JP6270363B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
インクを被記録媒体に吐出して記録を行う方法として、インクジェット記録方式が挙げられる。インクジェット記録ヘッドを作製する方法としては、例えば、流路壁を形成してからオリフィスプレートを貼り合わせる手法が挙げられ、特許文献1や特許文献2にその方法が記載されている。
特許文献1に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、まず、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子としての電気熱変換素子を含む基板上に、ネガ型の第1感光性樹脂層を形成し、インク流路となるパターン露光を行う。次いで、オリフィスプレートとなる第2感光性樹脂層を第1感光性樹脂層上に形成する。第1感光性樹脂層と異なる感度を持つ第2感光性樹脂層にインク吐出口となるパターン露光を行う。その後、第1と第2の感光性樹脂層の潜像部を除去することでインクジェット記録ヘッドを作製する。
また、特許文献2に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、まず、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子としての電気熱変換素子を含む基板上に、インク流路を形成する。次いで、オリフィスプレートとなるネガ型の感光性樹脂をインク流路上に転写する。その後、インク吐出口となるパターン露光を行い、除去することでインクジェット記録ヘッドを作製する。
特開平4−216952号公報 特開2007−230234号公報
特許文献1や特許文献2に記載の方法では、オリフィスプレートとなる、フィルムの支持体上に形成された感光性樹脂を基板上に転写する場合に、基板の表面とフィルムの支持体が直接触れ合うことになる。そのため、フィルムの支持体に形成されていた微小な凹凸が、転写時に転写跡としてフェイス面に残ったり、フィルムの支持体を剥離する際にフェイス面に傷をつけてしまったりする場合がある。近年、ノズルの高密度化と高精度化に伴って、微少な転写跡に溜まるインクにより吐出精度が落ちてしまう懸念があった。そのため、フィルムの支持体の微小な凹凸がない、平坦性の優れた高価なフィルムを選択する必要性があった。
そこで、本発明の目的は、フィルムを用いて吐出口形成部材を形成する液体吐出ヘッドの製造方法であって、フィルムの支持体に存在する微小な凹凸の影響を低減又は緩和できる液体吐出ヘッドの製造方法を提供することである。
即ち、本発明は、
液体を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材と、該吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を第一の面側に有する基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
(1)支持体と、樹脂を含む第一の層と、第二の層と、をこの順に有するフィルムを用意する工程と、
(2)前記フィルムを、前記第二の層が前記第一の面と対向するように配置し、該フィルムから前記支持体を剥離する工程と、
(3)前記第二の層に前記吐出口を形成する工程と、
(4)前記樹脂を溶解して前記第一の層の少なくとも一部を前記第二の層上から除去する工程と、
を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
また、本発明は、
液体を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材と、該吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を第一の面側に有する基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
(1)支持体と、第一の層と、第二の層と、をこの順に有するフィルムを用意する工程と、
(2)前記フィルムを、前記第二の層が前記第一の面と対向するように配置し、該フィルムから前記支持体を剥離する工程と、
(3)前記第二の層に前記吐出口もしくは吐出口パターンを形成する工程と、
(4)前記第一の層の少なくとも一部を前記第二の層上から除去する工程と、
をこの順で有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、フィルムを用いて吐出口形成部材を形成する液体吐出ヘッドの製造方法であって、フィルムの支持体に存在する微小な凹凸の影響を低減又は緩和できる液体吐出ヘッドの製造方法を提供することができる。
より好ましくは、本発明よれば、フィルムの支持体上に形成された溶解可能な樹脂層が支持体に存在する微小な凹凸を低減又は緩和することができる。そのため、感光性樹脂層を基板上に転写する場合にフェイス面にダメージを与えずに液体吐出ヘッドを製造できる。
本実施形態の製造方法に用いるフィルムを製造する工程例を説明するための概略工程図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための概略工程図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための概略工程図である。 液体吐出ヘッドの構成例を示す模式的斜視図である。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。また、本明細書では、本発明の適用例としてインクジェット記録ヘッドを例に挙げて説明するが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、バイオチップ作製や電子回路印刷用途の液体吐出ヘッドにも適用できる。液体吐出ヘッドとしては、インクジェット記録ヘッドの他にも、例えばカラーフィルター製造用ヘッド等も挙げられる。
図4は、液体吐出ヘッドの構成例を示す模式的斜視図である。図4に示すように、液体吐出ヘッドは、インク等の液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子5を第一の面側(表面側)に有する基板15と、インク等の液体を吐出する吐出口13が形成されている。基板15には、基板の第一の面(表面)及び該第一の面と反対側の面である第二の面(裏面)に貫通する液体供給口14が設けられている。
また、基板15の上には、吐出口13と該吐出口に連通する液体流路10を構成する流路形成部材16が配置されている。流路形成部材は、液体流路10の側壁を構成する流路壁構成部材と、吐出口13を構成する吐出口形成部材と、から形成されている。
吐出エネルギー発生素子5及び液体供給口を有する基板15としては、例えば、結晶軸(100)のSiウエハを用いることができる。
また、図2、図3は、図4のA−A’断面図における本発明の実施形態の液体吐出ヘッドの製造工程を説明するための断面工程図である。
以下、工程に用いるフィルムについて図1を参照にして説明し、本実施形態の製法ついては図2及び図3を参照して詳細に説明する。本発明のフィルムは、支持体と、第一の層と、第二の層と、をこの順に有する。
(実施形態1)
まず、フィルムを用意する。図1(A)に示すように、支持体上に第一の層2を形成する。第一の層は、溶解可能な樹脂を含有していることが好ましい。以下、第一の層が溶解可能な樹脂層を含有した例を説明する。
溶解可能な樹脂を支持体1上に堆積して第一の層2を形成する方法としては、例えば、スピンコート法などで被膜を形成する方法がある。また、第一の層2の厚さとしては、支持体の凹凸を吸収又は緩和する観点から、0.5〜10μmの厚さであることが好ましい。また、溶解可能な樹脂を溶剤に溶かして調製された溶液の粘度は、5〜150CPであることが好ましい。溶剤としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラハイドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、又はキシレン等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
また、溶解可能な樹脂としては、吐出口形成部材を形成する第二の層3の現像に用いる現像液で溶ける樹脂を用いることが好ましい。溶解可能な樹脂としては、有機溶媒に溶解するエポキシ樹脂、アクリル樹脂又はウレタン樹脂等が好ましく用いられる。また、吐出口を形成するための露光時に第一の層2を通して第二の層3を露光するため、溶解可能な樹脂は透過性(透光性とも称す)に優れていることが望ましい。したがって、透過性の観点から、エポキシ樹脂としてはビズフェノールA型やクレゾールノボラック型が好ましい。また、循環式のエポキシ樹脂も好ましい。また、アクリル樹脂としてはポリメチルメタクリレートが好ましい。また、ウレタン樹脂としてはポリウレタンが好ましい。
さらに、第一の層2は、第二の層3をフォトリソグラフィーによりパターン形成する場合においてレジスト層内の光多重干渉を低減する反射防止膜としての機能を有することが好ましい。反射防止膜としては第二の層3の感度低下を招くことなく、低屈折率、透明性、塗布膜厚均一性が求められる。このような観点から、溶解可能な樹脂層は、フッ素系含有化合物を含むことが好ましい。フッ素系含有化合物としては、例えば有機フッ素系界面活性剤が挙げられる。該有機フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタン酸等が好ましく挙げられる。
また、溶解可能な樹脂は後工程の露光によって不溶化されない。例えば、第二の層3に感光剤を含有しないものが、現像時に一括で除去できるため望ましい。
支持体1としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムやポリイミドフィルム、ポリアミド(アラミド)フィルムなどが挙げられる。後工程でフィルムのみを剥離し易くするために支持体に離型処理を施してもよいが、第一の層を形成する際にレジスト弾きが起こる場合があるため、離型処理を施さない方が望ましい。
次いで、図1(B)に示すように、第一の層2の上に第二の層3を形成する。第二の層3を第一の層2の上に形成する方法としては、例えばスピンコート法やスリットコート法(カーテンコート法)などが挙げられる。また、第二の層3と第一の層2が混ざりにくいという観点から、スリットコート法(カーテンコート法)を用いることが望ましい。
第二の層3は感光性樹脂(第一の感光性樹脂)を含有した第一の感光性樹脂層であることが好ましい。以下、第二の層が第一の感光性樹脂を含有した第一の感光性樹脂層である場合を例に説明する。第一の感光性樹脂は、オリフィスプレートを構成する材料として高い機械的強度や耐インク性が要求される。また、インク吐出口を形成する材料として、5〜60μmの厚さでコーティングできることが好ましい。第一の感光性樹脂としては、例えばネガ型の感光性樹脂を用いることができる。また、第二の層3の厚さは、インク吐出口と吐出エネルギー発生素子との距離を決定する重要な因子であるため、精度良く形成可能である材料であることが望ましい。このような観点から、第一の感光性樹脂としてはエポキシ樹脂のカチオン重合硬化物が好ましく用いられる。エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物からなる感光性樹脂層は、優れた強度、密着性、耐溶剤性を有し、かつ優れたパターニング特性を有する。
次いで、図2(A)に示すように、吐出エネルギー発生素子5を有するシリコン基板等の基板4の上に、第二の感光性樹脂層7を形成する。第二の感光性樹脂層7としては、例えばネガ型の感光性樹脂を用いることができる。
吐出エネルギー発生素子5としては、例えば電気熱変換素子や圧電素子等を用いることができる。電気熱変換素子が用いられる場合には、この素子が近傍の液体を加熱して液体に状態変化を起こさせることにより吐出エネルギーを発生する。また、符号6は、吐出エネルギー発生素子を保護する膜としてのパッシベーション膜である。
第二の感光性樹脂層7を基板4上に形成する方法としては、例えば、適当な溶剤にレジスト材料(例えばネガ型)を溶解し、スピンコート法などで被膜を形成する方法が挙げられる。
第二の感光性樹脂層7の厚さは、インク流路高さを規定するものであり、例えば、5〜25μmである。
次いで、図2(B)に示すように、マスク8を用いて、第二の感光性樹脂層7を露光処理し、インク流路の非露光部9を有する潜像パターンを形成する。
インク流路の潜像パターンの形成には、インク吐出口と吐出エネルギー発生素子5との位置関係を精度よく形成するために、フォトリソグラフィー法を用いる。
次いで、図2(C)に示すように、現像液を用いて露光処理後の第二の感光性樹脂層7の潜像パターンを現像処理することにより、露光部分を除去し、インク流路壁(流路壁形成部材)7’及びインク流路10を形成する。
次いで、図2(D)に示すように、インク流路壁7’の上に、図1(B)のフィルム(積層膜とも称す)を載せ、支持体1上に形成した第一の層2と第二の層3を転写する。フィルムは、基板の第一の面(表面)と第二の層3とが対向するように基板上に配置する。即ち、フィルムを、第二の層が基板の第一の面と対向するように配置する。その後又は同時に、基板上に配置されたフィルムから支持体1が剥離される。
フィルムをインク流路壁7’の上に配置する方法としては、ラミネート法などが挙げられる。
また、インク流路10は空間となっており、該フィルムの転写は中空構造への転写となるため、転写時に中空構造への垂れ込みがないように形成しなければならない。例えば、第二の層3とインク流路10(インク流路壁7’)とを接合するためには、第二の層3の軟化点を超える温度で転写する必要がある。第二の層3に樹脂バインダーを添加し皮膜性を良くすることが好ましい。
また、支持体1を剥離する際に、第一の層2が層分離しないように剥離することが望ましい。しかし、仮に支持体を剥離する際に第一の層2が層分離してしまっても、基板上に残った第一の層の溶解可能な樹脂は後に除去されることになるので、液体吐出ヘッドのフェイス面は保護されることになる。
次いで、図2(E)に示すように、マスク11を用いて、第二の層3を露光処理し、非露光部12を有する吐出口の潜像パターンを形成する。
潜像パターンは、例えば非露光部12がインク吐出口パターンとなるように形成することができる。
次いで、図2(F)のように、現像液を用いて現像処理を行うことにより、第二の層3の潜像パターンを現像し、インク吐出口13を形成する。また、その際、第一の層2は現像液に溶解除去される。即ち、現像液を用いて、潜像パターンを現像処理することにより吐出口を形成するとともに、現像液により第一の層の少なくとも一部を第二の層上から除去する。
現像液に含まれる現像溶媒には、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラハイドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、又はキシレン等を用いることができる。現像溶媒は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
次いで、図2(G)に示すように、基板の裏面側からエッチングを行うことにより、インクなどの液体を供給するための貫通孔であるインク供給口14を基板4に形成する。エッチングは例えば異方性エッチングである。
エッチング液としては、例えば、TMAH、KOH等を用いることができる。また、エッチング時にオリフィスプレートへのダメージを防ぐため、基板の表面側に保護膜を設けてもよい。
以上のようにして作製されたインクジェット記録ヘッドに対して、インク供給のためのインク供給部材の取り付けや、電気熱変換素子を駆動するための電気配線部材の電気的接合を行うことができる(不図示)。
本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法により、オリフィスプレートをフィルムを用いて形成する際に、フィルムの転写および支持体の剥離時にフェイス面へのダメージを抑制して製造することができる。また、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法では、離型処理を施さないですむため、支持体の種類を選ばない製造方法でもある。
(実施形態2)
以下、本実施形態2の製法について説明する。尚、実施形態1と同様、第一の層が溶解可能な樹脂層を含有し、第二の層が第一の感光性樹脂を含有した第一の感光性樹脂層である場合を例に説明する。
まず、図3(A)に示すように、吐出エネルギー発生素子5を有するシリコン基板等の基板4上に、第二の感光性樹脂層7を形成する。第二の感光性樹脂層の材料としては、例えばネガ型感光性樹脂を用いることができる。
第二の感光性樹脂層7の材料である第二の感光性樹脂には、インク流路壁を構成する材料として高い機械的強度や、耐インク性が要求される。また、インク流路の高さは5〜25μmの範囲が望ましいが、第二の感光性樹脂層7の厚さは、インク吐出口とエネルギー発生素子との距離を決定する重要な因子であるため、第二の感光性樹脂は精度良く形成可能である材料であることが望ましい。このような観点から、第二の感光性樹脂としてはエポキシ樹脂のカチオン重合硬化物が好ましい。エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物からなる感光性樹脂層は、優れた強度、密着性、耐溶剤性を有し、かつ優れたパターニング特性を有する。
次いで、図3(B)に示すように、マスク8を用いて、第二の感光性樹脂層7を露光し、非露光部9を有するインク流路の潜像パターンを形成する。インク流路の潜像パターンは、非露光部の領域がインク流路となるように形成する。
次いで、図3(C)に示すように、基板の第一の面と第二の層3とが対向するように上述のフィルムを基板上に配置する。より具体的には、フィルムの第二の層3が潜像パターンを形成した後の第二の感光性樹脂層と接するようにフィルムを基板上に配置する。その後又は同時に、フィルムから支持体1が剥離される。
第二の層3を第二の感光性樹脂層7の上に配置する方法としては、ラミネート法などが挙げられる。また、転写する際、気泡の排出性を考慮して、ロール方式の転写や真空下での転写を行うことが望ましい。また、第一の層2が層分離しないように支持体を剥離することが望ましいが、仮に溶解可能な樹脂層が層分離しても、基板上に残った溶解可能な樹脂は後工程で除去されるため、液体吐出ヘッドのフェイス面は保護されることになる。
次いで、図3(D)に示すように、マスク11を用いて第二の層3を露光し、非露光部12からなるインク吐出口の潜像パターンを形成する。
この露光時に第二の感光性樹脂層が感光しないように第一の感光性樹脂層と第二の感光性樹脂層との間に感度差を設けておくことが望ましい。光の感度は、第一の感光性樹脂層に対して、第二の感光性樹脂層を低い感度にしておくことが望ましく、第二の感光性樹脂層の光感度を1とした場合、第一の感光性樹脂層の光感度が3以上であることが好ましい。
次いで、図3(E)のように、露光後の第二の層及び第二の感光性樹脂層を現像液を用いて現像処理することにより、吐出口を形成して吐出口形成部材を形成する。また、この際、第一の層2を現像液により溶解除去する。
また、具体的には、第一の層2を現像液に浸すことにより溶解除去すると同時に、第二の層の非露光部と第二の感光性樹脂層の非露光部を除去し、インク吐出口13とインク流路10を形成する。即ち、現像液を用いて、潜像パターンを現像処理することにより吐出口を形成するとともに、現像液により第一の層の少なくとも一部を第二の層上から除去する。
現像液の溶媒には、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラハイドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、又はキシレン等を挙げることができる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、図3(F)に示すように、基板の裏面側からエッチングを行うことにより、インクなどの液体を供給するための貫通孔であるインク供給口14を基板4に形成する。エッチングは例えば異方性エッチングである。
以上のようにして作製されたインクジェット記録ヘッドに対して、インク供給のためのインク供給部材の取り付けや、電気熱変換素子を駆動するための電気配線部材の電気的接合を行うことができる(不図示)。
「実施例」
(実施例1)
まず、図1に従って、フィルムを作製した。
まず、支持体1となるPETフィルム上に溶解可能な樹脂であるエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製「EHPE−3150」)を溶剤(キシレン)に溶解させた溶液をスピンコート法で塗布し、第一の層2として溶解可能な樹脂層を形成した。なお、溶解可能な樹脂の厚みを5μmとした。この溶解可能な樹脂層2上に、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「157S70」)と後工程で吐出口を形成する際の露光波長365nmに感度を持つ光開始剤(サンアプロ社製「CPI−210S」)を溶剤(PGMEA)に溶解させた溶液をスリットコート法で塗布し、第二の層3として第一の感光性樹脂層を形成した。なお、第一の感光性樹脂層の厚みを15μmとした(工程1)。
次に、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「157S70」)と露光波長365nmに感度をもつ光開始剤(サンアプロ社製「CPI−210S」)を溶剤(PGMEA)に溶解させた溶液を吐出エネルギー発生素子5としての発熱抵抗体が設けられたシリコン製の基板4上にスピンコート法で塗布し、第二の感光性樹脂層7を形成した。そして、この第二の感光性樹脂層7をパターニングして、図2(C)に示すようにインク流路壁7’を形成した(工程2)。
次いで、図2(D)に示すように、工程1で作製したフィルムの第一の感光性樹脂層と工程2で作製したインク流路壁7’とが接するように、ロール式ラミネーターにて接着させた。その後、フィルムを剥がした。
次いで、図2(E)のように、露光機(キヤノン社製FPA−3000i5+)を使用して、露光波長365nmにて5000J/m2の露光量でマスク11を介してパターン露光を行うことにより、第一の感光性樹脂層に非露光部12がインク吐出口13となるように潜像パターンを形成した。
次いで、溶解可能な樹脂層を現像液(PGMEA)に浸すことで、図2(F)に示すように、溶解可能な樹脂層と同時に第一の感光性樹脂層の非露光部12も取り除くことにより、インク吐出口13を形成した。
さらに、図2(G)に示すように、エッチング液としてTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を22%に薄めた水溶液を83℃に温調し、基板を20時間浸すことで、基板4にインク供給口14を形成した。以上により、図4に示すオリフィスプレート(吐出口形成部材)16と基板15からなる液体吐出ヘッドを得た。
(実施例2)
図1に従って、フィルムを作製した。
まず、支持体1となるPETフィルム上に溶解可能な樹脂であるエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製「EHPE−3150」)を溶剤(キシレン)に溶解させた溶液をスピンコート法で塗布し、第一の層2として溶解可能な樹脂層を形成した。なお、溶解可能な樹脂の厚みを5μmとした。この溶解可能な樹脂層2上に、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「157S70」)と後工程で吐出口を形成する際の露光波長365nmに感度を持つ光開始剤(チバジャパン社製「Irgacure290」)を溶剤(PGMEA)に溶解させた溶液をスリットコート法で塗布し、第二の層3として第一の感光性樹脂層を形成した。なお、第一の感光性樹脂層の厚みを15μmとした(工程1)。
次に、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「157S70」)と露光波長365nmに感度をもつ光開始剤(サンアプロ社製「CPI−210S」)を溶剤(PGMEA)に溶解させた溶液を吐出エネルギー発生素子5としての発熱抵抗体が設けられたシリコン製の基板4上にスピンコート法で塗布し、第二の感光性樹脂層7を形成した。そして、この第二の感光性樹脂層7を、図3(B)に示すように、露光機(キヤノン社製「FPA−3000i5+」)を用いて、露光波長365nmにて5000J/m2の露光量でマスク8を介してパターン露光を行うことにより、第二の感光性樹脂層7の非露光部9の領域がインク流路10となるよう潜像パターンを形成した(工程2)。
次いで、図3(C)に示すように、工程1で作製したフィルムの第一の感光性樹脂層と工程2で作製した露光後の第二の感光性樹脂層7とが接するように、ロール式ラミネーターにてこれらを接着させた。
次いで、図3(D)に示すように、露光機(キヤノン社製FPA−3000i5+)を使用して、露光波長365nmにて500J/m2の露光量でマスク11を介してパターン露光を行うことにより、第一の感光性樹脂層の非露光部12がインク吐出口13となるよう潜像パターンを形成した。
次いで、溶解可能な樹脂層2を現像液(PGMEA)に浸すことで、図3(E)に示すように、溶解可能な樹脂層と同時に第一の感光性樹脂層の非露光部12と第二の感光性樹脂層7の非露光部9を取り除き、インク吐出口13とインク流路10を形成した。
さらに、図3(F)に示すように、エッチング液としてTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を22%に薄めた水溶液を83℃に温調し、基板を20時間浸すことで、基板4にインク供給口14を形成した。以上により、図4に示す吐出口形成部材を構成する流路形成部材16と基板15からなる液体吐出ヘッドを得た。
1 支持体
2 第一の層
3 第二の層
4 基板
5 吐出エネルギー発生素子
6 パッシベーション膜(保護膜)
7 第二の感光性樹脂層
7 インク流路壁(流路壁形成部材)
8 マスク
9 非露光部
10 インク流路
11 マスク
12 非露光部
13 インク吐出口
14 インク供給口
15 基板
16 吐出口形成部材

Claims (21)

  1. 液体を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材と、該吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を第一の面側に有する基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    (1)支持体と、樹脂を含む第一の層と、第二の層と、をこの順に有するフィルムを用意する工程と、
    (2)前記フィルムを、前記第二の層が前記第一の面と対向するように配置し、該フィルムから前記支持体を剥離する工程と、
    (3)前記第二の層に前記吐出口を形成する工程と、
    (4)前記樹脂を溶解して前記第一の層の少なくとも一部を前記第二の層上から除去する工程と、
    を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 液体を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材と、該吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生する吐出エネルギー発生素子を第一の面側に有する基板と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    (1)支持体と、第一の層と、第二の層と、をこの順に有するフィルムを用意する工程と、
    (2)前記フィルムを、前記第二の層が前記第一の面と対向するように配置し、該フィルムから前記支持体を剥離する工程と、
    (3)前記第二の層に前記吐出口もしくは吐出口パターンを形成する工程と、
    (4)前記第一の層の少なくとも一部を前記第二の層上から除去する工程と、
    をこの順で有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法
  3. 前記第二の層が感光性樹脂を含有した第一の感光性樹脂層であることを請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法
  4. 前記第二の層を露光処理することにより前記吐出口の潜像パターンを形成し、現像液を用いて前記潜像パターンを現像処理することにより前記吐出口を形成するとともに、前記現像液により前記第一の層の少なくとも一部を前記第二の層上から除去する請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法
  5. 記潜像パターンを形成する前記露光処理は、前記第一の層を介して実施され、該第一の層は該露光処理によって不溶化されない請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記工程(2)の前に、前記基板の前記第一の面の上に第二の感光性樹脂層を配置してパターニングすることにより、前記吐出口に連通する液体流路の側壁を構成する流路壁形成部材を形成する工程を有し、
    前記工程(2)において、前記第一の感光性樹脂層が前記流路壁形成部材に接するように前記フィルムを配置する請求項3乃至5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記工程(2)の前に、前記基板の前記第一の面の上に第二の感光性樹脂層を配置し、該第二の感光性樹脂層を露光処理して前記吐出口に連通する液体流路の潜像パターンを形成する工程を有し、
    前記工程(2)において、前記第一の感光性樹脂層が前記露光処理後の前記第二の感光性樹脂層に接するように前記フィルムを配置し、
    前記工程(4)において、現像液によって前記吐出口の潜像パターンと前記液体流路の潜像パターンを現像して前記吐出口と前記液体流路を形成する請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記第一の感光性樹脂層の光感度は前記第二の感光性樹脂層の光感度よりも高い請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記第二の感光性樹脂層の光感度を1とした場合、前記第一の感光性樹脂層の光感度が3以上である請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記第一の層は、5〜150CPの粘度の溶液が前記支持体上にスピンコート法によって塗布されて形成される請求項1乃至のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記第一の層は、0.5〜10μmの厚さで前記支持体上に形成される請求項1乃至10のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記第一の層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又はウレタン樹脂を含む請求項1乃至11のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記第一の層は、フッ素系含有化合物を含む請求項1乃至12のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記フッ素系含有化合物が有機フッ素系界面活性剤である請求項13に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記有機フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロオクタンスルホン酸、又はパーフルオロオクタン酸である請求項14に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記第一の層は、樹脂を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラハイドロフラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、又はキシレンに溶解した溶液を用いて形成される請求項1乃至15のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  17. 前記支持体は、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミド、又はポリアミドである請求項1乃至16のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 前記第二の層は、前記第一の層の上にカーテンコート法によって形成される請求項1乃至17のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 前記工程(4)では、前記第一の層のうち、少なくとも前記第二の層の前記吐出口を形成する領域とは異なる領域の上にある第一の層を除去する、請求項1乃至18のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  20. 前記工程(4)では、前記第二の層の上にある全ての前記第一の層を除去する、請求項1乃至19のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  21. 前記工程(2)の前に、
    前記基板の第一の面上に、インク流路壁を形成する工程(a)と、
    前記フィルムを、前記第二の層が前記第一の面と対向するように配置し、前記第二の層の軟化点を越える温度で前記インク流路壁に前記第二の層を接合する工程(b)と、
    を有する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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