JP4042559B2 - 塑性結合部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塑性結合部品に関しく、詳しくは、円周外面よりなる結合面を有する内側部材と円周内面よりなる結合面を有する外側部材とを塑性結合した塑性結合部品であって、両部材間に回転トルクが作用するように用いられるものに関する。本発明の塑性結合部品は、例えば、車両用オートマチック部品のドラムやハブ等をシャフトに結合したもの好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
自動車用オートマチック部品としてのドラムやハブは、シャフトに対して一体的に結合されている。かかるドラムやハブとシャフトとの結合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接等が利用されている。
【0003】
しかし、電子ビーム溶接やレーザ溶接を利用して2つの部材を結合する場合、電子ビームやレーザを発生させるべく、特殊な溶接装置の使用や多大な電力消費が必要となり、コスト高となる。
【0004】
そこで、プレス機械等の使用のみで足り、コスト面で有利なかしめ締結を利用して2つの部材を塑性結合することが行われている。
【0005】
2つの部材を塑性結合することにより得られた塑性結合部品としては、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有し、内側部材よりも硬度の低い外側部材とからなり、内側部材の結合面に軸方向(プレス方向)に歯すじが延びるように予め設けられた歯形凸部を外側部材の結合面に食い込ませるようにプレスすることにより、両部材を塑性結合したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有し、内側部材よりも硬度の低い外側部材とからなり、内側部材の結合面に環状凹溝を予め設けるとともにこの環状凹溝の底部にスプライン加工(又はローレット加工)により軸方向に歯すじが延びる歯形凸部を予め設けておき、内側部材の結合面に外側部材の結合面を嵌装した後、環状の押圧突部を有する上、下型で外側部材の周縁を加圧することにより、外側部材の周縁部分を内側部材の環状凹溝内に塑性流動させて、両部材を塑性結合したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
これらの塑性結合部品では、外側部材の結合面が塑性変形することにより該結合面に上記歯形凸部に対応する形成歯溝凹部が形成され、これら歯形凸部及び形成歯溝凹部の噛み合い係合により、内側部材及び外側部材を相対回転させようとする回転トルクに対する捻り強度が向上している。
【0008】
ここに、上記特許文献1及び上記特許文献2では、上記歯形凸部の歯形形状については何ら説明されていない。ただし、上記特許文献1の第6図には、一方の歯面の傾斜角が他方の歯面の傾斜角よりも大きくされた非対称形状をもつ歯形凸部が記載されている。なお、通常のスプライン加工やローレット加工では、インボリュート歯形や三角歯形等、歯面の傾斜角が左右で等しい左右対称の歯形形状とされる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−126837号公報(第4−5頁、第6図)
【特許文献2】
特開平2−169143号公報(第2頁、第6図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、歯形凸部の歯形形状を考慮せず、一般的なインボリュート歯形や三角歯形等、歯面の傾斜角が左右で等しい左右対称の歯形形状とした場合、以下に示すような問題がある。
【0011】
例えば、図13に示されるように、円周外面よりなる結合面に三角歯形の歯形形状をもつ歯形凸部91が予め設けられた内側部材92と、内周内面よりなる結合面を有し、内側部材92よりも硬度の低い外側部材93とを塑性結合した場合、外側部材93の結合面が塑性変形することにより該結合面に歯形凸部91に対応する形成歯溝凹部94が形成され、これら歯形凸部91及び形成歯溝凹部94の噛み合い係合により、内側部材92及び外側部材93を相対回転させようとする回転トルクに対する捻り強度が向上する。
【0012】
この塑性結合部品において、例えば、内側部材92に対して外側部材93を時計回り方向(図13のP矢印方向)に回転させようとする回転トルクが作用し、内側部材92の歯形凸部91に外側部材93からの回転トルク(F)が加わった場合を考える。このように歯形凸部91に外側部材93からの回転トルク(F)が加わった場合、図13に示されるように、この回転トルク(F)は、該回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面91aに沿って該受け側歯面91aの接線方向に向かう第1分力(F1 )と、該受け側歯面91aに対して垂直に加わる該受け側歯面91aの法線方向に向かう第2分力(F2 )とに分けられる。
【0013】
ここで、受け側歯面91aの傾斜角(図13の回転トルク(F)と受け側歯面91aの接線方向の第1分力(F1 )とがなす角度であって、受け側歯面91aの接線の歯底面の接線からの仰角。なお、回転トルク(F)は歯底面の接線方向に作用する)を(θ1 )としたとき、接線方向の第1分力(F1 )は、F1 =F・cosθ1 で表される。一方、この接線方向の第1分力(F1 )は、受け側歯面91aに沿って外側部材93が内側部材92から逃げる(外側部材93の結合面が半径方向外側へ広がる)方向に向かう力である。このため、上記傾斜角(θ1 )が小さくなるほど、上記接線方向に内側部材92から逃げる第1分力(F1 )が大きくなり、その分回転トルク(F)に対するねじり強度が低下する。
【0014】
したがって、回転トルクを受ける歯形凸部の歯形形状を何ら考慮しない場合は、上記受け側歯面の傾斜角(θ1 )の大きさに応じて発生する上記接線方向の第1分力(F1 )の大きさによっては、ねじり強度が向上するという該歯形凸部による効果を大きく期待できない場合がある。
【0015】
なお、上記特許文献1では、上述のとおり歯形凸部の歯形形状について何ら考慮されておらず、回転トルクを受ける側の受け側歯面の傾斜角(θ1 )を他方の歯面の傾斜角(θ2 )よりも小さくすることについては何ら言及されていない。
【0016】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、内側部材及び外側部材間でねじり強度をより効果的に向上させることのできる塑性結合部品を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の塑性結合部品は、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有する外側部材とが塑性結合されて、該内側部材及び該外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に軸方向に歯すじが延びるように予め設けられた複数の歯形凸部及び歯溝凹部と、硬度の低い方の部材の結合面を該歯形凸部及び該歯溝凹部に対応させて塑性変形させることにより形成された複数の形成歯溝凹部及び形成歯形凸部とが噛み合い係合され、該内側部材及び該外側部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが両該部材間に作用するように用いられる塑性結合部品であって、上記歯形凸部のうちの一部は、上記正方向の正回転トルクを受ける側の正回転受け側歯面の傾斜角(θ)が反対側歯面の傾斜角(θ)よりも大きく設定された正回転受け用の非対称歯形よりなり、上記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部以外の上記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記逆方向の逆回転トルクを受ける側の逆回転受け側歯面の傾斜角(θ )が反対側歯面の傾斜角(θ )よりも大きく設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなることを特徴とするものである。
【0018】
ここに、上記受け側歯面の傾斜角(θ1 )及び上記反対側歯面の傾斜角(θ2 )は、当該歯面の接線が歯底面の接線から仰傾する角度(仰角。0°<θ≦90°)のことをいう。
【0019】
この塑性結合部品で、内側部材及び外側部材を相対回転させようとする回転トルク(F)が両部材間に作用し、硬度の低い方の部材(以下、適宜「低硬度部材」という)から硬度の高い方の部材(以下、適宜「高硬度部材」という)に設けられた歯形凸部に回転トルク(F)が相対的に作用した場合、低硬度部材から高硬度部材へ相対的に作用する該回転トルク(F)は、該回転トルク(F)を受ける受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に向かう第1分力(F1 )と、該受け側歯面に対して垂直に加わる該受け側歯面の法線方向に向かう第2分力(F2 )とに分けられる。
【0020】
このとき、本発明の塑性結合部品では、上記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面の傾斜角(θ1 )が反対側歯面の傾斜角(θ2 )よりも大きく設定された非対称歯形よりなる。この非対称歯形よりなる歯形凸部に低硬度部材から上記回転トルク(F)が相対的に作用した場合、受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に向かう第1分力(F1 =F・cosθ1 )が、該受け側歯面の傾斜角(θ1 )が大きくされている分だけ小さくなる。一方、受け側歯面が歯底面から仰傾している場合(受け側歯面の接線が歯底面の接線から仰傾する仰角θが0°<θ<90°の場合)、受け側歯面の接線方向に向かう第1分力(F1 )は、前述のとおり、受け側歯面に沿って低硬度部材が高硬度部材から逃げる方向に向かう力である。このため、非対称歯形よりなる歯形凸部においては、受け側歯面に沿って低硬度部材が受け側歯面の接線方向に高硬度部材から逃げる第1分力(F1 )が小さくなる分だけ、該第1分力(F1 )によりねじり強度が低下することを抑えることができる。
【0021】
すなわち、受け側歯面の傾斜角(θ1 )が反対側歯面の傾斜角(θ2 )よりも大きくされた非対称歯形よりなる歯形凸部によれば、ねじり強度が向上するという歯形凸部による効果をより有効に発揮させることができ、該歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を該歯形凸部でより効果的に受け止めることが可能となる。したがって、内側部材及び外側部材間で回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることができる。
【0022】
なお、受け側歯面の傾斜角(θ1 )及び反対側歯面の傾斜角(θ2 )を等しく保ちながら両歯面の傾斜角(θ1 )及び(θ2 )を共に大きくした左右対称形状の歯形凸部であっても、受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に逃げる第1分力(F1 )を小さくすることができる。しかし、この場合、両傾斜角(θ1 )及び(θ2 )を大きくすればするほど歯形凸部の歯幅が小さくなるため、歯形凸部の強度を確保することが困難となる。すなわち、左右対称形状の歯形凸部では、歯形凸部の強度確保と捻り強度の向上との両立を図ることができない。
【0025】
そして、本発明の塑性結合部品においては、前記内側部材及び前記外側部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが両該部材間に作用するように用いられ、前記歯形凸部のうちの一部は、上記正方向の正回転トルクを受ける側の正回転受け側歯面の傾斜角(θ)が反対側歯面の傾斜角(θ)よりも大きく設定された正回転受け用の非対称歯形よりなり、上記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部以外の前記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記逆方向の逆回転トルクを受ける側の逆回転受け側歯面の傾斜角(θ)が反対側歯面の傾斜角(θ)よりも大きく設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなる。
【0026】
したがって、本発明によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが作用する場合であっても、正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で正方向の正回転トルクをより効果的に受け止めることができる一方、逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で逆方向の逆回転トルクをより効果的に受け止めることができるので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0027】
好適な態様において、前記内側部材及び前記外側部材間に作用する正回転トルクと逆回転トルクとの大きさの割合に応じて、前記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部と前記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部との数の割合が設定されている。
【0028】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を正方向に相対回転させようとする正方向の正回転トルクが作用した場合には、該正回転トルクの大きさに応じてその数が設定された正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で該正回転トルクをより効果的に受け止めることができる一方、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を逆方向に相対回転させようとする逆方向の逆回転トルクが作用した場合には、該逆回転トルクの大きさに応じてその数が設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で該逆回転トルクをより効果的に受け止めることができるので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0029】
好適な態様において、前記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部及び前記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面にそれぞれ周方向において略均等に配設されている。
【0030】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が正方向に相対回転しようとする力を正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で周方向において略均等に受け止めることができる一方、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が逆方向に相対回転しようとする力を逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で周方向において略均等に受け止めることができるので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0031】
ここに、上記受け側歯面の傾斜角(θ1 )が90°であれば、該受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に逃げる第1分力(F1 )は、F1 =F・cosθ1 =F・cos(90°)=0となるため、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を傾斜角(θ1 )が90°とされた非対称歯形よりなる歯形凸部で最大限に受け止めることができる。したがって、受け側歯面の傾斜角(θ1 )は、85°程度以上とすることが好ましく(90°に近づくほど好ましく)、90°とすることが最適となる。
【0032】
そこで、好適な態様において、前記受け側歯面の傾斜角(θ1 )が略90°とされている。
【0033】
この態様によれば、上述のとおり、受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に逃げる第1分力(F1 )が略零となる。すなわち、受け側歯面の傾斜角(θ1 )が略90°とされた歯形凸部に回転トルク(F)が加わった場合、該受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に逃げる第1分力(F1 )は、F1 =F・cosθ1 ≒F・cos(90°)=0となる。このため、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を受け側歯面の傾斜角(θ1 )が略90°とされた非対称歯形よりなる歯形凸部で最大限に受け止めることができ、内側部材及び外側部材間で回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0034】
一方、反対側歯面の傾斜角(θ2 )は30〜50°程度とすることが好ましく、40〜45°程度とすることがより好ましい。反対側歯面の傾斜角(θ2 )を大きくし過ぎると、非対称歯形よりなる歯形凸部の必要強度を確保することが困難となり、反対側歯面の傾斜角(θ2 )を小さくし過ぎると、歯数を増やせなくなり、ねじり強度を確保することが困難となる。
【0035】
好適な態様において、前記歯形凸部は、前記受け側歯面の傾斜角(θ1 )が略90°の非対称歯形のみからなる。
【0036】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を、結合面に設けられた全ての歯形凸部で最大限に受け止めることができるので、内側部材及び外側部材間で回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0037】
好適な態様において、前記非対称歯形は前記反対側歯面がインボリュート歯形又は三角歯形の歯面よりなる。
【0038】
この態様によれば、加工が容易な転造加工やローレット加工等を利用してインボリュート歯形や三角歯形を形成した後、切削加工等により受け側歯面を所定の傾斜角とすることにより、非対称歯形よりなる歯形凸部を容易に形成することができる。
【0039】
上記課題を解決する本発明の塑性結合部品は、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有する外側部材とが塑性結合されて、該内側部材及び該外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に軸方向に歯すじが延びるように予め設けられた複数の歯形凸部及び歯溝凹部と、硬度の低い方の部材の結合面を該歯形凸部及び該歯溝凹部に対応させて塑性変形させることにより形成された複数の形成歯溝凹部及び形成歯形凸部とが噛み合い係合され、該内側部材及び該外側部材を相対回転させようとする回転トルクが両該部材間に作用するように用いられる塑性結合部品であって、上記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記回転トルクを受ける側の受け側歯面が俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなることを特徴とするものである。
【0040】
ここに、上記俯傾歯面とは、歯底面に向かって俯けられた歯面のことをいう。
【0041】
この塑性結合部品では、上記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記回転トルクを受ける側の受け側歯面が俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなる。この俯傾歯形よりなる歯形凸部に低硬度部材から上記回転トルク(F)が相対的に作用した場合、受け側歯面に沿って該受け側歯面の接線方向に向かう第1分力(F1 )は、受け側歯面に沿って低硬度部材が高硬度部材へ近づく(締め付けられる)方向へ向かう力となる。このため、俯傾歯形よりなる歯形凸部においては、受け側歯面に沿って低硬度部材が受け側歯面の接線方向に高硬度部材へ向かう第1分力(F1 )が発生する分だけねじり強度が向上する。
【0042】
すなわち、受け側歯面が俯傾歯面とされた非対称歯形よりなる歯形凸部によれば、ねじり強度が向上するという歯形凸部による効果をより有効に発揮させることができ、該歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を該歯形凸部で確実に受け止めるだけでなく、高硬度部材に対して低硬度部材を相対回転させようとする回転トルク(F)から発生する上記第1分力(F1 )により、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が発生する。したがって、内側部材及び外側部材間で回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることができる。
【0043】
好適な態様において、前記俯傾歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面に周方向において略均等に配設されている。
【0044】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材が相対回転しようとする力を前記俯傾歯形よりなる歯形凸部で周方向において略均等に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする上記第1分力(F1 )が周方向において略均等に発生するので、内側部材及び外側部材間で回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0045】
好適な態様において、前記内側部材及び前記外側部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが両該部材間に作用するように用いられ、前記歯形凸部のうちの一部は、上記正方向の正回転トルクを受ける側の正回転受け側歯面が俯傾歯面とされた正回転受け用の俯傾歯形よりなり、上記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部以外の前記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記逆方向の逆回転トルクを受ける側の逆回転受け側歯面が俯傾歯面とされた逆回転受け用の俯傾歯形よりなる。
【0046】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが作用する場合であっても、正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部で正方向の正回転トルクをより効果的に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が該正回転トルクから発生する一方、逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部で逆方向の逆回転トルクをより効果的に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が該逆回転トルクから発生するので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0047】
好適な態様において、前記内側部材及び前記外側部材間に作用する正回転トルクと逆回転トルクとの大きさの割合に応じて、前記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部と前記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部との数の割合が設定されている。
【0048】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を正方向に相対回転させようとする正方向の正回転トルクが作用した場合には、該正回転トルクの大きさに応じてその数が設定された正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部で該正回転トルクをより効果的に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が該正回転トルクの大きさに応じて発生する一方、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を逆方向に相対回転させようとする逆方向の逆回転トルクが作用した場合には、該逆回転トルクの大きさに応じてその数が設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部で該逆回転トルクをより効果的に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が該逆回転トルクの大きさに応じて発生するので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0049】
好適な態様において、前記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部及び前記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面にそれぞれ周方向において略均等に配設されている。
【0050】
この態様によれば、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を正方向に相対回転させようとする正方向の正回転トルクが作用した場合には、高硬度部材に対して低硬度部材が正方向に相対回転しようとする力を正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部で周方向において略均等に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が周方向において略均等に発生する一方、歯形凸部が設けられた高硬度部材に対して低硬度部材を逆方向に相対回転させようとする逆方向の逆回転トルクが作用した場合には、高硬度部材に対して低硬度部材が逆方向に相対回転しようとする力を逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部で周方向において略均等に受け止めることができるとともに、高硬度部材に対して低硬度部材を締め付けようとする締め付け力が周方向において略均等に発生するので、内側部材及び外側部材間で正・逆双方向の回転トルクに対するねじり強度をより効果的に向上させることが可能となる。
【0051】
ここに、本発明の塑性結合部品は、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材及び円周内面よりなる結合面を有する外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に環状凹溝を予め設けるとともにこの環状凹溝の底部に軸方向に歯すじが延びる複数の歯形凸部及び歯溝凹部を予め設けておき、この高硬度部材の結合面に低硬度部材の結合面を嵌装した後、環状の押圧突部を有する上、下型等で低硬度部材の結合面の周縁を加圧して、低硬度部材の周縁部分を高硬度部材の環状凹溝及び歯溝凹部内に塑性流動させることにより、低硬度部材の結合面を歯形凸部及び歯溝凹部に対応させて塑性変形させて歯形凸部及び歯溝凹部と噛み合い係合される形成歯溝凹部及び形成歯形凸部を低硬度部材の結合面に形成し、これにより両部材を塑性結合させて製造することもできるが、軸方向における両部材の相対移動をより確実に規制すべく、以下の方法により製造することが好ましい。
【0052】
すなわち、本発明の塑性結合部品は、円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材及び円周内面よりなる結合面を有する外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に軸方向(プレス方向)に歯すじが延びる複数の歯形凸部及び歯溝凹部を予め設けておき、この歯形凸部を硬度の低い方の部材の結合面に食い込ませながら、歯すじが延びる方向に両部材をプレス機で相対移動させ、低硬度部材の結合面を歯溝凹部内及びプレス進行側へ塑性流動させることにより、低硬度部材の結合面を歯形凸部及び歯溝凹部に対応させて塑性変形させて歯形凸部及び歯溝凹部と噛み合い係合される形成歯溝凹部及び形成歯形凸部を低硬度部材の結合面に形成し、これにより両部材を塑性結合させて製造することが好ましい。こうすることで、低硬度部材の結合面には、歯形凸部の食い込みでプレス進行方向に押し流される低硬度部材の塑性流動により、各歯形凸部のプレス進行側における該結合面に棚部を形成することができる。こうして低硬度部材の結合面に形成された棚部により、低硬度部材に対して高硬度部材がプレス進行側に相対移動することを確実に規制することができ、位置決め精度や結合強度を高めることができる。
【0053】
なお、上記棚部の大きさは、歯形凸部と相手側の結合面との重なり幅や歯形凸部により相手側の結合面が押し込まれる長さによって適宜設定可能であり、軸方向(プレス方向)における結合力を適切に確保するには、結合面からの突出長さが1.0〜3.0mm程度となり、軸方向(プレス方向)における厚さが0.2〜0.6mm程度となるような大きさとすることが好ましい。
【0054】
また、高硬度部材の結合面に予め設けておく歯形凸部は、プレス加工、切削加工、放電加工、レーザー切断加工や研磨加工等により歯丈の高いものとしておくことにより、内側部材及び外側部材間の相対回転をより確実に規制することが可能となる。具体的には、この歯形凸部の全歯丈は0.9〜1.5mm程度とすることが好ましい。
【0055】
さらに、内側部材及び外側部材の硬度は、ビッカース硬さで、硬度の高い方の部材の硬度を450Hv以上とする一方、硬度の低い方の部材の硬度を80〜150Hv程度とし、かつ、硬度の高い方の部材の硬度を硬度の低い方の部材の硬度の3倍以上とすることが好ましい。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下、参考形態及び本発明の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0057】
この実施形態は、自動車用オートマチック部品としてのシャフト及びハブよりなる塑性結合部品に本発明を適用したものである。
【0058】
(第1参考形態)
まず、参考形態について説明する。
【0059】
シャフト1とハブ2とが一体的に塑性結合された、シャフト1及びハブ2よりなる2部材の塑性結合部品を図1に示す。
【0060】
シャフト1は、軸直角断面形状が円形のパイプ状(中空軸状)をなし、軸部11と、軸部11の一端から遠心方向に水平に階段状に延出して、内周側の第1水平部12a及び外周側の第2水平部としての外周縁端部12bをもつ鍔部12とを一体に有している。このシャフト1は本発明に係る内側部材を構成する。そして、シャフト1の鍔部12の外周縁端部12bの外周端面12cが本発明に係る円周外面よりなる結合面を構成する。
【0061】
ハブ2は、外側円筒部21と、この外側円筒部21の下端から求心方向に一体に略水平に延出する水平フランジ部22と、この水平フランジ部22の求心側端縁から垂直に上方に向かって一体に延出する内側円筒部23とから構成されている。このハブ2は本発明に係る外側部材を構成する。そして、ハブ2の内側円筒部23の内周面23aが本発明に係る円周内面よりなる結合面を構成する。なお、外側円筒部21及び内側円筒部23は同軸をなし、外側円筒部21の方が内側円筒部23よりも軸方向長さが長くされている。
【0062】
また、図2に示されるように、シャフト1の外周縁端部12bの下側(プレス方向におけるプレス進行側)における内側円筒部23の内周面には棚部24が後述するプレス工程時に形成されるとともに、該外周縁端部12bの上側(プレス方向におけるプレス後退側)における内側円筒部23の該内周面にはかしめ加工部25が後述するかしめ加工工程時に形成されており、該棚部24及び該かしめ加工部25間で該外周縁端部12bが軸方向に挟持されている。
【0063】
さらに、シャフト1の外周縁端部12bの外周端面12cには、軸方向(プレス方向)と平行に歯すじが延びる複数の歯形凸部13及び歯溝凹部14が予め設けられている。そして、ハブ2の内側円筒部23の内周面23aには、軸方向と平行に歯すじが延びる形成歯溝凹部26及び形成歯形凸部27が後述するプレス工程時に形成され、シャフト1の歯形凸部13及び歯溝凹部14とハブ2の形成歯溝凹部26及び形成歯形凸部27とが噛み合い係合している(図3参照)。シャフト1の外周縁端部12bに予め設けられた歯形凸部13及び歯溝凹部14は、後述するようにプレス加工によるもので、歯形凸部13の歯丈は高トルクに対応すべく1.2mmとされている。
【0064】
そして、上記歯形凸部13は、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って均一に設けられており、全ての歯形凸部13は後述する回転トルク(F)をシャフト2から相対的に受ける側の受け側歯面13aの傾斜角(θ)が反対側歯面13bの傾斜角(θ)よりも大きく設定された非対称歯形よりなる(図3参照)。また、各歯形凸部13の受け側歯面13aの傾斜角(θ)はいずれも略90°とされている。なお、この受け側歯面13aの傾斜角(θ)は、受け側歯面13aの接線(S1)が歯底面(歯溝凹部14の底面)の接線(S3)から仰傾する仰角であり、反対側歯面13bの傾斜角(θ)は、反対側歯面13bの接線(S2)が歯底面(歯溝凹部14の底面)の接線(S3)から仰傾する仰角である。また、この参考形態では、反対側歯面13bの傾斜角(θ)は略35°とした。
【0065】
なお、シャフト1の歯溝凹部14に対応して形成されたハブ2の形成歯形凸部27も、上記歯形凸部13と同様、ハブ2の結合面たる内周面23aに周方向全体に渡って均一に形成されており、全ての形成歯形凸部27は後述する回転トルク(F)をシャフト1から相対的に受ける側の受け側歯面27aの傾斜角(θ1 )が反対側歯面27bの傾斜角(θ2 )よりも大きく設定された非対称歯形よりなり、また、各形成歯形凸部27の受け側歯面27aの傾斜角(θ1 )はいずれも略90°とされている。
【0066】
また、上記シャフト1はビッカース硬さがHv800程度であるSCM420H(浸炭処理されたクロムモリブデン鋼)よりなり、上記ハブ2はビッカース硬さがHv100程度であるSPHD(熱間圧延鋼板)よりなる。また、上記棚部24は、内側円筒部23の内周面23aから求心方向に突出して外周縁端部12bと半径方向に重なる部分の長さが2.0mmであり、軸方向における厚さが0.4mmである。さらに、上記かしめ加工部25は、内側円筒部23の内周面23aから求心方向に突出して外周縁端部11aと半径方向に重なる部分の長さが1.0mmであり、軸方向における厚さが1.0mmである。
【0067】
また、シャフト1とハブ2とを結合する前の状態において、シャフト1の外周縁端部12bの歯形凸部13における外径はハブ2の内側円筒部23の内周面23aの内径よりも大きく、かつ、該外周縁端部12bの歯溝凹部14における外径は該内周面23aの内径よりも小さく設定されている。
【0068】
上記構成を有するシャフト1及びハブ2よりなる2部材の塑性結合部品は、以下に示すように塑性結合したものである。
【0069】
<準備工程>
まず、パイプ状素材からプレス加工等により軸部11の一端に鍔部12を一体に有するシャフト1を所定形状に成形した。
【0070】
また、板状素材からプレス加工等により外側円筒部21、水平フランジ部22及び内側円筒部23を一体に有するハブ2を所定形状に成形した。
【0071】
<セレーション成形工程>
図4に示すように、ダイス穴31aの内周面にセレーションとしての歯形凸部13及び歯溝凹部14を成形するための歯成形部31bが下方部に形成されたダイス31を準備した。なお、ダイス31のダイス穴31aの内径は、外周縁端部12bの外周端面12cの外径と略同一とされている。
【0072】
そして、シャフト1をダイス31のダイス穴31a内にセットしてから、このシャフト1の軸部11の孔内に嵌合される中央凸部32aと、鍔部12の外周縁端部12bの上端面に当接される環状当接面32bとを有する第1パンチ32でシャフト1をダイス穴31a内に押し込んで、ダイス31の歯成形部31bで外周縁端部12bの外周端面12cに歯形凸部13及び歯溝凹部14を成形した。
【0073】
<プレス工程>
次に、中心孔33a及び段状部33bを有する下型33上にハブ2をセットするとともに、このハブ2上にリング型34をセットした(図5参照)。これにより、下型33及びリング型34でハブ2の水平フランジ部22を挟持するとともに、リング型34の内周面でハブ2の内側円筒部23の外周面を拘束した。なお、リング型34で内側円筒部23を拘束するのは、プレス工程時及びかしめ工程時における内側円筒部23の変形を防止するためである。
【0074】
そして、下型33の中心孔33a内にシャフト1をセットした。このとき、ハブ2の内側円筒部23はシャフト1の外周縁端部12bの外径よりも小さな内径となるように予め切削加工されていることから、シャフト1の外周縁端部12bは内側円筒部23の内周側上端面上に置かれる。
【0075】
そして、第2パンチ35でシャフト1を上方から押し込んで、シャフト1を下降させ、シャフト1の第1水平部12aの下端面を下型33の段状部33bに当接させてプレス工程を終了した。なお、プレス工程終了時には、シャフト1の鍔部12のうち内周側の第1水平部12aのみが下型33の段状部33bに当接し、外周側の第2水平部たる外周縁端部12bと下型33の上面との間に設けられた逃げ凹部内に後述する棚部24が形成される。
【0076】
こうして、ハブ2の内側円筒部23内にシャフト1の外周縁端部12bを押し込んでシャフト1とハブ2とを塑性結合した。このとき、シャフト1の外周縁端部12bの歯形凸部13が内側円筒部23の内周面23aに食い込み、この食い込みに伴って内側円筒部23の材料が歯溝凹部14内やプレス進行側に塑性流動した。これにより、歯形凸部13及び歯溝凹部14と互いに噛み合う形成歯溝凹部26及び形成歯形凸部27を内側円筒部23の内周面23aに形成するとともに、各歯形凸部13のプレス進行側における該内側円筒部23の内周面23aに棚部24を形成した。
【0077】
<かしめ加工工程>
最後に、図6に示すように、かしめ加工部25を成形するための環状凸部36aを下面の外周端部に有する第3パンチ36で、内側円筒部23の内周側上端面を押圧して押し潰した。これにより、シャフト1の外周縁端部12bのプレス後退側における内側円筒部23の内周面23aにかしめ加工を施してかしめ加工部25を形成した。
【0078】
こうして得られた塑性結合部品は、内側部材としてのシャフト1及び外側部材としてのハブ2を相対回転させようとする回転トルクが両部材1、2間に作用するように用いられる。このとき、例えば、シャフト1に対してハブ2を図7のP矢印方向に相対回転させようとする回転トルク(F)が両部材1、2間に作用し、ハブ2からシャフト1に設けられた歯形凸部13に回転トルク(F)が相対的に作用した場合、該回転トルク(F)は、前述のとおり、該回転トルク(F)を受ける受け側歯面13aに沿って該受け側歯面13aの接線(S1)方向に向かう第1分力(F1 )と、該受け側歯面13aに対して垂直に加わる該受け側歯面13aの法線方向に向かう第2分力(F2 )とに分けられる。
【0079】
この参考形態の塑性結合部品では、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って均一に設けられた上記歯形凸部13の全ては、上記回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面13aの傾斜角(θ)が反対側歯面13bの傾斜角(θ)よりも大きく設定され、しかも受け側歯面13aの傾斜角(θ)が略90°に設定された非対称歯形よりなる。この非対称歯形よりなる歯形凸部13にハブ2から上記回転トルク(F)が相対的に作用した場合、受け側歯面13aに沿って該受け側歯面13aの接線(S1)方向に向かう第1分力(F)は、F=F・cosθ≒F・cos(90°)=0となる。一方、受け側歯面13aに垂直に加わる該受け側歯面13aの法線方向に向かう第2分力(F)は、F≒Fとなる。このため、シャフト1に対してハブ2が図7のP矢印方向に相対回転しようとする回転トルク(F)を歯形凸部13で最大限に受け止めることができる。
【0080】
また、受け側歯面13aの傾斜角(θ1 )を略90°としながらも、反対側歯面13bの傾斜角(θ2 )を略35°していることから、歯形凸部13の最大幅を比較的大きく保つことができ、各歯形凸部13の必要強度を確保することが可能である。
【0081】
また、この参考形態では、受け側歯面13aの傾斜角(θ)が略90°とされた歯形凸部13がシャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って均一に設けられているので、上記回転トルク(F)を外周端面12cに設けられた全ての歯形凸部13で周方向において均等に最大限に受け止めることができる。
【0082】
したがって、シャフト1及びハブ2間で回転トルク(F)に対するねじり強度を極めて効果的に向上させることが可能となる。
【0083】
なお、上述の参考形態では、歯形凸部13の全てを、受け側歯面13aの傾斜角(θ)が略90°で反対側歯面13bの傾斜角(θ)が略35°である同一形状の非対称歯形とする例について示したが、受け側歯面13aの傾斜角(θ)及び/又は反対側歯面13bの傾斜角(θ)がそれぞれ異なる異形状の非対称歯形を組み合わせて用いたり、歯形凸部13の一部のみを非対称歯形としてもよい。ただし、歯形凸部13の一部のみを非対称歯形とする場合は、前述のとおり非対称歯形よりなる歯形凸部13を周方向において略均等に配設することが好ましい。
【0084】
ここに、この参考形態に係る自動車用オートマチック部品としてのシャフト1及びハブ2よりなる塑性結合部品は、シャフト1に対してハブ2を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクがシャフト1及びハブ2間に作用するように用いられるものである。一方、歯形凸部13は、シャフト1に対してハブ2を図7のP矢印方向(以下、正方向Pという。)に相対回転させようとする正方向の正回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面13aの傾斜角(θ)が略90°とされた非対称歯形のみからなる。このため、この参考形態では、シャフト1に対してハブ2を図7の正方向Pに相対回転させようとする正回転トルク(F)が両部材1、2間に作用した場合は、上述のとおりシャフト1及びハブ2間で該正回転トルク(F)に対するねじり強度を極めて効果的に向上させることができるが、シャフト1に対してハブ2を正方向Pとは逆方向に相対回転させようとする逆回転トルク(F’)が両部材1、2間に作用した場合は、シャフト1及びハブ2間で該逆回転トルク(F’)に対するねじり強度を効果的に向上させることはできない。
【0085】
(第実施形態)
本実施形態は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の塑性結合部品を具現化したものである。
【0086】
この実施形態の塑性結合部品では、図8に示されるように、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って歯形凸部が設けられており、この歯形凸部の一部は、前記参考形態1と同様の正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13であり、この正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13以外の残りの歯形凸部13’は逆回転受け用の非対称歯形よりなる。
【0087】
すなわち、外周端面12cに周方向全体に渡って設けられた歯形凸部の一部をなす歯形凸部13は、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面13aの傾斜角(θ1 )が略90°とされ、反対側歯面13bの傾斜角(θ2 )が略35°とされた正回転受け用の非対称歯形よりなる。また、この正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13以外の残りの歯形凸部13’は、シャフト1に対してハブ2を逆方向(図8のP’矢印方向。以下、逆方向P’という。)に相対回転させようとする逆方向P’の逆回転トルク(F’)を受ける側の受け側歯面13’aの傾斜角(θ1 )が略90°とされ、反対側歯面13’bの傾斜角(θ2 )が略35°とされた逆回転受け用の非対称歯形よりなる。
【0088】
そして、シャフト1及びハブ2間に作用する正回転トルク(F)と逆回転トルク(F’)との大きさの割合に応じて、上記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13と上記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’との数の割合が設定されている。例えば、正回転トルク(F)の大きさの逆回転トルク(F’)の大きさに対する比がF:F’=2:1である場合は、正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13の数(A)の逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’の数(B)に対する比がA:B=2:1となるように設定されている。なお、本実施形態では、正回転トルク(F)の大きさの逆回転トルク(F’)の大きさに対する比がF:F’=5:1である場合を想定して、正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13の数の逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’の数に対する比がA:B=5:1となるように設定した。
【0089】
また、上記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13は、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向において略均等に配設されており、上記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’も外周端面12cに周方向において略均等に配設されている。
【0090】
なお、図8に示されるように、正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13の受け側歯面13aと、逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’の受け側歯面13’aとが向き合う部分では、両歯面13a及び13’a間に断面略矩形状の歯溝凹部15がシャフト1の外周端面12cに設けられる一方、断面略矩形状の形成歯形凸部28がハブ2の内周面23aに形成されている。
【0091】
その他の構成は基本的には前記参考形態1と同様である。
【0092】
本実施形態の塑性結合部品では、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)が作用した場合には、該正回転トルク(F)の大きさに応じてその数が設定された正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13で該正回転トルク(F)をより効果的に受け止めることができる一方、シャフト1に対してハブ2を逆方向P’に相対回転させようとする逆方向P’の逆回転トルク(F’)が作用した場合には、該逆回転トルク(F’)の大きさに応じてその数が設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’で該逆回転トルク(F’)をより効果的に受け止めることができる。
【0093】
また、本実施形態では、受け側歯面13aの傾斜角(θ1 )が略90°とされた歯形凸部13及び受け側歯面13’aの傾斜角(θ1 )が略90°とされた歯形凸部13’がシャフト1の結合面たる外周端面12cにそれぞれ周方向において略均等に設けられているので、上記正回転トルク(F)及び逆回転トルク(F’)を歯形凸部13及び歯形凸部13’で周方向において略均等に最大限に受け止めることができる。
【0094】
したがって、シャフト1及びハブ2間で正・逆双方向の回転トルク(F)及び(F’)に対するねじり強度を極めて効果的に向上させることが可能となる。
【0095】
なお、上述の実施形態では、歯形凸部13及び13’の全てを、受け側歯面の傾斜角(θ1 )が略90°で反対側歯面の傾斜角(θ2 )が略35°である同一形状の非対称歯形とする例について示したが、受け側歯面の傾斜角(θ1 )及び/又は反対側歯面の傾斜角(θ2 )がそれぞれ異なる異形状の非対称歯形を組み合わせて用いたり、歯形凸部の一部のみを非対称歯形としてもよい。ただし、歯形凸部の一部のみを非対称歯形とする場合は、前述のとおり正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13及び逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部13’は、それぞれ周方向において略均等に配設することが好ましい。
【0096】
(第2参考形態
【0097】
この参考形態の塑性結合部品では、図9に示されるように、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って歯形凸部16が均一に設けられており、全ての歯形凸部16は、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面16aの傾斜角(θ)が略90°とされ、反対側歯面16bがインボリュート歯形の歯面とされた非対称歯形よりなる。
【0098】
ここに、上記歯形凸部16は、転造加工によりシャフト1の外周端面12cにインボリュート歯形を形成した後、切削加工等により受け側歯面16aの傾斜角(θ1 )を略90°としたものである。
【0099】
その他の構成は基本的には前記参考形態1と同様である。
【0100】
したがって、この参考形態によれば、加工が容易な転造加工を利用することができるので、非対称歯形よりなる歯形凸部16を容易に形成することができる。
【0101】
その他の作用効果は基本的には前記参考形態1と同様である。
【0102】
(第実施形態)
本実施形態は、請求項又は記載の塑性結合部品を具現化したものである。
【0103】
この実施形態の塑性結合部品では、図10に示されるように、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って歯形凸部17が均一に設けられており、全ての歯形凸部17は、正方向Pの正回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面17aが俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなる。
【0104】
上記歯形凸部17の受け側歯面17aの接線(S1)と、歯底面(歯溝凹部14の底面)の接線(S3)とがなす角度(α。正方向の正回転トルク(F)に対して受け側歯面17aの接線(S1)がなす角度に等しい。)が略110°に設定されている。なお、反対側歯面17bの傾斜角(θ2 )は略35°である。
【0105】
その他の構成は基本的には前記参考形態1と同様である。
【0106】
この塑性結合部品で、例えば、シャフト1に対してハブ2を図11のP矢印方向に相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)が両部材1、2間に作用し、ハブ2からシャフト1に設けられた歯形凸部17に正回転トルク(F)が相対的に作用した場合、受け側歯面17aに沿って該受け側歯面17aの接線(S1)方向に向かう第1分力(F1 )は、受け側歯面17aに沿ってハブ2がシャフト1へ近づく(締め付けられる)方向へ向かう力となる。このため、俯傾歯形よりなる歯形凸部17においては、受け側歯面17aに沿ってハブ2が受け側歯面17aの接線(S1)方向にシャフト1へ向かう第1分力(F1 )が発生する分だけねじり強度が向上する。
【0107】
すなわち、受け側歯面17aが俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなる歯形凸部17によれば、ねじり強度が向上するという歯形凸部による効果をより有効に発揮させることができ、該歯形凸部17が設けられたシャフト1に対してハブ2が相対回転しようとする力を該歯形凸部17で確実に受け止めるだけでなく、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正回転トルク(F)から発生する上記第1分力(F1 )により、シャフト1に対してハブ2を締め付けようとする締め付け力が発生する。
【0108】
また、本実施形態では、受け側歯面17aが俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなる歯形凸部17が、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って均一に設けられていることから、上記第1分力(F1 )によるシャフト1に対するハブ2の締め付け力が周方向全体で均一に発生する。
【0109】
したがって、シャフト1及びハブ2間で正回転トルク(F)に対するねじり強度を極めて効果的に向上させることができる。
【0110】
なお、上述の実施形態では、歯形凸部17の全てを、俯傾歯面よりなる受け側歯面17aの角度(α)が略110°で反対側歯面17bの傾斜角(θ2 )が略35°である同一形状の俯傾歯形とする例について示したが、受け側歯面17aの角度(α)及び/又は反対側歯面17bの傾斜角(θ2 )がそれぞれ異なる異形状の俯傾歯形を組み合わせて用いたり、歯形凸部の一部のみを俯傾歯形としてもよい。ただし、歯形凸部の一部のみを俯傾歯形とする場合は、前述のとおり俯傾歯形よりなる歯形凸部17を周方向において略均等に配設することが好ましい。
【0111】
(第実施形態)
本実施形態は、請求項7、9、10又は11記載の塑性結合部品を具現化したものである。
【0112】
この実施形態の塑性結合部品では、図12に示されるように、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向全体に渡って歯形凸部が設けられており、この歯形凸部の一部は、前記実施形態3と同様の正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17であり、この正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17以外の残りの歯形凸部17’は逆回転受け用の俯傾歯形よりなる。
【0113】
すなわち、外周端面12cに周方向全体に渡って設けられた歯形凸部の一部をなす歯形凸部17は、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)を受ける側の受け側歯面17aが俯傾歯面(α≒110°)とされ、反対側歯面17bの傾斜角(θ2 )が略35°とされた正回転受け用の俯傾歯形よりなる。また、この正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17以外の残りの歯形凸部17’は、シャフト1に対してハブ2を逆方向P’に相対回転させようとする逆方向P’の逆回転トルク(F’)を受ける側の受け側歯面17’aが俯傾歯面(α≒110°)とされ、反対側歯面17’bの傾斜角(θ2 )が略35°とされた逆回転受け用の俯傾歯形よりなる。
【0114】
そして、シャフト1及びハブ2間に作用する正回転トルク(F)と逆回転トルク(F’)との大きさの割合に応じて、上記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17と上記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’との数の割合が設定されている。例えば、正回転トルク(F)の大きさの逆回転トルク(F’)の大きさに対する比がF:F’=2:1である場合は、正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17の数(a)の逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部13’の数(b)に対する比がa:b=2:1となるように設定されている。なお、本実施形態では、正回転トルク(F)の大きさの逆回転トルク(F’)の大きさに対する比がF:F’=5:1である場合を想定して、正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17の数の逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’の数に対する比がa:b=5:1となるように設定した。
【0115】
また、上記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17は、シャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向において略均等に配設されており、上記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’も外周端面12cに周方向において略均等に配設されている。
【0116】
その他の構成は基本的には前記参考形態1と同様である。
【0117】
本実施形態の塑性結合部品では、シャフト1に対してハブ2を正方向Pに相対回転させようとする正方向Pの正回転トルク(F)が作用した場合には、該正回転トルク(F)の大きさに応じてその数が設定された正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17により、該正回転トルク(F)を確実に受け止めるとともに該正回転トルク(F)から発生する上記第1分力(F1 )による締め付け力が発生する一方、シャフト1に対してハブ2を逆方向P’に相対回転させようとする逆方向の逆回転トルク(F’)が作用した場合には、該逆回転トルク(F’)の大きさに応じてその数が設定された逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’により、該逆回転トルク(F’)を確実に受け止めるとともに該逆回転トルク(F’)から発生する上記第1分力(F1 ’)による締め付け力が発生する。
【0118】
また、本実施形態では、正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17及び逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’がシャフト1の結合面たる外周端面12cに周方向においてそれぞれ略均等に設けられているので、上記正回転トルク(F)及び逆回転トルク(F’)を歯形凸部17及び歯形凸部17’で周方向において略均等に確実に受け止めることができるとともに、正回転トルク(F)による上記締め付け力及び逆回転トルク(F’)による上記締め付け力が周方向において略均等に発生する。
【0119】
したがって、シャフト1及びハブ2間で正・逆双方向の回転トルク(F)及び(F’)に対するねじり強度を極めて効果的に向上させることが可能となる。
【0120】
なお、上述の実施形態では、歯形凸部17及び17’の全てを、俯傾歯面の角度(α)が略110°で反対側歯面の傾斜角(θ2 )が略35°である同一形状の俯傾歯形とする例について示したが、俯傾歯面の角度(α)及び/又は反対側歯面の傾斜角(θ2 )がそれぞれ異なる異形状の非対称歯形を組み合わせて用いたり、歯形凸部の一部のみを俯傾称歯形としてもよい。ただし、歯形凸部の一部のみを俯傾歯形とする場合は、前述のとおり正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17及び逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部17’は、それぞれ周方向において略均等に配設することが好ましい。
【0121】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る塑性結合部品によれば、内側部材及び外側部材間でねじり強度をより効果的に向上させることができる。
【0122】
したがって、塑性結合部品としての製品の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1参考形態に係り、シャフトとハブとを結合した状態を示す断面図である。
【図2】 第1参考形態に係り、シャフトとハブとの結合構造を示す要部断面図である。
【図3】 第1参考形態に係り、歯形凸部の形状を示す要部平面図である。
【図4】 第1参考形態に係り、セレーション成形工程を説明する要部断面図である。
【図5】 第1参考形態に係り、プレス工程を説明する断面図である。
【図6】 第1参考形態に係り、かしめ加工工程を説明する断面図である。
【図7】 第1参考形態に係り、歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【図8】 第実施形態に係り、歯形凸部の形状及び歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【図9】 第2参考形態に係り、歯形凸部の形状及び歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【図10】 第実施形態に係り、歯形凸部の形状を示す要部平面図である。
【図11】 第実施形態に係り、歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【図12】 第実施形態に係り、歯形凸部の形状及び歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【図13】 従来例に係り、歯形凸部の形状及び歯形凸部に回転トルクが作用する様子を示す要部平面図である。
【符号の説明】
1…シャフト(内側部材) 2…ハブ(外側部材)
12c…外周端面(結合面)
13、13’、16、17、17’…歯形凸部
13a、13’a、16a、17a、17’a…受け側歯面
13b、13’b、16b、17b、17’b…反対側歯面
14…歯溝凹部 23a…内周面(結合面)
26…形成歯溝凹部 27…形成歯形凸部

Claims (11)

  1. 円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有する外側部材とが塑性結合されて、該内側部材及び該外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に軸方向に歯すじが延びるように予め設けられた複数の歯形凸部及び歯溝凹部と、硬度の低い方の部材の結合面を該歯形凸部及び該歯溝凹部に対応させて塑性変形させることにより形成された複数の形成歯溝凹部及び形成歯形凸部とが噛み合い係合され、該内側部材及び該外側部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが両該部材間に作用するように用いられる塑性結合部品であって、
    上記歯形凸部のうちの一部は、上記正方向の正回転トルクを受ける側の正回転受け側歯面の傾斜角(θ)が反対側歯面の傾斜角(θ)よりも大きく設定された正回転受け用の非対称歯形よりなり、
    上記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部以外の前記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記逆方向の逆回転トルクを受ける側の逆回転受け側歯面の傾斜角(θ )が反対側歯面の傾斜角(θ )よりも大きく設定された逆回転受け用の非対称歯形よりなることを特徴とする塑性結合部品。
  2. 前記内側部材及び前記外側部材間に作用する正回転トルクと逆回転トルクとの大きさの割合に応じて、前記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部と前記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部との数の割合が設定されていることを特徴とする請求項記載の塑性結合部品。
  3. 前記正回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部及び前記逆回転受け用の非対称歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面にそれぞれ周方向において略均等に配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塑性結合部品。
  4. 前記受け側歯面の傾斜角(θ)が略90°とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の塑性結合部品。
  5. 前記歯形凸部は、前記受け側歯面の傾斜角(θ)が略90°の非対称歯形のみからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の塑性結合部品。
  6. 前記非対称歯形は前記反対側歯面がインボリュート歯形又は三角歯形の歯面よりなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の塑性結合部品。
  7. 円周外面よりなる結合面を有する軸状の内側部材と、円周内面よりなる結合面を有する外側部材とが塑性結合されて、該内側部材及び該外側部材のうちの硬度の高い方の部材の結合面に軸方向に歯すじが延びるように予め設けられた複数の歯形凸部及び歯溝凹部と、硬度の低い方の部材の結合面を該歯形凸部及び該歯溝凹部に対応させて塑性変形させることにより形成された複数の形成歯溝凹部及び形成歯形凸部とが噛み合い係合され、該内側部材及び該外側部材を相対回転させようとする回転トルクが両該部材間に作用するように用いられる塑性結合部品であって、
    上記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記回転トルクを受ける側の受け側歯面が俯傾歯面とされた俯傾歯形よりなることを特徴とする塑性結合部品。
  8. 前記俯傾歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面に周方向において略均等に配設されていることを特徴とする請求項記載の塑性結合部品。
  9. 前記内側部材及び前記外側部材を正・逆双方向に相対回転させようとする正・逆双方向の回転トルクが両該部材間に作用するように用いられ、
    前記歯形凸部のうちの一部は、上記正方向の正回転トルクを受ける側の正回転受け側歯面が俯傾歯面とされた正回転受け用の俯傾歯形よりなり、
    上記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部以外の前記歯形凸部のうちの少なくとも一部は、上記逆方向の逆回転トルクを受ける側の逆回転受け側歯面が俯傾歯面とされた逆回転受け用の俯傾歯形よりなることを特徴とする請求項記載の塑性結合部品。
  10. 前記内側部材及び前記外側部材間に作用する正回転トルクと逆回転トルクとの大きさの割合に応じて、前記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部と前記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部との数の割合が設定されていることを特徴とする請求項記載の塑性結合部品。
  11. 前記正回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部及び前記逆回転受け用の俯傾歯形よりなる歯形凸部は、前記結合面にそれぞれ周方向において略均等に配設されていることを特徴とする請求項9又は10記載の塑性結合部品。
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