JP6209129B2 - 半導体光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光送信器用光源などに利用される素子の構造に関する。より詳細には、光源用の半導体レーザや変調器などに適用可能な半導体素子に関する。
インターネットの普及に伴うネットワークトラフィック量の爆発的な増大により、光ファイバ伝送の高速・大容量化が続いている。半導体レーザは、光ファイバ通信を支える光源の基本的なデバイスとして発展を続けてきた。電流強度の変調によって強度変調信号を生成する直接変調レーザは、レーザの構成が簡単であり、しかも消費電力が小さいことから、アクセス系ネットワーク等において利用される低コストの光送信器として現在活用されている。
従来技術の半導体レーザでは、半導体基板上に、下部クラッド層、活性層および上部クラッド層を形成し、活性層の上下にあるクラッド層に不純物ドーピングを行って、縦方向(基板面に垂直な方向)に電流を注入する構造を持っていた。これに対し、活性層内に水平方向(基板面に平行な方向)に電流を注入するいわゆる横注入レーザが、Namizakiにより考案された(非特許文献1)。横注入レーザは、活性層の横にあるクラッド層に不純物ドーピングを行い、活性層の横方向(幅方向)に電流を注入する。横注入レーザにおいては、活性層の断面は、一般に基板に平行な方向に長い扁平な構造により形成される。同一の構造の活性層をレーザに用いた場合は、素子の寄生容量は、横注入構造の方が縦注入構造よりも低くなる。したがって、横注入構造のレーザの方がより高速に信号応答し、高速な変調動作に適している。また、横注入レーザでは電流注入用の電極をレーザの表面に形成できることから、電子デバイス等の集積化やモジュール化により適している点も優れた特徴である。
具体的には、NamizakiらはGaAs基板上に構成した横注入半導体レーザを実現し、その後、KawamuraらはInP基板上に構成した横注入レーザも実現した(非特許文献2)。以下、まず横注入レーザのより具体的な構成について説明する。
図7は、従来技術の横注入レーザ用の導波路の構造を示す図である。レーザの共振器部分に利用される導波路を、光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造100を示している。導波路構造100は、半絶縁性InP基板102上に光−キャリア分離閉じ込め(SCH:Separate Confinement Heterostructure)層103、活性層104が形成されており、さらに活性層104の上には、光−キャリア分離閉じ込め層105が形成されている。さらに、SCH層105の上には、InP層106が形成されている。活性層104の横は、左右ともにInPによって埋め込まれている。図7で活性層504の左側の埋込み層107には電流注入のためのn型ドーピングが施されており、活性層104の右側の埋込み層108には、p型ドーピングが施されている。埋込み層107、埋込み層108の上には、それぞれ電流注入用のInGaAsコンタクト層109a、109bが形成されている。さらに、コンタクト層109a、109bの上には、それぞれ電流注入用の電極110a、110bが形成されている。
Kawamuraらの検討においては、活性層104の上部のInPクラッド層106の厚さは1.5μmであり、従来技術の縦注入レーザと変わらない構造であった。近年、Shindoらは、InP基板上に厚さ400nm弱の薄い活性層と薄いInP層から構成された薄膜横注入レーザを実現した(非特許文献3)。既に述べたように、横注入レーザ構造の場合、活性層の上下にあるクラッド層の厚さを薄くすることによって、素子の寄生容量を抑制できる利点がある。Shindoらは、横注入レーザにおいてこの薄膜構造を採用することにより、5GHzにも至る広い変調帯域を実現した。
H. Namizaki他, Journal of Applied Physics, vol. 45, pp. 2785-2786 (1974) Y. Kawamura他, Electronics Letters, vol. 29, pp. 102-104 (1993) T. Shindo他, Optics Express, vol. 19, pp. 1884-1891 (2011)
広い変調帯域を実現できる横注入レーザであるが、横注入レーザをアクセス系ネットワークやメトロネットワークに適用するためには、十分な光出力レベルを確保することが重要である。しかしながら、従来技術の横注入レーザにおいては、非特許文献3に見られるように最大の光出力レベルは依然として10mW以下にとどまっており、光出力をさらに高出力化することが望まれている。
従来技術の縦方向の電流注入レーザでは、活性層幅を1μm以上として、活性層の体積を大きくした構造が、光出力を高出力化するための一般的で方法であった。しかしながら、横注入レーザでは、活性層の横方向(幅方向)に電流を注入する構造であるため、活性層内の電流分布に不均一性が生じ、活性層幅を増やすことによっては高出力化の効果が得られないことが知られていた。したがって横注入レーザでは、活性層内における電流分布の不均一性の問題を回避するとともに、さらに高い光出力を得ることが求められている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、より高い光出力レベルを実現可能な横注入レーザを提供するところにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された活性層と、上部クラッド層と、前記活性層の両側に埋込み層とを備えた導波路構造が形成され、前記埋込み層の一方にp型の不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方にn型の不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されており、電流注入によるレーザ発振を可能とする反射器を備えている半導体光素子において、前記活性層の前記横方向の幅は、前記半導体素子が発振動作をするときに、発振モードが単一導波モードとなり、前記単一導波モードが存在できる範囲の値であって、かつ、p型の不純物ドーピングが施された前記一方の埋め込み層での光閉じ込めが最大となる幅よりも狭く、前記導波路構造の導波路の等価屈折率の値が、前記半導体基板の屈折率と概ね同一であることを特徴とする半導体光素子である。
請求項2に記載の発明は、請求項1の半導体光素子において、前記上部クラッド層の厚さが1μmよりも薄いことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の半導体光素子において、前記反射器は、前記活性層の上方に形成された表面回折格子であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3いずれか一項の半導体光素子において、前記等価屈折率は、前記半導体基板の屈折率の100%から100.3%の範囲にあることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれか一項の半導体光素子において、前記半導体基板は、半絶縁性InP基板であって、前記上部クラッド層および前記埋込み層はInPで構成され、前記活性層はInGaAsPまたはInGaAlAsで構成されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5いずれか一項に記載の前記半導体光素子における前記導波路構造を有することを特徴とする分布帰還型半導体レーザである。
以上説明したように、本発明の半導体光素子によって、より高い光出力レベルを実現可能な横注入レーザを提供することができる。
図1は、本発明の横注入レーザの導波路および全体構造を示す図である。 図2は、本発明の横注入レーザの導波路構造における等価屈折率の活性層幅依存性を示す図である。 図3は、従来技術の横注入レーザと本発明の活性層幅を極力狭くした横注入レーザ間で電界分布を比較した概念図である。 図4は、本発明の横注入レーザにおけるpクラッド領域の光閉じ込めの活性層幅依存性を示す図である。 図5は、pクラッド領域において生じる伝搬損の活性層幅依存性を示す図である。 図6は、本発明の横注入レーザの電流―出力曲線を示す図である。 図7は、従来技術の横注入レーザ用の導波路の構造を示す図である。 図8は、横注入レーザの活性層断面における電子およびホール分布をシミュレーションした結果を示す図である。 図9は、図8と同じ各場合において活性層断面における誘導放出強度の分布を示す図である。 図10は、本発明の半導体光素子を横注入レーザに適用した別の導波路の単純化した構造を示す図である 図11は、コア層高さが250nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを変えた場合の、光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。 図12は、コア層高さが350nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを変えた場合の、光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。 図13は、コア層高さが450nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを変えた場合の、光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。
発明者らは、横注入レーザの活性層における上述の問題点をもう一度見直し、光出力を高出力化する半導体光素子の構成を見出した。本発明の半導体光素子は、半導体基板上に、活性層および埋込み導波路構造が形成され、活性層の両側にある埋込み層に不純物ドーピングが施され、活性層に横方向(幅方向)に電流注入を行う構造において、活性層幅を、単一導波モードとなり、かつ導波モードが存在する範囲で狭くし、導波路の等価屈折率の値が基板の等価屈折率と概ね同程度となるように設定されている。本構造を半導体レーザに適用し、活性層上部に回折格子を形成することにより分布帰還型半導体レーザを構成した。本発明は、活性層に逆バイアスを印加することで、電界吸収変調器にも適用できる。以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
図1の(a)は、本発明の半導体光素子を横注入レーザに適用した導波路の構造を示す図である。図1の(a)では、レーザの共振器部分に利用される導波路を共振器内の光の往復方向に垂直な面で切った導波路構造1を示している。導波路構造1は、半絶縁性InP基板2上に、バンドギャップ波長1.2μmのInGaAsP光キャリア分離閉じ込め(SCH)層3、発光波長1.55μmのInGaAsP活性層4が順次形成されている。活性層4は、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmの14層で構成された量子井戸から形成される。活性層4の上にはバンドギャップ波長1.2μmのInGaAsP SCH層5が形成されている。さらに活性層4の上方でSCH層5の上には、厚さ100nmのInP層6が形成される。
InP層6の表面には、InPをエッチングすることによって、InPおよび空気からなるブラッグ波長1.55μmの回折格子が形成されている。この回折格子は、電流注入によるレーザ発振を可能とする反射器として機能する。活性層4の両側は、異なるタイプのドーピングが施されたInPによって埋め込まれている。すなわち、電流注入のために、図1の活性層4の左側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のSiのn型ドーピング層7、活性層4の右側には、ドーピング濃度1×1018cm−3のZnのp型ドーピング層8が構成されている。埋め込み層7、8の上部には、それぞれ電流注入用のInGaAsコンタクト層9a、9bが形成され、コンタクト層領域9a、9b上には、それぞれ電流注入用の電極10a、10bが形成されている。
図1の(b)は、本発明の半導体光素子の構造を適用した横注入レーザを斜め上から見た鳥瞰図である。本発明の横注入レーザは、最上面のInP層6上であって電極10a、10bの間の領域に繰り返し構造である表面回折格子11が形成され、これによって共振器が構成された分布帰還型レーザである。共振器両端のレーザ出力端面には無反射コーティングを施してある。本発明の横注入レーザの作製にあたっては、結晶成長には有機金属気相成長法(MOVPE)、レーザ導波路構造および回折格子の作製にはウェットエッチングまたはドライエッチング等の一般的な半導体レーザの作製方法を用いることができる。活性層4の左右の電流注入用の埋め込みドーピング層7、8は、n型ドーピングされたInPおよびp型ドーピングされたInPを、それぞれ埋込み再成長することによって形成することができる。また、活性層4の形成後に真性InPを埋込み再成長し、その後にイオン注入または熱拡散等の手法によってドーパントを形成しても良い。
既に述べたように、従来技術の縦注入レーザでは、導波路(活性層)幅を広げることによって光出力の高出力化を実現していた。発明者らは、横注入レーザにおいて、キャリア分布の不均一を避けるためにも、むしろ逆に導波路幅を狭めた構成における発振器の振る舞いに着目した。そして、縦方向レーザで有効と考えられていた導波路幅の拡張とは逆の構成をとることによって、光出力を増大できる構成を見いだした。本発明の横注入レーザでは、活性層の幅を、共振器における発振動作が単一導波モードとなり、かつ、導波モードが存在し得る範囲で狭くして、導波路の等価屈折率の値が基板の屈折率程度となるように設定する。具体的には、図1に対応する構造の場合、導波路幅を0.5μmとする。また後述するように、活性層内の全領域で誘導放出が生じるために、活性層の最大幅は1μm程度が目安となる。以下、本発明の導波路幅の狭い構成の横注入レーザの動作について説明する。
図8は、横注入レーザの活性層断面における電子およびホール分布をシミュレーションした結果を示す図である。活性層の断面において光の進行方向に垂直な方向の活性層幅が2μmおよび0.5μmの各場合についてキャリア密度(cm−3)比較したものである。図8の(a)では、活性層幅が2μmの素子の場合を、(b)では、活性層幅が0.5μmの素子の場合をそれぞれ示す。活性層の両側にある埋め込み層は、nドーピング、pドーピング濃度がそれぞれ1×1018cm−3でドーピングされている。活性層としては、井戸層厚6nmおよびバリア層厚9nmが14層形成された量子井戸を例に計算している。尚、図8の断面図の量子井戸内の各層は簡略化して描いてある。
図8の(a)を参照すれば、矢印で表した活性層領域内において、電子およびホールがp型の埋め込み層側の領域に局在していることがわかる。既に述べたように、キャリアの局在化のため、活性層の幅が2μmの場合のような導波路幅の広いレーザにおける内部量子効率が低下し、発光効率は大きく低下する。図8の(b)のように、発生層幅が0.5μmと狭い場合は、キャリアの局在は顕著ではない。
図9は、図8と同じ導波路幅の各場合において活性層断面における誘導放出の分布を示す図である。図9の(b)に示したように、活性層幅が0.5μmの素子においては、活性層の幅の概ね全領域で誘導放出が生じている。一方で、図9の(a)に示した活性層幅が2μmの素子においては、矢印で示した活性層内のp型の埋め込み層側にある半分程度(1μm)の領域でしか誘導放出が生じていない。発明者らは、キャリアの走行距離が長くなると変調に対する応答が遅くなることから、活性層の幅を狭くすることは、直接変調レーザの高速な応答および広い変調帯域を実現する点からもむしろ望ましいと考えた。
図2は、本発明の横注入レーザの導波路構造における等価屈折率の活性層幅依存性を示す図である。横軸に活性層幅(μm)を、縦軸に等価屈折率を示す。レーザが単一モードで動作するためには、高次モードが出現しないように活性層幅を制御する必要がある。図2を参照すれば、1次モードが出現しないようにするために、本発明の横注入レーザの構成では活性層幅をまず1.6μm以下にする必要がある。さらに、活性層内の全領域で誘導放出が生じるためには、図9の(a)における誘導放出の生じている横方向の幅を考慮して、活性層の最大幅としては1μm程度が目安となる。
好ましくは、本発明の横注入レーザにおける活性層幅を、基本モードにおける導波路の等価屈折率がほぼInP基板2の屈折率3.17と同じであって、0次モードが存在することのできる最小の導波路幅の値とする。ここで等価屈折率とは、導波モードにおける伝搬光の位相変化に関わる屈折率である。図1に示した横注入レーザの構成の場合は、0.5μmがこの最小の導波路幅の値に対応する。以下、最小の導波路幅を持つ構造を利用する本発明の横注入レーザで、得られる効果を説明する。
ファブリペローレーザの半導体レーザの外部微分量子効率ηは、内部微分量子効率ηi、活性層の伝搬損α、レーザ端面の反射率R、活性層長Lを用いて次式のように表される。
Figure 0006209129
外部微分量子効率ηは、入射したキャリアの数に対して取り出される光子の比率として定義され、よく知られたパラメータである。式(1)によれば、活性層の内部微分量子効率ηを増やし、さらに活性層の伝搬損αを減らすことによってレーザの効率ηを高くすることができる。上述のように、横注入レーザにおいては活性層の幅が狭いほど内部微分量子効率が高い。一方、活性層の伝搬損すなわち導波路損を考察すると、その主な要因は、活性層の横に形成されたpクラッド領域で生じる吸収損失と考えられる。p型InP層8の吸収損失は、ドーピング濃度1×1018cm−3あたり約20cm−1である。従来技術の縦注入レーザにおいては、活性層の幅が狭くなるほど、埋め込み層であるpクラッド領域(p型InP層8)側に導波モードの電界分布が広がり、クラッド領域の光損失は増大するのが一般的であった。
しかしながら、本発明の横注入レーザの構造においては、活性層上部のクラッド層InP層6が100nmと薄いため、光の閉じ込めは素子上面の空気の影響をより強く受ける。これによって、電界分布が活性層に対して基板方向に非対称に広がるため、pクラッド領域における損失を抑制することができる。
縦注入構造においては、上部クラッド層の上に電極を配置する必要があった。このため、損失抑制のためにクラッド上部に電界が存在しないように上部クラッド層を厚くする必要があり、前述したように1.5μm程度の厚さが必要であった。一方、本発明の横注入レーザにおいては、活性層上部の伝搬損の懸念が少なく、上部クラッド層を1μm以下とし、電界分布の非対称性を積極的に利用できることが大きな特徴である。次に、電界分布の比較によって、本発明の構成と従来技術の構成との間で、より具体的な導波路損の差異について説明する。
図3は、従来技術の横注入レーザと本発明の活性層幅を極力狭くした横注入レーザ間で電界分布を比較した概念図である。図3の(a)は、活性層幅が広い従来技術の横注入レーザの場合の電界分布を、図3の(b)は本発明により活性層幅を極力狭くした横注入レーザの場合の電界分布を示している。(a)に示したように、導波路幅が比較的広い場合には、電界の広がり31は、活性層4を中心として概ね楕円形状で広がる。このとき、電界の広がり31とp型InP層8との重複部分33において導波路損が発生する。
一方、図3の(b)に示したように、導波路幅がより狭い場合には、電界の広がり32は、活性層4の下方のInP基板2側にずれた位置を中心とした概ね円形状に広がる。このときも、電界の広がり領域32と、p型InP層8との重複部分34において導波路損が発生する。
埋め込み領域であるp型クラッド領域における光閉じ込めは、p型クラッド領域内の光エネルギーと全領域の光エネルギーの比により表される。本発明の横注入レーザの構造においては、(b)に示したように、InP基板2方向により広く電界分布が広がるため、p型クラッド領域内の電界重複部分の面積の、全電界広がりの面積に対する比率が、従来技術の構造と比較して小さくなる。これは、図3の(a)における電界広がり領域31とp型クラッド領域内の重複領域33との面積比を、図3の(b)における電界広がり領域32とp型クラッド領域内の重複領域34との面積比と比較すれば、簡単に理解できるだろう。上述の電界分布の差異によって、本発明の横注入レーザでは、埋め込み層であるpクラッド領域における光閉じ込めが低下し、伝搬損失を抑制できる。
したがって、本発明は、半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された活性層と、上部クラッド層と、前記活性層の両側に埋込み層とを備えた導波路構造が形成され、前記埋込み層の一方にp型の不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方にn型の不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されており、電流注入によるレーザ発振を可能とする反射器を備えている半導体光素子において、前記活性層の前記横方向の幅は、前記半導体素子が発振動作をするときに、発振モードが単一導波モードとなり、前記導波モードが存在できる範囲の値であって、前記導波路構造の導波路の等価屈折率の値が、前記基板の屈折率と概ね同一であることを特徴とする半導体光素子として実現される。
図4は、本発明の横注入レーザにおけるpクラッド領域の光閉じ込めの活性層幅依存性を示す図である。横軸に活性層の幅を、縦軸にp型クラッド領域の光閉じ込めをとっている。光閉じ込めは、導波路幅が0.6μm前後で最大となっている。p型領域での光閉じ込めは、活性層の外への光の漏れを意味しており、p型埋め込み領域8での光閉じ込めが小さいほどつまりp型埋め込み領域8への漏れが小さいほど、光損失は小さくなる。
図5は、pクラッド領域において生じる伝搬損の活性層幅依存性を示す図である。埋め込み層であるpクラッド領域8のドーピング濃度を1×1018cm−3、2×1018cm−3、3×1018cm−3の3種類に変えた場合の、活性層幅とpクラッド領域において生じる伝搬損を示している。各曲線のピーク右側のように、活性層幅の増大に伴いコア(活性層)の強い閉じ込めの効果によって伝搬損失が低下する領域がある一方で、ピーク左側のように、活性層幅を狭くした場合においても、pクラッド領域の光閉じ込めが小さく、伝搬損失が低下する領域が存在している。図5によれば、導波路幅を、モードが存在することのできる最小の導波路幅の値に設定(本実施例の場合は0.5μm)することによって、素子の伝搬損を抑制できる効果が明らかになっている。
図6は、本発明の横注入レーザの電流―出力曲線を従来技術と比較して示した図である。活性層幅を2μmにした従来技術の横注入レーザの構成と、活性層幅を0.5μmとした本発明の横注入レーザの構成を比較した。本発明の活性層を狭くした構成では、活性層の光閉じ込めが低下しているために発振閾値電流は従来技術の構成に比べてやや高いが、同じ電流値では、光出力レベルは本発明の横注入レーザの方が大きい。図6からも、本発明の活性層(導波路)の幅を狭くした構成の横注入レーザは、伝搬損の低減および内部量子効率の増大により外部量子効率が増大し、光出力の高出力化のために非常に有用なものであることは明らかである。
上述の実施例においては、活性層にInGaAsP材料を用いたが、InAlGaAs材料など、その他の光半導体材料系が適用可能であることは言うまでもない。他の光半導体材料を用いた場合には、上述の実施例における、最小の活性層の幅は当然に、0.5μmとは異なってくる。また、基板の材料やドーピングのパラメータなどによっても最小の活性層の幅は変化する。しかし、基本モードの等価屈折率がほぼ基板材料の屈折率と同じであって、0次モードが存在することのできる最小の導波路幅の値とすることには変わりはない。次に、本発明の幅の狭い活性層の構造を持つ横注入レーザにおいて、異なるコア材料を用い、より一般化して狭い導波路幅を持つ効果および好ましい導波路幅の範囲を説明する別の構成例を説明する。
図10は、本発明の半導体光素子を横注入レーザに適用した別の導波路の構造を示す図である。導波路幅の効果を説明するために、図1の構成と比べて、導波路構造51は、下部・上部SCH層をコア層に含めて単純化した構成を考える。すなわち、コア層54は発光波長1.55μmのInGaAsPまたはInGaAlAs材料からなる活性層および上下のSCH層から成る。埋め込みInP層57、58、コンタクト層59a、59b、電極60a、60bは、図1の構成と同様である。
図10では、コア層54に含まれている活性層およびSCH層の区別を描いておらず、活性層およびSCH層を含むコア層54として単純化して示している。コア層54内の活性層は、バルク層でも良いし量子井戸活性層でも良い。以降で説明する活性層幅の効果の検討は、活性層およびSCH層を含むコア層54全体の厚さ(高さ)に基づいている。このとき、特定のコア層54の厚さ(高さ)の場合について、異なる上部InPクラッド層53の厚さ毎に、最適な活性層(コア層)幅を検討した。
図11は、コア層の高さが250nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを50、150、250nmとした各場合の、pクラッド層の光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。図11の上側のグラフはpクラッド層の光閉じ込めの活性層幅依存性を示し、下側のグラフは、実効屈折率neqと基板の屈折率nInPの比率neq/nInP(パーセント表示)の活性層幅依存性を示した。本発明の有効な活性層幅を矢印a、矢印bおよび矢印cによって示した。上部InP層53の厚さが150nmの場合(H_InP 150)、活性層(コア層)幅をおおよそ0.7μmより狭くすると光閉じ込めが下がり始め、吸収損失を抑制できる。実効屈折率neqが基板の屈折率nInPと同じとなる場合が、伝搬モードが存在する最小幅であり、この場合は活性層幅0.6μmが最小幅である。従って、幅0.6μmから0.7μmの幅の範囲(矢印a)で本発明の幅の狭い活性層の構造による効果が有効であることがわかる。
同様に、上部InP層の厚さが100nmの場合(H_InP 100)、0.75μmから0.82μmの範囲(矢印b)が有効である。さらに上部InP層の厚さが50nmの場合(H_InP 50)は、損失の観点からは1μmから1.1μmの範囲(矢印c)で効果があるが、電流分布の均一性も考慮して最小幅の1μmとするのが良い。実効屈折率と基板の屈折率との比は、上部InP層53の厚さがいずれの場合も、おおよそ100%から100.1%の範囲である。
図12は、コア層の高さが350nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを50、150、250nmとした各場合の、pクラッド層の光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。上部InP層53の厚さが150nmの場合(H_InP 150)、矢印aで示した導波路幅で本発明の幅の狭い活性層の構造の効果が有効であることがわかる。同様に、上部InP層の厚さが100nmの場合(H_InP 100)を矢印bで、上部InP層の厚さが50nmの場合(H_InP 50)を矢印cで示す。コア層の高さが350nmの素子の場合、実効屈折率と基板の屈折率との比がおおよそ100%から100.3%の範囲の場合に有効である。
図13は、コア層の高さが450nmの素子について、上部クラッドInP層の厚さを50、150、250nmとした各場合の、pクラッド層の光閉じ込めおよび実効屈折率と基板の屈折率の比率の活性層幅依存性を示す図である。コア層の高さが450nmの素子の場合、実効屈折率と基板の屈折率との比が、おおよそ100%から100.3%の範囲の場合に有効である。したがって、本発明においては、コア層の等価屈折率は、基板の屈折率の100%から100.3%の範囲にあるのが好ましい。
上述の各実施例では、活性層の上方に形成された回折格子によって発振動作を実現する分布帰還型半導体レーザの例で説明をしたが、ファブリペローレーザや分布ブラッグ反射型レーザ等の他の形態の発振器においても、適用可能である。回折格子の形状については、上部のInPをエッチングしてInPおよび空気の層により得られる構成としたが、上部にSiNやSiO等の保護膜を形成してInPおよび保護膜からなる回折格子を形成しても良い。また、InPの上にSiNやSiOの回折格子を形成しても同様の効果が得られる。
また、上述の実施例においては半導体レーザに適用したが、導波路構造における光損失低減の効果が得られることから、活性層に逆バイアスを印加することで電界吸収変調器を実現しても、電界吸収特性などにおいて、同様の特性の向上が得られることは明らかである。
以上詳細に説明したように、本発明の半導体光素子によって、より高い光出力レベルを実現可能な横注入レーザを提供することができる。
本発明は、一般的に通信システムに利用することができる。特に、光通信システムの光送信器に利用することができる。
1、51、100 導波路構造
2、52、102 基板
3、103 下部SCH層
4、104 活性層
5、105 上部SCH層
6、53、106 InP層
7、8、57、58、107、108 埋め込みInP層
9a、9b、59a、59b、109a、109b コンタクト層
10a、10b、60a、60b、110a、110b 電極
11 回折格子
31、32 電界分布
54 コア層

Claims (6)

  1. 半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された活性層と、上部クラッド層と、前記活性層の両側に埋込み層とを備えた導波路構造が形成され、
    前記埋込み層の一方にp型の不純物ドーピングが施され、前記埋込み層の他方にn型の不純物ドーピングが施され、前記一方の埋め込み層および前記他方の埋め込み層の間で、前記活性層に横方向に電流注入を行う構造が形成されており、電流注入によるレーザ発振を可能とする反射器を備えている半導体光素子において、
    前記活性層の前記横方向の幅は、前記半導体素子が発振動作をするときに、発振モードが単一導波モードとなり、前記単一導波モードが存在できる範囲の値であって、かつ、p型の不純物ドーピングが施された前記一方の埋め込み層での光閉じ込めが最大となる幅よりも狭く、前記導波路構造の導波路の等価屈折率の値が、前記半導体基板の屈折率と概ね同一であること
    を特徴とする半導体光素子。
  2. 前記上部クラッド層の厚さが1μmよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の半導体光素子。
  3. 前記反射器は、前記活性層の上方に形成された表面回折格子であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体光素子。
  4. 前記等価屈折率は、前記半導体基板の屈折率の100%から100.3%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項に記載の半導体光素子。
  5. 前記半導体基板は、半絶縁性InP基板であって、前記上部クラッド層および前記埋込み層はInPで構成され、前記活性層はInGaAsPまたはInGaAlAsで構成されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項に記載の半導体光素子。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の前記半導体光素子における前記導波路構造を有することを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
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