JP6258712B2 - 受光素子および受光素子を備えた太陽電池 - Google Patents

受光素子および受光素子を備えた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、受光素子および受光素子を備えた太陽電池に関し、好適には量子ドット層を含む受光素子およびその受光素子を備えた太陽電池に関する。
受光素子を備えたデバイスの一例である太陽電池に対しては、より広い波長範囲の光を利用して光電変換効率を高めるということを目的とした種々の研究開発が行われている。たとえば、量子ドット技術の利用により母体材料の価電子帯、伝導帯間に超格子ミニバンドが形成され、超格子ミニバンドを介することで電子が二段階で光励起され、よって、長波長の光を利用することができるという太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1、または非特許文献2など)。
このような量子ドットを含む太陽電池は、化合物太陽電池のi型半導体層を構成する母体半導体中に量子ドットを含む量子ドット層を挿入したものである。母体半導体中に量子ドット層を挿入することにより、量子ドット層間の電子的結合が形成され、よって、超格子ミニバンドが形成される。超格子ミニバンドを介した二段階の光励起により、未利用だった波長域の光吸収(母体半導体材料のバンドギャップより小さいエネルギーのフォトンの吸収)が可能となり、光電流を増加させることができる。量子ドットで生成されたキャリアは、超格子ミニバンド中を移動し、光励起によって外部に取り出される。
特開2006−114815号公報 特表2010−509772号公報
PHYSICAL REVIEW LETTERS、97巻、247701ページ、2006年 PHYSICAL REVIEW B、82巻、195321ページ、2010年
現在、量子ドット層を挿入した太陽電池においては、その太陽電池が有する量子ドット層で生成されたキャリアの取り出し効率が極めて低く、光電変換効率が伸び悩んでいる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)を作製可能な受光素子を提供することである。
本発明は、p型半導体層と、n型半導体層と、p型半導体層およびn型半導体層の間に配置される第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層とを備え、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層は、それぞれ障壁層と量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造であり、第1の超格子半導体層の超格子構造および第2の超格子半導体層の超格子構造は、それぞれの超格子構造を構成する量子ドット層の伝導帯量子準位によって超格子ミニバンドを形成し、第2の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが、第1の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーよりも小さい受光素子である。
本発明の受光素子において好ましくは、第2の超格子半導体層がn型半導体層側に配置される。
本発明の受光素子において好ましくは、第1の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドと第2の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドとは少なくとも一部が重なる、または、第1の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドと第2の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドとの間のエネルギーギャップの大きさが、第1の超格子半導体層の障壁層材料のLOフォノンエネルギーと室温における熱エネルギーkT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度を示す)の総和以下である。
本発明の受光素子において好ましくは、第1の超格子半導体層は、Ga、InおよびAsからなり、第2の超格子半導体層は、Ga、In、AsおよびSbからなる。
本発明の受光素子において好ましくは、GaAsからなる基板上に、p型半導体層、第1の超格子半導体層、第2の超格子半導体層およびn型半導体層が前記の順に積層される。
本発明に係る太陽電池は、本発明の受光素子を備える。
本発明によれば、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)を作製可能な受光素子を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。 1種類の超格子半導体層を用いた場合に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドを介した光励起によるキャリアの取り出しを示した概略バンド図である。 本発明の実施形態1における超格子半導体層に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドを介した光励起によるキャリアの取り出しを示した概略バンド図である。 実験例1により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例1により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例1により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例1により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例1により計算された価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例1により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 比較実験例1により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例2により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例2により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例2により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例3により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例3により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例3により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例3により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例3により計算された価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例3により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 比較実験例3により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例4により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例4により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実験例4により計算された第1の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例4により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 実験例4により計算された価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例4により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 比較実験例4により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の受光素子および太陽電池について詳細に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
ここで、本明細書中で用いられる語句について簡単な説明を加える。
「超格子半導体層」は、障壁層と量子ドット層とが複数回繰り返し積層されて構成された超格子構造を有する。障壁層および量子ドット層はともに化合物半導体材料からなる。障壁層は量子ドット層よりもバンドギャップエネルギーが大きい。
「超格子構造」とは、複数の種類の結晶格子の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子よりも長い結晶格子からなることを意味する。
「量子ドット」とは、100nm以下の粒子サイズを有する半導体微粒子であり、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい半導体材料で囲まれた微粒子である。
「量子ドット層」とは、量子ドットと量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料とを含む層である。
「障壁層」とは、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料からなる層であり、量子ドットを含まない。
「タイプI構造」とは、異なる半導体材料が交互に積層された構造で、バンドギャップの小さい材料の伝導帯および価電子帯が、バンドギャップの大きい材料の伝導帯および価電子帯で挟まれたバンド構造である。その結果、電子および正孔がバンドギャップの小さい材料側に閉じ込められ、吸収および発光の効率は高い。
「タイプII構造」とは、異なる半導体材料が交互に積層された構造で、バンド不連続量が価電子帯と伝導帯でその符号を異にするバンド構造である。その結果、電子と正孔が、それぞれ異なる材料側で閉じ込められ、空間的に分離される。タイプI構造と比較して吸収および発光の効率は低いが、キャリアの寿命は長くなる。
「超格子ミニバンド」とは、量子ドットからしみ出した波動関数が重なり合うことで、各量子ドットの離散的エネルギー準位が束となり、形成されるバンドを言う。超格子ミニバンドの少なくとも一部は、障壁層の価電子帯上端と伝導帯下端との間に形成されている。
「量子準位」とは、電子の離散的なエネルギー準位を言う。
「伝導帯第一超格子ミニバンド」とは、超格子構造の伝導帯側の基底準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
「伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギー」は、伝導帯第一超格子ミニバンドの最小エネルギーを意味する。
「伝導帯第二以上の超格子ミニバンド」とは、超格子構造の伝導帯側の励起準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
<<実施形態1>>
[受光素子の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。本実施形態に係る受光素子は、n型半導体層1と、p型半導体層4と、n型半導体層1とp型半導体層4との間に配置される第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10B(以下、両者を含む概念として「超格子半導体層」とも記す)とを備える。
<n型半導体層>
n型半導体層1は、n型不純物を含む半導体からなる。
実施形態1では、太陽電池20において、n型半導体層1は、第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10Bの光入射側に位置するが、n型半導体層1は、第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10Bの光入射側の反対側に位置することもできる。
n型半導体層1は、第1の超格子半導体層10A、第2の超格子半導体層10Bおよびp型半導体層4とともにpin接合またはpn接合(pn−n接合、pp−n接合、p+pn接合、pnn+接合を含む)を構成することができる。このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。
n型半導体層は、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜であることが好ましい。
n型半導体層は、障壁層8Aまたは8Bと同じ半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよいし、障壁層8Aまたは8Bとは異なる半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよい。
n型半導体層はn−GaAsSb、n−GaAs、n−AlGaAs、n−AlGaAsSb、n−AlAsSb、n−InAlAs、n−ZnTeなどからなることが好ましい。
n型半導体層におけるn型不純物の濃度は特に限定されず、n型半導体層を構成する半導体材料に応じて適宜設定されることが好ましい。
n型半導体層の厚さは特に限定されず、超格子半導体層が光を十分に吸収可能となるように適宜設定されることが好ましい。
<p型半導体層>
p型半導体層4は、p型不純物を含む半導体からなる。
実施形態1では、太陽電池20において、p型半導体層4は、第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10Bの光入射側の反対側に位置するが、p型半導体層4は、第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10Bの光入射側に位置することもできる。
p型半導体層4は、第1の超格子半導体層10A、第2の超格子半導体層10Bおよびn型半導体層1とともにpin接合またはpn接合(pn−n接合、pp−n接合、p+pn接合、pnn+接合を含む)を構成することができる。このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。
p型半導体層は、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜であってもよい。
p型半導体層は、障壁層8Aまたは8Bと同じ半導体材料にp型不純物を添加したものであってもよいし、障壁層8Aまたは8Bとは異なる半導体材料にp型不純物を添加したものであってもよい。
p型半導体層はp−GaAs、p−GaAsSb、p−AlGaAs、p−AlGaAsSb、p−AlAsSb、p−InAlAs、p−ZnTeなどからなることが好ましい。
p型半導体層におけるp型不純物の濃度は特に限定されず、p型半導体層を構成する半導体材料に応じて適宜設定されることが好ましい。
p型半導体層の厚さは特に限定されず、超格子半導体層が光を十分に吸収可能となるように適宜設定されることが好ましい。
<第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層>
第1の超格子半導体層10Aおよび第2の超格子半導体層10Bは、n型半導体層1とp型半導体層4との間に配置される。
第1の超格子半導体層10Aは、障壁層8Aと量子ドット層6Aとが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する。量子ドット層6Aでは、複数の量子ドット7Aが、障壁層8Aと同じ半導体材料中に配置されている。第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造である。
第2の超格子半導体層10Bは、障壁層8Bと量子ドット層6Bとが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する。量子ドット層6Bでは、複数の量子ドット7Bが、障壁層8Bと同じ半導体材料中に配置されている。第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図1には示されていないが、超格子半導体層には、量子ドット層および障壁層と異なる材料のキャップ層や量子井戸といった挿入層が、量子ドット層および障壁層とともに繰り返し積層されても良い。
以下、量子ドット層6Aおよび量子ドット層6Bを含む概念として「量子ドット層」と、量子ドット7Aおよび量子ドット7Bを含む概念として「量子ドット」と、障壁層8Aおよび障壁層8Bを含む概念として「障壁層」とも記す。
量子ドットおよび障壁層の各材料は、特に限定されないが、III−V族化合物半導体であることが好ましい。量子ドットは、障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい半導体材料からなることが好ましい。たとえば、量子ドットおよび障壁層の各材料は、GaAsxSb1-x、AlSb、InAsxSb1-x、GaxIn1-xSb、AlSbxAs1-x、AlAszSb1-z、InxGa1-xAs、AlxGa1-xAs、AlyGa1-yAszSb1-z、InxGa1-xP、(AlyGa1-yzIn1-zP、GaAsx1-x、GayIn1-yAsz1-z、InxAl1-xAs(すべての前記材料において、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。以下同様。)であることが好ましく、これらの混晶材料であっても良い。
量子ドットおよび障壁層の各材料は、周期律表の第IV族半導体、第III族半導体材料と第V族半導体材料とからなる化合物半導体、または、第II族半導体材料と第VI族半導体材料とからなる化合物半導体であっても良く、これらの混晶材料であっても良い。また、量子ドットおよび障壁層の各材料は、カルコパイライト系材料であっても良いし、カルコパイライト系材料以外の半導体であっても良い。
たとえば、障壁層の材料と量子ドットの材料との組み合わせ(以下、A/Bは、Aが量子ドットの材料、Bが障壁層の材料を示す)としては、InxGa1-xAs/GaAs、InxGa1-xAs/GaNAs、InxGa1-xAs/AlxGa1-xAs、InxGa1-xAs/InxGa1-xP、InxGa1-xAs/GayIn1-yAsz1-z、GaxIn1-xN/GaN、InxGa1-xAs/AlyGa1-yAszSb1-z、InxGa1-xAs/GaAsxSb1-x、InxGa1-xAs/AlAszSb1-z、InxGa1-xAs/AlxGa1-xSb、InAsxSb1-x/GaAsxSb1-x、InAsxSb1-x/AlyGa1-yAszSb1-z、InAsxSb1-x/AlAszSb1-z、InAsxSb1-x/AlxGa1-xSb、InP/InxAl1-xAs、InxGa1-xAs/InxAl1-xAs、InxGa1-xAs/GaAsx1-x、InxGa1-xAs/(AlyGa1-yzIn1-zP、InAsxSb1-x/InxGa1-xP、InAsxSb1-x/GaAsx1-x、GaxIn1-xSb/AlSb、CuInSe2/CuGaS2、ZnSe/ZnTe(すべての前記材料において、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。)などが挙げられる。
これらの組み合わせのうち、タイプI構造を得るためには、InxGa1-xAs/GaAs、InxGa1-xAs/GaNAs、InxGa1-xAs/AlxGa1-xAs、InxGa1-xAs/InxGa1-xP、InxGa1-xAs/GayIn1-yAsz1-z、GaxIn1-xN/GaN、InxGa1-xAs/InxAl1-xAs、InxGa1-xAs/GaAsx1-x、InxGa1-xAs/(AlyGa1-yzIn1-zP、InAsxSb1-x/InxGa1-xP、InAsxSb1-x/GaAsx1-x、GaxIn1-xSb/AlSb、CuInSe2/CuGaS2などを用いることが好ましい。
また、タイプII構造を得るためには、InxGa1-xAs/GaAsxSb1-x、InxGa1-xAs/AlyGa1-yAszSb1-z、InxGa1-xAs/AlAszSb1-z、InxGa1-xAs/AlxGa1-xSb、InAsxSb1-x/GaAsxSb1-x、InAsxSb1-x/AlyGa1-yAszSb1-z、InAsxSb1-x/AlAszSb1-z、InAsxSb1-x/AlxGa1-xSb、InP/InxAl1-xAs、ZnSe/ZnTeなどを用いることが好ましい。
また、第1の超格子半導体層は、Gaと、Inと、Asとからなり、第2の超格子半導体層は、Gaと、Inと、Asと、Sbとからなることが好ましい。これにより、超格子半導体層を容易に作製することができる。
超格子半導体層は、さらにGaAsからなる基板を備え、基板上に、p型半導体層、第1の超格子半導体層、第2の超格子半導体層およびn型半導体層が前記の順に積層されることが好ましい。これにより、超格子半導体層を容易に作製することができる。
超格子半導体層は、i型半導体層であってもよいし、受光により起電力が生じるのであればp型不純物またはn型不純物を含む半導体層であってもよい。
本実施形態における超格子半導体層では、量子ドットの形状、量子ドットの材料、障壁層の厚さ、および、障壁層の材料を調整することで、量子ドットからしみ出した波動関数が重なり合うようになる。この電子的結合の結果、各量子ドットの離散的エネルギー準位が束となり、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが形成される。
本実施形態における超格子ミニバンドは、量子ドット層の伝導帯量子準位によって形成される。
伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは、量子ドットの形状、障壁層の厚さ、量子ドットの有効質量、障壁層の有効質量、または、量子ドットと障壁層との間のバンド不連続量などにより決まる。
具体的には、量子ドット層の積層方向における量子ドットの大きさ、量子ドット層の面内方向における量子ドットの大きさ、または、量子ドット層の積層方向および面内方向における量子ドットの大きさを小さくすることで、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。例えば、第1の超格子半導体層では、量子ドット層の積層方向における量子ドットの大きさは0.5〜50nm、量子ドット層の面内方向における量子ドットの大きさは0.5〜100nmが好ましい。第2の超格子半導体層では、量子ドット層の積層方向における量子ドットの大きさは0.5〜50nm、量子ドット層の面内方向における量子ドットの大きさは0.5〜100nmが好ましい。
量子ドットの有効質量または障壁層の有効質量を小さくすることでも、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。
量子ドットと障壁層との間のバンド不連続量を大きくすることで、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。
障壁層の厚さを薄くすることで、超格子ミニバンドのエネルギー幅を広げることができるとともに、超格子ミニバンドの下端エネルギーを小さくすることができる。例えば、第1の超格子半導体層では、障壁層の厚さは0.5〜20nmが好ましく、第2の超格子半導体層では、障壁層の厚さは0.5〜20nmが好ましい。
このように、量子ドットの形状、量子ドットの材料、障壁層の厚さ、および、障壁層の材料を調整することで、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさを制御することができる。なお、「量子ドットの形状」には、量子ドットの大きさも含まれる。そのため、「量子ドットの形状を調整する」には、量子ドットの外形を変更せずに量子ドット7の大きさのみを変更することも含まれる。
本実施形態において、第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造であり、前記第2の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが、前記第1の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーよりも小さい。したがって、本実施形態に係る受光素子では、第1の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドに光励起されたキャリアが、第2の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドへ緩和され、電子とホールとを空間的に分離することができる。さらに、第2の超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造であるため、キャリア寿命を長くでき、二段階目の光励起確率を高めることができる。
また、前記第1の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドと前記第2の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドとの間のエネルギーギャップの大きさが、第1の超格子半導体層の障壁層材料のLOフォノンエネルギーと室温における熱エネルギーkT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度を示す)の総和以下であれば、ミニバンドやLOフォノン散乱を介した高速緩和により、第1の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドから第2の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドへ、より効率的にキャリアが集まることができる。したがって、受光素子からのキャリアの取り出し効率が向上する。
以下、受光素子からのキャリアの取り出しについて、図2および図3を用いて具体的に説明する。なお、図2および図3に示される超格子ミニバンドの数は一例であり、適宜調節することができる。
図2は、1種類の超格子半導体層を用いた場合に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドを介したキャリアの取り出しを示した概略バンド図である。なお、図2において、斜線部は電子の存在を表している。
上述のように、量子ドットの形状、量子ドットの材料、障壁層の厚さまたは障壁層の材料を制御することにより、超格子半導体層には、図2に示す超格子ミニバンド24が形成される。超格子ミニバンド24は、伝導帯第一超格子ミニバンド21および伝導帯第二以上の超格子ミニバンド25を含む。
入射光が超格子半導体層に入射すると、矢印で示すように、価電子帯23から伝導帯第一超格子ミニバンド21への電子の遷移および伝導帯第一超格子ミニバンド21から障壁層の伝導帯22以上への電子の遷移が起こる。なお、図2には明記していないが、伝導帯第一超格子ミニバンド21を介さない、価電子帯23から伝導帯22または伝導帯第二以上の超格子ミニバンド25への電子の遷移も起きる。
このような伝導帯第一超格子ミニバンドを介した光励起により、障壁層の伝導帯に電子を、障壁層の価電子帯にホールを発生させ光電変換することができ、光起電力を発生させることができる。
図3は、本実施形態における超格子半導体層に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドを介したキャリアの取り出しを示した概略バンド図である。なお、図3において、斜線部は電子の存在を表している。
本実施の形態における超格子半導体層では、図3に示されるように、第1の超格子半導体に超格子ミニバンド34Aが形成され、第2の超格子半導体層に超格子ミニバンド34Bが形成される。超格子ミニバンド34Aは、伝導帯第一超格子ミニバンド31Aおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンド35Aを含む。超格子ミニバンド34Bは、伝導帯第一超格子ミニバンド31Bおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンド35Bを含む。伝導帯第一超格子ミニバンド31Bの下端エネルギーは、伝導帯第一超格子ミニバンド31Aの下端エネルギーよりも小さい。
図3では、伝導帯第一超格子ミニバンド31Bの下端エネルギーが伝導帯第一超格子ミニバンド31Aの下端エネルギーよりも小さいため、伝導帯第一超格子ミニバンド31Aのキャリアが伝導帯第一超格子ミニバンド31Bへ速やかに移動する。このため、p型半導体層4側に配置された第1の超格子半導体層10Aの伝導帯第一超格子ミニバンド31Aにはキャリアが存在せず、n型半導体層1側に配置された第2の超格子半導体層10Bの伝導帯第一超格子ミニバンド31Bにはキャリアが満たされている。
また、伝導帯第一超格子ミニバンド31A及び伝導帯第一超格子ミニバンド31Bの一部が重なる、あるいは、伝導帯第一超格子ミニバンド31Aと伝導帯第一超格子ミニバンド31Bとの間のエネルギーギャップの大きさが、第1の超格子半導体層の障壁層材料のLOフォノンエネルギーと室温における熱エネルギーkTの総和以下であるときは、伝導帯第一超格子ミニバンド31Aのキャリアが伝導帯第一超格子ミニバンド31Bへ、ミニバンドやLOフォノン散乱を介して高速緩和される。
ここで、入射光が超格子半導体層に入射すると、第1の超格子半導体層10Aでは、矢印Aで示すように、電子が価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンド31Aへ遷移する。伝導帯第一超格子ミニバンド31Aへ遷移した電子は、伝導帯第一超格子ミニバンド31Bへ速やかに移動する。そして、第2の超格子半導体層10Bでは、矢印Bに示すように、電子が伝導帯第一超格子ミニバンド31Bから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへ遷移する。第2の超格子半導体層10BはタイプII構造の超格子構造で構成されているため、キャリア再結合を抑制でき、キャリア寿命を長くすることができる。したがって、伝導帯第一超格子ミニバンド31B内の電子は、高いキャリア占有率及び長いキャリア寿命により、二段階目の光励起がされやすくなる。よって、本実施形態に係る受光素子は、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスを提供することができる。
タイプII構造の超格子構造を有する第2の超格子半導体層10Bがn型半導体層1側に配置されている場合、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドに励起されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層1へ取り出される。したがって、このような受光素子を用いたデバイスは、短絡電流を向上させることができる。
また、第2の超格子半導体層には、不純物がドープされていても良い。これにより、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが小さい超格子構造におけるキャリア占有率が高くなるので、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移確率がより高まる。
上記のような、超格子半導体層中に障壁層と量子ドット層とを繰り返し積層してミニバンドを形成するという方法は、受光素子の設計において、様々な選択肢を提供することができる。よって、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスの提供を図ることができる。
<<実施形態2>>
[太陽電池の構成]
本実施形態に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を図1を用いて説明する。
太陽電池20は、裏面にp型電極17を形成したp型基板12上にバッファ層3と、p型半導体層4と、第1の超格子半導体層10Aと、第2の超格子半導体層10Bと、n型半導体層1と、窓層14とを前記の順で積層して備える。さらに、窓層14の上にコンタクト層15を介してn型電極18を備える。
バッファ層3としては、たとえばp+−GaAs層を用いることができる。バッファ層の厚さは、たとえば100nm〜500nmとすることができる。
p型半導体層4としては、たとえばp−GaAs層を用いることができる。p型半導体層4の厚さは、たとえば20nm〜3000nmとすることができる。
n型半導体層1としては、たとえばn−GaAsxSb1-x(0≦x≦1)層を用いることができる。n型半導体層1の厚さは、たとえば20nm〜3000nmとすることができる。
窓層14としては、たとえばn−Al0.75Ga0.25As層を用いることができる。窓層の厚さは、たとえば10nm〜300nmとすることができる。
コンタクト層15としては、たとえばn+−GaAsxSb1-x(0≦x≦1)層を用いることができる。コンタクト層の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
p型電極17としては、たとえばTi/Pt/Au、Au/Zn、Au/Cr、Ti/Au、Au/Zn/Auを用いることができる。p型電極の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
n型電極18としては、たとえばAu/AuGeNi、AuGe/Ni/Au、Au/Ge、Au/Ge/Ni/Auを用いることができる。n型電極の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
なお、本実施形態に係る太陽電池は、集光システムと組み合わせることもできる。
[太陽電池の製造方法]
まず、p−GaAsのp型基板12を有機系洗浄液で洗浄した後、硫酸系エッチング液によってエッチングし、さらに10分間流水洗浄を施した後、MOCVD装置内に支持する。次に、p型基板12上にバッファ層3を形成する。バッファ層3としては、300nmの厚さのp+−GaAs層を形成することが好ましい。バッファ層3の形成により、バッファ層3上に形成される超格子半導体層(光吸収層)の結晶性を向上させることができる。よって、超格子半導体層での受光効率が確保された太陽電池20を提供することができる。その後、バッファ層3上にp型半導体層4を形成する。p型半導体層4としては、300nmの厚さのp−GaAs層を形成することが好ましい。
続いて、p型半導体層4上に障壁層8Aと量子ドット層6Aとを含む第1の超格子半導体層10Aを形成する。分子線エピタキシー(MBE)法または有機金属化学気相成長(MOCVD)法などにより障壁層8Aを形成することができ、Stranski―Krastanov(S−K)成長と呼ばれる方法により量子ドット層6Aを成長させることができる。具体的には、例えば、障壁層8AとしてGaAs層を結晶成長させた後、自己組織化機構によりインジウムガリウム砒素InxGa1-xAs(x=1)からなる量子ドット7Aを形成し、量子ドット7Aを形成していない部分に障壁層と同一のGaAs層を結晶成長させる。これにより、量子ドット層6Aが形成される。その後、障壁層8AとしてのGaAs層の結晶成長と量子ドット層6Aの成長とを繰り返す。量子ドット層6の成長方法は上述のとおりである。
次に、第1の超格子半導体層10A上に障壁層8Bと量子ドット層6Bとを含む第2の超格子半導体層10Bを形成する。障壁層8Bと量子ドット層6Bの成長方法は、それぞれ障壁層8Aと量子ドット層6Aと同様の方法を用いることができる。例えば、障壁層8BとしてはGaAsxSb1-x層(0≦x<1)を、量子ドット7BとしてはInxGa1-xAs(x=1)を用いることが好ましい。
その後、キャップ層を形成することが好ましい。キャップ層としては約4nmの厚さのGaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を形成することが好ましく、キャップ層の形成により結晶表面の平坦性を回復することができる。このようにして、超格子半導体層が形成される。
続いて、第1の超格子半導体層10B上にn型半導体層1を形成する。n型半導体層1としては、250nmの厚さのn−GaAsxSb1-x(0≦x≦1)層を形成することが好ましい。これにより、pin構造が形成される。
続いて、n型半導体層1上に窓層14およびコンタクト層15を形成する。窓層14としては、50nmの厚さでn−Al0.75Ga0.25As層を結晶成長させることが好ましい。コンタクト層15としては、100nmの厚さでn+−GaAsxSb1-x(0≦x≦1)層を結晶成長させることが好ましい。その後、この積層体をMOCVD装置から取り出してから、p型基板の下面上にp型電極を形成する。その後、コンタクト層15上にフォトリソグラフィーとリフトオフ技術とによりn型電極(櫛型電極)18を形成し、このn型電極18をマスクとしてコンタクト層15を選択エッチングする。このようにして、本実施形態に係る太陽電池20を得ることができる。
ここで、基板処理温度を、たとえば、Inの再脱離を防ぐために量子ドット層を含む超格子半導体層の形成時には520℃とし、それ以外の層の形成時には590℃とすることが好ましい。
また、たとえば、n型ドーパントとしてSiを用いることができ、p型ドーパントとしてはBeを用いることができる。n型ドーパントは、量子ドット層および障壁層の少なくとも一方の結晶成長中に添加されることが好ましい。p型電極17およびn型電極18は、材料としてAuを用いることが好ましく、抵抗加熱蒸着法による真空蒸着で形成されることが好ましい。
なお、本実施形態で示した例は一例に過ぎない。p型基板、バッファ層、p型半導体層、超格子半導体層、n型半導体層、窓層、コンタクト層、n型ドーパント、p型ドーパント、n型電極およびp型電極などの各材料、各プロセスで使用する洗浄剤、基板処理温度、ならびに、製造装置などは、上記記載に限定されない。
<<実施形態3>>
[量子型赤外線センサー]
実施形態1の受光素子は、量子型赤外線センサーに用いることができる。
量子ドットを用いた量子型赤外線センサーでは、高い量子効率および高感度を有する赤外線センサーを得るために、赤外線吸収により光励起されたキャリアが、伝導帯の量子準位から高効率で取り出されることが望ましい。
実施形態1で述べた超格子半導体層は、光励起されたキャリアを高効率で取り出すことができる。したがって、実施形態1の受光素子を用いた量子型赤外線センサーは、高い量子効率と高感度を有することができる。
<実験例1>
本発明の一実施の形態における受光素子について、シミュレーション実験を行った。
[評価方法]
歪とピエゾ電界の効果との影響を考慮に入れた8バンドk・pハミルトニアンの平面波展開法を用いて、超格子構造のミニバンド構造、光吸収スペクトル、輻射寿命をシミュレーションした。光吸収係数αは下記(式1)を解くことで、輻射寿命は下記(式2)を解くことで見積ることができる。
Figure 0006258712
Figure 0006258712
実験例1では、2種類の超格子半導体層に対して別々にミニバンド構造を計算し、光吸収スペクトル及び輻射寿命をシミュレーションした。
第1の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用い、第2の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.80Sb0.20)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。本実験例では、母体半導体材料をGaAsxSb1-xとし、量子ドット材料をInyGa1-yAsとしたが、x及びyの値は適宜変更することができるし、異なる半導体材料であってもよい。
p型半導体層側の第1の超格子半導体層、及びn型半導体層側の第2の超格子半導体層では、ともに、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを15nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を3nmとした。なお、第1の超格子半導体層の厚さを3μmとし、第2の超格子半導体層の厚さを3μmとし、超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
図4および図5には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。横軸は量子ドット中心の積層方向(図1のz方向)の距離を示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。実線は伝導帯、破線は価電子帯のポテンシャル分布を示す。
図4および図5から分かるように、第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図6および図7には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図6および図7において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。
図6および図7から分かるように、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層では、それぞれ、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが伝導帯において形成されることが分かった。第1の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.905eV及び0.953eVであり、第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.865eV及び0.922eVであった。つまり、実験例1の場合、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの一部が重なる状態にあることから、高速緩和される。また、第2の超格子半導体層はタイプII構造であるため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
Figure 0006258712
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<比較実験例1>
比較実験例1では、超格子半導体層は上記実験例1のタイプI構造の超格子構造だけで構成されると仮定して、ミニバンド構造を計算し光吸収スペクトル及び輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層の全体の厚さは6μmとした。
本比較実験例により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布、および伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)は図4および図6に示す通りである。上記実験例1とは異なり、超格子半導体層はタイプI構造の超格子構造だけで構成されるため、超格子ミニバンドで生成されたキャリアの移動は超格子半導体層全体に渡って緩やかである。
Figure 0006258712
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<考察>
実験例1の超格子半導体層と比較実験例1の超格子半導体層とでは、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収は同一であり、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収も吸収帯域や吸収率において著しい違いは見られなかった。一方で、輻射寿命においては、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間において、実験例1の方が比較実験例1に比べて2倍長かった。よって、実験例1は超格子ミニバンドを介した二段階目の光吸収をほとんど変えることなく、超格子ミニバンド内でのキャリア寿命を延ばすことができるため、二段階遷移の効率を向上させることができる。また、n型半導体層は、第2の超格子半導体層側に配置されているため、第2の超格子半導体層で二段階目光励起されたキャリアは、n型半導体層から速やかにキャリアが取り出される。これらのことから、伝導帯第一超格子ミニバンド内に生成されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出されることが確認された。したがって、実験例1の超格子半導体層を用いた受光素子は短絡電流を向上させることができる。
<実験例2>
実験例2では、障壁層を構成する母体半導体材料を変更することを除いては上記実験例1と同様の方法にしたがってシミュレーションを行った。
第1の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用い、第2の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.65Sb0.35)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。
図11には、本実験例により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。横軸は量子ドット中心の積層方向の距離を示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。実線は伝導帯、破線は価電子帯のポテンシャル分布を示す。第1の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布は、図4と同じである。図11から分かるように、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図12には、本実験例により計算された第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。第1の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造は図6と同じである。図12から分かるように、第2の超格子半導体層では、第1の超格子半導体層同様、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが伝導帯において形成されることが分かった。第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.841eV及び0.901eVであった。非特許文献2によれば、遷移準位間のエネルギーギャップが障壁層GaAsのLOフォノンエネルギー近傍である場合、LOフォノンエネルギーを中心にピコ秒〜ナノ秒オーダーで高速緩和されることが示されている。具体的には、LOフォノンエネルギー(36meV)と室温における熱エネルギー(26meV)の総和であっても〜10nsレベルで速やかに緩和されることが示されている。実験例2の場合、第1の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.905eV及び0.953eVであることから、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンド間のエネルギーギャップの大きさが第1の超格子半導体層の障壁層のLOフォノンエネルギー(36meV)と室温における熱エネルギー(26meV)の総和以内である。したがって実験例2では、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンド間で、LOフォノンエネルギーに一致する遷移エネルギーギャップを有しており、LOフォノン散乱を介して高速緩和される。また、第2の超格子半導体層はタイプII構造であるため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
Figure 0006258712
また、式2を用いて第2の超格子半導体層における輻射寿命を算出したところ、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間は304nsであった。
<比較実験例2>
比較実験例2では、超格子半導体層は上記実験例2のタイプI構造の超格子構造だけで構成されると仮定して、ミニバンド構造を計算し光吸収スペクトル及び輻射寿命をシミュレーションした。結果は比較実験例1と同じである。
<考察>
実験例2の超格子半導体層と比較実験例2の超格子半導体層とでは、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収は同一であり、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収も吸収帯域や吸収率において著しい違いは見られなかった。一方で、輻射寿命においては、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間において、実験例2の方が比較実験例2に比べて約101倍長かった。よって、超格子ミニバンドを介した二段階目の光吸収をほとんど変えることなく、超格子ミニバンド内でのキャリア寿命を延ばすことができるため、二段階遷移の効率を向上させることができる。また、n型半導体層は、第2の超格子半導体層側に配置されているため、第2の超格子半導体層で二段階目光励起されたキャリアは、n型半導体層から速やかに取り出される。これらのことから、障壁層を構成する母体半導体材料を変更した場合でも、伝導帯第一超格子ミニバンド内に生成されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出されることが確認された。したがって、実験例2の超格子半導体層を用いた受光素子は、短絡電流を向上させることができる。
<実験例3>
実験例3では、量子ドット間の積層方向の距離を変更することを除いては上記実験例1と同様の方法にしたがってシミュレーションを行った。
第1の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用い、第2の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.80Sb0.20)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。
p型半導体層側の第1の超格子半導体層、及びn型半導体層側の第2の超格子半導体層では、ともに、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを15nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を8nmとした。なお、第1の超格子半導体層の厚さを3μmとし、第2の超格子半導体層の厚さを3μmとし、超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
図14および図15には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。横軸は量子ドット中心の積層方向の距離を示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。実線は伝導帯、破線は価電子帯のポテンシャル分布を示す。図14および図15から分かるように、第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図16および図17には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図16および図17において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。図16および図17から分かるように、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層では、それぞれ、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが伝導帯において形成されることが分かった。第1の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.946eV及び0.948eVであり、第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさは0.903eV及び0.906eVであった。つまり、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンド間のエネルギーギャップの大きさが第1の超格子半導体層の障壁層のLOフォノンエネルギー(36meV)と室温における熱エネルギー(26meV)の総和以内であり、キャリアがLOフォノン散乱を介して高速緩和される。また、第2の超格子半導体層はタイプII構造であるため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
Figure 0006258712
Figure 0006258712
<比較実験例3>
比較実験例3では、超格子半導体層は上記実験例3のタイプI構造の超格子構造だけで構成されると仮定して、ミニバンド構造を計算し光吸収スペクトル及び輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層の全体の厚さは6μmとした。
本比較実験例により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布、および伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)は図14および図16に示す通りである。上記実験例3とは異なり、超格子半導体層はタイプI構造の超格子構造だけで構成されるため、超格子ミニバンドで生成されたキャリアの移動は超格子半導体層全体に渡って緩やかである。
Figure 0006258712
Figure 0006258712
<考察>
実験例3の超格子半導体層と比較実験例3の超格子半導体層とでは、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収は同一であり、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収も吸収帯域や吸収率において著しい違いは見られなかった。一方で、輻射寿命においては、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間において、実験例3の方が比較実験例3に比べて7倍長かった。よって、超格子ミニバンドを介した二段階目の光吸収をほとんど変えることなく、超格子ミニバンド内でのキャリア寿命を延ばすことができるため、二段階遷移の効率を向上させることができる。また、n型半導体層は、第2の超格子半導体層側に配置されているため、第2の超格子半導体層で二段階目光励起されたキャリアは、n型半導体層から速やかに取り出される。これらのことから、伝導帯第一超格子ミニバンド内に生成されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出されることが確認された。したがって、実施例3の超格子半導体層を用いた受光素子は、短絡電流を向上させることができる。
<実験例4>
第1の超格子半導体層では、量子ドット材料を変更することを除いては上記実験例1と同様の方法にしたがってシミュレーションを行った。
第1の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)、量子ドット材料にインジウムガリウム砒素(In0.80Ga0.20As)を用い、第2の超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.80Sb0.20)、量子ドット材料にインジウムガリウム砒素(In0.80Ga0.20As)を用いた。
p型半導体層側の第1の超格子半導体層、及びn型半導体層側の第2の超格子半導体層では、ともに、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを15nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を3nmとした。なお、第1の超格子半導体層の厚さを3μmとし、第2の超格子半導体層の厚さを3μmとし、超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
図21および図22には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。横軸は量子ドット中心の積層方向の距離を示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。実線は伝導帯、破線は価電子帯のポテンシャル分布を示す。図21および図22から分かるように、第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図23および図24には、それぞれ、本実験例により計算された第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図23および図24において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。図23および図24から分かるように、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層では、それぞれ、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが伝導帯において形成されることが分かった。
第1の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさはそれぞれ0.989eV及び1.040eVであり、第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーおよび上端エネルギーの大きさはそれぞれ0.942eV及び0.996eVであった。
つまり、実験例4の場合、第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層の伝導帯第一超格子ミニバンドの一部が重なる状態にあることから、キャリアが高速緩和される。また、第2の超格子半導体層はタイプII構造であるため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
図25には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示し、図26には、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示す。
Figure 0006258712
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<比較実験例4>
比較実験例4では、超格子半導体層は上記実験例4のタイプI構造の超格子構造だけで構成されると仮定して、ミニバンド構造を計算し光吸収スペクトル及び輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層の全体の厚さは6μmとした。
本比較実験例により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布、および伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)は図21および図23に示す通りである。上記実験例4とは異なり、超格子半導体層はタイプI構造の超格子構造だけで構成されるため、超格子ミニバンドで生成されたキャリアの移動は超格子半導体層全体に渡って緩やかである。

Figure 0006258712
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<考察>
実験例4の超格子半導体層と比較実験例4の超格子半導体層とでは、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収は同一であり、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収も吸収帯域や吸収率において著しい違いは見られなかった。一方で、輻射寿命においては、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間において、実験例4の方が比較実験例4に比べて約15倍長かった。よって、超格子ミニバンドを介した二段階目の光吸収をほとんど変えることなく、超格子ミニバンド内でのキャリア寿命を延ばすことができるため、二段階遷移の効率を向上させることができる。また、n型半導体層は、第2の超格子半導体層側に配置されているため、第2の超格子半導体層で二段階目光励起されたキャリアは、n型半導体層から速やかに取り出される。これらのことから、伝導帯第一超格子ミニバンド内に生成されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出されることが確認された。したがって、実験例4の超格子半導体層を用いた受光素子は、短絡電流を向上させることができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の受光素子は、太陽電池、フォトダイオード、半導体光増幅器および量子ドット赤外線センサーなどに用いることができる。
1 n型半導体層、3 バッファ層、4 p型半導体層、6A,6B 量子ドット層、7A,7B 量子ドット、8A,8B 障壁層、10A 第1の超格子半導体層、10B 第2の超格子半導体層、12 p型基板、14 窓層、15 コンタクト層、17 p型電極、18 n型電極、20 太陽電池、21,31A,32A 伝導帯第一超格子ミニバンド、22、32 伝導帯、23,33 価電子帯、24,34A,34B 超格子ミニバンド、25,35A,35B 伝導帯第二以上の超格子ミニバンド。

Claims (6)

  1. p型半導体層と、n型半導体層と、前記p型半導体層および前記n型半導体層の間に配置される第1の超格子半導体層および第2の超格子半導体層とを備え、
    前記第1の超格子半導体層および前記第2の超格子半導体層は、それぞれ障壁層と量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、
    前記第1の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプI構造であり、
    前記第2の超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造であり、
    前記第1の超格子半導体層の超格子構造および前記第2の超格子半導体層の超格子構造は、それぞれの前記超格子構造を構成する前記量子ドット層の伝導帯量子準位によって超格子ミニバンドを形成し、
    前記第2の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが、前記第1の超格子半導体層の超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーよりも小さく、
    前記第1の超格子半導体層および前記第2の超格子半導体層が有する前記障壁層の厚さは、0.5〜20nmである、受光素子。
  2. 前記第2の超格子半導体層が前記n型半導体層側に配置される、請求項1に記載の受光素子。
  3. 前記第1の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドと前記第2の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドとは少なくとも一部が重なる、または、
    前記第1の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドと前記第2の超格子半導体層の超格子構造に形成される超格子ミニバンドとの間のエネルギーギャップの大きさが、前記第1の超格子半導体層の障壁層材料のLOフォノンエネルギーと室温における熱エネルギーkT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度を示す)の総和以下である、請求項1または2に記載の受光素子。
  4. 前記第1の超格子半導体層は、Ga、InおよびAsからなり、
    前記第2の超格子半導体層は、Ga、In、AsおよびSbからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の受光素子。
  5. さらにGaAsからなる基板を備え、前記基板上に、前記p型半導体層、前記第1の超格子半導体層、前記第2の超格子半導体層および前記n型半導体層が前記の順に積層される、請求項4に記載の受光素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の受光素子を備えた太陽電池。
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