JP5288699B2 - レーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法 - Google Patents
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液とを接触させる工程と、(ii)レーザー彫刻印刷版表面と多孔質有機体とを接触させ
る工程とを組み合わせることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.感光性樹脂硬化物を含む層を少なくとも1層有するレーザー彫刻印刷原版表面にレー
ザー光を照射し、照射された部分の感光性樹脂硬化物が除去されるレーザー彫刻法で形成
された凹凸パターンを有するレーザー彫刻印刷版の表面に残存する彫刻カスの洗浄方法で
あって、
(i)液状彫刻カスの残存するレーザー彫刻印刷版表面と水系洗浄液とを接触させる工程
と、
(ii)前記工程(i)において、液状彫刻カスの残存するレーザー彫刻印刷版表面と多
孔質有機体とを、手作業若しくは機械的に揚動させて拭く方法又は円筒状成形された多孔
質有機体を回転させながらレーザー彫刻印刷版表面に接触させる方法により、接触させる
工程と、
を含むレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
2.前記多孔質有機体が、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロースから選択される少なくとも1種類の樹脂あるいは繊維を含有し、且つ、前記多孔質有機体の密度が0.1g/cm3以上0.8g/cm3以下である、前1に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
3.前記多孔質有機体が、連続気泡を有する、前1又は2に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
4.前記水系洗浄液が、炭酸塩、過炭酸塩、クエン酸塩から選択される少なくとも1種類の化合物を含有し、前記水系洗浄液のpHが7.1以上12以下である、前項1ないし3のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
5.前記水系洗浄液が、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基から選択される少なくとも1種類の官能基を有し、及び/又は4級アンモニウム塩構造、ピリジニウム塩構造、硫酸塩構造、硫酸エステル塩構造、リン酸塩構造から選択される少なくとも1種類の構造を有する水溶性界面活性剤を含有する、前項1ないし4のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
6.前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムから選択される少なくとも1種類の化合物であり、前記過炭酸塩が、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ストロンチウム、過炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種類の化合物である、前項4に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
7.前記レーザー彫刻印刷原版が中空円筒状支持体上に感光性樹脂硬化物層を少なくとも1層積層した積層体であって、該感光性樹脂硬化物層が20℃において液状の感光性樹脂組成物を光硬化させたものである、前項1ないし6のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
8.前記多孔質有機体が、円筒状成形体である、前項1ないし7のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
9.前記円筒状成形体が、レーザー彫刻印刷版表面に接触しながら、該レーザー彫刻印刷版表面に存在する水系洗浄液を該円筒状成形体内部から吸引する工程を更に含む、前8に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
10.前記彫刻カスが、数平均分子量500以上5000以下の有機化合物(d)を含有する、前項1ないし9のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
11.前記有機化合物(d)が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選択される少なくとも1種類の官能基を有する化合物である、前項10に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
12.前記有機化合物(d)が、カーボネート結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、アミド結合から選択される少なくとも1種類の結合、及び/又は飽和炭化水素鎖、不飽和炭化水素鎖から選択されるいずれかの分子鎖を有する、前項10又は11のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
13.前記有機化合物(d)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールから選択される少なくとも1種類の化合物を含有する、前項10ないし12のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
14.前記レーザー彫刻法で使用されるレーザーの発振波長が、150nm以上20μm以下である、前項1ないし13のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
15.前記工程(i)の前、及び/又は工程(ii)の後に、(v)レーザー彫刻印刷版表面又は10mm以下の表面近傍の温度が50℃以上150℃以下の温度条件において、織布又は不織布を該レーザー彫刻印刷版表面と接触させる工程を更に含む、前項1ないし14のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法、
を提供する。
本発明で用いるレーザー彫刻印刷原版は、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物層を印刷版層として少なくとも1層有し、該レーザー彫刻印刷原版表面にレーザー光を照射するレーザー彫刻法により表面に凹凸パターンを形成した後、表面に残存する彫刻カスを洗浄する工程を経ることによりレーザー彫刻印刷版を得ることができる。用いるレーザー彫刻印刷原版は、シート状に成形されたものであっても円筒状に成形されたものであっても構わない。本発明は、レーザー彫刻印刷版表面に残存する彫刻カスの洗浄方法であって、(i)レーザー彫刻印刷版表面と水系洗浄液とを接触
させる工程、および(ii)レーザー彫刻印刷版表面と多孔質有機体とを接触させる工程
を含む。
ー彫刻印刷版表面又は10mm以下の表面近傍の温度が、50℃以上150℃以下の条件において、織布又は不織布を該レーザー彫刻印刷版表面と接触させる工程を含むことができる。より好ましい温度範囲は60℃以上120℃以下、さらに好ましくは60℃以上100℃以下である。これらの工程を加えることにより、洗浄工程の前処理又は後処理として、レーザー彫刻印刷版表面の微細パターン間に残存する粘着性の高い液状彫刻カスを効率良く除去することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)数平均分子量の測定
樹脂(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製のHLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標、TSKgel GMHXL、日本国、東ソー社製)を用い,テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調整し、注入量10μlとした。また、検出器としては、紫外吸収検出器を使用した。
(2)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載)を用いて行った。彫刻は、網点(80 lines per inchで面積率10%)、500μm幅の凸線による線画、及び、500μm幅の白抜き線を含むパターンを作成して実施した。彫刻深さを大きく設定すると、微細な網点部のパターンのトップ部の面積が確保できず、形状も崩れて不鮮明となるため、彫刻深さは0.55mmとした。
(3)洗浄後の網点パターンの観察
レーザー彫刻工程後、表面を洗浄して網点パターン部を走査型電子顕微鏡で観察し、表面に残存する彫刻カスの付着状況を比較した。
(樹脂(b)の製造)
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量2500のポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比1/4)51重量部、数平均分子量3000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)33.9重量部、触媒としてジブチルチンスズジラウレート0.003重量部、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.1重量部を入れ、攪拌混合した。系内の水分量を400ppmに調整した。次に、トリレンジイソシアネート6重量部を外温40℃で攪拌しながら滴下添加し、その後徐々に外音を上昇させ80℃において5時間反応させた。さらに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート4重量部を添加し、2時間反応させることによって不飽和ポリウレタンを得た。このもののGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は22500であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
上記のように製造した不飽和ポリウレタン65重量部に対し、有機化合物(c)としてジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート13重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート20重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、添加剤として無機多孔質体C−1504(富士シシリア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、商標「サイロスフェア−C−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物アを得た。
(シート状感光性樹脂硬化物の作製)
幅1m、直径318.47mmのシリンダーの長軸方向に幅10mm、厚さ50μmの両面接着テープを貼り付けた。厚さ180μmのPETフィルムを円筒状支持体であるシリンダー表面に巻きつけ、前記両面接着テープの部分にPETフィルムの両端部が来るように位置を合わせ、固定した。
調整した感光性樹脂組成物アをPETフィルム上に厚さ2.8mmのシート状に成形し、シリンダーを回転させながら、メタルハライドタンプ(アイ・グラフィックス社製、商標「M056−L21」)から出てくる光を,大気中で感光性樹脂層が露出している面から照射し、光硬化物を得た。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm2(UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値)であった。照射面でのランプ照度は、UVメーター(オーク製作所社製、商標「UV−M02」)を用いて測定した。UV−35−APRフィルターを使用して測定したランプ照度は、100mW/cm2、UV−25−フィルターを使用して測定したランプ照度は、14mW/cm2であった。
シリンダーを回転させながら、得られた光硬化物の表面をバイトで切削し、その後、シリンダー及びカーボランダム製グラインディングホイールを回転させながら研削し、1000番のサンドペーパーを用いて表面を研磨し、レーザー彫刻用シート状印刷原版を得た。
(シート状印刷基材の作製)
得られたシート状印刷原版を炭酸ガスレーザー彫刻機のシリンダー表面上に固定し、該印刷原版表面にレーザー彫刻によりパターンが形成された印刷版を得た。印刷版表面には粉末状の彫刻カスと網点部には粘着性のある彫刻カスが観察された。印刷版表面に残存していた彫刻カスを採取し、テトラヒドロフランに溶解する成分をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分析した結果、数平均分子量が約2700のポリマー成分が検出された。GPCチャートのピーク付近の成分を分取し、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用いて分析したところ、樹脂(b)の原料として用いたポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比1/4)とポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)の混合物とほぼ同じ化学シフトにピークを有するNMRスペクトルを得た。
(彫刻カスの除去評価)
炭酸ナトリウムを0.5wt%、過炭酸ナトリウム0.5wt%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5wt%を含む水溶液を液温30℃で調整し、水系洗浄液とした。得られた水系洗浄液のpHは11であった。多孔質有機体として発泡ポリウレタン製スポンジ(密度:0.3g/cm3)に、調整した水系洗浄液を含ませ、前記印刷版表面をこするように接触させ彫刻カスを拭き取った。その後、水で表面を洗浄後、乾燥させた。得られた印刷版表面の網点パターン部を走査型電子顕微鏡で観察した結果、表面に残存していた彫刻カスがきれいに除去できていることを確認した。彫刻カスの除去に要した時間は約10分以内であった。網点パターン部の状況を撮影した電子顕微鏡写真を写真1に示した。
実施例1と同じ方法で得られたシート状印刷版を用いて、表面に残存する彫刻カスの除去評価を実施した。実施例1の発泡ポリウレタンの代わりに、不織布製の布を用いる以外は実施例1と同様にして印刷版表面を洗浄した。得られた印刷版表面の網点パターン部を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、実施例1と同程度にきれいに洗浄できていることが確認された。
実施例1と同様の方法でシート状印刷版を作製した。シート状印刷版を繊維強化プラスチック製スリーブ表面に両面接着テープを用いて貼り付け、シート状印刷版表面が、実施例1で用いた水系洗浄液に浸しながら前記スリーブを回転させ、印刷版表面と発泡ポリウレタン製スポンジロールとが接触するように配置し、該スポンジロールも回転させながら印刷版表面の洗浄を10分間実施した。この際、スポンジロールにも水系洗浄液が浸透していた。洗浄後、水洗いしてから印刷版を乾燥させ、スリーブからシート状印刷版を剥がし表面の網点パターン部を、電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、実施例1と同程度にきれいに洗浄できていることが確認された。
水系洗浄液として温度60℃の水を用い、洗浄時間を30分とする以外は、実施例3と同様にして彫刻カスの除去評価を実施した。電子顕微鏡を用いて表面の網点パターン部を観察したところ、実施例3と同程度に彫刻カスが除去できていることがわかった。
(樹脂(b)の製造)
温度計、攪拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)100重量部とトリレンジイソシアネート6.9重量部を加え80℃に加温下3時間反応させたのち、2−メタクリロイルオキシイソシアネート3.3重量部を添加し、更に3時間反応させて不飽和ポリウレタンを得た。このもののGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は約10000であった。
(感光性樹脂組成物の調整)
上記のように製造した不飽和ポリウレタン100重量部に対し、有機化合物(c)としてベンジルメタクリレート25重量部、シクロメタクリレート19重量部、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート6重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、添加剤として無機多孔質体C−1504(富士シシリア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカ、商標「サイロスフェア−C−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)5重量部、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物イを得た。
(シート状印刷基材の作製)
感光性樹脂組成物イを用いる以外は、実施例1と同様にしてシート状印刷原版を作製し、その後、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンを形成したシート状印刷版を得た。印刷版表面には粉末状の彫刻カスと網点部には粘着性のある彫刻カスが観察された。印刷版表面に残存していた彫刻カスを採取し、テトラヒドロフランに溶解する成分をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分析した結果、数平均分子量が約2000のポリマー成分が検出された。GPCチャートのピーク付近の成分を分取し、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)を用いて分析したところ、樹脂(b)の原料として用いたポリカーボネートジオールとほぼ同じ化学シフトにピークを有するNMRスペクトルを得た。
(彫刻カスの除去評価)
炭酸ナトリウムを0.5wt%、過炭酸ナトリウム0.5wt%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5wt%を含む水溶液を液温30℃で調整し、水系洗浄液とした。得られた水系洗浄液のpHは11であった。多孔質有機体として発泡ポリウレタン製スポンジ(密度:0.3g/cm3)に、調整した水系洗浄液を含ませ、前記印刷版表面をこするように接触させ彫刻カスを拭き取った。その後、水で表面を洗浄後、乾燥させた。得られた印刷版表面の網点パターン部を走査型電子顕微鏡で観察した結果、表面に残存していた彫刻カスが10分以内の時間できれいに除去できていることを確認した。
実施例5と同様の方法により、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンが形成されたシート状印刷版を作製した。更に、実施例1と同じ組成の水系洗浄液を調整し、作製したシート状印刷版を調整した水系洗浄液中に浸漬し、出力1200W、周波数28kHzの超音波振動子を挿入し、実施例1と同じ発泡ポリウレタン製スポンジを印刷版表面に接触させる方法で彫刻カスの洗浄評価を実施した。その結果、印刷版表面の網点パターン間に残存していた粘着性の高い彫刻カスが除去できていないことが観察された。実施例5に比較して若干短時間で彫刻カスを除去することができた。
実施例5と同様の方法により、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンが形成されたシート状印刷版を作製した。更に、実施例1と同じ組成の水系洗浄液を調整し、作製したシート状印刷版を調整した水系洗浄液中に浸漬し、微細気泡発生装置を用いて前記水系洗浄液中に微細気泡を導入した。また、実施例1と同じ発泡ポリウレタン製スポンジを印刷版表面に接触させる方法で彫刻カスの洗浄評価を実施した。微細気泡を導入することにより水系洗浄液は、白濁した状態となった。微細気泡は、加圧溶解ポンプ(ニクニ社製、商標「バブルジェネレーター」)を用いて発生させた。微細気泡の径は、高速度デジタルビデオカメラ(フォトロン社製、商標「FASTCAM−1024PCI」)に拡大レンズを付けて測定した結果、約50μmであった。洗浄評価の結果、印刷版表面の網点パターン間に残存していた粘着性の高い彫刻カスが除去できていないことが観察された。実施例5に比較して若干短時間で彫刻カスを除去することができた。
実施例5と同様の方法により、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンが形成されたシート状印刷版を作製した。更に、実施例1と同じ組成の水系洗浄液を調整し、作製したシート状印刷版を調整した水系洗浄液中に浸漬し、発泡ポリウレタン製スポンジロールをシート状印刷版表面に接触させた。前記スポンジロールは、直径が約1mmの孔を均等に空けた鋼管に発泡ポリウレタン製のスポンジを巻きつけて作製した。また、鋼管の片側開口部は塞ぎ、もう一方の開港部をポンプで吸引できる構造とした。また、印刷版表面と接触する幅約10mmの開口部を有する金属製容器中に、該スポンジロールを格納した。洗浄評価中は、該スポンジロールを毎分1回転の速度でゆっくりと回転させながら、200μm程度スポンジが変形するように押し込んだ状態で印刷版表面に該スポンジロールを接触させ、スポンジロールの鋼管の片側開口部に接続させたポンプを用いて吸引し、水系洗浄液をスポンジ中を通過させるように印刷版表面から吸引した。その結果、実施例5よりも短時間で網点パターン部に残存していた粘着性の高い彫刻カスを除去することができた。
実施例1と同様の方法により、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンが形成されたシート状印刷版を作製した。更に、実施例1と同じ組成の水系洗浄液を調整し、作製したシート状印刷版を調整した水系洗浄液中に浸漬し、出力1200W、周波数28kHzの超音波振動子を挿入し、彫刻カスの洗浄評価を実施した。その結果、印刷版表面の網点パターン間に残存していた粘着性の高い彫刻カスが除去できていないことが観察された。写真2に電子顕微鏡写真を示す。
実施例1と同様の方法により、レーザー彫刻法を用いて表面にパターンが形成されたシート状印刷版を作製した。更に、実施例1と同じ組成の水系洗浄液を調整し、作製したシート状印刷版を、温度60℃に加熱した水系洗浄液中に浸漬し、出力1200W、周波数28kHzの超音波振動子を挿入し、彫刻カスの洗浄評価を実施した。その結果、印刷版表面の網点パターン間に残存していた粘着性の高い彫刻カスが除去できていないことが観察された。
Claims (16)
- 感光性樹脂硬化物を含む層を少なくとも1層有するレーザー彫刻印刷原版表面にレーザー
光を照射し、照射された部分の感光性樹脂硬化物が除去されるレーザー彫刻法で形成され
た凹凸パターンを有するレーザー彫刻印刷版の表面に残存する彫刻カスの洗浄方法であっ
て、
(i)液状彫刻カスの残存するレーザー彫刻印刷版表面と水系洗浄液とを接触させる工程
と、
(ii)前記工程(i)において、液状彫刻カスの残存するレーザー彫刻印刷版表面と多
孔質有機体とを、手作業若しくは機械的に揚動させて拭く方法又は円筒状成形された多孔
質有機体を回転させながらレーザー彫刻印刷版表面に接触させる方法により、接触させる
工程と、
を含むレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記多孔質有機体が、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ
イミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロースから選択される少なくとも1
種類の樹脂あるいは繊維を含有し、且つ、前記多孔質有機体の密度が0.1g/cm3以
上0.8g/cm3以下である、請求項1に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記多孔質有機体が、連続気泡を有する、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。
- 前記水系洗浄液が、炭酸塩、過炭酸塩、クエン酸塩から選択される少なくとも1種類の化
合物を含有し、前記水系洗浄液のpHが7.1以上12以下である、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記水系洗浄液が、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基から選択される少
なくとも1種類の官能基を有し、及び/又は4級アンモニウム塩構造、ピリジニウム塩構
造、硫酸塩構造、硫酸エステル塩構造、リン酸塩構造から選択される少なくとも1種類の
構造を有する水溶性界面活性剤を含有する、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムか
ら選択される少なくとも1種類の化合物であり、前記過炭酸塩が、過炭酸ナトリウム、過
炭酸カリウム、過炭酸ストロンチウム、過炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種
類の化合物である、請求項4に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記レーザー彫刻印刷原版が中空円筒状支持体上に感光性樹脂硬化物層を少なくとも1層
積層した積層体であって、該感光性樹脂硬化物層が20℃において液状の感光性樹脂組成
物を光硬化させたものである、請求項1ないし6のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記多孔質有機体が、円筒状成形体である、請求項1ないし7のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。
- 前記円筒状成形体が、レーザー彫刻印刷版表面に接触しながら、該レーザー彫刻印刷版表
面に存在する水系洗浄液を該円筒状成形体内部から吸引する工程を更に含む、請求項8に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記彫刻カスが、数平均分子量500以上5000以下の有機化合物(d)を含有する、
請求項1ないし9のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記有機化合物(d)が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基から選択される少なくとも
1種類の官能基を有する化合物である、請求項10に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記有機化合物(d)が、カーボネート結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結
合、アミド結合から選択される少なくとも1種類の結合、及び/又は飽和炭化水素鎖、不
飽和炭化水素鎖から選択されるいずれかの分子鎖を有する、請求項10又は11のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記有機化合物(d)が、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
エーテルポリオールから選択される少なくとも1種類の化合物を含有する、請求項10ないし12のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記レーザー彫刻法で使用されるレーザーの発振波長が、150nm以上20μm以下で
ある、請求項1ないし13のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 前記工程(i)の前、及び/又は工程(ii)の後に、(v)レーザー彫刻印刷版表面
又は10mm以下の表面近傍の温度が50℃以上150℃以下の温度条件において、織布
又は不織布を該レーザー彫刻印刷版表面と接触させる工程を更に含む、請求項1ないし14のうち何れか一項に記載のレーザー彫刻印刷版表面の洗浄方法。 - 請求項1ないし15のうち何れか一項に記載の洗浄方法によって洗浄されたレーザー彫刻印刷版。
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