JP6268359B2 - シールド工法におけるセグメント接続具および接続方法 - Google Patents

シールド工法におけるセグメント接続具および接続方法 Download PDF

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Description

本発明は、シールド工法による管渠構築において、地中の掘進に伴い、掘進方向にセグメントを順次接続するために使用するセグメントの接続具および接続方法に関する。
トンネル等の管渠構築には、従来からシールド工法と推進工法が広く使用されている(特許文献1)。シールド工法のうち、近時は、小口径のものや、シールド工法と推進工法とを併用した特殊推進工法も開発されている。
シールド工法においては、シールド掘進機による地中の掘進に伴い、シールド掘進機の後方で予め分割されたセグメント(ピース)を順次リング形に組立てながら、既設のリング形セグメント組立体に接続して管渠を構築していく。これにより、既に構築された管渠内を通り、シールド掘進機後方までセグメントを搬送することを可能とし、特に狭い管渠(例えば内径1000mm)であっても、その構築が可能となる。
各セグメントと既設セグメント組立体との接続は、一般にボルト・ナットによる締結で行なわれる。具体的には、接続方法として下記の3種類が知られている。
第1の方法は、締結する各セグメントの端面同士を当接させ、両端面に設けたボルト挿通孔を一致させた後、既設セグメント組立体とセグメントのいずれかからボルトを挿通させ、ナットで締結するものである。この方法では、既設セグメント組立体とセグメントの各ボルト挿通孔の後方にボルトおよびナットを入れるために、既設セグメント組立体およびセグメント内面に開口した空間(以下、この空間をボルトボックスということがある。)がそれぞれ設けられている。
第2の方法は、既設セグメント組立体とセグメントのいずれか一方の端面に予めアンカーボルトを突設させておき、接続時にアンカーボルトを他方の端面に設けたボルト挿通孔に挿通させて締結するものである。
第3の方法は、既設セグメント組立体とセグメントのいずれか一方の端面にねじ穴(インサートナット)を設けておき、他方のボルトボックスに挿し込んだボルトを、端面のボルト挿通孔を経てねじ穴に螺合させて締結するものである。
しかしながら、第1の方法では、既設セグメント組立体とセグメントの各ボルト挿通孔の全ての後方にボルトボックスを設けているために、ボルトの挿入が容易で組み立て易いが、管渠内部の仕上りに平滑性が求められる場合、接続後にボルトボックス内にコンクリートを充填する手間がかかり、作業効率が悪くなるという問題があった。
第2の方法は、アンカーボルトを使用するために、ボルトボックスを必要とせずコンクリートを充填する手間が省けるが、アンカーボルト自体のコストが高くなると共に、アンカーボルトは一度締結されると、容易に解くことが出来ないために、セグメントの組間違い等による組直しができなくなるという問題や、曲線部では一般的に使用できない等の問題があった。
これに対して、第3の方法では、ボルトボックスは既設セグメント組立体とセグメントのいずれか一方のみでよいため、ボルトボックスの数が第1の方法の半分となり、安価で比較的組み立て易いという利点がある。しかしながら、小口径のシールド工事等のように、セグメント組立スペースが非常に狭く、ボルト挿通孔を直視し難い等、視野が限られる場合、重量物である各セグメント同士の端面を当接させ、更に既設セグメント組立体のボルト挿通孔に対してセグメント端面のボルト挿通孔を一致させる組立作業を精度よく行なうのは困難であり、そのため既設セグメント組立体へのセグメントの接合・組立の作業が困難であるという問題があった。
なお、既設セグメント組立体とセグメントの各ボルト挿通孔を一致させるには、ボルト挿通孔とは別に、一方からガイドピンを突設させ、これを他方の挿入孔に挿入することにより行なっていた。
特開2013−47444号公報
本発明の課題は、狭く視野が限られた管渠内でも簡単にかつ確実に接続でき、作業効率が向上すると共に、ガイドピンの機能をも兼ね備えたセグメント接続具およびこれを用いた接続方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。本発明のセグメント接続具および接続方法は、以下の構成からなる。
(1)シールド工法による地中の掘進に伴い掘進機の後方でセグメントを既設セグメント組立体に順次接続して管渠を構築するためのセグメント接続具であって、セグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に後端部が取り付けられ、前記枠体内のボルト挿通孔を経て枠体から外方に突出した所定長さのボルトと、このボルトに挿通され前記セグメントおよび既設セグメント組立体の一方の枠体の前記ボルト挿通孔と、このボルト挿通孔に対向する他方の枠体のボルト挿通孔またがって収容されるリングと、前記ボルトの先端部に着脱自在に被着され前記ボルト挿通孔を挿通するガイドキャップとを備えたことを特徴とするセグメント接続具。
(2)前記ボルトの後端部は、セグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に設けたねじ穴に螺合されるか、またはセグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に埋設されて、取り付けられている(1)に記載のセグメント接続具。
(3)シールド工法による地中の掘進に伴い掘進機の後方でセグメントを既設セグメント組立体に順次接続して管渠を構築するセグメント接続方法であって、リングが挿通され且つ先端部に着脱自在にガイドキャップが被着された所定長さのボルトの後端部をセグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に取り付け、該一方の枠体内のボルト挿通孔を経て枠体からボルトを外方に突出させ、セグメントの枠体を既設セグメント組立体の枠体に突き合わせて、ガイドキャップが被着された前記ボルトの先端部をセグメントおよび既設セグメント組立体の他方の枠体に形成したボルト挿通孔に挿通させ、前記リングをセグメントおよびセグメント組立体の両ボルト挿通孔にまたがって収容し、ついで、ガイドキャップをボルトから取り外し、ナットをボルトに螺着させて、セグメントを既設セグメント組立体に接続することを特徴とするセグメント接続方法。
(4)セグメントおよび既設セグメント組立体の他方には、セグメントおよび既設セグメント組立体の一方との接続面に形成したボルト挿通孔の後方に、前記ボルトの先端部を収容し、かつボルトへのナットの螺着を行なうための開口空間が形成されている(3)に記載のセグメント接続方法。
本発明によれば、たとえ狭く視野が限られた管渠内でセグメント同士を接続する場合であっても、簡単にかつ確実に接続でき、作業効率が向上すると共に、本発明のセグメント接続具はガイドピン機能をも兼ね備えているので、部品点数の削減とコストダウンをも図ることができるという効果がある。
本発明が適用されるシールド掘進機の一例を示す説明図である。 (a)〜(d)は本発明におけるセグメントの組み立てと接続の方法の一例を示す説明図である。 (a)および(b)はそれぞれ本発明の一実施形態に係るセグメント接続具を示す分解斜視図および組み立て状態を示す斜視図である。 (a)〜(d)は本発明におけるセグメントの接続方法を示す説明図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、内径が1000〜2400mm程度の小口径シールド工法により地中掘削を行う管渠構築方法の一例を示している。
図1において、1はシールド掘進機を示しており、この掘進機1の先端にはカッター2が取り付けられ、このカッター2を回転させて地中を掘削する。カッター2の後方には、カッター2を回転させるためのカッターモーター3が設けられる。掘進機1の後方には、リング形のセグメント組立体7を押す反力で掘進機1を前進させるためのシールドジャッキ8が設置される。図1に示すシールド掘進機では、さらにピンチバルブ4、排泥タンク5、油圧ユニット6等が設置されている。
また、シールド掘進機1には、複数の中折ジャッキ9が設置されている。
リング形のセグメント組立体7は、シールド掘進機1で一定距離を掘進後に組み立てられ、その掘進前に組み立てられた既設セグメント組立体7の前面に接続される。セグメント組立体7の外周側には、掘進機1内に泥や地下水の浸入を阻止するためのテールシール13がシールド掘進機1に取り付けられている。
図2は、セグメント7の組み立てと接続の方法を示している。これらの組み立ておよび接続の作業はシールド掘進機1内で行われる。
図2(a)〜(d)に示すように、本実施形態におけるセグメント組立体7は、複数のセグメント15a〜15dからなり、これらをリング状に組み立てる。図2(a)〜(d)に示す第1セグメント15a〜第4セグメント15dは、図示しないセグメント台車によって坑口から搬送される。
セグメント15a〜15dとしては、従来から使用されているRC系(セメント)セグメント、鋼製セグメント、セメントと鋼とを組み合わせた合成セグメントなどが使用可能である。
まず、図2(a)に示すように、台車からエレクター(図示せず)にセットした第1セグメント15aをエレクターで底部に廻す。一方、図3に示す、ガイドピンを兼ねた本発明に係る接続具17を既設のセグメント組立体71の端面(接続面)にセットする。そして、後述するように、接続具17の先端部と第1セグメント15aのボルト挿通孔との位置合せを行なった後、矢印方向に第1セグメント15aを押し込み、接続具17にて第1セグメント15aをセグメント組立体71に接続する。なお、第1セグメント15aのボルト挿通孔は、第1セグメント15aの内面に形成したボルトボックス16に形成されている。
第1セグメント15aを取り付け後、図2(b)に示すように、第2セグメント15bを取り付ける。すなわち、第1セグメント15aの側端面にノックピン18を取り付け、このノックピン18を、第2セグメント15bに設けたピン受け長穴19に挿入する。ついで、図2(c)に示すように、第2セグメント15bを矢印方向にスライドさせ、既設のセグメント組立体71の端面にセットされた接続具17にて第2セグメント15bをセグメント組立体71に接続する。
なお、第2セグメント15bに設けられた貫通孔28は、セグメント7の組み立ておよび接続後に地山とセグメント7との隙間に充填する裏込め注入材を注入するための注入口となると共に、組立の際各セグメントをエレクターにて保持する金具を取付るためのものとしても使用され、全てのセグメントに設けられている。
前記と同様にして、第3セグメント15cをセグメント組立体71に接続した後、図2(d)に示すように、上部の第4セグメント15dを前記と同様にしてセグメント組立体71に接続して、セグメント組立体72の組み立てとセグメント組立体71への接続を完了する。
なお、この実施形態では、4つのセグメント15a〜15dでセグメント組立体を組み立てたが、セグメントの数は4つに限定されるものではなく、管渠の口径等に応じて変えてもよく、例えば3〜6程度であるのがよい。
図3は、各セグメント15a〜15dをセグメント組立体71に接続するためのセグメント接続具17を示している。この接続具17は、所定長さの寸切りボルト20と、このボルト20に挿通されるリング21と、ボルト20の先端部に着脱自在に被着されるガイドキャップ22とを備える。
この接続具17を用いるセグメント15a〜15dの既設セグメント組立体71への接続方法の詳細を図4に示す。なお、説明の便宜上、以下の説明では、セグメント15a〜15dを、単にセグメント15と記載することがある。
図4(a)に示すように、セグメント組立体71の端面の内方には、あらかじめインサートナット23が埋設されている。このインサートナット23のねじ穴に寸切りボルト20の後端部を螺合させ、枠体26a内のボルト挿通孔24aを経てセグメント組立体71の端面から外方に突設している。ボルト20には、リング21が挿通され、先端部にガイドキャップ22が被着されている。
本実施形態におけるセグメント15およびセグメント組立体71は、それぞれ鋼製の枠体26aおよび26bその枠体26aおよび26b内にそれぞれ充填されたコンクリート27を含んでいる。一方のセグメント15の枠体26bには、他方のセグメント組立体71との対向面に形成したボルト挿通孔24の後方に、ボルト20の先端部が挿入され、かつボルト20へのナットの螺着を行なうための開口空間であるボルトボックス16が形成されている。
図4(a)に示す状態から、図4(b)に示すように、セグメント15をセグメント組立体71に向かってスライドさせ、セグメント接続具17をセグメント72の接続面に形成したボルト挿通孔24を経てボルトボックス16内に挿入し、前記リング21をボルト挿通孔24aと、このボルト挿通孔24aに対向する他方のボルト挿通孔24bとまたがって収容する。
このとき、ボルト20の先端部にガイドキャップ22が被着されているので、ボルト20の先端部がガイドキャップ22で保護されているので、ボルト挿通孔24へ挿入時にボルト20の先端が損傷するのを防止することができる。また、ガイドキャップ22をボルト20の先端部に被着することにより、従来のガイドピンと同様の作用を兼ねることができ、従ってガイドピンやこのガイドピンを挿入する穴を設ける必要がなくなり、工程数や部品点数の削減を図ることができる。
図4(b)に示した状態から、ガイドキャップ22をボルト20から取り外す(図4(c))。ついで、図4(d)に示すように、ボルト20にナット25を螺着させ、セグメント15とセグメント組立体71とを一体に締結させる。
この状態で、リング21はボルト挿通孔24a、24bまたがって収容されているので、ボルト挿通孔24a、24b内の空隙によってセグメント15とセグメント組立体71とが目違いする、すなわち段差ができるのを防止することができ、精度良く強固な接続が可能となる。
なお、図4では、セグメント組立体71に接続具17をセットし、セグメント15a〜15dにボルトボックス16を設けているが、セグメント15a〜15dの端面に接続具17をセットし、セグメント組立体71にボルトボックス16を設けてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更や改善、改良が可能である。例えば、寸切りボルト20後端部のインサートナット23への螺合による取付けに代えて、寸切りボルト20を後施工打込みアンカーボルトに代える他、予めセグメントコンクリートに埋め込んで取付けてもよい。
1 シールド掘進機
7 セグメント組立体
15a〜15b セグメント
16 ボルトボックス
17 セグメント接続具
20 ボルト(寸切りボルト)
21 リング
22 ガイドキャップ
23 インサートナット
24a、24b ボルト挿通孔
25 ナット
26a、26b 枠体

Claims (4)

  1. シールド工法による地中の掘進に伴い掘進機の後方でセグメントを既設セグメント組立体に順次接続して管渠を構築するためのセグメント接続具であって、
    セグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に後端部が取り付けられ、前記枠体内のボルト挿通孔を経て枠体から外方に突出した所定長さのボルトと、
    このボルトに挿通され前記セグメントおよび既設セグメント組立体の一方の枠体の前記ボルト挿通孔と、このボルト挿通孔に対向する他方の枠体のボルト挿通孔またがって収容されるリングと、
    前記ボルトの先端部に着脱自在に被着され前記ボルト挿通孔を挿通するガイドキャップとを備えたことを特徴とするセグメント接続具。
  2. 前記ボルトの後端部は、セグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に設けたねじ穴に螺合されるか、またはセグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に埋設されて、取り付けられている請求項1に記載のセグメント接続具。
  3. シールド工法による地中の掘進に伴い掘進機の後方でセグメントを既設セグメント組立体に順次接続して管渠を構築するセグメント接続方法であって、
    リングが挿通され且つ先端部に着脱自在にガイドキャップが被着された所定長さのボルトの後端部をセグメントおよび既設セグメント組立体のいずれか一方の枠体の内方に取り付け、該一方の枠体内のボルト挿通孔を経て枠体からボルトを外方に突出させ、
    セグメントの枠体を既設セグメント組立体の枠体に突き合わせて、ガイドキャップが被着された前記ボルトの先端部をセグメントおよび既設セグメント組立体の他方の枠体に形成したボルト挿通孔に挿通させ、前記リングをセグメントおよびセグメント組立体の両ボルト挿通孔にまたがって収容し、
    ついで、ガイドキャップをボルトから取り外し、ナットをボルトに螺着させて、セグメントを既設セグメント組立体に接続することを特徴とするセグメント接続方法。
  4. 前記セグメントおよび既設セグメント組立体の他方には、セグメントおよび既設セグメント組立体の一方との接続面に形成したボルト挿通孔の後方に、前記ボルトの先端部を収容し、かつボルトへのナットの螺着を行なうための開口空間が形成されている請求項3に記載のセグメント接続方法。
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