JP6312450B2 - 受光素子および受光素子を備えた太陽電池 - Google Patents

受光素子および受光素子を備えた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、受光素子およびその受光素子を備えた太陽電池に関し、特定的には量子ドットを用いた量子ドット受光素子およびその受光素子を備えた太陽電池に関する。
受光素子を備えたデバイスの一例である太陽電池では、光電変換効率を高めるために、より広い波長範囲の光を利用できる技術の開発が行われている。
たとえば、光吸収層に量子ドットを用いた量子構造を導入することで、従来太陽電池では透過損失となっていた長波長の光を利用できる(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。しかし、長波長光を吸収して量子構造の量子準位まで励起されたキャリアが、電極に取り出される前に再結合してしまうという問題がある。
そこで、量子構造のバンド構造をタイプII構造とすることで、キャリア寿命を増大することが検討されている(特許文献2、非特許文献3)。バンド構造をタイプII構造とすることで、生成された電子とホールは空間的に分離され、これによりキャリア寿命を増大させることができる。例えば、量子ドットにInAsを用い、障壁層にGaAs1−xSbを用いることでタイプII構造とすることができ、xの割合を増大させることで、キャリアの空間分離が強まり、キャリア寿命が増大する傾向にあることが知られている。
特表2010−509772号公報 特開2006−114815号公報
PHYSICAL REVIEW LETTERS、97巻、247701ページ、2006年 PHYSICAL REVIEW B、82巻、195321ページ、2010年 APPLIED PHYSICS LETTERS、93巻、033107ページ、2008年
しかしながら、量子ドットを用いた太陽電池においては、量子ドットで生成されたキャリアの取り出し効率が極めて低く、光電変換効率が伸び悩んでいる。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところはキャリア寿命が増大し、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)を作製可能な受光素子を提供することである。
本発明は、障壁層と、量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する超格子半導体層を備え、障壁層はGaおよびAlの少なくともいずれかと、AsおよびSbとを含み、量子ドット層はInおよびAsを含み、障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とが、q≧(3d+10)/100の関係を示す、受光素子である。
本発明の受光素子において好ましくは、障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とが、q≧(3d+15)/100の関係を示す。
本発明の受光素子において好ましくは、さらにp型半導体層とn型半導体層とを備え、p型半導体層とn型半導体層とに挟まれた超格子構造とを備える。
本発明の太陽電池は、本発明の受光素子を備える。
本発明によれば、キャリア寿命が増大し、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)を作製可能な受光素子を提供することができる。
(a)は本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。(b)は(a)のIb部の拡大図である。 実施例1により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実施例1により計算された超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造である。 比較例1により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実施例6により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実施例8により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実施例10により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 実施例11により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布である。 (a)は実施例9により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布である。(b)は実施例9により計算された価電子帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布である。 (a)は比較例3により計算された伝導帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布である。(b)は比較例3により計算された価電子帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態における受光素子および太陽電池について詳細に説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
本明細書中で用いられる語句について簡単な説明を加える。
「超格子半導体層」は、障壁層と量子ドット層とが複数回繰り返し積層されて構成された超格子構造を有する。障壁層および量子ドット層はともに化合物半導体材料からなる。障壁層は量子ドット層よりもバンドギャップエネルギーが大きい。
「超格子構造」とは、複数の種類の結晶格子の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子よりも長い結晶格子からなることを意味する。
「量子ドット」とは、100nm以下の粒子サイズを有する半導体微粒子であり、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい半導体材料で囲まれた微粒子である。
「量子ドット層」とは、量子ドットと量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料とを含む層である。
「障壁層」とは、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料からなる層であり、量子ドットを含まない。
「タイプII構造」とは、異なる半導体材料が交互に積層された構造で、バンド不連続量が価電子帯と伝導帯でその符号を異にするバンド構造である。その結果、電子と正孔が、それぞれ異なる材料側で閉じ込められ、空間的に分離される。
「超格子ミニバンド」とは、量子ドットからしみ出した波動関数が重なり合うことで、各量子ドットの離散的エネルギー準位が束となり、形成されるバンドを言う。超格子ミニバンドの少なくとも一部は、障壁層の価電子帯上端と伝導帯下端との間に形成されている。
「量子準位」とは、電子の離散的なエネルギー準位を言う。
「伝導帯第一超格子ミニバンド」とは、超格子構造の伝導帯側の基底準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
「伝導帯第二以上の超格子ミニバンド」とは、超格子構造の伝導帯側の励起準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
「価電子帯第一超格子ミニバンド」とは、超格子構造の価電子帯側の基底準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
<<実施形態1>>
[受光素子の構成]
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。受光素子は、障壁層8と量子ドット7を含む量子ドット層6とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する超格子半導体層10を備える。
受光素子は、さらにp型半導体層1とn型半導体層4とを備え、p型半導体層とn型半導体層とに挟まれた超格子構造とを備えることが好ましい。
<超格子半導体層>
超格子半導体層10は、n型半導体層4とp型半導体層1との間に配置される。
超格子半導体層10は、障壁層8と量子ドット層6とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する。量子ドット層6では、複数の量子ドット7が、障壁層8と同じ半導体材料中に配置されている。超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造である。
図1には示されていないが、超格子半導体層には、量子ドット層および障壁層と異なる材料のキャップ層や量子井戸といった挿入層が、量子ドット層および障壁層とともに繰り返し積層されても良い。
量子ドットおよび障壁層の各材料は、特に限定されないが、III−V族化合物半導体であることが好ましい。量子ドットは、障壁層よりもバンドギャップエネルギーの小さい半導体材料からなることが好ましい。たとえば、量子ドットおよび障壁層の各材料は、GaAsxSb1-x、AlSb、InAsxSb1-x、GaxIn1-xSb、AlSbxAs1-x、AlAs、InxGa1-xAs、AlxGa1-xAs、AlyGa1-yAszSb1-z、InxGa1-xP、(AlyGa1-yzIn1-zP、GaAsx1-x、GayIn1-yAsz1-zまたはInxAl1-xAs(すべての前記材料において、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。以下同様。)であることが好ましく、これらの混晶材料であっても良い。
量子ドットおよび障壁層の各材料は、周期律表の第IV族半導体、第III族半導体材料と第V族半導体材料とからなる化合物半導体、または、第II族半導体材料と第VI族半導体材料とからなる化合物半導体であっても良く、これらの混晶材料であっても良い。また、量子ドットおよび障壁層の各材料は、カルコパイライト系材料であっても良いし、カルコパイライト系材料以外の半導体であっても良い。
たとえば、本発明の効果が得られるタイプII構造を構成する量子ドットの材料と障壁層の材料との組み合わせ(以下、A/Bは、Aが量子ドットの材料、Bが障壁層の材料を示す)としては、InxGa1-xAs/GaAsxSb1-x、InxGa1-xAs/AlyGa1-yAszSb1-z、InxGa1-xAs/AlAszSb1-z、InAsxSb1-x/GaAsxSb1-x、InAsxSb1-x/AlyGa1-yAszSb1-z、InAsxSb1-x/AlAszSb1-zなどを用いることが好ましい。
超格子半導体層は、i型半導体層であってもよいし、受光により起電力が生じるのであればp型不純物またはn型不純物を含む半導体層であってもよい。
本実施形態において、量子ドット層はInおよびAsを含み、障壁層はGaおよびAlの少なくともいずれかと、AsおよびSbとを含む超格子構造である。
タイプII構造の量子ドット構造において、障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと、超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とを最適化することで、輻射寿命を大幅に増大させることができる。具体的には、タイプII構造の量子ドット構造において、積層方向の量子ドット間距離dを小さくすることで、伝導帯基底準位および価電子帯基底準位間の波動関数の重なりを極端に小さくすることができ、伝導帯基底準位および価電子帯基底準位間の輻射寿命を大幅に増大させることができる。
障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とは、下記式A
q≧(3d+10)/100 (式A)
の関係を示す。
なお、超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とは、図1(b)に示される、積層方向(Z方向)において最短距離に位置する量子ドット間の、積層方向の下方向に位置する量子ドット上端と、積層方向の上方向に位置する量子ドット下部の濡れ層との距離dを意味する。また、図1(b)には示していないが、濡れ層が存在しない場合は、積層方向(Z方向)において最短距離に位置する量子ドット間の、積層方向の下方向に位置する量子ドット上端と、積層方向の上方向に位置する量子ドット下部との距離dを意味する。
式Aは、一般的な作製方法により得られる現実的な量子ドットサイズ、量子ドット組成において、障壁層の組成比Sb/(Sb+As)および超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)を様々に変えながら輻射寿命を算出し、近似式として得たものである。
超格子半導体層が、上記式Aを満たすと、量子ドット構造に伴う歪分布とタイプII構造などの効果によって、伝導帯基底準位および価電子帯基底準位間の波動関数の重なりが極端に小さくなり、伝導帯基底準位および価電子帯基底準位間の輻射寿命を、量子ドット構造がタイプI構造であるときの輻射寿命(約1〜2ns)よりも1桁大きくすることができ、受光素子からのキャリアの取り出し効率を大幅に向上させることができる。
障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと超格子半導体層の積層方向における量子ドット間の距離d(nm)とは、下記式B
q≧(3d+15)/100(式B)
の関係を示すことが好ましい。このとき、量子ドット構造がタイプI構造であるときの輻射寿命(約1〜2ns)よりも輻射寿命を2桁大きくすることができ、受光素子からのキャリアの取り出し効率がさらに向上する。
量子ドット層の積層方向における量子ドットの高さ0.5〜50nm、量子ドット層の面内方向における量子ドットの直径は0.5〜100nmが好ましい。
<n型半導体層>
n型半導体層4は、n型不純物を含む半導体からなる。
実施形態1では、太陽電池20において、n型半導体層4は、超格子半導体層10の光入射側と反対側に位置するが、超格子半導体層10の光入射側に位置することもできる。
n型半導体層は、超格子半導体層およびp型半導体層とともにpin接合またはpn接合(pn−n接合、pp−n接合、p+pn接合、pnn+接合を含む)を構成することができる。このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。
n型半導体層は、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜とすることができる。
n型半導体層は、障壁層と同じ半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよいし、障壁層とは異なる半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよい。
n型半導体層は、n−GaAsSb、n−GaAs、n−AlGaAs、n−AlGaAsSb、n−AlAsSb、n−InAlAsなどからなることが好ましい。
n型半導体層におけるn型不純物の濃度は特に限定されず、n型半導体層を構成する半導体材料に応じて適宜設定されることが好ましい。
n型半導体層の厚さは特に限定されず、超格子半導体層が光を十分に吸収可能となるように適宜設定されることが好ましい。
<p型半導体層>
p型半導体層は、p型不純物を含む半導体からなる。
実施形態1では、太陽電池20において、p型半導体層1は、超格子半導体層10の光入射側に位置するが、超格子半導体層10の光入射側と反対側に位置することもできる。
p型半導体層は、超格子半導体層およびn型半導体層1とともにpin接合またはpn接合(pn−n接合、pp−n接合、p+pn接合、pnn+接合を含む)を構成することができる。このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。
p型半導体層は、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜であることが好ましい。
p型半導体層は、障壁層と同じ半導体材料にp型不純物を添加したものであってもよいし、障壁層とは異なる半導体材料にp型不純物を添加したものであってもよい。
p型半導体層は、p−GaAs、p−GaAsSb、p−AlGaAs、p−AlGaAsSb、p−AlAsSb、p−InAlAsなどからなることが好ましい。
p型半導体層におけるp型不純物の濃度は特に限定されず、p型半導体層を構成する半導体材料に応じて適宜設定されることが好ましい。
p型半導体層の厚さは特に限定されず、超格子半導体層が光を十分に吸収可能となるように適宜設定されることが好ましい。
<<実施形態2>>
実施形態2の受光素子は、基本的には実施形態1と同様の構成を有する。実施形態1と異なる点は、p型半導体1の代わりにn型半導体層を用いることである。これにより、実施形態2の受光素子は、2つのn型半導体層と、その間に挟まれた超格子半導体層とから構成されるnin接合を備える。さらに電極を備えることで、受光により生成されたキャリアを取り出し、受光素子として機能させることができる。
<<実施形態3>>
[太陽電池の構成]
実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を図1を用いて説明する。
太陽電池は、n型電極17と、n型基板12と、バッファ層3と、n型半導体層4と、超格子半導体層10と、p型半導体層1と、窓層14とを前記の順で積層して備える。さらに、窓層14の上にコンタクト層15を介してp型電極18を備える。
なお、本実施形態に係る太陽電池は、集光システムと組み合わせることもできる。
バッファ層としては、たとえばn+−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を用いることができる。バッファ層の厚さは、たとえば100nm〜500nmとすることができる。
n型半導体層としては、たとえばn−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を用いることができる。n型半導体層の厚さは、たとえば20nm〜3000nmとすることができる。
p型半導体層としては、たとえばp−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を用いることができる。p型半導体層の厚さは、たとえば20nm〜3000nmとすることができる。
窓層としては、たとえばp−Al0.75Ga0.25As層を用いることができる。窓層の厚さは、たとえば10nm〜300nmとすることができる。
コンタクト層としては、たとえばp+−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を用いることができる。コンタクト層の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
p型電極としては、たとえばTi/Pt/Au、Au/Zn、Au/Cr、Ti/Au、Au/Zn/Auを用いることができる。p型電極の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
n型電極としては、たとえばAu/AuGeNi、AuGe/Ni/Au、Au/Ge、Au/Ge/Ni/Auを用いることができる。n型電極の厚さは、たとえば10nm〜500nmとすることができる。
[太陽電池の製造方法]
以下に、太陽電池の製造方法の一例を説明する。
まず、n−GaAsのn型基板12を有機系洗浄液で洗浄した後、硫酸系エッチング液によってエッチングし、さらに10分間流水洗浄を施した後、MOCVD装置内に支持する。次に、n型基板12上にバッファ層3を形成する。バッファ層3としては、300nmの厚さのn+−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を形成することが好ましい。バッファ層3の形成により、バッファ層3上に形成される超格子半導体層(光吸収層)の結晶性を向上させることができる。よって、超格子半導体層での受光効率が確保された太陽電池20を提供することができる。その後、バッファ層3上にn型半導体層4を形成する。n型半導体層4としては、300nmの厚さのn−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を形成することが好ましい。
続いて、n型半導体層4上に障壁層と量子ドット層とを含む超格子半導体層10を形成する。分子線エピタキシー(MBE)法または有機金属化学気相成長(MOCVD)法などにより形成することができ、Stranski―Krastanov(S−K)成長と呼ばれる方法により量子ドットを成長させることができる。具体的には、例えば、障壁層としてGaAsxSb1-x層(0≦x<1)を結晶成長させた後、自己組織化機構によりインジウムガリウム砒素InxGa1-xAs(x=1)からなる量子ドットを形成し、量子ドットを形成していない部分に障壁層と同一のGaAsxSb1-xを結晶成長させる。これにより、量子ドット層が形成される。その後、障壁層としてのGaAsxSb1-x層の結晶成長と量子ドット層の成長とを繰り返す。量子ドット層の成長方法は上述のとおりである。
その後、キャップ層を形成することが好ましい。キャップ層としては約4nmの厚さのGaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を形成することが好ましく、キャップ層の形成により結晶表面の平坦性を回復することができる。このようにして、超格子半導体層が形成される。
また、超格子半導体層には、量子ドット層および障壁層と異なる材料のキャップ層や量子井戸といった挿入層が、量子ドット層および障壁層とともに繰り返し積層されても良い。
続いて、超格子半導体層上にp型半導体層1を形成する。p型半導体層としては、250nmの厚さのp−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を形成することが好ましい。これにより、pin構造が形成される。
続いて、p型半導体層上に窓層14およびコンタクト層15を形成する。窓層としては、50nmの厚さでp−Al0.75Ga0.25As層を結晶成長させることが好ましい。コンタクト層としては、100nmの厚さでp+−GaAsxSb1-x層(0≦x≦1)を結晶成長させることが好ましい。その後、この積層体をMOCVD装置から取り出してから、n型基板のバッファ層とは反対側の面上にn型電極を形成する。その後、コンタクト層上にフォトリソグラフィーとリフトオフ技術とによりp型電極(櫛型電極)を形成し、このp型電極をマスクとしてコンタクト層を選択エッチングする。このようにして、本実施形態に係る太陽電池を得ることができる。
ここで、基板処理温度を、たとえば、Inの再脱離を防ぐために量子ドット層を含む超格子半導体層の形成時には520℃とし、それ以外の層の形成時には590℃とすることが好ましい。
また、たとえば、n型ドーパントとしてSiを用いることができ、p型ドーパントとしてはBeを用いることができる。n型ドーパントは、量子ドット層および障壁層の少なくとも一方の結晶成長中に添加されることが好ましい。p型電極およびn型電極は、材料としてAuを用いることが好ましく、抵抗加熱蒸着法による真空蒸着で形成されることが好ましい。
なお、本実施形態で示した例は一例に過ぎない。n型基板、バッファ層、n型半導体層、超格子半導体層、p型半導体層、窓層、コンタクト層、n型ドーパント、p型ドーパント、n型電極およびp型電極などの各材料、各プロセスで使用する洗浄剤、基板処理温度、ならびに、製造装置などは、上記記載に限定されない。
<<実施形態4>>
[量子型赤外線センサー]
実施形態1の受光素子は、量子型赤外線センサーに用いることができる。
量子ドットを用いた量子型赤外線センサーでは、高い量子効率および高感度を有する赤外線センサーを得るために、赤外線吸収により光励起されたキャリアが、伝導帯の量子準位から高効率で取り出されることが望ましい。
実施形態1で述べた超格子半導体層は、光励起されたキャリアを高効率で取り出すことができる。したがって、実施形態1の受光素子を用いた量子型赤外線センサーは、高い量子効率と高感度を有することができる。
本発明の一実施の形態における受光素子について、シミュレーション実施を行った。
[評価方法]
歪とピエゾ電界の効果との影響を考慮に入れた8バンドk・pハミルトニアンの平面波展開法を用いて、超格子構造のミニバンド構造、輻射寿命をシミュレーションした。
<実施例1>
実施例1では、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.80Sb0.20)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。本実施例では、母体半導体材料をGaAsxSb1-xとし、量子ドット材料をInyGa1-yAsとしたが、x及びyの値は適宜変更することができるし、異なる半導体材料であってもよい。
超格子半導体層では、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを20nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を3nmとした。実施例1は、一般的な作製方法により得られる現実的な量子ドットサイズを想定している。
図2には、本実施例により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。横軸は量子ドット中心の積層方向(図1のz方向)の距離を示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。実線は伝導帯、破線は価電子帯のポテンシャル分布を示す。図2から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。このため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
図3には、実施例1により計算された超格子半導体層の伝導帯におけるミニバンド構造(50番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図3において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料における歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。図3から分かるように、超格子半導体層では、伝導帯において、量子ドット層の積層方向に超格子ミニバンドが形成されることが分かる。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、31nsであった。
<比較例1>
比較例1では、実施例1の障壁層をガリウム砒素アンチモン(GaAs0.855Sb0.15)とした以外は実施例1と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
比較例1により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布は図4に示す通りである。図4から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、5nsであった。
<比較例2>
比較例2では、実施例1の量子ドット間の積層方向の距離を5nmとした以外は実施例1と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
比較例2により計算された超格子構造は、実施例1と同様、タイプII構造となる。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、10nsであった。
<実施例2>
実施例2では、実施例1の量子ドットの面内方向の直径サイズを25nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした以外は実施例1と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。実施例2は、実施例1に加えて、一般的な作製方法により得られる現実的な量子ドットサイズを想定している。
実施例2における、超格子半導体層の超格子構造は、実施例1と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、49nsであった。
<実施例3>
実施例3では、実施例1の量子ドットの面内方向の直径サイズを20nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を5nmとした以外は実施例1と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。実施例3は、実施例1および実施例2に加えて、一般的な作製方法により得られる現実的な量子ドットサイズを想定している。
実施例3における、超格子半導体層の超格子構造は、実施例1と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、47nsであった。
<実施例4>
実施例4では、実施例1の量子ドット間の積層方向の距離を2nmとした以外は実施例1と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
実施例4における、超格子半導体層の超格子構造は、実施例1と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、83nsであった。
<実施例5>
実施例5では、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.85Sb0.15)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。
超格子半導体層では、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを20nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を1nmとした。
実施例5における、超格子半導体層の超格子構造は、比較例1と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、33nsであった。
<実施例6>
実施例6では、実施例4の障壁層をガリウム砒素アンチモン(GaAs0.70Sb0.30)とした以外は実施例6と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
実施例6により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布は図5に示す通りである。図5から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、620nsであった。
<実施例7>
実施例7では、実施例6の量子ドット間の積層方向の距離を4nmとした以外は実施例6と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
実施例7における、超格子半導体層の超格子構造は、上記実施例6と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、222nsであった。
<実施例8>
実施例8では、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.75Sb0.25)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。
超格子半導体層では、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを20nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を4nmとした。
図6には、実施例8により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。図6から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。このため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、22nsであった。
<実施例9>
実施例9では、実施例8の量子ドット間の積層方向の距離を3nmとした以外は実施例8と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
実施例9における、超格子半導体層の超格子構造は、実施例8と同様、タイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、146nsであった。
<比較例3>
比較例3では、実施例8の量子ドット間の積層方向の距離を6nmとした以外は実施例8と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
比較例3により計算された超格子構造は、上記実施例8と同様、タイプII構造となる。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、14nsであった。
<実施例10>
実施例10では、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。超格子半導体層では、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素アンチモン(GaAs0.65Sb0.35)、量子ドット材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。
超格子半導体層では、量子ドットの形状が0.5nmの濡れ層を含むレンズ型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを20nm、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を5nmとした。
図7には、実施例10により計算された超格子半導体層の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布を示す。図7から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。このため、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア寿命は長く、キャリア再結合を抑制することができる。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、290nsであった。
<実施例11>
実施例11では、実施例9の量子ドット材料をIn0.80Ga0.20Asとした以外は実施例9と同様に超格子半導体層を作製し、超格子半導体層に対してバンド計算を行い、輻射寿命をシミュレーションした。
実施例11により計算された超格子構造の伝導帯及び価電子帯(重い正孔及び軽い正孔)における歪考慮前のポテンシャル分布は図8に示す通りである。図8から分かるように、超格子半導体層の超格子構造はタイプII構造である。
式1を用いて超格子半導体層における伝導帯第一超格子ミニバンドおよび価電子帯第一超格子ミニバンド間の輻射寿命(超格子波数Kz=0)を算出したところ、416nsであった。
結果を表1にまとめて示す。
<考察>
実施例1では、超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が3であることから式Aの右辺は0.19であり、障壁層のSb/(Sb+As)比を示す値であるqは0.20であることから、式Aを満たす。量子ドット構造がタイプI構造であるとき、輻射寿命は一般的に1〜2nsであることから、輻射寿命31nsが得られる実施例1ではキャリアの取り出し効率が向上する。一方で、比較例1は、実施例1の障壁層のSb/(Sb+As)比を示す値であるqが0.15となるものであり、式Aを満たさず、輻射寿命は5nsと小さい。比較例2においても、実施例1の超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が5となるものであり、式Aの右辺が0.25であることから式Aを満たさず、輻射寿命は10nsと小さい。
実施例2および実施例3では、実施例1に加えて、一般的な作製方法により得られる現実的な量子ドットとして、量子ドットサイズを変更しているが、実施例1と同様、式Aを満たしており、輻射寿命もそれぞれ49nsおよび47nsであることから、本発明の効果を発揮し、キャリアの取り出し効率が向上することがわかる。
実施例4では、実施例1の超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が2となるものであり、式Aの右辺は0.16であることから、式Aは十分満たされる。輻射寿命は83nsと、キャリアの取り出し効率がさらに向上する。
実施例5では、超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が1であることから式Aの右辺は0.13であり、障壁層のSb/(Sb+As)比を示す値であるqは0.15であることから、式Aを満たす。輻射寿命33nsが得られる実施例5ではキャリアの取り出し効率が向上する。この実施例5において、超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が3となる場合、比較例1となり、式Aを満たさず、輻射寿命は5nsと小さい。
実施例6では、実施例4の障壁層のSb/(Sb+As)比を示す値であるqを0.30と大きくしたものであり、式Aは十分満たされる。さらにこの場合、式Bの右辺が0.21であることから、式Bを十分満たす。輻射寿命は620nsが得られ、キャリアの取り出し効率がさらに向上する。
実施例7では、実施例6の超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)を2倍の4にした場合であり、式Aの右辺は0.22であることから、式Aは十分満たされる。さらにこの場合、式Bの右辺が0.27であることから、式Bを満たす。輻射寿命は222nsと、キャリアの取り出し効率がさらに向上する。
実施例8では、超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が4であることから式Aの右辺は0.22であり、障壁層のSb/(Sb+As)比を示す値であるqは0.25であることから、式Aを満たす。輻射寿命22nsが得られる実施例8ではキャリアの取り出し効率が向上する。
実施例9では、実施例8の超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)を3にした場合であり、式Aの右辺は0.19であることから、式Aは十分満たされる。さらにこの場合、式Bの右辺が0.24であることから、式Bを満たす。輻射寿命は146nsと、キャリアの取り出し効率がさらに向上する。一方で、比較例3は、実施例9の超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が6となるものであり、式Aの右辺が0.28であることから式Aを満たさず、輻射寿命は14nsと小さい。
実施例10では、超格子構造の積層方向の量子ドット間距離であるd(nm)が5であることから式Aの右辺は0.25であり、障壁層のSb/(Sb+As)比であるqは0.35であることから、式Aを十分満たす。さらにこの場合、式Bの右辺が0.30であることから、式Bを満たす。輻射寿命は290nsが得られ、キャリアの取り出し効率がさらに向上する。
実施例11では、実施例9と同じ超格子構造の積層方向の量子ドット間距離および障壁層のSb/(Sb+As)比であることから、式Aを満たす。量子ドット材料をIn0.80Ga0.20Asと変更した場合でも、本発明の効果は発揮され、キャリアの取り出し効率が向上する。本発明は、量子ドット材料InyGa1-yAsのyが小さいほどより効果が発揮されることを示す。
図9(a)および(b)は、それぞれ実施例9における、伝導帯第一超格子ミニバンドと価電子帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布(波動関数の二乗)を示す。横軸はx方向、縦軸はz方向を示し、白の点線は量子ドットと濡れ層の領域を示す。
図9(b)では、価電子帯第一超格子ミニバンドの電荷密度分布が量子ドット中心同士を結んだ線から離れた障壁層領域に存在する。よって、図9(b)に示される価電子帯第一超格子ミニバンドと、図9(a)に示される量子ドット領域に存在する伝導帯第一超格子ミニバンドとの重なりが極端に小さくなっている。したがって、輻射寿命が大幅に増大する。実施例1〜8および10〜11では、図9と類似の電荷密度分布を示す。
図10(a)および(b)は、それぞれ比較例3における、伝導帯第一超格子ミニバンドと価電子帯第一超格子ミニバンドの超格子波数Kz=0における、量子ドット中心の積層方向の電荷密度分布(波動関数の二乗)を示す。横軸はx方向、縦軸はz方向を示し、白の点線は量子ドットと濡れ層の領域を示す。
図10(b)では、価電子帯第一超格子ミニバンドの電荷密度分布が量子ドット中心同士を結んだ線付近の障壁層領域に存在する。よって、図10(b)に示される荷電子帯第一超格子ミニバンドと、図10(a)に示される量子ドット領域に存在する伝導帯第一超格子ミニバンドとの重なりが、図9(a)および図9(b)との重なりに比べて大きく、図9(a)および図9(b)と比べて輻射寿命は短い。比較例1および2においては、図10と類似の電荷密度分布を示す。
受光素子(太陽電池など)においては、光吸収と再結合は競合関係にある。一般的にタイプI構造からタイプII構造とすることで再結合を減らすことができるが、光吸収は小さくなる。例えば、伝導帯超格子ミニバンドを介する二段階光励起を利用した太陽電池では、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの光吸収は、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの光吸収に比べて十分大きい。よって、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの光吸収量が、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの光吸収量に比べて下回らない範囲で、輻射寿命が長くなることが望ましい。
実施例1において、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの光吸収によって生成される電流量、および伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの光吸収によって生成される電流量を概算し、比較することができる。具体的には、下記(式2)を用いて光吸収係数を算出し、光吸収層である超格子半導体層の膜厚から光吸収率を概算できる。伝導帯および価電子帯の状態密度から、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドの光吸収範囲、および伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドの光吸収範囲を設定できる。プランクの輻射式(太陽の表面温度を5800Kとする)より、太陽光のエネルギー流密度を算出し、光吸収率と太陽光のエネルギー流密度の積から、各光吸収範囲の電流量を概算できる。
光吸収係数αは下記(式2)を解くことで、見積ることができる。
実施例1の超格子半導体層の膜厚を4μm、占有率を0.5と仮定し、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドの光吸収範囲を0.50eV〜0.89eV、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドの光吸収範囲を0.00eV〜0.50eVと定義し、光吸収の偏光の割合を100偏光:010偏光:001偏光=1:1:1と仮定したところ、(価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドの電流量)/(伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドの電流量)の値は約5となり、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの光吸収が十分大きいことがわかる。よって、実施例1の太陽電池では、価電子帯から伝導帯超格子ミニバンドへの光吸収量を十分保ったまま、輻射寿命を大幅に大きくすることができ、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスを提供することができる。
実施例6の620nsの輻射寿命を有する超格子半導体層に関しても、同様に電流量を概算し、比較を行った。実施例6の超格子半導体層の膜厚を4μm、占有率を0.5と仮定し、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドの光吸収範囲を0.50eV〜0.76eV、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドの光吸収範囲を0.00eV〜0.50eVと定義し、光吸収の偏光の割合を100偏光:010偏光:001偏光=1:1:1と仮定したところ、(価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドの電流量)/(伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドの電流量)の値は約3となり、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの光吸収が十分大きいことがわかる。よって、実施例6の大幅に長い輻射寿命が得られる太陽電池においても、価電子帯から伝導帯超格子ミニバンドへの光吸収量を十分保ったまま、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスを提供することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の受光素子は、太陽電池、フォトダイオード、半導体光増幅器および量子ドット赤外線センサーなどに用いることができる。
1 p型半導体層、3 バッファ層、4 n型半導体層、6 量子ドット層、7 量子ドット、8 障壁層、10 超格子半導体層、12 n型基板、14 窓層、15 コンタクト層、17 n型電極、18 p型電極、20 太陽電池。

Claims (4)

  1. 障壁層と、量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する超格子半導体層を備え、
    前記超格子半導体層の超格子構造のバンド構造はタイプII構造であり、
    前記障壁層はGa、AsおよびSbを含み、又は、Ga、AlAsおよびSbを含み、
    前記量子ドット層はInおよびAsを含み、
    前記障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと前記超格子半導体層の積層方向における前記量子ドット間の距離d(nm)とが、q≧(3d+10)/100の関係を示す、受光素子。
  2. 前記障壁層の組成比Sb/(Sb+As)で表わされる値qと前記超格子半導体層の積層方向における前記量子ドット間の距離d(nm)とが、q≧(3d+15)/100の関係を示す、請求項1に記載の受光素子。
  3. さらにp型半導体層とn型半導体層とを備え、
    前記p型半導体層と前記n型半導体層とに挟まれた前記超格子構造とを備えた請求項1または2に記載の受光素子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の受光素子を備えた太陽電池。
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