JP6267584B2 - 半導体光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信用の光送信器用光源に関する。より詳細には、光源用の半導体レーザに適用可能な半導体光素子に関する。
インターネットの普及に伴うネットワークトラフィック量の爆発的な増大により、光ファイバ伝送の高速・大容量化が続いている。半導体レーザは、光ファイバ通信を支える光源の基本的なデバイスとして発展を続けてきた。電流強度の変調によって強度変調信号を生成する直接変調レーザは、レーザの構成が簡単でありしかも消費電力が小さいことから、アクセス系ネットワーク等において利用される低コストの光送信器として活用されている。
従来技術の半導体レーザでは、半導体基板上に、下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を形成し、活性層の上下にあるクラッド層に不純物ドーピングを行って、縦方向(基板面に垂直な方向)に電流を注入する構造を持っていた。これに対し、活性層内に水平方向(基板面に平行な方向)に電流を注入するいわゆる横注入レーザが、Namizakiにより考案された(非特許文献1)。横注入レーザは、活性層の横にあるクラッド層に不純物ドーピングを行い、活性層の横方向(幅方向)に電流を注入する。横注入レーザにおいては、活性層の断面は、一般に基板に平行な方向に長い扁平な構造により形成される。同一の構造の活性層をレーザに用いた場合は、素子の寄生容量は、横注入構造の方が縦注入構造よりも低くなる。したがって、横注入構造のレーザの方がより高速に信号応答し、高速な変調動作に適している。また、横注入レーザでは電流注入用の電極をレーザの表面に形成できることから、電子デバイス等の集積化やモジュール化により適している点もすぐれた特徴である。
具体的には、NamizakiらはGaAs基板上に構成した横注入半導体レーザを実現し、その後、KawamuraらはInP基板上に構成した横注入レーザも実現した(非特許文献2)。以下、まず横注入レーザのより具体的な構成について説明する。
図8は、従来技術の横注入レーザ用の導波路の構造を示す図である。レーザの共振器部分に利用される導波路を、光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造501を示している。導波路構造501は、半絶縁性InP基板501上に活性層504が形成されており、さらに活性層504の上方に真性半導体(i−InP)InP層または半絶縁性(SI)InP層503bが形成されている。活性層504に接して直ぐ上下には、それぞれ光−キャリア分離閉じ込め(SCH:Separate Confinement Heterostructure)層505b、505aが形成されており、SCH層505a、505bを挟んで活性層504の上下には真性半導体InP層または半絶縁性InP層が形成されている。活性層504の横は、左右ともにInPによって埋め込まれている。図8で活性層504の左側の埋込み層507には電流注入のためのn型ドーピングが施されており、活性層504の右側の埋込み層508には、p型ドーピングが施されている。埋込み層507、埋込み層508の上には、それぞれ電流注入用のInGaAsコンタクト層509a、509bが形成されている。さらに、コンタクト層509a、509bの上には、それぞれ電流注入用の電極510a、510bが形成されている。
Kawamuraらの検討においては、活性層504の上部のInPクラッド層503bの厚さは1.5μmであり、従来技術の縦注入レーザと変わらない構造であった。近年、Shindoらは、InP基板上に厚さ400nm弱の薄い活性層および薄いInP層から構成される薄膜横注入レーザを実現した(非特許文献3)。既に述べたように、横注入レーザ構造の場合、活性層の上下にあるクラッド層の厚さを薄くすることによって、素子の寄生容量を抑制できる利点がある。Shindoらは、横注入レーザにおいてこの薄膜構造を採用することによって、5GHzに至る変調帯域を実現した。
H. Namizaki 他, Journal of Applied Physics, vol. 45, pp.2785-2786 (1974) Y. Kawamura 他, Electronics Letters, vol. 29, pp.102-104 (1993) T. Shindo 他, Optics Express, vol. 19, pp. 1884-1891 (2011) T. Shindo 他, Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, vol. 19, 1502009 (2013)
広い変調帯域を実現できる横注入レーザであるが、横注入レーザをアクセス系ネットワークやメトロネットワークに適用する為には、十分な光出力レベルを確保することが重要である。しかしながら、従来技術の横注入レーザにおいては、非特許文献3に見られるように最大の光出力レベルは10mW以下にとどまっており、光出力をさらに高出力化することが望まれている。
縦方向の電流注入レーザでは、活性層幅を1μm以上として、活性層の体積を大きくした構造が、光出力の高出力化をするための一般的で方法であった。しかしながら、横注入レーザでは、活性層の横方向(幅方向)に電流を注入する構造であるため、活性層内における電流分布に不均一性が生じ、活性層幅を増やすことによっては、高出力化の効果が得られない。
図9は、横注入レーザの活性層断面における電子およびホール分布をシミュレーションした結果を示す図である。活性層の断面において光の進行方向に垂直な方向の活性層幅が2μmおよび0.5μmの各場合について比較したものである。図9の(a)では、活性層幅が2μmの素子の場合を、図9の(b)では、活性層幅が0.5μmの素子の場合をそれぞれ示す。活性層の両側にある埋め込み層は、nドーピング濃度、pドーピング濃度がそれぞれ1×1018cm−3でドーピングされている。活性層としては、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの14層を繰り返して形成された量子井戸を例に計算している。尚、図9の断面図の量子井戸内の各層は簡略化して描いてある。
図9の(a)を参照すれば、活性層領域内において、電子およびホールがp型の埋め込み層側の領域に局在していることがわかる。この結果、活性層の幅が2μmである場合のように、幅の広い素子における発光効率は大きく低下する。幅の広い活性層における発光効率の低下の影響は、非特許文献4の中でShindoらも指摘していた。
図10は、図9と同じ各場合において活性層断面における誘導放出の分布を示す図である。図10の(b)に示したように、活性層幅が0.5μmの素子においては、概ね活性層の幅の全領域で誘導放出が生じている。一方で、図10の(a)に示した活性層幅が2μmの素子においては、矢印で表した活性層内のp型の埋め込み層側にある半分程度の領域でしか誘導放出が生じていない。このように、横注入レーザでは、活性層内のキャリア分布の不均一を抑制することが求められている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、発光効率の高い横注入半導体レーザを実現することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、SiO 2 層が形成されたシリコン基板と、前記SiO 2 の上に形成された活性層と、前記活性層の両側に埋込み層とを備えた導波路構造が形成され、前記埋込み層の一方に第1のタイプの不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方に第2のタイプの不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されている半導体光素子において、前記SiO 2 の上に設けられた第1のp型ドーピング層、前記第1のp型ドーピング層の上に設けられた第1の光キャリア分離閉じ込め(SCH)層、前記活性層、前記活性層の上に設けられた第2のSCH層、および、前記第2のSCH層の上に設けられた第2のp型ドーピング層を備えたことを特徴とする半導体光素子である。上述の横方向は、前記導波路構造における活性層の幅方向に対応する。
請求項2に記載の発明は、請求項1の半導体光素子であって前記第1のタイプはp型の不純物ドーピングに対応し、前記第2のタイプはn型の不純物ドーピングに対応することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、前記請求項1または2の半導体光素子の表面に、回折格子を形成したことを特徴とする分布帰還型半導体レーザである。
以上説明したように、本発明によれば、発光効率の高い横注入半導体レーザを実現することができる。
図1は、本発明の実施例1の横注入レーザの導波路構造を示す図である。 図2は、本発明の横注入レーザの構造がキャリア分布に及ぼす効果を従来技術の場合と対比して説明する図である。 図3は、本発明の横注入レーザにおける電流−光出力特性を示す図である。 図4は、本発明の実施例2の横注入レーザの導波路構造を示す図である。 図5は、実施例2の横注入レーザの構造がキャリア分布に及ぼす効果を従来技術の場合と対比して説明する図である。 図6は、本発明の実施例3の横注入レーザの導波路構造を示す図である。 図7は、本発明の実施例4の横注入レーザの導波路構造を示す図である。 図8は、従来技術の横注入レーザ用の導波路の構造を示す図である。 図9は、横注入レーザの活性層断面における電子およびホール分布をシミュレーションした結果を示す図である。 図10は、図9の各場合について、活性層断面における誘導放出強度の分布を示す図である。
本発明の半導体光素子は、半導体基板上に、活性層および埋込み導波路構造が形成され、活性層の両側にある埋込み層に不純物ドーピングが施され、活性層に横方向(幅方向)に電流注入を行う構造において、活性層の上下の少なくとも一方にp型ドーピング層を設ける構造とした。これらのp型ドーピング層は、クラッド層または光キャリア閉じ込め層とすることができる。また、本半導体光素子において、活性層の上部に回折格子を形成した分布帰還型半導体レーザを構成することができる。本発明の横注入レーザにおいては、活性層の上下にあるp型ドーピング層(p型クラッド層またはp型SCH層)を介しても正孔が活性層に供給される。このため、活性層内のn型埋め込みドーピング層側にも正孔が供給される。この活性層の上下にあるp型ドーピング層によって、活性層内の内部量子効率が大幅に改善する。以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の半導体光素子における横注入レーザ用導波路の構造を示す図である。図1では、レーザの共振器部分に利用される導波路を共振器内の光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造1を示している。導波路構造1は、半絶縁性InP基板2上に、厚さ50nmでドーピング濃度1×1018cm−3のp型InP層6b、バンドギャップ波長1.2μm、厚さ65nmのノンドープInGaAsP光キャリア分離閉じ込め(SCH)層3、発光波長1.55μmのInGaAsP活性層4が順次形成されている。活性層4は、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの14層で構成された量子井戸から形成される。活性層4の上にはバンドギャップ波長1.2μm、厚さ65nmのノンドープのInGaAsP SCH層5が形成されている。さらに活性層4上方でSCH層5の上には、厚さ100nmでドーピング濃度1×1018cm−3のp型InP層6aを形成する。
p型InP層6aの表面には、InPをエッチングすることによって、InPおよび空気からなる、ブラッグ波長1.55μmの回折格子が形成されている。活性層4の両側は、異なるタイプのドーピングが施されたInPによって埋め込まれている。すなわち、電流注入のために、図1の活性層4の左側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のSiのn型ドーピング層7、活性層4の右側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のZnのp型ドーピング層8が構成されている。埋め込み層7、8の上部には、それぞれ電流注入用のInGaAsコンタクト層9a、9bが形成され、それぞれドーピング濃度1×1019cm−3のn型ドーピング、p型ドーピングが施されている。さらに、コンタクト層領域9a、9b上には電流注入用の電極10a、10bが形成されている。上述の図1の断面構造を有する導波路構造を作製し、共振器の両端のレーザ出力端面に無反射コーティングを形成することにより、分布帰還型レーザを形成する。
図1の導波路構造を持つ素子を作製するにあたっては、結晶成長には有機金属気相成長法(MOVPE)、レーザ導波路構造および回折格子の作製にはウェットエッチングまたはドライエッチング等の一般的な半導体レーザの作製方法を用いることができる。活性層4の左右の電流注入用の埋め込みドーピング層7、8は、n型ドーピングのInPおよびp型ドーピングのInPを、それぞれ埋込み再成長によって形成することができる。また、活性層4の形成後に、真性InPを埋込み再成長し、その後にイオン注入または熱拡散等の手法で、ドーパントを形成しても良い。
したがって、本発明の半導体光素子は、半導体基板(2)と、前記半導体基板の上に形成された活性層(4)と、前記活性層の両側に埋込み層(7、8)とを備えた導波路構造が形成され、前記埋込み層の一方に第1のタイプの不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方に第2のタイプの不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されている半導体光素子において、前記半導体基板および前記活性層の間に設けられた第1のp型ドーピング層(6a)、および前記活性層の上方に設けられた第2のp型ドーピング層(6b)の少なくともいずれか一方を備えることになる。
そして、前記第1のp型ドーピング層および前記第2のp型ドーピング層は、それぞれクラッド層であって、前記クラッド層を経由して前記活性層へ正孔が供給される。
図2は、本発明の横注入レーザの構造がキャリア分布に及ぼす効果を従来技術の場合と対比して説明する図である。図2の(a)には、従来技術の横注入レーザにおけるキャリアの振る舞いを示し、(b)には本発明の横注入レーザにおけるキャリアの振る舞いを示す。従来技術の構造では、活性層内に左右から電子および正孔が注入されるが、正孔の移動度が低いために右側のp型埋め込みドーピング層側にキャリアが局在化する。一方、本発明の横注入レーザにおいては、活性層4の上下にあるp型クラッド層6a、6bを介しても正孔が活性層4に供給されるため、活性層4内のn型埋め込みドーピング層側にも正孔が供給される。この活性層4の上下にあるp型クラッド層6a、6bによって、活性層4内の内部量子効率が大幅に改善する。
図3は、本発明の横注入レーザにおける電流−光出力特性を示す図である。活性層幅は1μm、共振器長は500μm、回折格子の結合係数は30cm−1とした。 横軸には、注入電流(mA)が、縦軸には光出力(mW)をとってあり、同一の注入電流では、本発明の横注入レーザの構成の方で、より高い光出力が得られている。本発明の横注入レーザの構成においては、活性層4の上下にあるp型クラッド層6a、6bによって、活性層4内部のキャリアの均一性が向上したことにより、光出力レベルが従来技術の構成よりも増大していることは明らかである。
図4は、本発明の半導体光素子における実施例2の横注入レーザ用導波路の構造を示す図である。図4では、レーザの共振器部分に利用される導波路を、共振器内の光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造101を示している。導波路構造101は、半絶縁性InP基板102上に、厚さ50nmのInP層103、バンドギャップ波長1.2μm、厚さ65nmのp型InGaAsP光キャリア分離閉じ込め(SCH)層106a、発光波長1.55μmのInGaAsP活性層104が順次形成されている。活性層104は、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの14層で構成された量子井戸から形成されている。活性層104の上にはバンドギャップ波長1.2μm、厚さ65nm、ドーピング濃度1×1018cm−3のp型InGaAsP SCH層106bが形成されている。さらに活性層104上方でp型SCH層106bの上には、厚さ100nmのInP層105が形成されている。
InP層105の表面には、InPのエッチングによって、InPおよび空気からなるブラッグ波長1.55μmの回折格子が形成されている。活性層104の両側は、異なるタイプのドーピングが施されたInPによって埋め込まれている。すなわち、電流注入のために、図4の活性層104の左側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のSiのn型ドーピング層107、活性層104の右側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のZnのp型ドーピング層108が形成されている。各埋め込み層ドーピング107、108の上部には、電流注入用のInGaAsコンタクト層109a、109bが形成され、それぞれドーピング濃度1×1019cm−3のn型ドーピング、p型ドーピングが施されている。各コンタクト層領域上には、電流注入用の電極110a、110bが形成されている。上述の図4の断面構造を有する導波路構造を作製し、共振器の両端のレーザ出力端面に無反射コーティングを形成することにより、分布帰還型レーザを形成する。本実施例の横注入レーザ素子は、実施例1で説明したのと同様の手法によって作製が可能である。
図5は、本実施例の横注入レーザの構造がキャリア分布に及ぼす効果を従来技術の場合と対比して説明する図である。図5の(a)には、従来技術の横注入レーザにおけるキャリアの振る舞いを示し、(b)には本実施例の横注入レーザにおけるキャリアの振る舞いを示す。従来技術の構造では、活性層内に左右から電子および正孔が注入されるが、キャリアは、正孔の移動度が低いために右側のp型埋め込みドーピング層側に局在化する。一方、本実施例の横注入レーザにおいては、活性層104の上下にあるp型のキャリア分離閉じ込め層106a、106bを介しても正孔が活性層104に供給されるため、活性層104内のn型埋め込みドーピング層107側にも正孔が均一に供給される。活性層104の上下にあるp型のキャリア分離閉じ込め層106a、106bによって、活性層104内の内部量子効率が大幅に改善する。従来技術の横注入レーザの構造と比較して、光出力レベルをより増大することができる。
図6は、本発明の半導体光素子における実施例3の横注入レーザ用導波路の構造を示す図である。図6では、レーザの共振器部分に利用される導波路を共振器内の光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造201を示している。導波路構造201は、シリコン基板上の厚さ1μmのSiO層202の上に形成されている。SiO層202の上には、厚さ50nmでドーピング濃度1×1018cm−3のp型InP層206aと、バンドギャップ波長1.2μm、厚さ30nmのノンドープInGaAsP光キャリア分離閉じ込め(SCH)層203と、発光波長1.55μmのInGaAsP活性層204が順次形成される。活性層204は、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの6層で構成された量子井戸から形成される。活性層204の上にはバンドギャップ波長1.2μmのノンドープInGaAsP SCH層205が形成されている。さらに活性層204上方でSCH層205の上には、厚さ50nmでドーピング濃度1×1018cm−3のp型InP層206aを形成する。
InP層206bの表面には、InPのエッチングによって、InPおよび空気からなる、ブラッグ波長1.55μmの回折格子が形成されている。活性層204の両側は異なるタイプのドーピングが施されたInPによって埋め込まれている。すなわち、電流注入のために、図6の活性層204の左側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のSiのn型ドーピング層207が、活性層204の右側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のZnのp型ドーピング層208が構成されている。各埋め込み層ドーピング207、208の上部には、電流注入用のInGaAsコンタクト層209a、209bが形成され、それぞれドーピング濃度1×1019cm−3のn型ドーピング、p型ドーピングが施されている。各コンタクト層領域209a、209b上には、電流注入用の電極210a、210bが形成されている。上述の図6の断面構造を有する導波路構造を作製し、共振器の両端のレーザ出力端面に無反射コーティングを形成することにより、分布帰還型レーザを形成する。
活性層204の上下のドーピング層の構成は実施例1と同様であり、図2の(b)で示したのと同様に、本実施例の構成においても活性層204の上下にあるpクラッド層206a、206bを介して正孔が活性層204に供給される。このため、活性層204内のn型埋め込みドーピング層207側にも正孔が供給される。活性層204の上下にあるpクラッド層206a、206bによって、活性層204内の内部量子効率が大幅に改善される。活性層204内のキャリア分布を均一にし、従来技術の横注入レーザの構造と比較して光出力レベルをより増大することができる。
図7は、本発明の半導体光素子における実施例4の横注入レーザ用導波路の構造を示す図である。図7では、レーザの共振器部分に利用される導波路を共振器内の光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造301を示している。導波路構造301は、シリコン基板上の厚さ1μmのSiO層302の上に形成されている。SiO層302の上には、厚さ50nmのInP層303と、バンドギャップ波長1.2μm、ドーピング濃度1×1018cm−3で厚さ30nmのp型InGaAsP光キャリア分離閉じ込め(SCH)層306bと、発光波長1.55μmのInGaAsP活性層304とが順次形成される。活性層304は、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの6層で構成された量子井戸から形成される。活性層304の上には、バンドギャップ波長1.2μm、ドーピング濃度1×1018cm−3で厚さ30nmのp型InGaAsP SCH層306bが形成されている。さらに活性層304上方でp型SCH層306bの上には、厚さ50nmのInP層305を形成する。
InP層305の表面には、InPのエッチングによって、InPおよび空気からなるブラッグ波長1.55μmの回折格子が形成されている。活性層304の両側は、異なるタイプのドーピングが施されたInPによって埋め込まれている。すなわち、電流注入のために、図7の活性層304の左側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のSiのn型ドーピング層307が、活性層304の右側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のZnのp型ドーピング層308が構成されている。各埋め込み層ドーピング307、308の上部には、電流注入用のInGaAsコンタクト層309a、309bが形成され、それぞれドーピング濃度1×1019cm−3のn型ドーピング、p型ドーピングが施されている。各コンタクト層領域309a、309b上には、電流注入用の電極310a、310bが形成されている。上述の図7の断面構造を有する導波路構造を作製し、共振器の両端のレーザ出力端面に無反射コーティングを形成することにより、分布帰還型レーザを形成する。
活性層304の上下のドーピング層の構成は実施例2と同様であり、図5の(b)で示したのと同様に、本実施例の構成においても活性層304の上下にあるp型SCH層306a、306bを介しても正孔が活性層304に供給される。このため、活性層304内のn型埋め込みドーピング層307側にも正孔が供給される。活性層304の上下にあるp型SCH層306a、306bによって、活性層304内の内部量子効率が大幅に改善される。活性層304内のキャリア分布を均一にし、従来技術の横注入レーザの構造と比較して光出力レベルをより増大することができる。
上述の各実施例においては、活性層にInGaAsP材料を用いたが、InAlGaAs材料など、その他の光半導体材料系が適用可能であることは言うまでもない。また、ドーピング領域は、活性層上下のクラッド層のみ、または、上下のSCH層のみがpドーピングされている構造を例としたが、上下のクラッド層およびSCH層を共にpドーピングすることでも同様の効果が得られるのは明らかである。また、活性層上下クラッド層の上下のいずれか一方、または、活性層上下のSCH層の上下いずれか一方をpドーピングしても同様の効果が得られる。また、回折格子の形状については、上部のInPをエッチングしてInPおよび空気の層により得られる構成としたが、上部にSiNやSiO等の保護膜を形成してInPおよび保護膜からなる回折格子を形成しても良い。また、InPの上にSiNやSiOの回折格子を形成しても同様の効果が得られる。
また、上述の各実施例では、分布反射型レーザを例として説明をしたが、ファブリペローレーザや、分布ブラッグ反射型レーザ等、電流注入型の活性層領域として使用するその他の半導体光素子に本発明の構造を適用できることは明らかである。
以上詳細に説明をしたように、本発明の半導体光素子および横注入レーザにおいては、活性層の上下にあるp型ドーピング層(p型クラッド層またはp型SCH層)を介して正孔が活性層に供給される。活性層内のn型埋め込みドーピング層側にも正孔が供給される。この活性層の上下にあるp型ドーピング層を持つ構成によって、活性層内の内部量子効率が大幅に改善する。発光効率の高い横注入半導体レーザを実現することができる。
本発明は、通信システムに利用することができる。特に、光通信システムの光源に利用することができる。
1、101、201、301、501 導波路構造
4、104、204、304、504 活性層
6a、6b、206a、206b p型InP層
7、8、107、108、207、208、307、408、507、508 埋め込みInP層
9a、9b、109a、109b、209a、209b、309a、309b、509a、509b コンタクト層
10a、10b、110a、110b、210a、210b、310a、310b、510a、510b 電極層
106a、106b、306a、306b p型SCH層

Claims (3)

  1. SiO 2 層が形成されたシリコン基板と、前記SiO 2 の上に形成された活性層と、前記活性層の両側に埋込み層とを備えた導波路構造が形成され、
    前記埋込み層の一方に第1のタイプの不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方に第2のタイプの不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されている半導体光素子において、
    前記SiO 2 の上に設けられた第1のp型ドーピング層、
    前記第1のp型ドーピング層の上に設けられた第1の光キャリア分離閉じ込め(SCH)層、
    前記活性層、
    前記活性層の上に設けられた第2のSCH層、および、
    前記第2のSCH層の上に設けられた第2のp型ドーピング層
    を備えたことを特徴とする半導体光素子。
  2. 前記第1のタイプはp型の不純物ドーピングに対応し、前記第2のタイプはn型の不純物ドーピングに対応することを特徴とする請求項1に記載の半導体光素子。
  3. 前記請求項1または2の半導体光素子の表面に、回折格子を形成したことを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
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