JP2003060309A - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP2003060309A
JP2003060309A JP2001249719A JP2001249719A JP2003060309A JP 2003060309 A JP2003060309 A JP 2003060309A JP 2001249719 A JP2001249719 A JP 2001249719A JP 2001249719 A JP2001249719 A JP 2001249719A JP 2003060309 A JP2003060309 A JP 2003060309A
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semiconductor
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JP2001249719A
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Goro Sasaki
吾朗 佐々木
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低リーク電流でかつ横モード制御のための埋
め込み構造を備え、高出力でかつ高信頼性の光ファイバ
増幅器励起用半導体レーザを提供する。 【解決手段】 n型InP基板10上に、n型InPク
ラッド層20、光閉じ込め層22、MQW活性層24、
光閉じ込め層26、及びp型InPクラッド層28とが
順次積層して、ストライプ状の活性層導波路がメサ型に
形成されている。活性層導波路の両側には、Feドープ
InP層40が埋め込まれて形成されている。活性層導
波路とFeドープInP層40との上には、p型InG
aAsコンタクト層30が積層される。このような構造
においては、活性層への電流狭窄とFeドープInP埋
め込み層40中でのフリーキャリア吸収による光損失が
格段に低減でき、大きな発光効率および発光出力を有
し、かつSMFにも良好に光結合することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラマン増幅または
希土類元素添加光ファイバを用いた光増幅器を励起する
ための半導体レーザ光源に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ増幅器は、光通信システムに
おいて信号光が光伝送路を伝搬する際の光損失を補償す
べく信号光を光増幅するものであり、光増幅用光ファイ
バおよび励起光供給手段を備えている。すなわち、励起
光供給手段により光増幅用光ファイバに所定波長の励起
光が供給され、この光増幅用光ファイバに信号光が入力
すると、この入力した信号光は光増幅用光ファイバにお
いて光増幅されて出力される。また、このような光ファ
イバ増幅器として、希土類元素が光導波領域に添加され
た光ファイバを光増幅用光ファイバとして用いるもの
(以下、希土類元素添加光ファイバ増幅器という。)
と、ラマン増幅を利用するもの(以下、ラマン増幅器と
いう。)とがある。
【0003】これらの光ファイバ増幅器用の励起光源と
して、半導体レーザ(以下、光ファイバ増幅器励起用半
導体レーザという。)が用いられる。信号光の波長(例
えば1.55μm)および励起光の波長(例えば1.4
8μm)は、共にシングルモードであり、光ファイバの
基底モード(LP01モード)のみを伝搬させる。光フ
ァイバ増幅器の利得を高めるためには、励起光源として
用いられる半導体レーザとして、シングルモードファイ
バ(SMF)に結合させるために、所定の波長の基底モ
ード(シングルモード)のみを出力し、かつ高効率かつ
高出力であることが要求される。また、光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザは直流電流によって駆動され、励
起光としてCW光(連続発振光)が用いられる。
【0004】ラマン増幅器は、例えば、文献1「S. Ham
idi, et al., Electronics Letters, Vol. 28, No. 18,
pp. 1768-1770 (1992)」、文献2「E. Desurvire, et
al.,Electronics Letters, Vol. 19, No. 19, pp. 752-
753 (1983)」等に記載されている。また、光ファイバ増
幅器励起用半導体レーザについては、文献3「I. Mito,
et al., Optical Amplifiers and their Applications
1991 (COLORADO, USA), Technical Digest, WC-1」等
に記載されている。
【0005】従来の光ファイバ増幅器用の励起光源とし
て用いる光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの断面図
を、図6に示した。発光層である半導体活性層24(以
下「活性層」という)を含むストライプ状の光導波路が
形成され、その両側には活性層への電流狭窄および光閉
じ込めによる横モード制御のための多層半導体埋め込み
層80が形成されている。活性層としては、例えばGa
InAsP多重量子井戸(MQW)構造が用いられ、多
層半導体埋め込み層80の材料として、活性層より屈折
率が小さく、かつバンドギャップの大きな半導体層(例
えばInP)が用いられる。また、活性層に注入電流を
集中し、多層半導体埋め込み層80には電流が流れない
ようにするために、pn接合の逆耐圧特性を利用したn
−p−n−pサイリスタ構造が、半導体埋め込み層の構
造として形成される。なお、多層半導体埋め込み層80
は、p型半導体層72及びn型半導体層74から構成さ
れる。
【0006】ところで、半導体レーザは、光ファイバ増
幅器用の励起光源以外にも、光通信用の光源として一般
に用いられる。この光通信用半導体レーザは、光ファイ
バ増幅器励起用半導体レーザとは、用途、使用方法およ
び半導体レーザの構造等が異なる。より具体的に説明す
れば、光通信用半導体レーザは、光伝送路である光ファ
イバの最低損失波長である1.3μm或は1.55μm
の波長のレーザ光を放射し、このレーザ光を信号光とし
て利用する。光通信用半導体レーザには、バイアス電圧
(または電流)に高速の電気信号が重畳されて印加さ
れ、直接変調されることによって、高速のデジタル電気
信号が光信号に変換され、信号光が光ファイバに結合さ
れる。光通信で用いられる信号光の光強度は1mW程度
で十分であるので、光通信用半導体レーザの光出力とし
ては、5mW程度に設定される。この光出力を得るため
に光通信用半導体レーザに注入する駆動電流としては、
30mA程度である。光通信用半導体レーザでは、高速
のデジタル電気信号を光信号に直接変換するために、直
接変調したときの半導体レーザの応答速度が重要であ
る。光通信用半導体レーザの応答速度を律速する要因と
して、半導体レーザの素子容量があり、より高速動作さ
せるために、主に素子容量の低減が図られる。
【0007】光通信用半導体レーザにおいても、光ファ
イバ増幅器励起用半導体レーザと同様に発光層である活
性層に電流を集中し、かつ横モードを制御し光導波路を
形成するために、活性層の周囲に活性層より屈折率の小
さな半導体材料で構成された半導体単一層または半導体
多層膜を埋め込む電流狭窄構造が形成される。電流狭窄
構造としては、図6に示した従来の光ファイバ増幅器励
起用半導体レーザと同様のn−p−n−pサイリスタ構
造を埋め込む構造と、高抵抗の半絶縁性半導体層を埋め
込む構造の2種類がある。ただし、光通信用半導体レー
ザにおける高抵抗の半絶縁性半導体層を埋め込む電流狭
窄構造は、素子容量を低減し高速動作を実現することを
目的とする。半導体層を高抵抗化するために、埋め込み
層にFe(鉄)不純物をドープする。さらに、素子容量
を低減するために、半導体レーザのエピタキシャル成長
した側に設けられる電極層には電極面積を極力小さくす
るためのパターン電極が設けられ、エピタキシャル成長
した側が上面になるように、半導体基板側電極層をサブ
マウントあるいはパッケージに半田固定するように実装
される(エピアップ実装形態)。
【0008】高抵抗の半絶縁性半導体層を埋め込んだ高
速動作の光通信用半導体レーザについては、例えば、文
献4「H. Lipsanen, et al., IEEE Photonics Technolo
gy Letters, Vol. 4, No. 7, pp. 673-675 (1992)」等
に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光ファイバ増幅器励起用半導体レーザには、以下のよう
な問題点を有していることを本願発明者は見出した。す
なわち、従来の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザで
は、注入した電流が発光層である活性層以外の領域に漏
れて、無効なリーク電流が存在する、或いは光導波路以
外の光吸収のために光損失が大きくなるといった問題が
あり、高効率および高出力化に限界があることが判明し
た。
【0010】さらに、従来の光ファイバ増幅器励起用半
導体レーザの問題点を明らかにするために、図6を用い
て詳細に説明する。光ファイバ増幅器励起用半導体レー
ザには、光通信用の信号光を放射する光通信用半導体レ
ーザとは異なり、光ファイバ増幅器の利得を向上させる
ために100mW以上の大きな光出力を得ることが要求
される。この100mW以上の大きな光出力を得るため
に、半導体レーザ素子には400mA以上の大きな電流
が注入される。従来のn−p−n−pサイリスタ構造か
らなる多層半導体埋め込み層の構造では、図6に示した
ように、活性層を含むストライプ状の光導波路の側面に
接したp−InP埋め込み層72を通じて流れるリーク
電流が存在する。このリーク電流は、比較的低電流で駆
動する光通信用半導体レーザでは、あまり問題にならな
いが、上記で述べた大電流をバイアス条件として用いる
励起用半導体レーザにおいては、上記のリーク電流は無
視できない。また、n−p−n−pサイリスタ構造にお
いて、ある一定の大きなバイアス電圧(または電流)を
印加したとき、サイリスタ構造のゲート層であるn−I
nP層74への少数キャリアの注入が起こり、サイリス
タのターンオン現象が生じる。これにより、n−p−n
−pサイリスタ構造を通じて流れるリーク電流も急激に
増加し、電流ブロック機能を果たさなくなる。したがっ
てリーク電流の増加にともない、活性層への注入電流が
急激に低下するため、レーザ光出力が著しく低下する。
【0011】さらに、n−p−n−pサイリスタ構造の
多層半導体埋め込み層では、多層半導体埋め込み層80
に異なる導電型の不純物を1x1018cm−3以上の
高濃度にドープしているため、活性層24を含むストラ
イプ状の光導波路から半導体埋め込み層に漏れて伝搬す
る光が、フリーキャリアによる光吸収を受け半導体レー
ザの内部損失を増加させる。これにより、半導体レーザ
の発光効率が低下する。特に大きな光出力を出射する光
ファイバ増幅器励起用半導体レーザでは、このフリーキ
ャリアによって吸収された光は主に熱に変換されるた
め、一層素子特性を劣化させ、さらに素子の信頼性を劣
化させることから重要な問題となり得る。
【0012】以上のように、従来の光ファイバ増幅器励
起用半導体レーザに用いられているn−p−n−pサイ
リスタ構造による多層半導体埋め込み層構造では、活性
層以外へのリーク電流、および多層半導体埋め込み層構
造における不純物のフリーキャリア吸収による光損失の
増大により、半導体レーザの発光効率および発光出力が
低下するという問題がある。なお、光ファイバ増幅器の
励起手段として、複数の半導体レーザ光源を使用するこ
とにより、光増幅用光ファイバに供給する励起光のパワ
ーを高めることも考えられるが、この場合には、光ファ
イバ増幅器の構成が複雑になり高価となる。
【0013】そこで、本発明の目的は、活性層以外の半
導体埋め込み層への電流リークを低減し、かつ半導体レ
ーザの内部損失が低減できる電流狭窄構造を備え、発光
効率および発光出力を格段に向上できる光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザを提供することとした。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のうちで請求項1記載のファイバ増幅器励
起用半導体レーザの特徴は、半導体基板上に形成された
第1の導電型の第1クラッド層と、前記第1クラッド層
上に形成された半導体活性層と、前記半導体活性層上に
形成された第2の導電型の第2クラッド層と、より構成
される光導波路層と、ストライプ状のメサ構造とされた
前記光導波路層の両側面に接して設けられた電流狭窄の
ための埋め込み層を備え、前記埋め込み層の少なくとも
一部若しくは全体が高抵抗半導体層であることである。
【0015】従来の光ファイバ増幅器励起用半導体レー
ザで用いられているn−p−n−pサイリスタ構造の埋
め込み層に代えて、活性層を含むストライプ状の光導波
路層の両側面に、電流狭窄のための高抵抗の半絶縁性半
導体層を埋め込むことにより、従来のn−p−n−pサ
イリスタ構造の埋め込み層で問題となっていた、活性層
を含むストライプ状の光導波路の側面に接したp−In
P埋め込み層を通じて流れるリーク電流を無くすことが
できる。また、大電流で駆動したときのn−p−n−p
サイリスタ構造のターンオン現象による急激な光出力の
低下も防ぐことができる。
【0016】また、高抵抗の半導体埋め込み層中のキャ
リア密度と電気抵抗は逆比例の関係にあるから、高抵抗
であるほどキャリア密度は少ない。したがって、高抵抗
の半導体層を埋め込むことにより、ストライプ状の光導
波路に沿って伝搬する光の中で、光導波路層から埋め込
み層に漏れた光が受けるフリーキャリアによる光吸収を
格段に低減することができる。これにより、半導体レー
ザの内部損失を大幅に低減でき、光ファイバ増幅器励起
用半導体レーザの効率および光出力を向上することがで
きる。さらに、埋め込み層での光吸収による素子の発熱
も無いので、素子の信頼性も向上する。
【0017】請求項2記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザにおいて、活性層の発光波長が1300nmか
ら1600nmであることを特徴とする。
【0018】エルビウム(Er)等の希土類元素添加光
ファイバ増幅器では、励起用半導体レーザの波長として
1.48μmのレーザ光を用い、約1.55μmの波長
を有する信号光(Cバンド:1527nm〜1563n
mの波長)を増幅できる。また、ラマン増幅器では、誘
導ラマン効果を用いて、励起用半導体レーザの波長に応
じてさらに広い範囲の波長の信号光を増幅できる。した
がって、ファイバ増幅器励起用半導体レーザの発光波長
を1300nmから1600nmにすることによって、
光通信で用いられる波長帯,特に光波長多重通信(WD
M:Wavelengthdivision multiplexing)方式に利用さ
れる波長帯である1300nmから1610nmまでの
信号光をファイバ増幅器を用いて増幅することができ
る。
【0019】請求項3記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1または請求項2記載のファイバ増
幅器励起用半導体レーザにおいて、InP基板上に形成
されており、ストライプ状のメサ構造とされた光導波路
層の両側面に接して設けられた電流狭窄のための埋め込
み層が、高抵抗半導体としてFe(鉄)が不純物として
添加されたInPより構成されていることを特徴とす
る。InP中に添加されたFe不純物は、電子をトラッ
プする深い準位として作用し、InP半導体中あるいは
InP半導体に拡散した電子をトラップし、高抵抗化す
る。
【0020】請求項4記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1または請求項2記載のファイバ増
幅器励起用半導体レーザにおいて、InP基板上に形成
されており、ストライプ状のメサ構造とされた光導波路
層の両側面に接して設けられた電流狭窄のための埋め込
み層が、高抵抗半導体としてTi(チタン)が不純物と
して添加されたInPより構成されていることを特徴と
する。InP中に添加されたTi不純物は、正孔をトラ
ップする深い準位として作用し、InP半導体中あるい
はInP半導体に拡散した正孔をトラップし、高抵抗化
する。
【0021】請求項5記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1または請求項2記載のファイバ増
幅器励起用半導体レーザにおいて、InP基板上に形成
されており、ストライプ状のメサ構造とされた光導波路
層の両側面に接して設けられた電流狭窄のための埋め込
み層が、高抵抗半導体としてInPと格子整合し、かつ
InPよりバンドギャップエネルギーの大きな半絶縁性
AlInAs半導体層からなることを特徴とする。
【0022】請求項6記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1または請求項2記載のファイバ増
幅器励起用半導体レーザにおいて、活性層の幅が2.0
μm以上で、かつ4.0μm以下であり、前記半導体レ
ーザの共振器長が500μm以上であることを特徴とす
る。電気信号を直接光信号に変換するために使用される
光通信用半導体レーザでは、活性層の幅は約2.0μm
以下に制限して作製される。これは、光通信用半導体レ
ーザでは、1Gb/s以上の高速の電気信号で直接変調され
るため、半導体レーザの単一基本横モード条件が、非常
に厳しい制限を受けることによる。一方、ファイバ増幅
器励起用半導体レーザにおいて、活性層幅とファイバ増
幅器励起用半導体レーザの発振モードの関係を詳細に実
験調査した結果、ファイバ増幅器励起用半導体レーザに
おいては、活性層幅を4.0μm以下にすることによ
り、ファイバ増幅器励起用半導体レーザの横モードを単
一基本横モードに制御できることが明らかになった。こ
れは、ファイバ増幅器励起用半導体レーザでは、直流電
流で駆動されるため活性層を含むストライプ状光導波路
内部の光分布およびキャリア密度分布がある程度安定に
保持され、これにより単一基本横モード条件が、光通信
用半導体レーザに比較して緩和されることによる。さら
に、ファイバ増幅器励起用半導体レーザでは、活性層に
集中的に注入された電流により、レーザ利得が周辺領域
に比較し一層活性層で大きくなる様に分布し、これに合
わせて光分布が単一横モード発振に好適な分布となるよ
うに形成される。以上の効果により、ファイバ増幅器励
起用半導体レーザでは、活性層幅を4.0μm以下にす
ることにより、安定な横基本モード発振が得られ、シン
グルモード光ファイバ(SMF)に励起レーザ光を安定
かつ高効率に結合することができる。また、活性層幅が
2.0μm以上にすることにより、安定してファイバ増
幅器励起用半導体レーザからの光出力を高出力に保持す
ることができる。また、半導体レーザの共振器長を50
0μm以上の長い共振器長を備えることにより、半導体
レーザのミラーロスが低減することにより発振しきい値
電流密度の低減および量子効率の増大が得られる。さら
に、大電流を注入したときの利得飽和効果が緩和され、
また素子で発生した熱がより効果的に放熱される。これ
により、単一横モード(シングルモード)を維持しなが
ら、レーザ光出力を向上することができる。
【0023】請求項7記載のファイバ増幅器励起用半導
体レーザは、請求項1または請求項2記載のファイバ増
幅器励起用半導体レーザにおいて、活性層が多重量子井
戸構造であることを特徴とする。ファイバ増幅器励起用
半導体レーザの活性層に多重量子井戸構造を用いること
により、しきい値の低減、量子効率の向上および光出力
の向上に効果的である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る諸々の実施形
態の構成および作用について、図1ないし図4を参照し
て説明する。なお、図面の説明においては同一の要素に
は同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、
図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していな
い。
【0025】(第1の実施形態)図1は第1の実施形態
に係る光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの構造を示
す断面図を示す。図1において、n型半導体基板10上
に、第1の半導体層としてn型半導体クラッド層20、
ノンドープ光閉じ込め層22、第2の半導体層としてノ
ンドープMQW活性層24、ノンドープ光閉じ込め層2
6、第3の半導体層としてp型半導体クラッド層28と
が順次積層して、ストライプ状の活性層導波路が形成さ
れている。ストライプ状の活性層導波路は、メサ型に形
成され、さらに、そのメサ部の底面が、n型半導体基板
10まで達するように形成されている。ストライプ状の
活性層導波路の両側には、第4の半導体層として高抵抗
半導体層40が埋め込まれて形成されている。ストライ
プ状の活性層導波路と高抵抗半導体層40との上には、
p型半導体コンタクト層30が積層される。このp型半
導体コンタクト層30の上には、第1の電極層としてp
型電極層50が、p型半導体コンタクト層30に対して
オーミック接触して形成されている。なお、p型半導体
コンタクト層30およびその上のp型電極層との接触面
積は、コンタクト抵抗を低減し、素子の発熱を極力低減
するために、可能な限り広い面積が確保される。励起レ
ーザ光の出射端面には、SiN膜による低反射コーティ
ング60が施されている。低反射コーティング60の反
射率は約2%である。また、その反対の端面にはアモル
ファスSi膜とSiN膜を交互に積層した高反射多層膜
62が施されている。高反射多層膜62の反射率は約8
5%である。なお、光ファイバ増幅器励起用半導体レー
ザ1は、実際に駆動したときに発生する熱が素子特性を
劣化させるのを防ぎ、さらに素子の信頼性を向上させる
ために、アノード電極がサブマウントと接するような形
態(エピダウン実装方式)にて、通常のダイボンド法を
用いて半田によりサブマウントに固定実装される。
【0026】なお、n型半導体基板10は、Sを濃度約
2.0x1018cm−3でドープされたn型のInP
で構成されている。n型半導体クラッド層20は、第1
の半導体材料としてInPを用いることにより、第1導
電型の不純物としてSiを濃度約1.0x1018cm
−3でドープしたn型のInPで構成されており、層厚
約500nmを有する。ノンドープ光閉じ込め層22
は、バンドギャップ波長が1.15μmのGaInAs
Pを用いることにより、故意に不純物をドープしない、
いわゆるi型のGaInAsPで構成されており、層厚
約50nmを有する。ノンドープMQW活性層24は、
バンドギャップ波長が1.48μmのGaInAsP/
GaInAsP多重量子井戸(MQW)構造(井戸層の
数は5)で構成されている。ノンドープ光閉じ込め層2
6は、バンドギャップ波長が1.15μmのGaInA
sPを用いることにより、故意に不純物をドープしな
い、いわゆるi型のGaInAsPで構成されており、
層厚約50nmを有する。p型半導体クラッド層28
は、第3の半導体材料としてInPを用いることによ
り、第1導電型とは異なる第2導電型の不純物としてZ
nを濃度約7.0x1017cm−3でドープしたp型
のInPで構成されており、層厚約1.5μmを有す
る。ところで、上記のノンドープGaInAsP/Ga
InAsP MQW活性層24のバンドギャップ波長
は、光ファイバ増幅器の利得が最大になるように、上記
の井戸層およびバリア層の組成乃至厚みを適宜調整し、
1300nmから1600nmの波長範囲で最適な波長
に設定される。井戸層の材料としてInGaAs層を用
いてもよい。また、ノンドープ活性層を構成する半導体
材料として、所定のバンドギャップ波長を有するノンド
ープGaInAsPバルク結晶を用いてもよい。
【0027】ストライプ状のメサ型活性層導波路の両側
に形成された埋め込み半導体層40は、第4の半導体材
料としてInPが用いられ、不純物としてFeを濃度約
5x1015cm−3でト゛ープされた高抵抗InPで構
成されている。このFeがドープされたInP半導体埋
め込み層の比抵抗率は10Ω/cm以上であり、この
埋め込み領域へのリーク電流はほとんど流れない。この
高抵抗InP層の電気抵抗は、InP層中のフリーキャ
リア密度に依存している。不純物としてドープしたFe
は電子に対する深い電子トラップとして作用し、InP
結晶中に拡散した電子をトラップし、電子濃度を低減す
る。また、高抵抗InP層と接するp型コンタクト半導
体層30からの正孔の拡散は、バンドギャップエネルギ
ーの大きな高抵抗InP層40とバンドギャップエネル
ギーの小さなp型コンタクト半導体層30との境界で
の、所謂ヘテロ障壁により抑制されるため、高抵抗In
P層中の正孔濃度も低減される。従って、高抵抗InP
層中のキャリア密度は、格段に低減でき、高抵抗InP
層40は半絶縁性となり、良好な電流狭窄構造が形成さ
れている。なお、高抵抗InP層にドープされる不純物
として、Fe不純物以外に、InPに対して正孔に対す
る深い準位として作用するTi不純物をドープしてもよ
い。また、高抵抗InP半導体層の代わりに、InP半
導体よりバンドギャップの大きな半絶縁性AlInAs
半導体層を用いてもよい。
【0028】また、半導体埋め込み層における光吸収の
原因となるキャリア密度が低減されることにより、フリ
ーキャリア吸収による光損失も格段に低減できる。リー
ク電流の低減による活性層への電流集中と光損失の低減
により、励起用半導体レーザの発光効率および発光出力
が格段に向上する。
【0029】p型コンタクト半導体層30は、第2導電
型の不純物としてZnを濃度約1x1019cm−3
ドープしたp型のGaInAs半導体で構成されてお
り、層厚約500nmを有する。
【0030】また、カソード電極52は、AuGe/N
iで構成されており、AuGe領域及びNi領域の各層
厚として約100nm及び約30nmをそれぞれ有す
る。アノード電極50は、Ti/Pt/Auで構成され
ており、Ti領域、Pt領域及びAu領域の各層厚とし
て約20nm、約40nm及び約100nmをそれぞれ
有する。
【0031】次に、光ファイバ増幅器励起用半導体レー
ザ1の製造工程について、図5を用いて説明する。ま
ず、図5(a)に示すように、通常の有機金属気相成長
(MOVPE; Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法に基
づいて、n型InP基板10の表面上にn型InPクラ
ッド層20、ノンドープGaInAsP光閉じ込め層2
2、ノンドープGaInAsP/GaInAsP MQ
W活性層24、ノンドープGaInAsP光閉じ込め層
26、およびp型InPクラッド層28を、順次積層し
て形成する。III族原料としてトリエチルガリウム(T
EG; Triethyl Gallium)及びトリメチルインジウム(TMI;
Trimethyl Indium)、を、V族原料としてアルシン(As
H3; Arsine)及びホスフィン(PH3; Phosphine)を用い
た。また、ドーパント不純物の原料としては、n型半導
体に対してはシラン(SiH)が使用でき、p型半導体に
対してはジエチル亜鉛(DEZ; Diethyl Zinc)が使用で
きる。上記のガスを適宜所定の流量で供給することによ
り、所望の厚さ、混晶組成およびキャリア濃度が実現さ
れる。n型InPクラッド層20乃至p型InPクラッ
ド層28の成長温度は適宜設定されて良いが、結晶性を
考慮すれば、いずれの層についても600℃〜750℃
が好ましい。
【0032】次に、通常のフォトリソグラフィ技術に基
づいて、p型InPクラッド層28上に、ストライプ状
の第1のマスク層37を、[011]結晶軸と平行また
は垂直に形成する。第1のマスク層37はSiN膜から
構成されているが、SiO2膜及びSiON膜等の絶縁
性シリコン化合物膜を使用できる。
【0033】続いて、図5(b)に示したように、この
第1のマスク層37をマスクにして、通常のウエットエ
ッチング法に基づいて、第1のマスク層37から露出し
たp型InPクラッド層28、ノンドープGaInAs
P光閉じ込め層26、ノンドープGaInAsP MQ
W活性層24、ノンドープGaInAsP光閉じ込め層
22、n型InPクラッド層20を、n型InP基板1
0が露出する深さまで、臭素を溶解したメタノールをエ
ッチング液として除去する。このエッチングの結果、光
導波路として機能するストライプ状の活性層光導波路部
メサが形成される。また、本実施例において、活性層光
導波路部メサ領域の活性層幅は2.4μm程度である。
本実施例の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザが単一
横モードで動作するための活性層導波路のメサ幅を決定
するために、本願発明者は活性層幅とレーザ発振時のレ
ーザ横モードの関係を実験により調査検討し、単一横モ
ードを維持するための活性層導波路のメサ幅として、
4.0μm以下にする必要があることを見出した。しか
し、最大光出力を大きくするために、可能なかぎりメサ
幅を広げる必要がある。従って、単一横モードを維持し
ながら、高光出力を得るためのメサ幅として2.0μm
以上で、かつ4.0μm以下の範囲にするのが、光ファ
イバ増幅器励起用半導体レーザとして好適である。
【0034】続いて、第1のマスク層37を残した状態
で、通常のMOVPE法を用いてn型InP基板10上
に、第4の半導体層としてFe不純物をドープした高抵
抗InP層40がエピタキシャル成長により埋め込まれ
る。Fe不純物の原料としては、フェロセン(Fe(C5H5)
2:Ferrocene)が使用できる。この高抵抗InP層40
を成長する際、第1のマスク層37上には、半導体結晶
は成長されない。これによって、ストライプ状の活性層
光導波路部メサの周囲にのみ高抵抗InP層40が埋め
込まれ、平坦化される。この後に、第1のマスク層37
を除去する。
【0035】続いて、図5(c)に示したように、通常
のMOVPE法を用いて、p型InGaAsコンタクト
層30が、ストライプ状の活性層光導波路部メサの上
面、および高抵抗InP層40の上面に、全面に渡って
順次成長される。
【0036】p型InGaAsコンタクト層30上に、
通常の真空蒸着法に基づいて、アノード電極50を形成
する。次に、へき開によりn型InP基板10の上に作
製した複数の励起用半導体レーザ素子を素子分離するた
めに、n型InP基板10の裏面を100μm程度ま
で、通常の研磨工程により薄くされる。その後、n型I
nP基板10の裏面の全面に通常の真空蒸着法に基づい
て、カソード電極52を形成する。その後、所定のレー
ザ共振器長になるように、へき開による素子分離が行わ
れる。励起レーザ光の出射端面には、通常のプラズマC
VD法を用いてSiN膜による低反射コーティング60
が施される。また、同様の方法を用いて、その反対の端
面にはアモロファスSi膜とSiN膜を交互に積層した
高反射多層膜62が施される。以上により、図1に示し
た光ファイバ増幅器励起用半導体レーザ1が完成する。
なお、光ファイバ増幅器励起用半導体レーザ1の共振器
長は約900μmである。
【0037】このような製造工程においては、単一のF
e不純物をドープした単層のInP半導体層40で、活
性層導波路メサの周囲を埋め込むので、成長プロセスが
簡略化でき、安定に歩留まりよく製造することができ
る。また、p型InGaAsコンタクト層30が、スト
ライプ状の活性層光導波路部メサの上面、および高抵抗
InP層40の上面に、全面に渡って成長されているの
で、高抵抗InP層を埋め込んだ後の埋め込み層と活性
層光導波路部メサとの境界に残された段差を平坦化で
き、電極形成あるいは、サブマウント等への実装がスム
ーズに行える。
【0038】次に、光ファイバ増幅器励起用半導体レー
ザ1の作用について説明する。この光ファイバ増幅器励
起用半導体レーザ1においては、ストライプ状の活性層
導波路の周囲に電流狭窄および横モード制御のためのF
eドープ高抵抗InP半導体層40が埋め込まれてい
る。InPを高抵抗化するためにドープされたFe不純
物は、電子をトラップする深い準位として作用し、In
P半導体中あるいはInP半導体に拡散した電子をトラ
ップする。これによりInP中の電子に対するフリーキ
ャリア密度が著しく低減し、InP半導体層の高抵抗化
を実現できる。一方、本実施例の光ファイバ増幅器励起
用半導体レーザ1では、Feドープ高抵抗InP半導体
層40中あるいはp型InGaAsコンタクト層30か
らの拡散による正孔に対するフリーキャリアも十分に低
減できる。図1において、Feドープ高抵抗InP半導
体層40(バンドギャップエネルギー:Eg=1.34
7eV)と、このFeドープ高抵抗InP半導体層40
と接しているp型InGaAsコンタクト層30(バン
ドギャップエネルギー:Eg=0.736eV)との境
界には、所謂ヘテロバリアが存在し、伝導帯および価電
子帯にバンド不連続が生じる。特に価電子帯でのバンド
不連続(ΔEv)は約240meVである。p型InG
aAsコンタクト層30からFeドープ高抵抗InP半
導体層40への正孔の拡散に対して、この価電子帯での
大きなバンド不連続が障壁として機能する。以上によ
り、InP半導体層の電気抵抗を低減する要因となる電
子およびホールのフリーキャリア密度を格段に低減で
き、励起用半導体レーザの電流狭窄層として十分に高い
抵抗を有する高抵抗InP半導体層が実現できる。従っ
て、Feドープ高抵抗InP半導体層は、活性層導波路
に対して十分に高い電気抵抗を有し半絶縁性であるた
め、Feドープ高抵抗InP半導体層40へのリーク電
流は無視できる程度に小さく、活性層導波路に電流を集
中させることができる。
【0039】また、光吸収の原因である光吸収の原因で
ある埋め込み半導体層中のフリーキャリア密度は約1x
1015cm−3以下に低減できる。これにより、埋め
込み半導体層中でのフリーキャリア吸収による光損失も
格段に低減できる。リーク電流の低減による活性層への
電流集中と光損失の低減により、励起用半導体レーザの
発光効率および発光出力が格段に向上する。また、スト
ライプ状の活性層導波路の活性層メサ幅は、単一横モー
ド(シングルモード)で発振可能な幅のほぼ最大の幅に
設定され、かつ共振器長も900μmの長い共振器長を
備えることにより大電流を注入したときの利得飽和効果
が緩和され、また素子で発生した熱がより効果的に放熱
される。これにより、単一横モード(シングルモード)
を維持しながら、レーザ光出力を向上することができ
る。
【0040】この光ファイバ増幅器励起用半導体レーザ
1の発振波長は1.48μmであり、発振しきい値電流
が約20mA、低反射コート膜を形成した端面からの最
大光出力が200mW以上の素子を歩留まりよく作製す
ることができた。このときの横モードは安定に維持さ
れ、基本横モードでのレーザ発振を実現できた。
【0041】(第2の実施形態)図2は、第2の実施形
態の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの断面図を示
す。図2に示す半導体層及び構造は、第1の実施の形態
で示された製造工程とほぼ同様にして形成される。
【0042】第2の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザは、n型InP半導体基板10上に、n型
InPクラッド層20、ノンドープGaInAsP光閉
じ込め層22、ノンドープGaInAsP/GaInA
sP MQW活性層24、ノンドープGaInAsP光
閉じ込め層26、p型InPクラッド層28およびp型
InGaAsコンタクト層30とを備え、ストライプ状
の活性層導波路メサが構成されている。ストライプ状の
活性層導波路メサの両側には、Feをドープした高抵抗
InP層40が埋め込まれて形成されている。SiO2
絶縁体層55が、高抵抗InP層40とp型InGaA
sコンタクト層30との上に形成され、p型InGaA
sコンタクト層30の上部には電極とのコンタクト用に
開口部が設けてある。SiO2絶縁体層55とp型In
GaAsコンタクト層30の上には、アノードに電位を
与えるように設けられたp型電極層50が形成されてい
る。このp型電極層50は、上記開口部において、p型
InGaAsコンタクト層30に対してオーミック接触
して形成されている。また、カソードに電位を与えるよ
うに設けられた電極52を備える。なお、上記の絶縁体
層55はSiO2膜から構成されているが、SiN膜及
びSiON膜等の絶縁性シリコン化合物膜を使用でき
る。
【0043】第2の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザにおいては、アノード電極層50と高抵抗
InP層40との間にSiO2絶縁体層55が挿入され
ており、アノード電極層50から高抵抗半導体層40へ
のホールの拡散が抑制される。これにより、アノード電
極層50から高抵抗半導体層40を通じてn型半導体基
板10へ流れるリーク電流を遮断することができるた
め、一層活性層に電流を集中することができる。
【0044】また、光吸収の原因である埋め込み半導体
層中のフリーキャリア密度を約1x1015cm−3
下に低減することができる。これにより、埋め込み半導
体層中でのフリーキャリア吸収による光損失も格段に低
減できる。リーク電流の低減による活性層への電流集中
と光損失の低減により、励起用半導体レーザの発光効率
および発光出力が格段に向上する。また、ストライプ状
の活性層導波路の活性層メサ幅は、単一横モード(シン
グルモード)で発振可能な幅のほぼ最大の幅に設定さ
れ、かつ共振器長も900μmの長い共振器長を備える
ことにより大電流を注入したときの利得飽和効果が緩和
され、また素子で発生した熱がより効果的に放熱され
る。これにより、単一横モード(シングルモード)を維
持しながら、レーザ光出力を向上することができる。
【0045】(第3の実施形態)図3は、第3の実施形
態の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの断面図を示
す。図3に示す半導体層及び構造は、第1の実施の形態
で示された製造工程とほぼ同様にして形成される。
【0046】第3の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザは、第1の実施形態の光ファイバ増幅器励
起用半導体レーザ1において、ストライプ状の活性層導
波路メサの両側の埋め込み層として、Feをドープした
高抵抗InP層40およびn型InP層45が順次埋め
込まれて形成されている。
【0047】第3の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザにおいては、p型InGaAsコンタクト
層30からFeドープ高抵抗InP半導体層40へ拡散
する正孔に対するフリーキャリアを一層低減するため
に、p型InGaAsコンタクト層30と高抵抗InP
層40との間にn型InP層45が挿入される。n型I
nP層45には約2x1018cm−3のSi不純物が
ドープされている。p型InGaAsコンタクト層30
とn−InP層45との境界におけるヘテロ障壁に加え
て、p−n接合での拡散電位による障壁が付加されるた
め、キャリア(正孔)に対する障壁を一段と大きくする
ことができる。これにより、p型InGaAsコンタク
ト層30からのキャリア(正孔)拡散が格段に抑制され
る。Fe不純物による電子のトラップとp型InGaA
sコンタクト層からの正孔の拡散の抑制により、一層大
きなバイアス電流(または電圧)まで、Feドープ高抵
抗InP半導体層の抵抗が高抵抗のまま維持される。
【0048】また、光吸収の原因である埋め込み半導体
層中のフリーキャリア密度を約1x1015cm−3
下に低減することができる。これにより、埋め込み半導
体層中でのフリーキャリア吸収による光損失も格段に低
減できる。リーク電流の低減による活性層への電流集中
と光損失の低減により、励起用半導体レーザの発光効率
および発光出力が格段に向上する。また、ストライプ状
の活性層導波路の活性層メサ幅は、単一横モード(シン
グルモード)で発振可能な幅のほぼ最大の幅に設定さ
れ、かつ共振器長も900μmの長い共振器長を備える
ことにより大電流を注入したときの利得飽和効果が緩和
され、また素子で発生した熱がより効果的に放熱され
る。これにより、単一横モード(シングルモード)を維
持しながら、レーザ光出力を向上することができる。
【0049】(第4の実施形態)図4は、第4の実施形
態の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの断面図を示
す。図4に示す半導体層及び構造は、第1の実施の形態
で示された製造工程とほぼ同様にして形成される。
【0050】第4の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザは、第3の実施形態の光ファイバ増幅器励
起用半導体レーザにおいて、ストライプ状の活性層導波
路メサの上と、ストライプ状の活性層導波路メサの両側
にエピタキシャル成長により順次積層され形成されたF
eをドープした高抵抗InP層40およびn型InP層
45から構成された半導体埋め込み層の上に、厚み1.
5μmのp型InP第2クラッド層29および厚み0.
5μmのp型InGaAsコンタクト層30が順次形成
されている。
【0051】第4の実施形態の光ファイバ増幅器励起用
半導体レーザにおいては、p型InP第2クラッド層2
9が、ストライプ状の活性層光導波路部メサの上面、お
よびn型InP層埋め込み層45の上面に、全面に渡っ
て成長されているので、半導体埋め込み層45と活性層
光導波路部メサとの境界に残された段差を一層平坦化で
き、電極形成あるいは、サブマウント等への実装がスム
ーズに行え、素子の信頼性が向上する。また、p型In
P第2クラッド層からFeドープ高抵抗InP半導体層
40中へのキャリア(正孔)拡散は、p−n接合での拡
散電位による障壁によって抑制できる。Fe不純物によ
る電子のトラップとp型InP第2クラッド層29から
の正孔の拡散の抑制により、十分高い抵抗を有する電流
狭窄構造が得られる。
【0052】また、光吸収の原因である埋め込み半導体
層中のフリーキャリア密度を約1x1015cm−3
下に低減することができる。これにより、埋め込み半導
体層中でのフリーキャリア吸収による光損失も格段に低
減できる。リーク電流の低減による活性層への電流集中
と光損失の低減により、励起用半導体レーザの発光効率
および発光出力が格段に向上する。また、ストライプ状
の活性層導波路の活性層メサ幅は、単一横モード(シン
グルモード)で発振可能な幅のほぼ最大の幅に設定さ
れ、かつ共振器長も900μmの長い共振器長を備える
ことにより大電流を注入したときの利得飽和効果が緩和
され、また素子で発生した熱がより効果的に放熱され
る。これにより、単一横モード(シングルモード)を維
持しながら、レーザ光出力を向上することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、活性層への電流狭窄と
埋め込み半導体層中でのフリーキャリア吸収による光損
失が格段に低減でき、大きな発光効率および発光出力を
有し、シングルモード光ファイバ(SMF)にも良好に
結合することができる光ファイバ増幅器励起用半導体レ
ーザが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザの構造を示す断面図である。
(a)は光の進路に沿った断面構造図であり、(b)は
横断面構造図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザの構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザの構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ増幅
器励起用半導体レーザの構造を示す断面図である。
【図5】図1の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの
製造工程を順次示す斜視図である。
【図6】従来の光ファイバ増幅器励起用半導体レーザの
構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…光ファイバ増幅器励起用半導体レーザ 10…半導体基板 20…n型InPクラッド層 22…GaInAsP光閉じ込め層 24…MQW活性層 26…GaInAsP光閉じ込め層 28…p型InPクラッド層 30…p型InGaAsコンタクト層 40…FeドープInP埋め込み層 50…p型オーミック電極 52…n型オーミック電極 60…低反射コート膜 62…高反射コート膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファイバ増幅器の励起に用いられる半導
    体レーザであって、半導体基板上に形成された第1の導
    電型の第1クラッド層と、前記第1クラッド層上に形成
    された半導体活性層と、前記半導体活性層上に形成され
    た第2の導電型の第2クラッド層と、より構成される光
    導波路層と、 ストライプ状のメサ構造とされた前記光導波路層の両側
    面に接して設けられた電流狭窄のための埋め込み層を備
    え、 前記埋め込み層の少なくとも一部若しくは全体が高抵抗
    半導体層であることを特徴とする半導体レーザ。
  2. 【請求項2】前記半導体活性層の発光波長が1300n
    mから1600nmであることを特徴とする請求項1に
    記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】前記半導体基板がInP基板であり、前記
    高抵抗半導体層として鉄が不純物として添加されたIn
    Pより構成されていることを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】前記半導体基板がInP基板であり、前記
    高抵抗半導体層としてTiが不純物として添加されたI
    nPより構成されていることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】前記半導体基板がInP基板であり、前記
    高抵抗半導体層がInPに格子整合しかつInPよりバ
    ンドギャップエネルギーの大きな半絶縁性AlInAs
    半導体層であることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】前記半導体活性層の幅が2.0μm以上
    で、かつ4.0μm以下であり、前記半導体レーザの共
    振器長が500μm以上であることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5に記載の半導体レーザ。
  7. 【請求項7】前記半導体活性層は、多重量子井戸構造で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の半
    導体レーザ。
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