JP5290398B2 - 超音波洗浄方法、及び超音波洗浄装置 - Google Patents
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Description
本発明は、洗浄液に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄方法、及び超音波洗浄装置に関する。「被洗浄物を洗浄する」とは、被洗浄物の表面に付着している除去対象物(汚染物)を除去することをいう。
従来から、被洗浄物が浸された洗浄液に超音波を照射して被洗浄物を洗浄する技術(以下、「超音波洗浄」と称呼する。)が広く知られている。超音波洗浄によれば、超音波の振動エネルギーが洗浄液に付与されることで、洗浄液中にてキャビテーションに起因する気泡が発生・破壊することによる衝撃波の発生、洗浄液の分子の加速、物理化学的反応の促進、という作用が奏される。この結果、被洗浄物の表面に付着している除去対象物が被洗浄物から除去される。以下、超音波洗浄を用いて得られる洗浄作用を、「超音波洗浄作用」と称呼し、上述の作用を「従来の超音波洗浄作用」とも称呼する。
他方、被洗浄物が浸された洗浄液中に気泡(特に、直径が100μm以下の気泡、マイクロバブルとも呼ばれる。)を供給して洗浄物を洗浄する技術(以下、「気泡洗浄」と称呼する。)も知られている。気泡洗浄によれば、気泡の表面への油分の付着、気泡が物理的な力により圧壊したときの衝撃力による除去対象物の剥離、という作用が奏される。この結果、除去対象物が被洗浄物から除去される。以下、気泡洗浄を用いて得られる洗浄作用を、「気泡洗浄作用」と称呼し、上述の作用を「従来の気泡洗浄作用」とも称呼する。
係る超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用して被洗浄物を効果的に洗浄するため、被洗浄物が浸された洗浄液内に気泡が存在している状態において洗浄液に超音波を照射することが考えられる。しかしながら、図13(a)に示すように、例えば、周波数が20kHz程度、且つ出力が25W(ワット)/L(リットル)程度の通常の超音波を照射すると、超音波の振動(波形)における腹部或いは節部に対応する洗浄液中の個所に気泡が集合し、集合した気泡が合体・浮上して気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する。換言すれば、洗浄液中の気泡の(気泡密度の)減少速度が極めて大きい。この結果、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することができない。ここで、照射された超音波の所謂「共振気泡径」よりも気泡径が小さい場合には気泡は腹部に集合し、「共振気泡径」よりも気泡径が大きい場合には気泡は節部に集合する傾向がある。
このため、特開2007−253120号公報(第1特許文献)では、被洗浄物が浸された洗浄液内に気泡が存在している状態において洗浄液に超音波を照射する場合において、上述した通常の超音波よりも強力な(具体的には振幅が大きい)超音波を照射する技術が記載されている。これにより、図13(b)に示すように、強力な超音波の振動エネルギーによって気泡が積極的に圧壊されてラジカルが発生し、このラジカルの作用により除去対象物(特に、汚染有機物等)が瞬時に分解・除去される、と記載されている。
また、特開2008−119642号公報(第2特許文献)にも、第1特許文献と同様、気泡を積極的に圧壊することで除去対象物を被洗浄物から除去することが記載されている。以上のように、第1、第2特許文献では、上述した超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することに代えて、気泡の積極的な圧壊に基づいて発生する新たな作用を用いて被洗浄物が洗浄される。
しかしながら、気泡の積極的な圧壊に基づく作用を利用して被洗浄物を洗浄する場合、気泡を圧壊させる位置(従って、超音波を照射する位置)を緻密に制御する必要がある、効果的に洗浄し得る領域が狭くて大型の被洗浄物を洗浄し難い、強力な超音波を照射する必要があり被洗浄物の表面がダメージを受けやすい、等の問題があった。
他方、被洗浄物が浸された洗浄液中に気泡(特に、直径が100μm以下の気泡、マイクロバブルとも呼ばれる。)を供給して洗浄物を洗浄する技術(以下、「気泡洗浄」と称呼する。)も知られている。気泡洗浄によれば、気泡の表面への油分の付着、気泡が物理的な力により圧壊したときの衝撃力による除去対象物の剥離、という作用が奏される。この結果、除去対象物が被洗浄物から除去される。以下、気泡洗浄を用いて得られる洗浄作用を、「気泡洗浄作用」と称呼し、上述の作用を「従来の気泡洗浄作用」とも称呼する。
係る超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用して被洗浄物を効果的に洗浄するため、被洗浄物が浸された洗浄液内に気泡が存在している状態において洗浄液に超音波を照射することが考えられる。しかしながら、図13(a)に示すように、例えば、周波数が20kHz程度、且つ出力が25W(ワット)/L(リットル)程度の通常の超音波を照射すると、超音波の振動(波形)における腹部或いは節部に対応する洗浄液中の個所に気泡が集合し、集合した気泡が合体・浮上して気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する。換言すれば、洗浄液中の気泡の(気泡密度の)減少速度が極めて大きい。この結果、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することができない。ここで、照射された超音波の所謂「共振気泡径」よりも気泡径が小さい場合には気泡は腹部に集合し、「共振気泡径」よりも気泡径が大きい場合には気泡は節部に集合する傾向がある。
このため、特開2007−253120号公報(第1特許文献)では、被洗浄物が浸された洗浄液内に気泡が存在している状態において洗浄液に超音波を照射する場合において、上述した通常の超音波よりも強力な(具体的には振幅が大きい)超音波を照射する技術が記載されている。これにより、図13(b)に示すように、強力な超音波の振動エネルギーによって気泡が積極的に圧壊されてラジカルが発生し、このラジカルの作用により除去対象物(特に、汚染有機物等)が瞬時に分解・除去される、と記載されている。
また、特開2008−119642号公報(第2特許文献)にも、第1特許文献と同様、気泡を積極的に圧壊することで除去対象物を被洗浄物から除去することが記載されている。以上のように、第1、第2特許文献では、上述した超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することに代えて、気泡の積極的な圧壊に基づいて発生する新たな作用を用いて被洗浄物が洗浄される。
しかしながら、気泡の積極的な圧壊に基づく作用を利用して被洗浄物を洗浄する場合、気泡を圧壊させる位置(従って、超音波を照射する位置)を緻密に制御する必要がある、効果的に洗浄し得る領域が狭くて大型の被洗浄物を洗浄し難い、強力な超音波を照射する必要があり被洗浄物の表面がダメージを受けやすい、等の問題があった。
本発明の目的は、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用して被洗浄物を効果的に洗浄し得る超音波洗浄方法、及び超音波洗浄装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明による超音波洗浄方法は、洗浄槽に貯留された洗浄液に超音波を照射する超音波照射手段と、(前記貯留された洗浄液をポンプにより循環させるとともに前記ポンプから吐出される洗浄液にガスを混ぜることで)前記貯留された洗浄液に気泡を供給する気泡供給手段とを使用して、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄方法である。ここで、「気泡」として、特に、平均直径が100μm以下のもの(所謂マイクロバブル)が想定される。また、被洗浄物の表面に付着していて洗浄により被洗浄物から除去される対象となる除去対象物として、厚さが(0.05μm以上且つ)5.00μm以下のものが想定される。
上記本発明による超音波洗浄方法の特徴は、前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz、キロヘルツ)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W、ワット)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L、リットル)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、前記超音波照射手段の作動が調整され、且つ、一定条件下にて前記貯留された洗浄液を撮影した画像について一定の処理を行って算出される洗浄液の輝度について、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの洗浄液の輝度に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での洗浄液の輝度の割合(後述するC5)が0.75以下となるように、前記気泡供給手段の作動が調整されることにある。前記超音波照射手段と前記気泡供給手段は、同時に作動開始されても、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段の一方が先に他方が後に作動開始されてもよい。
上記構成のように超音波の周波数及び出力、並びに、ポンプによる洗浄液の吐出状態を調整することで、超音波照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊の発生が抑制されることが判明した。これにより、超音波照射中において洗浄液中にて気泡を長時間に亘って残存させることができる。従って、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用でき、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。
加えて、上記構成における超音波の周波数及び出力の組み合わせでは、超音波の周波数が大きい値に調整されて超音波の振動エネルギーが十分に確保される一方で、且つ超音波の出力が小さい値に調整されて超音波の振幅が小さくされる。ここで、上述のように厚さが5.00μm以下と極めて薄い除去対象物が剛性の高い非洗浄物(基材)の表面に付着している場合、除去対象物に僅かな変位を与えるだけで除去対象物に亀裂を生じさせることができる。よって、上述のように超音波の振幅が小さくても、除去対象物に亀裂を生じさせ得、この亀裂を起点として除去対象物が被洗浄物から除去され得る。換言すれば、亀裂発生による新たな超音波洗浄作用を利用することで、従来の超音波洗浄作用を利用する上記文献に記載された装置のように大きな出力が要求されることなく、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。
上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記超音波照射手段により超音波が間欠的に照射されることが好適である。これによれば、超音波の照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊による気泡の消滅が間欠的に発生することになる。これにより、超音波が連続的に照射される場合に比して、洗浄液中の気泡(気泡密度)が減少し難くなり、気泡洗浄作用をより効果的に働かせることができる。
また、上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記洗浄液として、界面活性剤が加えられた液体が使用されることもある。洗浄液に界面活性剤が添加されると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される(詳細は後述する)。この結果、洗浄液中の初期の気泡の個数を増大させることができ、気泡洗浄作用を効果的に働かせることができる場合がある。
また、上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記洗浄液として、表面張力が30mN/m以上の液体が使用されることが好適である。また、前記除去対象物と前記洗浄液との接触角が90°以上であることが好適である。この場合、例えば、前記除去対象物としてのフッ素系化合物と、前記洗浄液としての水と、の組み合わせが採用され得る。
このように、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低いことは、除去対象物と洗浄液の接触面積を狭める方向に発生する力(即ち、除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の界面張力)が大きいことを意味する。換言すれば、気泡と除去対象物とは積極的に接触し合おうとする。そのため、気泡が浮力などの影響で移動しようとすると、気泡と除去対象物との界面には接触面積を維持する方向に力が発生する。この力により、除去対象物には気泡の移動に追従して除去対象物を移動させる力が作用する。このように、洗浄液の界面張力による(従来の気泡洗浄作用とは異なる)新たな気泡洗浄作用を利用することで、被洗浄物から除去対象物が剥離・除去され易くなり、被洗浄物が効果的に洗浄され得る。
また、上記本発明による超音波洗浄方法を利用して被洗浄物を洗浄する本発明による超音波洗浄装置は、洗浄液を貯留する洗浄槽と、上述したものと同じ超音波照射手段及び気泡供給手段とを備え、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄装置である。そして、前記超音波照射手段は、前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、作動するとともに、前記気泡供給手段は、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの上述した「洗浄液の輝度」に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での「洗浄液の輝度」の割合が0.75以下となるように、作動するように構成される。
上記目的を達成するための本発明による超音波洗浄方法は、洗浄槽に貯留された洗浄液に超音波を照射する超音波照射手段と、(前記貯留された洗浄液をポンプにより循環させるとともに前記ポンプから吐出される洗浄液にガスを混ぜることで)前記貯留された洗浄液に気泡を供給する気泡供給手段とを使用して、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄方法である。ここで、「気泡」として、特に、平均直径が100μm以下のもの(所謂マイクロバブル)が想定される。また、被洗浄物の表面に付着していて洗浄により被洗浄物から除去される対象となる除去対象物として、厚さが(0.05μm以上且つ)5.00μm以下のものが想定される。
上記本発明による超音波洗浄方法の特徴は、前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz、キロヘルツ)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W、ワット)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L、リットル)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、前記超音波照射手段の作動が調整され、且つ、一定条件下にて前記貯留された洗浄液を撮影した画像について一定の処理を行って算出される洗浄液の輝度について、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの洗浄液の輝度に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での洗浄液の輝度の割合(後述するC5)が0.75以下となるように、前記気泡供給手段の作動が調整されることにある。前記超音波照射手段と前記気泡供給手段は、同時に作動開始されても、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段の一方が先に他方が後に作動開始されてもよい。
上記構成のように超音波の周波数及び出力、並びに、ポンプによる洗浄液の吐出状態を調整することで、超音波照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊の発生が抑制されることが判明した。これにより、超音波照射中において洗浄液中にて気泡を長時間に亘って残存させることができる。従って、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用でき、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。
加えて、上記構成における超音波の周波数及び出力の組み合わせでは、超音波の周波数が大きい値に調整されて超音波の振動エネルギーが十分に確保される一方で、且つ超音波の出力が小さい値に調整されて超音波の振幅が小さくされる。ここで、上述のように厚さが5.00μm以下と極めて薄い除去対象物が剛性の高い非洗浄物(基材)の表面に付着している場合、除去対象物に僅かな変位を与えるだけで除去対象物に亀裂を生じさせることができる。よって、上述のように超音波の振幅が小さくても、除去対象物に亀裂を生じさせ得、この亀裂を起点として除去対象物が被洗浄物から除去され得る。換言すれば、亀裂発生による新たな超音波洗浄作用を利用することで、従来の超音波洗浄作用を利用する上記文献に記載された装置のように大きな出力が要求されることなく、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。
上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記超音波照射手段により超音波が間欠的に照射されることが好適である。これによれば、超音波の照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊による気泡の消滅が間欠的に発生することになる。これにより、超音波が連続的に照射される場合に比して、洗浄液中の気泡(気泡密度)が減少し難くなり、気泡洗浄作用をより効果的に働かせることができる。
また、上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記洗浄液として、界面活性剤が加えられた液体が使用されることもある。洗浄液に界面活性剤が添加されると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される(詳細は後述する)。この結果、洗浄液中の初期の気泡の個数を増大させることができ、気泡洗浄作用を効果的に働かせることができる場合がある。
また、上記本発明に係る超音波洗浄方法においては、前記洗浄液として、表面張力が30mN/m以上の液体が使用されることが好適である。また、前記除去対象物と前記洗浄液との接触角が90°以上であることが好適である。この場合、例えば、前記除去対象物としてのフッ素系化合物と、前記洗浄液としての水と、の組み合わせが採用され得る。
このように、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低いことは、除去対象物と洗浄液の接触面積を狭める方向に発生する力(即ち、除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の界面張力)が大きいことを意味する。換言すれば、気泡と除去対象物とは積極的に接触し合おうとする。そのため、気泡が浮力などの影響で移動しようとすると、気泡と除去対象物との界面には接触面積を維持する方向に力が発生する。この力により、除去対象物には気泡の移動に追従して除去対象物を移動させる力が作用する。このように、洗浄液の界面張力による(従来の気泡洗浄作用とは異なる)新たな気泡洗浄作用を利用することで、被洗浄物から除去対象物が剥離・除去され易くなり、被洗浄物が効果的に洗浄され得る。
また、上記本発明による超音波洗浄方法を利用して被洗浄物を洗浄する本発明による超音波洗浄装置は、洗浄液を貯留する洗浄槽と、上述したものと同じ超音波照射手段及び気泡供給手段とを備え、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄装置である。そして、前記超音波照射手段は、前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、作動するとともに、前記気泡供給手段は、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの上述した「洗浄液の輝度」に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での「洗浄液の輝度」の割合が0.75以下となるように、作動するように構成される。
図1は、本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法において使用される超音波洗浄装置の概略構成を示す図である。
図2は、図1に示す超音波洗浄装置にて洗浄される汚れた被洗浄物(基材)の一例を説明するための図である。
図3は、従来の超音波照射パターンと、本発明による超音波照射パターンとを比較しながら説明するための図である。
図4は、洗浄液に照射される超音波の周波数及び出力の組み合わせと、洗浄度との関係を示したグラフである。
図5は、洗浄液の輝度の算出に使用される画像を得るために洗浄液を撮影する際の様子を示した図である。
図6は、洗浄液の輝度の算出に使用される画像の様子を示した図である。
図7は、気泡供給装置の作動、及び超音波照射装置の作動による輝度比の推移の一例を示したグラフである。
図8は、超音波洗浄作用を説明するための図である。
図9は、気泡洗浄作用を説明するための図である。
図10は、本発明の実施形態の変形例に係る超音波洗浄方法により超音波を間欠的に照射した場合における洗浄液中の気泡数の推移の一例を示した図である。
図11は、界面活性剤の1分子を示す模式図である。
図12は、洗浄液に界面活性剤を添加することで、超音波照射中における洗浄液中の気泡の合体が抑制されることを説明するための図である。
図13は、従来の超音波照射パターンを説明するための図である。
図2は、図1に示す超音波洗浄装置にて洗浄される汚れた被洗浄物(基材)の一例を説明するための図である。
図3は、従来の超音波照射パターンと、本発明による超音波照射パターンとを比較しながら説明するための図である。
図4は、洗浄液に照射される超音波の周波数及び出力の組み合わせと、洗浄度との関係を示したグラフである。
図5は、洗浄液の輝度の算出に使用される画像を得るために洗浄液を撮影する際の様子を示した図である。
図6は、洗浄液の輝度の算出に使用される画像の様子を示した図である。
図7は、気泡供給装置の作動、及び超音波照射装置の作動による輝度比の推移の一例を示したグラフである。
図8は、超音波洗浄作用を説明するための図である。
図9は、気泡洗浄作用を説明するための図である。
図10は、本発明の実施形態の変形例に係る超音波洗浄方法により超音波を間欠的に照射した場合における洗浄液中の気泡数の推移の一例を示した図である。
図11は、界面活性剤の1分子を示す模式図である。
図12は、洗浄液に界面活性剤を添加することで、超音波照射中における洗浄液中の気泡の合体が抑制されることを説明するための図である。
図13は、従来の超音波照射パターンを説明するための図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法(超音波洗浄装置)について説明する。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法において使用される超音波洗浄装置の概略構成を示す。洗浄槽10内には、洗浄液が貯留されている。洗浄液としては、例えば、水、溶剤、代替フロン等が使用され得る。この実施形態では、洗浄液として、特に、表面張力が70mN/m以上と大きい「水」が想定される。
洗浄槽10には、仕切り板11が設けられている。この仕切り板11により、洗浄槽10内は、第1室R1と第2室R2とに区画されている。第1室R1は、被洗浄物である汚れた基材を収容・固定して基材を洗浄液中に浸すための空間(実質的な洗浄槽)である。
仕切り板11の第2室R2側にはフィルタ12が設けられている。第1室R1側から仕切り板11の上面を通って溢れ出た洗浄液は、フィルタ12により濾過された後に第2室R2内に貯留されるようになっている。即ち、第2室R2は、第1室R1内において汚れた基材から除去された除去対象物等が濾過により取り除かれた後のきれいな洗浄液を貯留するための空間である。
気泡供給装置20は、周知の構成の1つ(具体的には、旋回流式)から構成されていて、第2室R2に接続された吸入管21を介してポンプにより第2室R2から洗浄液を吸入し、吸入されたポンプ内の洗浄液内にガス(例えば、酸素、窒素、オゾン)を混入する。以下、ガスが混入された洗浄液を「ガス混合洗浄液」とも称呼する。そして、ポンプ内では、加圧によりガス混合洗浄液の流れが直線流から旋回流へと変換される。この変換によりガス混合洗浄液に発生する遠心力、圧力変動等に起因してガス混合洗浄液の衝突・分散が生じ、この衝突・分散により気泡が生成される。気泡が含まれるガス混合洗浄液は、第1室R1に接続された供給管22を介してポンプにより第1室R1に吐出される。これにより、洗浄液が循環されることに伴って、第1室R1内の洗浄液に気泡が供給されるようになっている。このように、気泡供給装置20として旋回流式が採用されているのは、気泡の連続供給が容易なためである。気泡供給装置20の他の例としては、スタティックミキサー式、加圧溶解式、ベンチュリー式、微細な気孔を用いる方法等が挙げられる。
気泡供給装置20により生成される気泡の平均直径(平均気泡径)は、100μm以下であり、この気泡は「マイクロバブル」とも呼ばれる。気泡供給装置20は、ポンプによる洗浄液の単位時間当たりの吐出量(洗浄液の循環流量)、及び、混入されるガスの単位時間当たりの量(ガスの混入流量)を調整できるようになっている。
ここで、気泡の直径の測定について付言する。本例では、気泡供給装置20が作動している状態において洗浄槽10内に作製されたスリット部に気泡が導入された。このようにスリット部に導入された洗浄液がマイクロスコープで撮影され、50枚の画像が取得された。これらの画像から気泡の直径が測定された。測定された気泡の数は約400個であった。測定可能な最小気泡径は約10μmであり、測定された気泡のうち97%は、直径が100μm以下であった。測定された気泡の直径がヒストグラム化され、累積頻度が50%となる気泡の直径が平均気泡径として採用された。また、累積頻度が95%となる気泡の直径が最大気泡径として採用された。本例において、平均気泡径が38μmで、最大気泡径が89μmであった。
超音波照射装置30は、周知の構成の1つから構成された超音波振動子であり、第1室R1の底面に配置されている。超音波照射装置30は、第1室R1の底面に超音波振動を付与するようになっている。これにより、第1室R1内の洗浄液に超音波が照射されるようになっている。超音波照射装置30は、第1室R1内の洗浄液に照射する超音波の周波数、及び出力を調整できるとともに、超音波を連続的にも間欠的にも照射できるようになっている。
この実施形態では、被洗浄物である汚れた基材として、図2に示すように、セラミック、或いは樹脂からなる成形物の成形に使用された後の板状の成形型が使用される。より具体的に述べると、図2(a)に示す板状の基材の表面(成形面)に、図2(b)に示すように、離型剤が塗布される。離型剤としては、フッ素系化合物等が使用され得る。
図2(c)に示すように、成形面に離型剤が塗布された2枚の基材が互いの成形面が所定距離離れて対向するように固定配置されて、成形空間が形成される。この成形空間内に成形物(セラミック、或いは樹脂からなる)の前駆体であるスラリーが注入され、スラリーが固化・乾燥される。これにより、成形空間に成形物が形成される。図2(d)に示すように、形成された成形物から2枚の基材が離型されて、成形物(製品)が得られる。
このとき、基材の成形面は、離型剤や、成形物の一部が付着していることで汚れている。このように基材の成形面に付着している離型剤由来、或いは成形物由来の固形物が、除去対象物として、基材から洗浄・除去される。除去対象物が除去された後のきれいな基材は、上述した成形物の成形用の成形型として再び使用される。
この実施形態では、除去対象物として、特に、基材の成形面に付着している厚さが5.00μm以下の極めて薄い離型剤由来のフッ素系化合物が想定される。除去対象物がフッ素系化合物からなり、洗浄液として水が使用される場合、除去対象物と洗浄液との接触角が110°以上となり、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低くなる。これにより、上述した新たな気泡洗浄作用が発揮され易くなる。この点については後に詳述する。
なお、除去対象物として、フッ素系化合物以外にも、シリコン系化合物、アクリル系化合物、ウレタン系化合物、セラミック粉末などが挙げられる。除去対象物が成形物由来の固形物(成形体残渣)の場合、除去対象物が細かな粒形状となる場合がある。この場合、超音波洗浄により除去対象物に亀裂が発生しない(即ち、上述した新たな超音波洗浄作用が発揮されない)。一方、除去対象物と基材(被洗浄物)との接触面積が小さいため、主として上述した新たな気泡洗浄作用により、除去対象物を基材から剥離・除去することが可能となる。この場合、粒の直径が除去対象物の厚さに相当する。なお、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用については後に詳述する。
(本発明による超音波の周波数及び出力の制御、並びに、ガス混合洗浄液の吐出制御)
上述したように、周波数が20kHz程度、且つ出力が25W(ワット)/L(リットル)程度の通常の超音波を照射すると、洗浄液中の気泡が集合し、集合した気泡が合体・浮上して、気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する(図3(a)を参照)。また、上述したように、上記通常の超音波よりも強力な(具体的には振幅が大きい)超音波を照射すると、気泡が積極的に圧壊されて、気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する(図3(b)を参照)。
このように、従来の超音波照射パターンをもって超音波を照射すると、洗浄液中の気泡の(気泡密度の)減少速度が極めて大きい。この結果、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することができない。なお、この実施形態では、気泡密度とは、「(第1室R1内の)洗浄液全体の体積」に対する、「(第1室R1内の)洗浄液内に存在する気泡の体積の総和」の割合を意味する。
これに対し、この実施形態では、超音波の周波数をf(kHz)とし、超音波の出力(W)を洗浄槽10の第1室R1に貯留された洗浄液の量(L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(W/L)としたとき、下記(1)式が成立するように、超音波照射装置30により照射される超音波の周波数及び出力の組み合わせが調整される。これにより、図3(c)に示すように、超音波の周波数が上記通常の超音波の周波数よりも十分に高く調整される。加えて、超音波の出力が小さくされることで、超音波の振動(波形)における振幅が上記通常の超音波の振幅よりも十分に小さくされる。
0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5 …(1)
加えて、この実施形態では、洗浄液の気泡密度を表す指標として導入される「輝度比C」の値「C5」(詳細は後述)が0.75以下となるように、気泡供給装置20により吐出されるガス混合洗浄液の吐出状態が調整される。
このように、超音波の周波数及び出力、並びに、ポンプから吐出されるガス混合洗浄液の吐出状態を調整することで、超音波照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊の発生が抑制されることが判明した。これにより、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用でき、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。以下、このことを確認するために行った実験、及びその結果について説明する。
(実験1)
実験1では、気泡洗浄のみが行われ、気泡洗浄作用が評価された。
<成形>
実験1では、2枚のガラス製の板状基材の表面(成型面、平面)のそれぞれに、離型剤(フッ素系化合物)が厚さ0.50μmになるように塗布された。各成形面が対向するように配置された2枚の基材の間にスペーサが介装されて、各成形面とスペーサとで画定された成形空間が形成された。この成形空間内にスラリーが注入され、そのスラリーの固化・乾燥により、成形空間内に成形体が形成された。この成形体が、2枚の基材から離型された。離型後の各基材には離型剤由来のフッ素系化合物が付着したままであり、その厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。その厚さはレーザー顕微鏡を用いて測定された。同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対しても行われた。この場合も、離型後の各基材には、厚さ0.50μmの離型剤由来のフッ素系化合物が付着したままであった。このように離型剤(即ち、除去対象物)が付着した状態にある汚れた基材が被洗浄物として使用された。
<洗浄>
洗浄槽10が、20Lの洗浄液(イオン交換水)で満たされた。洗浄液の温度は27℃で一定に調整された。第1室R1の容量は10Lであった。満たされた洗浄液はポンプにより循環させられた。洗浄液の循環流量は10L/minであり、ガス(酸素)の混入流量は0.5L/minであった。この条件にて、洗浄層10の第1室R1内に気泡が供給された。気泡発生法としては、上述のように周知の旋回流式が採用された。平均気泡径は38μmであった。この条件にて気泡が供給されている状態において、第1室R1内に被洗浄物が30秒間浸漬されて洗浄された。洗浄後、被洗浄物がレーザー顕微鏡を用いて観察された。その結果、を表1に示す。
表1に示すように、ガラス製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせの場合、成形面の表面積の約60%において除去対象物が除去された。一方、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせの場合、除去対象物が全く除去され得なかった。以上のように、気泡洗浄のみでは、十分な洗浄作用が得られなかった。
(実験2)
実験2では、超音波洗浄のみが行われ、超音波洗浄作用が評価された。
<成形>
実験2では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対してのみ行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=フッ素系化合物)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験2でも、実験1と同じ条件で洗浄液が洗浄層10に満たされた。ポンプにより循環される洗浄液中にガスが混入されない状態(即ち、気泡が供給されない状態)で、第1室R1内に被洗浄物が浸漬された。そして、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。照射された超音波の周波数(一定)及び出力(一定)の組み合わせは、表2に示すようであった。実験2の結果を表2に示す。
表2に示すように、出力が600,1200Wで周波数が28,45kHzの組み合わせの場合、成形面の表面積の約40%において除去対象物が除去された。一方、その他の組み合わせの場合、除去対象物が殆ど除去され得なかった。以上のように、超音波洗浄のみでも、十分な洗浄作用が得られなかった。
(実験3)
実験3では、気泡洗浄と超音波洗浄が共に行われ、気泡洗浄作用と超音波洗浄作用との組み合わせが評価された。
<成形>
実験3では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対してのみ行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=フッ素系化合物)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験3では、第1室R1内に被洗浄物が浸漬され、実験1と同じ条件(洗浄液の循環流量:10L/min、ガスの混入流量:0.5L/min)で気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。照射された超音波の周波数(一定)及び出力(一定)の組み合わせは、実験2と同じとされた。実験3の結果を、表3、及び図4に示す。
表3に示すように、出力が100Wで周波数が200,750kHz、出力が200Wで周波数が750,1000kHz、出力が600Wで周波数が750,1000,2000kHz、出力が1200Wで周波数が2000kHzの組み合わせの場合、成形面のほぼ全域に亘って除去対象物が除去された。出力が600,1200Wで周波数が28,45kHzの組み合わせの場合、成形面の表面積の約40%において除去対象物が除去された。この場合、超音波の照射開始後、気泡が即座に消滅したことを鑑みると、この洗浄効果は、超音波洗浄作用による。一方、その他の組み合わせの場合、除去対象物が殆ど除去され得なかった。
図4に示すように、「P>0.09f−7.5」が成立する領域では、気泡が即座に消滅した。即ち、気泡の合体、圧壊の発生が顕著であった。この結果、気泡洗浄作用が殆ど得られず、十分な洗浄作用が得られなかった。これは、超音波の周波数に対する出力が大き過ぎた(従って、超音波の振幅が大き過ぎた)ことに基づくと考えられる。
一方、「P<0.04f−20.0」が成立する領域では、超音波の照射開始後、継続的に気泡が十分に残存していた。即ち、気泡の合体、圧壊は殆ど発生しなかった。しかしながら、超音波洗浄作用が十分に得られず、十分な洗浄作用が得られなかった。これは、超音波の周波数に対する出力が小さ過ぎた(従って、超音波の振幅が小さ過ぎた)ことに基づくと考えられる。
これに対し、上記(1)式が成立する領域(超音波の周波数及び出力の組み合わせ)では、超音波の照射開始後において継続的に気泡が十分に残存していたことに加え、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とが同時に活用され得、被洗浄物を効果的に洗浄することができた。
以上、超音波の周波数及び出力の組み合わせの観点から、被洗浄物を効果的に洗浄し得る条件が考察された。これに加えて、この実験3では、洗浄液の気泡密度の観点からも、被洗浄物を効果的に洗浄し得る条件が考察された。
洗浄液内の気泡密度が直接的に計測し難いことを考慮して、洗浄液内の気泡密度を表す指標として、輝度比Cが導入された。或る時点における輝度比Cとは、第1室R1に貯留された洗浄液内に気泡が存在していないときの洗浄液の「輝度」に対する、その時点での洗浄液の「輝度」の割合(≦1)である。「輝度」とは、一定条件下にて第1室R1内の洗浄液(貯留された洗浄液)を撮影した画像について一定の処理を行って算出される。
本例では、図5、図6に示すように、遮光率99%の暗幕で覆われた暗室の中で、厚さ2cmのアクリル製の洗浄槽10(第1室R1の底面形状:20×20cm、第1室R1内の液深:25cm)が、所定の位置に配置された周知のバックライト照射装置(照射領域:50×38cm、明るさ:6000cd/m2)を用いて照射された。なお、図5、6では、説明の便宜上、第2室R2の記載が省略されている。この状態で、洗浄槽(従って、洗浄液)の所定の領域(13×10cm)が、周知のデジタルカメラを用いて撮影された。撮影により得られる画像のサイズは、2048×1536ピクセルに設定された。その画像内の複数の画素の輝度値(1〜255の階調を有する)の平均値が、「輝度」として採用された。輝度比Cは、洗浄液内の気泡密度の尺度として使用され得る。輝度比Cが小さいほど、洗浄液中の気泡密度が大きいことを意味する。
図7は、上記(1)式が成立する領域内に対応する超音波の周波数及び出力の或る組み合わせについての輝度比Cの推移の一例を示す。気泡洗浄装置20と超音波照射装置30とが共に作動している状態が開始された時点からの経過時間をt(秒)とする。図7に示すように、気泡洗浄装置20と超音波照射装置30とが同時に作動開始される場合も、何れか一方が先に他方が後に作動開始される場合も、t=5では既に輝度比Cが安定している。これは、t=5では既に、気泡の合体等の程度が安定していることに基づくと考えられる。従って、t=5での輝度比C(以下、「C5」と称呼する。)が洗浄液内の気泡密度を表す具体的な指標として採用された。
このC5の値が、表3に示した超音波の周波数及び出力の各組み合わせに対してそれぞれ計測された。この結果を表3に示す。表3に示すように、上記(1)式が成立する領域(即ち、洗浄度が○の領域)では、C5≦0.75が成立していた。この結果から、C5≦0.75が成立すれば、洗浄液内に気泡が十分に存在して気泡洗浄作用が十分に発揮され得ると考えることができる。また、t≧5では、輝度比Cが安定することを考慮すると、tが5秒〜所定値(例えば、10秒)の間での輝度比Cが0.75以下で推移すれば、洗浄液内に気泡が十分に存在して気泡洗浄作用が十分に発揮され得ると考えることもできる。
(実験4)
実験4では、上記(1)式が成立し、且つ、C5≦0.75が成立する状態に対して、除去対象物(離型剤)に対する洗浄液(イオン交換水)の接触角が評価された。
<成形>
実験4では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤(洗浄液の接触角:110°)との組み合わせと、ジュラルミン製の基材と炭化水素系化合物(洗浄液の接触角:60°)の離型剤との組み合わせとに対して行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=離型剤)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験4では、上記(1)式が成立する領域内の代表として、出力が100Wで周波数が750kHzの組み合わせが選択された。そして、これらの組み合わせのみについて、実験3と同様、洗浄液の循環流量が10L/minで、ガスの混入流量が0.5L/minで気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。実験4の結果を表4に示す。
表4に示すように、除去対象物が、洗浄液との接触角が110°であるフッ素系化合物の場合、成形面のほぼ全域に亘って除去対象物が除去された。一方、除去対象物が、洗浄液との接触角が60°である炭化水素系化合物の場合、除去対象物が殆ど除去され得なかった。以上より、上記(1)式が成立し、且つ、C5≦0.75が成立する状態に対して、除去対象物に対する洗浄液の接触角が90°以上(特に、110°以上)の場合、特に、被洗浄物を効果的に洗浄することができることが判明した。
(実験5)
実験5では、上記(1)式が成立し、且つ、C5≦0.75が成立する状態に対して、除去対象物(離型剤)の厚さが評価された。
<成形>
実験5では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせのみに対して、離型剤の塗布厚さを変更しながら行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=離型剤)の厚さは、塗布厚さと同じであった。
<洗浄>
実験5では、実験4と同様、出力が100Wで周波数が750kHzの組み合わせが選択された。そして、これらの組み合わせのみについて、実験3と同様、洗浄液の循環流量が10L/minで、ガスの混入流量が0.5L/minで気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。実験5の結果を表5に示す。
表5に示すように、除去対象物の厚さが5.00μm以下の場合、成形面のほぼ全域に亘って除去対象物が除去された。一方、除去対象物の厚さが10.00μmの場合、除去対象物が殆ど除去され得なかった。以上より、上記(1)式、(2)式が成立する領域内に対して、除去対象物の厚さが5.00μm以下の場合、特に、被洗浄物を効果的に洗浄することができることが判明した。
以下、背景技術の欄で述べた従来の超音波洗浄作用とは異なる本実施形態に基づく新たな超音波洗浄作用、並びに、背景技術の欄で述べた従来の気泡洗浄作用とは異なる本実施形態に基づく新たな気泡洗浄作用について詳述する。
(新たな超音波洗浄作用)
図8(a)に示すように、基材の表面に薄い除去対象物が付着している場合を想定する。この場合において、除去対象物に超音波による振動エネルギーが与えられると、図8(b)に示すように、除去対象物に亀裂が形成され得る。この作用を「新たな超音波洗浄作用」と呼ぶ。なお、除去対象物の厚さが5.00μm以下と小さい場合、除去対象物に亀裂が発生し易い。従って、この実施形態のように超音波の振幅が小さくても、除去対象物に亀裂が確実に形成され得る。
新たな超音波洗浄作用により除去対象物に亀裂が形成されると、図8(c)に示すように、この亀裂を起点として、超音波の振動エネルギーそのもの(即ち、洗浄液中の圧力変動そのもの)により、除去対象物が基材から剥離される作用が生じる場合もある。このようにして、新たな超音波洗浄作用のみにより、基材が洗浄され得、除去対象物が基材から除去される場合もある。
(新たな気泡洗浄作用)
図9(a)に示すように、基材の表面に付着している薄い除去対象物に亀裂が形成されている場合を想定する。この亀裂は、新たな超音波洗浄作用により形成されたものであってもその他の原因で形成されたものであってもよい。
図9(b)に示すように、除去対象物の亀裂を介して除去対象物と基材との界面に気泡が侵入すると、除去対象物の被洗浄物に対する付着力が低下して、除去対象物が基材から剥離される作用が生じる。
更には、表面張力が70mN/m以上と大きい「水」が洗浄液として使用され、且つ、フッ素系化合物が除去対象物として使用される場合等、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低い場合(例えば、除去対象物と洗浄液との接触角(図9(c)の接触角θを参照)が90°以上の場合)、除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の大きな界面張力に主に起因して、除去対象物と洗浄液と気泡(即ち、3相)の配置が決定される。この結果、図9(c)に示すように、除去対象物に気泡が付着し易くなり、除去対象物と洗浄液と気泡(即ち、3相)が互いに接触する状態が発生し得る。
この状態において、気泡に作用する浮力等に起因して、気泡に対して除去対象物から離れる方向の力が作用して気泡が移動しようとする。この力は、除去対象物と洗浄液との界面面積を増大する方向に作用する。このとき、上述した「除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の大きな界面張力」に起因して、その界面面積の増大が阻止されるように、除去対象物に対して気泡の移動方向に追従する方向の力が作用する。この力が除去対象物を基材から剥離する剥離力(図9(c)の白い矢印を参照)として働き、この剥離力に起因して除去対象物が基材から剥離される作用が生じる。
図9(b)、或いは、図9(c)に示す作用により除去対象物が基材から剥離された後もなお、図9(d)に示すように、図9(c)に示す原理と同じ原理に基づいて、除去対象物には上述した「気泡の移動方向に追従する方向の力」が作用し続ける(図中の白い矢印を参照)。従って、浮力により気泡が浮上していくのに追従して除去対象物も、気泡と接触を保ちながら浮上していく。
これにより、基材から剥離された後の除去対象物は水面に浮上し、溢れ出た洗浄液と共にフィルタ12で濾過されることにより容易に回収される。よって、第1室R1の洗浄液は除去対象物に汚染され難い。また、回収された除去対象物を再利用することも可能な場合がある。
このように、図9(b)、或いは、図9(c)に示す作用により除去対象物が基材から剥離され、図9(d)に示すように除去対象物が気泡と共に浮上して基材から除去される作用を、「新たな気泡洗浄作用」と呼ぶ。このように、新たな気泡洗浄作用によって、除去対象物の亀裂を起点として、除去対象物が被洗浄物から剥離・除去され得る。
以上のように、上述した実施形態では、新たな超音波洗浄作用により、主として除去対象物に亀裂が形成され、新たな気泡洗浄作用により、その亀裂を起点として除去対象物が被洗浄物から剥離・除去され得る。上述した実施形態では、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用とが同時に作用し得るから、「亀裂の形成」→「その亀裂を起点とする除去対象物の剥離・除去」という流れがスムーズに形成され得る。この結果、超音波洗浄作用が単独で作用する場合、或いは、気泡洗浄作用が単独で作用する場合に比して、被洗浄物である基材を効果的に洗浄することができる。
上述した新たな気泡洗浄作用は、気泡径が100μmよりも大きい場合でも働く。しかしながら、気泡径の増大につれて、気泡の浮上速度が大きくなる。これにより、気泡が洗浄液中に滞在し難くなるため、新たな気泡洗浄作用が十分に得られ難くなる。これに対し、この実施形態のように、気泡径が100μm以下と小さい場合、気泡が除去対象物に付着する機会が多くなり、この結果、新たな気泡洗浄作用が効果的に働く。
なお、除去対象物がフッ素系化合物以外の材質からなる場合、洗浄液として表面張力が小さい液体が使用される場合等、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が高い場合(具体的には、除去対象物に対する洗浄液の接触角が90°以下の場合)、気泡が除去対象物に付着し難くなり、この結果、新たな気泡洗浄作用が十分に働かない。なお、従来の気泡洗浄作用(具体的には、気泡の表面への油分の付着作用等)は発揮され得る。
以上、本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法(超音波洗浄装置)について説明した。なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、超音波照射が連続的に実行されている。これに対し、超音波照射を間欠的に実行してもよい。
この場合、図10の時刻t1以降に示すように、超音波照射を周期的に実行することが好ましい。具体的には、超音波照射パターンの一例として、例えば、周期Tが1秒で、1周期あたりの超音波照射期間Aが0.2秒となるパターンが採用され得る。
このように、超音波照射を間欠的とすることで、超音波の照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊による気泡の消滅も間欠的に発生する。これにより、超音波が連続的に照射される場合に比して、洗浄液中の気泡数(気泡密度)が減少し難くなり、新たな気泡洗浄作用をより効果的に働かせることができる。
特に、図10に示すように、超音波照射パターンの1周期が経過する毎の洗浄液中の気泡密度が略一定に維持されるように、超音波照射パターン、及び、気泡供給装置20のポンプによるガス混合洗浄液の吐出状態が調整されている場合、洗浄液中の気泡密度が1周期の経過毎に次第に減少していかない。従って、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用とが同時に作用し得る期間を長くすることができる。
また、上記実施形態において、洗浄液として、界面活性剤が加えられた液体が使用されてもよい。洗浄液に界面活性剤が添加されると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される。以下、この点について説明する。
<合体の抑制>
図11に示すように、界面活性剤の各分子は、親水基と疎水基とを有する。気泡が存在する洗浄液中に界面活性剤が添加されると、界面活性剤の疎水基が洗浄液(水)の存在しない位置に移動する作用が働く。この結果、図12に示すように、各気泡の表面に界面活性剤の分子の疎水基が集合する。これにより、各気泡の外周面は、界面活性剤の親水基で覆われた状態となる。ここで、親水基同士は同じ種類の電荷を有しているから、互いに反発しあう。この結果、気泡同士が反発しあうから、上述した気泡の集合・合体が抑制される。
<気泡の小径化>
一般に、径の安定した気泡について、下記(2)式が成立する。(2)式は、ヤング・ラプラス(Young−Laplace)の式と呼ばれる。(2)式において、ΔPは気泡の内外の圧力差、γは液体(洗浄液)の表面張力、dは気泡径である。
ΔP=(4・γ)/d …(2)
界面活性剤は、添加された液体(洗浄液)の表面張力を低下させる作用を発揮する。従って、同じ圧力条件ΔPの下、界面活性剤の添加により洗浄液の表面張力が低下すると、気泡径が小さくなる。
以上のように、洗浄液に界面活性剤を添加すると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される。このことは、洗浄液中の初期の気泡の個数(気泡密度)が増大することを意味する。この結果、気泡が除去対象物に付着する機会が多くなり、新たな気泡洗浄作用がより効果的に働く。なお、洗浄液に界面活性剤を添加すると、洗浄液の表面張力が低下することに起因して各気泡による新たな気泡洗浄作用が低下する。しかしながら、上述のように、気泡個数の増大により気泡が除去対象物に付着する機会が多くなることで、新たな洗浄作用がより効果的に働く場合もあると考えられる。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法において使用される超音波洗浄装置の概略構成を示す。洗浄槽10内には、洗浄液が貯留されている。洗浄液としては、例えば、水、溶剤、代替フロン等が使用され得る。この実施形態では、洗浄液として、特に、表面張力が70mN/m以上と大きい「水」が想定される。
洗浄槽10には、仕切り板11が設けられている。この仕切り板11により、洗浄槽10内は、第1室R1と第2室R2とに区画されている。第1室R1は、被洗浄物である汚れた基材を収容・固定して基材を洗浄液中に浸すための空間(実質的な洗浄槽)である。
仕切り板11の第2室R2側にはフィルタ12が設けられている。第1室R1側から仕切り板11の上面を通って溢れ出た洗浄液は、フィルタ12により濾過された後に第2室R2内に貯留されるようになっている。即ち、第2室R2は、第1室R1内において汚れた基材から除去された除去対象物等が濾過により取り除かれた後のきれいな洗浄液を貯留するための空間である。
気泡供給装置20は、周知の構成の1つ(具体的には、旋回流式)から構成されていて、第2室R2に接続された吸入管21を介してポンプにより第2室R2から洗浄液を吸入し、吸入されたポンプ内の洗浄液内にガス(例えば、酸素、窒素、オゾン)を混入する。以下、ガスが混入された洗浄液を「ガス混合洗浄液」とも称呼する。そして、ポンプ内では、加圧によりガス混合洗浄液の流れが直線流から旋回流へと変換される。この変換によりガス混合洗浄液に発生する遠心力、圧力変動等に起因してガス混合洗浄液の衝突・分散が生じ、この衝突・分散により気泡が生成される。気泡が含まれるガス混合洗浄液は、第1室R1に接続された供給管22を介してポンプにより第1室R1に吐出される。これにより、洗浄液が循環されることに伴って、第1室R1内の洗浄液に気泡が供給されるようになっている。このように、気泡供給装置20として旋回流式が採用されているのは、気泡の連続供給が容易なためである。気泡供給装置20の他の例としては、スタティックミキサー式、加圧溶解式、ベンチュリー式、微細な気孔を用いる方法等が挙げられる。
気泡供給装置20により生成される気泡の平均直径(平均気泡径)は、100μm以下であり、この気泡は「マイクロバブル」とも呼ばれる。気泡供給装置20は、ポンプによる洗浄液の単位時間当たりの吐出量(洗浄液の循環流量)、及び、混入されるガスの単位時間当たりの量(ガスの混入流量)を調整できるようになっている。
ここで、気泡の直径の測定について付言する。本例では、気泡供給装置20が作動している状態において洗浄槽10内に作製されたスリット部に気泡が導入された。このようにスリット部に導入された洗浄液がマイクロスコープで撮影され、50枚の画像が取得された。これらの画像から気泡の直径が測定された。測定された気泡の数は約400個であった。測定可能な最小気泡径は約10μmであり、測定された気泡のうち97%は、直径が100μm以下であった。測定された気泡の直径がヒストグラム化され、累積頻度が50%となる気泡の直径が平均気泡径として採用された。また、累積頻度が95%となる気泡の直径が最大気泡径として採用された。本例において、平均気泡径が38μmで、最大気泡径が89μmであった。
超音波照射装置30は、周知の構成の1つから構成された超音波振動子であり、第1室R1の底面に配置されている。超音波照射装置30は、第1室R1の底面に超音波振動を付与するようになっている。これにより、第1室R1内の洗浄液に超音波が照射されるようになっている。超音波照射装置30は、第1室R1内の洗浄液に照射する超音波の周波数、及び出力を調整できるとともに、超音波を連続的にも間欠的にも照射できるようになっている。
この実施形態では、被洗浄物である汚れた基材として、図2に示すように、セラミック、或いは樹脂からなる成形物の成形に使用された後の板状の成形型が使用される。より具体的に述べると、図2(a)に示す板状の基材の表面(成形面)に、図2(b)に示すように、離型剤が塗布される。離型剤としては、フッ素系化合物等が使用され得る。
図2(c)に示すように、成形面に離型剤が塗布された2枚の基材が互いの成形面が所定距離離れて対向するように固定配置されて、成形空間が形成される。この成形空間内に成形物(セラミック、或いは樹脂からなる)の前駆体であるスラリーが注入され、スラリーが固化・乾燥される。これにより、成形空間に成形物が形成される。図2(d)に示すように、形成された成形物から2枚の基材が離型されて、成形物(製品)が得られる。
このとき、基材の成形面は、離型剤や、成形物の一部が付着していることで汚れている。このように基材の成形面に付着している離型剤由来、或いは成形物由来の固形物が、除去対象物として、基材から洗浄・除去される。除去対象物が除去された後のきれいな基材は、上述した成形物の成形用の成形型として再び使用される。
この実施形態では、除去対象物として、特に、基材の成形面に付着している厚さが5.00μm以下の極めて薄い離型剤由来のフッ素系化合物が想定される。除去対象物がフッ素系化合物からなり、洗浄液として水が使用される場合、除去対象物と洗浄液との接触角が110°以上となり、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低くなる。これにより、上述した新たな気泡洗浄作用が発揮され易くなる。この点については後に詳述する。
なお、除去対象物として、フッ素系化合物以外にも、シリコン系化合物、アクリル系化合物、ウレタン系化合物、セラミック粉末などが挙げられる。除去対象物が成形物由来の固形物(成形体残渣)の場合、除去対象物が細かな粒形状となる場合がある。この場合、超音波洗浄により除去対象物に亀裂が発生しない(即ち、上述した新たな超音波洗浄作用が発揮されない)。一方、除去対象物と基材(被洗浄物)との接触面積が小さいため、主として上述した新たな気泡洗浄作用により、除去対象物を基材から剥離・除去することが可能となる。この場合、粒の直径が除去対象物の厚さに相当する。なお、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用については後に詳述する。
(本発明による超音波の周波数及び出力の制御、並びに、ガス混合洗浄液の吐出制御)
上述したように、周波数が20kHz程度、且つ出力が25W(ワット)/L(リットル)程度の通常の超音波を照射すると、洗浄液中の気泡が集合し、集合した気泡が合体・浮上して、気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する(図3(a)を参照)。また、上述したように、上記通常の超音波よりも強力な(具体的には振幅が大きい)超音波を照射すると、気泡が積極的に圧壊されて、気泡が洗浄液中から瞬時に消滅する現象が発生する(図3(b)を参照)。
このように、従来の超音波照射パターンをもって超音波を照射すると、洗浄液中の気泡の(気泡密度の)減少速度が極めて大きい。この結果、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用することができない。なお、この実施形態では、気泡密度とは、「(第1室R1内の)洗浄液全体の体積」に対する、「(第1室R1内の)洗浄液内に存在する気泡の体積の総和」の割合を意味する。
これに対し、この実施形態では、超音波の周波数をf(kHz)とし、超音波の出力(W)を洗浄槽10の第1室R1に貯留された洗浄液の量(L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(W/L)としたとき、下記(1)式が成立するように、超音波照射装置30により照射される超音波の周波数及び出力の組み合わせが調整される。これにより、図3(c)に示すように、超音波の周波数が上記通常の超音波の周波数よりも十分に高く調整される。加えて、超音波の出力が小さくされることで、超音波の振動(波形)における振幅が上記通常の超音波の振幅よりも十分に小さくされる。
0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5 …(1)
加えて、この実施形態では、洗浄液の気泡密度を表す指標として導入される「輝度比C」の値「C5」(詳細は後述)が0.75以下となるように、気泡供給装置20により吐出されるガス混合洗浄液の吐出状態が調整される。
このように、超音波の周波数及び出力、並びに、ポンプから吐出されるガス混合洗浄液の吐出状態を調整することで、超音波照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊の発生が抑制されることが判明した。これにより、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とを同時に活用でき、被洗浄物を効果的に洗浄することができる。以下、このことを確認するために行った実験、及びその結果について説明する。
(実験1)
実験1では、気泡洗浄のみが行われ、気泡洗浄作用が評価された。
<成形>
実験1では、2枚のガラス製の板状基材の表面(成型面、平面)のそれぞれに、離型剤(フッ素系化合物)が厚さ0.50μmになるように塗布された。各成形面が対向するように配置された2枚の基材の間にスペーサが介装されて、各成形面とスペーサとで画定された成形空間が形成された。この成形空間内にスラリーが注入され、そのスラリーの固化・乾燥により、成形空間内に成形体が形成された。この成形体が、2枚の基材から離型された。離型後の各基材には離型剤由来のフッ素系化合物が付着したままであり、その厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。その厚さはレーザー顕微鏡を用いて測定された。同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対しても行われた。この場合も、離型後の各基材には、厚さ0.50μmの離型剤由来のフッ素系化合物が付着したままであった。このように離型剤(即ち、除去対象物)が付着した状態にある汚れた基材が被洗浄物として使用された。
<洗浄>
洗浄槽10が、20Lの洗浄液(イオン交換水)で満たされた。洗浄液の温度は27℃で一定に調整された。第1室R1の容量は10Lであった。満たされた洗浄液はポンプにより循環させられた。洗浄液の循環流量は10L/minであり、ガス(酸素)の混入流量は0.5L/minであった。この条件にて、洗浄層10の第1室R1内に気泡が供給された。気泡発生法としては、上述のように周知の旋回流式が採用された。平均気泡径は38μmであった。この条件にて気泡が供給されている状態において、第1室R1内に被洗浄物が30秒間浸漬されて洗浄された。洗浄後、被洗浄物がレーザー顕微鏡を用いて観察された。その結果、を表1に示す。
(実験2)
実験2では、超音波洗浄のみが行われ、超音波洗浄作用が評価された。
<成形>
実験2では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対してのみ行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=フッ素系化合物)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験2でも、実験1と同じ条件で洗浄液が洗浄層10に満たされた。ポンプにより循環される洗浄液中にガスが混入されない状態(即ち、気泡が供給されない状態)で、第1室R1内に被洗浄物が浸漬された。そして、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。照射された超音波の周波数(一定)及び出力(一定)の組み合わせは、表2に示すようであった。実験2の結果を表2に示す。
(実験3)
実験3では、気泡洗浄と超音波洗浄が共に行われ、気泡洗浄作用と超音波洗浄作用との組み合わせが評価された。
<成形>
実験3では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせに対してのみ行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=フッ素系化合物)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験3では、第1室R1内に被洗浄物が浸漬され、実験1と同じ条件(洗浄液の循環流量:10L/min、ガスの混入流量:0.5L/min)で気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。照射された超音波の周波数(一定)及び出力(一定)の組み合わせは、実験2と同じとされた。実験3の結果を、表3、及び図4に示す。
図4に示すように、「P>0.09f−7.5」が成立する領域では、気泡が即座に消滅した。即ち、気泡の合体、圧壊の発生が顕著であった。この結果、気泡洗浄作用が殆ど得られず、十分な洗浄作用が得られなかった。これは、超音波の周波数に対する出力が大き過ぎた(従って、超音波の振幅が大き過ぎた)ことに基づくと考えられる。
一方、「P<0.04f−20.0」が成立する領域では、超音波の照射開始後、継続的に気泡が十分に残存していた。即ち、気泡の合体、圧壊は殆ど発生しなかった。しかしながら、超音波洗浄作用が十分に得られず、十分な洗浄作用が得られなかった。これは、超音波の周波数に対する出力が小さ過ぎた(従って、超音波の振幅が小さ過ぎた)ことに基づくと考えられる。
これに対し、上記(1)式が成立する領域(超音波の周波数及び出力の組み合わせ)では、超音波の照射開始後において継続的に気泡が十分に残存していたことに加え、超音波洗浄作用と気泡洗浄作用とが同時に活用され得、被洗浄物を効果的に洗浄することができた。
以上、超音波の周波数及び出力の組み合わせの観点から、被洗浄物を効果的に洗浄し得る条件が考察された。これに加えて、この実験3では、洗浄液の気泡密度の観点からも、被洗浄物を効果的に洗浄し得る条件が考察された。
洗浄液内の気泡密度が直接的に計測し難いことを考慮して、洗浄液内の気泡密度を表す指標として、輝度比Cが導入された。或る時点における輝度比Cとは、第1室R1に貯留された洗浄液内に気泡が存在していないときの洗浄液の「輝度」に対する、その時点での洗浄液の「輝度」の割合(≦1)である。「輝度」とは、一定条件下にて第1室R1内の洗浄液(貯留された洗浄液)を撮影した画像について一定の処理を行って算出される。
本例では、図5、図6に示すように、遮光率99%の暗幕で覆われた暗室の中で、厚さ2cmのアクリル製の洗浄槽10(第1室R1の底面形状:20×20cm、第1室R1内の液深:25cm)が、所定の位置に配置された周知のバックライト照射装置(照射領域:50×38cm、明るさ:6000cd/m2)を用いて照射された。なお、図5、6では、説明の便宜上、第2室R2の記載が省略されている。この状態で、洗浄槽(従って、洗浄液)の所定の領域(13×10cm)が、周知のデジタルカメラを用いて撮影された。撮影により得られる画像のサイズは、2048×1536ピクセルに設定された。その画像内の複数の画素の輝度値(1〜255の階調を有する)の平均値が、「輝度」として採用された。輝度比Cは、洗浄液内の気泡密度の尺度として使用され得る。輝度比Cが小さいほど、洗浄液中の気泡密度が大きいことを意味する。
図7は、上記(1)式が成立する領域内に対応する超音波の周波数及び出力の或る組み合わせについての輝度比Cの推移の一例を示す。気泡洗浄装置20と超音波照射装置30とが共に作動している状態が開始された時点からの経過時間をt(秒)とする。図7に示すように、気泡洗浄装置20と超音波照射装置30とが同時に作動開始される場合も、何れか一方が先に他方が後に作動開始される場合も、t=5では既に輝度比Cが安定している。これは、t=5では既に、気泡の合体等の程度が安定していることに基づくと考えられる。従って、t=5での輝度比C(以下、「C5」と称呼する。)が洗浄液内の気泡密度を表す具体的な指標として採用された。
このC5の値が、表3に示した超音波の周波数及び出力の各組み合わせに対してそれぞれ計測された。この結果を表3に示す。表3に示すように、上記(1)式が成立する領域(即ち、洗浄度が○の領域)では、C5≦0.75が成立していた。この結果から、C5≦0.75が成立すれば、洗浄液内に気泡が十分に存在して気泡洗浄作用が十分に発揮され得ると考えることができる。また、t≧5では、輝度比Cが安定することを考慮すると、tが5秒〜所定値(例えば、10秒)の間での輝度比Cが0.75以下で推移すれば、洗浄液内に気泡が十分に存在して気泡洗浄作用が十分に発揮され得ると考えることもできる。
(実験4)
実験4では、上記(1)式が成立し、且つ、C5≦0.75が成立する状態に対して、除去対象物(離型剤)に対する洗浄液(イオン交換水)の接触角が評価された。
<成形>
実験4では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤(洗浄液の接触角:110°)との組み合わせと、ジュラルミン製の基材と炭化水素系化合物(洗浄液の接触角:60°)の離型剤との組み合わせとに対して行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=離型剤)の厚さは0.50μm(塗布厚さと同じ)であった。
<洗浄>
実験4では、上記(1)式が成立する領域内の代表として、出力が100Wで周波数が750kHzの組み合わせが選択された。そして、これらの組み合わせのみについて、実験3と同様、洗浄液の循環流量が10L/minで、ガスの混入流量が0.5L/minで気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。実験4の結果を表4に示す。
(実験5)
実験5では、上記(1)式が成立し、且つ、C5≦0.75が成立する状態に対して、除去対象物(離型剤)の厚さが評価された。
<成形>
実験5では、実験1と同じ成形が、ジュラルミン製の基材とフッ素系化合物の離型剤との組み合わせのみに対して、離型剤の塗布厚さを変更しながら行われた。この場合も、被洗浄物(=基材)の成形面に残存する除去対象物(=離型剤)の厚さは、塗布厚さと同じであった。
<洗浄>
実験5では、実験4と同様、出力が100Wで周波数が750kHzの組み合わせが選択された。そして、これらの組み合わせのみについて、実験3と同様、洗浄液の循環流量が10L/minで、ガスの混入流量が0.5L/minで気泡が供給されている状態において、第1室R1に超音波が30秒間照射されて被洗浄物が洗浄された。実験5の結果を表5に示す。
以下、背景技術の欄で述べた従来の超音波洗浄作用とは異なる本実施形態に基づく新たな超音波洗浄作用、並びに、背景技術の欄で述べた従来の気泡洗浄作用とは異なる本実施形態に基づく新たな気泡洗浄作用について詳述する。
(新たな超音波洗浄作用)
図8(a)に示すように、基材の表面に薄い除去対象物が付着している場合を想定する。この場合において、除去対象物に超音波による振動エネルギーが与えられると、図8(b)に示すように、除去対象物に亀裂が形成され得る。この作用を「新たな超音波洗浄作用」と呼ぶ。なお、除去対象物の厚さが5.00μm以下と小さい場合、除去対象物に亀裂が発生し易い。従って、この実施形態のように超音波の振幅が小さくても、除去対象物に亀裂が確実に形成され得る。
新たな超音波洗浄作用により除去対象物に亀裂が形成されると、図8(c)に示すように、この亀裂を起点として、超音波の振動エネルギーそのもの(即ち、洗浄液中の圧力変動そのもの)により、除去対象物が基材から剥離される作用が生じる場合もある。このようにして、新たな超音波洗浄作用のみにより、基材が洗浄され得、除去対象物が基材から除去される場合もある。
(新たな気泡洗浄作用)
図9(a)に示すように、基材の表面に付着している薄い除去対象物に亀裂が形成されている場合を想定する。この亀裂は、新たな超音波洗浄作用により形成されたものであってもその他の原因で形成されたものであってもよい。
図9(b)に示すように、除去対象物の亀裂を介して除去対象物と基材との界面に気泡が侵入すると、除去対象物の被洗浄物に対する付着力が低下して、除去対象物が基材から剥離される作用が生じる。
更には、表面張力が70mN/m以上と大きい「水」が洗浄液として使用され、且つ、フッ素系化合物が除去対象物として使用される場合等、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が十分に低い場合(例えば、除去対象物と洗浄液との接触角(図9(c)の接触角θを参照)が90°以上の場合)、除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の大きな界面張力に主に起因して、除去対象物と洗浄液と気泡(即ち、3相)の配置が決定される。この結果、図9(c)に示すように、除去対象物に気泡が付着し易くなり、除去対象物と洗浄液と気泡(即ち、3相)が互いに接触する状態が発生し得る。
この状態において、気泡に作用する浮力等に起因して、気泡に対して除去対象物から離れる方向の力が作用して気泡が移動しようとする。この力は、除去対象物と洗浄液との界面面積を増大する方向に作用する。このとき、上述した「除去対象物と洗浄液との界面に対する洗浄液の大きな界面張力」に起因して、その界面面積の増大が阻止されるように、除去対象物に対して気泡の移動方向に追従する方向の力が作用する。この力が除去対象物を基材から剥離する剥離力(図9(c)の白い矢印を参照)として働き、この剥離力に起因して除去対象物が基材から剥離される作用が生じる。
図9(b)、或いは、図9(c)に示す作用により除去対象物が基材から剥離された後もなお、図9(d)に示すように、図9(c)に示す原理と同じ原理に基づいて、除去対象物には上述した「気泡の移動方向に追従する方向の力」が作用し続ける(図中の白い矢印を参照)。従って、浮力により気泡が浮上していくのに追従して除去対象物も、気泡と接触を保ちながら浮上していく。
これにより、基材から剥離された後の除去対象物は水面に浮上し、溢れ出た洗浄液と共にフィルタ12で濾過されることにより容易に回収される。よって、第1室R1の洗浄液は除去対象物に汚染され難い。また、回収された除去対象物を再利用することも可能な場合がある。
このように、図9(b)、或いは、図9(c)に示す作用により除去対象物が基材から剥離され、図9(d)に示すように除去対象物が気泡と共に浮上して基材から除去される作用を、「新たな気泡洗浄作用」と呼ぶ。このように、新たな気泡洗浄作用によって、除去対象物の亀裂を起点として、除去対象物が被洗浄物から剥離・除去され得る。
以上のように、上述した実施形態では、新たな超音波洗浄作用により、主として除去対象物に亀裂が形成され、新たな気泡洗浄作用により、その亀裂を起点として除去対象物が被洗浄物から剥離・除去され得る。上述した実施形態では、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用とが同時に作用し得るから、「亀裂の形成」→「その亀裂を起点とする除去対象物の剥離・除去」という流れがスムーズに形成され得る。この結果、超音波洗浄作用が単独で作用する場合、或いは、気泡洗浄作用が単独で作用する場合に比して、被洗浄物である基材を効果的に洗浄することができる。
上述した新たな気泡洗浄作用は、気泡径が100μmよりも大きい場合でも働く。しかしながら、気泡径の増大につれて、気泡の浮上速度が大きくなる。これにより、気泡が洗浄液中に滞在し難くなるため、新たな気泡洗浄作用が十分に得られ難くなる。これに対し、この実施形態のように、気泡径が100μm以下と小さい場合、気泡が除去対象物に付着する機会が多くなり、この結果、新たな気泡洗浄作用が効果的に働く。
なお、除去対象物がフッ素系化合物以外の材質からなる場合、洗浄液として表面張力が小さい液体が使用される場合等、除去対象物に対する洗浄液の濡れ性が高い場合(具体的には、除去対象物に対する洗浄液の接触角が90°以下の場合)、気泡が除去対象物に付着し難くなり、この結果、新たな気泡洗浄作用が十分に働かない。なお、従来の気泡洗浄作用(具体的には、気泡の表面への油分の付着作用等)は発揮され得る。
以上、本発明の実施形態に係る超音波洗浄方法(超音波洗浄装置)について説明した。なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、超音波照射が連続的に実行されている。これに対し、超音波照射を間欠的に実行してもよい。
この場合、図10の時刻t1以降に示すように、超音波照射を周期的に実行することが好ましい。具体的には、超音波照射パターンの一例として、例えば、周期Tが1秒で、1周期あたりの超音波照射期間Aが0.2秒となるパターンが採用され得る。
このように、超音波照射を間欠的とすることで、超音波の照射に起因する上述した気泡の合体、圧壊による気泡の消滅も間欠的に発生する。これにより、超音波が連続的に照射される場合に比して、洗浄液中の気泡数(気泡密度)が減少し難くなり、新たな気泡洗浄作用をより効果的に働かせることができる。
特に、図10に示すように、超音波照射パターンの1周期が経過する毎の洗浄液中の気泡密度が略一定に維持されるように、超音波照射パターン、及び、気泡供給装置20のポンプによるガス混合洗浄液の吐出状態が調整されている場合、洗浄液中の気泡密度が1周期の経過毎に次第に減少していかない。従って、新たな超音波洗浄作用と新たな気泡洗浄作用とが同時に作用し得る期間を長くすることができる。
また、上記実施形態において、洗浄液として、界面活性剤が加えられた液体が使用されてもよい。洗浄液に界面活性剤が添加されると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される。以下、この点について説明する。
<合体の抑制>
図11に示すように、界面活性剤の各分子は、親水基と疎水基とを有する。気泡が存在する洗浄液中に界面活性剤が添加されると、界面活性剤の疎水基が洗浄液(水)の存在しない位置に移動する作用が働く。この結果、図12に示すように、各気泡の表面に界面活性剤の分子の疎水基が集合する。これにより、各気泡の外周面は、界面活性剤の親水基で覆われた状態となる。ここで、親水基同士は同じ種類の電荷を有しているから、互いに反発しあう。この結果、気泡同士が反発しあうから、上述した気泡の集合・合体が抑制される。
<気泡の小径化>
一般に、径の安定した気泡について、下記(2)式が成立する。(2)式は、ヤング・ラプラス(Young−Laplace)の式と呼ばれる。(2)式において、ΔPは気泡の内外の圧力差、γは液体(洗浄液)の表面張力、dは気泡径である。
ΔP=(4・γ)/d …(2)
界面活性剤は、添加された液体(洗浄液)の表面張力を低下させる作用を発揮する。従って、同じ圧力条件ΔPの下、界面活性剤の添加により洗浄液の表面張力が低下すると、気泡径が小さくなる。
以上のように、洗浄液に界面活性剤を添加すると、気泡の合体が抑制され且つ気泡が小径化される。このことは、洗浄液中の初期の気泡の個数(気泡密度)が増大することを意味する。この結果、気泡が除去対象物に付着する機会が多くなり、新たな気泡洗浄作用がより効果的に働く。なお、洗浄液に界面活性剤を添加すると、洗浄液の表面張力が低下することに起因して各気泡による新たな気泡洗浄作用が低下する。しかしながら、上述のように、気泡個数の増大により気泡が除去対象物に付着する機会が多くなることで、新たな洗浄作用がより効果的に働く場合もあると考えられる。
Claims (10)
- 洗浄槽に貯留された洗浄液に超音波を照射する超音波照射手段と、
前記貯留された洗浄液に気泡を供給する気泡供給手段と、
を使用して、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄方法であって、
前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、前記超音波照射手段の作動を調整し、
一定条件下にて前記貯留された洗浄液を撮影した画像について一定の処理を行って算出される洗浄液の輝度について、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの洗浄液の輝度に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での洗浄液の輝度の割合が0.75以下となるように、前記気泡供給手段の作動を調整して、前記被洗浄物を洗浄する超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1に記載の超音波洗浄方法において、
前記超音波照射手段と前記気泡供給手段が同時に作動開始され、又は、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段の一方が先に他方が後に作動開始される超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1又は請求の範囲2に記載の超音波洗浄方法において、
前記超音波照射手段により超音波が間欠的に照射される超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲3の何れか一つに記載の超音波洗浄方法において、
前記洗浄液として、界面活性剤が加えられた液体が使用される超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲4の何れか一つに記載の超音波洗浄方法において、
前記気泡の平均直径は100μm以下である超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲5の何れか一つに記載の超音波洗浄方法において、
前記洗浄液として、表面張力が30mN/m以上の液体が使用される超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲6の何れか一つに記載の超音波洗浄方法において、
前記被洗浄物の表面に付着していて前記洗浄により前記被洗浄物から除去される対象となる除去対象物と、前記洗浄液と、の接触角が90°以上である超音波洗浄方法。 - 請求の範囲7に記載の超音波洗浄方法において、
前記除去対象物がフッ素系化合物である超音波洗浄方法。 - 請求の範囲1乃至請求の範囲8の何れか一つに記載の超音波洗浄方法において、
前記被洗浄物の表面に付着していて前記洗浄により前記被洗浄物から除去される対象となる除去対象物の厚さが5.00μm以下である超音波洗浄方法。 - 洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記貯留された洗浄液に超音波を照射する超音波照射手段と、
前記貯留された洗浄液に気泡を供給する気泡供給手段と、
を備え、前記気泡供給手段の作動により前記貯留された洗浄液内に気泡が存在している状態において前記超音波照射手段により前記貯留された洗浄液に超音波を照射することで前記貯留された洗浄液中に浸された被洗浄物を洗浄する超音波洗浄装置において、
前記超音波照射手段は、
前記超音波照射手段により照射される超音波の周波数をf(単位:kHz)とし、前記超音波照射手段により照射される超音波の出力(単位:W)を前記貯留された洗浄液の量(単位:L)で除して得られる単位液量当たりの出力をP(単位:W/L)としたとき、0.04f−20.0≦P≦0.09f−7.5という関係が成立するように、作動するとともに、
前記気泡供給手段は、
一定条件下にて前記貯留された洗浄液を撮影した画像について一定の処理を行って算出される洗浄液の輝度について、前記貯留された洗浄液中に気泡が存在していないときの洗浄液の輝度に対する、前記超音波照射手段と前記気泡供給手段とが共に作動している状態が開始された時点から5秒が経過した時点での洗浄液の輝度の割合が0.75以下となるように、作動するよう構成された超音波洗浄装置。
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