JP2004111743A - 半導体光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子を提供する。
【解決手段】この半導体光素子1は、第1導電型半導体領域3と、活性層5と、第2導電型半導体層7と、電流ブロック半導体領域9とを備える。第1導電型半導体領域3は、GaAs半導体の表面上に設けられている。活性層5は、第1導電型半導体領域3上に設けられている。活性層5は、一対の側面を有している。第2導電型半導体層7は、活性層5上に設けられている。第2導電型半導体層7は、一対の側面7aを有している。電流ブロック半導体領域9は、活性層5の各側面上及び第2導電型半導体層7の各側面7a上に設けられている。活性層5は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】この半導体光素子1は、第1導電型半導体領域3と、活性層5と、第2導電型半導体層7と、電流ブロック半導体領域9とを備える。第1導電型半導体領域3は、GaAs半導体の表面上に設けられている。活性層5は、第1導電型半導体領域3上に設けられている。活性層5は、一対の側面を有している。第2導電型半導体層7は、活性層5上に設けられている。第2導電型半導体層7は、一対の側面7aを有している。電流ブロック半導体領域9は、活性層5の各側面上及び第2導電型半導体層7の各側面7a上に設けられている。活性層5は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長1マイクロメートル以上の光源として利用される半導体レーザは、InGaAsP/InP半導体から構成される。この半導体レーザは、リッジ構造または埋め込みヘテロ構造を有する。
【0003】
文献1には、リッジ構造の半導体レーザが示されている(非特許文献1)。リッジ構造の半導体レーザは、InGaAsP半導体からなる活性層を備える。活性層は、基板の全面に設けられており、p型InP半導体層とn型InP半導体層との間に設けられている。キャリアは、リッジ構造により構成されるストライプ領域から活性層に注入される。結果的に、注入されたキャリアは活性層内において広がるので、注入されたキャリアの一部は光子と相互作用しない無効キャリアになる。
【0004】
文献2には、埋め込みヘテロ構造の半導体レーザが示されている(非特許文献2)。埋め込みヘテロ構造の半導体レーザは、InGaAsP半導体からなる活性層を備えている。活性層は、p型InP半導体層とn型InP半導体層との間に設けられており、また、InP半導体からなる電流ブロック部の間に設けられている。注入されたキャリアは、活性層と電流ブロック層との間のヘテロ障壁によって活性層内に閉じ込めされる。
【0005】
【非特許文献1】
Appl. Phys. Lett. 35(3), 1 August 1979, pp.232−235
【0006】
【非特許文献2】
IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL.QE−17, NO.2, FEBRUARY 1981pp.202−207
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの半導体レーザにおいて、活性層へのキャリアの閉じ込めを向上するためには、活性層の半導体と該活性層の周囲の半導体部との間の障壁を高くすることが求められる。これらの半導体レーザは、活性層にInGaAsP半導体を用いる。InGaAsP半導体に対するヘテロ障壁を大きくできる材料には、InP半導体を用いる。この材料の組み合わせでは、InPの障壁の値は2.16×10−19ジュール(1.35eV)である。しかしながら、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が求められている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子を提供することとした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面は、半導体光素子に係わる。この半導体光素子は、第1導電型半導体領域と、活性層と、第2導電型半導体層と、電流ブロック半導体領域とを備える。第1導電型半導体領域は、GaAs半導体の表面上に設けられており、第1及び第2の半導体部を有する。第1の半導体部は、第1の領域と第1の領域の両側に位置する第2の領域と有する主面を備えている。第2の半導体部は、一対の側面を有しており、第1の半導体部の第1の領域上に設けられている。活性層は、第1導電型半導体領域の第2の半導体部上に設けられ一対の側面を有する。第2導電型半導体層は、活性層上に設けられ一対の側面を有する。電流ブロック半導体領域は、第2の半導体部、活性層及び第2導電型半導体層に電流を流すように作用する。電流ブロック半導体領域は、第1導電型半導体領域の第1の半導体部の第2の領域上、第2の半導体部の各側面上、活性層の各側面及び第2導電型半導体層の各側面上に設けられている。活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0010】
本発明の別の側面は、半導体光素子に係わる。この半導体光素子は、第1導電型半導体領域と、リッジ半導体部と、電流ブロック半導体領域とを備える。第1導電型半導体領域は、第1の領域と、第1の領域の両側に位置する第2の領域とを主面上に有しており、GaAs半導体の表面上に設けられている。リッジ半導体部は、一対の側面を有しており、第1導電型半導体領域の第1の領域上に設けられた活性層と活性層上に設けられた第2導電型半導体層とを含む。電流ブロック半導体領域は、第1導電型半導体領域の第2の領域上及びリッジ半導体部の各側面上に設けられ、リッジ半導体部に電流を流すように作用する。活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0011】
これらの半導体光素子によれば、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層をGaAs基板上に設けることが可能なので、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層、及び電流ブロック半導体領域の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層が係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0012】
これらの半導体光素子では、第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。電流ブロック半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギーに対応する波長値に等しい。
【0013】
本発明の半導体光素子では、活性層は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成されている。
【0014】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域は、活性層及び第2導電型半導体層のエッチングのためのエッチング停止層として機能する材料から構成されることができる。
【0015】
本発明の半導体光素子では、活性層のIII−V系化合物半導体は、III族として少なくともガリウム元素を少なくとも含むと共に、V族として少なくとも砒素元素を更に含むことができる。
【0016】
本発明の半導体光素子では、活性層の屈折率は、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域の屈折率より大きい。この構造によれば、活性層に光を閉じ込めることができる。
【0017】
本発明の半導体光素子は、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備えることができる。別の半導体層は、第1導電型半導体領域と活性層との間および第2導電型半導体層と活性層との間の少なくともいずれかに設けられている。III−V族化合物半導体は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。III−V族化合物半導体は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。
【0018】
このフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層と第1導電型半導体領域又は第2導電型半導体層とのヘテロ障壁が緩和される。
【0019】
本発明の半導体光素子は、第1及び第2のSCH層を更に備えることができる。第1のSCH層は、第1導電型半導体領域と活性層との間に設けられている。第2のSCH層は、活性層と第2導電型半導体層との間に設けられている。第1及び第2のSCH層は、屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体領域と活性層との間の材料を用いて構成される。
【0020】
第1及び第2のSCH半導体層は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。SCH層の挿入により、活性層への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0021】
SCH層を備える半導体光素子は、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備えることができる。別の半導体層は、第1導電型半導体領域と第1のSCH層との間および第2導電型半導体層と第2のSCH層との間の少なくともいずれかに設けられている。III−V族化合物半導体は、第1のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。III−V族化合物半導体は、第2のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。このフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、SCH層と第1導電型半導体領域又は第2導電型半導体層とのヘテロ障壁が緩和される。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。
【0022】
本発明の半導体光素子では、電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備えることができる。第1の電流ブロック層の導電型は第2の電流ブロック層の導電型と異なる。電流ブロック半導体領域は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層と第2の電流ブロック層とから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。
【0023】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の各々は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層と電流ブロック半導体層との間のキャリア閉じ込め、活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0024】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の各々は、AlXGa1−XAs半導体から構成されることができる。Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層と電流ブロック半導体層との間のキャリア閉じ込め、活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0025】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2のSCH層の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)、またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されることができる。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率が、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率と活性層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率との間の値にそれぞれ設定され、活性層への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。
【0026】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まないIII−V族化合物半導体から構成されることができる。この半導体光素子の第1及び第2の電流ブロック半導体層は、酸化されやすいアルミニウムを含まない。
【0027】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層、第1導電型半導体領域並びに第2導電型半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まないIII−V族化合物半導体から構成されることができる。この半導体光素子は、酸化されやすいアルミニウムを含まない。
【0028】
本発明の半導体光素子では、GaAs半導体の表面は、GaAs半導体層及びガリウム砒素基板のいずれかにより提供されるようにしてもよい。GaAs半導体層は、ガリウム砒素と異なる半導体の基板上に設けられていてもよい。
【0029】
ガリウム砒素基板は、高品質、大口径のものを安く入手できるので、これをGaAs半導体表面に用いると、半導体光素子の生産性向上やコストダウンが実現できる。また、GaAs半導体層を用いると、ガリウム砒素と異なる半導体基板上(例えば、シリコン(Si)基板)にGaAs半導体表面を設けることができるので、設計の自由度が増し、半導体光素子の構造の最適化や、異種基板上に構成される、光デバイス及び電子デバイスの集積等がより容易になる。
【0030】
本発明の半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、及び電界吸収型変調素子の少なくともいずれかを含むことができる。
【0031】
本発明の半導体光素子では、活性層は、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、及びGaInNAsSbP半導体の少なくともいずれかの半導体材料から構成されることができる。
【0032】
本発明の上記の目的及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述からより容易に明らかになる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体光素子に係わる実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分に同一の符号を付する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。図1には、XYZ座標系Sが描かれている。図2(a)は、図1に示されたI−I線に沿った断面図である。図2(b)は、図2(a)に示されたII−II線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図2(c)は、図2(a)に示されたII−II線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。図2(d)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図2(e)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。
【0035】
図1及び図2(a)を参照すると、埋め込みヘテロ構造半導体レーザ素子といった半導体発光素子1が示されている。この半導体光素子1は、第1導電型半導体領域3と、活性層5と、第2導電型半導体層7と、電流ブロック半導体領域9とを備える。第1導電型半導体領域3は、GaAs半導体の表面上に設けられており、第1及び第2の半導体部3a、3bを有する。第1の半導体部3aは、第1の領域3cと、第1の領域3cの両側に位置する第2の領域3dと有する主面を備えている。第1の領域3cは、所定の軸の方向に伸びている。第2の半導体部3bは、第1の半導体部3aの第1の領域3c上に設けられている。第2の半導体部3bは、一対の側面3eを有する。活性層5は、第1導電型半導体領域3の第2の半導体部3b上に設けられている。活性層5は、一対の側面5aを有している。第2導電型半導体層7は、活性層5上に設けられている。第2導電型半導体層7は、一対の側面7aを有している。電流ブロック半導体領域9は、第1導電型半導体領域3の第1の半導体部3aの第2の領域3d上、第2の半導体部3bの各側面3e上及び活性層5の各側面5a上及び第2導電型半導体層7の各側面7a上に設けられている。活性層5は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0036】
半導体光素子1においては、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層5をGaAs基板上に形成できるので、第1導電型半導体領域3、第2導電型半導体層7、及び電流ブロック半導体領域9の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層が係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0037】
また、半導体光素子1は埋め込みヘテロ構造を備えるので、リッジ構造の半導体レーザに比べてキャリアの閉じ込め性に優れる。その結果、埋め込みヘテロ構造の半導体レーザは、無効電流の減少や、キャリアと光子との相互作用の強化により、閾値電流の低下や微分効率の向上といった改善が得られる。
【0038】
第1導電型半導体領域3はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層7はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。ここで、フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。図2(b)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、キャリアを活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域3は第1導電型クラッド層として働くことができ、第2導電型半導体層7は第2導電型クラッド層として働くことができる。活性層5は、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7から注入され閉じ込められたキャリアから光を発生する。
【0039】
図2(b)に示されるように、半導体発光素子1のクラッド層のバンドギャップ値△E0は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体から成るクラッド層のバンドギャップ値△EInPに比べて大きいので、半導体発光素子1はInP/GaInAsP半導体発光素子に比べてy方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0040】
電流ブロック半導体領域9は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。結果として、図2(d)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、電流ブロック半導体領域9は、電流ブロック半導体層として働くことができる。図2(d)に示されるように、半導体発光素子1の電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EBは、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体から成る電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EInPに比べて大きいので、半導体発光素子1はInP/GaInAsP半導体発光素子に比べてx方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0041】
図2(c)の屈折率分布に示されるように、第1導電型半導体領域3が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。第2導電型半導体層7が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。故に、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、活性層5において発生された光をy方向において活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域3は光学的なクラッド層として働き、第2導電型半導体層7は光学的なクラッド層として作用する。
【0042】
電流ブロック半導体領域9は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。結果として、電流ブロック半導体領域9は、活性層5において発生された光を活性層5に閉じ込めるように働き、光学的なクラッド層として作用する。
【0043】
半導体光素子1は、半導体基板11を更に備える。半導体基板11としてはGaAs半導体基板が例示される。第1導電型半導体領域3が設けられたGaAs半導体の表面は、GaAs半導体基板によって提供される。半導体基板11の主面11a上には、第1導電型半導体領域3が設けられている。第1導電型半導体領域3は、半導体基板11の主面11a上に設けられた第1の部分3aと、第1の部分3a上に設けられた第2の部分3bとを有する。第1導電型半導体領域3の第2の部分3bは、リッジ形状を成しており、電流ブロック半導体領域9の間に位置している。また、活性層5及び第2導電型半導体層7は、リッジ形状を成しており、電流ブロック半導体領域9の間に位置している。活性層5は、第1導電型半導体領域3の第2の部分3bと第2導電型半導体層7との間に位置している。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5及び第2導電型半導体層7は、半導体リッジ部13を形成する。半導体リッジ部13は、所定の軸方向に伸びている。半導体リッジ部13において、活性層5には、第1導電型半導体領域3の第2の部分3b及び第2導電型半導体層7からキャリアが注入される。
【0044】
半導体光素子1は、電流ブロック半導体領域9及び半導体リッジ部13上に設けられた第2導電型半導体層15を更に備える。第2導電型半導体層15が示すフォトルミネッセンス波長値は、第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値と同じか、それ以下であり、且つ活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層15が示す屈折率は、第2導電型半導体層7が示す屈折率と同じか、又はそれ以下であり、且つ活性層5が示す屈折率より小さい。したがって、第2導電型半導体層15は、活性層5において発生された光及び注入されたキャリアを活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第2導電型半導体層15は光学的なクラッド層として働くことができる。
【0045】
このような屈折率の構造及びバンドギャップの構造を備える半導体光素子1によれば、水平・垂直方向に関するキャリア閉じ込め性が強化され、InP半導体/GaInAsP半導体から成る半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増加、温度特性の改善が得られる。
【0046】
半導体光素子1は、第2導電型半導体層17と、電極21と、電極23とを更に備える。第2導電型半導体層17は、第2導電型半導体層15上に設けられている。電極21は、第2導電型半導体層17上に設けられている。電極21は、半導体リッジ部13が伸びる方向に伸びている。電極23は、基板11の裏面11bに設けられている。第2導電型半導体層17のバンドギャップは、第2導電型半導体層15のバンドギャップより小さい。故に、電極21と第2導電型半導体層17との間にオーミックコンタクトを形成することが容易になる。結果として、第2導電型半導体層17はコンタクト層として働く。
【0047】
半導体光素子1において、電流ブロック半導体領域9は、第1の電流ブロック層9a及び第2の電流ブロック層9bを備えることができる。第1の電流ブロック層9aの導電型は第2の電流ブロック層9bの導電型と異なる。電流ブロック半導体領域9は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層9aと第2の電流ブロック層9bとから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。第1の電流ブロック層9aは、第2導電型半導体から構成され、第2の電流ブロック層9bは、第1導電型半導体から構成されることができる。
【0048】
図1及び図2(a)に示された半導体光素子1においては、第1の電流ブロック層9aは、第1導電型半導体から構成される第2の電流ブロック層9b及び第1導電型半導体領域3との間に位置し、第2の電流ブロック層9bは、第2導電型半導体から構成される第1の電流ブロック層9a及び第2導電型半導体層15との間に位置する。故に、第2導電型半導体層15、第1導電型半導体領域3、電流ブロック半導体領域9により、pnpn構造又はnpnp構造を構成する。
【0049】
半導体発光素子1の構成を示す第1の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域3:n型のAlGaInP又はGaInP
活性層5: アンドープ(un)GaInNAs、un−GaNAs、
un−GaNAsSb、un−GaNAsP、
un−GaNAsSbP、un−GaInNAsSb、
un−GaInNAsP、又はun−GaInNAsSbP
第2導電型半導体層7:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第2導電型半導体層15:p型のAlGaInP又はGaInP
第1の電流ブロック半導体層9a:p型AlGaInP半導体、
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層9b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板11:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層17:p型GaAs半導体
である。この実施例における半導体光素子1では、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7はGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X) YIn1−YP半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層9a、9bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、またはGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層5と電流ブロック半導体領域9との間のキャリア閉じ込めと、活性層5と第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0050】
半導体発光素子1の構成を示す第2の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域3:n型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
活性層5: un−GaInNAs、un−GaNAs、
un−GaNAsSb、un−GaNAsP、
un−GaNAsSbP、un−GaInNAsSb、
un−GaInNAsP、又はun−GaInNAsSbP
第2導電型半導体層7:p型のAlGaAs半導体またはGaAs半導体
第2導電型半導体層15:p型のAlGaAs半導体またはGaAs半導体
第1の電流ブロック半導体層9a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層9b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板11:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層17:p型GaAs半導体
である。この実施例における半導体光素子1では、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、AlXGa1−XAs半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層9a、9bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、またはGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層5と電流ブロック半導体領域9との間のキャリア閉じ込めと、活性層5と第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0051】
上記の半導体材料から構成される半導体光素子1では、活性層5は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成される。
【0052】
InP半導体は、図2(b)に示される△EInPを有する。図2(b)から理解されるように、△E0は、△EInPより大きい。つまり、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体又はGaInNAsSbP半導体のいずれかの半導体から構成される活性層5と、△E0を有するクラッド層(p型AlGaInP半導体、n型AlGaInP半導体、p型AlGaAs半導体またはn型AlGaAs半導体)とのバンドギャップの差は、InP半導体(バンドギャップエネルギ:2.16×10−19ジュール(1.35eV))/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップに比べて大きくできる。この説明は、図2(d)に示される活性層5及び電流ブロック半導体領域9にも同様に適用される。
【0053】
図3(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図3(c)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿った屈折率を示す図面である。半導体光素子1aは、第1のSCH層25及び第2のSCH層27を更に備えることができる。第1のSCH層25は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間に設けられている。第2のSCH層27は、活性層5と第2導電型半導体層7との間に設けられている。第1のSCH層25及び第2のSCH層27は、電流ブロック領域9の間に設けられている。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7、第1のSCH層25及び第2のSCH層27は、半導体リッジ部13aを形成する。
【0054】
第1のSCH層25は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第2のSCH層27は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。活性層5には、第1のSCH層25及び第2のSCH層27を介して第1導電型半導体領域3の第2の部分3b及び第2導電型半導体層7からキャリアが注入される。図3(b)に示されるように、半導体光素子1aにおいて、注入されたキャリアは、第1のSCH層25及び第2のSCH層27の働きによって活性層5に閉じ込められる。
【0055】
第1のSCH層25は、活性層5が示す屈折率と第1導電型半導体領域3が示す屈折率との間の屈折率値を示している。第2のSCH層27は、活性層5が示す屈折率と第2導電型半導体層7が示す屈折率との間の屈折率値を示している。図3(c)に示されるように、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、活性層5において発生された光を活性層5、第1のSCH層25及び第2のSCH層27に閉じ込めるように働く。
【0056】
第1及び第2のSCH半導体層25、27は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。これらのSCH層の挿入により、活性層5への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0057】
第1及び第2のSCH層の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1 −XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されることができる。半導体発光素子1aの構成の第1の実施例及び第2の実施例として、第1及び第2のSCH半導体層25及び27:un−AlXGa1−XAs(0≦X≦1)、un−GaAs、又はGaAs半導体に格子整合するun−GaXIn1−XAsYP1−Y(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)
がある。GaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合するように設けられる。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層25及び27の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値と活性層5の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値との間の値に設定されるので、活性層5への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。
【0058】
図4(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)に示されたV−V線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図4(c)は、図4(a)に示されたV−V線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。半導体光素子1bは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層29を更に備えることができる。別の半導体層29は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間および第2導電型半導体層7と活性層5との間の少なくともいずれかの位置に設けられている。半導体光素子1bでは、別の半導体層29は、第2導電型半導体層7と活性層5との間に設けられているとき、別の半導体層29のIII−V族化合物半導体は、図4(b)に示されるように、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。また、別の半導体層29は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間に設けられているとき、別の半導体層29のIII−V族化合物半導体は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7及び別の半導体層29は、半導体リッジ部13bを形成する。
【0059】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層29の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層5と第1導電型半導体領域3又は第2導電型半導体層7とのヘテロ障壁が緩和される。
【0060】
図4(a)に示された半導体発光素子1bは、第2導電型半導体層7と活性層5との間に設けられた別の半導体層29を備えるけれども、図4(c)に示されるように、別の半導体層29は、第1導電型半導体層3と活性層5との間に設けられてもよい。また、一対の別の半導体層を活性層5の両側に設けることができる。
【0061】
半導体発光素子1bの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、
半導体層29:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、 又はp型GaInAsP
がある。
【0062】
図5は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図5に示される半導体光素子1cは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層31と、SCH層25,27との両方を備えることができる。別の半導体層31は、第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間に設けられる。半導体光素子1cのように、別の半導体層31が第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間に設けられるとき、別の半導体層31のIII−V族化合物半導体は第2のSCH層27が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。また、別の半導体層31が第1導電型半導体領域3と第1のSCH層25との間に設けられるとき、別の半導体層31のIII−V族化合物半導体は、第1のSCH層25が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7、第1及び第2のSCH層27及び25並びに別の半導体層31は、半導体リッジ部13cを構成する。
【0063】
別の半導体層31は、第1導電型半導体領域3と第1のSCH層25との間および第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間の少なくともいずれかの位置に設けられていてもよい。
【0064】
上記のフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層31を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、第1のSCH層25と第1導電型半導体領域3又は第2のSCH層27と第2導電型半導体層7とのヘテロ障壁が緩和される。
【0065】
半導体発光素子1cの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、
半導体層31:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、 又はp型GaInAsP
がある。
【0066】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。図6には、XYZ座標系Sが描かれている。図7(a)は、図6に示されたVI−VI線に沿った断面図である。図7(b)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図7(c)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿った屈折率を示す図面である。図7(d)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図7(e)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿った屈折率を示す図面である。図6及び図7(a)を参照すると、埋め込みヘテロ構造半導体レーザ素子といった半導体発光素子51が示されている。
【0067】
この半導体光素子51は、第1導電型半導体領域53と、活性層55と、第2導電型半導体層57と、電流ブロック半導体領域59とを備える。第1導電型半導体領域53は、GaAs半導体の表面上に設けられている。第1導電型半導体領域53は、第1の領域53aと、該第1の領域53aの両側に位置する第2の領域53bとを有する主面を備える。第1の領域53aは、所定の軸方向に伸びている。活性層55は、第1の領域53a上に設けられている。活性層55は、一対の側面55aを有する。第2導電型半導体層57は、活性層55上に設けられている。第2導電型半導体層57は、一対の側面57aを有している。電流ブロック半導体領域59は、第1導電型半導体領域53の第2の領域53b上、活性層55の各側面55a上及び第2導電型半導体層57の各側面57a上に設けられている。活性層55は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される。
【0068】
半導体光素子51においては、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層55をGaAs半導体基板上に形成できるので、第1導電型半導体領域53、第2導電型半導体層57、及び電流ブロック半導体領域59の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層に係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0069】
第1導電型半導体領域53はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層57はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。図7(b)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、キャリアを活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域53は第1導電型クラッド層として働き、第2導電型半導体層57は第2導電型クラッド層として働くことができる。活性層55は、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57から注入され閉じ込められたキャリアから光を発生する。図7(b)に示されるように、半導体発光素子51は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体クラッド層のバンドギャップ値△EInPより大きいバンドギャップ値△E0のクラッド層を有し、InP/InGaAsP半導体発光素子に比べてY方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0070】
電流ブロック半導体領域59は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。結果として、図7(d)に示されるように、電流ブロック半導体領域59は、電流ブロック半導体層として働くことができる。半導体発光素子51は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EInPより大きなバンドギャップ値△EBの電流ブロック半導体層を有し、InP/InGaAsP半導体発光素子に比べてX方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0071】
図7(c)の屈折率分布に示されるように、第1導電型半導体領域53が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。第2導電型半導体層57が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。故に、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、活性層55において発生された光を活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域53は光学的なクラッド層として働き、第2導電型半導体層57は光学的なクラッド層として作用する。
【0072】
電流ブロック半導体領域59は、III−V族化合物半導体から構成され、このIII−V族化合物半導体が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。電流ブロック半導体領域59は、活性層55において発生された光を活性層55に閉じ込めるように働き、光学的なクラッド層として作用する。
【0073】
半導体光素子51は、半導体基板61を更に備える。半導体基板61としてはGaAs半導体基板が例示される。第1導電型半導体領域53が設けられたGaAs半導体の表面は、GaAs半導体基板によって提供される。半導体基板61の主面61a上には、第1導電型半導体領域53が設けられる。活性層55及び第2導電型半導体層57は、電流ブロック半導体領域59の間に位置し、リッジ形状を成す。活性層55は、第1導電型半導体領域53の第1の部分53aと第2導電型半導体層57との間に位置する。活性層55、63及び第2導電型半導体層57は、半導体リッジ部63を構成する。半導体リッジ部13は、所定の軸方向に伸びる。半導体リッジ部63では、活性層55には、第1導電型半導体領域53の第1の部分53a及び第2導電型半導体層57からキャリアが注入される。
【0074】
半導体光素子51は、電流ブロック半導体領域59及び半導体リッジ部63上に設けられた第2導電型半導体層65を更に備える。第2導電型半導体層65が示すフォトルミネッセンス波長値は、第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値と同じか、それ以下であり、且つ活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層65が示す屈折率は、第2導電型半導体層57が示す屈折率と同じか、それ以下であり、且つ活性層55が示す屈折率より小さい。したがって、第2導電型半導体層65は、活性層55において発生された光及び注入されたキャリアを活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第2導電型半導体層65は第2導電型クラッド層として働くことができる。
【0075】
半導体光素子51は、第2導電型半導体層67と、電極71と、電極73とを更に備える。第2導電型半導体層67は、第2導電型半導体層65上に設けられる。電極71は、第2導電型半導体層67上に設けられる。電極71は、半導体リッジ部63が伸びる方向に伸びる。電極73は、基板61の裏面61bに設けられる。第2導電型半導体層67のバンドギャップは、第2導電型半導体層65のバンドギャップより小さい。故に、電極71と第2導電型半導体層67との間にオーミックコンタクトを得ることが容易になる。結果として、第2導電型半導体層67はコンタクト層として働く。
【0076】
半導体光素子51では、電流ブロック半導体領域59は、第1の電流ブロック層59a及び第2の電流ブロック層59bを備えることができる。第1の電流ブロック層59aの導電型は第2の電流ブロック層59bの導電型と異なる。電流ブロック半導体領域59は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層59aと第2の電流ブロック層59bとから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。第1の電流ブロック層59aは、第2導電型半導体から構成でき、第2の電流ブロック層59bは、第1導電型半導体から構成できる。
【0077】
半導体光素子51では、第1の電流ブロック層59aは、第1導電型半導体から構成される第2の電流ブロック層59bと第1導電型半導体領域53との間に位置しており、第2の電流ブロック層59bは、第2導電型半導体から構成される第1の電流ブロック層59aと第2導電型半導体層65との間に位置している。故に、第2導電型半導体層65、第1導電型半導体領域53、電流ブロック半導体領域59により、pnpn構造又はnpnp構造を構成する。
【0078】
半導体発光素子51の構成を示す第1の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域53:n型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
活性層55: アンドープ(un)GaInNAs半導体、un−GaNAs半導体、
un−GaNAsSb半導体、un−GaNAsP半導体、
un−GaNAsSbP半導体、un−GaInNAsSb半導体、
un−GaInNAsP半導体、又はun−GaInNAsSbP半導体
第2導電型半導体層57:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第2導電型半導体層65:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第1の電流ブロック半導体層59a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層59b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板61:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層67:p型GaAs半導体
である。半導体光素子51では、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層59a、59bの各々は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体又はAlXGa1−XAs半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層55と電流ブロック半導体領域59との間のキャリア閉じ込めと、活性層55と第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0079】
半導体発光素子51の構成を示す第2の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域53:n型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
活性層55: un−GaInNAs半導体、un−GaNAs半導体、
un−GaNAsSb半導体、un−GaNAsP半導体、
un−GaNAsSbP半導体、un−GaInNAsSb半導体、
un−GaInNAsP半導体、又はun−GaInNAsSbP半導体
第2導電型半導体層57:p型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
第2導電型半導体層65:p型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
第1の電流ブロック半導体層59a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層59b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板61:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層67:p型GaAs半導体
である。半導体光素子51では、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、AlXGa1−XAs半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層59a、59bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、又はGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの半導体において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層55と電流ブロック半導体領域59との間のキャリア閉じ込めと、活性層55と第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0080】
故に、水平・垂直方向に関するキャリア閉じ込め性が強化され、InP半導体/GaInAsP半導体から成る半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増加、温度特性の改善が得られる。
【0081】
上記の半導体材料から成る半導体光素子51によれば、活性層55は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成される。
【0082】
InP半導体は、図7(b)に示される△EInPを有する。図7(b)から理解されるように、△E0は、△EInPより大きい。つまり、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、又はGaInNAsSbP半導体のいずれかの半導体から構成される活性層と、△E0を有するクラッド層(p型AlGaInP半導体、n型AlGaInP半導体、p型AlGaAs半導体、又はn型AlGaAs半導体)とのバンドギャップの差は、InP半導体(バンドギャップエネルギ:2.16×10−19ジュール(1.35eV))/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップに比べて大きい。この説明は、図7(d)に示される活性層55及び電流ブロック半導体領域59にも同様に適用される。
【0083】
図8(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)のIX−IX線に沿って取られた半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図8(c)は、図8(a)のIX−IX線に沿って取られた半導体光素子の屈折率を示す図面である。半導体光素子51aは、第1のSCH層75及び第2のSCH層77を更に備えることができる。第1のSCH層75は、第1導電型半導体領域53と活性層55との間に設けられている。第2のSCH層77は、活性層55と第2導電型半導体層57との間に設けられている。第1のSCH層75及び第2のSCH層77は、電流ブロック領域59の間に設けられている。第1導電型半導体領域53、活性層55、第2導電型半導体層57、第1のSCH層75及び第2のSCH層77は、半導体リッジ部63aを形成する。
【0084】
第1のSCH層75は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第2のSCH層77は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。活性層55には、第1及び第2のSCH層75,77を介して第1導電型半導体領域53の第1の部分53a及び第2導電型半導体層57からキャリアが注入される。図8(b)に示されるように、半導体光素子51aにおいて、注入されたキャリアは、第1のSCH層75及び第2のSCH層77の働きによって活性層55に閉じ込められる。
【0085】
第1のSCH層75は、活性層55が示す屈折率と第1導電型半導体領域53が示す屈折率との間の屈折率値を示している。第2のSCH層77は、活性層55が示す屈折率と第2導電型半導体層57が示す屈折率との間の屈折率値を示している。図8(c)に示されるように、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、活性層55において発生された光を活性層55、第1のSCH層75及び第2のSCH層77に閉じ込めるように働く。
【0086】
第1及び第2のSCH半導体層75、77は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。SCH層の挿入により、活性層55への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0087】
第1及び第2のSCH層75、77の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成できる。半導体発光素子51aの構成の第1の実施例及び第2の実施例として、
SCH半導体層75及び77:un−AlXGa1−XAs(0≦X≦1)、
un−GaAs、又はGaAs半導体に格子整合するun−GaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)
がある。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層75及び77の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値と活性層55の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値との間にそれぞれ設定されるので、活性層55への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。好適な実施例では、GaInAsPはGaAsに格子整合するように設けられる。
【0088】
図9(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)のX−X線に相当する線に沿って取られた半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図9(c)は、図9(a)に示されたX−X線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。半導体光素子51bは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層79を更に備えることができる。半導体光素子51bでは、別の半導体層79は、第2導電型半導体層57と活性層55との間に設けられる。別の半導体層79のIII−V族化合物半導体は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。活性層55、第2導電型半導体層57及び別の半導体層79は、半導体リッジ部63bを形成する。
【0089】
図9(a)に示された半導体発光素子51bは、第2導電型半導体層57と活性層55との間に設けられた別の半導体層79を備えるけれども、図9(c)に示されるように、別の半導体層79は第1導電型半導体層53と活性層55との間に設けられてもよい。別の半導体層79が第1導電型半導体領域53と活性層55との間に設けられるとき、別の半導体層79のIII−V族化合物半導体は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。また、一対の別の半導体層79を活性層55の両側に設けてもよい。つまり、別の半導体層79は、第1導電型半導体領域53と活性層55との間および第2導電型半導体層57と活性層55との間の少なくともいずれかに設けられることができる。
【0090】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層79の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層55と第1導電型半導体領域53又は第2導電型半導体層57とのヘテロ障壁が緩和される。
【0091】
半導体発光素子51bの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、半導体層79:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、又はp型GaInAsP
がある。
【0092】
図10は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。SCH層75、77を備える半導体光素子51cは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層81を更に備えることができる。別の半導体層81は、第1導電型半導体領域53と第1のSCH層75との間および第2導電型半導体層57と第2のSCH層77との間の少なくともいずれかに設けられる。図10(a)に示された半導体光素子51cのように、別の半導体層81が第2導電型半導体層57と第2のSCH層77との間に設けられるとき、別の半導体層81のIII−V族化合物半導体は第2のSCH層77が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。別の半導体層81が第1導電型半導体領域53と第1のSCH層75との間に設けられるとき、別の半導体層81のIII−V族化合物半導体は、第1のSCH層75が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。活性層55、第2導電型半導体層57、第1のSCH層75及び第2のSCH層77、並びに別の半導体層81は、半導体リッジ部63cを形成する。半導体発光素子51cの半導体層81は、半導体層79と同じ材料から構成される。
【0093】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層81の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、SCH層75と第1導電型半導体領域53又はSCH層77と第2導電型半導体層57とのヘテロ障壁が緩和される。
【0094】
以上、本発明の第1及び第2の実施の形態をいくつかの変形例を参照しながら説明したが、本実施の形態は、これらに限定され無い。更なる変形例の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウム(Al)を含まないIII−V族化合物半導体から構成される。第1及び第2の電流ブロック半導体層が、酸化されやすいAlを含む材料から構成される場合、活性層と電流ブロック半導体領域との界面において時間の経過と共にAlの酸化反応が進行して、非発光センターの数が増加する可能性がある。しかしながら、第1及び第2の電流ブロック半導体層は、酸化されやすいAlをIII族として含まないとき、Alの酸化が半導体発光素子の特性や信頼性を劣化させることがない。Alを含まないIII−V族化合物半導体としては、GaInP半導体が例示される。好適な実施例では、GaInP半導体はGaAs半導体に格子整合する。
【0095】
Alを含むIII−V族半導体材料を電流ブロック半導体領域のための材料に用いる場合、活性層を含むリッジ半導体部を埋め込む工程において、電流ブロック半導体領域とリッジ半導体部との界面及び/又は電流ブロック半導体領域と第1導電型半導体領域との界面においてAlが酸化されることにより、良好な結晶性を有する電流ブロック半導体領域が得られない可能性がある。その点、例えばGaInP半導体はAlを含まないので、そのような問題は生じない。GaInP半導体のバンドギャップは、Nを含むIII−V族半導体のバンドギャップより大きい。GaInP半導体を含む電流ブロック半導体領域によれば、キャリアが活性層内に良好に閉じ込められる。また、GaInP半導体の屈折率は、Nを含むIII−V族半導体の屈折率より小さい。GaInP半導体を含む電流ブロック半導体領域によれば、水平横方向の光が活性層に良好に閉じ込められる。
【0096】
電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されることに加えて、活性層がIII族としてAlを含まない半導体から構成されており、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層がGaInP半導体から構成されていてもよい。この構成によれば、Al酸化に起因する活性層の発光特性の劣化及びAl酸化に起因する埋め込み再成長時の電流ブロック半導体領域の結晶性の劣化の可能性が生じない。第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域の材料がIII族としてAlを含まない場合、電流ブロック半導体領域及び第2導電型半導体層上に別の第2導電型半導体層を成長するときに、Al酸化に起因する結晶性の劣化の可能性が生じない。故に、より高性能および高信頼性の埋め込み半導体発光素子が得られる。
【0097】
半導体光素子が、III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層を含む発光領域と、GaInAsP半導体を含むヘテロ障壁緩和層とを備えるとき、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されていてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体はGaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まない半導体から構成されるので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0098】
III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層及びSCH層を備える発光領域を備える半導体光素子において、例えば、GaAs半導体及びGaInAsP半導体の少なくともいずれかの半導体からSCH層が構成されており、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されていてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体及びGaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まないので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0099】
III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層及びSCH層を含む発光領域を備える半導体光素子において、例えば、GaAs半導体及びGaInAsP半導体の少なくともいずれかの半導体からSCH層が構成されており、GaInAsP半導体からヘテロ障壁緩和層が構成されており、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体及びGaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まない半導体から構成されるので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0100】
さらに、第1及び第2の実施の形態においては、半導体光素が、半導体レーザ素子といった半導体発光素子を含む場合を説明したけれども、本実施の形態の半導体光素子は半導体発光素子に限定されるものではない。半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子或いは電界吸収型変調素子のいずれかを含むことができる。また、半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子及び電界吸収型変調素子のうちの2以上の素子から成る光集積素子であってもよい。
【0101】
本発明の実施例で説明した構造に従えば、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、電界吸収型素子、及びそれらを集積した光素子の何れにおいても、InP半導体より高いバンドギャップの半導体材料でキャリアを閉じ込めることが可能になるので、InGaAsP/InP系材料を用いて作製した場合に比べて、温度特性が改善される。
【0102】
第1及び第2の実施の形態では、半導体光素子1及び51の活性層のIII−V系化合物半導体は、III族として少なくともガリウム元素(Ga)を含むと共に、V族として少なくとも砒素元素(As)及び窒素元素(N)を含むことが好適である。この材料により、活性層の格子定数は、GaAs半導体の格子定数と同じか、それに近くできるので、活性層をGaAs半導体上に備えることが可能になる。
【0103】
また、半導体光素子1及び51の活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の間のヘテロ接合のバンドギャップエネルギの差は、InP半導体/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップの差より大きい。この構成により、活性層へのキャリアの閉じ込め性が向上する。
【0104】
本実施の形態の半導体光素子において、活性層には窒素(N)を含むIII−V族化合物半導体が使用可能である。窒素(N)を含むIII−V族化合物半導体としては、少なくとも窒素(N)、ガリウム(Ga)、及び砒素(As)を含むIII−V族化合物半導体が例示される。このIII−V族半導体の格子定数は、GaAsの格子定数と同じ、或いはGaAsの格子定数に近い値である。故に、該III−V族化合物半導体をGaAs半導体表面上に良好な結晶成長を行うことができる。また、少なくとも窒素(N)、ガリウム(Ga)、及び砒素(As)を含むIII−V族化合物半導体のバンドギャップは、0.9マイクとメートル以上の波長帯域に対応している。故に、このIII−V族化合物半導体を活性層に用いれば、0.9マイクロメートル以上の長波長の発振波長の光を発生する半導体発光素子、例えば、1.3マイクロメートル帯光通信用光源、若しくは1.55マイクロメートル帯光通信用光源を実現できる。
【0105】
GaInAs半導体又はGaInAsP半導体も活性層としてGaAs基板上に結晶成長可能である。しかし、これらをい用いて1マイクロメートル以上の発振波長を得ようとすると、これらの結晶の格子定数とGaAs基板の格子定数の差が過大となり、その結果これらの結晶に過大な歪みが加わって結晶性が劣化しやすくなるので、良好な発振特性や信頼性が得られにくい。これに対して、少なくとも窒素とガリウムと砒素とを含むIII−V族化合物半導体は、GaAs半導体と同じか、それに近い格子定数を有するので、結晶歪みの問題は無く、したがって1マイクロメートル以上の発振波長領域においても、構造上の制約無しに、良好な発振特性や信頼性を実現できる。
【0106】
少なくとも窒素、ガリウム及び砒素を含むIII−V族化合物半導体としては、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体が例示される。これらの半導体は、近年開発された新材料であり、構成元素(Ga、In、N、As)の組成を調整することにより、GaAs半導体に格子整合する半導体、或いは、GaAs半導体の構成定数に近い格子定数(格子不整度±2パーセント以内)を有し、且つ0.9マイクロメートル以上の波長の光を発生させることが可能な半導体を得ることができる。したがって、GaAs半導体層又はGaAs基板上に長波長の半導体発光素子が実現できる。
【0107】
また、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体等に、さらにアンチモン(Sb)及び/又は燐(P)をV族元素として添加してもよい。アンチモン元素は、いわゆるサーファクタントとして、GaInNAs半導体の三次元成長を抑制できるので、GaNAs半導体やGaInNAs半導体の結晶性を改善する作用がある。燐元素は、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体内において局所的結晶歪みを低減し、或いは、V族元素として結晶中に取り込まれる窒素原子を増大する作用もある。GaInNAsP半導体は、非混和領域による結晶成長の困難さが生じない利点がある。
【0108】
第1及び第2の実施の形態の半導体発光素子において、クラッド層として機能する半導体層のための材料として、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)が使用できる。これらの材料を用いると、キャリアの閉じ込め性を改善できる。一方、InP/InGaAsP長波長半導体レーザ素子における半導体材料のうち、バンドギャップが最大の材料はInPであり、そのバンドギャップ値は2.16×10−19ジュール(1.35eV)である。この半導体レーザ素子のクラッド層にInP半導体を使用したとしても、クラッド層と活性層とのバンドギャップ差を大きくできない。バンドギャップ差を大きくできないので、キャリアの閉じ込め特性を向上できない。
【0109】
GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)では、Alの組成Xを変更することにより、3.06×10−19ジュール(1.91eV)以上3.92×10−19ジュール(2.45eV)以下の範囲でバンドギャップ値を変更できる。また、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)では、Alの組成Xを変更することにより、2.27×10−19ジュール(1.42eV)以上3.19×10−19ジュール(1.99eV)以下の範囲でバンドギャップ値を変更できる。故に、InP半導体と比べると、クラッド層と活性層とのバンドギャップ差を大きくできる。故に、活性層に対するキャリアの閉じ込め性が向上できるので、半導体発光素子の温度特性が改善される。
【0110】
また、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、及びGaInNAsSbP半導体の少なくともいずれかの半導体材料から構成される活性層と、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されるクラッド層とのバンドギャップ差は、例えば、発振波長が1.3マイクロメートルとすると、活性層のバンドギャップは約1.53×10−19ジュール(0.954eV)であるので、AlGaInP半導体を用いたバンドギャップ差は、最小1.53×10−19ジュール(0.956eV)であり、最大2.4×10−19ジュール(1.496eV)である。AlGaAs半導体を用いたバンドギャップ差は、最小0.75×10−19ジュール(0.466eV)であり、最大1.66×10−19ジュール(1.036eV)である。
【0111】
また、発振波長が1.55マイクロメートルとすると、活性層のバンドギャップは約1.28×10−19ジュール(0.8eV)であるので、AlGaInP半導体を用いたバンドギャップ差は、最小1.78×10−19ジュール(1.11eV)であり、最大2.64×10−19ジュール(1.65eV)である。AlGaAs半導体を用いたバンドギャップ差は、最小0.99×10−19ジュール(0.62eV)であり、最大1.91×10−19ジュール(1.19eV)である。
【0112】
また、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)では、Al組成の増加と共にバンドギャップは大きくなり、屈折率は小さくなる。故に、Al組成が相対的に小さい半導体をクラッド層に使用すると共にAl組成が相対的に大きい半導体を電流ブロック層に使用すれば、クラッド層の屈折率は、電流ブロック層の屈折率より大きくなる。したがって、電流ブロック層の間にある半導体ストライプ内の等価屈折率を電流ブロック層がある領域の等価屈折率よりも高めることができる。この構造により、水平横方向の導波は正導波となるので、横方向の光閉じ込め性が増大でき、半導体レーザ素子の低しきい値が実現される。正導波路構造のため水平横方向の光閉じ込め性が安定化し、半導体レーザ素子は基本モードでのシングルモード発振が可能になり、単峰性のファーフィールドパターン(Far FieldPattern:FFP)が得られるので、光ファイバへの光学的結合も改善される。本実施の形態の発明を使用する半導体レーザ素子の特性は、反導波路型のInP埋め込みリッジ型レーザ素子に比べて半導体レーザの特性を改善できる。
【0113】
InP半導体より大きいバンドギャップの(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)を電流ブロック半導体領域に用いれば、活性層と電流ブロック半導体領域との間のヘテロ障壁を大きくでき、キャリアの活性層内への閉じ込めが更に強化される。故に、InP系埋め込みヘテロ構造埋め込み半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増大、温度特性の更なる改善が図られる。
【0114】
さらに、半導体光素子1及び51では、活性層は、量子井戸構造を備えることができる。量子井戸構造としては、SQW構造及びMQW構造が例示される。しかしながら、活性層の構造は、これらに限られない。井戸層の材料を例示すれば、活性層と同じ材料を使用でき、障壁層の材料を例示すれば、AlGaAs、GaAsまたはGaInAsP半導体といったSCH層の構成材料と同じ材料を使用できる。
【0115】
第1及び第2の実施の形態における半導体発光素子においては、SCH層は、その屈折率が活性層の屈折率とクラッド層の屈折率との間になる材料から構成される。また、活性層への良好なキャリア閉じ込めを行うために、SCH層は、そのフォトルミネッセンス波長値が活性層のフォトルミネッセンス波長値とクラッド層のフォトルミネッセンス波長値との間になる材料から構成される。これらの要求を満たすSCH層の半導体材料を例示すれば、クラッド層が(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)であるとき、SCH層は、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)又は、GaAs半導体に格子整合するGaInAsP半導体から構成されることができる。SCH層の挿入により、活性層への光閉じ込めが強まり、閾値電流の低減、温度特性の向上といった発振特性の改善が得られる。特に、活性層が極薄膜の量子井戸構造を備えるとき、SCH層は、その機能を効果的に発揮する。
【0116】
第1及び第2の実施の形態における半導体発光素子は、クラッド層とSCH層又は活性層との間にヘテロ障壁緩和層を備えることができる。クラッド層と活性層との接合界面、及びSCH層とクラッド層との接合界面には、両半導体材料のバンドギャップ差に依存する障壁が形成される。この障壁は、スパイク、ノッチと呼ばれ、エネルギバンド図において楔状の形状になる。この障壁は、伝導帯の電子に対してバリア△Ecとなり電気抵抗として作用し、価電子帯の正孔に対してバリア△Evとなり電気抵抗として作用する。例えば、(AlXGa1−X)YIn1−YPクラッド層とGaAsSCH層との接合の場合、相対的に大きなヘテロ障壁が価電子帯に形成される。このヘテロ障壁は、半導体発光素子内の電気抵抗を増大させて半導体発光素子内の発熱を増加させる。また、この障壁により、活性層へのキャリアの注入効率は低下する。特に、p型半導体領域では、キャリアは、有効質量の大きな正孔であり、移動度が小さいので、正孔はヘテロ障壁界面に滞留して活性層への正孔の注入効率が低下する。故に、ヘテロ障壁は、高出力特性等の素子特性や、半導体発光素子の長期信頼性を損なう原因の一つになりうる。素子特性や長期信頼性が向上された半導体発光素子を得るために、ヘテロ障壁を低減することは重要である。このヘテロ障壁を小さくするために、ヘテロ障壁緩和層は役立つ。
【0117】
(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)又はAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されるクラッド層と、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)又はGaAs半導体に構成整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)から構成されるSCH層とを備える半導体発光素子においては、ヘテロ障壁緩和層の材料として、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)、GaXIn1−XAsYP1−Y半導体が例示される。
【0118】
ヘテロ障壁緩和層は、半導体基板に対して格子不整−2パーセント以上+2パーセント以下であるような組成を有することができる。一般に、ヘテロ障壁緩和層の厚さは臨界膜厚に比べて薄い。例えば、ヘテロ障壁緩和層の膜厚は、5ナノメートル以上10ナノメートル以下であり、5ナノメートルが好ましい。この膜厚の範囲では、格子不整が存在しても結晶欠陥が生じにくい。また、格子不整に関する制約が緩和されるので、材料選択の幅が拡がる。歪みヘテロ障壁緩和層としては、例えば、クラッド層の材料が、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)であり、SCH半導体層の材料がAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)或いは、GaAsに格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)であるとき、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体及びGaXIn1−XAsYP1−Y半導体を使用できる。
【0119】
第2の実施の形態における半導体発光素子は、第1導電型半導体膜を基板上に形成して、次いで、発光領域を構成する半導体膜を第1導電型半導体膜上に形成して、この後に、この半導体膜上に第2導電型半導体膜を形成している。これらの半導体膜を形成した後に、発光領域を構成する半導体膜と第2導電型半導体膜とを第1導電型半導体膜に対して選択的にエッチングする。この選択的エッチングは、所定のエッチャントを用いることにより実現される。このエッチャントにより、第1導電型半導体領域はエッチングされず、発光領域を構成する半導体膜と第2導電型半導体膜のみがエッチングされて、リッジ型半導体部が得られる。
【0120】
InP/GaInAsP系長波長レーザ素子においては、リッジ形成のエッチングのためにBrメタノールを標準的に用いている。Brメタノールは、下部クラッド層(第1導電型半導体領域)のInPに対してエッチング選択性が無いので、リッジ形成のエッチングにおいて下部クラッド層もエッチングされる。Brメタノールは揮発性を示すので、エッチングレートは変動しやすい。また、エッチングレートは、エッチング溶液の温度、濃度、混合比のわずかな変動によって、エッチング毎に異なる。結果的に、エッチング毎に同じエッチングレートを得ることは不可能である。加えて、ウエハの周辺部と中央部とのおけるエッチング溶液の撹幹速度の差に起因して、ウエハ面内においてエッチングレートの無視できない差が生じる。つまり、ウエハ面におけるリッジの深さのばらつきに加えて、エッチング溶液を使用した回数に応じてエッチングレートも変動する。Brメタノールは、リッジ深さに応じてサイドエッチング量が非線形に変動するので、リッジ深さのばらつきは、活性層幅制御を困難にし、活性層幅の非線形なばらつきを生じさせる。活性層幅の非線形なばらつきにより、レーザ特性の再現性及び均一性が悪くなる。
【0121】
しかしながら、第2の実施の形態における半導体光素子によれば、例えば、クラッド層の材料が、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)であり、SCH半導体層の材料がAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)或いは、GaAsに格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)であり、活性層が、窒素を含むIII−V族半導体材料(例えば、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、GaInNAsSbP半導体)であるとき、所定のエッチング溶液(例えば、燐酸系エッチャント)を用いて、下部クラッド層に対してSCH層及び活性層のための半導体膜を選択的にエッチングでき、これにより第2の実施の形態の埋め込みヘテロ構造の半導体光素子を得ることができる。第2の実施の形態における半導体発光素子によれば、活性層又はSCH層の下地の半導体層がエッチング停止層として機能する。故に、リッジ深さに関して、良好な再現性及び面内均一性を得ることができる。その結果、活性層幅の再現性及び面内均一性が一段と向上する。したがって、半導体発光素子の発光特性の再現性及び面内均一性も達成される。さらに、半導体発光素子は、その内部抵抗を低減するために、 (AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)又はAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)、GaXIn1−XAsYP1−Y半導体から構成されるヘテロ障壁緩和層を含むことができる。
【0122】
以上説明したように、第1及び第2の実施の形態における半導体光素子によれば、InGaAsP/InP系半導体光素子において達成できないかったいくつかの技術的な課題が解決される。例えば、InGaAsP/InP系半導体レーザ素子において生じていた高温特性上の課題が解決される。故に、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が提供される。
【0123】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることができることは、当業者によって認識される。例えば、半導体光素子には、半導体発光素子が含まれており、さらに半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、及びEA変調器を集積する半導体光集積素子等が含まれており、さらにこれらの素子を集積した集積素子も含まれる。また、これらの素子の構造の詳細は必要なように変更されることができる。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示されたI−I線に沿った断面図である。図2(b)は、図2(a)に示されたII−II線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図2(c)は、図2(a)に示されたII−II線に沿った屈折率を示す図面である。図2(d)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図2(e)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿った屈折率を示す図面である。
【図3】図3(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図3(c)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿った屈折率を示す図面である。
【図4】図4(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)に示されたV−V線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図4(c)は、図4(a)に示されたV−V線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。
【図5】図5は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は、図6に示されたVI−VI線に沿った断面図である。図7(b)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図7(c)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。図7(d)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図7(e)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。
【図8】図8(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)に示されたIX−IX線に沿った半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図8(c)は、図8(a)に示されたIX−IX線に沿った半導体光素子の屈折率を示す図面である。
【図9】図9(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)に示されたX−X線に沿った半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図9(c)は、図9(a)に示されたX−X線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。
【図10】図10は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c…半導体光素子、3…第1導電型半導体領域、5…活性層、7…第2導電型半導体層、9…電流ブロック半導体領域、11…基板、15…第2導電型半導体層、17…コンタクト層、21,23…電極、25、27…SCH層、29、31…ヘテロ障壁緩和層、51、51a、51b、51c…半導体光素子、53…第1導電型半導体領域、55…活性層、57…第2導電型半導体層、59…電流ブロック半導体領域、61…基板、65…第2導電型半導体層、67…コンタクト層、71,73…電極、75、77…SCH層、79、81…ヘテロ障壁緩和層
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長1マイクロメートル以上の光源として利用される半導体レーザは、InGaAsP/InP半導体から構成される。この半導体レーザは、リッジ構造または埋め込みヘテロ構造を有する。
【0003】
文献1には、リッジ構造の半導体レーザが示されている(非特許文献1)。リッジ構造の半導体レーザは、InGaAsP半導体からなる活性層を備える。活性層は、基板の全面に設けられており、p型InP半導体層とn型InP半導体層との間に設けられている。キャリアは、リッジ構造により構成されるストライプ領域から活性層に注入される。結果的に、注入されたキャリアは活性層内において広がるので、注入されたキャリアの一部は光子と相互作用しない無効キャリアになる。
【0004】
文献2には、埋め込みヘテロ構造の半導体レーザが示されている(非特許文献2)。埋め込みヘテロ構造の半導体レーザは、InGaAsP半導体からなる活性層を備えている。活性層は、p型InP半導体層とn型InP半導体層との間に設けられており、また、InP半導体からなる電流ブロック部の間に設けられている。注入されたキャリアは、活性層と電流ブロック層との間のヘテロ障壁によって活性層内に閉じ込めされる。
【0005】
【非特許文献1】
Appl. Phys. Lett. 35(3), 1 August 1979, pp.232−235
【0006】
【非特許文献2】
IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL.QE−17, NO.2, FEBRUARY 1981pp.202−207
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの半導体レーザにおいて、活性層へのキャリアの閉じ込めを向上するためには、活性層の半導体と該活性層の周囲の半導体部との間の障壁を高くすることが求められる。これらの半導体レーザは、活性層にInGaAsP半導体を用いる。InGaAsP半導体に対するヘテロ障壁を大きくできる材料には、InP半導体を用いる。この材料の組み合わせでは、InPの障壁の値は2.16×10−19ジュール(1.35eV)である。しかしながら、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が求められている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子を提供することとした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面は、半導体光素子に係わる。この半導体光素子は、第1導電型半導体領域と、活性層と、第2導電型半導体層と、電流ブロック半導体領域とを備える。第1導電型半導体領域は、GaAs半導体の表面上に設けられており、第1及び第2の半導体部を有する。第1の半導体部は、第1の領域と第1の領域の両側に位置する第2の領域と有する主面を備えている。第2の半導体部は、一対の側面を有しており、第1の半導体部の第1の領域上に設けられている。活性層は、第1導電型半導体領域の第2の半導体部上に設けられ一対の側面を有する。第2導電型半導体層は、活性層上に設けられ一対の側面を有する。電流ブロック半導体領域は、第2の半導体部、活性層及び第2導電型半導体層に電流を流すように作用する。電流ブロック半導体領域は、第1導電型半導体領域の第1の半導体部の第2の領域上、第2の半導体部の各側面上、活性層の各側面及び第2導電型半導体層の各側面上に設けられている。活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0010】
本発明の別の側面は、半導体光素子に係わる。この半導体光素子は、第1導電型半導体領域と、リッジ半導体部と、電流ブロック半導体領域とを備える。第1導電型半導体領域は、第1の領域と、第1の領域の両側に位置する第2の領域とを主面上に有しており、GaAs半導体の表面上に設けられている。リッジ半導体部は、一対の側面を有しており、第1導電型半導体領域の第1の領域上に設けられた活性層と活性層上に設けられた第2導電型半導体層とを含む。電流ブロック半導体領域は、第1導電型半導体領域の第2の領域上及びリッジ半導体部の各側面上に設けられ、リッジ半導体部に電流を流すように作用する。活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0011】
これらの半導体光素子によれば、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層をGaAs基板上に設けることが可能なので、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層、及び電流ブロック半導体領域の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層が係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0012】
これらの半導体光素子では、第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。電流ブロック半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値より短い。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギーに対応する波長値に等しい。
【0013】
本発明の半導体光素子では、活性層は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成されている。
【0014】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域は、活性層及び第2導電型半導体層のエッチングのためのエッチング停止層として機能する材料から構成されることができる。
【0015】
本発明の半導体光素子では、活性層のIII−V系化合物半導体は、III族として少なくともガリウム元素を少なくとも含むと共に、V族として少なくとも砒素元素を更に含むことができる。
【0016】
本発明の半導体光素子では、活性層の屈折率は、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域の屈折率より大きい。この構造によれば、活性層に光を閉じ込めることができる。
【0017】
本発明の半導体光素子は、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備えることができる。別の半導体層は、第1導電型半導体領域と活性層との間および第2導電型半導体層と活性層との間の少なくともいずれかに設けられている。III−V族化合物半導体は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。III−V族化合物半導体は、活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。
【0018】
このフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層と第1導電型半導体領域又は第2導電型半導体層とのヘテロ障壁が緩和される。
【0019】
本発明の半導体光素子は、第1及び第2のSCH層を更に備えることができる。第1のSCH層は、第1導電型半導体領域と活性層との間に設けられている。第2のSCH層は、活性層と第2導電型半導体層との間に設けられている。第1及び第2のSCH層は、屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体領域と活性層との間の材料を用いて構成される。
【0020】
第1及び第2のSCH半導体層は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。SCH層の挿入により、活性層への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0021】
SCH層を備える半導体光素子は、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備えることができる。別の半導体層は、第1導電型半導体領域と第1のSCH層との間および第2導電型半導体層と第2のSCH層との間の少なくともいずれかに設けられている。III−V族化合物半導体は、第1のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。III−V族化合物半導体は、第2のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。このフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、SCH層と第1導電型半導体領域又は第2導電型半導体層とのヘテロ障壁が緩和される。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。
【0022】
本発明の半導体光素子では、電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備えることができる。第1の電流ブロック層の導電型は第2の電流ブロック層の導電型と異なる。電流ブロック半導体領域は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層と第2の電流ブロック層とから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。
【0023】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の各々は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層と電流ブロック半導体層との間のキャリア閉じ込め、活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0024】
本発明の半導体光素子では、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の各々は、AlXGa1−XAs半導体から構成されることができる。Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層と電流ブロック半導体層との間のキャリア閉じ込め、活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0025】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2のSCH層の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)、またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されることができる。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率が、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率と活性層のフォトルミネッセンス波長値及び屈折率との間の値にそれぞれ設定され、活性層への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。
【0026】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まないIII−V族化合物半導体から構成されることができる。この半導体光素子の第1及び第2の電流ブロック半導体層は、酸化されやすいアルミニウムを含まない。
【0027】
本発明の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層、第1導電型半導体領域並びに第2導電型半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まないIII−V族化合物半導体から構成されることができる。この半導体光素子は、酸化されやすいアルミニウムを含まない。
【0028】
本発明の半導体光素子では、GaAs半導体の表面は、GaAs半導体層及びガリウム砒素基板のいずれかにより提供されるようにしてもよい。GaAs半導体層は、ガリウム砒素と異なる半導体の基板上に設けられていてもよい。
【0029】
ガリウム砒素基板は、高品質、大口径のものを安く入手できるので、これをGaAs半導体表面に用いると、半導体光素子の生産性向上やコストダウンが実現できる。また、GaAs半導体層を用いると、ガリウム砒素と異なる半導体基板上(例えば、シリコン(Si)基板)にGaAs半導体表面を設けることができるので、設計の自由度が増し、半導体光素子の構造の最適化や、異種基板上に構成される、光デバイス及び電子デバイスの集積等がより容易になる。
【0030】
本発明の半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、及び電界吸収型変調素子の少なくともいずれかを含むことができる。
【0031】
本発明の半導体光素子では、活性層は、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、及びGaInNAsSbP半導体の少なくともいずれかの半導体材料から構成されることができる。
【0032】
本発明の上記の目的及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述からより容易に明らかになる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体光素子に係わる実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分に同一の符号を付する。
【0034】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。図1には、XYZ座標系Sが描かれている。図2(a)は、図1に示されたI−I線に沿った断面図である。図2(b)は、図2(a)に示されたII−II線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図2(c)は、図2(a)に示されたII−II線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。図2(d)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図2(e)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。
【0035】
図1及び図2(a)を参照すると、埋め込みヘテロ構造半導体レーザ素子といった半導体発光素子1が示されている。この半導体光素子1は、第1導電型半導体領域3と、活性層5と、第2導電型半導体層7と、電流ブロック半導体領域9とを備える。第1導電型半導体領域3は、GaAs半導体の表面上に設けられており、第1及び第2の半導体部3a、3bを有する。第1の半導体部3aは、第1の領域3cと、第1の領域3cの両側に位置する第2の領域3dと有する主面を備えている。第1の領域3cは、所定の軸の方向に伸びている。第2の半導体部3bは、第1の半導体部3aの第1の領域3c上に設けられている。第2の半導体部3bは、一対の側面3eを有する。活性層5は、第1導電型半導体領域3の第2の半導体部3b上に設けられている。活性層5は、一対の側面5aを有している。第2導電型半導体層7は、活性層5上に設けられている。第2導電型半導体層7は、一対の側面7aを有している。電流ブロック半導体領域9は、第1導電型半導体領域3の第1の半導体部3aの第2の領域3d上、第2の半導体部3bの各側面3e上及び活性層5の各側面5a上及び第2導電型半導体層7の各側面7a上に設けられている。活性層5は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されている。
【0036】
半導体光素子1においては、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層5をGaAs基板上に形成できるので、第1導電型半導体領域3、第2導電型半導体層7、及び電流ブロック半導体領域9の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層が係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0037】
また、半導体光素子1は埋め込みヘテロ構造を備えるので、リッジ構造の半導体レーザに比べてキャリアの閉じ込め性に優れる。その結果、埋め込みヘテロ構造の半導体レーザは、無効電流の減少や、キャリアと光子との相互作用の強化により、閾値電流の低下や微分効率の向上といった改善が得られる。
【0038】
第1導電型半導体領域3はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層7はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。ここで、フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。図2(b)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、キャリアを活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域3は第1導電型クラッド層として働くことができ、第2導電型半導体層7は第2導電型クラッド層として働くことができる。活性層5は、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7から注入され閉じ込められたキャリアから光を発生する。
【0039】
図2(b)に示されるように、半導体発光素子1のクラッド層のバンドギャップ値△E0は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体から成るクラッド層のバンドギャップ値△EInPに比べて大きいので、半導体発光素子1はInP/GaInAsP半導体発光素子に比べてy方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0040】
電流ブロック半導体領域9は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。結果として、図2(d)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、電流ブロック半導体領域9は、電流ブロック半導体層として働くことができる。図2(d)に示されるように、半導体発光素子1の電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EBは、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体から成る電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EInPに比べて大きいので、半導体発光素子1はInP/GaInAsP半導体発光素子に比べてx方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0041】
図2(c)の屈折率分布に示されるように、第1導電型半導体領域3が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。第2導電型半導体層7が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。故に、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、活性層5において発生された光をy方向において活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域3は光学的なクラッド層として働き、第2導電型半導体層7は光学的なクラッド層として作用する。
【0042】
電流ブロック半導体領域9は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示す屈折率は、活性層5が示す屈折率より小さい。結果として、電流ブロック半導体領域9は、活性層5において発生された光を活性層5に閉じ込めるように働き、光学的なクラッド層として作用する。
【0043】
半導体光素子1は、半導体基板11を更に備える。半導体基板11としてはGaAs半導体基板が例示される。第1導電型半導体領域3が設けられたGaAs半導体の表面は、GaAs半導体基板によって提供される。半導体基板11の主面11a上には、第1導電型半導体領域3が設けられている。第1導電型半導体領域3は、半導体基板11の主面11a上に設けられた第1の部分3aと、第1の部分3a上に設けられた第2の部分3bとを有する。第1導電型半導体領域3の第2の部分3bは、リッジ形状を成しており、電流ブロック半導体領域9の間に位置している。また、活性層5及び第2導電型半導体層7は、リッジ形状を成しており、電流ブロック半導体領域9の間に位置している。活性層5は、第1導電型半導体領域3の第2の部分3bと第2導電型半導体層7との間に位置している。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5及び第2導電型半導体層7は、半導体リッジ部13を形成する。半導体リッジ部13は、所定の軸方向に伸びている。半導体リッジ部13において、活性層5には、第1導電型半導体領域3の第2の部分3b及び第2導電型半導体層7からキャリアが注入される。
【0044】
半導体光素子1は、電流ブロック半導体領域9及び半導体リッジ部13上に設けられた第2導電型半導体層15を更に備える。第2導電型半導体層15が示すフォトルミネッセンス波長値は、第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値と同じか、それ以下であり、且つ活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層15が示す屈折率は、第2導電型半導体層7が示す屈折率と同じか、又はそれ以下であり、且つ活性層5が示す屈折率より小さい。したがって、第2導電型半導体層15は、活性層5において発生された光及び注入されたキャリアを活性層5に閉じ込めるように働く。結果として、第2導電型半導体層15は光学的なクラッド層として働くことができる。
【0045】
このような屈折率の構造及びバンドギャップの構造を備える半導体光素子1によれば、水平・垂直方向に関するキャリア閉じ込め性が強化され、InP半導体/GaInAsP半導体から成る半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増加、温度特性の改善が得られる。
【0046】
半導体光素子1は、第2導電型半導体層17と、電極21と、電極23とを更に備える。第2導電型半導体層17は、第2導電型半導体層15上に設けられている。電極21は、第2導電型半導体層17上に設けられている。電極21は、半導体リッジ部13が伸びる方向に伸びている。電極23は、基板11の裏面11bに設けられている。第2導電型半導体層17のバンドギャップは、第2導電型半導体層15のバンドギャップより小さい。故に、電極21と第2導電型半導体層17との間にオーミックコンタクトを形成することが容易になる。結果として、第2導電型半導体層17はコンタクト層として働く。
【0047】
半導体光素子1において、電流ブロック半導体領域9は、第1の電流ブロック層9a及び第2の電流ブロック層9bを備えることができる。第1の電流ブロック層9aの導電型は第2の電流ブロック層9bの導電型と異なる。電流ブロック半導体領域9は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層9aと第2の電流ブロック層9bとから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。第1の電流ブロック層9aは、第2導電型半導体から構成され、第2の電流ブロック層9bは、第1導電型半導体から構成されることができる。
【0048】
図1及び図2(a)に示された半導体光素子1においては、第1の電流ブロック層9aは、第1導電型半導体から構成される第2の電流ブロック層9b及び第1導電型半導体領域3との間に位置し、第2の電流ブロック層9bは、第2導電型半導体から構成される第1の電流ブロック層9a及び第2導電型半導体層15との間に位置する。故に、第2導電型半導体層15、第1導電型半導体領域3、電流ブロック半導体領域9により、pnpn構造又はnpnp構造を構成する。
【0049】
半導体発光素子1の構成を示す第1の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域3:n型のAlGaInP又はGaInP
活性層5: アンドープ(un)GaInNAs、un−GaNAs、
un−GaNAsSb、un−GaNAsP、
un−GaNAsSbP、un−GaInNAsSb、
un−GaInNAsP、又はun−GaInNAsSbP
第2導電型半導体層7:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第2導電型半導体層15:p型のAlGaInP又はGaInP
第1の電流ブロック半導体層9a:p型AlGaInP半導体、
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層9b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板11:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層17:p型GaAs半導体
である。この実施例における半導体光素子1では、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7はGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X) YIn1−YP半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層9a、9bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、またはGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層5と電流ブロック半導体領域9との間のキャリア閉じ込めと、活性層5と第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7との間のキャリア閉じ込めを共に向上することを可能にする。
【0050】
半導体発光素子1の構成を示す第2の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域3:n型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
活性層5: un−GaInNAs、un−GaNAs、
un−GaNAsSb、un−GaNAsP、
un−GaNAsSbP、un−GaInNAsSb、
un−GaInNAsP、又はun−GaInNAsSbP
第2導電型半導体層7:p型のAlGaAs半導体またはGaAs半導体
第2導電型半導体層15:p型のAlGaAs半導体またはGaAs半導体
第1の電流ブロック半導体層9a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層9b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板11:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層17:p型GaAs半導体
である。この実施例における半導体光素子1では、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、AlXGa1−XAs半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層9a、9bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、またはGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層5と電流ブロック半導体領域9との間のキャリア閉じ込めと、活性層5と第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0051】
上記の半導体材料から構成される半導体光素子1では、活性層5は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成される。
【0052】
InP半導体は、図2(b)に示される△EInPを有する。図2(b)から理解されるように、△E0は、△EInPより大きい。つまり、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体又はGaInNAsSbP半導体のいずれかの半導体から構成される活性層5と、△E0を有するクラッド層(p型AlGaInP半導体、n型AlGaInP半導体、p型AlGaAs半導体またはn型AlGaAs半導体)とのバンドギャップの差は、InP半導体(バンドギャップエネルギ:2.16×10−19ジュール(1.35eV))/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップに比べて大きくできる。この説明は、図2(d)に示される活性層5及び電流ブロック半導体領域9にも同様に適用される。
【0053】
図3(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図3(c)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿った屈折率を示す図面である。半導体光素子1aは、第1のSCH層25及び第2のSCH層27を更に備えることができる。第1のSCH層25は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間に設けられている。第2のSCH層27は、活性層5と第2導電型半導体層7との間に設けられている。第1のSCH層25及び第2のSCH層27は、電流ブロック領域9の間に設けられている。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7、第1のSCH層25及び第2のSCH層27は、半導体リッジ部13aを形成する。
【0054】
第1のSCH層25は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第2のSCH層27は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。活性層5には、第1のSCH層25及び第2のSCH層27を介して第1導電型半導体領域3の第2の部分3b及び第2導電型半導体層7からキャリアが注入される。図3(b)に示されるように、半導体光素子1aにおいて、注入されたキャリアは、第1のSCH層25及び第2のSCH層27の働きによって活性層5に閉じ込められる。
【0055】
第1のSCH層25は、活性層5が示す屈折率と第1導電型半導体領域3が示す屈折率との間の屈折率値を示している。第2のSCH層27は、活性層5が示す屈折率と第2導電型半導体層7が示す屈折率との間の屈折率値を示している。図3(c)に示されるように、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7は、活性層5において発生された光を活性層5、第1のSCH層25及び第2のSCH層27に閉じ込めるように働く。
【0056】
第1及び第2のSCH半導体層25、27は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。これらのSCH層の挿入により、活性層5への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0057】
第1及び第2のSCH層の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1 −XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されることができる。半導体発光素子1aの構成の第1の実施例及び第2の実施例として、第1及び第2のSCH半導体層25及び27:un−AlXGa1−XAs(0≦X≦1)、un−GaAs、又はGaAs半導体に格子整合するun−GaXIn1−XAsYP1−Y(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)
がある。GaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合するように設けられる。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層25及び27の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が、第1導電型半導体領域3及び第2導電型半導体層7の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値と活性層5の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値との間の値に設定されるので、活性層5への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。
【0058】
図4(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)に示されたV−V線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図4(c)は、図4(a)に示されたV−V線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。半導体光素子1bは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層29を更に備えることができる。別の半導体層29は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間および第2導電型半導体層7と活性層5との間の少なくともいずれかの位置に設けられている。半導体光素子1bでは、別の半導体層29は、第2導電型半導体層7と活性層5との間に設けられているとき、別の半導体層29のIII−V族化合物半導体は、図4(b)に示されるように、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。また、別の半導体層29は、第1導電型半導体領域3と活性層5との間に設けられているとき、別の半導体層29のIII−V族化合物半導体は、活性層5が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7及び別の半導体層29は、半導体リッジ部13bを形成する。
【0059】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層29の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層5と第1導電型半導体領域3又は第2導電型半導体層7とのヘテロ障壁が緩和される。
【0060】
図4(a)に示された半導体発光素子1bは、第2導電型半導体層7と活性層5との間に設けられた別の半導体層29を備えるけれども、図4(c)に示されるように、別の半導体層29は、第1導電型半導体層3と活性層5との間に設けられてもよい。また、一対の別の半導体層を活性層5の両側に設けることができる。
【0061】
半導体発光素子1bの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、
半導体層29:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、 又はp型GaInAsP
がある。
【0062】
図5は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図5に示される半導体光素子1cは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層31と、SCH層25,27との両方を備えることができる。別の半導体層31は、第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間に設けられる。半導体光素子1cのように、別の半導体層31が第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間に設けられるとき、別の半導体層31のIII−V族化合物半導体は第2のSCH層27が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層7が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。また、別の半導体層31が第1導電型半導体領域3と第1のSCH層25との間に設けられるとき、別の半導体層31のIII−V族化合物半導体は、第1のSCH層25が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域3が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。第1導電型半導体領域3の第2の部分3b、活性層5、第2導電型半導体層7、第1及び第2のSCH層27及び25並びに別の半導体層31は、半導体リッジ部13cを構成する。
【0063】
別の半導体層31は、第1導電型半導体領域3と第1のSCH層25との間および第2導電型半導体層7と第2のSCH層27との間の少なくともいずれかの位置に設けられていてもよい。
【0064】
上記のフォトルミネッセンス波長の関係によれば、別の半導体層31を導入することによりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、第1のSCH層25と第1導電型半導体領域3又は第2のSCH層27と第2導電型半導体層7とのヘテロ障壁が緩和される。
【0065】
半導体発光素子1cの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、
半導体層31:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、 又はp型GaInAsP
がある。
【0066】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。図6には、XYZ座標系Sが描かれている。図7(a)は、図6に示されたVI−VI線に沿った断面図である。図7(b)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図7(c)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿った屈折率を示す図面である。図7(d)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図7(e)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿った屈折率を示す図面である。図6及び図7(a)を参照すると、埋め込みヘテロ構造半導体レーザ素子といった半導体発光素子51が示されている。
【0067】
この半導体光素子51は、第1導電型半導体領域53と、活性層55と、第2導電型半導体層57と、電流ブロック半導体領域59とを備える。第1導電型半導体領域53は、GaAs半導体の表面上に設けられている。第1導電型半導体領域53は、第1の領域53aと、該第1の領域53aの両側に位置する第2の領域53bとを有する主面を備える。第1の領域53aは、所定の軸方向に伸びている。活性層55は、第1の領域53a上に設けられている。活性層55は、一対の側面55aを有する。第2導電型半導体層57は、活性層55上に設けられている。第2導電型半導体層57は、一対の側面57aを有している。電流ブロック半導体領域59は、第1導電型半導体領域53の第2の領域53b上、活性層55の各側面55a上及び第2導電型半導体層57の各側面57a上に設けられている。活性層55は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される。
【0068】
半導体光素子51においては、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成される活性層55をGaAs半導体基板上に形成できるので、第1導電型半導体領域53、第2導電型半導体層57、及び電流ブロック半導体領域59の材料として、InP半導体と異なりGaAs半導体に格子整合しておりInP半導体より高いバンドギャップを有する半導体材料を用いることができる。これらの半導体光素子における活性層に係わるヘテロ障壁は、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子におけるヘテロ障壁に比べて大きくできる。
【0069】
第1導電型半導体領域53はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層57はIII−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。フォトルミネッセンス波長値は、材料のバンドギャップエネルギに対応する波長値に等しい。図7(b)のバンドギャップダイアグラムに示されるように、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、キャリアを活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域53は第1導電型クラッド層として働き、第2導電型半導体層57は第2導電型クラッド層として働くことができる。活性層55は、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57から注入され閉じ込められたキャリアから光を発生する。図7(b)に示されるように、半導体発光素子51は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP半導体クラッド層のバンドギャップ値△EInPより大きいバンドギャップ値△E0のクラッド層を有し、InP/InGaAsP半導体発光素子に比べてY方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0070】
電流ブロック半導体領域59は、III−V族化合物半導体から構成されており、このIII−V族化合物半導体が示すフォトルミネッセンス波長値は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。結果として、図7(d)に示されるように、電流ブロック半導体領域59は、電流ブロック半導体層として働くことができる。半導体発光素子51は、InP/InGaAsP半導体発光素子のInP電流ブロック半導体層のバンドギャップ値△EInPより大きなバンドギャップ値△EBの電流ブロック半導体層を有し、InP/InGaAsP半導体発光素子に比べてX方向のキャリア閉じ込め性に優れる。
【0071】
図7(c)の屈折率分布に示されるように、第1導電型半導体領域53が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。第2導電型半導体層57が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。故に、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、活性層55において発生された光を活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第1導電型半導体領域53は光学的なクラッド層として働き、第2導電型半導体層57は光学的なクラッド層として作用する。
【0072】
電流ブロック半導体領域59は、III−V族化合物半導体から構成され、このIII−V族化合物半導体が示す屈折率は、活性層55が示す屈折率より小さい。電流ブロック半導体領域59は、活性層55において発生された光を活性層55に閉じ込めるように働き、光学的なクラッド層として作用する。
【0073】
半導体光素子51は、半導体基板61を更に備える。半導体基板61としてはGaAs半導体基板が例示される。第1導電型半導体領域53が設けられたGaAs半導体の表面は、GaAs半導体基板によって提供される。半導体基板61の主面61a上には、第1導電型半導体領域53が設けられる。活性層55及び第2導電型半導体層57は、電流ブロック半導体領域59の間に位置し、リッジ形状を成す。活性層55は、第1導電型半導体領域53の第1の部分53aと第2導電型半導体層57との間に位置する。活性層55、63及び第2導電型半導体層57は、半導体リッジ部63を構成する。半導体リッジ部13は、所定の軸方向に伸びる。半導体リッジ部63では、活性層55には、第1導電型半導体領域53の第1の部分53a及び第2導電型半導体層57からキャリアが注入される。
【0074】
半導体光素子51は、電流ブロック半導体領域59及び半導体リッジ部63上に設けられた第2導電型半導体層65を更に備える。第2導電型半導体層65が示すフォトルミネッセンス波長値は、第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値と同じか、それ以下であり、且つ活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値より小さい。第2導電型半導体層65が示す屈折率は、第2導電型半導体層57が示す屈折率と同じか、それ以下であり、且つ活性層55が示す屈折率より小さい。したがって、第2導電型半導体層65は、活性層55において発生された光及び注入されたキャリアを活性層55に閉じ込めるように働く。結果として、第2導電型半導体層65は第2導電型クラッド層として働くことができる。
【0075】
半導体光素子51は、第2導電型半導体層67と、電極71と、電極73とを更に備える。第2導電型半導体層67は、第2導電型半導体層65上に設けられる。電極71は、第2導電型半導体層67上に設けられる。電極71は、半導体リッジ部63が伸びる方向に伸びる。電極73は、基板61の裏面61bに設けられる。第2導電型半導体層67のバンドギャップは、第2導電型半導体層65のバンドギャップより小さい。故に、電極71と第2導電型半導体層67との間にオーミックコンタクトを得ることが容易になる。結果として、第2導電型半導体層67はコンタクト層として働く。
【0076】
半導体光素子51では、電流ブロック半導体領域59は、第1の電流ブロック層59a及び第2の電流ブロック層59bを備えることができる。第1の電流ブロック層59aの導電型は第2の電流ブロック層59bの導電型と異なる。電流ブロック半導体領域59は、互いに逆導電型の半導体層を含むので、第1の電流ブロック層59aと第2の電流ブロック層59bとから成るpn接合を利用して電流をブロックできる。第1の電流ブロック層59aは、第2導電型半導体から構成でき、第2の電流ブロック層59bは、第1導電型半導体から構成できる。
【0077】
半導体光素子51では、第1の電流ブロック層59aは、第1導電型半導体から構成される第2の電流ブロック層59bと第1導電型半導体領域53との間に位置しており、第2の電流ブロック層59bは、第2導電型半導体から構成される第1の電流ブロック層59aと第2導電型半導体層65との間に位置している。故に、第2導電型半導体層65、第1導電型半導体領域53、電流ブロック半導体領域59により、pnpn構造又はnpnp構造を構成する。
【0078】
半導体発光素子51の構成を示す第1の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域53:n型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
活性層55: アンドープ(un)GaInNAs半導体、un−GaNAs半導体、
un−GaNAsSb半導体、un−GaNAsP半導体、
un−GaNAsSbP半導体、un−GaInNAsSb半導体、
un−GaInNAsP半導体、又はun−GaInNAsSbP半導体
第2導電型半導体層57:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第2導電型半導体層65:p型のAlGaInP半導体又はGaInP半導体
第1の電流ブロック半導体層59a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層59b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板61:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層67:p型GaAs半導体
である。半導体光素子51では、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層59a、59bの各々は、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体又はAlXGa1−XAs半導体から構成されることができる。これらの結晶において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層55と電流ブロック半導体領域59との間のキャリア閉じ込めと、活性層55と第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0079】
半導体発光素子51の構成を示す第2の実施例を示せば、
第1導電型半導体領域53:n型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
活性層55: un−GaInNAs半導体、un−GaNAs半導体、
un−GaNAsSb半導体、un−GaNAsP半導体、
un−GaNAsSbP半導体、un−GaInNAsSb半導体、
un−GaInNAsP半導体、又はun−GaInNAsSbP半導体
第2導電型半導体層57:p型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
第2導電型半導体層65:p型のAlGaAs半導体又はGaAs半導体
第1の電流ブロック半導体層59a:p型AlGaInP半導体
p型AlGaAs半導体、p型GaAs半導体、又はp型GaInP半導体
第2の電流ブロック半導体層59b:n型AlGaInP半導体
n型GaInP半導体、n型AlGaAs半導体、又はn型GaAs半導体
基板61:n型高濃度GaAs基板
コンタクト層67:p型GaAs半導体
である。半導体光素子51では、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、AlXGa1−XAs半導体から構成され、第1及び第2の電流ブロック層59a、59bの各々は、AlXGa1−XAs半導体、又はGaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成されることができる。これらの半導体において、Xの値は0以上1以下の範囲にある。この半導体材料を用いると、活性層55と電流ブロック半導体領域59との間のキャリア閉じ込めと、活性層55と第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57との間のキャリア閉じ込めを共に向上できる。
【0080】
故に、水平・垂直方向に関するキャリア閉じ込め性が強化され、InP半導体/GaInAsP半導体から成る半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増加、温度特性の改善が得られる。
【0081】
上記の半導体材料から成る半導体光素子51によれば、活性層55は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成される。
【0082】
InP半導体は、図7(b)に示される△EInPを有する。図7(b)から理解されるように、△E0は、△EInPより大きい。つまり、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、又はGaInNAsSbP半導体のいずれかの半導体から構成される活性層と、△E0を有するクラッド層(p型AlGaInP半導体、n型AlGaInP半導体、p型AlGaAs半導体、又はn型AlGaAs半導体)とのバンドギャップの差は、InP半導体(バンドギャップエネルギ:2.16×10−19ジュール(1.35eV))/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップに比べて大きい。この説明は、図7(d)に示される活性層55及び電流ブロック半導体領域59にも同様に適用される。
【0083】
図8(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)のIX−IX線に沿って取られた半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図8(c)は、図8(a)のIX−IX線に沿って取られた半導体光素子の屈折率を示す図面である。半導体光素子51aは、第1のSCH層75及び第2のSCH層77を更に備えることができる。第1のSCH層75は、第1導電型半導体領域53と活性層55との間に設けられている。第2のSCH層77は、活性層55と第2導電型半導体層57との間に設けられている。第1のSCH層75及び第2のSCH層77は、電流ブロック領域59の間に設けられている。第1導電型半導体領域53、活性層55、第2導電型半導体層57、第1のSCH層75及び第2のSCH層77は、半導体リッジ部63aを形成する。
【0084】
第1のSCH層75は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。第2のSCH層77は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示している。活性層55には、第1及び第2のSCH層75,77を介して第1導電型半導体領域53の第1の部分53a及び第2導電型半導体層57からキャリアが注入される。図8(b)に示されるように、半導体光素子51aにおいて、注入されたキャリアは、第1のSCH層75及び第2のSCH層77の働きによって活性層55に閉じ込められる。
【0085】
第1のSCH層75は、活性層55が示す屈折率と第1導電型半導体領域53が示す屈折率との間の屈折率値を示している。第2のSCH層77は、活性層55が示す屈折率と第2導電型半導体層57が示す屈折率との間の屈折率値を示している。図8(c)に示されるように、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57は、活性層55において発生された光を活性層55、第1のSCH層75及び第2のSCH層77に閉じ込めるように働く。
【0086】
第1及び第2のSCH半導体層75、77は、電流の閉じ込めと、光の閉じ込めを別個に行うことを可能にする。SCH層の挿入により、活性層55への光閉じ込めが強められ、閾値電流の低減、温度特性の向上等、発振特性の改善が得られる。
【0087】
第1及び第2のSCH層75、77の各々は、GaAs半導体に格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成できる。半導体発光素子51aの構成の第1の実施例及び第2の実施例として、
SCH半導体層75及び77:un−AlXGa1−XAs(0≦X≦1)、
un−GaAs、又はGaAs半導体に格子整合するun−GaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)
がある。これらの材料によれば、第1及び第2のSCH半導体層75及び77の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値が、第1導電型半導体領域53及び第2導電型半導体層57の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値と活性層55の屈折率及びフォトルミネッセンス波長値との間にそれぞれ設定されるので、活性層55への光とキャリアの閉じ込めを実現できる。好適な実施例では、GaInAsPはGaAsに格子整合するように設けられる。
【0088】
図9(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)のX−X線に相当する線に沿って取られた半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図9(c)は、図9(a)に示されたX−X線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。半導体光素子51bは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層79を更に備えることができる。半導体光素子51bでは、別の半導体層79は、第2導電型半導体層57と活性層55との間に設けられる。別の半導体層79のIII−V族化合物半導体は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。活性層55、第2導電型半導体層57及び別の半導体層79は、半導体リッジ部63bを形成する。
【0089】
図9(a)に示された半導体発光素子51bは、第2導電型半導体層57と活性層55との間に設けられた別の半導体層79を備えるけれども、図9(c)に示されるように、別の半導体層79は第1導電型半導体層53と活性層55との間に設けられてもよい。別の半導体層79が第1導電型半導体領域53と活性層55との間に設けられるとき、別の半導体層79のIII−V族化合物半導体は、活性層55が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。また、一対の別の半導体層79を活性層55の両側に設けてもよい。つまり、別の半導体層79は、第1導電型半導体領域53と活性層55との間および第2導電型半導体層57と活性層55との間の少なくともいずれかに設けられることができる。
【0090】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層79の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、活性層55と第1導電型半導体領域53又は第2導電型半導体層57とのヘテロ障壁が緩和される。
【0091】
半導体発光素子51bの構成における第1の実施例及び第2の実施例として、半導体層79:p型AlGaAs、p型AlGaInP、p型GaInP、又はp型GaInAsP
がある。
【0092】
図10は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。SCH層75、77を備える半導体光素子51cは、III−V族化合物半導体を含む別の半導体層81を更に備えることができる。別の半導体層81は、第1導電型半導体領域53と第1のSCH層75との間および第2導電型半導体層57と第2のSCH層77との間の少なくともいずれかに設けられる。図10(a)に示された半導体光素子51cのように、別の半導体層81が第2導電型半導体層57と第2のSCH層77との間に設けられるとき、別の半導体層81のIII−V族化合物半導体は第2のSCH層77が示すフォトルミネッセンス波長値と第2導電型半導体層57が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す。別の半導体層81が第1導電型半導体領域53と第1のSCH層75との間に設けられるとき、別の半導体層81のIII−V族化合物半導体は、第1のSCH層75が示すフォトルミネッセンス波長値と第1導電型半導体領域53が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を有する。活性層55、第2導電型半導体層57、第1のSCH層75及び第2のSCH層77、並びに別の半導体層81は、半導体リッジ部63cを形成する。半導体発光素子51cの半導体層81は、半導体層79と同じ材料から構成される。
【0093】
このフォトルミネッセンス波長関係によれば、別の半導体層81の導入によりヘテロ接合界面におけるスパイク、ノッチの発生が抑制され、SCH層75と第1導電型半導体領域53又はSCH層77と第2導電型半導体層57とのヘテロ障壁が緩和される。
【0094】
以上、本発明の第1及び第2の実施の形態をいくつかの変形例を参照しながら説明したが、本実施の形態は、これらに限定され無い。更なる変形例の半導体光素子では、第1及び第2の電流ブロック半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウム(Al)を含まないIII−V族化合物半導体から構成される。第1及び第2の電流ブロック半導体層が、酸化されやすいAlを含む材料から構成される場合、活性層と電流ブロック半導体領域との界面において時間の経過と共にAlの酸化反応が進行して、非発光センターの数が増加する可能性がある。しかしながら、第1及び第2の電流ブロック半導体層は、酸化されやすいAlをIII族として含まないとき、Alの酸化が半導体発光素子の特性や信頼性を劣化させることがない。Alを含まないIII−V族化合物半導体としては、GaInP半導体が例示される。好適な実施例では、GaInP半導体はGaAs半導体に格子整合する。
【0095】
Alを含むIII−V族半導体材料を電流ブロック半導体領域のための材料に用いる場合、活性層を含むリッジ半導体部を埋め込む工程において、電流ブロック半導体領域とリッジ半導体部との界面及び/又は電流ブロック半導体領域と第1導電型半導体領域との界面においてAlが酸化されることにより、良好な結晶性を有する電流ブロック半導体領域が得られない可能性がある。その点、例えばGaInP半導体はAlを含まないので、そのような問題は生じない。GaInP半導体のバンドギャップは、Nを含むIII−V族半導体のバンドギャップより大きい。GaInP半導体を含む電流ブロック半導体領域によれば、キャリアが活性層内に良好に閉じ込められる。また、GaInP半導体の屈折率は、Nを含むIII−V族半導体の屈折率より小さい。GaInP半導体を含む電流ブロック半導体領域によれば、水平横方向の光が活性層に良好に閉じ込められる。
【0096】
電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されることに加えて、活性層がIII族としてAlを含まない半導体から構成されており、第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層がGaInP半導体から構成されていてもよい。この構成によれば、Al酸化に起因する活性層の発光特性の劣化及びAl酸化に起因する埋め込み再成長時の電流ブロック半導体領域の結晶性の劣化の可能性が生じない。第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域の材料がIII族としてAlを含まない場合、電流ブロック半導体領域及び第2導電型半導体層上に別の第2導電型半導体層を成長するときに、Al酸化に起因する結晶性の劣化の可能性が生じない。故に、より高性能および高信頼性の埋め込み半導体発光素子が得られる。
【0097】
半導体光素子が、III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層を含む発光領域と、GaInAsP半導体を含むヘテロ障壁緩和層とを備えるとき、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されていてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体はGaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まない半導体から構成されるので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0098】
III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層及びSCH層を備える発光領域を備える半導体光素子において、例えば、GaAs半導体及びGaInAsP半導体の少なくともいずれかの半導体からSCH層が構成されており、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されていてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体及びGaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まないので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0099】
III族としてAlを含まないIII−V族半導体から構成される活性層及びSCH層を含む発光領域を備える半導体光素子において、例えば、GaAs半導体及びGaInAsP半導体の少なくともいずれかの半導体からSCH層が構成されており、GaInAsP半導体からヘテロ障壁緩和層が構成されており、第1導電型半導体領域、第2導電型半導体層及び電流ブロック半導体領域がGaInP半導体から構成されてもよい。好適な実施例では、GaInP半導体及びGaInAsP半導体は、GaAs半導体に格子整合する。この構成によれば、半導体光素子を構成する半導体層がAlを含まない半導体から構成されるので、Al酸化に起因する半導体光素子の信頼性や発光特性の劣化の可能性が生じない。
【0100】
さらに、第1及び第2の実施の形態においては、半導体光素が、半導体レーザ素子といった半導体発光素子を含む場合を説明したけれども、本実施の形態の半導体光素子は半導体発光素子に限定されるものではない。半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子或いは電界吸収型変調素子のいずれかを含むことができる。また、半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子及び電界吸収型変調素子のうちの2以上の素子から成る光集積素子であってもよい。
【0101】
本発明の実施例で説明した構造に従えば、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、電界吸収型素子、及びそれらを集積した光素子の何れにおいても、InP半導体より高いバンドギャップの半導体材料でキャリアを閉じ込めることが可能になるので、InGaAsP/InP系材料を用いて作製した場合に比べて、温度特性が改善される。
【0102】
第1及び第2の実施の形態では、半導体光素子1及び51の活性層のIII−V系化合物半導体は、III族として少なくともガリウム元素(Ga)を含むと共に、V族として少なくとも砒素元素(As)及び窒素元素(N)を含むことが好適である。この材料により、活性層の格子定数は、GaAs半導体の格子定数と同じか、それに近くできるので、活性層をGaAs半導体上に備えることが可能になる。
【0103】
また、半導体光素子1及び51の活性層と第1導電型半導体領域及び第2導電型半導体層並びに第1及び第2の電流ブロック層の間のヘテロ接合のバンドギャップエネルギの差は、InP半導体/GaInAsP半導体から成るヘテロ接合のバンドギャップの差より大きい。この構成により、活性層へのキャリアの閉じ込め性が向上する。
【0104】
本実施の形態の半導体光素子において、活性層には窒素(N)を含むIII−V族化合物半導体が使用可能である。窒素(N)を含むIII−V族化合物半導体としては、少なくとも窒素(N)、ガリウム(Ga)、及び砒素(As)を含むIII−V族化合物半導体が例示される。このIII−V族半導体の格子定数は、GaAsの格子定数と同じ、或いはGaAsの格子定数に近い値である。故に、該III−V族化合物半導体をGaAs半導体表面上に良好な結晶成長を行うことができる。また、少なくとも窒素(N)、ガリウム(Ga)、及び砒素(As)を含むIII−V族化合物半導体のバンドギャップは、0.9マイクとメートル以上の波長帯域に対応している。故に、このIII−V族化合物半導体を活性層に用いれば、0.9マイクロメートル以上の長波長の発振波長の光を発生する半導体発光素子、例えば、1.3マイクロメートル帯光通信用光源、若しくは1.55マイクロメートル帯光通信用光源を実現できる。
【0105】
GaInAs半導体又はGaInAsP半導体も活性層としてGaAs基板上に結晶成長可能である。しかし、これらをい用いて1マイクロメートル以上の発振波長を得ようとすると、これらの結晶の格子定数とGaAs基板の格子定数の差が過大となり、その結果これらの結晶に過大な歪みが加わって結晶性が劣化しやすくなるので、良好な発振特性や信頼性が得られにくい。これに対して、少なくとも窒素とガリウムと砒素とを含むIII−V族化合物半導体は、GaAs半導体と同じか、それに近い格子定数を有するので、結晶歪みの問題は無く、したがって1マイクロメートル以上の発振波長領域においても、構造上の制約無しに、良好な発振特性や信頼性を実現できる。
【0106】
少なくとも窒素、ガリウム及び砒素を含むIII−V族化合物半導体としては、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体が例示される。これらの半導体は、近年開発された新材料であり、構成元素(Ga、In、N、As)の組成を調整することにより、GaAs半導体に格子整合する半導体、或いは、GaAs半導体の構成定数に近い格子定数(格子不整度±2パーセント以内)を有し、且つ0.9マイクロメートル以上の波長の光を発生させることが可能な半導体を得ることができる。したがって、GaAs半導体層又はGaAs基板上に長波長の半導体発光素子が実現できる。
【0107】
また、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体等に、さらにアンチモン(Sb)及び/又は燐(P)をV族元素として添加してもよい。アンチモン元素は、いわゆるサーファクタントとして、GaInNAs半導体の三次元成長を抑制できるので、GaNAs半導体やGaInNAs半導体の結晶性を改善する作用がある。燐元素は、GaNAs半導体及びGaInNAs半導体内において局所的結晶歪みを低減し、或いは、V族元素として結晶中に取り込まれる窒素原子を増大する作用もある。GaInNAsP半導体は、非混和領域による結晶成長の困難さが生じない利点がある。
【0108】
第1及び第2の実施の形態の半導体発光素子において、クラッド層として機能する半導体層のための材料として、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)が使用できる。これらの材料を用いると、キャリアの閉じ込め性を改善できる。一方、InP/InGaAsP長波長半導体レーザ素子における半導体材料のうち、バンドギャップが最大の材料はInPであり、そのバンドギャップ値は2.16×10−19ジュール(1.35eV)である。この半導体レーザ素子のクラッド層にInP半導体を使用したとしても、クラッド層と活性層とのバンドギャップ差を大きくできない。バンドギャップ差を大きくできないので、キャリアの閉じ込め特性を向上できない。
【0109】
GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)では、Alの組成Xを変更することにより、3.06×10−19ジュール(1.91eV)以上3.92×10−19ジュール(2.45eV)以下の範囲でバンドギャップ値を変更できる。また、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)では、Alの組成Xを変更することにより、2.27×10−19ジュール(1.42eV)以上3.19×10−19ジュール(1.99eV)以下の範囲でバンドギャップ値を変更できる。故に、InP半導体と比べると、クラッド層と活性層とのバンドギャップ差を大きくできる。故に、活性層に対するキャリアの閉じ込め性が向上できるので、半導体発光素子の温度特性が改善される。
【0110】
また、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、及びGaInNAsSbP半導体の少なくともいずれかの半導体材料から構成される活性層と、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されるクラッド層とのバンドギャップ差は、例えば、発振波長が1.3マイクロメートルとすると、活性層のバンドギャップは約1.53×10−19ジュール(0.954eV)であるので、AlGaInP半導体を用いたバンドギャップ差は、最小1.53×10−19ジュール(0.956eV)であり、最大2.4×10−19ジュール(1.496eV)である。AlGaAs半導体を用いたバンドギャップ差は、最小0.75×10−19ジュール(0.466eV)であり、最大1.66×10−19ジュール(1.036eV)である。
【0111】
また、発振波長が1.55マイクロメートルとすると、活性層のバンドギャップは約1.28×10−19ジュール(0.8eV)であるので、AlGaInP半導体を用いたバンドギャップ差は、最小1.78×10−19ジュール(1.11eV)であり、最大2.64×10−19ジュール(1.65eV)である。AlGaAs半導体を用いたバンドギャップ差は、最小0.99×10−19ジュール(0.62eV)であり、最大1.91×10−19ジュール(1.19eV)である。
【0112】
また、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)では、Al組成の増加と共にバンドギャップは大きくなり、屈折率は小さくなる。故に、Al組成が相対的に小さい半導体をクラッド層に使用すると共にAl組成が相対的に大きい半導体を電流ブロック層に使用すれば、クラッド層の屈折率は、電流ブロック層の屈折率より大きくなる。したがって、電流ブロック層の間にある半導体ストライプ内の等価屈折率を電流ブロック層がある領域の等価屈折率よりも高めることができる。この構造により、水平横方向の導波は正導波となるので、横方向の光閉じ込め性が増大でき、半導体レーザ素子の低しきい値が実現される。正導波路構造のため水平横方向の光閉じ込め性が安定化し、半導体レーザ素子は基本モードでのシングルモード発振が可能になり、単峰性のファーフィールドパターン(Far FieldPattern:FFP)が得られるので、光ファイバへの光学的結合も改善される。本実施の形態の発明を使用する半導体レーザ素子の特性は、反導波路型のInP埋め込みリッジ型レーザ素子に比べて半導体レーザの特性を改善できる。
【0113】
InP半導体より大きいバンドギャップの(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)を電流ブロック半導体領域に用いれば、活性層と電流ブロック半導体領域との間のヘテロ障壁を大きくでき、キャリアの活性層内への閉じ込めが更に強化される。故に、InP系埋め込みヘテロ構造埋め込み半導体レーザ素子に比べて、閾値電流の低減、スロープ効率の増大、温度特性の更なる改善が図られる。
【0114】
さらに、半導体光素子1及び51では、活性層は、量子井戸構造を備えることができる。量子井戸構造としては、SQW構造及びMQW構造が例示される。しかしながら、活性層の構造は、これらに限られない。井戸層の材料を例示すれば、活性層と同じ材料を使用でき、障壁層の材料を例示すれば、AlGaAs、GaAsまたはGaInAsP半導体といったSCH層の構成材料と同じ材料を使用できる。
【0115】
第1及び第2の実施の形態における半導体発光素子においては、SCH層は、その屈折率が活性層の屈折率とクラッド層の屈折率との間になる材料から構成される。また、活性層への良好なキャリア閉じ込めを行うために、SCH層は、そのフォトルミネッセンス波長値が活性層のフォトルミネッセンス波長値とクラッド層のフォトルミネッセンス波長値との間になる材料から構成される。これらの要求を満たすSCH層の半導体材料を例示すれば、クラッド層が(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)及びAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)であるとき、SCH層は、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)又は、GaAs半導体に格子整合するGaInAsP半導体から構成されることができる。SCH層の挿入により、活性層への光閉じ込めが強まり、閾値電流の低減、温度特性の向上といった発振特性の改善が得られる。特に、活性層が極薄膜の量子井戸構造を備えるとき、SCH層は、その機能を効果的に発揮する。
【0116】
第1及び第2の実施の形態における半導体発光素子は、クラッド層とSCH層又は活性層との間にヘテロ障壁緩和層を備えることができる。クラッド層と活性層との接合界面、及びSCH層とクラッド層との接合界面には、両半導体材料のバンドギャップ差に依存する障壁が形成される。この障壁は、スパイク、ノッチと呼ばれ、エネルギバンド図において楔状の形状になる。この障壁は、伝導帯の電子に対してバリア△Ecとなり電気抵抗として作用し、価電子帯の正孔に対してバリア△Evとなり電気抵抗として作用する。例えば、(AlXGa1−X)YIn1−YPクラッド層とGaAsSCH層との接合の場合、相対的に大きなヘテロ障壁が価電子帯に形成される。このヘテロ障壁は、半導体発光素子内の電気抵抗を増大させて半導体発光素子内の発熱を増加させる。また、この障壁により、活性層へのキャリアの注入効率は低下する。特に、p型半導体領域では、キャリアは、有効質量の大きな正孔であり、移動度が小さいので、正孔はヘテロ障壁界面に滞留して活性層への正孔の注入効率が低下する。故に、ヘテロ障壁は、高出力特性等の素子特性や、半導体発光素子の長期信頼性を損なう原因の一つになりうる。素子特性や長期信頼性が向上された半導体発光素子を得るために、ヘテロ障壁を低減することは重要である。このヘテロ障壁を小さくするために、ヘテロ障壁緩和層は役立つ。
【0117】
(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)又はAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されるクラッド層と、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)又はGaAs半導体に構成整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)から構成されるSCH層とを備える半導体発光素子においては、ヘテロ障壁緩和層の材料として、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)、AlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)、GaXIn1−XAsYP1−Y半導体が例示される。
【0118】
ヘテロ障壁緩和層は、半導体基板に対して格子不整−2パーセント以上+2パーセント以下であるような組成を有することができる。一般に、ヘテロ障壁緩和層の厚さは臨界膜厚に比べて薄い。例えば、ヘテロ障壁緩和層の膜厚は、5ナノメートル以上10ナノメートル以下であり、5ナノメートルが好ましい。この膜厚の範囲では、格子不整が存在しても結晶欠陥が生じにくい。また、格子不整に関する制約が緩和されるので、材料選択の幅が拡がる。歪みヘテロ障壁緩和層としては、例えば、クラッド層の材料が、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)或いはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)であり、SCH半導体層の材料がAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)或いは、GaAsに格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)であるとき、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体及びGaXIn1−XAsYP1−Y半導体を使用できる。
【0119】
第2の実施の形態における半導体発光素子は、第1導電型半導体膜を基板上に形成して、次いで、発光領域を構成する半導体膜を第1導電型半導体膜上に形成して、この後に、この半導体膜上に第2導電型半導体膜を形成している。これらの半導体膜を形成した後に、発光領域を構成する半導体膜と第2導電型半導体膜とを第1導電型半導体膜に対して選択的にエッチングする。この選択的エッチングは、所定のエッチャントを用いることにより実現される。このエッチャントにより、第1導電型半導体領域はエッチングされず、発光領域を構成する半導体膜と第2導電型半導体膜のみがエッチングされて、リッジ型半導体部が得られる。
【0120】
InP/GaInAsP系長波長レーザ素子においては、リッジ形成のエッチングのためにBrメタノールを標準的に用いている。Brメタノールは、下部クラッド層(第1導電型半導体領域)のInPに対してエッチング選択性が無いので、リッジ形成のエッチングにおいて下部クラッド層もエッチングされる。Brメタノールは揮発性を示すので、エッチングレートは変動しやすい。また、エッチングレートは、エッチング溶液の温度、濃度、混合比のわずかな変動によって、エッチング毎に異なる。結果的に、エッチング毎に同じエッチングレートを得ることは不可能である。加えて、ウエハの周辺部と中央部とのおけるエッチング溶液の撹幹速度の差に起因して、ウエハ面内においてエッチングレートの無視できない差が生じる。つまり、ウエハ面におけるリッジの深さのばらつきに加えて、エッチング溶液を使用した回数に応じてエッチングレートも変動する。Brメタノールは、リッジ深さに応じてサイドエッチング量が非線形に変動するので、リッジ深さのばらつきは、活性層幅制御を困難にし、活性層幅の非線形なばらつきを生じさせる。活性層幅の非線形なばらつきにより、レーザ特性の再現性及び均一性が悪くなる。
【0121】
しかしながら、第2の実施の形態における半導体光素子によれば、例えば、クラッド層の材料が、GaAs半導体に格子整合する(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)であり、SCH半導体層の材料がAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)或いは、GaAsに格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)であり、活性層が、窒素を含むIII−V族半導体材料(例えば、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、GaInNAsSbP半導体)であるとき、所定のエッチング溶液(例えば、燐酸系エッチャント)を用いて、下部クラッド層に対してSCH層及び活性層のための半導体膜を選択的にエッチングでき、これにより第2の実施の形態の埋め込みヘテロ構造の半導体光素子を得ることができる。第2の実施の形態における半導体発光素子によれば、活性層又はSCH層の下地の半導体層がエッチング停止層として機能する。故に、リッジ深さに関して、良好な再現性及び面内均一性を得ることができる。その結果、活性層幅の再現性及び面内均一性が一段と向上する。したがって、半導体発光素子の発光特性の再現性及び面内均一性も達成される。さらに、半導体発光素子は、その内部抵抗を低減するために、 (AlXGa1−X)YIn1−YP半導体(0≦X≦1)又はAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)、GaXIn1−XAsYP1−Y半導体から構成されるヘテロ障壁緩和層を含むことができる。
【0122】
以上説明したように、第1及び第2の実施の形態における半導体光素子によれば、InGaAsP/InP系半導体光素子において達成できないかったいくつかの技術的な課題が解決される。例えば、InGaAsP/InP系半導体レーザ素子において生じていた高温特性上の課題が解決される。故に、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が提供される。
【0123】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることができることは、当業者によって認識される。例えば、半導体光素子には、半導体発光素子が含まれており、さらに半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、及びEA変調器を集積する半導体光集積素子等が含まれており、さらにこれらの素子を集積した集積素子も含まれる。また、これらの素子の構造の詳細は必要なように変更されることができる。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、InGaAsP半導体及びInP半導体から成る半導体光素子の温度特性より優れた温度特性の半導体光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示されたI−I線に沿った断面図である。図2(b)は、図2(a)に示されたII−II線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図2(c)は、図2(a)に示されたII−II線に沿った屈折率を示す図面である。図2(d)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図2(e)は、図2(a)に示されたIII−III線に沿った屈折率を示す図面である。
【図3】図3(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図3(b)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図3(c)は、図3(a)に示されたIV−IV線に沿った屈折率を示す図面である。
【図4】図4(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)に示されたV−V線に沿ったバンドギャップを示す図面である。図4(c)は、図4(a)に示されたV−V線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。
【図5】図5は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態の半導体発光素子を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は、図6に示されたVI−VI線に沿った断面図である。図7(b)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図7(c)は、図7(a)に示されたVII−VII線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。図7(d)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿ったバンドギャップを示すダイアグラムである。図7(e)は、図7(a)に示されたVIII−VIII線に沿った屈折率を示すダイアグラムである。
【図8】図8(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)に示されたIX−IX線に沿った半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図8(c)は、図8(a)に示されたIX−IX線に沿った半導体光素子の屈折率を示す図面である。
【図9】図9(a)は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。図9(b)は、図9(a)に示されたX−X線に沿った半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。図9(c)は、図9(a)に示されたX−X線に相当する線に沿って取られた別の半導体光素子のバンドギャップを示す図面である。
【図10】図10は、本発明の半導体光素子の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c…半導体光素子、3…第1導電型半導体領域、5…活性層、7…第2導電型半導体層、9…電流ブロック半導体領域、11…基板、15…第2導電型半導体層、17…コンタクト層、21,23…電極、25、27…SCH層、29、31…ヘテロ障壁緩和層、51、51a、51b、51c…半導体光素子、53…第1導電型半導体領域、55…活性層、57…第2導電型半導体層、59…電流ブロック半導体領域、61…基板、65…第2導電型半導体層、67…コンタクト層、71,73…電極、75、77…SCH層、79、81…ヘテロ障壁緩和層
Claims (16)
- GaAs半導体の表面上に設けられ第1及び第2の半導体部を有する第1導電型半導体領域を備え、前記第1の半導体部は、第1の領域と前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有する主面を備えており、前記第2の半導体部は、一対の側面を有しており、前記第2の半導体部は、前記第1の半導体部の第1の領域上に設けられており、
前記第1導電型半導体領域の前記第2の半導体部上に設けられ一対の側面を有する活性層を備え、
前記活性層上に設けられ一対の側面を有する第2導電型半導体層を備え、
前記第2の半導体部、前記活性層及び前記第2導電型半導体層に電流を流すための電流ブロック半導体領域を備え、
前記電流ブロック半導体領域は、前記第1導電型半導体領域の前記第1の半導体部の第2の領域上、前記第2の半導体部の各側面上、前記活性層の各側面上及び前記第2導電型半導体層の各側面上に設けられ、
前記活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されており、
前記活性層は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成されている、半導体光素子。 - 第1の領域と前記第1の領域の両側に位置する第2の領域とを有する主面を備えGaAs半導体の表面上に設けられた第1導電型半導体領域と、
前記第1導電型半導体領域の前記第1の領域上に設けられた活性層及び前記活性層上に設けられた第2導電型半導体層を含み一対の側面を有するリッジ半導体部と、
前記第1導電型半導体領域の前記第2の領域上及び前記リッジ半導体部の各側面上に設けられ前記リッジ半導体部に電流を流すための電流ブロック半導体領域とを備え、
前記活性層は、V族として少なくとも窒素元素を含むIII−V系化合物半導体から構成されており、
前記活性層は、0.9マイクロメートル以上の波長を有する光を発生できるように構成されている、半導体光素子。 - 前記第1導電型半導体領域は、前記活性層及び前記第2導電型半導体層のエッチングのためのエッチング停止層として機能する材料から構成される、請求項2に記載の半導体光素子。
- 前記活性層の前記III−V系化合物半導体は、III族としてガリウム元素を少なくとも含むと共にV族として少なくとも砒素元素を更に含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の半導体光素子。
- 前記活性層は、GaInNAs半導体、GaNAs半導体、GaNAsSb半導体、GaNAsP半導体、GaNAsSbP半導体、GaInNAsSb半導体、GaInNAsP半導体、及びGaInNAsSbP半導体の少なくともいずれかの半導体材料から構成されている、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体光素子。
- 前記第2導電型半導体層の屈折率は、電流ブロック半導体領域の屈折率より大きい、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の半導体光素子。
- III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備え、
前記別の半導体層は、前記第1導電型半導体領域と前記活性層との間および前記第2導電型半導体層と前記活性層との間の少なくともいずれかに設けられており、
前記III−V族化合物半導体は、前記活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と前記第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示しており、
前記III−V族化合物半導体は、前記活性層が示すフォトルミネッセンス波長値と前記第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の半導体光素子。 - 前記第1導電型半導体領域と前記活性層との間に設けられた第1のSCH層と、
前記活性層と前記第2導電型半導体層との間に設けられた第2のSCH層と
を更に備える、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の半導体光素子。 - III−V族化合物半導体を含む別の半導体層を更に備え、
前記別の半導体層は、前記第1導電型半導体領域と前記第1のSCH層との間および前記第2導電型半導体層と前記第2のSCH層との間の少なくともいずれかに設けられており、
前記III−V族化合物半導体は、前記第1のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と前記第1導電型半導体領域が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示しており、
前記III−V族化合物半導体は、前記第2のSCH層が示すフォトルミネッセンス波長値と前記第2導電型半導体層が示すフォトルミネッセンス波長値との間のフォトルミネッセンス波長値を示す、請求項8に記載の半導体光素子。 - 前記電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備え、
前記第1導電型半導体領域及び前記第2導電型半導体層並びに第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層の各々は、(AlXGa1−X)YIn1−YP半導体から構成され、
前記Xの値は0以上1以下の範囲にある、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の半導体光素子。 - 前記電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備え、
前記第1導電型半導体領域及び前記第2導電型半導体層並びに第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層の各々は、AlXGa1−XAs半導体から構成されており、
前記Xの値は0以上1以下の範囲にある、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の半導体光素子。 - 前記第1及び第2のSCH層の各々は、GaAsに格子整合するGaXIn1−XAsYP1−Y半導体(約0.5≦X≦1、0≦Y≦1)またはAlXGa1−XAs半導体(0≦X≦1)から構成されている、請求項8又は請求項9に記載の半導体光素子。
- 前記電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備え、
前記第1及び第2の電流ブロック半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まない、請求項1〜請求項9及び請求項12のいずれかに記載の半導体光素子。 - 前記電流ブロック半導体領域は、第1の電流ブロック層及び第2の電流ブロック層を備え、
前記第1及び第2の電流ブロック半導体層、前記第1導電型半導体領域並びに前記第2導電型半導体層の各々は、III族元素としてアルミニウムを含まない、請求項1〜請求項9及び請求項12のいずれかに記載の半導体光素子。 - 前記GaAs半導体の表面は、GaAs半導体層及びガリウム砒素基板のいずれかにより提供されている、請求項1〜請求項14のいずれかに記載の半導体光素子。
- 当該半導体光素子は、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子、及び電界吸収型変調素子の少なくともいずれかを含む、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の半導体光素子。
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