JP2022015037A - 半導体光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子で、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積を実現する。【解決手段】基板101の上に形成された下部クラッド層102と、基板101の上の下部クラッド層102の上に形成された活性層103とを備える。活性層103は、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成され、量子ドットは、基板101の平面に平行な方向の幅が、基板の平面に垂直な方向の高さよりも大きいものとされている。【選択図】 図1A
Description
本発明は、光変調器などに利用される半導体光素子に関する。
インターネットの普及に伴うネットワークトラフィック量の爆発的な増大が続いている。情報通信量に伴いその消費電力は増大し、データセンタの消費電力は総電力の2%に達すると推計されている。中でもデータセンタトラフィックの7割以上が、データセンタ内の通信により消費されていることから、短距離通信の大容量化および低消費電力化は、必須の課題である。
以上の背景により、短距離データ通信を光で行う光インタコネクション技術が注目を浴びている。現在、データセンタ間の光ファイバ接続に加え、既にラック間やボード間のデータ通信に面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を用いた光インタコネクションが導入されている。近年の代表的な短距離光インタコネクションは、VCSELを用いたマルチモード光伝送である。VCSELは、活性層の上下に反射ミラーを形成した小型レーザである。
例えば、GaAs基板の上に、InGaAsやInGaAlPなどの化合物半導体による量子井戸構造の活性層が形成され、波長635~1100nmで動作する。GaAs基板は、InP基板と比較して大口径な基板を用いて素子が作製できるため、1つの基板により多くの素子が作製可能であり、低コストで大量生産できる特徴がある。一方で、VCSELは、光取り出しの口径と横モードの単一モード性がトレードオフの関係にあるため、高出力で安定した単一モード発振の両立は困難であり、波長多重化への対応が課題である。また、直接変調レーザの変調速度は、緩和振動周波数で制限されるため、40Gbit/sを超える変調動作の実現も課題である。
現在、電気配線の通信容量に限界が見えていることから、光インタコネクションの適用範囲は拡大すると予想され、将来的にはチップ間、チップ内データ通信への光配線への適用が期待される。これらの短距離データ通信の実現には、高密度な大規模集積技術が求められる。これまでテレコム領域の光ファイバ通信用光デバイスにおいて、石英を用いた平面光波回路(PLC:Planer Lightwave Circuit)やInP基板を用いた集積光源、変調器集積光源が実用化されてきた。
近年は、大規模低コスト生産を目的とし、シリコン基板の上に光部品を集積したシリコンフォトニクスが注目されており、InP光源とのハイブリッド集積が進んでいる。今後の大容量化に対応するためには、波長多重技術の適用が期待され、大口径の基板を用いることができるGaAsやシリコンなど基板の上への、単一モード光源をはじめとするアクティブ光デバイスの高密度集積技術が重要となる。
また、今後の高速化に向けては、50Gbit/sを超えるボーレートの実現が必須であり、高速かつ小型で動作する外部変調器の集積が求められる。これらの高効率な変調器の実現に向けては、フランツ・ケルディッシュ効果や、量子閉じ込めシュタルク効果等の半導体の電界吸収効果により、外部電界を与えて吸収係数の変化を用いる電界吸収変調器が有望である。またこれらの変調器は光源と一括集積ができることが望ましい。
また、GaAs基板上に形成されるレーザは、材料的な制限から、1.3μm帯や1.55μm帯への適用が難しい。1.3μm動作を実現するためには、活性層を、GaInNAs量子井戸構造やInAs量子ドット構造とすることになる。特に、InAs量子ドット構造は、活性層のエネルギーの量子化に伴う3次元的なキャリアの閉じ込めにより、高い発光効率と優れた温度特性を有する特徴がある。
加えて、各量子ドット構造の各々のドットにおいては、独立して発光および誘導放出が生じるために、結晶成長時に生じる欠陥の影響を受けにくい。このため、InAs量子ドット構造は、GaAs基板のみならず、シリコン基板上にGaAsを成長し、この上に作製した量子ドットレーザの検討も進められている。
この種の半導体光素子の代表的な構造としてリッジ型の半導体光素子が開発されている。この導波路構造の半導体光素子(リッジ構造光素子)は、n型GaAs基板の上に、n型AlGaAsクラッド層と活性層がスラブ状に形成され、p型AlGaAs上部クラッド層とp型GaAsコンタクト層によりリッジ導波路が形成される。活性層の上下にはn型電極とp型電極が形成される。この半導体光素子は、基板の側から見て、活性層を上下に挟んで電極が配置され、活性層に対して、上下方向に電流が注入される。このリッジ構造において、活性層を、量子ドットから構成し、上部クラッド材料としてInGaPを用いたDFBレーザを作製した報告例がある(非特許文献1)。
しかし、InAsドットが高い格子歪みを有することから活性層の多層化が困難であり、変調器として活性層への十分な光閉じ込めが得られないことが、この素子の課題である。また、この素子は、キャリアの閉じ込めが強いため、効率のよい電界吸収効果を得ることが困難である。このため、電界吸収変調器の提案はなされているものの(非特許文献2)、実用に足る光変調器は実現されていない。このように、GaAs基板上の光変調器やレーザは1.3μm帯への適用が困難という課題がある。
一方、シリコン基板上に集積した光変調器として、シリコンやゲルマニウムを用いた変調器、化合物半導体のハイブリッド集積構造が提案されている。しかし、シリコン光変調器は、電界吸収変調器への適用が困難であり、マッハ・ツェンダ変調器の構成が必須となるために素子サイズが大きくなる。また、ゲルマニウム変調器は、シリコン基板上に一括成長できる利点を有するが、量子閉じ込めシュタルク効果の使用が困難であるために、InP基板上のInGaAsP量子井戸やInGaAlAs量子井戸を用いた光変調器と比較すると効率面で課題がある。このため、シリコン基板の上に、光変調器用活性層となる化合物半導体層をウエハ接合により形成した構造が検討されている(非特許文献3)。この技術により、シリコン基板の上に効率の高い光変調器を作製できるが、素子作製にウエハ接合のプロセスが必須となる。
K. Takada et al., "Temperature-stable 10.3-Gb/s Operation of 1.3-μm Quantum-dot DFB Lasers with GaInP/GaAs Gratings", Conference on Optical Fiber Communication incudes post deadline papers, JWA28, 2009.
I. B. Akca et al., "Electro-optic and electro-absorption characterization of InAs quantum dot waveguides", Optics Express, vol. 16, no. 5, pp. 3439-3444, 2008.
Y. Tang et al., "50 Gb/s hybrid silicon traveling-wave electroabsorption modulator", Optics Express, vol. 19, no. 7, pp. 5811-5816, 2011.
以上に説明したように、活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子は、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積が容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子で、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積を実現することを目的とする。
本発明に係る半導体光素子は、基板の上に形成された活性層と、基板の側の活性層の下に形成され、GaAsより低い屈折率の下部クラッド層と、基板の上に形成された、Gaを含む化合物半導体から構成されたp型半導体層およびn型半導体層と、n型半導体層に接続するn型電極と、p型半導体層に接続するp型電極とを備え、活性層は、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成され、量子ドットは、幅が高さよりも大きい。
以上説明したように、本発明によれば、活性層を、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成し、量子ドットは、幅が高さよりも大きいものとしたので、活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子で、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積が実現できる。
以下、本発明の実施の形態に係る半導体光素子について説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る半導体光素子について、図1A、図1Bを参照して説明する。図1Aは、導波方向に垂直な断面を示している。
はじめに、本発明の実施の形態1に係る半導体光素子について、図1A、図1Bを参照して説明する。図1Aは、導波方向に垂直な断面を示している。
この半導体光素子は、基板101の上に形成された下部クラッド層102と、基板101の上の下部クラッド層102の上に形成された活性層103とを備える。また、この半導体光素子は、基板101の上で、活性層103を挟んで配置されて活性層103に接して形成されたp型半導体層105およびn型半導体層106を備える。
活性層103は、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成され、量子ドットは、基板101の平面に平行な方向の幅が、基板の平面に垂直な方向の高さよりも大きいものとされている。なお、実施の形態1において、活性層103は、基板101から見て上下の方向に、下部ガイド層104a,上部ガイド層104bに挾まれている。また、下部ガイド層104a,活性層103,上部ガイド層104bの積層構造が、p型半導体層105およびn型半導体層106に挾まれている(埋め込まれている)。
また、p型半導体層105には、p型電極109が電気的に接続し、n型半導体層106には、n型電極110が電気的に接続している。実施の形態1において、p型電極109は、p型半導体層105に、コンタクト層107を介して接続し、n型電極110は、n型半導体層106にコンタクト層108を介して接続している。この構成により、活性層103には、基板101の平面に平行な方向で電流が注入される。
また、活性層103は、光出射方向に所定の長さで延在し、この延在方向の共振器領域122において、活性層103の上に、ブラッグ波長1.3μmの回折格子121が形成されている。なお、ここでは、上部ガイド層104bの上面に回折格子121を形成している。共振器領域122では、分布帰還型レーザが構成されている。コンタクト層107、p型電極109、コンタクト層108、n型電極110は、共振器領域122に形成されている。
また、この半導体光素子は、共振器領域122に連続して変調器領域123を備える。活性層103は、光出射方向に、共振器領域122から変調器領域123にかけて延在している。変調器領域123において、p型半導体層105には、p型電極113が電気的に接続し、n型半導体層106には、n型電極114が電気的に接続している。また、p型電極113は、p型半導体層105に、コンタクト層111を介して接続し、n型電極114は、n型半導体層106にコンタクト層112を介して接続している。この構成により、変調器領域123の活性層103には、基板101の平面に平行な方向で電界が印加される。なお、変調器領域123においては、回折格子が形成されていない。
共振器領域122と変調器領域123とは、各々分離して設けたコンタクト層の形成領域により分離され、上述したように、共振器領域122には、順バイアスによる電流注入を行い、変調器領域123には、逆バイアスによる電界印加を行う。
なお、共振器領域122および変調器領域123からなる素子の両端面には、図示していないが、無反射膜が形成されている。また、図示していないが、素子の表面にはSiO2からなる保護膜が形成されている。例えば、回折格子121が形成されている上部ガイド層104bの上には、SiO2の層が接して形成されている。
基板101は、半絶縁性のGaAsから構成されている。下部クラッド層102は、GaAsより低い屈折率の材料から構成されている。下部クラッド層102は、例えば、AlGaAsから構成し、厚さ1.5μm程度とすることができる。また、下部クラッド層102は、AlAsから構成することもできる。また、下部クラッド層102は、Al2O3から構成することができる。下部クラッド層102は、基板101への光の染み出しを抑制できる厚さであることが重要であり、1μm以上とすることができる。
ここで、活性層103について詳細に説明する。活性層103は、図2Aに示すように、GaAsからなるバッファ層131と、バッファ層131の上に形成された濡れ層132と、濡れ層132の上に形成された複数の量子ドット133と、複数の量子ドット133を覆って形成された歪制御層134とを備える。実施の形態では、バッファ層131、濡れ層132、複数の量子ドット133、および歪制御層134を1組のドット層とし、このドット層を3層積層している。最上層は、バッファ層131で終端している。活性層103の全体の形状は、断面視で、幅0.5μm、厚さ375nmとすることができる。
バッファ層131は、GaAsから構成されて厚さ50nmとされている。濡れ層132は、InAsから構成されている。歪制御層134は、InGaAsから構成され、厚さ8nmとされている。量子ドット133は、InAsから構成されている。また、量子ドット133は、半球状に形成され、直径30nm、高さ4nmとされている。このように構成された活性層103の発光波長は、1.27μmである。ここで、本発明では、量子ドット133の基板101の平面に平行な方向の幅が、基板101の平面に垂直な方向の高さよりも大きいことが大きな特徴である。量子ドットの幅は、5nmよりも大きく、100nmよりも小さい値とすることができる。
なお、図2Bに示すように、上下に隣り合うドット層の間に、InAsから構成された濡れ層135を形成することもできる。なお、下部ガイド層104a,上部ガイド層104bは、GaAsから構成されている。
p型半導体層105およびn型半導体層106は、活性層103より低い屈折率の化合物半導体から構成することができる。このようにすることで、活性層103に対する十分な光閉じ込めが実現できる。p型半導体層105は、例えば、ドーピング濃度1×1018cm-3のZnがドープされてp型とされたInGaPから構成することができる。また、n型半導体層106は、例えば、ドーピング濃度1×1018cm-3のSiがドープされてn型とされたInGaPから構成することができる。
コンタクト層107は、例えば、ドーピング濃度1×1019cm-3のZnがドープされてp型とされたGaAsから構成することができる。また、コンタクト層108は、ドーピング濃度1×1019cm-3のSiがドープされてn型とされたGaAsから構成することができる。
ここで、上述した半導体光素子の作製について、簡単に説明する。まず、各半導体の層は、有機金属気相成長法(MOVPE)や分子線エピタキシー法(MBE)などの結晶成長技術により形成することができる。また、導波路の構造や回折格子121の形成は、公知のリソグラフィー技術、およびウェットエッチングまたはドライエッチングなどの一般的な半導体光素子の作製方法を用いることができる。
また、量子ドット133は、よく知られているように、GaAsの層の上へのInAsのヘテロエピタキシャル成長においては、2次元平面構造(濡れ層132)が形成された後,3次元的な島状構造が自己形成される。このヘテロエピタキシャル成長では、格子不整合により、成長している層に歪が蓄積される。この歪が緩和される過程で島が形成される。この島の寸法は,数10nmであり,量子ドットの性質を示す。
p型半導体層105およびn型半導体層106は、n型ドーピングのInGaPおよびp型ドーピングのInGaPを、各々埋め込み再成長することによって形成できる。また、活性層103を形成した後に、真性InGaPを埋め込み再成長し、この後で、イオン注入または熱拡散などにより、不純物が導入され、各々の導電型とされた状態とすることもできる。
なお、図1Cに示すように、下部クラッド層102の上に、InGaPからなる厚さ10nm程度の半導体層115を形成しておくこともできる。半導体層115により、p型半導体層105およびn型半導体層106を形成するための埋め込み再成長の際の、下部クラッド層102の酸化を抑制することができる。また、上部ガイド層104bの上に、InGaPからなる厚さ10nm程度の半導体層116を形成しておくこともできる。半導体層116により、コンタクト層107,コンタクト層108を形成するためのエッチング処理の際に、上部ガイド層104bへのダメージが抑制できる。なお、半導体層115,半導体層116を形成した場合においても、電気的にも光学的にも、形成しない場合と同等の特性を得ることができる。
次に、実施の形態1に係る半導体光素子の構成と効果について詳細に説明する。まず、波長1.3μmにおけるGaAsの屈折率は3.45である。また、波長1.3μmにおけるInGaPの屈折率は3.19である。従って、InGaPから構成されたp型半導体層105およびn型半導体層106に挾まれている。GaAsからなる活性層103においては、横方向に光を強く閉じ込めることができる。
また、素子の上部に配置されている保護膜を構成するSiO2の屈折率は1.47である。また、AlGaAsから構成した場合の下部クラッド層102の屈折率はGaAsよりも低く、また、特にAlAsから構成した場合の下部クラッド層102の屈折率は2.93である。従って、この半導体光素子では、基板101から見て垂直方向にも高い光閉じ込めを実現することができる。下部クラッド層102をAlAsから構成した場合、活性層103と下部クラッド層102との間の屈折率差が最大となり、活性層103への光閉じ込めが最も高いレーザ構造を実現できる。
また、下部クラッド層102を厚さ1μmのAl2O3から構成することで、さらなるレーザの小型化と低消費電力駆動を実現できる。Al2O3の波長1.3μmの屈折率は1.75であるため、下部クラッド層102を、AlGaAsから構成する場合に比較して、さらに高い活性層103への光閉じ込めが実現できる。また、Al2O3が絶縁体であるため、下部クラッド層102を介した電流リークが完全に抑止できる。また、Al2O3の熱伝導率は32W/m・kと、GaAsの熱伝導率44W/m・Kに対してそん色なく、レーザの高出力動作にも効果がある。
例えば、GaAs基板の上に、AlAsもしくはAl組成が85%以上のAlGaAsを成長し、このAlAsもしくはAlGaAsの層を酸化させることで、Al2O3からなる下部クラッド層が形成できる。また、このようにして下部クラッド層を形成した後、活性層103を含むレーザ構造を、ウエハ接合などの方法で接合することで、Al2O3からなる下部クラッド層の上に、上述した各層を形成することができる。
また、GaAs基板上に、AlAsもしくはAl組成が85%以上のAlGaAsの層を形成し、この上に、GaAsの層を成長した後、AlAsもしくはAlGaAsの層を高温処理などにより酸化させて、Al2O3からなる下部クラッド層を形成することもできる。この後、GaAsの層上に活性層などの各層の成長を行い、InGaPによる埋め込み成長などを実施することもできる。後者の作製方法を採用することにより、GaAs基板上の結晶成長で素子を作製できる。酸化処理に必要な温度は400~500℃であるため、活性層を構成するドット層の発光強度の劣化および発光波長の短波長化を抑制できる効果も得られる。
このように、実施の形態に係る半導体光素子は、従来のリッジ構造光素子と比較して、活性層103への高い光閉じ込めが実現され、半導体光素子の小型化と低電圧駆動が実現できる。また、量子ドット133は、強い圧縮歪を有することから、従来は、ドット層を多層に形成することが困難であった。しかし、上述したように、活性層103への高い光閉じ込めが実現されているので、少ないドット層の層数で十分な光閉じ込めが実現できる。
次に、量子ドット133の幅を、高さよりも大きくすることについて、より詳細に説明する。実施の形態1の活性層103の水平方向に電界を与えることによって、キャリアの局在効果を増強し、効率の高い電界吸収効果を実現する。図3に動作原理を説明する。図3は、ポテンシャルと電子状態を示している。
量子ドットの成長方向(垂直方向)に電界を与えた場合の電子状態(a)と、ドットの水平方向(横方向)に電界を与えた場合の電子状態(b)とを比較する。垂直方向に電界を与える構成は従来構造の変調器の構成である。一方、横方向に電界を与える構成は、本発明の構成である。
量子ドットに電界を与えると、量子ドット内のポテンシャルの傾きにより、伝導帯の電子の包絡線関数と、価電子帯の正孔の包絡線関数が非対称となる。電界は右から左に与えるものとする。電界が与えられると、電子の包絡線関数は右側、正孔の包絡線関数は左側に局在し、電子と正孔の包絡線の重なりが減少し、遷移確率の低下によって吸収が減少する。合わせて、ポテンシャルの傾きによって実効的な遷移エネルギーが低下し、吸収波長が長波長化する。
ここで、垂直方向に電界を印加する場合、図3の(a)に示すように、量子ドット内の3次元的な電子および正孔の閉じ込めが強く、電界を与えても電子と正孔の局在が小さく、電子の包絡線関数141と正孔の包絡線関数142との重なり積分の変化(吸収係数の変化量)とエネルギーシフト量が小さい。
一方、水平方向の電界を与えると、図3の(b)に示すように、ポテンシャル幅が広くなるため、電子と正孔の局在が大きくなり、電子の包絡線関数143と正孔の包絡線関数144との重なり積分の変化(吸収係数の変化量)とエネルギーのシフト量が大きくなる。
図4A、図4Bは、幅24nm、高さ4nmの、InAsからなる量子ドットに、電界を0kV/cmから100kV/cmまで与えた時の吸収スペクトルを示す特性図である。図4Aが本発明の構成(垂直方向電界)であり、図4Bが従来の構成(水平方向電界)である。図中の数字は、印加している電界の値である。従来の構成では、印加する電界を変化させても、吸収端の長波長シフトが得にくい。これに対し、本発明の構成では、印加する電界を変化させることで、吸収端の顕著な長波長シフトが得られることが見いだされた。吸収端を動作波長よりも短波長側に設定し、電界を与えた際に吸収が増大するように設定することにより、電界吸収による強度変調動作を実現できる。以上の効果によって、量子ドットの幅を、高さよりも大きくすることで、より低い電圧の駆動による光変調器動作を実現できる。
また、実施の形態に係る半導体光素子は、作製面においても利点が大きい。上述したように、上部ガイド層104bに回折格子121を形成した後、回折格子121を半導体による埋め込む工程が不要であり、回折格子121の形成が容易となる。また、回折格子121は、上部ガイド層104bと、SiO2からなる保護膜もしくは空気層との高い屈折率差によって、高い反射率を有するブラッグ反射鏡とすることができる。このため、小型の共振器とすることができる。加えて、光閉じ込めの効果が高いために、活性層103の厚さを1μm以下と薄くできるため、p型半導体層105およびn型半導体層106の形成のための埋め込み成長が、容易になるという効果もある。
以上のように、実施の形態1によれば、活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子で、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積が実現できるようになる。また、実施の形態1によれば、波長1.3μm帯で動作する低電力駆動の光変調器および光変調器集積レーザを、大口径のGaAs基板上に形成することが可能となる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光素子について、図5Aを参照して説明する。この半導体光素子は、Siから構成された基板201の上に、AlGaAsやGaAsやGaPからなるバッファ層202を介して、下部クラッド層102、活性層103、p型半導体層105、およびn型半導体層106を備える。
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光素子について、図5Aを参照して説明する。この半導体光素子は、Siから構成された基板201の上に、AlGaAsやGaAsやGaPからなるバッファ層202を介して、下部クラッド層102、活性層103、p型半導体層105、およびn型半導体層106を備える。
また、活性層103は、基板201から見て上下の方向に、下部ガイド層104a,上部ガイド層104bに挾まれている。また、下部ガイド層104a,活性層103,上部ガイド層104bの積層構造が、p型半導体層105およびn型半導体層106に挾まれている(埋め込まれている)。また、共振器領域において、上部ガイド層104bの上面に、回折格子121が形成されている。
下部クラッド層102、活性層103、p型半導体層105、n型半導体層106、下部ガイド層104a,上部ガイド層104b、回折格子121や、共振器領域および変調器領域など、基板201およびバッファ層202以外は、前述した実施の形態1と同様である。
バッファ層202と下部クラッド層102の間には、GaAs/InGaAsやGaAs/InAlAs超格子構造からなる転位フィルタ層を挿入し、活性層103への転位伝搬を抑制することも可能である。
実施の形態2では、シリコンからなる基板201の上にバッファ層202と、前述した実施の形態1と同様のレーザ構造が形成されていることに特徴がある。実施の形態2では、GaAs系の化合物半導体に対して異種材料となるSiからなる基板201を用い、バッファ層202より成長に伴う転位を制御することで、下部クラッド層102,活性層103などの各GaAs系半導体の層を一括して成長できる。なお、実施の形態1と同様に、下部クラッド層102は、AlGaAs、AlAs、およびAl2O3などから構成することができる。
また、図5Bに示すように、下部クラッド層102の上に、InGaPからなる厚さ10nm程度の半導体層115を形成しておくこともできる。また、上部ガイド層104bの上に、InGaPからなる厚さ10nm程度の半導体層116を形成しておくこともできる。これらの構成も、実施の形態1と同様である。
次に、上述した半導体光素子の活性層103の特性制御について説明する。GaAs基板を用いて作製された一般的な半導体光素子では、光閉じ込めのためにクラッド層として活性層の上下にAlGaAs層を形成する必要がある。この従来構造においては、AlGaAsの成長温度が高いため、活性層を形成した後のAlGaAsの形成時に、活性層の特性が変化する課題があった。特に、InAs自己形成量子ドットから構成した活性層においては、活性層を形成した後に高温にさらされると、量子ドットの構造と塑性が変化し、発光波長が短波長化することが知られている。例えば、MOVPEのAlGaAsの成長温度は650℃以上であり、活性層を形成した後のAlGaAs層の成長で、波長が短波長化し、1.3μm波長のレーザを実現することが困難であった。
しかし、本発明の構造は、活性層の形成後に、厚膜のAlGaAs成長が不要であり、成長温度が約550℃のInGaP再成長のみである。このため、活性層の特性の変化を抑制することができる。また、クラッドをInGaPから構成するリッジ構造レーザと比較しても、リッジ構造レーザのInGaPクラッドの厚さが1.5μm以上であるのに対して、実施の形態では、p型半導体層105およびn型半導体層106の厚さが、上述した厚さの1/3以下であるため、熱の影響を抑制することができる。
次に、上述した実施の形態に係る半導体光素子の効果について図6A、図6Bを参照して説明する。図6Aは、活性層の光閉じ込め係数の導波路幅依存性を示している。図6Aに示すように、従来と比較して、下部クラッド層をAlAsやAl2O3から構成した実施の形態によれば、大幅な光閉じ込め係数の改善が得られる。このことにより、吸収係数変化に対する消光特性が増強され、半導体光素子の低電圧駆動が実現できる。
図6Bは、活性層に印加される電圧と消光特性との関係について示している。活性層における断面の幅は0.5μm、共振器領域の導波方向長さは500μmである。従来では光閉じ込めが低く、かつ電界吸収効果が小さいために十分な消光比が得られない。これに対し、下部クラッド層をAlAsやAl2O3から構成した実施の形態によれば、光閉じ込めと電界吸収効果の増強によって、低電圧駆動で十分な消光特性が得られる。このように、本発明により小型の共振器が実現され、小型化、低電力駆動の高い効果が得られる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光素子について、図7Aを参照して説明する。この半導体光素子は、基板101の上に形成された下部クラッド層102と、基板101の上の下部クラッド層102の上に形成された活性層303とを備える。また、この半導体光素子は、基板101の上に形成されたp型半導体層307およびn型半導体層308を備える。実施の形態3では、半導体光素子として、光変調器について説明する。
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体光素子について、図7Aを参照して説明する。この半導体光素子は、基板101の上に形成された下部クラッド層102と、基板101の上の下部クラッド層102の上に形成された活性層303とを備える。また、この半導体光素子は、基板101の上に形成されたp型半導体層307およびn型半導体層308を備える。実施の形態3では、半導体光素子として、光変調器について説明する。
活性層303は、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成され、量子ドットは、基板の平面に平行な方向の幅が、基板の平面に垂直な方向の高さよりも大きいものとされている。活性層303は、前述した実施の形態1、実施の形態2における活性層103と、基本的な構成は同一である。なお、実施の形態3において、活性層303は、基板101から見て上下の方向に、下部ガイド層304,上部ガイド層305に挾まれている。また、上部ガイド層305の上に、エッチストップ層306が形成されている。
また、この半導体光素子は、p型半導体層307とn型半導体層308との間の活性層303の上に、リッジ構造のリッジ層309が形成されている。リッジ層309は、光出射方向に所定の長さで延在している。リッジ層309の断面視の幅は、例えば、幅0.5μm程度とすることができる。リッジ層309により、活性層303における光閉じ込め領域が規定される。また、p型半導体層307には、p型電極109が電気的に接続し、n型半導体層308には、n型電極110が電気的に接続している。
実施の形態3においては、リッジ層309により規定される活性層303の光閉じ込め領域が、前述した実施の形態1、実施の形態2における活性層103に対応する。リッジ層309により規定される活性層303の光閉じ込め領域に対し、上述したp型電極109,p型半導体層307およびn型電極110,n型半導体層308により、基板101の平面に平行な方向で電界の印加がなされる。
基板101および下部クラッド層102は、前述した実施の形態1,実施の形態2と同様であり、説明は省略する。また、活性層303は、前述した実施の形態1,実施の形態2の活性層301と同様であり、GaAsからなるバッファ層と、バッファ層の上に形成された濡れ層と、濡れ層の上に形成された複数の量子ドットと、複数の量子ドットを覆って形成された歪制御層とを備える。また、活性層303は、バッファ層、濡れ層、複数の量子ドット、および歪制御層を1組のドット層とし、このドット層を3層積層している。最上層は、バッファ層で終端している。
また、図7Bに示すように、p型半導体層307の下の領域の、活性層303にp型領域303aを形成し、上部ガイド層305にp型領域305aを形成し、エッチストップ層306にp型領域306aを形成することもできる。同様に、n型半導体層308の下の領域の、活性層303にn型領域303bを形成し、上部ガイド層305にn型領域305bを形成し、エッチストップ層306にn型領域306bを形成することもできる。また、前述した実施の形態2と同様に、Siから構成された基板の上に、AlGaAsやGaAsやGaPからなるバッファ層を介して、下部クラッド層102より上の層を配置することもできる。
ここで、上述した半導体光素子の作製について、簡単に説明する。まず、各半導体の層は、有機金属気相成長法(MOVPE)や分子線エピタキシー法(MBE)などの結晶成長技術により形成することができる。また、この素子では、上部ガイド層までは、前述した実施の形態1などと同様に、各層を形成する。次いで、例えば、InGaPからなるエッチストップ層306を成長し、この上に、GaAsの層を成長する。次に、このGaAsの層を、公知のリソグラフィー技術、およびエッチング技術によりパターニングすることで、p型半導体層、n型半導体層、およびこれらに挾まれたリッジ層309を形成する。このパターニングのエッチング処理において、エッチストップ層306をエッチング停止のための層として用いる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に示した構成に限るものではなく、活性層を構成する材料としてはInGaAs、GaInNAs、InGaAsP、InAlGaAsなどのGaAs基板に成長可能なあらゆる材料を用いることができる。また、活性層の構造としては、半球状のInAs量子ドットによる層を用いたが、自己形成で作製できるその他のドット形状でも構わない。
以上に説明したように、本発明によれば、活性層を、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成し、量子ドットは、幅が高さよりも大きいものとしたので、活性層をGaAs系の化合物半導体から構成する導波路型の半導体光素子で、半導体レーザと電界吸収効果を用いた光変調器との集積が実現できる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…基板、102…下部クラッド層、103…活性層、104a…下部ガイド層、104b…上部ガイド層、105…p型半導体層、106…n型半導体層、107…コンタクト層、108…コンタクト層、109…p型電極、110…n型電極、111…コンタクト層、112…コンタクト層、113…p型電極、114…n型電極、121…回折格子、122…共振器領域、123…変調器領域。
Claims (7)
- 基板の上に形成された活性層と、
前記基板の側の前記活性層の下に形成され、GaAsより低い屈折率の下部クラッド層と、
前記基板の上に形成された、Gaを含む化合物半導体から構成されたp型半導体層およびn型半導体層と、
前記n型半導体層に接続するn型電極と、
前記p型半導体層に接続するp型電極と
を備え、
前記活性層は、GaAsからなる層とInAsからなる量子ドットとを含んで構成され、前記量子ドットは、幅が高さよりも大きいことを特徴とする半導体光素子。 - 請求項1記載の半導体光素子において、
前記p型半導体層および前記n型半導体層は、前記基板の上で、前記活性層を挟んで配置されて前記活性層に接して形成されていることを特徴とする半導体光素子。 - 請求項2記載の半導体光素子において、
前記p型半導体層および前記n型半導体層は、前記活性層より低い屈折率の化合物半導体から構成されていることを特徴とする半導体光素子。 - 請求項3記載の半導体光素子において、
前記p型半導体層および前記n型半導体層は、InGaPから構成されていることを特徴とする半導体光素子。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体光素子において、
前記活性層の上の一部領域に形成された回折格子を備えることを特徴とする半導体光素子。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体光素子において、
前記下部クラッド層は、AlGaAs、AlAs、およびAl2O3のいずれから構成されていることを特徴とする半導体光素子。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体光素子において、
前記基板は、GaAsまたはSiから構成されていることを特徴とする半導体光素子。
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