JP6261814B2 - 洗浄装置および洗浄方法、並びに膜分離バイオリアクタ - Google Patents

洗浄装置および洗浄方法、並びに膜分離バイオリアクタ Download PDF

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Description

本発明は、洗浄槽内に設置された洗浄物を洗浄する洗浄装置および洗浄方法、並びに膜分離バイオリアクタに関するものである。
近年、水処理、洗浄、化学、医療などの様々な分野で微細気泡が注目されている。微細気泡の中でも、特に、気泡の直径が1mm未満のものはマイクロバブルと呼ばれ、上述した様々な分野におけるプロセスに応用されている。
このマイクロバブルを含む微細気泡は、直径が1mm以上の通常の気泡と比較して、液中での浮力が小さく、長時間にわたって液中に滞留し続けることができる。また、微細気泡は、気液界面に汚れを吸着する性質を有しており、特に、気泡の直径が100μm以下の微細気泡は、洗浄効果がより高いとされている。そのため、洗浄分野においては、汚れを吸着する微細気泡の性質を応用して洗浄物を洗浄する方法が提案され、実用化されている。
一方、産業における洗浄では、従来から超音波が用いられており、超音波の振動で発生する気泡のキャビテーションを利用することにより、機械加工部品、半導体等の洗浄物を洗浄することができる。例えば、機械加工部品に付着した加工油を洗浄する場合には、超音波と洗浄剤とを併用するのが一般的であるが、近年では、環境破壊の問題から洗浄剤を削減する傾向にある。洗浄剤を削減した場合には、洗浄力が低下するので、洗浄力を確保するために超音波強度を高くする必要がある。
しかしながら、超音波強度を高めてアルミニウムや銅などの金属部品を洗浄した場合、超音波で発生するキャビテーションにより、エロージョンと呼ばれる衝撃圧による部品表面への損傷が発生してしまう。また、半導体の洗浄工程においても、超音波によってウェハ上のパターンが倒れるといった損傷が発生する。
これに対して、微細気泡を用いた洗浄では、洗浄剤の使用量を削減しつつ、洗浄物の損傷を軽減することができるが、十分な洗浄力を確保することが困難である。
そこで、洗浄剤の使用量を削減しながら洗浄物の損傷を軽減するとともに、十分な洗浄力を確保するための様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、超音波および微細気泡を用いた洗浄方法が記載されている。この方法では、微細気泡を含んだ水を洗浄槽内に満たし、洗浄槽内に超音波を発生させて微細気泡を強制的に振動させることにより、洗浄物の表面に付着した汚れを擦り落とすことができる。
また、特許文献2には、微細気泡を洗浄槽内に均一に分散させ、洗浄物を損傷させることなく洗浄力を向上させる方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、洗浄槽に設けられた音圧センサおよび温度センサの検出値に基づいて超音波出力を制御し、超音波による洗浄物へのダメージを軽減しながら洗浄する方法が記載されている。
特開平6−320124号公報 特開2013−86089号公報 特開平10−235303号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、超音波強度を測定することができないため、洗浄物へのダメージを制御することができない。また、ダメージを抑制するために超音波出力を低く設定すると、洗浄力が低下してしまうという問題点があった。
特許文献2に記載の方法では、洗浄槽内に微細気泡を均一に分散させることができるが、超音波出力を制御しないため、超音波による洗浄力の均一化、および超音波による洗浄物へのダメージの発生を解消することができないという問題点があった。
特許文献3に記載の方法では、洗浄槽内の音圧に基づいて、洗浄物へのダメージが発生しないように超音波出力を調整することができる。しかしながら、洗浄槽内の音圧の低い部分、すなわち超音波が作用しない部分では、洗浄力が低下してしまうという問題点があった。
ここで、特許文献2および特許文献3に記載の方法を組み合わせることにより、洗浄槽内に微細気泡を均一に分散させつつ、洗浄物へのダメージを抑制することができる。しかしながら、この場合には、洗浄槽内に発生する超音波の定在波における音圧の低い部分での洗浄力を確保することができないという問題点があった。
また、微細気泡を併用するものの、洗浄物へのダメージが発生しない超音波出力としているため、音圧の低い部分において気泡を破砕して微細化することができない。さらに、微細気泡を洗浄槽内に均一に分散させるようにするため、超音波によって微細気泡を捕捉できないという問題点があった。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、洗浄物の損傷を抑制しつつ、洗浄物を均一に洗浄することができる洗浄装置および洗浄方法、並びに膜分離バイオリアクタを提供することを目的とする。
本発明の洗浄装置は、洗浄液を貯留する洗浄槽内の前記洗浄液の液面と前記洗浄槽の底面との間に設置された洗浄物を、超音波を用いて洗浄する洗浄装置において、前記洗浄槽内に前記超音波を出力する超音波発生器と、気泡を発生し、前記気泡を前記洗浄液に付加する気泡発生器と、前記洗浄槽内に出力された前記超音波を検知する検知器と、前記超音波の出力値を、気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との間で切り替える制御を行う制御器とを備え、前記制御器は、前記第1出力値と前記第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値を記憶し、前記キャビテーション閾値と前記検知器による前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定し、前記超音波発生器は、前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡発生器が付加した前記気泡に対して出力し、前記検知器の検出結果に基づいた前記制御器の制御に基づき、前記超音波の出力値を前記第2出力値から切り替え、前記第1出力値を有する前記超音波を前記洗浄物に対して出力するものである。
また、本発明の洗浄方法は、洗浄液を貯留する洗浄槽内の前記洗浄液の液面と前記洗浄槽の底面との間に設置された洗浄物を、超音波を用いて洗浄する洗浄方法において、前記洗浄槽内に前記超音波を出力する超音波発生ステップと、気泡を発生し、前記気泡を前記洗浄液に付加する気泡発生ステップと、前記洗浄槽内に出力された前記超音波を検知する検知ステップと、気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値と、前記検知ステップによる前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定する出力値決定ステップと、前記超音波の出力値を、前記第1出力値に設定する第1設定ステップと、前記超音波の出力値を、前記第2出力値に設定する第2設定ステップと、前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡に対して出力する第1出力ステップと、前記検知ステップにおける検知結果に基づき、設定した前記第2出力値を前記第1出力値に切り替える切り替えステップと、前記第1出力値を有する前記超音波を前記洗浄物に対して出力する第2出力ステップとを有するものである。
さらに、本発明の膜分離バイオリアクタは、処理槽で処理される被処理水を分離膜で分離する膜分離バイオリアクタにおいて、気泡を発生して前記分離膜に散気を行う散気器と、前記処理槽内に超音波を出力する超音波発生器と、前記処理槽内に出力された前記超音波を検知する検知器と、前記超音波の出力値を、気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との間で切り替える制御を行う制御器とを備え、前記制御器は、前記第1出力値と前記第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値を記憶し、前記キャビテーション閾値と前記検知器による前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定し、前記超音波発生器は、前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡に対して出力し、前記検知器の検出結果に基づいた前記制御器の制御に基づき、前記超音波の出力値を前記第2出力値から切り替え、前記第1出力値を有する前記超音波を前記分離膜に対して出力するものである。
以上のように、本発明によれば、洗浄物と定在波の腹位置および節位置との位置関係に基づき超音波出力を調整することにより、洗浄物の損傷を抑制しつつ、洗浄物を均一に洗浄することが可能になる。
実施の形態1に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 図1の洗浄装置における洗浄槽内の超音波の音圧分布について説明するための概略図である。 図1の洗浄装置による洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図1の洗浄装置における、洗浄物が定在波の腹位置および節位置のいずれか一方に設置された場合の洗浄方法について説明するための概略図である。 図1の洗浄装置における、洗浄物の設置位置に定在波の腹位置および節位置が含まれる場合の洗浄方法について説明するための概略図である。 微細気泡の状態を検証する検証装置の構成の一例を示す概略図である。 図6の検証装置を用いて観測された微細気泡の分布を示すグラフである。 図1の洗浄装置を用いて洗浄物を洗浄した場合の第1の洗浄結果を示す概略図である。 図1の洗浄装置を用いて洗浄物を洗浄した場合の第2の洗浄結果を示す概略図である。 図1の洗浄装置を用いてサンプルに対して超音波を照射した場合の、超音波によるダメージ評価結果を示す概略図である。 実施の形態1の実施例1に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態1の実施例1に係る洗浄装置の構成の他の例を示す概略図である。 実施の形態1の実施例2に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態1の実施例3に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態2に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態3に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態4に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態5に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態6に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態7に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。 実施の形態8に係る洗浄装置の構成の一例を示す概略図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る洗浄装置について説明する。
[洗浄装置の構成]
図1は、本実施の形態1に係る洗浄装置1の構成の一例を示す概略図である。
図1に示すように、洗浄装置1は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18を含んで構成される。
洗浄槽10は、内部に洗浄液2を貯留可能であり、洗浄液2中に配置された洗浄物3を洗浄するものである。
超音波発生器11は、洗浄槽10内の底部に設けられる。超音波発生器11は、後述する超音波発振器12で設定された周波数、音圧等に基づく超音波を発生し、発生した超音波を、例えば洗浄液2の液面に向かって照射する。
超音波発振器12は、超音波出力線4を介して超音波発生器11に接続される。超音波発振器12は、後述する制御器14の制御に基づき、超音波発生器11から発生する超音波の周波数、音圧等を設定する。
超音波検知器13は、洗浄槽10内に設けられる。超音波検知器13は、超音波発生器11から照射された超音波の少なくとも音圧を含む超音波の特性を検知する。なお、超音波検知器13による検知例は、これに限られず、超音波検知器13は、例えば、超音波エネルギー、音圧、周波数等の複数の超音波に関する特性を同時に、あるいは少なくとも1つ以上を検知してもよい。
制御器14は、制御線5を介して超音波発振器12および超音波検知器13に接続される。制御器14は、超音波検知器13で検知された超音波のエネルギー、音圧、周波数等の超音波に関する情報に基づき、超音波発振器12を制御する。
ポンプ15は、液配管6を介して洗浄槽10に接続され、洗浄槽10内の洗浄液2を循環させるために設けられる。
フィルタ16は、液配管6を介してポンプ15に接続される。フィルタ16は、例えば、液配管6内を流通する洗浄液2に含まれる、洗浄物3に付着していた汚れ等の異物を除去するために設けられる。
微細気泡発生器17は、液配管6を介してフィルタ16および洗浄槽10に接続される。また、微細気泡発生器17は、吸気管7を介して後述する気体供給源18が接続される。
微細気泡発生器17は、気体供給源18から供給された気体を用いて微細気泡を生成し、液配管6を流通する洗浄液2に生成した微細気泡を付加する。微細気泡発生器17は、流入した洗浄液2に対して微細気泡を付加した後、この洗浄液2を洗浄槽10に流出させる。
なお、本発明における微細気泡の気泡径は、例えば、直径が1mm以下であると好ましい。これは微細気泡の直径を1mm以下とすることにより、半導体、電子部品、医療器具等の様々な洗浄物の洗浄に適用可能であるからである。
また、微細気泡発生器17は、例えばエジェクタ方式であると好ましい。これは、動力が不要、安価、小型、設置が容易といった利点があり、また、吸気量、気泡径等の調整が容易であるからである。
気体供給源18は、吸気管7を介して微細気泡発生器17に接続され、空気等の気体を微細気泡発生器17に対して供給する。
[超音波の音圧分布]
次に、洗浄槽10内に照射された超音波の音圧分布について説明する。
図2は、図1の洗浄装置1における洗浄槽10内の超音波の音圧分布について説明するための概略図である。
図2に示すように、洗浄槽10内の底面に配置された超音波発生器11から超音波81を液面80方向に照射すると、洗浄液2中には、鉛直方向に音圧が最も高い位置と音圧が最も低い位置とが一定の距離間隔で交互に分布する定在波と呼ばれる波が発生する。
具体的には、まず、超音波発生器11から液面80方向に超音波81が照射され、この超音波81のほとんど、例えば99%以上が洗浄液2の液面80で反射して超音波発生器11方向に進行する。次に、超音波発生器11方向に進行してきた超音波81がさらに超音波発生器11で反射し、液面80方向に再度進行する。そして、超音波発生器11から液面80方向に進行する超音波81と、液面80から超音波発生器11方向に進行する超音波81とが互いに干渉して合成される。
このようにして、超音波発生器11から照射された超音波81による定在波が発生し、洗浄液2中には、鉛直方向に音圧が最も高い位置と音圧が最も低い位置とが一定の距離間隔で交互に分布することになる。
このような定在波において音圧が最も高い位置は、腹位置82と称される。この腹位置82では、超音波81による圧力変動が最大となるため、キャビテーションが発生する。
キャビテーションには、気体性キャビテーションと、蒸気性キャビテーションとが存在する。
気体性キャビテーションは、超音波出力が小さいとき、すなわち超音波81の圧力変動が小さいときに発生する。気体性キャビテーションは、衝撃波が発生しにくいという効果を有する。
蒸気性キャビテーションは、エネルギーの大きい衝撃波であり、超音波出力が大きいとき、すなわち超音波81の圧力変動が大きいときに発生する。蒸気性キャビテーションはエネルギーが大きいため、洗浄力は向上するが、洗浄物3へのダメージの原因となる。一方で、蒸気性キャビテーションによる衝撃波は、洗浄液2中に存在する気泡を破砕して微細化する効果を有する。
本実施の形態1では、蒸気性キャビテーションにより生じる衝撃波または超音波エネルギーなどを用いて気泡を微細化する。その後、超音波出力を小さくして気体性キャビテーションに変更し、気体性キャビテーションにより発生する衝撃波または超音波エネルギーと、微細化された気泡とを用いて洗浄を行う。
したがって、定在波の腹位置82で洗浄物3を洗浄する場合は、洗浄物3へのダメージを抑制するために、気体性キャビテーションを利用する。そのため、超音波出力としての音圧を、腹位置82で気体性キャビテーションが発生するような出力に設定する。
なお、ここでは、気体性キャビテーションが発生する超音波出力の値と、蒸気性キャビテーションが発生する超音波出力の値との境界値を「キャビテーション閾値」と称する。
一方、定在波において音圧が最も低い位置は、節位置83と称される。この節位置83では、超音波81による圧力変動が最小となるため、蒸気性キャビテーションだけでなく気体性キャビテーションも発生しにくい。そのため、この節位置83では、キャビテーションによって洗浄物3を洗浄することが困難である。
しかしながら、定在波の節位置83では、洗浄液2に浮遊する微細気泡等が腹位置82での圧力に押されることによって集まる。そして、集まった微細気泡等は、節位置83で捕捉される。
そこで、この節位置83では、捕捉された微細気泡の汚れを吸着する性質を利用して洗浄物3を洗浄する。そして、節位置83での洗浄力を向上させるためには、より多くの微細気泡を節位置83で捕捉する必要がある。
したがって、定在波の節位置83で洗浄物3を洗浄する場合は、微細気泡発生器17でより多くの気泡を発生させるとともに、定在波の腹位置82で微細気泡を衝撃波によってより微細化させる必要がある。そのため、超音波出力としての音圧を、腹位置82で蒸気性キャビテーションが発生するような出力に設定する。
つまり、本実施の形態1では、蒸気性キャビテーションにより生じる衝撃波または超音波エネルギーなどを用いて気泡を微細化する。その後、超音波出力を小さくして気体性キャビテーションに変更し、気体性キャビテーションにより発生する衝撃波または超音波エネルギーと、微細化された気泡とを用いて洗浄を行う。
このように、定在波の腹位置82又は節位置83と洗浄物3の位置との関係に応じて、洗浄物3を洗浄する際の超音波出力を適切に設定することにより、ダメージを抑制しながら洗浄物3を洗浄することができる。
なお、超音波81は、液面80と超音波発生器11との間での反射を繰り返すため、ある時刻に超音波発生器11から照射された超音波81は、時間の経過とともにエネルギーが洗浄液2中に散逸して減衰する。しかしながら、超音波81が超音波発生器11から連続的に照射されている間は、洗浄液2中の定在波が消失することはない。
また、超音波81による定在波の腹位置82、節位置83、およびキャビテーション閾値は、超音波81の周波数、洗浄液2の種類、洗浄液2の温度、大気圧などの使用環境によって変動する。そのため、洗浄物3を洗浄する際には、これらの使用環境を実験等によって予め調査しておくと好ましい。
[洗浄装置の動作]
次に、上記構成を有する洗浄装置1の動作について説明する。
概略的には、図1に示すように、洗浄装置1は、超音波発生器11から超音波81を発生させることにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。
そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
図3は、図1の洗浄装置1による洗浄処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートにおける各処理は、洗浄装置1内の制御器14によって行われる。よって、制御器14は、プロセッサ等を含む制御装置であることが望ましい。
図3に示すように、洗浄装置1は、洗浄開始(ステップS101)後、微細気泡発生器17を動作させるなどして、洗浄液2中に微細気泡を供給する(ステップS102)。洗浄液2中に微細気泡を供給した後、洗浄装置1は、キャビテーション閾値以上である第2出力値を有する超音波を超音波発生器11から発生させる(ステップS103)。このステップS103において、洗浄装置1は、第2出力値を有する超音波によって発生する蒸気性キャビテーションにより、微細気泡をより微細化する。
第2出力値を有する超音波の発生を開始した後、洗浄装置1は、一定時間が経過したか否かを、例えば制御器14に設けられた図示しない計時部を用いて判断する(ステップS104)。一定時間が経過したと判断しなかった場合(ステップS104:NO)、洗浄装置1は、ステップS104の判断を繰り返す。
一方、一定時間が経過したと判断した場合(ステップS104:YES)、洗浄装置1は、超音波発生器11から発生させる超音波の超音波出力値を第2出力値から第1出力値に変更する(ステップS105)。第1出力値は、キャビテーション閾値未満である。つまり、洗浄物3に対するダメージが大きい蒸気性キャビテーションに代えて、洗浄物3に対するダメージを抑えた気体性キャビテーションを用いる。
このようにステップS105によって、洗浄槽10内に気体性キャビテーションを発生させる超音波の定常波が形成された場合、形成された定常波の節位置83には、より微細化された微細気泡が捕捉されることになる。したがって、超音波の洗浄力が強い腹位置82では、超音波の気体性キャビテーションを用いてダメージを抑えた洗浄を行うことができる。また、超音波の洗浄力が弱い節位置83では、超音波の気体性キャビテーションと補足された微細気泡とを用いて洗浄力を向上させた洗浄を行うことができる。
ユーザが洗浄槽10内に洗浄物3を投入した後、洗浄装置1は、投入された洗浄物3の範囲に定在波となった超音波の腹位置82が含まれるか否かを、超音波検知器13を用いて判断する(ステップS106)。
洗浄物3が比較的小さい場合、投入された洗浄物3の範囲に定常波となった超音波の腹位置82が含まれない状況も考えられる。そのような状況では、ダメージを発生させやすい腹位置82が含まれていないため、ダメージを抑えた気体性キャビテーションではなく、蒸気性キャビテーションを用いて洗浄を行ってもよい。そのため、投入された洗浄物3の範囲に定在波となった超音波の腹位置82が含まれないと判断した場合(ステップS106:NO)、洗浄装置1は、キャビテーション閾値以上である第2出力値を有する超音波を超音波発生器11から発生させる(ステップS107)。そして、洗浄装置1は、洗浄物3を洗浄し(ステップS108)、洗浄を終了する(ステップS109)。
一方、投入された洗浄物3の範囲に定在波となった超音波の腹位置82が含まれると判断した場合(ステップS106:YES)、洗浄装置1は、キャビテーション閾値未満である第1出力値を有する超音波を超音波発生器11から発生させる。そして、洗浄装置1は、洗浄物3を洗浄し(ステップS108)、洗浄を終了する(ステップS109)。
ここで、上述したように、洗浄装置1では、洗浄物3が設置された位置が定在波の腹位置82または節位置83であるか否か、および洗浄物3が定在波の腹位置82または節位置83の近傍に収まる寸法であるか否かによって、洗浄物3に対する洗浄方法が異なる。
以下では、洗浄装置1による洗浄物3の洗浄方法について、洗浄物3の設置位置および寸法で場合分けして説明する。
[洗浄物が腹位置に設置された場合の洗浄方法]
まず、洗浄物3が定在波の腹位置82近傍に設置され、洗浄物3の寸法が腹位置82近傍に収まる場合の洗浄方法について説明する。
なお、超音波81によって形成される定在波では、腹位置82および節位置83が超音波81の波長の1/4毎に形成される。そのため、この例における「腹位置82近傍」とは、定在波の腹位置82を中心として波長の1/8以下となる位置とする。すなわち、「腹位置82近傍に収まる洗浄物3の寸法」は、超音波81の波長の1/4以下の寸法とする。
図4(a)は、図1の洗浄装置1における、洗浄物3aが定在波の腹位置82に設置された場合の洗浄方法について説明するための概略図である。
洗浄物3aを定在波の腹位置82で洗浄する場合には、当該位置において上述した蒸気性キャビテーションが発生する可能性があるため、蒸気性キャビテーションの衝撃波により洗浄物3aにダメージが発生する可能性がある。
そこで、この洗浄方法では、超音波発生器11から出力される超音波81の出力を、蒸気性キャビテーションが発生しない出力に設定する。
具体的には、まず、定在波の腹位置82を予め検知しておく。腹位置82の検知は、例えば、超音波発生器11から発生する超音波81の進行方向と平行な方向に超音波検知器13を移動させることによって行う。
洗浄装置1では、超音波検知器13を超音波81の進行方向と平行な方向に移動させながら、各位置における超音波81の音圧を検知するとともに、検知した音圧に基づく定在波の圧力変動値を検知する。そして、超音波検知器13は、検知した値の中から圧力変動値が最大となる位置を検知する。この検知された位置が定在波の腹位置82となる。このときの圧力変動値を第1検知値とする。
次に、制御器14は、超音波出力値を蒸気性キャビテーションが発生しない出力値とするため、第1検知値を検知した際の超音波出力値と予め設定されたキャビテーション閾値とを比較する。
超音波出力値がキャビテーション閾値よりも大きい場合、制御器14は、超音波出力値がキャビテーション閾値以下である第1出力値となるように超音波発振器12を制御し、超音波発生器11からの超音波出力を低下させるように設定する。
一方、超音波出力値がキャビテーション閾値よりも小さい場合、制御器14は、超音波出力値がキャビテーション閾値と等しいか、それよりも小さい第1出力値となるように超音波発振器12を制御する。なお、この場合には、洗浄力が低下しないように、キャビテーション閾値を超えない程度で大きい値とすることが望ましい。
すなわち、図3のフローチャートに示すように、洗浄装置1は、洗浄浄開始(ステップS101)後、微細気泡発生器17を動作させるなどして、洗浄液2中に微細気泡を供給する(ステップS102)。その後、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第2出力値に設定する(ステップS103)。
一定時間経過後(ステップS104:Yes)、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定する(ステップS105)。その後、洗浄物3を投入し、洗浄装置1は、洗浄物3に定在波の腹位置82が含まれることを判断する(ステップS106:Yes)。そして、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定したまま、洗浄物3を洗浄(ステップS108)して洗浄を終了する(ステップS109)。
このとき、微細気泡発生器17から発生した洗浄液2中の微細気泡は、定在波の圧力変動により発生する気体性キャビテーションによって、洗浄物3aの表面で膨張収縮する。また、微細気泡は、膨張収縮しながら、ポンプ15の動作によって生じる洗浄液2の流れに乗って、あるいは超音波81の腹位置82での圧力に押されて移動する。
そして、このような微細気泡の移動により、洗浄物3aの表面に付着する汚れは、微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。また、微細気泡の膨張収縮が洗浄物3aの表面に対するブラッシング効果となり、洗浄力を向上させることができる。
このように、洗浄物3aを定在波の腹位置82に設置した場合には、超音波発生器11からの超音波出力の値を蒸気性キャビテーションが発生しない第1出力値とすることにより、洗浄物3に対するダメージを抑制して洗浄物3を洗浄することができる。
[洗浄物が節位置に設置された場合の洗浄方法]
次に、洗浄物3が定在波の節位置83近傍に設置され、洗浄物3の寸法が節位置83近傍に収まる場合の洗浄方法について説明する。
なお、この例における「節位置83近傍」とは、定在波の節位置83を中心として波長の1/8以下となる位置とする。すなわち、「節位置83近傍に収まる洗浄物3の寸法」は、超音波81の波長の1/4以下の寸法とする。
図4(b)は、図1の洗浄装置1における、洗浄物3aが定在波の節位置83に設置された場合の洗浄方法について説明するための概略図である。
洗浄物3aを定在波の節位置83で洗浄する場合には、当該位置におけるキャビテーションが発生し難く、定在波の腹位置82での洗浄と比較して洗浄力が低い。そこで、この洗浄方法では、定在波の節位置83で捕捉される微細気泡を利用して洗浄を行う。
具体的には、まず、定在波の節位置83を予め検知しておく。節位置83の検知は、腹位置82の検知と同様に、例えば、超音波発生器11から発生する超音波81の進行方向と平行な方向に超音波検知器13を移動させることによって行う。
超音波検知器13は、超音波81の進行方向と平行な方向に移動することにより、各位置における超音波81の音圧を検知するとともに、検知した音圧に基づく定在波の圧力変動値を検知する。そして、超音波検知器13は、検知した値の中から圧力変動値が最小となる位置を検知する。この検知された位置が定在波の節位置83となる。このときの圧力変動値を第2検知値とする。
ここで、微細気泡を用いて洗浄力を向上させるためには、微細気泡をより微細化し、例えば100μm以下の微細気泡を増量させて、より多くの微細気泡を節位置83で捕捉する必要がある。そのため、この洗浄方法では、定在波の腹位置82における蒸気性キャビテーションによって生じる衝撃波を利用して、微細気泡発生器17で発生した微細気泡を破砕し、より微細化する。
つまり、超音波出力値は、定在波の腹位置82で蒸気性キャビテーションが発生する出力値、すなわち第1出力値よりも大きい値に設定する必要がある。また、蒸気性キャビテーションによる衝撃波を用いて、微細気泡をより効率的に微細化するためには、超音波出力値をキャビテーション閾値以上の値とすることが好ましい。
そのため、制御器14は、超音波出力値とキャビテーション閾値とを比較する。
超音波出力値がキャビテーション閾値よりも小さい場合、制御器14は、超音波出力値が第1出力値よりも高く、かつ、キャビテーション閾値以上である第2出力値となるように超音波発振器12を制御し、超音波発生器11からの超音波出力を増大させるように設定する。
一方、超音波出力値がキャビテーション閾値よりも大きい場合、制御器14は、洗浄物3aおよび汚れの状態等を考慮して、キャビテーション閾値以上であり、かつ、洗浄に適した大きさの第2出力値となるように超音波発振器12を制御する。
すなわち、図3のフローチャートに示すように、洗浄装置1は、洗浄浄開始(ステップS101)後、微細気泡発生器17を動作させるなどして、洗浄液2中に微細気泡を供給する(ステップS102)。その後、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第2出力値に設定する(ステップS103)。
一定時間経過後(ステップS104:Yes)、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定する(ステップS105)。その後、洗浄物3を投入し、洗浄装置1は、洗浄物3に定在波の腹位置82が含まれないことを判断する(ステップS106:No)。そして、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第2出力値に設定し(ステップS107)、洗浄物3を洗浄(ステップS108)して洗浄を終了する(ステップS109)。
このとき、微細気泡発生器17から発生した洗浄液2中の微細気泡は、定在波の腹位置82において発生する蒸気性キャビテーションによってより微細化される。そして、微細化した微細気泡は、腹位置82での圧力に押されて移動し、節位置83で捕捉される。
節位置83で捕捉された微細気泡は、ポンプ15の動作によって生じる洗浄液2の流れによって洗浄物3aの表面に沿って移動する。これにより洗浄物3aの表面に付着する汚れは、微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。
このように、洗浄物3aを定在波の節位置83に設置した場合には、超音波発生器11からの超音波出力を腹位置82で蒸気性キャビテーションが発生する第2出力値とすることにより、洗浄物3aに作用する微細気泡の量を増加させて、洗浄物3aを洗浄することができる。具体的には、蒸気性キャビテーションで気泡を微細化して微細気泡を発生させ、発生した微細気泡を節位置83に捕捉することで、洗浄物3aを洗浄することができる。
また、この場合には、洗浄中(ステップS108)においても絶えず洗浄液2中の気泡が、腹位置82での蒸気性キャビテーションによって微細化されて、節位置83に捕捉されるため、洗浄力の低下を抑制することができる。具体的には、蒸気性キャビテーションで絶えず気泡を微細化して、洗浄物3aが存在する節位置83に微細気泡が捕捉されるため、当該節位置83の微細気泡が増量し、洗浄物3aに対する洗浄力の低下を抑制することができる。
[洗浄物の設置位置に腹位置および節位置が含まれる場合の洗浄方法]
次に、洗浄物3の設置位置に定在波の腹位置82および節位置83が含まれる場合の洗浄方法について説明する。
なお、上述したように、超音波81によって形成される定在波では、腹位置82および節位置83が超音波81の波長の1/4毎に形成される。そのため、この例における洗浄物3の寸法は、超音波81の波長の1/4以上の寸法とする。
図5は、図1の洗浄装置1における、洗浄物3bの設置位置に定在波の腹位置82および節位置83が含まれる場合の洗浄方法について説明するための概略図である。
図5(a)は、洗浄物3bの設置位置に定在波の腹位置82および節位置83が含まれる場合の洗浄装置1の第1の状態を示す。また、図5(b)は、洗浄物3bの設置位置に定在波の腹位置82および節位置83が含まれる場合の洗浄装置1の第2の状態を示す。
なお、この場合の洗浄方法としては、例えば、以下に示す2つの方法が考えられる。
第1の方法では、まず、図5(a)に示すように、洗浄装置1を第1の状態とし、洗浄槽10内に洗浄物3bを設置する前に、超音波発生器11から発生する超音波81の進行方向と平行な方向に超音波検知器13を移動させて第2検知値を検出する。そして、制御器14は、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を第2出力値に設定する。
次に、微細気泡発生器17により洗浄液2中に微細気泡を発生させ、ポンプ15を動作させて洗浄液2を循環させる。そして、定在波の腹位置82において発生する蒸気性キャビテーションにより、洗浄液2中の微細気泡を微細化する。これにより、この微細気泡が定在波の節位置83で捕捉される。
その後、例えば10秒以上、好ましくは1分以上の予め定められた時間、第2出力値で超音波81を出力するとともに、ポンプ15により洗浄液2を循環させた状態を維持する。これは、超音波出力を第2出力に設定することにより、洗浄液2中の微細気泡を破砕してより微細化させるとともに、気泡量を増量させるためである。
次に、図5(b)に示すように、洗浄装置1を第2の状態とし、超音波81の進行方向と平行な方向に超音波検知器13を移動させて第1検知値を検出し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を第1出力値に設定する。そして、洗浄物3bを洗浄槽10内に設置する。
すなわち、図3のフローチャートに示すように、洗浄装置1は、洗浄浄開始(ステップS101)後、微細気泡発生器17を動作させるなどして、洗浄液2中に微細気泡を供給する(ステップS102)。その後、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第2出力値に設定する(ステップS103)。
一定時間経過後(ステップS104:Yes)、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定する(ステップS105)。その後、洗浄物3を投入し、洗浄装置1は、洗浄物3に定在波の腹位置82が含まれることを判断する(ステップS106:Yes)。そして、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定したまま、洗浄物3を洗浄(ステップS108)する。
そして、制御器14は、超音波発振器12を調整することにより、超音波81の周波数を、発振周波数を中心として任意の周波数範囲でスイープ、または変調させ、超音波81の周波数を連続的に変化させる。
このように、超音波81の周波数を連続的に変化させることにより、定在波の腹位置82および節位置83が超音波81の進行方向に沿って変位する。これにより、節位置83で捕捉された微細気泡が、節位置83の変位に従って洗浄物3bの表面を移動する。そのため、洗浄物3bの表面に付着する汚れは、微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。
なお、このときに変化する超音波81の周波数範囲は、腹位置82および節位置83の間の距離に応じて決定され、例えば、節位置83が当該距離以上に変化するように、超音波81の周波数を変化させると好ましい。
これにより、洗浄物3bの表面全体にわたって節位置83を移動させることができ、洗浄物3bの表面全体に付着する汚れを除去することができる。
これらの腹位置82および節位置83の間の距離、超音波81の変化させる周波数範囲等は、実験等により予め調査しておくと好ましい。
第2の方法では、まず、図5(b)に示すように、洗浄装置1を第2の状態とし、洗浄槽10内に洗浄物3bを設置する前に、超音波発生器11から発生する超音波81の進行方向と平行な方向に超音波検知器13を移動させて第1検知値を検出する。そして、制御器14は、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を第1出力値に設定する。
次に、微細気泡発生器17により洗浄液2中に微細気泡を発生させ、ポンプ15を動作させて洗浄液2を循環させた後、この状態を維持したまま洗浄物3bを洗浄槽10内に設置する。これにより、微細気泡が定在波の節位置83で捕捉される。
すなわち、図3のフローチャートに示すように、洗浄装置1は、洗浄浄開始(ステップS101)後、微細気泡発生器17を動作させるなどして、洗浄液2中に微細気泡を供給する(ステップS102)。ここで、洗浄装置1は、ステップS103およびステップS104を省略し、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定する(ステップS105)。その後、洗浄物3を投入し、洗浄装置1は、洗浄物3に定在波の腹位置82が含まれることを判断する(ステップS106)。そして、洗浄装置1は、超音波発生器11からの超音波出力値を第1出力値に設定したまま、洗浄物3を洗浄(ステップS108)する。
そして、制御器14は、超音波発振器12を調整することにより、超音波81の周波数を、発振周波数を中心として任意の周波数範囲でスイープ、または変調させ、超音波81の周波数を連続的に変化させる。
このように、超音波81の周波数を連続的に変化させることにより、定在波の腹位置82および節位置83が超音波81の進行方向に沿って変位する。これにより、節位置83で捕捉された微細気泡が、節位置83の変位に従って洗浄物3bの表面を移動する。そのため、洗浄物3bの表面に付着する汚れは、微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。
なお、このときに変化する超音波81の周波数範囲は、第1の方法と同様に、腹位置82および節位置83の間の距離に応じて決定され、例えば、節位置83が当該距離以上に変化するように、超音波81の周波数を変化させると好ましい。
これにより、洗浄物3bの表面全体にわたって節位置83を移動させることができ、洗浄物3bの表面全体に付着する汚れを除去することができる。
これらの腹位置82および節位置83の間の距離、超音波81の変化させる周波数範囲等は、第1の方法と同様に、実験等により予め調査しておくと好ましい。
以上のように、第1の方法または第2の方法を用いて定在波の腹位置82および節位置83を含む洗浄物3bを洗浄する場合には、超音波発生器11からの超音波出力を第1出力値とし、定在波の節位置83が洗浄物3bの表面全体を移動するように超音波周波数を調整することにより、洗浄物3bに対するダメージを抑制して洗浄物3a全体を均一に洗浄することができる。具体的には、蒸気性キャビテーションで気泡を微細化して微細気泡を発生させ、その後、気体性キャビテーションに変更する。そして、発生した微細気泡と気体性キャビテーションとを用いて洗浄を行い、洗浄中に超音波81の周波数を連続的に変化させることによって、洗浄物3bに対するダメージを抑制して、洗浄物3b全体を均一に洗浄することができる。
上述した第1の方法または第2の方法では、洗浄物3bに対する定在波の節位置83を移動させるために、超音波81の周波数スイープまたは変調等を行ったが、節位置83を移動させる方法は、この例に限られない。
例えば、洗浄物3bを超音波81の進行方向と平行な方向に移動させることにより、定在波の節位置83との相対的な位置を移動させるようにしてもよい。これにより、洗浄物3bを洗浄する際に、第1および第2の方法と同様の効果を得ることができる。
なお、この場合に洗浄物3bを移動させる距離についても、腹位置82および節位置83の間の距離に応じて決定され、例えば、節位置83が当該距離以上に変化するように、洗浄物3bを移動させると好ましい。
[微細気泡についての検証]
ここで、上述した第1の方法では、まず、第2出力値に設定された超音波81によって洗浄液2中の微細気泡を破砕してより微細化するが、このようにしてより微細化された複数の微細気泡同士が定在波の節位置で捕捉される際に合体して、大きな気泡となってしまう虞がある。
そこで、上述した第1の方法において発生した微細気泡について検証する。
図6は、微細気泡の状態を検証する検証装置90の構成の一例を示す概略図である。
第1の方法では、超音波出力を第2出力値に設定して微細気泡を破砕するとともに定在波の節位置83で捕捉し、超音波出力を第1出力値に設定した後、その状態を維持している。ここでは、この状態における洗浄液2中の微細気泡を観測し、微細気泡の分布について検証した。
図6に示すように、検証装置90では、洗浄液92が満たされた洗浄槽91の底部に超音波発生器93を設置する。そして、洗浄槽91に接続された液配管96に設けられたポンプ94を用いて洗浄槽91中の洗浄液92を循環させるとともに、微細気泡発生器95において、吸気管97を介して供給された気体を用いて洗浄液92中に微細気泡を発生させる。
一方、超音波発生器93からは、超音波出力が第2出力に設定された超音波81が洗浄液92の液面方向に照射される。これにより、洗浄液92中には、定在波が形成される。
そして、洗浄液92中に発生した微細気泡は、定在波の腹位置において破砕され、微細化される。
次に、微細気泡が破砕される位置、すなわち定在波の腹位置における洗浄液92を、ポンプ101を用いて管102を介して接続された透明なスリット100に吸い上げる。
そして、スリット100に吸い上げられた洗浄液92を、スリット100の側面から撮影し、微細気泡の分布を観測した。
図7は、図6の検証装置90を用いて観測された微細気泡の分布を示すグラフである。
図7に示すグラフにおいて、横軸は、スリット100に吸い上げられた洗浄液92に含まれる微細気泡の気泡径を示す。また、縦軸は、スリット100に吸い上げられた洗浄液92における微細気泡の気泡密度を示す。
図7に示すように、スリット100に吸い上げられた洗浄液92が存在した位置、すなわち微細気泡が破砕される定在波の腹位置において、気泡径が0.5mm以上の大きな気泡は観測されなかった。
これは、破砕した複数の微細気泡同士が当該位置で合体し、大きな気泡として発生せず、微細気泡の状態で定在波の節位置で捕捉されていることを示す。
なお、図7に示す結果では、超音波81を照射することによって気泡密度、すなわち気泡数が減少しているが、これは、微細気泡が定在波の節位置で捕捉され、スリット100に吸い上げられる洗浄液92中の気泡数が減少したためである。
この結果から、超音波81の出力の大きさによらず、微細気泡がその気泡径を維持した状態で定在波の節位置で捕捉されることがわかる。したがって、上述した第1の方法により、洗浄物3の洗浄を実施することができる。
[洗浄結果の検証]
図8は、図1の洗浄装置1を用いて洗浄物3を洗浄した場合の第1の洗浄結果を示す概略図である。図9は、図1の洗浄装置1を用いて洗浄物3を洗浄した場合の第2の洗浄結果を示す概略図である。図8は、超音波周波数を40kHzとした場合の洗浄結果を示す。図9は超音波周波数を100kHzとした場合の洗浄結果を示す。
いずれの場合も、トリオレインを付着させたアクリル板を洗浄サンプルとして用い、気泡の有無に対して、超音波出力をパラメータとした場合の洗浄サンプルの汚れ密度および油分除去率を評価した。洗浄時間は10分とした。図8および図9に示す結果から、超音波81と気泡とを併用することで、超音波81のみを用いた場合よりも洗浄力が向上したことが確認できる。特に、周波数が高く、出力が低いほど、超音波81と気泡との併用による相乗効果が高くなっていることが確認できる。
次に、超音波81で発生するキャビテーション強度を視覚的に確認するため、厚みが11μmのアルミホイルをサンプルとして評価した。周波数が低いほどキャビテーション強度が強く、アルミホイルにダメージを与えやすいため、ここでは、周波数が40kHzの超音波81を用いた。上述した洗浄評価の洗浄位置と同じ位置にアルミホイルを設置し、10分間超音波18を照射した。
図10は、図1の洗浄装置1を用いてサンプルに対して超音波81を照射した場合の、超音波81によるダメージ評価結果を示す概略図である。図中の破線は、洗浄槽10に発生した超音波81の定在波音圧の腹位置82を示す。これにより、音圧の腹位置82にダメージが集中し、気泡ありの方がダメージ発生箇所が多いことを確認した。また、気泡なしの場合は、超音波出力300Wのみでダメージが発生したが、気泡ありの場合は出力180Wでダメージが発生することを確認した。この結果から、気泡の存在により超音波キャビテーションが強くなったことが確認できる。
また、気泡なしの300Wと気泡ありの120Wでは、油分除去率はいずれも約90%と同等であったが、後者はアルミホイルへのダメージを目視確認できなかった。よって気泡を用いることで、超音波出力を低くしてダメージを抑制しつつ、洗浄力を向上できることが確認できる。
[実施例]
次に、本実施の形態1に係る洗浄装置1の実施例について説明する。本実施の形態1に係る洗浄装置1は、例えば、膜分離バイオリアクタ(MBR;Membrane BioReactor)と呼ばれる水処理システムに使用される分離膜の洗浄に適用することができる。
膜分離バイオリアクタは、上水道、下水道、工業用水または各種廃水などの水処理方法の一つで、活性汚泥法などによる生物学的処理を行った後、分離膜を用いて有機物質などの汚濁物質を分離除去し、水処理を行うものである。分離膜を継続的に使用すると、分離膜の表面、内部および孔中等に汚濁物質が付着して、分離膜の目詰まりが生じ、濾過性能が徐々に低下する。特に、分離膜に目詰りが生じると、被処理水を濾過するために必要な圧力が増加するため、単位時間、単位膜面積当たりの膜濾過水量が低下し、濾過膜の性能が低下してしまう。そのため、濾過膜の性能を維持するためには、分離膜を定期的に洗浄する必要がある。
この分離膜の洗浄方法としては、分離膜をオゾンまたは次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を含有する洗浄水に浸漬することにより、濾過膜の表面に付着した汚濁物質を除去する方法がある。また、他の洗浄方法としては、分離膜の濾過方向とは逆方向の濾過水側から濾過水、清澄水、あるいは、オゾンまたは次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を含有する洗浄水などを濾過膜に流通させることにより、濾過膜の表面に付着した汚濁物質を除去する方法がある。
本実施の形態1に係る洗浄装置1は、分離膜を洗浄水に浸漬して洗浄する際に適用することができる。すなわち、図1に示す洗浄物3が分離膜となり、洗浄液2にオゾンまたは次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を含有する洗浄水を用いることで、分離膜を洗浄することができる。本実施の形態1に係る洗浄装置1を用いることにより、微細気泡および超音波により分離膜の表面、内部および孔中等に付着した汚濁物質の除去性能が向上する。また、中空糸膜や平膜など、あらゆる分離膜の洗浄に適用できる。
分離膜を洗浄水に浸漬して洗浄する方法では、水処理システムから分離膜を取り外す必要があり、この場合には、洗浄のために分離膜を取り外した分だけ水処理システム全体の処理能力が低下する。そのため、水処理システムの処理能力の低下を短時間に抑えるべく、洗浄時間の短縮が望まれている。そこで、本実施の形態1に係る洗浄装置1を用いて分離膜を洗浄水に浸漬して洗浄する方法を適用することにより、洗浄時間を短縮でき、水処理システムの処理能力の低下を短時間に抑えることができる。
また、水処理システムの分離膜のサイズは、通常2m以上の大きさであり、水処理システムからの分離膜の取り外しには、労力を要する。そのため、水処理システムから分離膜を取り外すのではなく、分離膜をインラインで洗浄することが望まれている。すなわち、分離膜を水処理システムに設置したまま洗浄することが望まれている。
本実施の形態1に係る洗浄装置1を用いた場合、MBR水処理システムから分離膜を取り外して洗浄する際、洗浄時間の短縮が短縮されるだけでなく、MBR水処理システムから分離膜を取り外さずに洗浄する際、生物処理槽に分離膜を設置したままインライン洗浄をすることもできる。
(実施例1)
図11は、本実施の形態1の実施例1に係る洗浄装置200の構成の一例を示す概略図である。図11に示すように、洗浄装置200において、活性汚泥202が入れられた生物処理槽201には、分離膜206と、超音波発生器11と、超音波検知器13と、散気装置205とが設置される。超音波発生器11は、生物処理槽201の底面に設置され、超音波出力線4を通して超音波発振器12に接続される。超音波検知器13は、制御線5を通して制御器14および超音波発振器12に接続される。散気装置205は、気泡を発生して分離膜206に対して散気を行うものであり、気体導入管204を通して気体供給源18に接続される。
生物処理槽201には、被処理水導入配管203が接続される。また、生物処理槽201は、液配管6を通してポンプ15、フィルタ16、および微細気泡発生器17に接続される。微細気泡発生器17は、吸気管7を通して気体供給源18に接続される。分離膜206は、流路切換器211を備える透過水移送配管207を通して処理水排水口210に接続される。流路切換器211は、洗浄水注入配管209を通して、洗浄水注入装置208に接続される。
次に、実施例1に係る洗浄装置200の動作について説明する。水処理時において、生物処理槽201には、被処理水導入配管203を通して被処理水が導入され、活性汚泥202中の微生物により有機物が分解される。活性汚泥202は、分離膜206により濾過され、透過水移送配管207により処理水排水口210に移送される。散気装置205は、分離膜206を閉塞しにくくするために、気体供給源18から気体導入管204を通して供給された気体によるバブリングを行う。
一方、洗浄時において、洗浄装置200は、ポンプ15を動作し、微細気泡発生器17による微細気泡を活性汚泥202に導入する。このときの洗浄のプロセスは、図3のフローチャートに示す通りである。ここで、超音波発生器11が第2出力を出力するときは、散気装置205から供給される気体によって分離膜206が保護されるため、分離膜206が損傷することはない。また、散気装置205から供給される気体は、超音波発生器11から照射される超音波81により微細化される。これにより、分離膜206近傍の微細気泡数が増加し、洗浄力が向上する。
さらに、本実施例1では、流路切換器211を洗浄水注入装置208側に開通させることで、分離膜206に洗浄水を注入し、分離膜206を逆流洗浄することができる。そのため、本実施の形態1に係る洗浄方法と併用することで、分離膜206の洗浄力が向上する。洗浄水には、オゾンまたは次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を含有する洗浄水を用いることで、洗浄力がさらに向上する。このような分離膜206の逆洗浄は、本実施の形態1に係る洗浄方法による動作中、任意のタイミングで実施することができる。
図12は、本実施の形態1の実施例1に係る洗浄装置200の構成の他の例を示す概略図である。上述した図11に示す例では、超音波発生器11を生物処理槽201の底面に設置したが、例えば、図12に示すように生物処理槽201の側面に設置することもできる。
なお、本実施例1による洗浄方法では、分離膜206の洗浄に適する超音波周波数、超音波出力、および超音波照射時間などを予め調査しておくことが望ましい。また、微細気泡および散気装置205へ導入する気体は、空気に限らず、例えばオゾン等の酸化性の気体を用いることもできる。
(実施例2)
図13は、本実施の形態1の実施例2に係る洗浄装置300の構成の一例を示す概略図である。図13に示すように、実施例2に係る洗浄装置300は、図12に示す実施例1に係る洗浄装置200の構成に対して、気体量制御器212を気体導入管204に追加した構成である。
本実施例2に係る洗浄装置300の動作は、実施例1と概略的には同様であるが、気体量制御器212によって散気装置205へ供給する気体量を制御する点で相違している。気体量制御器212は、超音波発生器11から第2出力の超音波出力が出力されるとき、分離膜206が損傷しないように散気装置205への気体量を増加させる。これにより、分離膜206の近傍に気体層を形成し、分離膜206を保護する。
超音波81は、液中から気中への透過率がほぼ零である。そのため、分離膜206の近傍に気体層がある場合には、分離膜206に対して超音波81が到達しない。また、このとき、分離膜206の近傍に形成された気体層の一部が蒸気性キャビテーションにより剥離して微細化され、分離膜206近傍の微細気泡数が増加する。これにより、洗浄力が向上する。
また、超音波発生器11から第1出力の超音波出力が出力されるとき、分離膜206の近傍に気体層があると、気体性キャビテーションが分離膜206の表面に作用しにくくなり、洗浄力が低下する。よって、超音波発生器11から第1出力の超音波出力が出力されるときには、散気装置205への気体量を減少させる。これにより、気体性キャビテーションが分離膜206の表面に作用し、洗浄力が向上する。さらに、散気装置205からの気体が微細化されて微細気泡数が増加するため、洗浄力が向上する。
本実施例2においても、実施例1と同様に、分離膜206を逆流洗浄することができる。このような分離膜206の逆洗浄は、本実施の形態1に係る洗浄方法による動作中、任意のタイミングで実施することができる。
なお、図13に示す例では、超音波発生器11を生物処理槽201の側面に設置したが、例えば、実施例1の図11に示す例と同様に、超音波発生器11を生物処理槽201の底面に設置することもできる。また、本実施例2による洗浄方法では、分離膜206の洗浄に適する超音波周波数、超音波出力、および超音波照射時間などを予め調査しておくことが望ましい。さらに、微細気泡および散気装置205へ導入する気体は、空気に限らず、例えばオゾン等の酸化性の気体を用いることもできる。
(実施例3)
図14は、本実施の形態1の実施例3に係る洗浄装置400の構成の一例を示す概略図である。図14に示すように、実施例3に係る洗浄装置400は、図13に示す実施例2に係る洗浄装置300の構成に対して、気体導入管213および流路切換器214を追加した構成である。流路切換器214は、気体導入管204の気体量制御器212と散気装置205との間に設けられる。流路切換器214は、気体導入管213を通して透過水移送配管207の流路切換器211に接続される。
本実施例3に係る洗浄装置400の動作は、実施例1および2と概略的には同様であるが、以下に説明する点で相違する。洗浄装置400は、超音波発生器11から第2出力の超音波出力が出力されるときに、流路切換器211と流路切換器214とを切り換えて、分離膜206の逆側、つまり処理水出口側から分離膜206に気体を導入し、当該気体を活性汚泥202に導入する。このとき、分離膜206の近傍には気体層が形成され、超音波81により分離膜206が損傷しないように分離膜206を保護することができる。
超音波81は、液中から気中への透過率がほぼ零である。そのため、分離膜206の近傍に気体層がある場合には、分離膜206に対して超音波81が到達しない。また、このとき、分離膜206の近傍に形成された気体層の一部が蒸気性キャビテーションにより剥離して微細化され、分離膜206近傍の微細気泡数が増加する。これにより、洗浄力が向上する。
また、超音波発生器11から第1出力の超音波出力が出力されるとき、洗浄装置400では、分離膜206と洗浄水注入配管209とが導通するように、流路切換器214を散気装置205側に切り換えて、分離膜206を洗浄する。本実施例3においても、分離膜206の近傍に気体層があると、気体性キャビテーションが分離膜206の表面に作用しにくくなり、洗浄力が低下する。よって、超音波発生器11から第1出力の超音波出力が出力されるときには、散気装置205への気体量を減少させる。これにより、気体性キャビテーションが分離膜206の表面に作用し、洗浄力が向上する。さらに、散気装置205からの気体が微細化されて微細気泡数が増加するため、洗浄力が向上する。
なお、図14に示す例では、超音波発生器11を生物処理槽201の側面に設置したが、例えば、図11に示す例と同様に、超音波発生器11を生物処理槽201の底面に設置することもできる。また、本実施例3による洗浄方法では、分離膜206の洗浄に適する超音波周波数、超音波出力、および超音波照射時間などを予め調査しておくことが望ましい。さらに、微細気泡および散気装置205へ導入する気体は、空気に限らず、例えばオゾン等の酸化性の気体を用いることもできる。
以上のように、本実施の形態1では、洗浄槽10内に形成される定在波における腹位置82および節位置83のいずれか一方の位置に洗浄物3を設置して洗浄物3を洗浄する場合に、洗浄物3と、定在波の腹位置82および節位置83との位置関係に基づき、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
これにより、洗浄物3に対するダメージの発生を抑制しながら、洗浄物3を洗浄することができる。
また、洗浄槽10内での洗浄物3の設置位置が腹位置82および節位置83を含む場合には、節位置83が洗浄物3の表面全体を移動するように、超音波81の周波数をスイープ、または洗浄物3を移動させる。
これにより、洗浄物3に対するダメージの発生を抑制しながら、洗浄物3を均一に洗浄することができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る洗浄装置について説明する。
図15は、本発明の実施の形態2に係る洗浄装置20の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置20は、微細気泡発生器17と気体供給源18との間に吸気制御器21を備える点で、上述した実施の形態1と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図15に示すように、洗浄装置20は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18および吸気制御器21を含んで構成される。
吸気制御器21は、微細気泡発生器17と気体供給源18との間に設けられ、吸気管7を介して微細気泡発生器17および気体供給源18に接続される。
吸気制御器21は、制御線22によって接続された制御器14の制御に基づき、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給する気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を調整し、調整した気体を微細気泡発生器17に供給する。
制御器14は、超音波検知器13で検知された超音波81のエネルギー、音圧、周波数等の超音波81に関する情報に基づき、実施の形態1と同様に超音波発振器12を制御するとともに、吸気制御器21を制御する。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置20の動作について説明する。洗浄装置20における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図15に示すように、洗浄装置20は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置20では、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって吸気制御器21を制御し、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給される気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおいて、洗浄装置20は、ステップS103とステップS108とのいずれか一方、または両方において、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給される気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を制御する。
例えば、超音波検知器13で検知された検知値がキャビテーション閾値よりも大きい場合には、微細気泡数を増やすために気体の吸気量を増加させる。また、例えば、超音波検知器13で検知された検知値がキャビテーション閾値よりも小さい場合には、気体の吸気を間欠的に行い、洗浄に有効な微細気泡数が最も多くなるような間欠吸気のタイミングに調整する。すなわち上記の例では、図3に示すフローチャートにおいて、洗浄装置20は、ステップS104で気体の吸気量を増加させ、ステップS108で気体の間欠吸気のタイミングを制御する。
これにより、洗浄槽10内の洗浄液2に発生する微細気泡の量、気泡径等を制御することができる。
ここで、洗浄物3を定在波の腹位置82で洗浄する場合について考える。
この場合、超音波検知器13は、洗浄物3の洗浄位置において、定在波の圧力変動が最大となる腹位置82を示す第1検知値を検知する。これにより、超音波発生器11は、超音波発振器12を介して超音波出力が第1出力値に設定された超音波81を出力する。
したがって、洗浄物3の表面における微細気泡は、定在波の圧力変動により発生する気体性キャビテーションによって膨張収縮し、洗浄物3の表面に付着した汚れが気液界面に吸着されて除去される。
しかしながら、微細気泡の量が過剰となると、定在波が有する超音波エネルギーが気泡に吸収され、気体性キャビテーションが発生し難くなるため、洗浄力が低下する。
そこで、本実施の形態2では、定在波の腹位置82で洗浄物3を洗浄する際に、洗浄液2中の微細気泡の量が気体性キャビテーションの発生を阻害する量とならないように、微細気泡発生器17で発生させる微細気泡の量を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS108において、洗浄装置20は、微細気泡の量を制御する。
これにより、過剰な微細気泡に起因する超音波エネルギーの減衰を防ぎ、気体性キャビテーションを効率的に発生させることができ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
次に、洗浄物3を定在波の節位置83で洗浄する場合について考える。
この場合、超音波検知器13は、洗浄物3の洗浄位置において、定在波の圧力変動が最小となる節位置83を示す第2検知値を検知する。これにより、超音波発生器11は、超音波発振器12を介して超音波出力が第2出力値に設定された超音波81を出力する。
したがって、洗浄液2中の微細気泡は、定在波の腹位置82において発生する蒸気性キャビテーションによってより破砕されて微細化する。そして、微細化した微細気泡は、腹位置82での圧力に押されて移動し、節位置83で捕捉される。これにより、節位置83の位置に設置された洗浄物3の表面に付着した汚れが気液界面に吸着されて除去される。
しかしながら、この場合においても、微細気泡の量が過剰となると、超音波エネルギーが気泡に吸収され、蒸気性キャビテーションが発生し難くなり、破砕される微細気泡が減少する。そのため、結果として微細気泡数が減少し、洗浄力が低下する。
そこで、本実施の形態2では、定在波の節位置83で洗浄物3を洗浄する際に、洗浄液2中の微細気泡の量が蒸気性キャビテーションの発生を阻害する量とならないように、微細気泡発生器17で発生させる微細気泡の量を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS103において、洗浄装置20は、微細気泡の量を制御する。
これにより、過剰な微細気泡に起因する超音波エネルギーの減衰を防ぎ、蒸気性キャビテーションを効率的に発生させることができるため、破砕される微細気泡数の減少を抑制し、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
ここでは、洗浄物3の寸法が腹位置82または節位置83近傍に収まる場合を例にとって説明したが、これはこの例に限られない。例えば、洗浄物3の設置位置に腹位置82および節位置83が含まれる場合でも、実施の形態1で説明した第1の方法または第2の方法を用いることにより、洗浄物3を洗浄することができる。
なお、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態2では、吸気制御器21によって洗浄液2中の微細気泡の量を調整する。そのため、キャビテーションの発生が阻害されるのを防ぎ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る洗浄装置について説明する。
図16は、本発明の実施の形態3に係る洗浄装置30の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置30は、洗浄物3を洗浄する際の、洗浄物3の位置を制御する洗浄物制御部31を備える点で、上述した実施の形態1と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1および2と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図16に示すように、洗浄装置30は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18および洗浄物制御部31を含んで構成される。
洗浄物制御部31は、位置制御器32および保持器33を有する。
保持器33は、洗浄液2中の洗浄物3の位置を保持するために設けられている。保持器33は、位置制御器32の制御によって駆動し、超音波発生器11から照射される超音波81の進行方向と平行な方向に移動する。
位置制御器32は、制御線34を介して制御器14に接続され、制御器14の制御に基づき、保持器33の位置を制御する。
制御器14は、超音波検知器13で検知された超音波81のエネルギー、音圧、周波数等の超音波81に関する情報に基づき、実施の形態1と同様に超音波発振器12を制御するとともに、位置制御器32を制御する。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置30の動作について説明する。洗浄装置30における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図16に示すように、洗浄装置30は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置30では、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって位置制御器32を制御し、保持器33を駆動して洗浄物3の位置を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS108において、洗浄装置30は、保持器33を駆動して洗浄物3の位置を制御する。
これにより、洗浄装置30では、2つの洗浄方法を選択することができる。
一方の洗浄方法は、超音波出力を第1出力値として、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄物3を洗浄する方法である。
他方の洗浄方法は、超音波出力を第2出力値として、定在波の節位置83で捕捉された微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄物3を洗浄する方法である。
例えば、洗浄物3に対して強固に固着した汚れを洗浄する場合には、超音波出力を第1出力値として、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄する。また、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄すると、洗浄物3にダメージが発生する虞がある場合には、超音波出力を第2出力値として、微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄する。
このように、洗浄物3の特性および洗浄物3に付着した汚れの特性に応じて、2つの洗浄方法を選択することができる。
超音波出力を第1出力値として洗浄物3を定在波の腹位置82で洗浄する場合には、定在波の腹位置82を予め検知しておく。
そして、制御器14は、予め検知しておいた腹位置82を示す位置情報に基づき、洗浄物制御部31の位置制御器32を制御する。
位置制御器32は、制御器14の制御に基づき、洗浄物3が腹位置82に位置するように保持器33を駆動する。
次に、制御器14は、超音波発生器11から照射される超音波81の出力が第1出力値となるように、超音波発振器12を制御する。
これにより、超音波発生器11から第1出力値の超音波81が照射され、洗浄液2中の微細気泡は、定在波の圧力変動により発生する気体性キャビテーションによって、洗浄物3aの表面を膨張収縮しながら移動する。そして、微細気泡の移動により、洗浄物3aの表面に付着する汚れが微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。
一方、超音波出力を第2出力値として洗浄物3を定在波の節位置83で洗浄する場合には、定在波の節位置83を予め検知しておく。
そして、制御器14は、予め検知しておいた節位置83を示す位置情報に基づき、洗浄物制御部31の位置制御器32を制御する。
位置制御器32は、制御器14の制御に基づき、洗浄物3が節位置83に位置するように保持器33を駆動する。
次に、制御器14は、超音波発生器11から照射される超音波81の出力が第2出力値となるように、超音波発振器12を制御する。
これにより、超音波発生器11から第2出力値の超音波81が照射され、洗浄液2中の微細気泡は、腹位置82において発生する蒸気性キャビテーションによってより微細化される。そして、微細化した微細気泡が節位置83で捕捉され、洗浄物3aの表面に付着する汚れが微細気泡の気液界面に吸着されて除去される。
なお、本実施の形態3においても、洗浄物3の設置位置に腹位置82および節位置83が含まれる場合における、洗浄物3の洗浄が可能である。
洗浄装置30では、保持器33に洗浄物3を保持して駆動することにより、洗浄物3を超音波81の進行方向と平行な方向に移動させることができる。そのため、実施の形態1で説明した第1の方法または第2の方法を用いることなく、洗浄物3を洗浄することができる。
例えば、洗浄物3の特性または洗浄物3に付着する汚れの特性に応じて、超音波81の出力を第1出力値または第2出力値に設定し、保持器33を介して洗浄物3を移動させることにより、洗浄物3の表面を均一に洗浄することができる。
また、図10に示す結果から、超音波81のエネルギーは、横方向、つまり超音波81の進行方向と垂直な方向に分布を持っている。よって、洗浄物3を横方向、つまり超音波81の進行方向に対して平行な方向と垂直な方向とのうち、少なくとも一方を含む方向に移動させることで、洗浄物3の表面を均一に洗浄することができる。
このときの洗浄物3の移動距離は、第1検知値を検知した位置と、第2検知値を検知した位置との間の距離よりも長くすると好ましい。これは、洗浄物3の表面全体にわたって腹位置82または節位置83を移動させるためである。
なお、この移動距離は、実験等により予め調査しておくと好ましい。
また、本実施の形態3では、例えば、超音波検知器13を超音波81の進行方向と平行な方向に移動させ、第1検知値の検知位置と、第2検知値の検知位置とを測定し、測定結果に基づいて、保持器33の移動を自動的に制御するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態3では、洗浄物制御部31を備え、保持器33によって保持された洗浄物3を移動させて洗浄を行う。これにより、超音波81の出力値または洗浄物3に付着する汚れの状態等に応じて適切な洗浄方法を選択することができる。
また、洗浄物3を超音波81の進行方向と平行な方向に移動させることができるため、洗浄物3の設置位置に腹位置82および節位置83が含まれる場合でも、洗浄物3の表面全体を均一に洗浄することができる。
さらに、洗浄物3を超音波81の進行方向に対して平行な方向と垂直な方向とのうち、少なくとも一方を含む方向に移動させた場合には、洗浄物3の表面に水流が発生するため、洗浄槽10内の洗浄液2の液置換性が向上し、洗浄物3を効率的に洗浄することができる。
さらにまた、洗浄液2の温度、溶存気体量等が変化することにより、定在波の腹位置82および節位置83が変化する。そのため、例えば、超音波検知器13を定期的に移動させ、洗浄槽10内に形成される定在波の状態を監視することで、第1検知値および第2検知値の検知位置の変化に応じて、洗浄物3を移動させることができる。
これにより、洗浄物3を効率的に洗浄することができ、例えば、洗浄物3の歩留まりを改善することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4に係る洗浄装置について説明する。
図17は、本発明の実施の形態4に係る洗浄装置40の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置40は、上述した実施の形態2および実施の形態3を組み合わせたものである。なお、以下の説明において、実施の形態1〜3と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図17に示すように、洗浄装置40は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18、吸気制御器21および洗浄物制御部31を含んで構成される。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置40の動作について説明する。洗浄装置40における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図17に示すように、洗浄装置40は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置40では、実施の形態2と同様に、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって吸気制御器21を制御する。
例えば、超音波検知器13で検知された検知値がキャビテーション閾値よりも大きい場合には、微細気泡数を増やすために気体の吸気量を増加させる。また、例えば、超音波検知器13で検知された検知値がキャビテーション閾値よりも小さい場合には、気体の吸気を間欠的に行い、洗浄に有効な微細気泡数が最も多くなるような間欠吸気のタイミングに調整する。すなわち、上記の例では、図3に示すフローチャートにおいて、洗浄装置40は、ステップS103とステップS108とのいずれか一方、または両方において、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給される気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を制御する。
これにより、洗浄液2中に発生する微細気泡の量、気泡径等を制御することができる。
さらに、洗浄装置40では、実施の形態3と同様に、超音波検知器13での検知結果に基づき、洗浄物制御部31を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS108において、洗浄装置40は、保持器33を駆動して洗浄物3の位置を制御する。これにより、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄物3を洗浄する方法と、微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄物3を洗浄する方法のうち、所望の洗浄方法を選択することができる。
すなわち、洗浄装置40では、選択した洗浄方法に応じて、微細気泡の量、気泡径等を最適化することができる。
なお、本実施の形態4においても、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態4では、実施の形態2と同様に、吸気制御器21によって洗浄液2中の微細気泡の量を調整するため、キャビテーションの発生が阻害されるのを防ぎ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
また、実施の形態3と同様に、洗浄物制御部31の保持器33によって洗浄物3を移動させて洗浄を行う。これにより、超音波81の出力値または洗浄物3に付着する汚れの状態等に応じた適切な洗浄方法の選択、および洗浄物3の効率的かつ均一な洗浄等が可能となる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5に係る洗浄装置について説明する。
図18は、本発明の実施の形態5に係る洗浄装置50の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置50は、洗浄槽10内に気泡検知器51を備える点で、上述した実施の形態2と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜4と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図18に示すように、洗浄装置50は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18、吸気制御器21および気泡検知器51を含んで構成される。
気泡検知器51は、洗浄槽10内に設置され、制御線52を介して制御器14に接続される。気泡検知器51は、洗浄槽10内の洗浄液2中含まれる微細気泡の量、気泡径、気泡密度等の微細気泡の特性を検知する。
なお、気泡検知器51は、例えば、微細気泡の量、気泡径、気泡密度等を同時にまたは少なくとも1つ以上検知できるものが用いられる。
制御器14は、超音波検知器13で検知された超音波81のエネルギー、音圧、周波数等の超音波81に関する情報に基づく超音波発振器12を制御するとともに、気泡検知器51の検知結果に基づき、吸気制御器21を制御する。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置50の動作について説明する。洗浄装置50における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図18に示すように、洗浄装置50は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置50では、気泡検知器51で検知された微細気泡の量、気泡径、気泡密度等の検知結果に基づき、制御器14によって吸気制御器21を制御する。そして吸気制御器21は、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給される気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を制御する。これにより、洗浄槽10内の洗浄液2に発生する微細気泡の量、気泡径等を制御することができる。
この洗浄装置50では、実施の形態2と同様に、定在波の腹位置82で洗浄物3を洗浄する際に、洗浄液2中の微細気泡の量が気体性キャビテーションの発生を阻害する量とならないように、微細気泡発生器17で発生させる微細気泡の量を制御する。
また、定在波の節位置83で洗浄物3を洗浄する際には、洗浄液2中の微細気泡の量が蒸気性キャビテーションの発生を阻害する量とならないように、微細気泡発生器17で発生させる微細気泡の量を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおいて、洗浄装置50は、ステップS103とステップS108とのいずれか一方、または両方において、気体供給源18から微細気泡発生器17に供給される気体の量および吸気タイミングの少なくとも一方を制御する。
これにより、過剰な微細気泡に起因する超音波エネルギーの減衰を防ぎ、気体性キャビテーションまたは蒸気性キャビテーションを効率的に発生させることができ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
また、洗浄装置50では、気泡検知器51を用いるため、実施の形態2に係る洗浄装置20と比較して、洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等の検知精度を向上させることができる。
したがって、洗浄装置50では、実施の形態2に係る洗浄装置20と比較して、洗浄液2中に発生させる微細気泡の量や気泡径の制御の精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態5においても、実施の形態2と同様に、実施の形態1で説明した第1の方法または第2の方法を用いることにより、洗浄物3の設置位置に腹位置82および節位置83が含まれる場合における、洗浄物3の洗浄が可能である。
また、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態5では、気泡検知器51を用いて洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等を検知し、検知結果に基づき、吸気制御器21によって洗浄液2中の微細気泡の量を調整する。そのため、キャビテーションの発生が阻害されるのを防ぎ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
また、気泡検知器51を用いて洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等を検知するため、実施の形態2と比較して、微細気泡の量、気泡径等を検知する精度を向上させることができる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6に係る洗浄装置について説明する。
図19は、本発明の実施の形態6に係る洗浄装置60の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置60は、洗浄槽10内に気泡検知器51を備える点で、上述した実施の形態3と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜5と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図19に示すように、洗浄装置60は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18、洗浄物制御部31および気泡検知器51を含んで構成される。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置60の動作について説明する。洗浄装置60における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図19に示すように、洗浄装置60は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置60では、実施の形態3と同様に、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって洗浄物制御部31を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS108において、洗浄装置60は、保持器33を駆動して洗浄物3の位置を制御する。これにより、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄物3を洗浄する方法と、微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄物3を洗浄する方法のうち、所望の洗浄方法を選択することができる。
また、洗浄装置60では、気泡検知器51を超音波81の進行方向と平行な方向に動かすことにより、定在波の節位置83で捕捉された微細気泡の量、気泡径等を高精度で検知することができる。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS103あるいはステップS108において、洗浄装置60は、微細気泡の量を制御する。
そのため、気泡検知器51で検知された節位置83における微細気泡量および気泡径の検知結果に基づき、超音波出力を調整することにより、定在波の腹位置82で破砕される微細気泡の量および気泡径を制御することができる。
例えば、気泡検知器51で検知された節位置83における微細気泡量を増量したい場合には、この検知結果に基づいて超音波出力をより高くする。これにより、定在波の腹位置82で発生する蒸気性キャビテーションにより、微細気泡をより多く破砕することができ、微細気泡を増量することができる。
なお、本実施の形態6においても、実施の形態1で説明した第1の方法または第2の方法を用いることにより、洗浄物3の設置位置に腹位置82および節位置83が含まれる場合における、洗浄物3の洗浄が可能である。
また、本実施の形態6では、洗浄物制御部31を備えるため、実施の形態3と同様に、実施の形態1で説明した第1の方法または第2の方法を用いることなく、洗浄物3を洗浄することもできる。
また、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態6では、実施の形態3と同様に、洗浄物制御部31の保持器33によって洗浄物3を移動させて洗浄を行う。これにより、超音波81の出力値または洗浄物3に付着する汚れの状態等に応じた適切な洗浄方法の選択、および洗浄物3の効率的かつ均一な洗浄等が可能となる。
また、本実施の形態6では、気泡検知器51を用いて定在波の節位置83で捕捉された微細気泡の量、気泡径等を検知し、検知結果に基づいて超音波出力を調整する。これにより、定在波の腹位置82で破砕される微細気泡の量および気泡径を制御することができる。
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7に係る洗浄装置について説明する。
図20は、本発明の実施の形態7に係る洗浄装置70の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置70は、洗浄槽10内に気泡検知器51を備える点で、上述した実施の形態4と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜6と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図20に示すように、洗浄装置70は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18、吸気制御器21、洗浄物制御部31および気泡検知器51を含んで構成される。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置70の動作について説明する。洗浄装置70における一連の動作は、図3のフローチャートに示す通りである。
概略的には、図20に示すように、洗浄装置70は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置70では、実施の形態4と同様に、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって洗浄物制御部31を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS103あるいはステップS108において、洗浄装置70は、微細気泡の量あるいは吸気タイミング等を制御する。これにより、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄物3を洗浄する方法と、微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄物3を洗浄する方法のうち、所望の洗浄方法を選択することができる。
さらに、洗浄装置70では、気泡検知器51で検知された微細気泡の量、気泡径、気泡密度等の検知結果に基づき、洗浄槽10内の洗浄液2に発生する微細気泡の量、気泡径等を制御する。そのため、洗浄装置70では、洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等の検知精度を向上させることができる。
すなわち、洗浄装置70では、選択した洗浄方法に応じて、微細気泡の量、気泡径等を最適化することができる。このとき、洗浄装置70は、気泡検知器51を用いて洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等を検知するため、実施の形態4と比較して、微細気泡の量、気泡径等の調整制度を向上させることができる。
なお、本実施の形態7においても、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態7では、気泡検知器51を用いて検知した洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等に基づき、洗浄液2中の微細気泡の量を調整する。そのため、キャビテーションの発生が阻害されるのを防ぎ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。
また、気泡検知器51を用いて洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等を検知するため、実施の形態4と比較して、微細気泡の量、気泡径等を検知する精度を向上させることができる。
さらに、実施の形態4と同様に、洗浄物制御部31の保持器33によって洗浄物3を移動させて洗浄を行うことにより、超音波81の出力値または洗浄物3に付着する汚れの状態等に応じた適切な洗浄方法の選択、および洗浄物3の効率的かつ均一な洗浄等が可能となる。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8に係る洗浄装置について説明する。
図21は、本発明の実施の形態8に係る洗浄装置89の構成の一例を示す概略図である。
この洗浄装置89は、洗浄槽10内に設けられ、信号線86を通して制御器14に接続される温度検知器85と、液配管6に設けられ、制御線87を通して制御器14が接続される温度制御器88とを備える点で、上述した実施の形態7と相違する。なお、以下の説明において、実施の形態1〜7と同様の箇所には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[洗浄装置の構成]
図21に示すように、洗浄装置89は、洗浄槽10、超音波発生器11、超音波発振器12、超音波検知器13、制御器14、ポンプ15、フィルタ16、微細気泡発生器17、気体供給源18、吸気制御器21、洗浄物制御部31、気泡検知器51、温度検知器85および温度制御器88を含んで構成される。
[洗浄装置の動作]
次に、洗浄装置89の動作について説明する。洗浄装置89における一連の動作は、図3に示すフローチャートに示す通りである。
概略的には、図21に示すように、洗浄装置89は、超音波発生器11から超音波81を照射することにより、洗浄槽10内の洗浄液2中に定在波を形成する。次に、洗浄物3が設置された位置における定在波のエネルギー、音圧等を超音波検知器13で検知する。そして、検知結果が示す超音波81に関する情報に基づき、制御器14で超音波発振器12を制御し、超音波発生器11から発生する超音波81の出力を調整する。
また、洗浄装置89では、実施の形態7と同様に、超音波検知器13での検知結果に基づき、制御器14によって洗浄物制御部31を制御する。すなわち、図3に示すフローチャートにおけるステップS103あるいはステップS108において、洗浄装置89は、微細気泡の量あるいは吸気タイミング等を制御する。これにより、気体性キャビテーションによる微細気泡の膨張収縮を用いて洗浄物3を洗浄する方法と、微細気泡の気液界面に汚れを吸着させて洗浄物3を洗浄する方法のうち、所望の洗浄方法を選択することができる。
さらに、洗浄装置89では、気泡検知器51で検知された微細気泡の量、気泡径、気泡密度等の検知結果に基づき、洗浄槽10内の洗浄液2に発生する微細気泡の量、気泡径等を制御する。そのため、洗浄装置89では、洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等の検知精度を向上させることができる。
さらにまた、洗浄装置89では、温度検知器85で検知された洗浄液2の温度の検知結果に基づき、洗浄槽10内の洗浄液2の温度を、制御器14を通して温度制御器88により制御する。そのため、洗浄装置89では、洗浄液2の温度変化に応じて、微細気泡の量および気泡径等を制御することができる。また、洗浄装置89では、洗浄液2の温度に応じて超音波81の超音波周波数や超音波出力を制御することができる。
また、洗浄装置89では、洗浄物3に付着する汚れに応じて洗浄液2の温度を制御して、洗浄力を向上させることができる。さらに、洗浄液2の温度を制御することで、微細気泡の発生量、気泡径、および超音波81によるキャビテーション強度を調整することができる。
すなわち、洗浄装置89では、選択した洗浄方法に応じて、洗浄液2の温度を最適化することができる。このとき、洗浄装置89は、温度検知器85を用いて洗浄液2の温度を検知するため、実施の形態7と比較して、微細気泡の量、気泡径、および超音波81によるキャビテーション強度等の調整精度を向上させることができる。
図3に示すフローチャートにおいて、洗浄装置89は、ステップS103およびステップS108の少なくとも1つ以上のステップで洗浄液2の温度を制御する。また、洗浄液2の温度を制御する際には、洗浄性能を安定化させるために、ステップS101の洗浄開始からステップS109の洗浄終了まで連続的に洗浄液2の温度を制御することが好ましい。
なお、本実施の形態8においても、定在波の超音波エネルギーを阻害するような微細気泡の量は、洗浄液2の種類および温度、超音波周波数、微細気泡に含まれる気体の種類等の使用環境によって異なる。そのため、使用環境に適した吸気量、断続吸気等の各種パラメータは、実験等で予め調査しておくと好ましい。
以上のように、本実施の形態8では、温度検知器85を用いて検知した洗浄液2の温度に基づき、洗浄液2の温度を調整する。そのため、洗浄液2の温度変化によってキャビテーションの発生が阻害されるのを防ぎ、洗浄物3に対する洗浄力を向上させることができる。また、本実施の形態8では、温度検知器85を用いて洗浄液2の温度を検知するため、実施の形態7と比較して、洗浄液2中の微細気泡の量、気泡径等を調整する精度を向上させることができる。
さらに、実施の形態7と同様に、洗浄物制御部31の保持器33によって洗浄物3を移動させて洗浄を行うことにより、超音波81の出力値または洗浄物3に付着する汚れの状態等に応じた適切な洗浄方法の選択、および洗浄物3の効率的かつ均一な洗浄等が可能となる。
以上、本発明の実施の形態1〜8について説明したが、本発明は、上述した本発明の実施の形態1〜8に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、超音波発生器11から照射される超音波81は、連続的に発振するものに限られず、例えば、発振および停止を繰り返して断続的に発振するものであってもよい。また、超音波81は、周波数変調または振幅変調等のように、変調されたものであってもよい。
さらに、洗浄槽10は、洗浄液2を貯留可能な貯液型のものに限られず、例えば、内部の洗浄液2によって洗浄物3を洗浄可能であれば、例えばオーバーフロー型、カスケード型等の各種の洗浄槽が適用可能である。
さらにまた、使用する洗浄液2は、特に限定されない。例えば、水をはじめとして、炭化水素系、溶剤系または酸化剤などを含む洗浄液、酸、アルカリまたは中性の洗浄剤を添加したもの、あるいは界面活性剤または薬剤などを添加したもの等、各種の洗浄液を使用することができる。
さらに、微細気泡発生器17から発生する微細気泡に含まれる気体の種類は、特に限定されない。例えば、空気をはじめとして、オゾン、酸素、窒素、二酸化炭素、水素などの各種の単一気体、あるいは複数種類からなる気体等を用いることができる。
さらにまた、実施の形態1、3および6において、気体供給源18から微細気泡発生器17への気体の吸気量は、特別な制御を行うことなく自然な吸気量としたが、これはこの例に限られない。例えば、洗浄液2の種類または温度等の使用環境、洗浄物3の特性等に応じて、洗浄力が向上するように、吸気量を適切に設定してもよい。
1、20、30、40、50、60、70、89、200、300、400 洗浄装置、2、92 洗浄液、3、3a、3b 洗浄物、4 超音波出力線、5 制御線、22、34、52 制御線、6、96 液配管、7、97 吸気管、10、91 洗浄槽、11、93 超音波発生器、12 超音波発振器、13 超音波検知器、14 制御器、15、94 ポンプ、101 ポンプ、16 フィルタ、17、95 微細気泡発生器、18 気体供給源、21 吸気制御器、31 洗浄物制御部、32 位置制御器、33 保持器、51 気泡検知器、80 液面、81 超音波、82 腹位置、83 節位置、85 温度検知器、86 信号線、87 制御線、88 温度制御器、90 検証装置、100 スリット、102 管、201 生物処理槽、202 活性汚泥、203 被処理水導入配管、204、213 気体導入管、205 散気装置、206 分離膜、207 透過水移送配管、208 洗浄水注入装置、209 洗浄水注入配管、210 処理水排水口、211、214 流路切換器、212 気体量制御器。

Claims (13)

  1. 洗浄液を貯留する洗浄槽内の前記洗浄液の液面と前記洗浄槽の底面との間に設置された洗浄物を、超音波を用いて洗浄する洗浄装置において、
    前記洗浄槽内に前記超音波を出力する超音波発生器と、
    気泡を発生し、前記気泡を前記洗浄液に付加する気泡発生器と、
    前記洗浄槽内に出力された前記超音波を検知する検知器と、
    前記超音波の出力値を、気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との間で切り替える制御を行う制御器と
    を備え、
    前記制御器は、
    前記第1出力値と前記第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値を記憶し、
    前記キャビテーション閾値と前記検知器による前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定し、
    前記超音波発生器は、
    前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡発生器が付加した前記気泡に対して出力し、
    前記検知器の検出結果に基づいた前記制御器の制御に基づき、前記超音波の出力値を前記第2出力値から切り替え、前記第1出力値を有する前記超音波を前記洗浄物に対して出力する
    洗浄装置。
  2. 前記検知器は、
    前記超音波の定在波の腹位置および節位置を検知し、
    前記制御器は、
    前記腹位置における前記超音波の特性によって、前記超音波発生器の出力を制御する
    請求項1に記載の洗浄装置。
  3. 前記制御器は、
    設定時間だけ、前記超音波の出力を前記第2出力値に設定し、
    前記設定時間の経過後に、前記超音波の出力を前記第1出力値に設定し、
    前記超音波の周波数を設定して前記定在波の前記腹位置および前記節位置を変位させる
    請求項に記載の洗浄装置。
  4. 前記第1出力値は、前記超音波の定在波の腹位置において蒸気性キャビテーションが発生する出力値を示す閾値以下の値であり、
    前記第2出力値は、前記第1出力値より大きく、かつ、前記閾値より大きい値である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  5. 前記制御器によって制御され、前記気泡発生器により生成される前記気泡の量および気泡径の少なくとも一方を制御する吸気制御器をさらに備え、
    前記制御器は、
    前記検知器で検知された前記超音波の特性に基づき、前記吸気制御器を制御して生成される前記気泡の量および前記気泡径の少なくとも一方を制御する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  6. 前記洗浄液は、酸化剤を含有する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  7. 前記洗浄物を保持する保持器と、
    前記制御器によって制御され、前記保持器に保持された前記洗浄物の前記洗浄槽内における位置を、前記超音波の進行方向と平行な方向、および前記超音波の進行方向と垂直な方向のうち、少なくともいずれか一方を含む方向に移動可能に制御する位置制御器と
    を有する洗浄物制御部をさらに備える
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  8. 前記制御器は、
    前記検知器で検知された前記超音波の特性に基づき、前記超音波の定在波の腹位置を検知し、
    前記保持器に保持された前記洗浄物の位置が前記腹位置となるように前記位置制御器を制御するとともに、前記超音波の出力を前記第1出力値に設定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
  9. 前記制御器は、
    前記検知器で検知された前記超音波の特性に基づき、前記超音波の定在波の節位置を検知し、
    前記保持器に保持された前記洗浄物の位置が前記節位置となるように前記位置制御器を制御するとともに、前記超音波の出力を前記第2出力値に設定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
  10. 前記洗浄液に付加された前記気泡の特性を検知する気泡検知器をさらに備え、
    前記制御器は、
    前記気泡検知器によって検知された前記気泡の特性に基づき、前記気泡発生器により生成される前記気泡の量および気泡径の少なくとも一方を制御する
    請求項5〜9のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  11. 前記洗浄液の液温を検知する温度検知器をさらに備え、
    前記制御器は、
    前記温度検知器によって検知された前記洗浄液の温度に基づき、前記洗浄液の温度を制御する
    請求項5〜10のいずれか一項に記載の洗浄装置。
  12. 洗浄液を貯留する洗浄槽内の前記洗浄液の液面と前記洗浄槽の底面との間に設置された洗浄物を、超音波を用いて洗浄する洗浄方法において、
    前記洗浄槽内に前記超音波を出力する超音波発生ステップと、
    気泡を発生し、前記気泡を前記洗浄液に付加する気泡発生ステップと、
    前記洗浄槽内に出力された前記超音波を検知する検知ステップと、
    気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値と、前記検知ステップによる前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定する出力値決定ステップと、
    前記超音波の出力値を、前記第1出力値に設定する第1設定ステップと、
    前記超音波の出力値を、前記第2出力値に設定する第2設定ステップと、
    前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡に対して出力する第1出力ステップと、
    前記検知ステップにおける検知結果に基づき、設定した前記第2出力値を前記第1出力値に切り替える切り替えステップと、
    前記第1出力値を有する前記超音波を前記洗浄物に対して出力する第2出力ステップと
    を有する
    洗浄方法。
  13. 処理槽で処理される被処理水を分離膜で分離する膜分離バイオリアクタにおいて、
    気泡を発生して前記分離膜に散気を行う散気器と、
    前記処理槽内に超音波を出力する超音波発生器と、
    前記処理槽内に出力された前記超音波を検知する検知器と、
    前記超音波の出力値を、気体性キャビテーションが生じる第1出力値と蒸気性キャビテーションが生じる第2出力値との間で切り替える制御を行う制御器と
    を備え、
    前記制御器は、
    前記第1出力値と前記第2出力値との境界値であるキャビテーション閾値を記憶し、
    前記キャビテーション閾値と前記検知器による前記超音波の検知値との比較結果に基づき、前記超音波の出力値を決定し、
    前記超音波発生器は、
    前記第2出力値を有する前記超音波を前記気泡に対して出力し、
    前記検知器の検出結果に基づいた前記制御器の制御に基づき、前記超音波の出力値を前記第2出力値から切り替え、前記第1出力値を有する前記超音波を前記分離膜に対して出力する
    膜分離バイオリアクタ。
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