JP6268024B2 - 金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法 - Google Patents

金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法 Download PDF

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本発明は、金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法に関する。更に詳しくは、金属形状物に極性樹脂層、接着剤組成物層、及び無極性樹脂層(ポリプロピレン樹脂層)を、順次積層したものであり、金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法に関する。
家電機器、自動車等の移動機械、一般機械、医療機械、産業機械、家屋等の建築物の建材、土木構造物等の土木資材等に使われる部品等の部材において、これらの機械、又は不動産の外装部材、保護部材等として、各種金属と樹脂を積層して一体化した、積層材(複合体)が使用されている。このような各種合金と樹脂を一体化した複合体としては、本出願人が提案した、アルミニウム合金形状物をヒドラジン水溶液、水溶性アミン系化合物等により処理し、表面に20〜50nm周期の超微細な凹凸構造を付与したアルミニウム合金上に、直接ポリブチレンテレフタレート樹脂等の樹脂を射出成形させた、金属と樹脂の複合体が特許文献1に開示されている。
また、金属表面を化学エッチングにより、0.5〜10μmの不定期な周期で、直径20〜70nmの粒状物又は不定多角形状物が積層された凹凸構造を付与した金属上に、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂を射出接合させた複合体が特許文献2に開示されている。又、特許文献3には、硬質プラスチックの成形物上に、ウレタン硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂のコート材を塗布し、この塗布面にポリブチレンテレフタレート樹脂を射出接合させて得た複合体が開示されている。
特許文献1、及び特許文献2に開示された金属と樹脂の複合体は、金属側の表面に何らかの特定条件を与えれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂等と強く接合できることを示している。しかも熱プレス機を使用しての接合する複合体の製造法ではなく、金属を金型に挿入して樹脂を射出して成形する射出成形によるものである。即ち、この複合体の成形は、瞬間的な物理化学的反応を利用して金属と樹脂を接合するものであり、本発明者の命名である「射出接合法」でも可能なことを示した点が特に注目されることである。同様に、特許文献3には、金属形状物にウレタン硬化型樹脂コート材等のインキや塗料を介して、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の結晶性樹脂を射出接合して金属と樹脂の複合体を製造する方法が提案されている。ただ、これらの提案されている「射出接合法」は、強力な接着性をえることができるが、金属表面を特定の粗さ状態に処理するための特定の表面処理の必要があり、コスト、工数がかかる。
一方、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂は、安価でかつ機械的特性に優れている構造材料として幅広い分野で使用されており、無極性樹脂組成物である。この無極性樹脂組成物は、一般的に耐候性、耐薬品性、軽量性に優れているが、各種の素材への接着性に劣る。即ち、ポリオレフィン系樹脂組成物は、金属との接着性が低く、金属形状物と接合した金属と樹脂の複合体を容易に製造することが出来ない。この問題に対しては、金属形状物とポリオレフィン系樹脂組成物の間に、極性樹脂組成物と無極性樹脂組成物の双方に対して、接着性を示し得る塩素化ポリオレフィン樹脂、特許文献4に記載されている非塩素化ポリオレフィン樹脂を含む変性ポリオレフィン樹脂類を介し、金属形状物と非極性樹脂の接合複合体を製造する方法が考えられる。しかしながら、この製造方法について、生産性に優れる射出接合法は勿論、熱プレス機による金属樹脂複合体の製作すらも報告されていない。
特開2003−103563号公報 特開2010−64397号公報 特開2004−216609号公報 特開2001−279048号公報
極性樹脂製フィルム上に、変性ポリオレフィン樹脂製コート材を塗布して塗膜とし、更にポリオレフィン樹脂製フィルムを重ねて熱ロールで接合してラミネートフィルムを得る方法、又、ポリプロピレン系樹脂成形物(成形物)に変性ポリオレフィン樹脂製コート材を塗布して塗膜とし、更にその上にウレタン硬化型塗料を塗布硬化し、耐候性、耐チッピング性に優れる自動車のバンパーを製造する方法等が知られている。それらと同じ考えで、極性物質と考えられる金属形状物に、変性ポリオレフィン樹脂製コート材を塗布して塗膜とし、この塗膜を介してポリプロピレン系樹脂組成物を接合させるという手法は十分に考え着く。
しかしながら、この金属とポリプロピレン系樹脂組成物の接合に関し、熱プレス機による接合方法すら報告されていない。理論的には、変性ポリオレフィン樹脂層を間に挟むことによって、熱プレス的手法を使えば、金属とポリオレフィン樹脂の間に接合力を生じさせ得ることは間違いない。ただ、具体的にどの程度の接合力が生じるのかが報告もなく不明であるというのが実情である。興味を持たれず単に実験が為されていない故か、又は、既に実験されているが、接合力不十分で実用性に欠けると判断され報告されていないのかもしれない。それ故、熱プレス法より、更に困難が予期される射出成形機による接合法、即ち、射出接合法で、金属材とポリプロピレン樹脂組成物が実用的な接合力で一体化することが可能か否かは全く分からない。勿論、これらの接合に関連する報告もない。
移動機械、家庭電化製品、産業機器等に使用する樹脂材料として、耐候性、耐薬品性、軽量性に優れるポリプロピレン樹脂組成物は好ましい材料であることは知られている。特に、強度に優れ、かつ廉価であるガラス繊維(以下、「GF」という。)入りの無極性樹脂であるポリプロピレン系樹脂組成物は、好ましい材料であるとして汎用されている。そして、前述した各種機械の部材部品として、金属とポリプロピレン系樹脂組成物を接合した複合体を製造するとき、その製造に関しては、生産性、再現性、効率性、安全性等の観点から射出成形機の使用、即ち、射出接合法による製造が好ましい。そして、射出接合法により金属とポリオレフィン系樹脂組成物を接合したとき、この成形物間の接着力(固着力)は、前述した各種機器の用途を考慮すると、最低でも10MPa程度を示す接着性に優れた変性ポリオレフィン樹脂を探し出すことが必要と思われた。
本発明の目的は、金属形状物と汎用性のあるポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形により接合する、金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、金属形状物と汎用性のあるポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形により接合した複合体であり、金属形状物とポリプロピレン系樹脂組成物間の接着力(せん断破断力)に優れた、金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法を提供することにある。
本発明1の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、
金属形状物上に、熱硬化型樹脂層、変性ポリオレフィン樹脂層、及びポリプロピレン系樹脂組成物で積層された金属と樹脂の複合体であって、
前記変性ポリオレフィン樹脂層をなす樹脂が、共重合型ポリオレフィン(A)を基材に、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、及び(メタ)アクリル酸から選択される一種以上の成分(B)及び(メタ)アクリル酸エステル(C)をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であり、質量分子量10万〜20万で、且つ、示差走査型熱量計(DSC)による融点70〜110℃の物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である2種以上の変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフイン樹脂と、前記成分(A)を基材に前記成分(B)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフイン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物であることを特徴とする。
本発明2の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、本発明1又は2の複合体において、前記熱硬化型樹脂層は、主材がウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなるコート材であることを特徴とする。
本発明3の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、本発明1又は2の複合体において、前記ポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形により成形されたものであり、前記金属形状物と前記ポリプロピレン系樹脂組成物との間の平均せん断破砕応力は、13MPa以上であることを特徴とする。
本発明4の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、本発明1又は2の複合体において、前記共重合型ポリオレフィン(A)が、エチレン共重合型ポリプロピレン、1−ブテン共重合型ポリプロピレン、及びエチレン−1−ブテン共重合型ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明5の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、本発明1又は2の複合体において、前記の(メタ)アクリル酸エステル(C)が、少なくとも一般式(1)で示される化合物であること、
CH2=CR1COOR2・・・(1)
ただし、式(1)中、R1=H又はCH3、R2=Cn2n+1、n=8〜18の整数)を特徴とする。
本発明6の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、本発明1又は2の複合体において、前記成分(B)のグラフト質量及び前記(メタ)アクリル酸エステル(C)のグラフト質量のうち少なくとも一方が0.1〜10質量%であることを特徴とする。
本発明7の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の製造方法は、
表面を化学的、又は物理的に粗面化した金属形状物を用意する工程と、
前記金属形状物に主材がウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなる第1コート材を塗布し、加熱して樹脂層を半硬化する工程と、
前記半硬化した前記第1コート材上に、共重合型ポリオレフィン(A)を基材に、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、及び(メタ)アクリル酸から選択される一種以上の成分(B)及び(メタ)アクリル酸エステル(C)をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であり、質量平均分子量10万〜20万で、且つ、示差走査型熱量計(DSC)による融点70〜110℃の物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である2種以上の変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフィン樹脂と、前記成分(A)を基材に前記成分(B)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物である第2コート材を塗布した後、加熱し放冷して下地の前記第1コート材を追硬化させると共に、前記変性ポリオレフィン樹脂コート材層を溶融固着させる工程と、
前記第1コート材及び前記第2コート材で塗布し定着済の前記金属形状物を射出成形金型にインサートして、前記第2コート材上にポリプロピレン系樹脂組成物を射出し、金型を開いて金属形状物と前記ポリプロピレン系樹脂組成物とを一体化して射出接合物を得る工程とからなることを特徴とする。
本発明の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体とその製造方法は、金属形状物とポリプロピレン系樹脂組成物間の固着力(せん断破断力)に優れた複合体を得ることができた。
図1は、本発明の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の基本構造を模式化した外観図である。 図2は、金属片(金属形状物)とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の試験片であり、その接着力を測定する為の複合体の形状を示した詳細図である。 図3は、試験片の接着力を測定するための接着力測定用補助治具の外観を示す図である。 図4は、本発明の複合体である金属と樹脂を積層した積層体の例を示したものである。 図5は、本発明の複合体の例であり、両面に金属形状物を配置し、中間にポリプロピレン系樹脂組成物を積層した積層体の例を示したものである。
[金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体]
本発明でいう、「金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体」の基本構造は、金属形状物上に熱硬化型樹脂層、変性ポリオレフィン樹脂層、ポリプロピレン系樹脂組成物を順次積層したものである。その複合体の製造方法は、金属形状物上に熱硬化型樹脂層、この上層に変性ポリオレフィン樹脂層を順次形成し、更に、この上に射出成形、熱プレス等の方法により、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする組成物を積層したものをいう。本発明の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、家電機器、自動車等の移動機械、一般機械、医療機械、産業機械、家屋等の建築物の建材、土木構造物等の土木分野に使われる土木資材において、これらの装置、機械、又は不動産の外装部材、保護部材等として、各種金属と樹脂を一体化した複合体(積層材)である。
これらの用途において、機械的な強度が必要なときは、ポリプロピレン系樹脂にグラスファイバー(GF)を常法により混入させ、ポリプロピレン系樹脂組成物に強度を持たせる。このGFを必要量混入することにより、前述した各種機械、又は構造物等の外装を金属薄板で防護する外装カバー部材、又はその逆に、金属板状物で機械的強度を持たせて、ポリプロプレン系樹脂組成物により、金属部分の腐食を防ぐ防食カバー材や防食構造材に使用できる。
[金属形状物]
本発明において、金属形状物の材質は、通常は汎用のアルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、銅合金、ステンレス鋼、一般鋼材、アルミ鍍金鋼板、亜鉛鍍金鋼板等の金属である。これらの金属を塊、板材、棒材等から、プレス加工等の塑性加工、鋸加工、旋削加工、放電加工、ドリル加工、研削加工、研磨加工等の切削・研削加工を常法により行って、所望の形状に加工する。本発明の金属形状物とは、これらの機械加工、化学エッチング等の加工手段を、単独、又はこれらの加工を組み合わせて所望の形状にしたものである。この金属形状物の材質として、アルミニウム合金の場合、日本工業規格(JIS)で規格化されている1000〜7000番系のもの、ダイキャスト用の各種のアルミニウム合金を例示することができる。なお、1000番系はマグネシウム、珪素、銅、マンガン等を含有した高純度アルミニウム系の合金である。この機械加工後、常法により表面の汚れ、油脂等を取り除いた後、常法により、この表面を金属毎に異なる処理液で化学エッチング加工を行う。
また、上記ステンレス鋼としては、鉄にクロム(Cr)を加えたCr系ステンレス鋼、またニッケル(Ni)をクロム(Cr)と組合せて添加した鋼であるCr−Ni系ステンレス鋼、その他のステンレス鋼と呼称される公知の耐食性を有する鉄合金、日本工業規格(JIS)等で規格化されているSUS405、SUS429、SUS403等のCr系ステンレス鋼、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等のCr−Ni系ステンレス鋼を例示することができる。これらの金属素材の中では、軽量性、加工性等の理由から、アルミ系材料を用いたものが良い。本発明の複合体に使用される金属形状物の表面は、その金属種に対し全面腐食性を示す酸塩基水溶液に浸漬し、その後によく水洗する方法による化学エッチング方法、或いは、研削加工、サンドペーパー、ブラスト加工等の砥粒加工による物理的加工等の何らかの手段で、金属表面を粗面化処理したものが好ましい。粗面化あるいは化成処理を兼ねた粗面化をすることで、この表面上の熱硬化型樹脂層との接合力が高くなる。
[熱硬化型樹脂層]
(ウレタン樹脂硬化層)
本発明の熱硬化型樹脂層の一つは、金属形状物の表面に、ウレタン硬化型樹脂コート材を塗布した後、加熱し、半硬化させた樹脂層である。金属形状物の表面に直接接合させるものは、本発明では第1コート材である熱硬化型樹脂であり、その機能は金属表面との接着であり、かつその上部に積層される素材を繋ぎ止めるためのものである。即ち、その素材とは、第2コート材である特定の融点を有する変性ポリオレフィン樹脂が、この上層に成形のために射出されるポリプロピレン系樹脂組成物の流れに流されぬように繋ぎ止めるためのものである。それ故に、使用する熱硬化型樹脂としては、低温で硬化可能な2液性の熱硬化型樹脂が好適であり、本例では2液性のウレタン硬化型樹脂を用いた。より具体的には、市販の2液性ウレタン硬化型コート材、即ち、ウレタン硬化型のインキ、ウレタン塗料等が使用できる。
前述の粗面化した金属形状物に、前述した熱硬化型樹脂を含む一般的なインキ、塗料等から選んだものを塗布し、そのコート材メーカーが推薦しているそのコート材の硬化温度より15〜20℃低い温度で加熱し、そのコート材中に含まれている溶剤を蒸発させて、コート材中の樹脂を半硬化させる。本発明者等は、一例として市販の2液性のウレタン硬化型インキを使用し、硬化のための推奨硬化温度より15〜20℃低い80℃で、十数分加熱し硬化させた。これがコート材を半硬化させるための一例である。
(エポキシ樹脂硬化層)
本発明の第1コート材である熱硬化型樹脂層は、上記のウレタン樹脂硬化層に換えて、有極性のエポキシ樹脂系の塗料、インキ等のコート材であっても良い。エポキシ樹脂系のコート材は、1又は2液性エポキシ樹脂の何れでも良い。金属表面に常法により塗布した後、硬化のための推奨硬化温度より15〜20℃低い80℃で十数分加熱し硬化させる。
[変性ポリオレフィン樹脂層]
本発明の変性ポリオレフィン樹脂層は、上記第1コート材の上層に積層される第2コート材である。この変性ポリオレフィン樹脂層は、半硬化した前記熱硬化型樹脂層の上層に、変性ポリオレフィン樹脂コート材を塗布した後、加熱し、冷却固化させた樹脂層である。詳しくは、第2コート材は、半硬化させた前記第1コート材である熱硬化型樹脂層の上に、変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着剤組成物の溶液を塗布して形成されるものである。この変性ポリオレフィン樹脂は、この融点より高い温度まで昇温して加熱することにより、半硬化していた前記ウレタン硬化型樹脂層、又は前記エポキシ樹脂硬化層を更に硬化させ、同時に、この変性ポリオレフィン樹脂層を一旦溶融させその後の放冷で固化して固着させて形成する層である。
この変性ポリオレフィン樹脂層を構成する主成分の樹脂は、後述する特定の変性ポリオレフィン樹脂である。即ち、この変性ポリオレフィン樹脂に何を使用するかで接着力(固着力)は全く異なるからである。即ち、本発明で使用するこの樹脂組成物は、共重合型ポリオレフィンを基材として、極性モノマーをグラフト重合して得た1種、又は2種以上の非塩素化変性ポリオレフィン樹脂(以下、「変性ポリオレフィン樹脂」と言う。)を主成分とする樹脂混合物であって、その示差走査型熱量計(DSC)による融点は、変性ポリオレフィン樹脂1種の場合70〜110℃、変性ポリオレフィン樹脂が1種以上であり、且つ変性ポリオレフィン以外の樹脂も含む混合物の場合は、その加重平均が70〜110℃であることが必要である。
この変性ポリオレフィン樹脂は、融点や加重平均融点が上記範囲外になると十分な接着力が得られない。このように、本発明の変性ポリオレフィン樹脂層に使用する樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂以外に、所望の効果を阻害しない範囲で、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の公知の接着性を有する樹脂を配合することもできるが、その融点範囲に留意することが必要である。
(変性ポリオレフィン樹脂)
変性ポリオレフィン樹脂は共重合型ポリオレフィンを基材として、極性モノマーをグラフト重合して得た変性ポリオレフィン樹脂であり、この変性ポリオレフィン樹脂について更に述べる。即ち、基材となるポリオレフィンは、ホモ型のポリオレフィンではなく、共重合型のポリオレフィンであることが好ましい。基材となる共重合型ポリオレフィン(A)は、特に限定されないが、エチレン共重合型ポリプロピレン、1−ブテン共重合型ポリプロピレン、1−ペンテン共重合型ポリプロピレン、1−ヘキセン共重合型ポリプロピレン、等々のαオレフィン共重合型ポリプロピレン、更には、2種以上のαオレフィンコモノマーを含む共重合型ポリプロピレンを使用することが好ましい。そして、基材となるこの共重合型ポリオレフィンの質量平均分子量は、グラフト重合後に得られる変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が10万〜20万の範囲となれば自由に選択して使用できるが、その質量平均分子量が5万〜50万であるのが好ましい。質量平均分子量が5万より小さいと、接着性、溶液性状等の所望性能を維持したまま、グラフト重合後に質量平均分子量を上記範囲に収めることが難しく、50万より大きいと反応系の粘度が上がり、撹拌不良等のトラブルが生じる。
変性ポリオレフィン樹脂の分子量が10万より小さいと、分子長さが短いものであり、下地の熱硬化性樹脂とこの表面上に接合されるポリプロピレン系樹脂組成物を繋ぎ止める力が不十分になる故とみられる。一方、変性ポリオレフィン樹脂の分子量が20万より大きいと、溶剤に溶け難くなり、塗料性や被覆形成性も低下するので好ましくない。更に、グラフト重合前の基材であるポリプロピレン樹脂、前述した成分(A)に、α,β−不飽和カルボン酸、又はその誘導体(B)、及び(メタ)アクリル酸エステル(C)を、グラフト重合することで本発明に使用出来る変性ポリオレフィン樹脂になる。以下、成分(B)、成分(C)について詳細に述べる。
前記成分(B)は、α,β−不飽和カルボン酸、又はその誘導体である。α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、(メタ)アクリル酸などが例示され使用できるが、特に無水マレイン酸の使用が好ましい。成分(B)は、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる1種以上の化合物であればよく、α,β−不飽和カルボン酸1種以上とその誘導体1種以上の組み合わせ、α,β−不飽和カルボン酸2種以上の組み合わせ、α,β−不飽和カルボン酸の誘導体2種以上の組み合わせであってもよい。
変性ポリオレフィン樹脂中の前述した成分(B)のグラフト質量は、変性ポリオレフィン樹脂を100質量%とした場合に、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜4質量%である。グラフト質量が、0.1質量%以上であることにより、得られる変性ポリオレフィン樹脂の、極性樹脂に対する接着性を保つことができる。グラフト質量が10質量%以下であることにより、グラフト未反応物の発生や分子量低下を防止することができ、樹脂被着体に対する十分な接着性を得ることができる。前述した成分(B)のグラフト質量%は、公知の方法で測定することができる。例えば、アルカリ滴定法、或いはフーリエ変換赤外分光法によって求めることができる。
前述した成分(C)は、(メタ)アクリル酸エステルである。(メタ)アクリル酸エステルはアクリル酸又はメタクリル酸のエステルであり、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前述した成分(C)は、一般式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルであることがより好ましい。
CH2=CR1COOR2 ・・・(I)
これにより、変性ポリオレフィン樹脂を合成する際の共重合型ポリオレフィン樹脂(A)からの分子量低下を抑制するとともに、分子量分布を狭くすることができ、変性ポリオレフィン樹脂の溶剤溶解性、溶液の低温安定性、接着剤組成物中の他樹脂との相溶性、接着性を向上させることができる。一般式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルは単独でも複数種でも任意の割合で混合して使用することができる。
前述の一般式(I)中のR1は、H又はCH3を表すが、本発明の(メタ)アクリル酸エステルでは、CH3のものが好ましい。R2は、Cn2n+1を表す。ただし、nは、8〜18の整数を表し、nが8〜15であるものが好ましく、nが8〜14であるものがより好ましく、8〜13であるものが更に好ましい。式(I)で示される化合物としては、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、ラウリルメタクリレート、オクチルメタクリレートがより好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂中の前記成分(C)のグラフト質量は、変性ポリオレフィン樹脂を100質量%とした場合に、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.5〜4質量%である。グラフト質量が0.1質量%以上であることにより、変性ポリオレフィン樹脂の分子量の分布を十分狭い範囲に保ち、グラフト変性時の分子量低下も抑制することができる。すなわち、高分子量が適性でないときの接着力の悪影響を防止して、溶剤溶解性、溶液の低温安定性及び他樹脂との相溶性を良好に保持することができる。また、低分子量部分の悪影響を防止して、接着力を向上させることができる。グラフト質量が10質量%以下であることにより、グラフト未反応物の発生を防止し、樹脂被着体に対する接着性を良好に保持することができる。前記成分(C)のグラフト質量%は、公知の方法で測定することができる。例えば、フーリエ変換赤外分光法、或いは1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)によって求めることができる。
変性ポリオレフィン樹脂中の前記成分(B)のグラフト質量、及び前記成分(C)のグラフト質量のうちのいずれかが、0.1〜10質量%であるものが好ましく、両方が0.1〜10質量%であるものがより好ましい。本発明では、用途や目的に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で、前記成分(B)、前記(C)以外のグラフト成分を併用することができる。使用可能なグラフト成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、成分(C)以外の(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等)が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂中の成分(B)、(C)以外のグラフト成分は、単独であってもよいし、或いは複数種の組み合わせで併用してもよく、合計のグラフト質量が成分(B)、(C)の合計のグラフト質量を超えないことが好ましい。
グラフト重合に必要なラジカル発生剤、成分(D)、は公知のラジカル発生剤の中より適宜選択することができ、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物系化合物としては例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,4−ビス[(t−ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート等が挙げられ、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド及びジラウリルパーオキサイドが好ましい。前記成分(D)は、単独のラジカル発生剤でもよいし、複数種のラジカル発生剤の組み合わせであってもよい。
グラフト重合反応における前記成分(D)の添加量は、前記成分(B)の添加量及び成分(C)の添加量の合計(質量)に対し、1〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは、10〜50質量%である。1質量%以上であることにより、十分なグラフト効率を保持することができる。100質量%以下であることにより、変性ポリオレフィン系樹脂の質量平均分子量の低下を防止することができる。
グラフト重合は、基材の共重合型ポリオレフィンを熱溶融させた状態で行っても良いし、有機溶剤や水に溶解・分散させた状態で行ってもよい。使用できる有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤や、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式系溶剤が挙げられる。また、エステル系溶剤やケトン系溶剤等の極性溶剤を、溶液性状を損なわない範囲で併用することもできる。水に分散させる方法としては公知の方法が使用できるが、乳化剤等の他成分を極力含まないことが望ましい。
変性ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、100,000〜200,000であり、好ましくは110,000〜190,000であり、より好ましくは120,000〜180,000である。質量平均分子量が10万以上であることにより、極性樹脂、及び非極性樹脂への強力な接着性を得ることができる。20万以下であることにより、接着剤を使用する際に十分な溶剤溶解性を得ることができる。実施例を含む本発明における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準物質:ポリスチレン)によって測定し、算出された値である。
変性ポリオレフィン樹脂の示差走査型熱量計(以下、DSC)による融点(以下、Tm)は、70℃〜150℃であるものが使用できる。仮に、単独で使用して変性ポリオレフィン樹脂層とするのであれば融点70〜110℃の物が好ましい。基本的には、融点が70℃以上であると高い接着強度を得ることができ、一方で融点が150℃以下であると溶液安定性が良好であるから、低融点の物、高融点のもの、これら2種以上を混合することでその加重融点を70〜110℃にすれば、前述した単独使用品に同等な結果を与え得る。同様に、変性ポリオレフィン樹脂1種以上とその他の樹脂(変性ポリオレフィン樹脂でない熱可塑性樹脂)を混合することでその加重平均が70〜110℃になる場合、前記の単独使用品に近い結果を与える場合がある。
本発明におけるDSCによるTmの測定は、例えば以下の条件で行うことができる。JIS K7121−1987に準拠し、DSC(示差走査熱量測定装置:株式会社日立ハイテクサイエンス(本社:日本国東京都)製)を用い、約5mgの試料を150℃で10分間加熱融解状態を保持後、10℃/分の速度で降温して−50℃で安定保持した後、更に10℃/分で150℃まで昇温して融解した時の融解ピーク温度を測定し、該温度をTmとして評価する。尚、後述の実施例におけるTmは前述の条件で測定されたものである。
[ポリプロピレン系樹脂組成物:射出樹脂]
本発明で用いいるポリプロピレン系樹脂組成物は、市販されている一般的な射出成形用ポリプロピレン系樹脂を使用できる。通常、ポリプロピレン系樹脂組成物は、金属成形物上に、前述した第2コート材である変性ポリオレフィン樹脂層が形成されたものを射出成形金型にインサートし、ポリプロピレン系樹脂組成物を射出することにより使用される。更に詳しく言えば、このポリプロピレン系樹脂組成物は、GF含量0〜50質量%のホモ型ポリプロピレン樹脂、同ランダム型ポリプロピレン樹脂、同ブロック型ポリプロピレン樹脂の何れのタイプも使用できる。
[金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の製造方法]
本発明の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体は、概略すると以下の工程1〜4からなる。工程1:前述した機械加工等を経た金属形状物を用意する工程、工程2:前記金属形状物に主材がウレタン樹脂、又はエポキシ樹脂等からなる塗料、インキ等を塗布・加熱し、半硬化させて第1コート材である熱硬化樹脂層を形成させる工程、工程3:工程2で半硬化させた熱硬化樹脂層の上に、第2コート材である特定の変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂コート材を塗布し、加熱により熱硬化樹脂層を硬化させ、同時に変性ポリオレフィン樹脂層を溶融固着させる工程、工程4:工程3で得た上記2層の塗膜層が付着した金属形状物を射出成形金型にインサートし、第1コート材、及び第2コート材層の上に、ポリプロピレン系樹脂組成物を射出形成させる工程を経て製造する。
前記工程1の金属形状物を用意する工程では、金属形状物とその表面上に形成する極性樹脂層との間の密着性を向上させるために、前述したように金属形状物は、その表面を粗面化、或いは化成処理を兼ねて粗面化したものを用いるのが好ましい。前記工程2は、前記金属形状物の表面に、熱硬化型樹脂であるコート材を塗布・加熱し、半硬化させた樹脂層を形成させる工程である。この工程2は、金属形状物上に2液性ウレタン硬化型、又は1又は2液性エポキシ樹脂のインキ又は塗料を塗布、又は浸漬により塗布し、これを加熱して60℃以下で溶剤の大部分を揮発させた後、インキや塗料の一般的な硬化温度より20℃程度低い温度で処理し、ウレタン硬化型樹脂、又はエポキシ樹脂を半硬化状態に留めるための工程である。
前記工程3は、前記工程2で半硬化させたウレタン樹脂、又はエポキシ樹脂を主材とする熱硬化樹脂層の上に、特定の変性ポリオレフィン樹脂を含有する接着剤組成物の溶液を塗布し、変性ポリオレフィン樹脂の融点より高い温度まで昇温して加熱することにより、半硬化していたウレタン樹脂層、又はエポキシ樹脂層を更に硬化させ、同時に前記変性ポリオレフィン樹脂層を一旦溶融させその後の放冷で固化固着させるための工程である。
この工程3で使う特定の変性ポリオレフィン樹脂とは、共重合型ポリオレフィン(A)を基材に、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)、及び(メタ)アクリル酸エステル(C)をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であり、分子量が10万〜20万であり、且つ、示差走査型熱量計(DSC)による融点が70〜110℃の物、又は、融点の荷重平均が70〜110℃となる2種以上の混合物である。
前記工程4は、工程3で得た2層塗布処理済みの金属形状物を射出成形金型にインサートして、前記塗面上にポリプロピレン系樹脂組成物を射出形成させ、結果的に金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体である射出接合物を得る工程である。なお、射出成形における金型温度、射出温度等の成形条件は、一般的なポリプロピレン系樹脂の射出成形条件と変わらない。敢えて言えば、金型温度は80〜100℃とやや高め、射出温度も260〜280℃程度とやや高めに調整するのが好ましい。理論的には、双方を更に高くした方が安定した接着性を有する複合体を得ることができるが、金型温度を100℃以上にするとランナー部が離型し難くなり連続射出操作が困難になるし、射出温度を更に上げると、所謂糸引き・ハナタレが起こり易くなる。
以下、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の基本構造を模式化した外観図である。図2は、金属形状物とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の接着(固着)強度を計測するための試験片であり、その接着力を測定する為の複合体の形状を示した詳細図である。図3は、試験片の接着力を測定するための測定治具の外観を示す図である。図4は、本発明の複合体である金属と樹脂を積層した積層体の例を示したものである。図5は、本発明の複合体である両面に金属形状物と、中間にポリプロピレン系樹脂組成物を交互に積層した積層体の例を示したものである。
[実施例1]
(工程1)
厚さ1.6mmのA5052アルミ合金板を入手し、この合金板を多数の45mm×18mmアルミ合金片(試験片)に切断した。脱脂槽に、アルミ用脱脂剤「NE−6」(メルテックス株式会社製、本社:日本国東京都)を、7.5%含む水溶液(液温60℃)を用意し、これを脱脂液とした。切断したアルミ合金板片を前記脱脂槽に5分浸漬した後、これを水洗した。次に、脱脂槽とは別の槽に、塩酸1%を含む水溶液(液温40℃)を用意し、これを予備酸洗槽とした。この予備酸洗槽に、前記アルミ合金片を1分浸漬し、これを洗浄のために水洗した。更に別の槽に、苛性ソーダを1.5%含む水溶液(液温40℃)をエッチング液とし、これをエッチング槽に満たした。このエッチング槽に前記アルミ合金片を10分浸漬した後、これを洗浄のために水洗した。更に別の槽に、3%濃度の硝酸水溶液(液温40℃)を用意し、これを酸洗槽とした。この酸洗槽に、前記アルミ合金片を3分浸漬した後、これを洗浄のために水洗した後、温風乾燥機で乾燥した。これを粗面化アルミ合金片とした。
(工程2)
ウレタン系、2液イソシアネート硬化型インキ「SG740」(株式会社セイコーアドバンス製、本社:日本国東京都)を、メーカー推奨の混合比でインキ、硬化剤、溶剤を調整し、この混合液を筆に含ませて、前記粗面化アルミ合金片の端部に端から10mmほどの部分に塗った。これらを段ボール紙の上に並べて、80℃にセットした温風乾燥機に15分入れてインキ中の溶剤を揮発させ、且つ上記「SG740」層を半硬化させた。
(工程3)
次に、変性ポリオレフィン樹脂1を、メチルシクロヘキサン/MEK(8:2の混合溶剤)の混合溶剤に溶解させて、これをコート液とし、このコート液をガラス皿に取り、コート液を含ませた筆で、前記アルミ合金片端部に、前記ウレタン系、2液イソシアネート硬化型インキを半硬化させた塗膜の上に塗布し、60℃にセットした温風乾燥機に15分入れて溶剤を揮発させた後、110℃にした熱風乾燥機に15分入れて出し放冷した。
<変性ポリオレフィン樹脂1の製造>
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、エチレン共重合型ポリプロピレン(プロピレン成分88モル%、エチレン成分12モル%、質量平均分子量150000、Tm=72℃)100質量部をトルエン400g中に、加熱溶解させた後、系内の温度を110℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸1.5質量部、ラウリルメタクリレート1.5質量部、シクロヘキシルメタクリレート0.3質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1質量部をそれぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応させた。
反応後、室温まで冷却した後、反応物を大過剰のアセトン中に投入して精製し、質量平均分子量が125000、Tm=72℃、無水マレイン酸のグラフト質量が1.3質量%、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートの合計グラフト質量が1.6質量%の変性ポリオレフィン樹脂1を得た。なお、無水マレイン酸のグラフト質量は、アルカリ滴定法により測定し、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートの合計グラフト質量は、1H−NMRにより測定した。
(工程4)
前記変性ポリオレフィン樹脂の塗布、溶融、放冷固化工程を終了したアルミ合金片を80℃、又は100℃にした射出成形金型にインサートし、ガラスファイバー(GF)30%入りのポリプロピレン系樹脂組成物3種(ホモ型、ランダム型、ブロック型、プライムポリマー社製)を射出温度270℃で射出し、アルミ合金片とポリプロピレンとの射出接合物である、金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体を得た(図2参照)。この接合面は、5mm×10mmの0.5cmである。ここで得られた複合体を、図3に示す接着力測定用補助治具を用いて、翌日に引っ張り試験機で引っ張り破断させ、金属部と樹脂層間の接着力(せん断破断力)を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
厚さ1.0mmのSUS304−2B板材を入手し、多数の45mm×18mmのステンレス鋼片に切断した。脱脂槽に、アルミ用脱脂剤「NE−6」(メルテックス株式会社製、本社:日本国東京都)を、7.5%含む水溶液(液温60℃)を満たした。この脱脂層に、前記合金片を5分浸漬した後、これを洗浄のために水洗した。次に別の槽に苛性ソーダ1.5%を含む水溶液(液温40℃)を用意し、これを予備塩基洗槽とした。この予備塩基洗槽に、前記ステンレス鋼片を1分浸漬した後、これを洗浄のために水洗した。次に別の槽に、1水素2弗化アンモン1%と硫酸5%を含む水溶液(液温65℃)を用意し、これをエッチング槽とした。このエッチング槽に、前記ステンレス鋼片を8分浸漬した後、洗浄のためにこれを水洗した。次に別の槽に、3%濃度の硝酸水溶液(液温40℃)を用意し、これを酸洗槽とした。この酸洗槽である中和槽に前記ステンレス鋼片を3分浸漬した後、洗浄のために水洗し、これを温風乾燥機で乾燥した。
その後の工程2ないし4は、実施例1と全く同様に行い、得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
変性ポリオレフィン樹脂を、下記の変性ポリオレフィン樹脂2と変性ポリオレフィン樹脂3を固形分質量比で1:1に混合したものに変更した以外は実施例1と全く同様にして行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
<変性ポリオレフィン樹脂2の製造>
1−ブテン共重合型ポリプロピレン(プロピレン70モル%、1−ブテン30モル%、質量平均分子量250,000、Tm=65℃)100質量部、無水マレイン酸3.5質量部、オクチルメタクリレート3.0質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート0.5質量部、ジラウリルパーオキサイド2質量部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて混練反応した。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、質量平均分子量が180000、Tm=65℃、無水マレイン酸のグラフト質量が3.1質量%、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートの合計グラフト質量が3.0質量%の変性ポリオレフィン樹脂2を得た。
<変性ポリオレフィン樹脂3の製造>
攪拌機、冷却管、及び滴下漏斗を取り付けた四つ口フラスコ中で、エチレン共重合型ポリプロピレン(プロピレン96モル%、エチレン4モル%、質量平均分子量250,000、Tm=135℃)100質量部をキシレン400g中に加熱溶解させた後、系内の温度を140℃に保持して撹拌しながら、無水マレイン酸1.5質量部、架橋剤としてパーヘキサ(登録商標)25B(日油株式会社(本社:日本国東京都)製))1質量部を、それぞれ3時間かけて滴下し、さらに1時間反応させた。反応後、室温まで冷却した後、反応物を大過剰のアセトン中に投入して精製し、質量平均分子量が120000、Tm=135℃、無水マレイン酸のグラフト質量が0.7質量%の変性ポリオレフィン系樹脂3を得た。
[実施例4]
変性ポリオレフィン樹脂を、下記の変性ポリオレフィン樹脂4に変更した以外は実施例1と全く同様にして行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
<変性ポリオレフィン樹脂4の製造>
1−ブテン共重合型ポリプロピレン(プロピレン80モル%、1−ブテン20モル%、質量平均分子量250,000、Tm=88℃)100質量部、無水マレイン酸3.5質量部、オクチルメタクリレート3.0質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート0.5質量部、ジラウリルパーオキサイド2質量部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて混練反応した。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、質量平均分子量が180,000、Tm=88℃、無水マレイン酸のグラフト質量が3.1質量%、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートの合計グラフト質量が3.0質量%の変性ポリオレフィン樹脂4を得た。
[実施例5]
実験例1と全く同じ処理をして、厚さ1.6mmのA5052アルミ合金製45mm×18mmの小片の粗面化アルミ合金片多数を得た。1液性変性エポキシ硬化型塗料「ニッペ パワーバインドネクスト(1液変性エポキシ速乾万能型下塗り塗料)」(日本ペイント株式会社(本社:東京都)」を、筆に含ませて前記アルミ合金片の端部に、端から10mmほどに塗った。これらを段ボール紙の上に並べ80℃にセットした温風乾燥機に15分入れて塗料中の溶剤を揮発させ塗布層を乾かせた。
次に、変性ポリオレフィンのコート材液、その他のコート材液をガラス皿に取り、筆で前記のアルミ合金片の端部の半硬化させた塗膜の上に塗り付けた。この塗布作業を済ませたアルミ合金片を60℃にセットした温風乾燥機に15分入れて溶剤を揮発させた後、110℃にセットした熱風乾燥機に15分入れて出し放冷した。この加熱で下地塗膜は追硬化され、且つ、変性ポリオレフィンは一旦溶融した。
1週間後、前記の2層塗膜付きのアルミ合金片を80℃にした射出成形金型にインサートし、GF30%入りのランダム型PP(株式会社プライムポリマー(本社:日本国東京都)製)を射出温度270℃で射出し、アルミ合金片とPP射出成形物が一体化した射出接合物(図2参照)を得た。接合面は5mm×10mmの0.5cm2である。得た射出接合物を、図3に示す治具を用いて、翌日に引っ張り試験機で引っ張り破断させ、金属部と樹脂部間の接合力(せん断破断力)を測定した。
[比較例1]
変性ポリオレフィン樹脂として、スーパークロン822(酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂、質量平均分子量:60,000、融点:75℃、日本製紙株式会社(本社:日本国東京都)製)に変更した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
変性ポリオレフィン樹脂として、スーパークロン892L(酸変性塩素化ポリオレフィン樹脂、質量平均分子量:60,000、融点:85℃、日本製紙製)に変更した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
変性ポリオレフィン樹脂として、スーパークロン224H(アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂、質量平均分子量:70,000、融点:90℃、日本製紙製)に変更した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例4]
変性ポリオレフィン樹脂として、下記の変性ポリオレフィン樹脂5を使用した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
<変性ポリオレフィン樹脂5の製造>
エチレン、1−ブテン共重合型ポリプロピレン(エチレン10%、プロピレン80モル%、1−ブテン10モル%、質量平均分子量90,000、Tm=120℃)100質量部、無水マレイン酸6.0質量部、ラウリルメタクリレート5.0質量部、n−ブチルメタクリレート0.5質量部、ジラウリルパーオキサイド2質量部を、170℃に設定した二軸押出機を用いて混練反応した。押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去し、質量平均分子量が60000、Tm=120℃、無水マレイン酸のグラフト質量が4.0質量%、ラウリルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートの合計グラフト質量が3.8質量%の変性ポリオレフィン樹脂5を得た。
[比較例5]
変性ポリオレフィン樹脂として、変性ポリオレフィン樹脂2に変更した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例6]
変性ポリオレフィン樹脂として、変性ポリオレフィン樹脂3に変更した以外は実施例1と全く同様に行った。得た射出接合物の接合力を測定した。その結果を表1に示す。

Claims (7)

  1. 金属形状物上に、熱硬化型樹脂層、変性ポリオレフィン樹脂層、及びポリプロピレン系樹脂組成物で積層された金属と樹脂の複合体であって、
    前記変性ポリオレフィン樹脂層をなす樹脂が、共重合型ポリオレフィン(A)を基材に、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、及び(メタ)アクリル酸から選択される一種以上の成分(B)及び(メタ)アクリル酸エステル(C)をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であり、質量分子量10万〜20万で、且つ、示差走査型熱量計(DSC)による融点70〜110℃の物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である2種以上の変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフイン樹脂と、前記成分(A)を基材に前記成分(B)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフイン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物である
    ことを特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  2. 請求項1に記載の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体において、
    前記熱硬化型樹脂層は、主材がウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなるコート材である
    ことを特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  3. 請求項1又は2に記載の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体において、
    前記ポリプロピレン系樹脂は、射出成形により成形されたものであり、
    前記金属形状物と前記ポリプロピレン系樹脂との間の平均せん断破砕応力は、13MPa以上である
    ことを特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  4. 請求項1又は2に記載の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体において、
    前記共重合型ポリオレフィン(A)が、エチレン共重合型ポリプロピレン、1−ブテン共重合型ポリプロピレン、及びエチレン−1−ブテン共重合型ポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  5. 請求項1又は2に記載の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体において、
    前記の(メタ)アクリル酸エステル(C)が、少なくとも一般式(1)で示される化合物であること、
    CH2=CR1COOR2・・・(1)
    ただし、式(1)中、R1=H又はCH3、R2=Cn2n+1、n=8〜18の整数、
    を特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  6. 請求項1又は2に記載の金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体において、
    前記成分(B)のグラフト質量及び前記(メタ)アクリル酸エステル(C)のグラフト質量のうち少なくとも一方が0.1〜10質量%である
    ことを特徴とする金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体。
  7. 表面を化学的、又は物理的に粗面化した金属形状物を用意する工程と、
    前記金属形状物に主材がウレタン樹脂又はエポキシ樹脂からなる第1コート材を塗布し、加熱して樹脂層を半硬化する工程と、
    前記半硬化した前記第1コート材上に、共重合型ポリオレフィン(A)を基材に、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、無水ハイミック酸、及び(メタ)アクリル酸から選択される一種以上の成分(B)及び(メタ)アクリル酸エステル(C)をグラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂であり、質量平均分子量10万〜20万で、且つ、示差走査型熱量計(DSC)による融点70〜110℃の物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である2種以上の変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物、又は、前記成分(A)を基材に、前記成分(B)、(C)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフィン樹脂と、前記成分(A)を基材に前記成分(B)をグラフト重合させた質量平均分子量10万〜20万である変性ポリオレフィン樹脂を、融点の加重平均が70〜110℃となるように混合した物である第2コート材を塗布した後、加熱し放冷して下地の前記第1コート材を追硬化させると共に、前記変性ポリオレフィン樹脂コート材層を溶融固着させる工程と、
    前記第1コート材及び前記第2コート材で塗布し定着済の前記金属形状物を射出成形金型にインサートして、前記第2コート材上にポリプロピレン系樹脂組成物を射出し、金型を開いて金属形状物と前記ポリプロピレン系樹脂組成物とを一体化して射出接合物を得る工程と
    からなる金属とポリプロピレン系樹脂組成物の複合体の製造方法。
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