JP2023020996A - 半導体光デバイス - Google Patents

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達郎 開
Tatsuro Hiraki
慎治 松尾
Shinji Matsuo
卓磨 相原
Takuma Aihara
孝明 硴塚
Takaaki Kakizuka
清人 ▲高▼畑
Kiyoto Takahata
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Abstract

Figure 2023020996000001
【課題】EA-DFBレーザなどの半導体光デバイスが、容易に製造できるようにする。
【解決手段】半導体光デバイスは、基板101の上に形成された活性層104をコアとする光導波路構造を備え、光導波路構造は、分布帰還型レーザからなるレーザ領域131と、レーザ領域131に連続して配置された電界吸収型変調器からなる変調領域132とを備え、変調領域132の活性層104は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造104aから構成されている。このように構成することで、変調領域132の活性層104の吸収端波長が、レーザ領域131の活性層104の吸収端波長より短い波長となるようにしている。
【選択図】 図1A

Description

本発明は、光送信器などに利用される半導体光デバイスに関する。
インターネットおよびモバイルネットワークの普及に伴うネットワークトラフィック量の爆発的な増大が続いている。データ通信量の増大は、今や長距離の光ファイバ通信から、短距離のインタコネクションに渡るあらゆる通信で求められており、データ通信の大容量化、高速化に対する要求は止まることがない。
このような背景から、近年ではデータ通信量の増大に伴い、50GBaudを超える高ボーレートの変調光源が注目され、100GBASE-DRや400GBASE-DR4など、既に50GBaud級の光トランシーバがインターネット規格において標準化されており、今後更なる高ボーレートの変調光源の進展が期待されている。
高速変調光源としては、消費電力の観点からはレーザの駆動電流を変調する直接変調レーザなどの半導体光デバイスが有望である。直接変調レーザの変調帯域は、長らく緩和振動周波数により制限されてきたが、近年、光-光共鳴などの変調帯域を伸ばす効果が新たに提案され、実験レベルでは100GHz近くの3dB帯域を有する変調レーザも報告されている(非特許文献1)。
一方で、簡易かつ高速変調に適した変調光源として商用化がなされてきた半導体光デバイスとして、電界吸収(EA)変調器と分布帰還(DFB)レーザとを集積したEA-DFBレーザがある。図7に、従来型の一般的なEA-DFBレーザの構造を示す。
このレーザは、n型InPからなる基板301の上に、レーザ領域331と変調領域332とを備える。レーザ領域331は、InGaAsPからなるレーザ用の量子井戸活性層302を備え、共振器内に形成された回折格子303によって単一波長で発振する。変調領域332は、InGaAsPからなる変調器用の活性層304を備える。量子井戸活性層302の吸収端波長は、活性層304の吸収端波長よりも長波長側に設定されている。
量子井戸活性層302および活性層304は、上下を下部光閉じ込め層305および上部光閉じ込め層306に挟まれ、分離閉じ込めヘテロ(Separate Confined Heterostructure;SCH)構造とされている。回折格子303は、上部光閉じ込め層306の上面に形成された周期的な凹凸パターンにより構成されている。また、上部光閉じ込め層306の上には、p型のInPからなる半導体層307が形成され、レーザ領域331、変調領域332の各々に、p電極308,p電極309が形成されている。また、基板301の裏面には、n電極310が形成されている。
レーザ領域331には順バイアスを与えて電流注入によりレーザ発振動作を行い、変調領域332には逆バイアスを与えて、量子井戸による量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)により強度変調を行う。このEA-DFBレーザにより、これまで、40Gbit/sを超える高速変調動作が報告されており(非特許文献2)、10Gbit/sをはじめとする商用光送信器に適用されてきた。
S. Yamaoka et al., "Directly modulated membrane lasers with 108 GHz bandwidth on a high-thermal-conductivity silicon carbide substrate", Nature Photonics, vol. 15, pp. 28-35, 2021. W. Kobayashi et al., "Design and Fabrication of 10-/40-Gb/s, Uncooled Electroabsorption Modulator Integrated DFB Laser With Butt-Joint Structure", Journal of Lightwave Technology, vol. 28, no. 1, pp. 164-171, 2010.
ところで、従来のEA-DFBレーザは、前述したように、変調領域の活性層の吸収端波長と、レーザ領域の活性層の吸収端波長とを異なるものとしている。このため、変調領域とレーザ領域とで異なる活性層の形成が必要となる。このような構成は、例えば、複数回の活性層のバットジョイント成長や、各々の活性層において、選択成長によるバンドギャップ制御といった結晶成長技術が必要となっていた。このように、従来、EA-DFBレーザなどの半導体光デバイスは、容易に製造することができないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、EA-DFBレーザなどの半導体光デバイスが、容易に製造できるようにすることを目的とする。
本発明に係る半導体光デバイスは、基板の上に形成された活性層をコアとする光導波路構造を備え、光導波路構造は、分布帰還型レーザからなるレーザ領域と、レーザ領域に連続して配置された電界吸収型変調器からなる変調領域とを備え、変調領域の活性層の吸収端波長が、レーザ領域の活性層の吸収端波長より短い波長となるように、変調領域の活性層は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成されている。
以上説明したように、本発明によれば、変調領域の活性層を、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成したので、EA-DFBレーザなどの半導体光デバイスが、容易に製造できる。
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの一部構成を示す断面図である。 図1Bは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの構成を示す斜視図である。 図2Aは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの一部構成を示す断面図である。 図2Bは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの一部構成を示す断面図である。 図2Cは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの一部構成を示す断面図である。 図3Aは、井戸層厚4nm、6nm、8nmとした多重量子井戸層とした活性層104の動作波長(基底準位間の遷移波長)の活性層幅DMODおよびDLD依存性を示す特性図である。 図3Bは、井戸層厚4nm、6nm、8nmとした多重量子井戸層とした活性層104の基底準位と励起準位の遷移波長間隔の活性層幅DMODおよびDLD依存性を示す特性図である。 図4は、変調領域132に構成される光変調器の吸収スペクトルと、レーザ領域131に構成されるレーザの利得スペクトルを示す特性図である。 図5Aは、変調領域132のブラッグ波長λbMODをレーザ領域131のブラッグ波長λbLDに対して短波長側に配置した状態を説明するための説明図である。 図5Bは、変調領域132のブラッグ波長λbMODをレーザ領域131のブラッグ波長λbLDに対して長波長側に配置した状態を説明するための説明図である。 図5Cは、変調領域132のストップバンドをレーザ領域131の回折格子のストップバンド内に配置した状態を説明するための説明図である。 図6Aは、本発明の実施の形態2に係る半導体光デバイスの構成を示す断面図である。 図6Bは、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスの構成を示す斜視図である。 図7は、従来型の一般的なEA-DFBレーザの構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る半導体光デバイスについて説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る半導体光デバイスについて、図1A,図1B,図2A,図2Bを参照して説明する。
この半導体光デバイスは、基板101の上に形成された活性層104をコアとする光導波路構造を備え、光導波路構造は、分布帰還型レーザからなるレーザ領域131と、レーザ領域131に連続して配置された電界吸収型変調器からなる変調領域132とを備える。この半導体光デバイスは、よく知られたEA-DFBレーザである。なお、図1Aは、基板101の面に垂直で、導波方向に平行な面の断面を示している。また、図2A,図2Bは、導波方向に垂直な面の断面を示している。
この半導体光デバイスにおいて、変調領域132の活性層104は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造104aから構成されている。このように構成することで、変調領域132の活性層104の吸収端波長が、レーザ領域131の活性層104の吸収端波長より短い波長となるようにしている。変調領域132の活性層104は、導波方向に、井戸構造104aによる多重量子井戸構造が構成されたものとなる。
なお、基板101の上には、クラッド層102が形成され、クラッド層102の上には、半導体層103が形成されている。活性層104は、半導体層103に埋め込まれている。このため、変調領域132においては、導波方向に垂直な面の断面をみると、図2Aに示すように、井戸構造104aが、上下を半導体層103に挾まれて出現する箇所と、図2Bに示すように、半導体層103のみが出現する箇所とが存在する。
また、実施の形態1では、レーザ領域131の活性層104も、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造104bから構成している。このように構成したレーザ領域131は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造104bから構成された活性層104により、回折格子を構成して共振器としている。
また、実施の形態1において、活性層104は、基板101の平面方向に、p型半導体層106と、n型半導体層107とに挟まれた横方向電流注入型・横方向電圧印加型とされている。レーザ領域131が、基板101の平面方向に電流が注入される横方向電流注入型とされている。また、変調領域132が、基板101の平面方向に電圧が印加される横方向電圧印加型とされている。変調領域132において、p型半導体層106の上には、第1p型コンタクト層108を介して、第1p電極110が形成されている。また、変調領域132において、n型半導体層107の上には、第1n型コンタクト層109を介して、第1n電極111が形成されている。
また、レーザ領域131において、 p型半導体層106の上には、第2p型コンタクト層112を介して、第2p電極114が形成されている。また、レーザ領域131において、n型半導体層107の上には、第2n型コンタクト層113を介して、第2n電極115が形成されている。なお、活性層104は、厚さ方向に、多重量子井戸構造とすることができ、また、いわゆるバルク構造とすることもできる。
例えば、基板101は、シリコン基板とすることができる。また、クラッド層102は、例えば、酸化シリコン(SiO2)から構成し、厚さ2μm程度とすることができる。また、半導体層103は、例えば、ノンドープのInPなどの化合物半導体から構成することができる。また、半導体層103は、厚さ350nmとすることができる。
また、活性層104は、InGaAsPからなる量子井戸層による多重量子井戸構造とすることができる。例えば、活性層104は、例えば幅700nm、厚さ6nmの井戸層を6層用いた多重量子井戸層とすることができる。図2Cに例示するように、活性層104は、バンドギャップの小さいInGaAsPからなる井戸層141、バンドギャップの高いInGaAsPからなる障壁層142による多重量子井戸層とすることができる。活性層104は、総厚さを例えば100nmとすることができる。この場合、活性層104の下部における半導体層103の厚さは、150nmとし、上部における半導体層103の厚さは、100nmとすることができる。
p型半導体層106は、例えば、InPから構成され、厚さ300nm程度とされている。また、p型半導体層106は、p型ドーパントとして、Znが1×1018cm-3程度の濃度でドーピングされている。また、n型半導体層107は、InPから構成され、厚さ300nm程度とされている。また、n型半導体層107は、n型ドーパントとして、Siが、1×1018cm-3程度の濃度でドーピングされている。この例では、p型半導体層106およびn型半導体層107の上面から突出する部分の半導体層103の厚さ(リッジ高さ)が、50nmとなる。なお、p型半導体層106、n型半導体層107の厚さは、250nmとすることもできる。この場合、p型半導体層106およびn型半導体層107の上面から突出する部分の半導体層103の厚さ(リッジ高さ)が、100nmとなる。
また、第1p型コンタクト層108、第2p型コンタクト層112は、例えば、InGaAsから構成し、濃度1×1019cm-3程度に、p型ドーパントがドーピングされている。また、第1n型コンタクト層109、第2n型コンタクト層113は、例えば、InGaAsから構成し、濃度1×1019cm-3程度に、n型ドーパントがドーピングされている。なお、レーザ領域131と変調領域132との間には、活性層104がなく、半導体層103をコアとする光導波路が構成されている。
この構成において、コアの領域となる半導体層103のクラッド層102の上面からの高さ(厚さ)が350nmとされ、p型半導体層106,n型半導体層107の厚さが300nmとされているので、リブ型導波路として機能し、半導体層103によるコア領域への横方向の光閉じ込めが確保される。
実施の形態1において、変調領域132における井戸構造104aの導波方向(光伝搬方向)の幅DMODおよび間隔ΛMODと、レーザ領域131における井戸構造104bの導波方向の幅DLDおよび間隔ΛLDとは、各々異なっている。例えば、DMODは30nm、ΛMODは100nmとし、DLDは200nm、ΛLDは276nmとすることができる。
上述した各寸法において、レーザ領域131で構成されるレーザのブラッグ波長λbLDは1.55μmとなる。変調領域132の導波方向長さは、300μmとしレーザ領域131の導波方向長さは100μmとすることができる。
図1Bに示すように、変調領域132とレーザ領域131の接続領域には、コンタクト層および電極を形成せずに電気的に分離する。変調領域132の第1p電極110と第1n電極111との間には逆バイアス方向に電圧を与え、レーザ領域131の第2p電極114と第2n電極115との間には順バイアス方向に電圧を与える。
次に、EA-DFBレーザとする実施の形態に係る半導体光デバイスの動作と効果について説明する。
実施の形態1に係る半導体装置では、変調領域132の井戸構造104aと、レーザ領域131の井戸構造104bとで、各々異なる幅に設定して周期的に配置する。変調領域132の井戸構造104aの幅DMODをレーザ領域131の井戸構造104bの幅DLDよりも細くし、複数の井戸構造104aからなる変調領域132の活性層104に、導波方向に2次元的な量子効果を発現させる。このことにより、変調領域132の遷移波長または吸収端波長λMODが、導波方向に連続している活性層104の遷移波長または吸収端波長λwellよりも短波長化する。
図3A、図3Bに、井戸層厚4nm、6nm、8nmとした多重量子井戸層とした活性層104の動作波長の活性層幅DMODおよびDLD依存性を示す。図3Aは、基底準位間の遷移波長、図3Bは基底準位と励起準位の遷移波長間隔を示す。活性層幅が狭くなるに従い、2次元的な量子効果の発現によって遷移波長が短波長化し、合わせて遷移波長間隔が広くなる。実施例として、井戸幅を6nmとし、DMODが30nm、DLDは200nmとすると、変調領域132の遷移波長が1.5μm、レーザ領域131の遷移波長が1.55μmとなり、変調領域132の吸収端がレーザ領域131に対して50nm短波長側に離調される。また、基底準位と励起準位の波長間隔は変調領域132では80nm、レーザ領域131では1.5nmとなり、変調領域132において強い量子効果が現れる。
このように構成した変調領域132に構成される光変調器の吸収スペクトルと、レーザ領域131に構成されるレーザの利得スペクトルを図4に示す。変調領域132の吸収端波長λMODが短波長化し、量子効果により急峻な吸収スペクトルが発現する。この構成において、レーザの発振波長λLDをλMOD吸収端波長よりも長波長化することにより、変調領域132に電圧を与えない場合の伝搬損失を抑制できる。変調領域132に逆バイアスの電圧を与えると、1次元フランツケルディッシュ効果により吸収端が長波長側にシフトし、レーザ領域131に構成されるレーザの動作波長領域の吸収損失が増大し、強度変調が実現される。
このような強度変調において、光吸収により発生した電子・正孔対は、活性層104の厚さ方向を構成している量子井戸構造と、複数の井戸構造104aによる導波方向の量子井戸構造において、厚さ方向および水平方向に障壁なく掃引されるため、高速な変調動作が実現される。また、半導体層103は、厚さ350nmと比較的薄い構造としているので、単位長さあたりの素子の寄生容量が低く、CR時定数の面でも高速動作の点で効果がある。
レーザ領域131は、活性層104を構成する複数の井戸構造104bが、周期的に配置されており、これらによって、屈折率結合・利得結合の複合型のブラッグ回折格子として機能する。この構造を採用することで、位相シフトなどを設けることなく、均一な回折格子構造を用いても、回折格子の長波長側ストップバンドの安定な単一モード動作を実現できる(参考文献)。この例では、レーザ領域131のブラッグ波長は1.55μmである。活性層104の結合係数は1000cm-1であり、小型のレーザ共振器を形成可能な高い結合係数が実現できる。
また、複数の井戸構造104bによる利得結合の効果によって、反射耐性の向上にも効果がある。なお、変調領域132においても、複数の井戸構造104aによる周期的活性層構造が形成されるため、変調領域132においてもブラッグ回折格子が形成される。この構成においては、図5A,図5Bに示すように、変調領域132のブラッグ波長λbMODをレーザ領域131のブラッグ波長λbLDに対して短波長側、もしくは長波長側に配置することで、レーザの発振光への変調領域132の反射の影響を抑制するように設定することができる。この例における変調領域132のブラッグ波長は560nmであり、変調領域132の反射スペクトルがレーザ領域の透過スペクトルに対して大幅に短波長側に配置されている。
また,図5Cに示すように、変調領域132のストップバンドが、レーザ領域131の回折格子のストップバンド内に配置されるように設定すると、レーザの自然放出光が抑制されるため、変調領域132の反射の影響の抑制に効果がある。上述した実施例1に係る半導体光デバイスによれば、単一の活性層104を用いた、50Gbaud級の高速変調に適用可能な集積変調光源が実現できる。
実施の形態に係る半導体光デバイスは、既存の素子作製方法により作製できる。例えばシリコン基板上にSiO2を形成して酸素プラズマアシスト接合などの貼り合わせ技術を用い、InP基板の上にエピタキシャル成長により形成した化合物半導体層を接合し、この化合物半導体層の上に、有機金属気相成長法などを用い、活性層104の成長や、活性層104の埋め込み成長を行い、半導体層103の形成ができる。
半導体層103の形状の形成や、活性層104における井戸構造104a、井戸構造104bの形成は、例えば、公知のフォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィー、およびウェット,ドライエッチングを用いた加工が適用できる。また、p型半導体層106と、n型半導体層107の形成については、InPの再成長を用いてもよいし、ノンドープのInPとコンタクトInGaAs層を形成した後に、イオン注入や熱拡散などを用いてn型およびp型の不純物を導入することにより作製してもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光デバイスについて、図6A,図6Bを参照して説明する。
この半導体光デバイスは、基板101の上に形成された活性層104をコアとする光導波路構造を備え、光導波路構造は、分布帰還型レーザからなるレーザ領域131aと、レーザ領域131aに連続して配置された電界吸収型変調器からなる変調領域132とを備える。この半導体光デバイスは、よく知られたEA-DFBレーザである。なお、図6Aは、基板101の面に垂直で、導波方向に平行な面の断面を示している。
この半導体光デバイスにおいて、変調領域132の活性層104は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造104aから構成されている。このように構成することで、変調領域132の活性層104の吸収端波長が、レーザ領域131aの活性層104の吸収端波長より短い波長となるようにしている。変調領域132の活性層104は、導波方向に、井戸構造104aによる多重量子井戸構造が構成されたものとなる。
なお、基板101の上には、クラッド層102が形成され、クラッド層102の上には、半導体層103が形成されている。活性層104は、半導体層103に埋め込まれている。
また、実施の形態2では、レーザ領域131aの活性層104は、導波方向に連続した構造104cから構成している。また、実施の形態2では、レーザ領域131aにおいて、半導体層103の上面に形成された周期的な凹凸パターンにより回折格子105を構成し、これにより共振器を構成している。なお、回折格子105は、半導体層103の上面に、InP薄膜層の上にSiO2やSiNなどによる誘電体層を形成し、この誘電体層をエッチングして形成することもできる。
また、実施の形態2においても、活性層104は、基板101の平面方向に、p型半導体層106と、n型半導体層107とに挟まれた横方向電流注入型・横方向電圧印加型とされている。変調領域132において、p型半導体層106の上には、第1p型コンタクト層108を介して、第1p電極110が形成されている。また、変調領域132において、n型半導体層107の上には、第1n型コンタクト層109を介して、第1n電極111が形成されている。
また、レーザ領域131aにおいて、 p型半導体層106の上には、第2p型コンタクト層112を介して、第2p電極114が形成されている。また、レーザ領域131aにおいて、n型半導体層107の上には、第2n型コンタクト層113を介して、第2n電極115が形成されている。なお、活性層104は、厚さ方向に、多重量子井戸構造とすることができ、また、いわゆるバルク構造とすることもできる。
実施の形態2に係る半導体光デバイスは、実施の形態1におけるレーザ領域131実施例1におけるレーザ領域を、回折格子105による表面回折格子型のDFBレーザとした構成ものであり、他の構成は、前述した実施の形態1と同様である。レーザ領域131aは、導波方向の長さが100μmの、連続した構造104cにより活性層104を構成している。
また、実施の形態2において、レーザ領域131aの変調領域132側の前段105aに対し、後端105bの回折格子105のピッチを広くする。この構成とすることにより、レーザ領域131aは、屈折率結合型のDFBレーザとして動作し、回折格子105の長波長側ストップバンドの安定な単一モード動作を実現できる。本構造を用いても、単一の活性層104を用いた、50Gbaud級の高速変調に適用可能な集積変調光源が実現できる。
実施の形態2によれば、実施の形態1に比較して、回折格子の結合係数の制御が容易であり、例えばレーザの共振器長を長くしてかつ結合係数の値を抑制して安定な単一モード動作を確保し、電流密度を抑制して高出力動作を実現するのに効果がある。
なお、活性層材料としては、InGaAs、GaInNAs、InGaAsP、InAlGaAsなどのInP基板に成長可能なあらゆる材料を用いることができる。また、上述した実施の形態では、活性層内の高い光閉じ込めを実現するためにSiO2/Si基板上の薄膜構造を用いたが、InP基板上に同様の構造を形成することも可能である。また、変調領域は、当然単独の変調器としても動作するほか、ゲート素子などの集積光回路に適用することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、変調領域の活性層を、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成したので、EA-DFBレーザなどの半導体光デバイスが、容易に製造できるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
[参考文献]K. Ohira et al, "Low-Threshold and High-Efficiency Operation of Distributed Reflector Lasers With Width-Modulated Wirelike Active Regions", IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, vol. 11, no. 5, pp. 1162-1168, 2005.
101…基板、102…クラッド層、103…半導体層、104…活性層、104a…井戸構造、104b…井戸構造、105…回折格子、106…p型半導体層、107…n型半導体層、108…第1p型コンタクト層、109…第1n型コンタクト層、110…第1p電極、111…第1n電極、112…第2p型コンタクト層、113…第2n型コンタクト層、114…第2p電極、115…第2n電極、131…レーザ領域、132…変調領域。

Claims (4)

  1. 基板の上に形成された活性層をコアとする光導波路構造を備え、
    前記光導波路構造は、
    分布帰還型レーザからなるレーザ領域と、
    前記レーザ領域に連続して配置された電界吸収型変調器からなる変調領域と
    を備え、
    前記変調領域の前記活性層の吸収端波長が、前記レーザ領域の前記活性層の吸収端波長より短い波長となるように、前記変調領域の前記活性層は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成されている
    ことを特徴とする半導体光デバイス。
  2. 請求項1記載の半導体光デバイスにおいて、
    前記レーザ領域の前記活性層は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成されていることを特徴とする半導体光デバイス。
  3. 請求項2記載の半導体光デバイスにおいて、
    前記レーザ領域の共振器は、導波方向に周期的に分離した複数の井戸構造から構成された前記活性層による回折格子から構成されていることを特徴とする半導体光デバイス。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体光デバイスにおいて、
    前記レーザ領域は、横方向電流注入型とされ、
    前記変調領域は、横方向電圧印加型とされている
    ことを特徴とする半導体光デバイス。
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