JP5555602B2 - 太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、超格子構造を有する太陽電池に関する。
ミニバンドを介した光学遷移を利用する太陽電池として、量子ドット太陽電池が知られている(例えば、非特許文献1)。これは、化合物半導体太陽電池のi型半導体層中に量子ドットを有する量子ドット層を超格子構造を形成するように挿入したものである。母体半導体中に量子ドット層を挿入することで、量子ドット間の電子的結合により超格子ミニバンドを形成し、このミニバンドを介した光励起によって未利用だった波長域の光吸収(母体半導体のバンドギャップより小さいエネルギーのフォトンの吸収)が可能となり、光電流を増加させることができる。量子ドットで生成されたキャリアは、ミニバンド中を移動し、光励起または熱励起によってp型およびn型の母体半導体領域へと移動し、外部より取り出される。
また、量子カスケードレーザ分野では、電圧が印加された状態でミニバンドが形成される超格子構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2000−101201号公報
PHYSICAL REVIEW LETTERS、97巻、247701ページ、2006年
ミニバンドを利用したpin積層構造を有する太陽電池の変換効率を向上させるためには、光照射下で形成される内部電界下でi型半導体層にミニバンドを形成しつつ、幅広い波長域の太陽光を十分に吸収する必要がある。
従来のミニバンドを利用した太陽電池のモデルでは、光照射下で形成される内部電場がi型半導体層にかかっている場合における量子ドットの量子準位のずれ(シュタルク効果)を考慮した上でのミニバンド形成に必要な設計を行っていない。詳しくは、超格子構造に内部電場がかかっている、もしくは外部電場が印加されている際、量子ドットの量子準位間の共鳴トンネル効果が破綻し、波動関数が局在化するワニエ・シュタルク局在と呼ばれる現象が起こる可能性がある。量子準位エネルギー面では、量子ドットの量子準位がeFD(D:超格子周期、F:電場強度)のエネルギー間隔に分裂されるシュタルク階段状態となり、ミニバンド形成に影響をもたらす。量子井戸/量子ドット太陽電池においてミニバンドを形成できない場合、各量子井戸/量子ドットで生成されたキャリアは障壁層を越えて隣の量子井戸/量子ドットに移動しなければならないため、キャリア取り出し効率が著しく低下する。
量子カスケードレーザ分野では、このシュタルク効果を考慮した例がある(特許文献1)。特許文献1に示す構造は、量子井戸層または障壁層の厚みを変えることで複数のフラットバンドのミニバンドを形成している。注入された電子は、上方ミニバンドから下方ミニバンドを放射遷移し、さらに下方ミニバンドから注入/緩和領域を通じて隣のユニットにある上方ミニバンドに移動し、再び下方ミニバンドへ放射遷移することを繰り返す構造となっている。しかし、半導体層全体に渡って複数のミニバンドを形成している量子カスケードレーザの量子井戸の量子準位は、わずかな厚みの違いでそれぞれ変化するため、シュタルク効果を考慮して両方のミニバンドをフラットバンドとなるよう超格子構造を形成することは容易ではなく、またプレバイアスRT領域のGaInAs層のように1層ずつ厚みを数Åごとに変化させることも容易ではない。
太陽電池では、i型半導体層である吸収層中でのキャリア移動が効率的である必要があるため、i型半導体層全体に渡って1つのミニバンドを形成することが望ましく、さらにはミニバンドの中で最もエネルギーの低い波動関数がi型半導体層全体に渡って一様に結合していることが望ましい。しかし、特許文献1では、超格子構造全体に渡って複数のフラットバンドのミニバンドが形成されるが、超格子構造の一方の端からもう一方の端まで1つに繋がるミニバンドは形成されない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、量子井戸/量子ドットで生成したキャリアがミニバンド中を効率よく移動でき、各バンドギャップで十分な光吸収ができるような超格子構造を有する太陽電池を提供する。
本発明は、p型半導体層と、n型半導体層と、前記p型半導体層と前記n型半導体層とに挟まれた超格子半導体層とを備え、前記超格子半導体層は、量子井戸層または量子ドットからなる量子ドット層と障壁層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、前記超格子半導体層は、前記超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い前記量子井戸層または前記量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように積層されたことを特徴とする太陽電池を提供する。
本発明によれば、超格子半導体層が超格子構造を有するため、通常の伝導帯−価電子帯間の遷移に加え、超格子構造に形成されるミニバンドを介した電子遷移を光電変換に利用することができる。
本発明によれば、超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層または量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように積層された超格子半導体層を有するため、量子井戸/量子ドット層のバンド構造を複数の積層ごとに適当変調させることができ、光照射時に形成される内部電界下においてシュタルク効果を補償し、量子井戸/量子ドット間の波動関数の電子的結合(波動関数の繋がり)によるミニバンドを形成することができる。このことにより、各量子井戸/量子ドットで生成されたキャリアを、容易にn型半導体領域から取り出し可能となる。また、適当変調を複数の量子井戸/量子ドット層ごとにおこなう、すなわち変調回数をできるだけ減らすことで積層数を増大させることができ、幅広い波長域の太陽光を十分に吸収することができる。
以上により、従来の技術に比べて光吸収量を向上させ、短絡電流および開放電圧を飛躍的に改善することができ、高い変換効率を有する太陽電池を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態の太陽電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の太陽電池の構成を示す概略断面図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は実験3のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 実験3のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 実験3のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は実験4のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 実験4のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 実験4のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は実験5のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 実験5のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 実験5のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は比較実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 比較実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 比較実験1のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。 (a)は超格子半導体層の一部の概略断面図であり、(b)は比較実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造のバンド図である。 比較実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の各エネルギー値の波動関数を並べた図である。 比較実験2のシミュレーションにより得られた超格子構造の伝導帯の最小エネルギー値の波動関数を示した図である。
本発明の太陽電池は、p型半導体層と、n型半導体層と、前記p型半導体層と前記n型半導体層とに挟まれた超格子半導体層とを備え、前記超格子半導体層は、量子井戸層または量子ドットからなる量子ドット層と障壁層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、前記超格子半導体層は、前記超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い前記量子井戸層または前記量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように積層されたことを特徴とする。
超格子構造とは、共に半導体からなりバンドギャップが異なる障壁層と井戸層(量子ドット層を含む)とが繰り返し積層された構造であり、井戸層の電子の波動関数が隣接井戸の波動関数と大きく相互作用する構造をいう。
量子ドットとは、100nm以下の粒子サイズを有する半導体微粒子であり、量子ドットを構成する半導体よりもバンドギャップの大きい半導体で囲まれた微粒子である。
量子ドット層とは、複数の量子ドットで構成される層であり、超格子構造の井戸層となる。
量子井戸層とは、半導体からなる層であり、超格子構造の井戸層となる。
障壁層とは、量子ドットまたは量子井戸層を構成する半導体よりもバンドギャップの大きい半導体からなり、超格子構造を構成する。
ミニバンドとは、超格子構造の井戸層の電子の波動関数が隣接井戸の波動関数と相互作用し、量子井戸の量子準位間の共鳴トンネル効果が生じ形成される量子井戸/量子ドット間の波動関数の電子的結合(波動関数の繋がり)をいう。
本発明の太陽電池において、前記超格子構造は、複数の超格子層を有し、各超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子井戸層または前記量子ドット層と前記障壁層とを有し、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層のバンドギャップまたは前記量子ドットのバンドギャップに比べ、第1超格子層のn型半導体層側に隣接して積層された第2超格子層に含まれる前記量子井戸層のバンドギャップまたは前記量子ドットのバンドギャップがより広くなるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、各超格子層ごとに超格子構造のバンド構造を変調することができる。このことにより超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い前記量子井戸層または前記量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように超格子半導体層を積層することができる。
本発明の太陽電池において、第1および第2超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子ドット層と前記障壁層とを有し、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの粒子サイズに比べ、第2超格子層に含まれる前記量子ドットの粒子サイズがより小さくなるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、第1超格子層に含まれる量子ドットのバンドギャップに比べ、第2超格子層に含まれる量子ドットのバンドギャップがより広くなるように超格子半導体層を積層することができる。
本発明の太陽電池において、第1および第2超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子井戸層と前記障壁層とを有し、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さに比べ、第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さがより薄くなるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、第1超格子層に含まれる量子井戸層のバンドギャップに比べ、第2超格子層に含まれる量子井戸層のバンドギャップがより広くなるように超格子半導体層を積層することができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの積層方向の粒子サイズと第2超格子層に含まれる前記量子ドットの積層方向の粒子サイズとの差、または、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さと第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さとの差が0.5nm以上1nm以下となるように積層されたことが好ましい。0.5nm以上1nm以下であれば制御が可能である。
このような構成によれば、量子井戸/量子ドット層のバンド構造を複数の積層ごとに適当変調させることができ、光照射時に形成される内部電界下においてシュタルク効果を補償し、量子井戸/量子ドット間の波動関数の電子的結合(波動関数の繋がり)によるミニバンドを形成することができる。
本発明の太陽電池において、前記量子井戸層または前記量子ドットは、半導体混晶からなり、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットまたは前記量子井戸層の混晶比と、第2超格子層に含まれる前記量子ドットまたは前記量子井戸層の混晶比とが異なるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、第1超格子層に含まれる量子ドットのバンドギャップまたは量子井戸層のバンドギャップと、第2超格子層に含まれる量子ドットのバンドギャップまたは量子井戸層のバンドギャップとを変化させることができ、超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い前記量子井戸層または前記量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように超格子半導体層を積層することができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの混晶比と第2超格子層に含まれる前記量子ドットの混晶比との差、または第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の混晶比と第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の混晶比との差が0.01以上0.1以下となるように積層されたことが好ましい。0.01以上0.1以下であれば制御が可能である。
このような構成によれば、量子井戸/量子ドット層のバンド構造を複数の積層ごとに適当変調させることができ、光照射時に形成される内部電界下においてシュタルク効果を補償し、量子井戸/量子ドット間の波動関数の電子的結合(波動関数の繋がり)によるミニバンドを形成することができる。
本発明の太陽電池において、前記障壁層、前記量子ドットまたは前記量子井戸層は、III−V族化合物半導体からなることが好ましい。
このような構成によれば、量子井戸/量子ドット層のバンド構造を複数の積層ごとに適当変調させることができる太陽電池を容易に作製することができる。
本発明の太陽電池において、前記障壁層は、GaAsからなり、前記量子ドットまたは前記量子井戸層は、InxGa1-xAs(0<x≦1)からなることが好ましい。
このような構成によれば、量子井戸/量子ドット層のバンド構造を複数の積層ごとに適当変調させることができる太陽電池を容易に作製することができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、前記pin接合に光が照射された場合に形成される内部電界下において前記超格子構造にミニバンドが形成されるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、量子ドットまたは量子井戸層で生成されたキャリアがミニバンド中を移動し、p型およびn型の母体半導体領域へと容易に移動することができ、このキャリアを外部に取り出すことができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、前記ミニバンドの伝導帯の波動関数が前記超格子構造全体に渡って繋がるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、量子ドットまたは量子井戸層で生成されたキャリアを容易にn型半導体領域から取り出すことができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、前記ミニバンドの伝導帯において最もエネルギーの低い波動関数が前記超格子構造全体に渡って繋がるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、量子ドットまたは量子井戸層で生成されたキャリアを容易にn型半導体領域から取り出すことができる。
本発明の太陽電池において、前記超格子半導体層は、前記ミニバンドが伝導帯において1つのみ形成されるように積層されたことが好ましい。
このような構成によれば、量子ドットまたは量子井戸層で生成されたキャリアを容易にn型半導体領域から取り出すことができる。
本発明の太陽電池において、p型半導体層、n型半導体層および超格子半導体層は、pn接合(pn-n接合、pp-n接合、p+pn接合、pnn+接合を含む)またはpin接合を形成することが好ましい。
このような構成によれば、pin接合またはpn接合が受光することにより、起電力を生じさせることができる。
さらに、本発明の太陽電池において、n型半導体層面が太陽光入射側であって、p型半導体層は下面であることが望ましい。このような構造によれば、太陽光の長波長側の光がより底部にまで侵入するため、効率良く太陽光を吸収することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
太陽電池の構成
図1、2はそれぞれ本発明の一実施形態の太陽電池の構成を示す概略断面図である。
本実施形態の太陽電池20は、p型半導体層1と、n型半導体層12と、p型半導体層1とn型半導体層12とに挟まれた超格子半導体層10とを備え、超格子半導体層10は、量子井戸層9または量子ドット7からなる量子ドット層6と障壁層8とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、超格子半導体層10は、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9または量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように積層されたことを特徴とする。
また、本実施形態の太陽電池20は、バファー層3、ベース層4、窓層14、コンタクト層15、p型電極18、n型電極17をさらに有してもよい。
以下、本実施形態の太陽電池について説明する。
1.p型半導体層およびn型半導体層
p型半導体層1は、p型不純物を含む半導体からなり、i型半導体層、n型半導体層12とともにpin接合またはpn接合を構成することができる。
n型半導体層12は、n型不純物を含む半導体からなり、i型半導体層、p型半導体層1とともにpin接合またはpn接合を構成することができる。
このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。また、このことにより、太陽電池20が電力を出力することができ、また、超格子半導体層10に内部電界が形成される。
p型半導体層1およびn型半導体層12は、図1、2のようにどちらか一方が基板であってもよく、両方ともCVD法などにより形成された薄膜であってもよい。
2.超格子半導体層
超格子半導体層10は、p型半導体層1とn型半導体層12に挟まれ、pin接合またはpn接合を構成することができる。また、超格子半導体層10は、量子井戸層9または量子ドット層6と障壁層8とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有する。超格子半導体層10は、i型半導体であってもよく、受光することにより起電力が生じれば、p型不純物またはn型不純物を含む半導体層であってもよい。
また、この超格子構造は、複数の超格子層を有することができ、各超格子層は、量子井戸層9または量子ドット層6と障壁層8とが交互に繰り返し積層された構造を有する。なお、超格子層は、量子井戸層9または量子ドット層6と障壁層8とが交互に2回以上繰り返し積層された構造でもよい。また、この繰り返し積層回数は、例えば、2、3、4、5、7、10、13、15、17、20、30回であってもよく、これらの数値のうちいずれか2つの数値の間の範囲であってもよい。
超格子構造に含まれる超格子層は、2層以上であればよく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、13、15、18、20層であってもよく、これらの数値のうちいずれか2つの数値の間の範囲であってもよい。
また、複数の超格子層に含まれる1つの超格子層(第1超格子層)に含まれる量子井戸層9のバンドギャップまたは量子ドット7のバンドギャップは、その(第1)超格子層のn型半導体側に隣接して積層された超格子層(第2超格子層)に含まれる量子井戸層9のバンドギャップまたは量子ドット7のバンドギャップよりも狭くなるように、超格子半導体層10を積層してもよい。このことにより、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9のバンドギャップまたは量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように超格子半導体層10を積層することができ、太陽電池20に光が照射された場合に超格子半導体層10に形成される内部電界下において超格子構造にミニバンドが形成されるように変調することができる。
超格子半導体層10を構成する障壁層8、量子ドット層6、量子井戸層9を構成する材料は、i型半導体であれば特に限定されないが、例えば、III―V族化合物半導体から構成することができる。量子ドット層6および量子井戸層9は、障壁層8よりもバンドギャップの狭い半導体材料で構成される。
また、超格子半導体層10を構成する障壁層8、量子ドット層6、量子井戸層9を構成する材料は、GaAs、InAs、InxGa1-xAsを用いることができ、さらに、たとえば周期律表の第IV族半導体、第III族と第V族からなる化合物半導体、第II族と第VII族からなる化合物半導体あるいはこれらの混晶材料としてもよい。例えば、障壁層8の材料にGaNAsで、量子井戸層9又は量子ドット層6の材料にInAsや、障壁層8の材料にGaPで量子井戸層9又は量子ドット層6の材料にInAs、障壁層8の材料にGaAsで量子井戸層9又は量子ドット層6の材料にGaSb等を用いても差し支えない。
ミニバンドを利用した超格子構造を有する太陽電池では、光照射により超格子半導体層に内部電界が生じ、量子井戸層または量子ドットの各量子準位がeFD(D:超格子周期、F:電場強度)のエネルギー間隔に分裂するシュタルク階段状態となりうる。この内部電界の電場の強さ、超格子半導体層に用いる材料、量子井戸層の厚さまたは量子ドットのサイズ等によっては超格子半導体層に電場がかかっている場合であっても、ある積層数以下ではシュタルク階段状態とならず超格子構造中のミニバンドが形成されることはあるが、太陽光を十分に吸収できる程度にまで積層数を増大させた状態で、超格子構造にミニバンドを形成することは難しい。そこで、光照射により形成される内部電界を考慮して各量子井戸層または各量子ドットの量子準位高さを変調することによって、光照射により形成される内部電界中であっても、超格子構造にミニバンドを形成することができる。なお、量子準位とは、量子ドットまたは量子井戸層の電子の離散的なエネルギー準位をいう。
各量子井戸層または各量子ドットの量子準位高さの変調は、例えば、各量子井戸層9の厚さまたは各量子ドット層6に含まれる量子ドット7の粒子サイズを段階的に変化させる方法と、各量子井戸層9または量子ドット7を半導体混晶で構成し、各量子井戸層9の混晶比または各量子ドット層6に含まれる量子ドット7の混晶比を段階的に変化させる方法と、各量子井戸層9の厚さまたは各量子ドット層6に含まれる量子ドット7の粒子サイズと、各量子井戸層9の混晶比または各量子ドット層6に含まれる量子ドット7の混晶比の両方を段階的に変化させる方法が挙げられる。これらの方法により、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9のバンドギャップまたは量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように超格子構造を形成することができ、超格子構造に含まれる超格子層ごとに量子井戸層9又は量子ドット7の量子準位を変調することができる。
超格子層ごとの量子井戸層9の厚さの変化率、量子ドット7の粒子サイズの変化率や混晶比の変化率は、超格子半導体層10の超格子構造に形成されるミニバンドが内部電界下においても維持されるように決定される。超格子半導体層10に内部電界が均一にかかる場合、それに応じて量子井戸層9の厚さの変化率、量子ドット7の粒子サイズの変化率や混晶比の変化率が決定される。超格子半導体層10が十分に厚い場合や超格子半導体層10に不純物をドープした場合、内部電界が超格子半導体層10全体で均一にかからず、超格子半導体層10の中央付近では電界がかからないことが想定されるが、この場合、超格子層ごとに想定される内部電界の大きさを考慮して各量子井戸層9の量子準位または各量子ドット7の量子準位がおおよそ同じになるように量子井戸層9の厚さの変化率や量子ドット7の粒子サイズの変化率や混晶比の変化率が決定される。また、これらの変化率は、各量子井戸層9の量子準位または各量子ドット7の量子準位が内部電界下の超格子構造全体において、実質的に同じエネルギー値になるように決定することができる。このことにより、波動関数が重なり合い、ミニバンドを形成することができる。なお、これらの変化率は、超格子構造全体で一定であってもよく、超格子層ごとに変化させてもよい。
量子井戸層9の厚さを変化させる方法は、例えば、超格子半導体層10のp型半導体側からn型半導体層側に近づくに従い各量子井戸層9の厚さが超格子層ごとに段階的に薄くなるように超格子半導体層10を積層する方法である。量子井戸層9の厚さが薄くなると量子サイズ効果により、量子井戸層9の量子準位を高くすることができる。従って、この方法により、超格子半導体層10は、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9のバンドギャップが段階的に広くなるように積層することができる。量子井戸層9の厚さは、例えば0.5〜1nm刻みで変化させることができる。
量子ドット7の粒子サイズを変化させる方法は、例えば、超格子半導体層10のp型半導体側からn型半導体層側に近づくに従い各量子ドット層6に含まれる量子ドットの粒子サイズを超格子層ごとに段階的に小さくなるように超格子半導体層10を積層する方法である。各量子ドット層6に含まれる量子ドット7の粒子サイズが小さくなると量子サイズ効果により、量子ドット7の量子準位を高くすることができる。この方法により、超格子半導体層10は、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように積層することができる。量子ドットの粒子サイズは、例えば、0.5〜1nm刻みで変化させることができる。
量子井戸層9の混晶比または量子ドット7の混晶比を変化させる方法は、例えば、量子井戸層または量子ドットをInxGa1-xAs(0<x≦1)などの半導体混晶で構成し、超格子半導体層のp型半導体側からn型半導体層側に近づくに従い各量子井戸または各量子ドット層に含まれる量子ドットを構成する材料の混晶比xを0.01〜0.1刻みで超格子層ごとに段階的に大きくしていく、または小さくしていく方法である。混晶比を段階的に変更することにより、各量子ドット層に含まれる量子ドットまたは各量子井戸層のバンドギャップを段階的に広くすることができる。従って、この方法により、超格子半導体層10は、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9または量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように積層することができる。
また、上述の量子ドット7の粒子サイズを変化させる方法または上述の量子井戸層9の厚さを変化させる方法と、上述の量子ドット7または量子井戸層9の混晶比を変化させる方法の両方を合わせて行うことによっても同様に超格子半導体層10を、超格子半導体層10のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い量子井戸層9または量子ドット7のバンドギャップが段階的に広くなるように積層することができる。量子井戸層の厚さ又は量子ドットの粒子サイズと混晶比との両方を変更することでより幅広い変調を行うことができる。
このバンド変調を最低エネルギー値の波動関数がp型半導体領域と超格子構造との境界から超格子構造とn型半導体領域との境界まで超格子半導体層全体に渡って繋がるように行うことで、光照射により内部電界が形成された場合でも超格子構造にミニバンドが形成される。これにより、量子井戸層9または量子ドット層6で生成されたキャリアはミニバンド中を移動し、n型半導体領域まで容易に移動することができるようになる。
また、ミニバンド間の遷移が起きないよう、量子井戸層または量子ドットと障壁層とのエネルギー間に位置するミニバンドは、各量子井戸層または各量子ドットの伝導帯の基底準位で構成するミニバンド一つのみ形成する超格子構造が望ましい。これにより、各量子井戸層または量子ドットで生成した電子はすぐさまミニバンドに緩和し、ミニバンド中を移動して外部より取り出される。
また、最適変調させた際、量子井戸層または量子ドットの量子準位高さはn型半導体層に近づくに従い大きくなっているので、量子井戸層と障壁層との間または量子ドットと障壁層との間のエネルギー障壁の大きさはn型半導体層に近づくに従い小さくなる。量子井戸層と障壁層との間またはn型半導体最近接にある量子ドットと障壁層との間のエネルギー障壁の大きさは、各量子井戸層と障壁層との間または各量子ドット層と障壁層との間の中で最小となる。つまり、n型半導体最近接にある量子井戸層以外の量子井戸層で生成されたキャリアまたはn型半導体最近接にある量子ドット以外の量子ドットで生成されたキャリアは、生成時におけるエネルギー障壁高さに比べて低いエネルギー障壁高さでキャリア取り出しされる。
内部電界下で各量子井戸層または各量子ドットの伝導帯基底準位で構成するミニバンドを形成する手法としては量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズもしくは量子井戸層又は量子ドットを構成する材料の混晶比を、量子井戸層または量子ドット層を1層ずつ変調させていくことができるが、1層ずつ変調させた場合、製造工程上複雑となるばかりでなく、太陽光を十分吸収できる積層数となる前に、量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズの限界(制御良く作製可能なサイズ限界)や量子井戸層または量子ドットを構成する材料の混晶比の限界(伝導帯基底準位が障壁層の伝導帯位置を超えない限界)に到達してしまう恐れがある。そこで、各超格子層に含まれる複数の量子井戸層または量子ドット層ごとに量子準位を変調させることで内部電界下で各量子井戸層または量子ドットの伝導帯基底準位で構成するミニバンドを形成させる。このできるだけ少ない変調回数を用いた構造により、超格子構造の積層数を大幅に増大させることができることから、各バンドギャップに対応する太陽光の吸収量を飛躍的に向上させることができ、太陽光の幅広い波長域を光電流にすることが可能となる。
最適な構造は、p型半導体領域との境界からn型半導体領域の境界まで数十〜数百層に及ぶ各量子ドット層に含まれる量子ドットまたは各量子井戸層の各量子準位を階段状に大きくしていくものである。つまり、n型半導体最近接の量子井戸層と障壁層との間またはn型半導体最近接の量子ドットと障壁層との間におけるエネルギー障壁の大きさが熱エネルギー未満となるまで量子井戸層または量子ドット層を積層する(最適積層数と呼ぶこととする)構造となる。また、最適積層数まで量子井戸層または量子ドット層を積層しない場合でも、キャリアが生成された各量子井戸層と障壁層との間またはキャリアが生成された各量子ドットと障壁層との間のエネルギー障壁高さと比べて、n型半導体最近接の量子井戸層と障壁層との間またはn型半導体最近接の量子ドットと障壁層との間でのエネルギー障壁高さは低く、励起されやすくなる。
以上の超格子構造は、ミニバンド形成可能な量子井戸/量子ドット太陽電池で適応可能であるが、3次元方向に閉じ込めである量子ドットは、一次元方向のみの閉じ込めである量子井戸と比べて量子準位が高くなりやすく、太陽電池に応用する際キャリアが取り出されやすくなる為より好ましい。
3.太陽電池の製造方法
量子ドット層または量子井戸層は、分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属化学気相成長(MOCVD)法等の手法により形成することができる。量子ドット層は、一般的には、Stranski―Krastanov(S―K)成長と呼ばれる方法で量子ドットを成長させることができる。上記手法の材料構成比を変えることで量子ドットまたは量子井戸層の混晶比を調整することができ、原材料・成長温度・圧力・堆積時間等を変えることによって量子ドットのサイズまたは量子井戸層の厚さを調整することができる。
以下では、本実施形態の太陽電池の製造方法について、具体的に例を用いて述べる。
本実施形態の太陽電池の製造においては、例えば、膜厚制御に優れた分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属化学気相成長法(MOCVD)等を用い、超格子構造を有する太陽電池を製造することができる。図2に、本実施形態において製造される量子井戸層と障壁層により構成される超格子構造を有する太陽電池の断面の一例を、図1に、本発明において製造される量子ドット層と障壁層とにより構成される超格子構造を有する太陽電池の断面の一例を示してある。より詳しくは、母体半導体材料としてGaAsを、量子井戸材料として混晶比xにより禁制帯幅が約1.42(GaAs)から0.36eV(インジウム砒素:InAs)まで容易に変化させ得るインジウムガリウム砒素(InxGa1-xAs)を用いた場合の超格子構造を有する太陽電池である。以下、図1、2を参照して、本実施形態の超格子構造を有する太陽電池の製造方法について説明する。
まず、p−GaAs基板1を有機系洗浄液で洗浄した後、硫酸系エッチング液によってエッチングし、さらに10分間流水洗浄を施した後、MOCVD装置内に設置する。この基板の上にバッファー層3として300nm p+−GaAs層を形成する。バッファー層3は、その上に形成すべき光吸収層の結晶性を向上させるための層である。続いてp+−GaAsバッファー層3上に300nm p−GaAsベース層4および障壁層8となる1nm GaAs層を結晶成長させた後、自己組織化機構を用いてInAs(x=1)からなる量子井戸層または量子ドット層を形成する。
この障壁層と量子井戸層または量子ドット層との結晶成長の繰り返しを、p型半導体最近接の量子井戸からn型半導体最近接の量子井戸まで、InxGa1-xAsの混晶比xを1から複数の量子井戸層または複数の量子ドット層(超格子層)ごとに段階的に小さくしながら行うことができる。もしくは、ある一定の混晶比xで、量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズを段階的に変化させながら行うことができる。もしくは、量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズと混晶比との両方を変化させてもよい。
最後の量子ドット層または量子井戸層を結晶成長させた後は、結晶表面の平坦性を回復するためにGaAsキャップ層を約4nm成長させて超格子半導体層10を完成させる。続いて、キャップ層の上に250nm n−GaAs層12を結晶成長させてpin構造を形成し、次いで、窓層14として50nm n−Al0.75Ga0.25As層を形成する。次いで、100nm n+−GaAsコンタクト層を結晶成長により形成する。次に、MOCVD装置から取り出した後、p型電極18を基板裏面の全面に形成する。次いで、コンタクト層15上にフォトリソグラフィーとリフトオフ技術により櫛型電極を形成し、この櫛型電極をマスクとしてコンタクト層15を選択エッチングしてn型電極17を形成することで、超格子構造を有する太陽電池を形成することができる。
基板処理温度は、例えば、Inの再脱離を防ぐために量子井戸層を含む超格子半導体層を作製時のみ520℃とし、それ以外の層は590℃として結晶成長を行うことができる。
また、n型ドーパントとしてはSiを、p型ドーパントとしてはBeを用いることができる。電極材料としては例えば、Auを用い、抵抗加熱蒸着法により真空蒸着で形成することができる。
尚、ここではInとGaの混晶比を変えた量子井戸層または量子ドット層を順次積層する例、または、ある一定の混晶比を持ち、量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズを変更した量子井戸層または量子井戸層を、順次積層する例を示したが、混晶比と量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズとの両方を段階的に変更した層を順次積層してもよい。この場合、隣接して積層された超格子層は、混晶比と量子井戸層の厚さまたは量子ドットの粒子サイズとのどちらか一方のみを変更して積層してもよく、他の隣接して積層された超格子層は、他方を変更して積層してもよい。
尚、ここで示した例は一例であり、本実施形態の超格子構造を有する太陽電池に用いる基板、バッファー層、量子ドット、ドーパント、電極などの各材料や、各プロセスで使用する洗浄剤、基板処理温度、製造装置等は、ここで示した例に限定されない。
シミュレーション実験
本発明によると、光照射時に形成される内部電界下においてシュタルク効果を補償し、量子井戸層間または量子ドット間の波動関数の電子的な結合によるミニバンドが形成されることを調べるため、MATLABソフトを用いシュレディンガー方程式を解くシミュレーション実験を行った。
〔実験1〕
実験1は、図2のような量子井戸層と障壁層との繰り返しにより形成された超格子構造を有する太陽電池において、超格子構造内の量子井戸層を、複数の量子井戸層(超格子層)毎にInの混晶比を0.06のGaに変更することで量子準位を変調させた超格子構造を用いた太陽電池の例である。以下、図3〜5を参照してより具体的に説明する。
図3(b)に示すバンド図は、母体半導体材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子井戸材料にインジウムガリウム砒素(InxGa1-xAs)を用いた、量子井戸層15層(超格子層)ごとに混晶比を変えることによって量子井戸層の量子準位を変調させた超格子構造のバンド図を示しており、図3(a)に超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。なお、図3(a)は、図2の点線で囲んだ範囲Bに対応している。また、図3(b)の横軸は、超格子半導体層のp型半導体層側の界面を0としたときの積層方向(図2のz方向)の距離を示し図3(a)の横方向と位置関係を一致させている。また、図3(b)の縦軸は、エネルギーを示している。
図3(b)は、量子井戸層9の合計積層数は30層(超格子層:2層)で内部電界5kV/cmが印加されたときのバンド図を示している。なお、実験1および実験3、実験4の内部電界5kV/cmとは、1200nmのi型半導体層に内部電界0.6Vがかかっ
ていることに等しい。また、1000nmのi型半導体層に内部電界0.5Vや、800
nmのi型半導体層に内部電界0.4V等も同様の印加電界5 kV/cmとなる。
このバンド図では、価電子帯におけるホールの有効質量が重いことから一つのバンドであるとみなされ、伝導帯側のとりうる一部のエネルギー値と最小エネルギーの波動関数のみを示した。障壁層8bの厚みは1nm、量子井戸層9の厚さは4nmとし、超格子構造の両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。n型半導体層およびp型半導体層の不純物濃度は超格子半導体層よりも十分大きいため、内部電界は超格子半導体層において均一にかかっていると考えている。なお、本実験では、超格子半導体層に内部電界が均一にかかった場合を示したが、超格子半導体層が十分に厚い場合や超格子半導体層に不純物をドープした場合、内部電界が超格子半導体層全体で均一にかからず、超格子半導体層の中央付近では電界がかからないことが想定される。そのような構造の太陽電池を作製する場合、各層ごとに内部電界の大きさを考慮して変調させる必要がある。
図4は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図5では、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。各実験結果を示した図6〜8、図9〜11、図18〜20は、それぞれ図3〜5に対応している。
図5からわかるように、各バンドギャップで十分な光吸収を得るため量子井戸層15層ごとに適当変調させた超格子構造において、最小エネルギーの波動関数が超格子構造間全体に渡って完全に繋がっており、キャリア移動度の高いミニバンドが形成されていることがわかる。なお、超格子構造全体に渡って繋がったミニバンドは、積層方向に積層した各量子井戸層のそれぞれの波動関数が局在せずに波動関数が各量子井戸層上に延びることにより形成される。つまり、各量子井戸層がそれぞれ隣接する量子井戸層と強く相互作用し合い波動関数が局在しないときに形成される。また、図3(b)において、量子井戸の最低量子準位と隣接するn型半導体側の障壁層とのエネルギー差は、p型半導体最近接の量子井戸の600meV(図3(b)に示した差a)からn型半導体最近接の量子井戸の527meV(図3(b)に示した差b)と小さくなっている。つまり、ミニバンドを形成した状態でエネルギー障壁の大きさがn型半導体に近づくに従い小さくなっており、生成キャリアをn型半導体領域から容易に取り出すことができることを示している。つまり、複数の量子井戸層(超格子層)ごとに1度材料変調させることで、内部電界下でミニバンドを形成しつつ積層数を増大でき、幅広い波長域の光を十分に吸収することができる超格子構造であることを示す。
〔実験2〕
実験2は、図2のような量子井戸層と障壁層が繰り返し積層された超格子構造を有する太陽電池において、超格子構造内の量子井戸層を、複数の量子井戸層(超格子層)毎にInの混晶比を0.05のGaに変更することで、量子井戸層の量子準位を変調させた超格子構造を用いた太陽電池の別の例である。本実施例では、複数の量子井戸層毎に混晶比を変化させている。以下、図6〜8を参照してより具体的に説明する。
図6(b)に示すバンド図は、実験1と同様に、母体半導体材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子井戸材料にインジウムガリウム砒素(InxGa1-xAs)を用いており、量子井戸層5層(超格子層)ごとに混晶比を変えることによって量子井戸層の量子準位を変調させた超格子構造のバンド図を示しており、量子井戸層の合計積層数は15層(超格子層:3層)で内部電界15 kV/cmが印加されたときのバンド図を示している。図6(a)には、超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。なお、15 kV/cmとは、例えば400nmのi型半導体層に内部電界0.6Vがかかっていることに等しい。また、360nmのi型半導体層に内部電界0.54Vや、300nmのi型半導体層に内部電界0.45V等も同様の印加電界15 kV/cmとなる。
障壁層8bの厚みは1nm、量子井戸層9の厚さは4nmとし、超格子構造の両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。図7は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図8は、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。
図8からわかるように、量子井戸層5層ごとに適当変調させた超格子構造において、最小エネルギーの波動関数が量子井戸層間全体に渡って完全に繋がっており、キャリア移動度の高いミニバンドが形成されていることがわかる。また、複数の量子井戸層毎に混晶比を変えたことにより、量子井戸層の各バンドギャップで十分な光吸収が可能となる。また、図6(b)において、量子井戸層の最低量子準位と隣接するn型半導体側の障壁層とのエネルギー差は、p型半導体最近接の量子井戸の595meV(図6(b)に示した差c)からn型半導体最近接の量子井戸の490meV(図6(b)に示した差d)と小さくなっている。つまり、ミニバンドを形成した状態でエネルギー障壁の大きさがn型半導体に近づくに従い小さくなっており、生成キャリアをn型半導体領域から容易に取り出すことができることを示している。
つまり、複数の量子井戸層毎に材料変調させた超格子構造を有する太陽電池は、量子井戸層の各バンドギャップに応じた光を十分に吸収させることが可能であり、かつ容易にn型半導体領域からキャリア取り出しできる。さらには複数の量子井戸層ごとに2度材料変調させることで、内部電界下でミニバンドを形成しつつ積層数を増大でき、幅広い波長域の光を十分に吸収することができる超格子構造であることを示す。
〔実験3〕
実験3は、図2のような量子井戸層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造を有する太陽電池において、超格子構造内の量子井戸層を、複数の量子井戸層毎に量子井戸層の厚さをかえることで、量子井戸層の量子準位を変調させた超格子構造を用いた太陽電池の例である。以下、図9〜11を参照してより具体的に説明する。
図9(b)に示すバンド図は、母体半導体(障壁層)の材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子井戸層の材料にインジウムヒ素(InAs)を用いて、量子井戸層10層(超格子層)ごとに量子井戸層の厚さを1nm減少させることによって量子井戸層の量子準位を変調させた超格子構造のバンド図を示しており、量子井戸層の合計積層数は20層(超格子層2層)で内部電界5kV/cmが印加されたときのバンド図を示している。図9(a)には、超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。障壁層8bの厚みは1nm、p型半導体側の量子井戸層9の厚さを4nmとし、超格子構造両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。図10は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図11は、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。
図9〜11からわかるように、混晶比の変更ではなく量子井戸層の厚さの変更によっても、実験1および実験2と同様の結果が得られることが示された。図11からわかるように、各バンドギャップで十分な光吸収を得るため量子井戸層10層ごとに適当変調させた超格子構造において、最小エネルギーの波動関数が量子井戸層間全体に渡って完全に繋がっており、キャリア移動度の高いミニバンドが形成されていることがわかる。
また、図9(b)において、量子井戸層の最低量子準位と隣接するn型半導体側の障壁層とのエネルギー差は、p型半導体最近接の量子井戸の589meV(図9(b)に示した差e)からn型半導体最近接の量子井戸の545meV(図9(b)に示した差f)と小さくなっている。つまり、ミニバンドを形成した状態でエネルギー障壁の大きさがn型半導体に近づくに従い小さくなっており、生成キャリアをn型半導体領域から容易に取り出すことができることを示している。さらには複数の量子井戸層ごとに1度材料変調させることで、内部電界下でミニバンドを形成しつつ積層数を増大でき、幅広い波長域の光を十分に吸収することができる超格子構造であることを示す。
〔実験4〕
実験4では、図1のような量子ドット層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造の超格子半導体層として用いた太陽電池の例について示す。
太陽電池の模式的断面図において図1のようにxyz方向を規定する。作製された量子ドット太陽電池は、xy方向の量子ドット間で電子的結合が起きる密度になっておらず、z方向(積層方向)では量子ドット間の電子的結合が生じる。そのため、量子ドットを用いた超格子構造を考えた場合、超格子構造の波動関数はz方向にのみ閉じ込めをおこなった量子井戸の波動関数と同じであることを意味する。一方、超格子構造のエネルギー値は、z方向のエネルギー値Ezに、x方向およびy方向のエネルギー値(Ex、Ey)を足し合わせた値と考えて差し支えない。ExおよびEyは、電界がかかっていない状態での単一量子井戸で得られるエネルギー値より求まる。
以下、量子ドット層を超格子構造の超格子半導体層とした場合の太陽電池を図12〜14を参照して具体的に説明する。
図12(b)は、量子ドット層10層(超格子層)ごとにInの混晶比を0.05のGaに変更することで量子準位を変調させ、量子ドットの各バンドギャップで十分な光吸収を可能とする超格子構造のバンド図を示しており、図12(a)に超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。なお、図12(a)は、図1の一点鎖線で囲んだ範囲Aに対応している。また、図12(b)の横軸は、超格子半導体層のp型半導体層側の界面を0としたときの積層方向(図1のz方向)の距離を示し図12(a)の横方向と位置関係を一致させている。また、図12(b)の縦軸は、エネルギーを示している。図12(a)には、量子ドット層の合計積層数は20層(超格子層:2層)で内部電界5 kV/cmが印加されたときのバンド図を示している。これまでと同様、母体半導体(障壁層)の材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子ドット層の材料にインジウムガリウム砒素(InxGa1-xAs)を用い、障壁層8bの厚みは1nm、量子ドット7のサイズは縦横(xy方向)20nm、高さ(z方向)5nmで、超格子構造の両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20 nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。図13は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図14では、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。各実験結果を示した図15〜17、図21〜23は、それぞれ図12〜14に対応している。
図12〜14からわかるように、超格子半導体層に量子ドット層を挿入した場合において、実験1〜3と同様の結果が得られることが示された。図14からわかるように、各バンドギャップで十分な光吸収を得るため量子ドット層10層ごとに適当変調させた超格子構造において、最小エネルギーの波動関数が量子ドット間全体に渡って完全に繋がっており、キャリア移動度の高いミニバンドが形成されていることがわかる。なお、超格子構造全体に渡って繋がったミニバンドは、積層方向に積層した各量子ドットのそれぞれの波動関数が局在せずに波動関数が各量子ドット上に延びることにより形成される。つまり、各量子ドットがそれぞれ隣接する量子ドットと強く相互作用し合い波動関数が局在しないときに形成される。
また、図12(b)において、量子ドットの最低量子準位と隣接するn型半導体側の障壁層とのエネルギー差は、p型半導体最近接の量子ドットの564meV(図12(b)に示した差g)からn型半導体最近接の量子ドットの507meV(図12(b)に示した差h)と小さくなっている。つまり、ミニバンドを形成した状態でエネルギー障壁の大きさがn型半導体に近づくに従い小さくなっており、生成キャリアをn型半導体領域から容易に取り出すことができることを示している。さらには複数の量子ドット層ごとに1度材料変調させることで、内部電界下でミニバンドを形成しつつ積層数を増大でき、幅広い波長域の光を十分に吸収することができる超格子構造であることを示す。
〔実験5〕
実験5では、図1のような量子ドット層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造の超格子半導体層として用いた太陽電池の例について示す。
太陽電池の模式的断面図において図1のようにxyz方向を規定する。作製された量子ドット太陽電池は、xy方向の量子ドット間で電子的結合が起きる密度になっておらず、z方向では量子ドット間の電子的結合が生じる。そのため、量子ドットを用いた超格子構造を考えた場合、超格子構造の波動関数はz方向にのみ閉じ込めをおこなった量子井戸の波動関数と同じであることを意味する。一方、超格子構造のエネルギー値は、z方向のエネルギー値Ezに、x方向およびy方向のエネルギー値(Ex、Ey)を足し合わせた値と考えて差し支えない。ExおよびEyは、電界がかかっていない状態での単一量子井戸で得られるエネルギー値より求まる。
以下、量子ドット層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造の超格子半導体層とした場合の太陽電池を図15〜17を参照して具体的に説明する。
図15(b)は、量子ドット層10層(超格子層)ごとにz方向の量子ドット高さを1nm減少させることによって量子ドットの量子準位を変調させ、量子ドットの各バンドギャップで十分な光吸収を可能とする超格子構造のバンド図を示しており、量子ドット層の合計積層数は20層(超格子層:2層)で内部電界5kV/cmが印加されたときのバンド図を示している。図15(a)には、超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。これまでと同様、母体半導体(障壁層)の材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子ドットの材料にインジウムヒ素(InAs)を用い、障壁層8bの厚みは1nm、量子ドット7のサイズは縦横(xy方向)20nm、高さ(z方向)始め4nmで、超格子構造の両端の障壁層8a、8bは十分な厚みとして20nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。図16は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図17では、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。
図15〜17からわかるように、超格子半導体層に量子ドット層を挿入した場合において、実験1〜4と同様の結果が得られることが示された。図17からわかるように、各バンドギャップで十分な光吸収を得るため量子ドット層10層ごとに適当変調させた超格子構造において、最小エネルギーの波動関数が量子ドット間全体に渡って完全に繋がっており、キャリア移動度の高いミニバンドが形成されていることがわかる。
また、図15(b)において、量子ドットの最低量子準位と隣接するn型半導体側の障壁層とのエネルギー差は、p型半導体最近接の量子ドットの682.5meV(図15(b)に示した差i)からn型半導体最近接の量子ドットの604.5meV(図15(b)に示した差j)と小さくなっている。つまり、ミニバンドを形成した状態でエネルギー障壁の大きさがn型半導体に近づくに従い小さくなっており、生成キャリアをn型半導体領域から容易に取り出すことができることを示している。さらには複数の量子ドット層ごとに1度材料変調させることで、内部電界下でミニバンドを形成しつつ積層数を増大でき、幅広い波長域の光を十分に吸収することができる超格子構造であることを示す。
〔比較実験1〕
比較実験1では、図2のような量子井戸層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造を有する太陽電池において、量子井戸層の材料の混晶比、量子井戸層の厚さのいずれも変えない超格子構造を有する太陽電池の例を示す。以下、図18〜20を参照してより具体的に説明する。
図18(b)には、材料変調や量子井戸幅を変えず、量子準位の補正を行わない場合で、量子井戸層の積層数30層の超格子構造に内部電界を5 kV/cm印加したバンド図を示している。図18(a)には、超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。これまでと同様、母体半導体(障壁層)の材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子井戸層の材料にインジウムヒ素(InAs)を用い、障壁層8bの厚みは1nm、量子井戸層9の厚さは4nmとし、超格子構造の両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20 nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。
図19は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図20では、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。図20からわかるように、実験1に示すような補正あり合計積層数30層の量子井戸構造の場合と異なり、最小エネルギーの波動関数が量子井戸間全体に渡って完全には繋がっていない。従って、補正ありの場合と比べて移動度が大きく低下し、非効率的な量子井戸太陽電池になる。
〔比較実験2〕
比較実験2では、図1のような量子ドット層と障壁層とを繰り返し積層した超格子構造を有する太陽電池において、材料の混晶比、量子ドットの粒子サイズのいずれも変えない超格子構造を有する太陽電池の例を示す。以下、図21〜23を参照してより具体的に説明する。
図21(b)には、材料変調や量子ドット高さを変えず、量子準位の補正を行わない場合で、量子ドット層の積層数20層の超格子構造に内部電界を5kV/cm印加したバンド図を示している。図21(a)には、超格子半導体層10の一部の概略断面図を示す。これまでと同様、母体半導体(障壁層)の材料にガリウムヒ素(GaAs)、量子ドット層の材料にインジウムヒ素(InAs)を用い、障壁層8bの厚みは1nm、量子ドット7のサイズは縦横(xy方向)20nm、高さ(z方向)4nmで、超格子構造の両端の障壁層8a、8cは十分な厚みとして20 nmとした。ガリウムヒ素とインジウムヒ素との間の障壁高さは0.697eVとした。
図22は、各エネルギー値の波動関数を並べたものであり、図23では、最小エネルギーの波動関数の拡大図を示している。図23からわかるように、実験4,5に示すような補正あり量子ドット層の合計積層数20層の超格子構造の場合と異なり、最小エネルギーの波動関数が超格子構造全体に渡って完全には繋がっていない。従って、補正ありの場合と比べて移動度が大きく低下し、非効率的な量子ドット太陽電池になる。
以上、本発明が各実験に基づいて具体的に説明されたが、本発明は上述の実験に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
1: p型半導体基板(p型半導体層) 3:バッファー層 4:ベース層 6:量子ドット層 7:量子ドット 8、8a〜c:障壁層 9:量子井戸層 10:超格子半導体層 12:n型半導体層 14:窓層 15:コンタクト層 17:n型電極 18:p型電極 20:太陽電池

Claims (14)

  1. p型半導体層と、n型半導体層と、前記p型半導体層と前記n型半導体層とに挟まれた超格子半導体層とを備え、
    前記超格子半導体層は、量子井戸層または量子ドットからなる量子ドット層と障壁層とが交互に繰り返し積層された超格子構造を有し、
    前記超格子半導体層は、前記超格子半導体層のp型半導体層側からn型半導体側に近づくに従い前記量子井戸層または前記量子ドットのバンドギャップが段階的に広くなるように積層され
    前記超格子構造は、複数の超格子層を有し、
    各超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子井戸層または前記量子ドット層と前記障壁層とを有し、
    前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層のバンドギャップまたは前記量子ドットのバンドギャップに比べ、第1超格子層のn型半導体層側に隣接して積層された第2超格子層に含まれる前記量子井戸層のバンドギャップまたは前記量子ドットのバンドギャップがより広くなるように積層されたことを特徴とする太陽電池。
  2. 第1および第2超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子ドット層と前記障壁層とを有し、
    第1超格子層に含まれる前記量子ドットおよび第2超格子層に含まれる前記量子ドットは、それぞれ実質的に同じ粒子サイズを有し、
    前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの粒子サイズに比べ、第2超格子層に含まれる前記量子ドットの粒子サイズがより小さくなるように積層された請求項に記載の太陽電池。
  3. 第1および第2超格子層は、それぞれ交互に繰り返し積層された前記量子井戸層と前記障壁層とを有し、
    第1超格子層に含まれる前記量子井戸層および第2超格子層に含まれる前記量子井戸層は、それぞれ実質的に同じ厚さを有し、
    前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さに比べ、第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さがより薄くなるように積層された請求項に記載の太陽電池。
  4. 前記量子井戸層または前記量子ドットは、半導体混晶からなり、
    前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットまたは前記量子井戸層の混晶比と、第2超格子層に含まれる前記量子ドットまたは前記量子井戸層の混晶比とが異なるように積層された請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽電池。
  5. 前記超格子半導体層は、前記超格子半導体層に光が照射された場合に形成される内部電界下において前記超格子構造にミニバンドが形成されるように積層された請求項1〜4のいずれか1つに記載の太陽電池。
  6. 前記超格子半導体層は、前記ミニバンドの伝導帯の波動関数が前記超格子構造全体に渡って繋がるように積層された請求項に記載の太陽電池。
  7. 前記超格子半導体層は、前記ミニバンドの伝導帯において最もエネルギーの低い波動関数が前記超格子構造全体に渡って繋がるように積層された請求項またはに記載の太陽電池。
  8. 前記超格子半導体層は、前記ミニバンドが伝導帯において1つのみ形成されるように積層された請求項5〜7のいずれか1つに記載の太陽電池。
  9. 前記p型半導体層、前記n型半導体層および前記超格子半導体層は、pn接合またはpin接合を形成する請求項1〜8のいずれか1つに記載の太陽電池。
  10. 前記n型半導体層、前記超格子半導体層および前記p型半導体層は、前記n型半導体層側から光が入射するように配置される請求項1〜9のいずれか1つに記載の太陽電池。
  11. 前記障壁層、前記量子ドットまたは前記量子井戸層は、III−V族化合物半導体からなる請求項1〜10のいずれか1つに記載の太陽電池。
  12. 前記障壁層は、GaAsからなり、
    前記量子ドットまたは前記量子井戸層は、InxGa1-xAs(0<x≦1)からなる請求項1〜11のいずれか1つに記載の太陽電池。
  13. 前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの積層方向の粒子サイズと第2超格子層に含まれる前記量子ドットの積層方向の粒子サイズとの差、または、第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さと第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の厚さとの差が1nm以下となるように積層された請求項1〜12のいずれか1つに記載の太陽電池。
  14. 前記超格子半導体層は、第1超格子層に含まれる前記量子ドットの混晶比と第2超格子層に含まれる前記量子ドットの混晶比との差、または第1超格子層に含まれる前記量子井戸層の混晶比と第2超格子層に含まれる前記量子井戸層の混晶比との差が0.1以下となるように積層された請求項1〜13のいずれか1つに記載の太陽電池。
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