JP2006055685A - 洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水系洗浄剤を使用した超音波洗浄における、高い洗浄効果を得ることができる洗浄方法、及び洗浄装置を提供する。
【解決手段】 洗浄装置1は、界面活性剤を含む洗浄液Rを貯留する洗浄槽2と、洗浄液Rに超音波を照射する超音波発振器4と、洗浄槽2から溢れた洗浄液Rを収容する回収槽3と、回収槽3と洗浄槽2を接続する供給管5と、供給管5上にポンプ6とを備え、回収槽3に収容された洗浄液Rは、ポンプ6に吸引、空気混合、圧送され、ノズル7を介して洗浄槽2内に噴射され、洗浄槽2の洗浄液Rの液面に多数の微細な泡の層Bが発生する。そして、洗浄するプラスチックレンズ10を泡の層Bを通過して洗浄液Rに浸漬し、超音波発振器4から洗浄液R中に超音波が照射されて、プラスチックレンズ10の洗浄がされる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、洗浄物品に付着した汚れを洗浄槽内において除去する洗浄方法、及び洗浄装置に関する。
洗浄物品の洗浄において超音波を利用した超音波洗浄が広く行われてきた。この超音波洗浄の洗浄性能を高めるために、洗浄液自体の能力を高める方法、超音波発振器の出力を大きくする方法、あるいは発振周波数を変化させる方法等が実施されているが、洗浄液自体の性能に負うところが大きい。従来は、洗浄液として塩化メチレン、トリエタン、トリクロロエチレン、フロン等の溶剤系洗浄剤が多用されていたが、環境への負荷が大きいために、近年は、界面活性剤等を主成分とする水系洗浄液が使用されている。水系洗浄液の洗浄性能は、溶剤系洗浄剤と比較すると明らかに低いのが実情である。
こうした超音波洗浄の洗浄性能を向上するために、洗浄貯留槽に洗浄体を浸漬して洗浄を行う脱脂洗浄装置において、洗浄循環路の途中に気体加圧混入手段を設けると共に、洗液貯留槽に臨んで超音波加振手段を配設した機械部品の脱脂洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−278860号公報
特許文献1に示される洗浄装置は、微細気泡を含む洗浄液に超音波を照射することにより、微細気泡が合体し浮上することにより、液流が活発化され洗浄効果が高まるとされている。しかしながら、あるレベルまでの洗浄効果の向上は期待できるが、その割に洗浄効果が低く、繰り返しの洗浄作業を必要とする。
そこで本発明は、水系洗浄剤を使用した超音波洗浄における、高い洗浄効果を得ることができる洗浄方法、及び洗浄装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の洗浄方法は、洗浄槽に供給される界面活性剤を含む洗浄液中に空気を混入し、前記洗浄槽に貯留される前記洗浄液の液面に多数の微細な泡の層を発生する工程と、洗浄物品を前記泡の層を通過して前記洗浄液中に浸漬する工程と、前記洗浄液中に超音波を照射して前記洗浄物品を洗浄する工程とを有することを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、洗浄槽に供給する界面活性剤を含む洗浄液中に空気を混入することにより洗浄液面に微細な泡を発生させ、洗浄液に洗浄物品を浸漬する際に、洗浄物品の表面に微細な泡が付着される。そして超音波が照射されることにより、超音波の物理力により洗浄物品に付着した汚れが剥離されると共に、洗浄物品の表面に付着した泡が表面をなぞるように移動して付着した汚れが洗浄され、高い洗浄効果を得ることで洗浄物品の洗浄品質が向上する。また、洗浄液の能力を高めることで洗浄剤の使用量を低減することが可能となる。
また、本発明の洗浄方法は、前記界面活性剤の濃度が0.1〜50重量%であることを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、選定する洗浄剤により異なるが、一般的な水系洗浄剤の場合には、洗浄液に添加される界面活性剤の濃度が0.1〜50重量%の時、洗浄剤自体の能力を発揮させ、高い洗浄効果を得ることができる。
また、本発明の洗浄方法は、前記洗浄液中へ混入する空気の量が、1分間あたり、前記洗浄槽の内容積の0.01〜3%であることを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、洗浄液中へ混入する空気の量を、一分間あたり洗浄槽の大きさに対する0.01〜3%で混入させることにより、所定の大きさの泡を、所定の量発生させることができ、高い洗浄効果が得られる。
また、本発明の洗浄方法は、前記泡の直径が0.01〜2mmであることを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、洗浄液の液面に発生される泡のひとつひとつの大きさは、泡の直径が0.01〜2mmであることで高い洗浄効果を得ることができる。泡の大きさが2mmを超えた場合には、洗浄対象物の表面に泡が付着しずらくなり、洗浄効果が低下する。また、0.01mm未満の場合には、超音波の振動、破泡による洗浄物品の表面の移動効果が少なく、洗浄効果が低い。
また、本発明の洗浄方法は、前記泡の層が前記洗浄液の液面から1〜50mmの厚さであることを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、洗浄液の液面に発生される泡の層の厚さは、洗浄液の液面から1〜50mmであることで高い洗浄効果を得ることができる。泡の層の厚さが50mmを超えると、泡自体が微細でなくなるため洗浄効果がなくなる。また、1mm未満になると洗浄物品の表面に付着する泡が少なすぎることで洗浄効果が低くなる。
また、本発明の洗浄方法は、前記洗浄物品がレンズであることを特徴とする。
上記の洗浄方法によれば、洗浄物品の表面に付着した泡が表面をなぞるように移動することにより洗浄効果が発揮される。したがって、洗浄物品として微小な突起や穴(凹凸)等を有する洗浄物品に対しても有効であるが、眼鏡レンズを含む各種レンズのように平滑な面を有する洗浄物品に対して高い洗浄効果が得られる。
また、本発明の洗浄装置は、界面活性剤を含む洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽の下面部に配設され前記洗浄液に超音波を照射する超音波発振器と、前記洗浄槽の周囲に設けられ前記洗浄槽から溢れた前記洗浄液を収容する回収槽と、前記回収槽と前記洗浄槽とを循環する循環流路とを有し、前記循環流路上に前記洗浄液に空気を混入する空気混入手段を備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、洗浄槽に供給する界面活性剤を含む洗浄液中に、空気混入手段により空気を混入することにより洗浄液の液面に微細な泡を発生させ、洗浄槽に貯留される洗浄液中に超音波発振器から超音波を照射することにより、洗浄液の液面の泡の量を管理しつつ、高い洗浄効果が得られる洗浄装置を提供することができる。
また、本発明の洗浄装置は、前記空気混入手段は、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段であることを特徴とする。
上記の構成によれば、界面活性剤を含む洗浄液を用いると共に、従来から一般的に用いられる超音波洗浄装置の洗浄液供給手段を、空気混入手段として配備することで洗浄能力を高めることが可能であり、簡便かつ低コストで洗浄品質の向上を図ることができる。
また、本発明の洗浄装置は、前記洗浄液供給手段の吸液側に、前記洗浄液の流量を調節する開閉弁体を備えたことを特徴とする。
上記の構成によれば、開閉弁体の開度を変化させることにより、洗浄液供給手段が吸液する洗浄液の流量が変化し、洗浄槽に貯留する洗浄液の液面に滞留する泡の発生量を調節することができる。
また、本発明の洗浄装置は、前記洗浄槽の周縁部に、多数の切り欠きが形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、洗浄槽の周縁部に多数の切り欠きが形成されることにより、必要以上の洗浄液を洗浄槽からオーバーフローすると共に、洗浄槽に泡の層を滞留させることができる。
また、本発明の洗浄装置は、前記洗浄槽内に堰板を備え、前記堰板は前記洗浄槽の内周に倣った形状であり、前記堰板で仕切られた内側に貯留される前記洗浄液の液面が、前記洗浄槽に貯留される前記洗浄液の液面よりも所定寸法高いことを特徴とする。
上記の構成によれば、洗浄槽の内周部に堰板を備えることにより、必要以上の洗浄液を洗浄槽からオーバーフローすると共に、洗浄槽に泡の層を滞留させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の洗浄方法及び洗浄装置は、洗浄液面に超音波洗浄では不利となりえる泡の層(以降、泡と表記する場合も有る)を発生させること、そしてその泡を液面に常時滞留させることにより、超音波洗浄の効率を高めることにある。なお、本実施形態の洗浄方法は、空気混入手段として洗浄液供給手段(ポンプ)を用い、洗浄物品として、例えばプラスチックからなる眼鏡レンズ(プラスチックレンズ)を洗浄する場合で説明する。
図1は、本発明の洗浄装置の模式図であり、図2は、洗浄槽の周縁部の模式図である。
図1において、洗浄装置1は、洗浄液Rを収容する洗浄槽2と、洗浄槽2からオーバーフローする洗浄液Rを収容する回収槽3と、洗浄液供給手段としてのポンプ6と、洗浄液Rを洗浄槽2内に噴射するノズル7と、ポンプ6を介して回収槽3からノズル7に洗浄液Rを供給する供給管5と、ポンプ6が吸液する流量を調節する開閉弁体としての流量制御バルブ8と、フィルタ9とを備えている。
洗浄槽2は、洗浄液Rを貯留する、例えば箱形の槽であり、洗浄槽2内に洗浄液Rが満たされ、洗浄液R中で洗浄物品としてのプラスチックレンズ10の洗浄が行われる。洗浄槽2の周縁部は、図2に示すように、多数の切り欠き21が形成されている。なお、この洗浄槽2の周縁部の切り欠き21についての詳細は後述する。また、洗浄槽2の箱形の底面には、洗浄液Rに超音波を照射する超音波発振器4が配設されている。なお、超音波発振器4は、洗浄物品の材質や形状等を考慮して洗浄槽2の斜め下側又は横側面に配置する場合であってもよい。
洗浄液Rは、界面活性剤を含む洗浄液であり、水系の洗浄剤をベースに、泡を発生させることができる界面活性剤が添加されている。泡を発生させることができる界面活性剤として、例えばノニオン系、カチオン系の界面活性剤等が挙げられる。
回収槽3は、洗浄槽2の外周を取り囲むように配設され、洗浄槽2からオーバーフローする洗浄液Rを収容する。
供給管5は、ポンプ6を介して洗浄液Rを洗浄槽2に供給する配液管であり、回収槽3とポンプ6の吸液(上流)側を接続する供給管51と、ポンプ6の吐出(下流)側とノズル7とを接続する供給管52からなる。また、供給管51上に流量制御バルブ8を備え、供給管52上にフィルタ9を備えている。
ポンプ6は、1台で液の吸引,混合,圧送(加圧)が可能な、例えば過流タービンポンプであり、回収槽3に収容された洗浄液Rを、供給管51を介して、吸液(上流)側から吸引すると同時に空気を吸引し、加圧しながら吐出(下流)側の供給管52に吐出する。
ノズル7は、洗浄槽2に供給される洗浄液Rを噴射するノズルであり、洗浄槽2の槽内(貯留する洗浄液R中)配設されている。ノズル7は、例えばスプレイノズルからなり、供給管52の下流側の端部に接続され、ポンプ6を介して供給された洗浄液Rを、洗浄槽2内(貯留された洗浄液R中)に噴射することで、洗浄槽2に洗浄液Rを供給すると共に、洗浄槽2内に洗浄液Rの液流を発生させる。ノズル7は洗浄物品に応じて複数のノズルを、所定の位置に適宜配設することができる。また、ノズル7は洗浄物品の表面を液流が通過するように配置するのが望ましい。
流量制御バルブ8は、ポンプ6の吸液側に配設され、このバルブの開度を変化させることにより、ポンプ6が吸液する洗浄液Rの流量を調節する。この流量制御バルブ8は、電気的駆動弁の、例えばステッピングモータ駆動バルブであり、図示しない制御部からの制御信号により、バルブの開度が調節される。もちろん、手動で開度調節する絞り弁を配設しても良い。
フィルタ9は、プラスチックレンズ10の洗浄が行われた後に、回収槽3に収容され供給管51を介してポンプ6から吐出された洗浄液Rの汚れ等の除去、及び洗浄液Rがポンプ6を通過することにより、洗浄液Rに混入したポンプ6の機械的な摺動部から発生した汚れや、磨耗による金属粉等の除去が行われる。
以上のように構成された洗浄装置1は、回収槽3に収容された洗浄液Rが、ポンプ6により吸引、空気混合、圧送され、供給管5及びノズル7を介して洗浄槽2内に噴射され、洗浄槽2からオーバーフローした洗浄液Rは、再び回収槽3にもどる循環流路(循環サイクル)を形成している。
なお、必要に応じ、回収槽3に新鮮な洗浄液Rを供給する給液管(図示せず)や、ポンプ6から吐出される洗浄液Rの流量を測定/表示する流量計を、供給管52上に配設することができる。
次に、洗浄装置1を用いた洗浄方法を説明する。
先ず、洗浄装置1の電源がONされると、ポンプ6が稼動して、回収槽3に回収された洗浄液Rが、供給管5(51,52)を介してノズル7から、洗浄槽2内(貯留された洗浄液R中)に噴射される。ノズル7から噴射される洗浄液Rは、ポンプ6において混入/加圧された空気の微細気泡により、洗浄槽2の洗浄液Rの液面に洗浄液Rに添加されている界面活性剤の泡(泡の層)Bが発生する。
なお、泡Bを発生させる洗浄液Rの最適な濃度は、選定する洗浄剤により異なるが、一般的な水系洗浄剤であれば、100ppmの濃度であっても泡を発生させることができる。しかし、洗浄剤自体の能力を発揮させることができる適切な濃度は0.1%から50%程度である。
また、泡Bの発生量は、ポンプ6の吸液側に配設された流量制御バルブ8の開度を変化させ、ポンプ6が吸液する洗浄液Rの流量を変化させることにより調節することができる。洗浄液Rの流量は、例えば洗浄槽2の内容積が100リットルであれば、1分間あたり3リットル〜30リットル程度の流量とし、ポンプ6から洗浄液Rに混入する空気の量は、1分間あたり10ccから3000cc程度(すなわち、洗浄槽2の内容積の0.01〜3%)を混入させると最適量の泡Bを発生させることができる。ポンプ6から吐出される洗浄液Rの流量、及び洗浄液Rに混入する空気の量は、洗浄槽2の容積に比例して設定すればよい。
また、濃度0.1%から50%程度の洗浄液Rに、洗浄槽2の内容積の0.01〜3%の空気を混入し、1分間あたり3リットル〜30リットル程度の流量に調節されると、洗浄槽2の液面に発生する泡Bのひとつひとつの大きさは、直径が0.01mm〜2mmの泡Bを得ることができ、高い洗浄効果を得ることができる。泡の大きさが2mmを超えた場合には、洗浄対象物の表面に泡が付着し難くなり、洗浄効果が低下する。また、0.01mm未満の場合には、超音波の振動、破泡による洗浄物品の表面の移動効果が少なく、洗浄効果が低い。
そして、洗浄槽2の洗浄液Rの液面に発生した泡(泡の層)Bは、洗浄槽2の周縁部に形成された多数の切り欠き21により、洗浄槽2の液面に常時滞留することができる。
図2は、洗浄槽の周縁部の模式図であり、図2に示すように、洗浄槽2の周縁部に、例えば逆三角形の切り欠き21が多数形成されている。洗浄槽2の槽内にノズル7から次々に噴射される洗浄液Rは、この切り欠き21の逆三角形の頂点部分から流出し、一定の泡Bだけが洗浄槽2の液面に滞留する。
この切り欠き21の形状は、洗浄槽2の大きさ(内容積)とポンプ6の供給(吐出)性能を考慮して決定される。例えばポンプ6の供給性能が高く、しかも切り欠き21の形状が小さ過ぎる場合には、泡Bが液面に残ることなく洗浄槽2の外に流れてしまう。
洗浄槽2の液面に泡Bを滞留させる一例として、洗浄槽2の槽内の大きさがW:50×D:100×H:20cm(容量:100リットル)で、ポンプ6の洗浄液Rの供給性能が10リットル/毎分の場合、切り欠き21の形状は、底辺が15mm、高さ10mm程度の逆三角形の形状とし、洗浄槽2の周縁部の全周に5cm程度の間隔で、切り欠き21を形成することで、洗浄槽2の液面に泡Bを滞留させることができる。
切り欠き21の形状は、三角形に限定されず各種方形でも良く、長方形や正方形の四角形状、あるいは四角形状の角を丸くした形状等であってもよい。
また、洗浄槽2の液面の泡Bの量(泡の層の厚さ)は、微細な気泡が液面上にあれば効果を発揮するが、十分な洗浄効果を発揮する泡の層Bの適切な厚さは、1mm〜50mm程度である。液面の泡の層Bの厚さは、流量制御バルブ8の開度を変化させ、ポンプ6が吸液する洗浄液Rの流量を変化させる操作と、切り欠き21の数を適宜配設することにより調節できる。なお、洗浄槽2の槽壁にスライド式の移動具等を構成し、スライド式の移動具をスライドさせて切り欠き21の深さ(大きさ)を調節してもよい。
そして、洗浄槽2の底面に配設された超音波発振器4の電源をONすると、洗浄槽2の洗浄液Rに超音波が照射される。洗浄液Rに超音波が照射されると、洗浄液R中の微細気泡は、超音波により破泡されるが、常時ノズル7から洗浄液Rに混入した空気の微細気泡が供給されるため、洗浄液R中の微細気泡がなくなることはない。
そして、超音波発振器4の発振の後、プラスチックレンズ10を搬送装置(図示せず)によって図1の矢印で示す液面の上方向から洗浄槽2に搬入され、洗浄液R中に浸漬される。
プラスチックレンズ10を洗浄液R中に浸漬するとき、プラスチックレンズ10は洗浄液Rの液面に滞留する泡(泡の層)Bを通過し、レンズ面に泡bが付着されて洗浄液R中に浸漬される。この液面の泡Bは、大きな泡と異なり、洗浄液R中に浸漬されてもある程度プラスチックレンズ10の表面に残る。レンズ面に付着された泡bの量は、洗浄される洗浄物品の素材によっても異なるが、プラスチックレンズ10の場合は、レンズ表面積の5%程度に泡の付着があれば洗浄効果を発揮する。なお、液面に滞留する泡Bが大きい場合は、洗浄液R中から液面に向かって上昇し、そして消滅してしまう。
プラスチックレンズ10のレンズ面に付着した泡bは、超音波の物理力により振動、破泡され、その物理力によりレンズ面に付着した汚れ等が洗浄(剥離)される。また、泡bは超音波発振器4から照射される超音波の物理力によりレンズ面をなぞるようにレンズ上方に移動し、レンズ面に付着した汚れが洗浄され、洗浄効果をより高めることができる。なお、ノズル7から洗浄槽2内に洗浄液Rが噴射されることにより発生する洗浄液Rの液流も、超音波による洗浄効果を相乗的に高める。
そして、洗浄槽2の洗浄液Rに浸漬し所定時間の洗浄(超音波の照射)がされたプラスチックレンズ10は、搬送装置(図示せず)によって図1の矢印で示す液面の上方向に引き上げられて、洗浄槽2の槽外に搬出される。そして、超音波発振器4の電源がOFFされる。プラスチックレンズ10は、この洗浄が終了した後に、別の超音波洗浄槽で純水等のリンス洗浄が行われ、そして乾燥されて洗浄作業が終了する。
こうした本実施形態の洗浄方法は、洗浄物品として微小な突起や穴(凹凸)等を有する洗浄物品に対しても有効であるが、平滑な面を有する洗浄物品に最も洗浄効果を発揮する。例えば、眼鏡レンズを含む各種レンズ、光学用フィルタ、金属板等である。また、本実施形態の洗浄方法は、洗浄能力自体を高めるため汚れの種類は特に問わない。
次に、以上に説明した洗浄装置1及び洗浄方法を用いてプラスチックレンズ10を洗浄し、洗浄品質の評価を行った。
洗浄液Rとして、純水に水系洗浄剤(カストロール社製「M−6000」)を加えた5%濃度の洗浄液Rを洗浄槽2に貯留し、ポンプ6を稼動して洗浄槽2の液面に泡Bの層を発生、滞留させた。洗浄物品として、汚れの付着したプラスチックレンズ10を洗浄容器(洗浄用のカゴ)に10枚セットし、洗浄槽2の洗浄液R中に搬入し、60秒間超音波発振器4から超音波を照射した。そしてプラスチックレンズ10を洗浄槽2から搬出し、別の超音波洗浄器でリンス洗浄し、乾燥を行い、洗浄具合の確認をした。
その結果、洗浄した全てのプラスチックレンズ10は、レンズ表面に目視で確認できる汚れがなく良好の洗浄品質であった。
以上の実施形態の変形例を以下に記載する。
(変形例1)
洗浄液Rの液面に泡の層Bを滞留させる方法として、洗浄槽2の周縁部に切り欠き21を形成した場合で示したが、洗浄液Rの液面に泡の層Bを滞留させる別の実施形態を図3に示す。なお、図3は、別の洗浄装置示す模式図であり、洗浄槽2に堰板22を配設したことを除いては図1に示す実施形態と同様の基本構成を有し、図1との対応部分には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
図3において、洗浄槽2内に、洗浄槽の内周に倣った形状に堰板22を配設することにより、発生された泡の層Bを洗浄槽2内に滞留することができる。堰板22は、洗浄槽2の槽壁との間に洗浄液Rが通過可能に所定の隙間をあけて配設する。一方、堰板22は、洗浄槽2に貯留される洗浄液Rの液面からの高さ位置を変化させて泡の量を調節することが可能であり、洗浄槽2に貯留される洗浄液Rの液面からの高さ位置を、例えば5mmの高さ液面から出した位置にすれば、ポンプ6を介してノズル7から供給される洗浄液Rは、洗浄槽2の周縁部から回収槽3にオーバーフローすると共に、堰板22内に5mmの厚さの泡の層Bを得ることができる。したがって、泡の層Bは洗浄槽2内に滞留することができる。
また、洗浄槽2の液面に泡の層Bを滞留させるさらに別の方法として、洗浄槽2に貯留する洗浄液Rの液面から洗浄槽2の底面方向に所定寸法下がった位置の槽壁に、槽壁を貫く所定の大きさの穴を所定数形成することで、洗浄槽2の液面に泡の層Bを滞留させることができる。泡の層Bの厚さ(泡の量)は、ポンプ6の吐出能力と、槽壁を貫く穴の大きさ及び形成する穴の数で調節することができる。
(変形例2)
前記実施形態は、洗浄液Rに空気を混入する一例として、吸引,混合,圧送が可能なポンプ6を配設した場合で示したが、洗浄液Rに空気を混入する別の実施形態を図4に示す。なお、図4は、別の洗浄装置の模式図であり、ポンプ60とノズル70の構成を除いては図1に示す実施形態と同様の基本構成を有し、図1との対応部分には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
図4において、洗浄装置11を構成するポンプ60は、一般的に用いられる吸引、圧送が可能なポンプであり、回収槽3に収容された洗浄液Rを、供給管51を介して吸引し、加圧して供給管52に吐出(圧送)する。
ノズル70は、気液混合ノズルであり、ポンプ60から圧送された洗浄液Rが供給管51を介して洗浄槽2の槽内に噴射される。この洗浄液Rの噴射による噴流のエゼクター効果により吸気管71から空気が洗浄液R中に混入され、噴射される空気の微細気泡により、洗浄液Rの液面に界面活性剤の泡の層Bを発生させることができる。このノズル70と吸気管71とで空気混入手段を構成している。
なお、吸気管71にコンプレッサ等で加圧した加圧空気を吸気管に流入させるように構成してもよい。加圧空気は、コンプレッサの駆動力を変化させる等により圧力を変化させ、ノズル70から噴射される洗浄液Rの噴流の速度を調節するのが好ましい。その場合に、圧力が高すぎると、洗浄槽2の液面が泡で埋まり洗浄装置11に不具合を生じる可能性があるので、低発泡性の界面活性剤を使用するのが望ましい。
(変形例3)
洗浄槽2の液面に泡の層Bを発生させる一例として、ポンプ6から吐出される洗浄液Rに空気を混入する場合で示したが、別の容器等で泡を発生させ、その泡を洗浄槽2に供給しても良い。その実施形態を図5に示す。なお、洗浄装置12は、ポンプ60の構成を除いては図1に示す実施形態と同様の基本構成を有し、図1との対応部分には同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
図5において、洗浄装置12を構成するポンプ60は、一般的に用いられる吸引、圧送が可能なポンプであり、回収槽3に収容された洗浄液Rを、供給管51を介して吸引、加圧してノズル7から洗浄槽2内に噴射する。泡Bの発生(生成)は、攪拌槽23に収容された界面活性剤を含む洗浄液Rに、攪拌器24を用いて攪拌することにより生成する。生成された泡Bは、例えば、搬送装置25により洗浄槽2に投入される。なお、この場合には、洗浄槽2に貯留される洗浄液Rは、界面活性剤を含まない一般的な水系の洗浄剤を用いることができる。
本発明の洗浄装置の一例を示す模式図。 洗浄槽の周縁部の模式図。 洗浄槽に泡の層を滞留させる別の方法を説明する洗浄槽の模式図。 洗浄液に空気を混入する別の方法を説明する洗浄装置の模式図。 洗浄槽に泡を供給する別の方法を説明する模式図。
符号の説明
1,11,12…洗浄装置、2…洗浄槽、3…回収槽、4…超音波発振器、5,51,52…供給管、6…空気混入手段及び洗浄液供給手段としてのポンプ、7…ノズル、8…開閉弁体としての流量制御バルブ、9…フィルタ、10…洗浄物品としてのプラスチックレンズ、22…堰板、60…洗浄液供給手段としてポンプ、70…空気混入手段を構成するノズル、71…空気混入手段を構成する吸気管、B…泡、b…レンズ面に付着した泡、R…界面活性剤を含む洗浄液。

Claims (11)

  1. 洗浄槽に供給される界面活性剤を含む洗浄液中に空気を混入し、前記洗浄槽に貯留される前記洗浄液の液面に多数の微細な泡の層を発生する工程と、
    洗浄物品を前記泡の層を通過して前記洗浄液中に浸漬する工程と、
    前記洗浄液中に超音波を照射して前記洗浄物品を洗浄する工程とを
    有することを特徴とする洗浄方法。
  2. 請求項1に記載の洗浄方法において、
    前記界面活性剤の濃度が0.1〜50重量%であることを特徴とする洗浄方法。
  3. 請求項1又は2に記載の洗浄方法において、
    前記洗浄液中へ混入する空気の量が、1分間あたり、前記洗浄槽の内容積の0.01〜3%であることを特徴とする洗浄方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の洗浄方法において、
    前記泡の直径が0.01〜2mmであることを特徴とする洗浄方法。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の洗浄方法において、
    前記泡の層が前記洗浄液の液面から1〜50mmの厚さであることを特徴とする洗浄方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載の洗浄方法において、
    前記洗浄物品がレンズであることを特徴とする洗浄方法。
  7. 界面活性剤を含む洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽の下面部に配設され前記洗浄液に超音波を照射する超音波発振器と、前記洗浄槽の周囲に設けられ前記洗浄槽から溢れた前記洗浄液を収容する回収槽と、前記回収槽と前記洗浄槽とを循環する循環流路を有し、
    前記循環流路上に前記洗浄液に空気を混入する空気混入手段を備えたことを特徴とする洗浄装置。
  8. 請求項7に記載の洗浄装置において、
    前記空気混入手段は、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段であることを特徴とする洗浄装置。
  9. 請求項8に記載の洗浄装置において、
    前記洗浄液供給手段の吸液側に、前記洗浄液の流量を調節する開閉弁体を備えたことを特徴とする洗浄装置。
  10. 請求項7に記載の洗浄装置において、
    前記洗浄槽の周縁部に、多数の切り欠きが形成されていることを特徴とする洗浄装置。
  11. 請求項7に記載の洗浄装置において、
    前記洗浄槽内に堰板を備え、前記堰板は前記洗浄槽の内周に倣った形状であり、前記堰板で仕切られた内側に貯留される前記洗浄液の液面が、前記洗浄槽に貯留される前記洗浄液の液面よりも所定寸法高いことを特徴とする洗浄装置。
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