JP6271078B2 - 半導体装置および電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置および電力変換装置に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2011−138952号公報(特許文献1)および特開2004−134644号公報(特許文献2)がある。
特開2011−138952号公報(特許文献1)には、SiC結晶からなる基板部の表面にSi結晶からなる成長層をエピタキシャル成長によって形成し、成長層に、第一導電型の第一、第二の領域と、第二導電型のチャネル領域とを形成するSiCパワートランジスタが記載されている。
特開2004−134644号公報(特許文献2)には、エピタキシャル層の表層部に形成されたチャネル領域とゲート絶縁膜との間に、炭化珪素とはバンドギャップが異なる半導体層が形成された炭化珪素半導体装置が記載されている。
特開2011−138952号公報 特開2004−134644号公報
パワー半導体デバイスの一つであるパワー金属・絶縁膜・半導体電界効果トランジスタ(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MISFET)においては、炭化珪素(SiC)基板(以下、SiC基板と記す)を用いたプレーナ型のパワーMISFET(以下、SiCパワーMISFETと記す)が用いられている。SiCパワーMISFETは、高耐圧化および低損失化が可能であることから、省電力または環境配慮型のインバータ技術の分野において、特に注目が集まっている、
ところで、SiCパワーMISFETでは、SiC基板の表面上に形成されたSiCからなるエピタキシャル層の表層部のチャネル領域上にゲート絶縁膜が形成される。しかし、ゲート絶縁膜を形成する際、歪によりエピタキシャル層内にC−CボンドやSi−Siボンドが形成されて、エピタキシャル層とゲート絶縁膜との界面に、コンダクションバンドのボトム(またはエッジ)が変動するクァンタム・ラフネス(Quantum Roughness)が発生する。
これが原因となり、SiCパワーMISFETでは、チャネル移動度の劣化、サブスレッショルド(subthreshold)特性の劣化およびしきい値電圧の変動などの問題が生じている。
上記課題を解決するために、本発明によるSiCパワーMISFETは、SiCからなるエピタキシャル層の表層部に形成されたチャネル領域とゲート絶縁膜との間に珪素(Si)原子層を有している。珪素(Si)原子層は、1原子層からなる。珪素(Si)原子層を形成することにより、C−CボンドやSi−Siボンドがエピタキシャル層の表層部に形成され難くなり、エピタキシャル層とゲート絶縁膜との界面におけるクァンタム・ラフネスの発生が抑制される。
本発明によれば、動作特性の安定したSiCパワーMISFETを提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
実施例1によるSiCパワーMISFETの基本セルが3行×3列で配列されたレイアウト図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETの2つの基本セルを拡大して示す要部平面図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETの基本セルを示す要部断面図(図2のI−I線に沿った断面図)である。 実施例1によるSiCからなるエピタキシャル層とゲート絶縁膜との界面を拡大して示す模式図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。 図5に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図6に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図7に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図8に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図9に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチング素子として用いた電力変換装置(インバータ)の第1例を示す等価回路図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチング素子として用いた電力変換装置(インバータ)の第2例を示す等価回路図である。 実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチング素子として用いた電力変換装置(コンバータおよびインバータ)を鉄道用モータ駆動に適用した一例を示す等価回路図である。 実施例1による3相モータ駆動に使用する電力変換装置に搭載されるSiCパワーMISFETを駆動する際に、SiCパワーMISFETのゲートに印加される電圧波形図である。 実施例2によるSiCパワーMISFETの基本セルを示す要部断面図である。 実施例2によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。 図16に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図17に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 実施例3によるSiCパワーMISFETを搭載する半導体チップの要部上面図である。 実施例3によるSiCパワーMISFETを搭載する複数の半導体チップが形成された半導体ウエハの要部上面図である。 図19のA−A線に沿った要部断面図である。 実施例3によるSiCパワーMISFETの基本セル領域(4つの基本セル)を示す要部平面図(図19のB領域を拡大した平面図)である。 実施例3によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。 図23に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部断面図である。 図24に続く、SiCパワーMISFETの製造工程を示す要部平面図である。
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
≪SiCパワーMISFETの構造≫
本実施例1によるSiCパワーMISFETの構造について図1、図2および図3を用いて説明する。図1は、本実施例1によるSiCパワーMISFETの基本セルが3行×3列で配列されたレイアウト図である。図2は、本実施例1によるSiCパワーMISFETの2つの基本セルを拡大して示す要部平面図である。図3は、本実施例1によるSiCパワーMISFETの基本セルを示す要部断面図(図2のI−I線に沿った断面図)である。SiCパワーMISFETは、プレーナ型のDMOS(Double diffused Metal oxide Semiconductor)構造のMISFETである。
図1、図2および図3に示すように、SiCからなるn型SiC基板1の表面(第1主面)上に、n型SiC基板1よりも不純物濃度の低いSiCからなるn型エピタキシャル層2が形成されており、n型SiC基板1とn型エピタキシャル層2とからSiCエピタキシャル基板3が構成されている。n型SiC基板1は、ドレイン層として機能する領域であり、その不純物濃度は、例えば1×1018〜1×1021cm−3程度である。n型エピタキシャル層2の厚さは、例えば5.0〜20.0μm程度であり、その不純物濃度は、例えば1×1014〜1×1017cm−3程度である。
型エピタキシャル層2内には、n型エピタキシャル層2の表面から所定の深さを有して、複数のp型ボディ領域(ウェル領域)4が互いに離間して形成されている。p型ボディ領域4のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.5〜2.0μm程度であり、その不純物濃度は、例えば1×1016〜1×1019cm−3程度である。
p型ボディ領域4内には、n型エピタキシャル層2の表面から所定の深さを有して、n型ソース領域5(図1および図2では、網掛けのハッチングで示す領域)が形成されている。n型ソース領域5は、p型ボディ領域4の端部側面と離間してp型ボディ領域4内に形成されており、n型ソース領域5のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.1〜0.5μm程度であり、その不純物濃度は、例えば1×1020cm−3程度である。
また、p型ボディ領域4の電位を固定するp型電位固定領域6が形成されている。p型電位固定領域6のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.1〜0.5μm程度であり、その不純物濃度は、例えば1×1020cm−3程度である。
互いに隣り合うp型ボディ領域4に挟まれた領域は、JFET(Junction Field Effect Transistor)領域(ドーピング領域)7として機能する部位である。JFET領域7の不純物濃度は、例えば3×1016cm−3程度であり、n型エピタキシャル層2の不純物濃度よりも高く設定されている。また、p型ボディ領域4の端部側面(JFET領域7とp型ボディ領域4との界面)とn型ソース領域5の端部側面(p型ボディ領域4とn型ソース領域5との界面)との間に位置するp型ボディ領域4がチャネル領域8として機能する部位である。
型エピタキシャル層2のうち、p型ボディ領域4およびJFET領域7が形成されていない領域が、耐圧を確保する役目を担うドリフト層として機能する領域である。
なお、「」および「」は、導電型がn型またはp型の相対的な不純物濃度を表記した符号であり、例えば「n」、「n」、「n」の順にn型不純物の不純物濃度は高くなり、「p」、「p」、「p」の順にp型不純物の不純物濃度は高くなる。
チャネル領域8上にはゲート絶縁膜10が形成されている。ゲート絶縁膜10は、下層の絶縁膜と上層の絶縁膜とから構成される。例えば下層の絶縁膜を第1酸化珪素(SiO)膜(以下、第1SiO膜と記す)10A、上層の絶縁膜を第2酸化珪素(SiO)膜(以下、第2SiO膜と記す)10Bとすることができるが、互いの比誘電率または密度は異なる。第1SiO膜10Aの厚さは、例えば1.5nm程度であり、第2SiO膜10Bの厚さは、例えば50〜100nm程度である。
さらに、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との間には、珪素(Si)原子層(以下、Si原子層と記す)9Aが形成されている。Si原子層9Aは、珪素(Si)原子が均一に形成された原子層(Atomic Layer)であることが好ましいが、珪素(Si)原子が島状に形成されていてもよい。なお、Si原子層9Aおよびゲート絶縁膜10の構造については、後に図4を用いて詳細に説明する。
ゲート絶縁膜10上にはゲート電極11が形成されている。ゲート電極11は、平面視において格子状に形成されており、p型のボディ領域4を囲むように形成されている。
これらゲート絶縁膜10およびゲート電極11は層間絶縁膜12により覆われている。層間絶縁膜12に形成された開口部13の底面にはn型ソース領域5の一部およびp型電位固定領域6が露出し、これら表面に金属シリサイド層14が形成されている。
さらに、n型ソース領域5の一部およびp型電位固定領域6は、金属シリサイド層14を介してソース配線用電極15と電気的に接続され、SiC基板1の裏面(第2主面)は、金属シリサイド層16を介してドレイン配線用電極17に電気的に接続されている。図示は省略するが、同様に、ゲート電極11は、ゲート配線用電極に電気的に接続されている。ソース配線用電極15には外部からソース電位が印加され、ドレイン配線用電極17には外部からドレイン電位が印加され、ゲート配線用電極には外部からゲート電位が印加される。
本実施例1では、ゲート絶縁膜10の上層を、酸化珪素(SiO)膜(第2SiO膜10B)で構成したが、これに限定されるものではない。ゲート絶縁膜10の上層は、酸化珪素(SiO)膜の比誘電率よりも高い比誘電率を有する絶縁膜、例えば酸窒化珪素(SiNO)、または酸化ハフニウム(HfO)系材料などの高誘電率絶縁膜(High−k絶縁膜)で構成することが望ましい。ゲート絶縁膜10の上層を、例えば酸化ハフニウム(HfO)系材料などの高誘電率絶縁膜で構成する場合は、ゲート電極11は、例えば窒化チタン(TiN)などの金属膜で構成する。この場合は、例えばSiCからなるn型エピタキシャル層2の表面上に、Si原子層9A、ゲート絶縁膜(第1SiO膜10Aおよび高誘電率絶縁膜)およびメタルゲートが形成される。
また、素子形成領域におけるSiCパワーMISFETのレイアウトは、図1および図2に示したものに限定されるものではない。例えば複数のp型ボディ領域4が、第1方向Xに互いに離間して、第2方向Yに沿って延在し、複数のゲート電極11が、互いに隣り合うp型ボディ領域4の間に、第1方向Yに沿って延在して配置されたレイアウトであってもよい。
次に、本実施例1によるSiCパワーMISFETの特徴について、図4を用いて説明する。図4は、本実施例1によるSiCからなるn型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との界面を拡大して示す模式図である。
本実施例1によるSiCパワーMISFETでは、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との間に、Si原子層9Aが形成されていることを特徴とする。
図4に示すように、n型エピタキシャル層2と第1SiO膜10Aとの間には、Si原子層9Aが形成されている。Si原子層9Aは、1層の原子層(Atomic Layer)からなり、その厚さは、0.5nm程度である。
Si原子層9Aの珪素(Si)は、n型エピタキシャル層2の珪素(Si)と結合して、Si−Siボンドを形成する。このSi原子層9Aは、熱により生じる歪を緩和して、n型エピタキシャル層2の炭素(C)の動きを抑えるバッファ層としての機能を有する。
さらに、Si原子層9A上に、第1SiO膜10Aの一部を構成するSi原子層9Bが形成されている。このSi原子層9Bの珪素(Si)は、酸素(O)と反応して酸化珪素(SiO)、すなわち第1SiO膜10Aの一部を形成する。Si原子層9Bは、1層の原子層(Atomic Layer)からなり、その厚さは、0.5nm程度である。
一般に、ゲート絶縁膜10を構成する酸化珪素(SiO)膜は熱CVD法により形成される。しかし、Si原子層9A上に熱CVD法により酸化珪素(SiO)膜を直接形成すると、Si原子層9Aの珪素(Si)のダングリングボンドに酸素(O)が良好に結合せず、Si原子層9AのSi−Oボンドが不安定となり、n型エピタキシャル層2の炭素(C)の動きを抑えられなくなる場合がある。
そこで、Si原子層9A上にさらにSi原子層9Bを形成し、このSi原子層9Bの珪素(Si)に熱酸化法により酸素(O)を結合させて、第1SiO膜10Aを形成する。これにより、n型エピタキシャル層2とSi原子層9Aとの間のSi−Siボンドが安定するので、n型エピタキシャル層2の炭素(C)の動きを抑えることができる。その後、Si原子層9A上に第1SiO膜10Aを介して厚い酸化珪素(SiO)膜(例えば図3に示した第2SiO膜10B)を形成するので、n型エピタキシャル層2とSi原子層9Aとの間のSi−Siボンドが不安定となることはない。なお、Si原子層9Bの珪素(Si)は、酸素(O)と結合してSi−Oボンドを形成するので、Si原子層9Bは第1SiO膜10Aの一部を構成する原子層と言うことができる。
このように、n型エピタキシャル層2上にSi原子層9AとSi原子層9Bとが形成されるが、これらは互いに異なる機能を有している。
特に、Si原子層9Aの珪素(Si)をn型エピタキシャル層2の珪素(Si)と結合させることにより、n型エピタキシャル層2の表層部にC−CボンドやSi−Siボンドが形成されないようにすることができる。よって、Si原子層9Aは、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との界面におけるクァンタム・ラフネスの発生が抑制できるという効果を有する。この結果、SiCパワーMISFETでは、クァンタム・ラフネスに起因したチャネル移動度の劣化、サブスレッショルド特性の劣化およびしきい値電圧の変動などの問題を回避することができて、安定した動作特性を得ることができる。
さらに、本実施例1によるゲート絶縁膜10は、熱酸化法により形成された良質な第1SiO膜10Aと、その上に熱CVD法により形成された第2SiO膜10Bとから構成されているので、熱CVD法で形成された酸化珪素(SiO)膜のみからなるゲート絶縁膜と比べて耐圧が向上する。よって、SiCパワーMISFETの耐圧の向上を図ることができる。
≪SiCパワーMISFETの製造方法≫
本実施例1によるSiCパワーMISFETの製造方法について図5〜図10を用いて工程順に説明する。図5〜図10は、実施例1によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。
まず、図5に示すように、n型SiC基板1を用意する。n型SiC基板1には、n型不純物が導入されている。このn型不純物は、例えば窒素(N)であり、このn型不純物の不純物濃度は、例えば1×1018〜1×1021cm−3程度である。また、n型SiC基板1はSi面とC面との両面を有するが、n型SiC基板1の表面はSi面またはC面のどちらでもよい。n型SiC基板1はドレイン層として機能する領域である。
次に、n型SiC基板1の表面にエピタキシャル成長法によりSiCのn型エピタキシャル層2を形成する。n型エピタキシャル層2には、n型SiC基板1の不純物濃度よりも低いn型不純物が導入されている。n型エピタキシャル層2の不純物濃度はSiCパワーMISFETの素子定格に依存するが、例えば1×1014〜1×1017cm−3程度である。また、n型エピタキシャル層2の厚さは、例えば5.0〜20.0μmである。以上の工程により、n型SiC基板1およびn型エピタキシャル層2からなるSiCエピタキシャル基板3が形成される。
次に、n型エピタキシャル層2にn型不純物、例えば窒素(N)原子をイオン注入して、n型エピタキシャル層2にJFET領域7を形成する。JFET領域7の不純物濃度は、例えば3×1016cm−3程度である。
次に、n型エピタキシャル層2にp型不純物、例えばアルミニウム(Al)原子を最大エネルギー500keVでイオン注入する。これにより、n型エピタキシャル層2の素子形成領域にp型ボディ領域4を形成し、図示は省略するが、周辺形成領域にフローティング・フィールド・リミッティング・リング(Field Limiting Ring:FLR)構造を形成する。
p型ボディ領域4のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.5〜2.0μm程度である。また、p型ボディ領域4の不純物濃度は、例えば1×1016〜1×1019cm−3程度である。周辺形成領域の終端部には、FLR構造を形成したが、これに限定されるものではない。終端部の構造としては、例えばジャンクション・ターミネーション・エクステンション(Junction Termination Extension:JTE)構造であってもよい。
次に、n型エピタキシャル層2にn型不純物、例えば窒素(N)原子を最大エネルギー120keVでイオン注入して、p型ボディ領域4内に、p型ボディ領域4の端部側面から離間してn型ソース領域5を形成する。n型ソース領域5のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.1〜0.5μm程度である。また、n型ソース領域5の不純物濃度は、例えば1×1020cm−3程度である。
次に、n型エピタキシャル層2にp型不純物、例えばアルミニウム(Al)原子を最大エネルギー150keVでイオン注入して、p型ボディ領域4の電位を固定する領域にp型電位固定領域6を形成する。p型電位固定領域6のn型エピタキシャル層2の表面からの深さは、例えば0.1〜0.5μm程度である。また、p型電位固定領域6の不純物濃度は、例えば1×1020cm−3程度である。
次に、図示は省略するが、SiCエピタキシャル基板3の表面上および裏面上に、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により炭素(C)膜を堆積する。炭素(C)膜の厚さは、例えば0.03μm程度である。この炭素(C)膜により、SiCエピタキシャル基板3の表面および裏面を被覆した後、SiCエピタキシャル基板3に1,700℃程度の温度で2〜3分程度の熱処理を施す。これにより、SiCエピタキシャル基板3にイオン注入した各不純物の活性化を行う。熱処理後は、炭素(C)膜を、例えば酸素プラズマ処理により除去する。
次に、図6に示すように、n型エピタキシャル層2の表面上に、エピタキシャル成長法によりSi原子層9A,9Bを形成する。2層のSi原子層9A,9Bの合計の厚さは、例えば1.0nm程度である。Si原子層9A,9Bは、例えばシラン(SiH)および窒素(N)の混合ガスを用いて、1,050〜1,250度の温度により、珪素(Si)をエピタキシャル成長させることにより形成することができる。Si原子層9A,9Bは、均一に形成してもよく、または島状に形成してもよい。
次に、図7に示すように、熱酸化法により、Si原子層9Bの珪素(Si)のダングリングボンドに酸素(O)を結合させて、Si原子層9A上に、第1SiO膜10Aを形成する。第1SiO膜10Aの厚さは、例えば1.5nm以下である。
次に、図8に示すように、第1SiO膜10A上に、熱CVD法により第2SiO膜10Bを形成して、第1SiO膜10Aと第2SiO膜10Bとからなるゲート絶縁膜10を形成する。第2SiO膜10Bの厚さは、例えば50nm程度である。第1SiO膜10Aと第2SiO膜10Bとは互いの比誘電率または密度が異なる。ここで、さらに、酸化窒素(NOまたはNO)雰囲気で熱処理することにより、第2SiO膜10Bを酸窒化珪素(SiNO)膜に変えて、第1SiO膜10Aと酸窒化珪素(SiNO)膜とからなるゲート絶縁膜10を形成してもよい。
次に、図9に示すように、ゲート絶縁膜10上に、多結晶珪素(Si)膜を形成し、この多結晶珪素(Si)膜をドライエッチング法により加工して、ゲート電極11を形成する。ゲート電極11の厚さは、例えば0.2〜0.5μm程度である。
次に、図10に示すように、n型エピタキシャル層2の表面上にゲート電極11およびゲート絶縁膜10を覆うように、例えばプラズマCVD法により層間絶縁膜12を形成する。その後、層間絶縁膜12およびゲート絶縁膜10をドライエッチング法により加工して、n型ソース領域5の一部およびp型電位固定領域6に達する開口部13を形成する。
次に、前記図3に示したように、開口部13の底面に露出しているn型ソース領域5の一部およびp型電位固定領域6のそれぞれの表面に金属シリサイド層14、例えばニッケルシリサイド(NiSi)層を形成する。さらに、n型SiC基板1の裏面に金属シリサイド層16、例えばニッケルシリサイド(NiSi)層を形成する。
次に、金属シリサイド層16を覆うように、ドレイン配線用電極17を形成する。ドレイン配線用電極17の厚さは、例えば0.4μm程度である。
次に、層間絶縁膜12をドライエッチング法により加工して、ゲート電極11に達する開口部(図示は省略)を形成する。
次に、n型ソース領域5の一部およびp型電位固定領域6のそれぞれの表面に形成された金属シリサイド膜14に達する開口部13、並びにゲート電極11に達する開口部(図示は省略)の内部を含む層間絶縁膜12上に金属膜、例えばチタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜とアルミニウム(Al)膜とからなる積層膜を堆積する。アルミニウム(Al)膜の厚さは、例えば2.0μm以上が好ましい。続いて、積層膜を加工することにより、金属シリサイド層14を介してn型ソース領域5の一部と電気的に接続するソース配線用電極15およびゲート電極11と電気的に接続するゲート配線用電極(図示は省略)を形成する。その後、ソース配線用電極15およびゲート配線用電極(図示は省略)にそれぞれ外部配線が電気的に接続される。
≪電力変改装置≫
本実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチング素子とした電力変換装置(インバータ)について図11および図12を用いて説明する。図11は、本実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチ素子として用いた電力変換装置(インバータ)の第1例を示す等価回路図である。図12は、本実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチ素子として用いた電力変換装置(インバータ)の第2例を示す等価回路図である。
図11に示すように、本実施例1によるインバータは、制御回路21と、パワーモジュール22とを有する。制御回路21とパワーモジュール22とは、端子23および端子24で接続されている。パワーモジュール22は、電源電位(Vcc)とは端子25を介して、接地電位(GND)とは端子26を介して接続されている。パワーモジュールの出力は、端子27,28,29を介して3相モータ30に接続されている。
パワーモジュール22には、スイッチング素子として、本実施例1によるSiCパワーMISFET31が搭載されている。また、各SiCパワーMISFET31には、外付けの還流ダイオード32が接続されている。還流ダイオード32は、逆方向に電圧を印加した時に、金属と半導体との界面(ショットキー界面)にかかる電界を緩和して、逆方向動作時の漏れ電流を抑制するために設けられている。図11中、符号33で示すダイオードは、SiCパワーMISFETに形成されたp型電位固定領域6とn型SiC基板1とからなるボディダイオードである(図3等参照)。
各単相において、電源電位(Vcc)と3相モータ30の入力電位との間にSiCパワーMISFET31と還流ダイオード32とが逆並列に接続されており、3相モータ30の入力電位と接地電位(GND)との間にもSiCパワーMISFET31と還流ダイオード32とが逆並列に接続されている。つまり、3相モータ30の各単相に2つのSiCパワーMISFET31と2つの還流ダイオード32が設けられており、3相で6つのSiCパワーMISFET31と6つの還流ダイオード32が設けられている。そして、個々のSiCパワーMISFET31のゲート電極には制御回路21が接続されており、この制御回路21によってSiCパワーMISFET31が制御される。従って、制御回路21でパワーモジュール22のSiCパワーMISFET31に流れる電流を制御することにより、3相モータ30を駆動することができる。
本実施例1によるSiCパワーMISFET31では、前述したように、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との界面におけるクァンタム・ラフネスの発生を抑制することにより、安定した動作特性が得られ、耐圧の向上も図ることができる。従って、本実施例1によるSiCパワーMISFET31をパワーモジュール22に適用することにより、高性能・高信頼なパワーモジュール22を実現することができる。
さらに、図12に示すように、本実施例1によるSiCパワーMISFET31をパワーモジュール22用いた場合は、外付けの還流ダイオード32を接続せずに、ボディダイオード33のみを還流ダイオードとして機能させることもできる。
これにより、還流ダイオード32を用いることなく、高信頼なパワーモジュール22を実現することができる。
図13は、本実施例1によるSiCパワーMISFETをスイッチング素子として用いた電力変換装置(コンバータおよびインバータ)を鉄道用モータ駆動に適用した一例を示す等価回路図である。
鉄道においては、架線41から直流電流を取り入れ、コンバータ42で電圧を変換した後、インバータ43でモータなどの3相出力を用いる負荷を駆動する。インバータのみでなく、コンバータにおいても、本実施例1によるSiCパワーMISFET31を適用することができるので、高性能・高信頼な電力変換装置を有する鉄道車両を実現することができる。
図14は、本実施例1による3相モータ駆動に使用する電力変換装置に搭載されるSiCパワーMISFETを駆動する際に、SiCパワーMISFETのゲートに印加される電圧波形図である。
鉄道用の3相モータ駆動回路では、信号ノイズなどによる誤動作、所謂「誤点弧」と呼ばれる現象を避けるため、Si基板を用いたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)では、ゲートオフ時の電圧を負側に設定する方法が採用されている。
本実施例1によるSiCパワーMISFETでは、良質のゲート絶縁膜が形成されているので、ゲートオフ時の電圧が負側に設定されてもゲート絶縁膜の劣化を抑制することができる。従って、本実施例1によるSiCパワーMISFETにおいても、図14に示すように、ゲートオフ時の電圧を負側に設定する方法を採用することができるので、3相モータ駆動回路における誤点弧を避けることができる。また、Si基板を用いる3相モータ駆動回路をそのまま用いることができる。
このように、本実施例1によれば、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との界面におけるクァンタム・ラフネスの発生を抑制することができるので、SiCパワーMISFETにおいて、チャネル移動度の劣化、サブスレッショルド特性の劣化およびしきい値電圧の変動などのない、安定した動作特性を得ることができる。
さらに、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との界面に良質な第1SiO膜10Aが形成できるので、ゲート絶縁膜10の耐圧が向上してSiCパワーMISFETの耐圧の向上を図ることができる。
本実施例2では、トレンチ型のSiCパワーMISFETについて説明する。
≪SiCパワーMISFETの構造≫
本実施例2によるトレンチ型のSiCパワーMISFETの構造について図15を用いて説明する。図15は、本実施例2によるSiCパワーMISFETの基本セルを示す要部断面図である。
図15に示すように、トレンチ構造を採用したことで、ゲート絶縁膜10はSiCからなるn型エピタキシャル層2に垂直に設けられたトレンチ18の側面および底面に形成される。
しかし、前述の実施例1と同様に、n型エピタキシャル層2とゲート絶縁膜10との間にはSi原子層9Aが形成されている。Si原子層9Aは、n型エピタキシャル層2の珪素(Si)と結合してSi−Siボンドを形成し、熱により生じる歪を緩和して、n型エピタキシャル層2の炭素(C)の動きを抑えるバッファ層としての機能を有する。さらに、Si原子層9A上に、Si原子層(図示は省略)が形成されている。Si原子層9A上のSi原子層は、酸素(O)と結合してSi−Oボンドを形成し、良質な第1SiO膜10Aを提供することができる。
これにより、トレンチ型のSiCパワーMISFETにおいても、前述の実施例1において説明したプレーナ型のSiCパワーMISFETとほぼ同様の効果を得ることができる。
≪SiCパワーMISFETの製造方法≫
本実施例2によるSiCパワーMISFETの製造方法について図16〜図18を用いて工程順に説明する。図16〜図18は、本実施例2によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。
まず、図16に示すように、前述の実施例1と同様にして、n型SiC基板1の表面にSiCのn型エピタキシャル層2を形成して、n型SiC基板1およびn型エピタキシャル層2からなるSiCエピタキシャル基板3を形成する。
次に、n型エピタキシャル層2にp型ボディ領域4を形成し、p型ボディ領域4内にn型ソース領域5およびp型電位固定領域6を形成する。
次に、n型ソース領域5およびp型ボディ領域4を貫通するトレンチ18を形成する。トレンチ18の深さは、p型ボディ領域4の深さに依存するが、p型ボディ領域4のn型エピタキシャル層2の表面からの深さよりも深くする必要がある。これにより、トレンチ18の側面に、p型ボディ領域4の端部が位置することになる。
次に、n型エピタキシャル層2にn型不純物を斜めイオン注入して、トレンチ18の側面のp型ボディ領域4が形成されたn型エピタキシャル層2にチャネル領域8aを形成する。n型不純物としては、窒素(N)原子またはリン(P)原子を例示することができる。注入角度はn型SiC基板1の法線から10〜45度程度傾いた角度が望ましい。チャネル領域8aのトレンチ18の側面からの深さは、例えば0.05〜0.2μm程度である。チャネル領域8aの不純物濃度は、例えば1×1016〜1×1019cm−3程度である。
次に、前述した実施例1と同様にして、トレンチ18の側面および底面を含むn型エピタキシャル層2の表面上にエピタキシャル成長法によりSi原子層9A,9Bを形成する。
次に、図17に示すように、前述した実施例1と同様にして、熱酸化法により、Si原子層9Bの珪素(Si)のダングリングボンドに酸素(O)を結合させて、Si原子層9A上に、第1SiO膜10Aを形成する。さらに、第1SiO膜10A上に、熱CVD法により第2SiO膜10Bを形成して、第1SiO膜10Aと第2SiO膜10Bとからなるゲート絶縁膜10を形成する。
次に、図18に示すように、前述した実施例1と同様にして、n型SiC基板1の表面側に、ゲート電極11、層間絶縁膜12および開口部13を形成する。
次に、前記図15に示したように、n型SiC基板1の表面側に、金属シリサイド層14を形成し、さらにソース配線用電極15およびゲート配線用電極(図示は省略)を形成する。また、n型SiC基板1の裏面側に、金属シリサイド層16を形成し、さらにドレイン配線用電極17を形成する。ここで、代表的なトレンチ型のSiCパワーMISFETを用いて説明したことから明らかなように、本発明は、トレンチの側面をチャネルとするMISFETであれば、いずれの構造であっても適用することができる。
本実施例3では、前述の実施例1によるプレーナ型のSiCパワーMISFETよりもさらに、チャネル抵抗が低く、かつ、耐圧歩留りの低下を抑制することのできるプレーナ型のSiCパワーMISFETについて説明する。
≪SiCパワーMISFETの構造≫
本実施例3によるプレーナ型のSiCパワーMISFETの構造について図19〜図22を用いて説明する。図19は、本実施例3によるSiCパワーMISFETを搭載する半導体チップの要部上面図である。図20は、本実施例3によるSiCパワーMISFETを搭載する複数の半導体チップが形成された半導体ウエハの要部上面図である。図21は、図19のA−A線に沿った要部断面図である。図22は、本実施例3によるSiCパワーMISFETの基本セル領域(4つの基本セル)を示す要部平面図(図19のB領域を拡大した平面図)である。なお、半導体チップ上には複数の基本セルが形成されているが、図19では、基本セルの構造を明示するため、4つの基本セルのみを記載している。また、図20では、各半導体チップに形成されたゲート配線用電極およびチャネル領域の概略のみを記載している。
図19に示すように、半導体チップ51は、SiCパワーMISFETの複数の基本セルが並列接続されたトランジスタ領域(SiCパワーMISFET形成領域)52と、平面視において上記トランジスタ領域52を囲む周辺形成領域(図示は省略)とによって構成される。周辺形成領域には、例えば平面視において上記トランジスタ領域52を囲むように形成された複数のp型FLRと、さらに平面視において上記複数のp型FLRを囲むように形成されたn型ガードリングが形成されている。
トランジスタ領域52内に形成された複数の基本セルのそれぞれのゲート電極11は、平面視においてストライプパターン(細長い矩形)となっており、それぞれのストライプパターンに接続する引出配線(ゲートバスライン)によって、全てのゲート電極11はゲート配線用電極(ゲートパッド)53と電気的に接続している。また、トランジスタ領域52内に形成された複数の基本セルのそれぞれのチャネル領域(図19中、網掛けのハッチングで示す領域)8bも、平面視においてストライプパターンとなっており、ゲート電極11と平行して配置されている。
複数の基本セルのそれぞれのソース領域(図示は省略)は、複数の基本セルを覆う層間絶縁膜(図示は省略)に形成された開口部(図示は省略)を通じてソース配線用電極(ソースパッド)55と電気的に接続している。ゲート配線用電極53とソース配線用電極55とは互いに離間して形成されており、ソース配線用電極55は、ゲート配線用電極53が形成された領域を除いて、トランジスタ領域52のほぼ全面に形成されている。
図20に示すように、SiCパワーMISFETが搭載された半導体チップ51は、半導体ウエハSWのオリエンテーションフラット(以下、オリフラと言う)OFと平行する方向と、オリフラOFと直交する方向にそれぞれ繰り返して配置されている。また、SiCパワーMISFETの複数のチャネル領域8bは、それぞれオリフラOFと平行に配置されている。
図21に、図19に示すA−A線に沿った要部断面図、図22に、図19に示す基本セル領域Bの要部平面図を示す。
図21および図22に示すように、前述の実施例1によるSiCパワーMISFETと相違する点は、チャネル用不純物領域54とn型ソース領域57とを同一のマスクパターンを用いて形成することにより、自己整合的にチャネル領域(図22中、網掛けのハッチングで示す領域)8bを形成して、チャネル長のばらつきを抑制していることである。さらに、p型耐圧保護領域56をチャネル用不純物領域54の下部を覆うように形成することにより、チャネル用不純物領域54にp型不純物がイオン注入されない領域が生じても、耐圧歩留りの低下を防止できることである。チャネル領域8bの形成方法については、後述するSiCパワーMISFETの製造方法において詳細に説明する。
型ソース領域57およびp型電位固定領域6に達する開口部13が形成され、半導体ウエハのオリフラと直交する方向の開口部13の両側にチャネル領域8bが形成されている。さらに、開口部13と離間して、チャネル領域8bを覆うようにゲート電極11が形成されている。
≪SiCパワーMISFETの製造方法≫
本実施例4によるSiCパワーMISFETの製造方法について図23〜図25を用いて工程順に説明する。図23および図24は、本実施例3によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部断面図である。図25は、本実施例3によるSiCパワーMISFETの製造工程の一例を示す要部平面図である。
まず、図23に示すように、前述の実施例1と同様にして、n型SiC基板1の表面にSiCのn型エピタキシャル層2を形成し、n型SiC基板1およびn型エピタキシャル層2からなるSiCエピタキシャル基板3を形成する。
次に、n型エピタキシャル層2の表面上にマスクパターンRP1を形成し、このマスクパターンRP1を介してn型エピタキシャル層2にp型不純物、例えばアルミニウム(Al)原子をイオン注入する。これにより、p型耐圧保護領域56を形成する。p型耐圧保護領域56は、後の工程で形成されるn型ソース領域57およびp型電位固定領域6の下部に位置する。
また、ここでは、p型耐圧保護領域56をn型エピタキシャル層2内に埋め込むように配置した図を示したが、n型エピタキシャル層2の表面に、つながるように配置することもできる。表面付近のp型不純物濃度を、後で形成するチャネル用不純物領域54のp型不純物濃度に比べて十分低くすることで、チャネル特性に実効的には影響しないようにすることができる。n型領域がp型領域で囲まれているため、耐圧不良を起こさないようにすることができる。
次に、図24および図25に示すように、n型エピタキシャル層2にp型不純物、例えばアルミニウム(Al)原子をイオン注入して、p型電位固定領域6を形成する。
次に、n型エピタキシャル層2の表面上にマスクパターンRP2を形成し、このマスクパターンRP2を介してn型エピタキシャル層2にp型不純物、例えばアルミニウム(Al)原子をイオン注入する。これにより、チャネル用不純物領域54を形成する。この際、SiCエピタキシャル基板3の法線からオリフラ側に所定の注入角度θ1で傾いたイオン注入と、オリフラと反対側に所定の注入角度θ2で傾いたイオン注入との多重打込みをする。
続いて、上記マスクパターンRP2を介してn型エピタキシャル層2にn型不純物、例えば窒素(N)原子をイオン注入する。これにより、n型ソース領域57を形成する。これらイオン注入により、自己整合的にチャネル領域8bを形成する。
また、n型ソース領域57は、その下部がp型耐圧保護領域56によって覆われるように形成される。n型ソース領域57の端部側面とp型耐圧保護領域56の端部側面との距離(図24および図25に示す距離D)は、例えばチャネル長が0.5μmの場合、0.2μm程度とすることができる。
昇華法では、オリフラと平行する方向(図20に示すX3方向)に結晶をステップ成長させることにより、SiCウエハは形成される。そのため、オリフラと平行する方向(X3方向)では、結晶構造は非対称となる。一方、オリフラと直交する方向(図20に示すX1方向およびX2方向)では、結晶構造は対称となるのて、対称性をもってイオン注入された不純物からなる領域を活性化させても、その不純物濃度分布の対称性は維持される。
従って、チャネル領域8bは、チャネル用不純物領域54とn型ソース領域57とから自己整合的に形成できることから、チャネル長のばらつきを抑えることができる。また、チャネル長がばらつくと、局所的にチャネル長が短くなるので、これを避けるため、チャネル長を長く設定する必要があるが、チャネル長のばらつきを抑えることができるので、チャネル長を短く設定することができる。これにより、チャネル抵抗を低くして、SiCパワーMISFETの高性能化を図ることができる。
さらに、n型ソース領域57は、その下部がp型耐圧保護領域56に覆われているので、例えばイオン注入の際に、パーティクルなどが付着することにより、チャネル用不純物領域54の一部が形成されない場合であっても、SiCパワーMISFETの耐圧歩留りの低下を抑制することができる。
次に、前述した実施例1と同様にして、n型SiC基板1の表面側に、ゲート絶縁膜10、ゲート電極11、層間絶縁膜12および開口部13を形成する。
次に、前記図21に示したように、n型SiC基板1の表面側に、金属シリサイド層14を形成し、さらにソース配線用電極55およびゲート配線用電極(図示は省略)を形成する。また、n型SiC基板1の裏面側に、金属シリサイド層16を形成し、さらにドレイン配線用電極17を形成する。
このように、本実施例3によれば、前述の実施例1に示したプレーナ型のSiCパワーMISFETよりもさらに、チャネル抵抗が低く、かつ、耐圧歩留りの低下を抑制することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば前記実施の形態では、本発明をMISFETに適用したが、他のパワー半導体、例えばIGBTなどにも適用することができる。
1 n型SiC基板
2 n型エピタキシャル層
3 SiCエピタキシャル基板
4 p型ボディ領域(ウエル領域)
5 n型ソース領域
6 p型電位固定領域
7 JFET領域(ドーピング領域)
8,8a,8b チャネル領域
9A,9B 珪素原子層(Si原子層)
10 ゲート絶縁膜
10A 第1酸化珪素膜(第1SiO膜)
10B 第2酸化珪素膜(第2SiO膜)
11 ゲート電極
12 層間絶縁膜
13 開口部
14 金属シリサイド層
15 ソース配線用電極
16 金属シリサイド層
17 ドレイン配線用電極
18 トレンチ
21 制御回路
22 パワーモジュール
23,24,25,26,27,28,29 端子
30 3相モータ
31 SiCパワーMISFET
32 還流ダイオード
33 ボディダイオード
41 架線
42 コンバータ
43 インバータ
51 半導体チップ
52 トランジスタ領域(SiCパワーMISFET形成領域)
53 ゲート配線用電極(ゲートパッド)
54 チャネル用不純物領域
55 ソース配線用電極(ソースパッド)
56 p型耐圧保護領域
57 n型ソース領域
RP1,RP2 マスクパターン
SW 半導体ウエハ
OF オリエンテーションフラット(オリフラ)

Claims (7)

  1. 第1主面および前記第1主面と反対面の第2主面を有し、SiCからなる第1導電型の基板と、
    前記基板の前記第1主面上に形成されたSiCからなる前記第1導電型のエピタキシャル層と、
    前記エピタキシャル層上に形成されたSi原子層と、
    前記Si原子層上に形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
    を有し、
    前記ゲート絶縁膜は、
    前記Si原子層上に形成され、第1比誘電率を有する第1絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1比誘電率とは互いに異なる第2比誘電率を有する第2絶縁膜と、
    を含み、
    前記Si原子層は、1原子層である、半導体装置。
  2. 第1主面および前記第1主面と反対面の第2主面を有し、SiCからなる第1導電型の基板と、
    前記基板の前記第1主面上に形成されたSiCからなる前記第1導電型のエピタキシャル層と、
    前記エピタキシャル層上に形成されたSi原子層と、
    前記Si原子層上に形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
    を有し、
    前記ゲート絶縁膜は、
    前記Si原子層上に形成され、第1比誘電率を有する第1絶縁膜と、
    前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1比誘電率とは互いに異なる第2比誘電率を有する第2絶縁膜と、
    を含み、
    前記エピタキシャル層の表面から前記エピタキシャル層内に形成された前記第1導電型とは異なる第2導電型の複数のボディ領域と、
    前記ボディ領域の端部側面と離間して、前記エピタキシャル層の表面から前記ボディ領域内に形成された前記第1導電型のソース領域と、
    前記ボディ領域の端部側面と前記ソース領域の端部側面との間の前記エピタキシャル層の表層部に形成されたチャネル領域と、
    をさらに有し、
    前記チャネル領域上に前記Si原子層が形成されている、半導体装置。
  3. 請求項1又は2記載の半導体装置において、
    前記第1絶縁膜の厚さは、前記第2絶縁膜の厚さよりも薄い、半導体装置。
  4. 請求項1又は2記載の半導体装置において、
    前記第1絶縁膜は、SiO膜であり、
    前記第1絶縁膜の厚さは、1.5nm以下である、半導体装置。
  5. 請求項1又は2記載の半導体装置において、
    前記第1絶縁膜は、熱酸化法により形成されたSiO膜である、半導体装置。
  6. 請求項1又は2記載の半導体装置において、
    前記エピタキシャル層の表層部には、C−CボンドおよびSi−Siボンドがない、半導体装置。
  7. 請求項1又は2記載の半導体装置を備える、電力変換装置。
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