JPH07278860A - 機械部品の脱脂洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械部品等に付着した油分、固形物などの汚
れを除去する洗浄装置に関するもので、洗浄力の向上を
図り洗浄時間の短縮化等の洗浄工程の効率化を図ること
を目的としている。 【構成】 気体加圧混入手段５により入口側から洗浄液
およびすすぎ液を吸引すると同時に空気または窒素ガス
を吸引し、加圧しながら吐出する。そしてこれらガスを
溶解又は微細気泡の状態で多量に含有する洗浄液（又は
すすぎ液）が洗浄槽（またはすすぎ槽）１に供給され、
ノズル７で減圧され発泡し、液中に分散する。ついで被
洗物１０を槽内に浸漬し、同時に超音波発振手段を励起
して槽内に配置した超音波加振手段３を駆動し洗浄液に
超音波を間欠的に照射する。超音波照射の休止中に被洗
物を大気中に引上げたのち再び液中に浸漬し超音波を照
射する。この手順を繰返して洗浄を終了する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、機械部品等に付着した
油分、固形分などの汚れを洗液貯留槽内において除去す
る洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、機械部品等の洗浄にはフロンある
いは、トリクロロエタン等の塩素系溶剤による洗浄が広
く行なわれていたが、塩素系溶剤の多くが、オゾン槽破
壊の原因となるため、地球環境保全のために、全世界的
にその使用が禁止されつつある。

【０００３】そのため近年、塩素系溶剤洗浄に替わり、
アルカリビルダー、界面活性剤を主成分とするいわゆる
水系洗浄剤を用いた水系洗浄が広く行なわれるようにな
って来た。

【０００４】しかし、水系洗浄では、洗浄剤自体の有す
る汚れ（特に油分）の溶解能が低いため、通常超音波発
振手段を用いた超音波洗浄あるいは、洗浄液中に空気を
瀑気させるバブリング洗浄等を行ない、物理的な液流動
を発生させ洗浄力を向上させている。

【０００５】機械部品等の一定の形状を保持し得る部品
の洗浄において被洗物を超音波加振された洗浄液中に浸
漬して行なう従来の超音波洗浄方法の１例を図２に示
す。

【０００６】図２において、図示しないコンベアで搬送
される被洗物１０′は、洗浄槽１の上部で一旦停止し洗
浄槽１′内の洗浄液３０′の中へ一定時間浸漬静置され
超音波加振装置４０による超音波９０の照射を受け、被
洗物１０′の表面に付着した異物除去即ち洗浄が行なわ
れた後、被洗物１０′は洗浄液３０′から引き上げられ
る。即ち単純浸漬静置型の超音波洗浄が行なわれる。な
お５０は被洗物の洗浄液中への浸漬手順を示す。

【０００７】また図３（ａ），（ｂ）は気泡による洗浄
装置の従来例をそれぞれ示すもので（１例として特開昭
６２−１９１０９０号公報参照）、図３（ａ）におい
て、水等の液体１００に空気等の気体２００をジェット
ポンプ等で混入させ、混合器３００でミキシングして加
圧ポンプ４００に送る。

【０００８】加圧されて気体２００は液体１００に溶解
し、耐圧洗浄容器５００内に供給される。

【０００９】この耐圧洗浄容器５００の出口は電磁バル
ブ６００を介してバッファタンク７００に接続され、該
タンク内にはフィルター８００が配設され、このフィル
ター８００を介してバッファタンク７００は混合器３０
０にと接続される。

【００１０】そして電磁バルブ６００を開閉することに
より耐圧洗浄容器５００内の液体は加圧、減圧を繰り返
し、高圧下で溶解された気体が減圧され、耐圧洗浄容器
５００内の液体のすべてから微細な気泡が発生し、この
微細気泡により容器内に入れた被洗浄物Ｓを洗浄するも
のである。

【００１１】また図３（ｂ）は、別の従来例で、図３
（ａ）の電磁バルブ６００に代えてパルセータ９００を
用いて耐圧洗浄容器５００内の液体の加圧、減圧を繰り
返すものである。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
な従来技術のうち、図２に示すような超音波洗浄方法
は、被洗物１０′を洗浄液３０の中へ単純に浸漬静置す
るだけの単純浸漬静置型超音波洗浄方法であり、洗浄性
能（洗浄率＝付着した異物量に対する除去された異物量
の比）は洗浄時間に応じて向上するものの洗浄に要する
時間が長く、その割に到達洗浄率が低いのが実情であ
る。

【００１３】そして、超音波自体が有する指向性の高さ
やその他の波動的特徴により、被洗物の超音波を受波で
きる面以外は、洗浄効果は殆ど期待できないばかりか逆
に超音波振動を局所的に強く受ける部分では金属等が主
体の機械部品の中には、浸食や発錆の生じることもある
等の不具合がある。

【００１４】また図３に示すバブリング洗浄では、気泡
の大きさが数ｍｍ〜数１０ｍｍと大きいため、被洗物の
小孔等、気泡が侵入できない部分に対しては洗浄効果が
ない上、水系洗浄液の欠点である発泡を増大させること
になり、連続的な洗浄が不可能となる可能性も高い。

【００１５】また超音波洗浄やバブリング洗浄を行うこ
とは、洗浄液の撹拌を強めるため、洗浄力の向上は期待
できるが、半面、洗浄液中に混入した油分の乳化を異状
に促進させ、水系洗浄剤の寿命を左右する油水分離特性
を低下させ、結果的に洗浄液の短寿命化を引起こす不具
合がある。

【００１６】本発明は上記従来技術の各不具合点を解決
し、特に、狹隘部への微細気泡の侵入促進と超音波照射
による気泡の凝集に基づく浮力増大を利用して気泡の浮
上を促進して液流動を活発化させ、狭隘部での洗浄等洗
浄性能を向上した、機械部品の脱脂洗浄装置を提供する
ことを目的としている。

【００１７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の構成として本発明の機械部品の脱脂洗浄装置は、洗液
貯留槽に、洗浄体を浸漬して洗浄を行なう脱脂洗浄装置
において、洗液循環路の途中に気体加圧混入手段を設け
ると共に、上部洗液貯留槽に臨んで超音波加振手段を配
設したことを特徴としている。

【００１８】また、前記超音波加振手段は、別に設けた
超音波発振手段で間欠的に駆動されるよう構成されると
共に、洗浄体を操作するための洗浄体操作手段は、前記
超音波加振手段の駆動と停止に連動して洗浄体を洗浄液
中への浸漬または大気中への引き上げを繰り返して行な
うよう構成することが好ましい。

【００１９】また、洗液循環路途中に設けた気体加圧混
入手段は、吸い込み側に流量調整可能な気体流入口を具
備したタービン式ポンプを用いることが効果的である。

【００２０】さらに、前記気体加圧混入手段の吐出側に
当たる洗液循環路の末端に噴出用ノズルを設けることも
効果的である。

【００２１】

【作用】上記のように構成した洗浄装置によれば次に示
す作用を奏する。 （１）気体加圧混入手段は洗液の加圧と微細気泡の発生
を同時に行う。

【００２２】（２）気泡を混入した加圧洗液は槽中に噴
射され槽内の洗液中に微細気泡が充満する。

【００２３】（３）洗浄体が浸漬されると、微細気泡は
洗浄体の狭隘部まで容易に行き渡る。

【００２４】（４）ここで空気または窒素ガスを溶解あ
るいは微細気泡を多量に含む洗浄液またはすすぎ液に超
音波を照射すると、溶解していた空気または、窒素ガス
が液中より放散し、微細な気泡を生成すると同時に強制
混入された微細気泡は合体して勢い良く、浮上する。そ
の際に液流が生じ、小孔等の狭隘部に入り込んだ洗浄液
・すすぎ液とともに油分等の汚れが被洗物より除去され
る。

【００２５】（５）超音波照射は、狭隘部であっても、
微細気泡の合体成長を促進する程度には、十分機能す
る。

【００２６】（６）気泡の激しい上昇運動は、狭隘部を
含み、洗浄体表面に接する洗浄の激しい運動をもたら
し、洗浄を促進する。

【００２７】（７）繰り返し浸漬が洗浄効果を上げるの
は、洗浄体を大気中に引き上げた時、洗液が洗浄体表面
から流出し、液置換が促進することによると、推察され
る。

【００２８】（８）また、本発明による洗浄では、従来
の超音波洗浄と異なり、強力な超音波振動が被洗浄物に
局所的に照射されることがないため、被洗浄物に浸食を
発生させる危険性が低くなる。

【００２９】

【実施例】以下図面により本発明の一実施例について説
明する。図１は本発明の実施例に係る機械部品の脱脂洗
浄装置の概念図である。

【００３０】図１において、洗浄液３０（またはすすぎ
液）が供給された洗浄槽（またはすすぎ槽）１の内部底
面には超音波加振手段３が配置され、該加振手段は、槽
外に配置された超音波発振手段４により加振され、超音
波が洗浄液（またはすすぎ液）３０に照射できるよう構
成される。

【００３１】また被洗物１０は搬送装置２０によって洗
浄槽１に矢印図示のように上下方向に搬入、搬出される
と同時に、図示しない制御装置によって超音波の照射の
タイミングに合わせ、大気から液中へと繰返して出入さ
れる。

【００３２】また洗浄液（またはすすぎ液）は洗浄槽１
の上部よりオーバーフローされ、オーバーフロータンク
６に流入した後、配管を通り、例えばうず流タービンポ
ンプ等によって構成される気体加圧混入手段５によって
空気または窒素ガスを混入されて再び後続する配管５１
を経て先端に取付けたノズル７から洗浄槽に噴出され
る。

【００３３】この時液中に微細気泡が拡散する。

【００３４】つぎに上記装置による洗浄手順につき以下
に説明する。 （１）気体加圧混入手段５は入口側から洗浄液およびす
すぎ液（水または、洗浄防錆剤を含有する）を吸引する
と同時に空気または窒素ガスを吸引し加圧しながら吐出
する。速度型のポンプでは圧縮過程で気体は激しく剪断
され、液中には微細気泡が混入される。

【００３５】（２）空気または窒素ガスを、溶解あるい
は微細気泡の状態で多量に含有する洗浄液およびすすぎ
液はそれぞれ洗浄槽（またはすすぎ槽）１に供給され、
ノズルで減圧され発泡し、液中に分散する。

【００３６】（３）ついで被洗物１０を槽内に搬送装置
２０により浸漬する。

【００３７】（４）同時に超音波発振手段４を励起して
槽内に配置した超音波加振手段３を駆動し、洗浄液（ま
たはすすぎ液）に超音波を照射する。

【００３８】（５）この時液中に分散している微細気泡
又は被洗物の狭隘部に侵入した微細気泡は凝集して大き
くなり浮力が増大するので勢い良く浮上し、被洗物表面
と接触し、液流を促進して洗浄を行なう。

【００３９】（６）超音波の照射は超音波発振手段４に
より間欠的に行ない、超音波照射の休止中に、被洗物を
大気中に引上げた後、再び浸漬し、超音波を照射する。

【００４０】（７）上記手順を繰返し実施し、洗浄を終
了する。

【００４１】（８）水系洗浄液中あるいはすすぎ液中の
微細気泡は、油分等の汚れを吸着し、浮上させる能力を
元来有しているので、被洗物より遊離した油分を吸着
し、洗浄槽（あるいは、すすぎ槽）上部へとすみやかに
浮上させるので、従来超音波洗浄で課題となる必要以上
の乳化が促進されないので洗浄液、すすぎ液の寿命を延
長させる。

【００４２】（９）また、被洗物が鉄系の機械部品の場
合、洗浄液、すすぎ液に加圧混入させるガスに窒素を用
いることで、発錆を防止する効果の向上が図れる。

【００４３】以上本発明の一実施例につき縷々説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものでなく本発明
技術思想の範囲内において種々設計変更が可能であり、
それらは何れも本発明の技術的範囲に属する。

【００４４】

【発明の効果】本発明の機械部品の脱脂洗浄装置によれ
ば、従来の脱脂洗浄装置に比較して次に示す効果を奏す
ることができる。

【００４５】（１）気泡を混入した加圧洗浄液に超音波
を照射することにより発生する気泡の激しい上昇運動
は、洗浄体の狭隘部を含み、洗浄体表面に接する洗浄液
の激しい運動をもたらし、洗浄力の向上が図れ、洗浄時
間の短縮等の洗浄工程の効率化ができる。

【００４６】（２）超音波振動のエネルギーは上記の微
細気泡の発泡・上昇運動に消費されるため、洗浄体に超
音波振動による局所的な浸食、発錆が防止できる。

【００４７】（３）気泡は洗浄体より除去された汚れ成
分を効率的に吸着し上昇するため、汚れ成分の洗浄液中
への滞留が防止でき、洗浄液の更新頻度を少なくし、コ
ストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る機械部品の脱脂洗浄装
置の概念図である。

【図２】従来の代表的な超音波水系洗浄装置の概念図で
ある。

【図３】（ａ），（ｂ）は何れも従来の微細気泡を利用
した洗浄装置の１例を示す概念図である。

【符号の説明】

１ 洗浄槽（又はすすぎ槽） ３ 超音波加振手段 ４ 超音波発振手段 ５ 気体加圧混入手段 ６ オーバーフロータンク ７ ノズル １０ 被洗物 ２０ 搬送装置 ３０ 洗浄液 ５１ 配管

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗液貯留槽に、洗浄体を浸漬して洗浄を
   行なう脱脂洗浄装置において、洗液循環路の途中に気体
   加圧混入手段を設けると共に、上部洗液貯留槽に臨んで
   超音波加振手段を配設したことを特徴とする機械部品の
   脱脂洗浄装置。
2. 【請求項２】 前記超音波加振手段は別に設けた超音波
   発振手段で間欠的に駆動されるよう構成されると共に、
   洗浄体を操作するための洗浄体操作手段は、前記超音波
   加振手段の駆動と停止に連動して洗浄体を洗浄液中への
   浸漬または大気中への引き上げを繰り返して行なうよう
   構成したことを特徴とする請求項１記載の機械部品の脱
   脂洗浄装置。
3. 【請求項３】 洗液循環路途中に設けた気体加圧混入手
   段は、吸い込み側に流量調整可能な気体流入口を具備し
   たタービン式ポンプを用いることを特徴とする請求項１
   記載の機械部品の脱脂洗浄装置。
4. 【請求項４】 前記気体加圧混入手段の吐出側に当たる
   洗液循環路の末端に噴出用ノズルを設けたことを特徴と
   する請求項１記載の機械部品の脱脂洗浄装置。