることができる。また、弾性を有する樹脂製の回転部材とすることにより、トルクにより負荷を受けてもその変形が一時的なものとなるので、相手部材側のエッジの食い込みを防止する効果を長期間にわたり持続させることができる。
【0054】
請求項4の発明によれば、樹脂製の回転部材が射出成形により製造されているので、大量生産においても均一な品質の回転部材が低コストで得られる。また、この回転部材が、回転伝達面を凸曲面状とするだけのシンプルな形状であることから、射出成形用の金型製造が容易であり、金型の破損や充填不良等の問題を生じさせにくく、生産性も良好である。
【0055】
請求項5の発明によれば、トルク伝達時の負荷により破損されにくいロータが得られるので、部品寿命の長い内接型オイルポンプを実現することができる。特に、ロータを樹脂製とすることにより、相手側部材(軸部材)を傷つけることもなく、潤滑性が高く、低騒音の内接型オイルポンプを実現することができる。
【0056】
請求項6の発明によれば、凸曲面である回転伝達面同士で外接してトルクを伝達するので、負荷の集中が生じにくく、軸部材および回転部材が破損されにくい回転伝達部材を提供することができ、樹脂製の回転部材の採用も可能となる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損を防止できるので、樹脂射出成形、焼結等においても、容易に回転伝達部材を製造することができる。
【0057】
請求項7の発明によれば、互いに当接する回転伝達面の少なくとも一方が他方側へ膨らむ凸曲面であるので、回転伝達面同士が面接触となり、負荷の集中が生じにくく、軸部材および回転部材が破損されにくい回転伝達部材を提供することができる。また、強度の異なる別部材を用いることなく破損の防止が可能となるので、樹脂射出成形、焼結等においても、容易に回転伝達部材を製造することができる。
【0058】
請求項8の発明に係る回転伝達部材によれば、いわゆるDカット結合の回転伝達部材において、外接曲面による面接触でトルクが伝達されるので、軸側のDカットのエッジ部分が穴側の回転伝達面に当接せず、負荷の集中を防止して部材の破損を防止することができる。
【0059】
また、軸側のDカットのエッジ部分の角度αよりも、穴側のDカットの隅部分の角度βの方が小さいことにより、穴側の隅部分に軸側のエッジが入り込むことができなくなっている。つまり、軸部と穴部とが、円弧部分および回転伝達面の少なくともいずれかで当接される、あるいはその2カ所で当接されることになるので、より負荷の集中が生じにくく、破損が生じにくい回転伝達部材を得ることができる。
【0060】
請求項9の発明によれば、回転部材と軸部材とのクリアランスが好適となり、回転伝達部材におけるトルク伝達時の負荷集中を効果的に防止することができる。
【0061】
請求項10の発明によれば、樹脂製であっても破損が生じにくいの回転部材を得ることができる。また、弾性を有する樹脂製の回転部材とすることにより、トルクにより負荷を受けてもその変形が一時的なものとなるので、軸部材側のエッジの食い込みを防止する効果を長期間にわたり持続させることができる。
【0062】
請求項11の発明によれば、回転部材が射出成形により製造されているので、回転時に軸部材によって損傷されにくく、大量生産により均一な品質かつ低コストで製造された回転部材を備えた回転伝達部材が得られる。また、この回転部材は穴部の回転伝達面を凸曲面状とするだけのシンプルな形状であることから、射出成形用の金型製造が容易であり、金型の破損や充填不良等の問題を生じさせにくく、生産性にも優れている。
【0063】
請求項12の発明によれば、トルク伝達時の負荷により破損されにくいロータが得られるので、部品寿命の長い内接型オイルポンプを実現することができる。特に、ロータを樹脂製とすることにより、軸部材を傷つけることもなく、潤滑性が高く、低騒音の内接型オイルポンプを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る回転伝達部材を構成するシャフト(軸部材)およびロータ(回転部材)を示す斜視図である。
【図2】図1に示すシャフトの要部を示す図である。
【図3】図1に示すロータの要部を示す図である。
【図4】本発明の回転伝達部材においてトルク伝達がなされるときの各部材の要部を示す図である。
【図5】図4に示す回転伝達部材において、回転伝達面間のクリアランスと凸曲面の深さとの関係を示す図である。
【図6】図4に示す回転伝達部材において、各部材間にクリアランスが設けられている場合を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る回転伝達部材の要部を示す図である。
【符号の説明】
10,30 シャフト(軸部材)
11,31 軸部
12,32 円筒面
13,33 回転伝達面
20,40 ロータ(回転部材)
21,41 穴部
22,42 円筒面
23,43 回転伝達面
23a 平面
23b 接面
O1,O2,O3,O4 軸線
Claims (12)
- 軸線回りに回転し、回転方向と交差する回転伝達面を有する軸部材であって、前記回転伝達面が外方へ膨らむ凸曲面からなることを特徴とする軸部材。
- 軸線回りに回転し、回転方向と交差する回転伝達面を有する穴部を備えた回転部材であって、前記回転伝達面が内方へ膨らむ凸曲面からなることを特徴とする回転部材。
- 樹脂製であることを特徴とする請求項2に記載の回転部材。
- 射出成形により成形されていることを特徴とする請求項3に記載の回転部材。
- 燃料用の内接型オイルポンプに用いられるロータであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の回転部材。
- 請求項2から5のいずれかに記載の前記回転部材と、該回転部材の前記穴部に係合した請求項1に記載の前記軸部材とを備えた回転伝達部材であって、
回転方向に対向して互いに当接する凸曲面からなる前記各回転伝達面によって、これら軸部材および回転部材の一方から他方へ回転力を伝達させることを特徴とする回転伝達部材。 - 軸部材と、該軸部材が挿入される穴部を有する回転部材とが互いに係合して、一方から他方へ回転力を伝達する回転伝達部材であって、
前記軸部材および穴部には、回転方向に対向して互いに当接する回転伝達面がそれぞれ設けられ、
前記軸部材および穴部の少なくともいずれか一方に設けられた前記回転伝達面が、他方に設けられた前記回転伝達面に対して外接する凸曲面であることを特徴とする回転伝達部材。 - 請求項6または7に記載の回転伝達部材において、
前記軸部材が前記軸線を中心とする円筒面を有し、前記回転伝達面が該円筒面の一部を切り欠いて設けられ、
前記回転部材の穴部が前記軸線を中心とする円筒面を有し、前記回転伝達面が該円筒面の一部を切り欠いて設けられ、
前記軸部材の前記回転伝達面と前記円筒面との交線において両面がなす角度αと、前記回転部材の穴部の前記回転伝達面と前記円筒面との交線において両面がなす角度βとが、
β<α
の関係を満たしていることを特徴とする回転伝達部材。 - 請求項6から8のいずれかに記載の回転伝達部材において、
前記軸部材が前記軸線を中心とする円筒面を有し、前記回転伝達面が該円筒面の一部を切り欠いて設けられた平面であり、
前記回転部材の穴部が前記軸線を中心とする円筒面を有し、前記回転伝達面が該円筒面の一部を切り欠いて設けられた凸曲面であり、
前記回転部材において前記凸曲面と前記円筒面との各交線を結ぶ平面と、この平面と平行な前記凸曲面の接面との間隔をa、前記軸部材の前記平面と前記回転部材の前記凸曲面とのクリアランスをbとすると、
b/2≦a≦2b
であることを特徴とする回転伝達部材。 - 前記回転部材が樹脂製であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の回転伝達部材。
- 前記回転部材が射出成形により製造されていることを特徴とする請求項10に記載の回転伝達部材。
- 前記回転部材が燃料用の内接型オイルポンプに用いられるロータであることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の回転伝達部材。
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