JP6030971B2 - 受光素子および受光素子を備えた太陽電池 - Google Patents

受光素子および受光素子を備えた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、受光素子および受光素子を備えた太陽電池に関し、好適には量子ドット層を含む受光素子およびその受光素子を備えた太陽電池に関する。
受光素子を備えたデバイスの一例である太陽電池に対しては、より広い波長範囲の光を利用して光電変換効率を高めるということを目的とした種々の研究開発が行われている。たとえば、量子ドットの技術の利用により超格子ミニバンドが価電子帯と伝導帯との間に形成され、超格子ミニバンドの形成により電子が二段階で励起され、よって、長波長の光を利用することができるという太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2または非特許文献1など)。
このような量子ドットを含む太陽電池は、化合物太陽電池のi型半導体層を構成する母体半導体中に量子ドットを含む量子ドット層を挿入したものである。母体半導体中に量子ドット層を挿入することにより、量子ドット層間の電子的結合が形成され、よって、超格子ミニバンドが形成される。超格子ミニバンドを介した二段階の光励起により、未利用だった波長域の光吸収(母体半導体材料のバンドギャップより小さいエネルギーのフォトンの吸収)が可能となり、光電流を増加させることができる。量子ドットで生成されたキャリアは、超格子ミニバンド中を移動し、光励起によって外部に取り出される。
特開2006−114815号公報 特表2010−509772号公報
PHYSICAL REVIEW LETTERS、97巻、247701ページ、2006年
現在、超格子ミニバンドが形成された太陽電池においては、その太陽電池が有する量子ドット層からの光電流の取り出し効率は数%程度に留まっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)を提供可能な受光素子を提供することである。
本発明者らは、キャリアが光励起されたときにキャリア再結合が発生する場合があるので光電流の取り出し効率が数%程度に留まっていると考え、鋭意検討した結果、本発明を完成した。
本発明に係る受光素子は、p型半導体層と、n型半導体層と、p型半導体層とn型半導体層とに挟まれた超格子半導体層とを備える。超格子半導体層は、障壁層と量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層されて構成された2つ以上の超格子構造を有する。2つ以上の超格子構造は、量子ドットの形状、量子ドットの材料、障壁層の厚さ、および、障壁層の材料のうちの少なくとも1つを互いに異にする。
2つ以上の超格子構造は、それぞれの超格子構造を構成する量子ドット層の伝導帯量子準位によって、超格子構造での積層方向に対して平行な方向に延びる超格子ミニバンドを形成することが好ましい。また、2つ以上の超格子構造は、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように配置されていることが好ましい。
n型半導体層は、光入射側とは反対側に配置されていることが好ましい。また、量子ドット層の積層方向における量子ドットの間隔は、量子ドットの高さよりも大きいことが好ましい。ここで、「量子ドット層の積層方向における量子ドットの間隔」は、濡れ層がある場合には、量子ドットとその量子ドットの上に位置する濡れ層との最小距離を意味し、たとえば図14に示す間隔Lzである。濡れ層がない場合には、「量子ドット層の積層方向における量子ドットの間隔」は、量子ドットとその量子ドットの上に位置する量子ドットとの最小距離を意味する。
本発明に係る太陽電池は、本発明の受光素子を備えている。
本発明に係る受光素子では、キャリア再結合を抑制することができるので、キャリアの取り出し効率に優れたデバイス(太陽電池など)の提供が可能となる。
本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。 従来の超格子半導体層に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドと伝導帯第一超格子ミニバンドを介した吸収とを示した概略バンド図である。 本発明の実施形態1における超格子半導体層に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドと伝導帯第一超格子ミニバンドを介した吸収とを示した概略バンド図である。 実験例1により計算された超格子構造1の伝導帯における超格子ミニバンドの構造を示すグラフである。 実験例1により計算された超格子構造2の伝導帯における超格子ミニバンドの構造を示すグラフである。 価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 実験例2により計算された超格子構造1の伝導帯における超格子ミニバンドの構造を示すグラフである。 実験例2により計算された超格子構造2の伝導帯における超格子ミニバンドの構造を示すグラフである。 価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示すグラフである。 偏光スペクトルの理論計算に用いた超格子半導体層の構成を示した断面図である。 (a)〜(d)は、それぞれ、Lzが1nm、3nm、5nmおよび10nmのときの吸収スペクトルの計算結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の受光素子および太陽電池について詳細に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
ここで、本明細書中でよく用いられる語句について簡単な説明を加える。
「超格子半導体層」とは、障壁層と量子ドット層とが複数回繰り返し積層されて構成された超格子構造を有する。障壁層および量子ドット層はともに化合物半導体材料からなるが、障壁層は量子ドット層よりもバンドギャップエネルギーが大きい。
「超格子構造」とは、複数の種類の結晶格子の重ね合わせにより、その周期構造が基本単位格子よりも長い結晶格子からなることを意味する。
「量子ドット」とは、100nm以下の粒子サイズを有する半導体微粒子であり、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい半導体材料で囲まれた微粒子である。
「量子ドット層」とは、量子ドットと量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料とを含む層である。「障壁層」とは、量子ドットが半導体層内に挿入されることなく構成された層であり、量子ドットを構成する半導体材料よりもバンドギャップの大きい母体半導体材料からなる層である。
「超格子ミニバンド」とは、量子ドットからしみ出した波動関数が重なり合うことで、各量子ドットの離散的エネルギー準位が束となり、形成されるバンドを言う。超格子ミニバンドの少なくとも一部は、障壁層の価電子帯上端と伝導帯下端との間に形成されている。「量子準位」とは、電子の離散的なエネルギー準位を言う。
「伝導帯第一超格子ミニバンド」とは、量子ドット層の伝導帯側の基底準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
「伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギー」は、伝導帯第一超格子ミニバンドの最小エネルギーを意味する。
「伝導帯第二以上の超格子ミニバンド」とは、量子ドット層の伝導帯側の励起準位により形成された超格子ミニバンドを意味する。
≪実施形態1≫
[受光素子の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る受光素子を備えた太陽電池の構成を示す概略断面図である。本実施形態に係る受光素子は、n型半導体層1と、p型半導体層12と、n型半導体層1とp型半導体層12とに挟まれた超格子半導体層10とを備える。
<p型半導体層およびn型半導体層>
n型半導体層1は、光入射側とは反対側に位置し、n型不純物を含む半導体からなり、i型半導体層(超格子半導体層10)とp型半導体層12とともにpin接合またはpn接合を構成することができる。p型半導体層12は、光入射側に位置し、p型不純物を含む半導体からなり、i型半導体層(超格子半導体層10)とn型半導体層1とともにpin接合またはpn接合を構成することができる。このpin接合またはpn接合が受光することにより、起電力が生じる。
n型半導体層1は、基板であってもよいし、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜であってもよい。p型半導体層12は、CVD法またはMBE法などにより形成された薄膜であることが好ましい。n型半導体層1は、障壁層8と同じ半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよいし、障壁層8とは異なる半導体材料にn型不純物を添加したものであってもよい。p型半導体層12についても同様のことが言える。たとえば、n型半導体層1はn−GaAsからなることが好ましく、p型半導体層12はp−GaAsからなることが好ましい。n型半導体層1におけるn型不純物の濃度は特に限定されず、n型半導体層1を構成する半導体材料に応じて適宜設定されることが好ましい。p型半導体層12におけるp型不純物の濃度についても同様のことが言える。n型半導体層1およびp型半導体層12の各厚さは特に限定されず、超格子半導体層10が光を十分に吸収可能となるように適宜設定されることが好ましい。
<超格子半導体層>
超格子半導体層10は、n型半導体層1とp型半導体層12とに挟まれ、pin接合またはpn接合を構成することができる。また、超格子半導体層10は、2つの超格子構造を有し、2つの超格子構造は、それぞれ、量子ドット7を含む量子ドット層6と障壁層8とがn型半導体層1上に交互に繰り返し積層されて構成されている。なお、図1には明確に図示されていないが、量子ドット7は超格子半導体層10での積層方向において障壁層8を挟んで設けられている。
量子ドット7および障壁層8の各材料は、特に限定されないが、III−V族化合物半導体であることが好ましい。量子ドット7は、障壁層8よりもバンドギャップエネルギーの小さい半導体材料であることが好ましい。たとえば、量子ドット7および障壁層8の各材料は、AlSb、InAsxSb1-x、AlSbxAs1-x、AlAs、GaAs、InxGa1-xAs、AlxGa1-xAs、InxGa1-xP、(AlyGa1-yzIn1-zP、GayIn1-yAsz1-zまたはInxAl1-xAs(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。以下同様。)であることが好ましく、これらの混晶材料であっても良い。量子ドット7および障壁層8の各材料は、周期律表の第IV族半導体、第III族半導体材料と第V族半導体材料とからなる化合物半導体、または、第II族半導体材料と第VI族半導体材料と第VII族半導体材料とからなる化合物半導体であっても良く、これらの混晶材料であっても良い。また、量子ドット7および障壁層8の各材料は、カルコパイライト系材料であっても良いし、カルコパイライト系材料以外の半導体であっても良い。たとえば、障壁層8の材料がGaNAsであり量子ドット7の材料がInAsであっても良いし、障壁層8の材料がInGaPであり量子ドット7の材料がInAsであっても良いし、障壁層8の材料がGaNであり量子ドット7の材料がGaxIn1-xNであっても良いし、障壁層8の材料がGaAsであり量子ドット7の材料がGaSbであっても良いし、障壁層8の材料がAlAsであり量子ドット7の材料がInAsであっても良いし、障壁層8の材料がCuGaS2であり量子ドット7の材料がCuInSe2であっても良い。
本実施形態における超格子半導体層10では、量子ドット7の形状、量子ドット7の材料、障壁層8の厚さ、および、障壁層8の材料を調整することで、量子ドット7からしみ出した波動関数が重なり合うようになる。この電子的結合の結果、各量子ドット7の離散的エネルギー準位が束となり、量子ドット層6の厚み方向に超格子ミニバンドが形成される。本実施形態における超格子ミニバンドは、量子ドット層6の伝導帯量子準位によって形成される。
伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは、量子ドット7の形状、障壁層8の厚さ、量子ドット7の有効質量、障壁層8の有効質量、または、量子ドット7と障壁層8との間のオフセットなどにより決まる。具体的には、量子ドット層6の厚み方向における量子ドット7の大きさ、量子ドット層6の面内方向における量子ドット7の大きさ、または、量子ドット層6の厚み方向および面内方向における量子ドット7の大きさを小さくすることで、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。量子ドット7の有効質量または障壁層8の有効質量を小さくすることでも、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。量子ドット7と障壁層8との間のオフセットを大きくすることで、超格子ミニバンドの下端エネルギーを大きくすることができる。障壁層8の厚さを薄くすることで、超格子ミニバンドのエネルギー幅を広げることができるとともに、超格子ミニバンドの下端エネルギーを小さくすることができる。このように、量子ドット7の形状、量子ドット7の材料、障壁層8の厚さ、および、障壁層8の材料を調整することで、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさを制御することができる。なお、「量子ドット7の形状」には、量子ドット7の大きさも含まれる。そのため、「量子ドット7の形状を調整する」には、量子ドット7の外形を変更せずに量子ドット7の大きさのみを変更することも含まれる。
さらに、本実施形態における超格子半導体層10では、2つの超格子構造は互いに異なるサイズの量子ドット7を含んでいる。これにより、2つの超格子構造では、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが互いに異なる。したがって、本実施形態に係る受光素子では、キャリアが光励起されたときであっても電子とホールとを空間的に分離することができるので、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスの提供を図ることができる。以下、図2および図3を用いて説明する。
図2は、従来の超格子半導体層に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドと伝導帯第一超格子ミニバンドを介した吸収とを示した概略バンド図である。上述のように、量子ドットの形状、量子ドットの材料、障壁層の厚さまたは障壁層の材料を制御することにより、図2に示す伝導帯第一超格子ミニバンド128が形成される。そして、矢印で示すように、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンド128への遷移および伝導帯第一超格子ミニバンド128から障壁層8の伝導帯以上への遷移が起こる。なお、図2には明記していないが、伝導帯第一超格子ミニバンド128を介さない、価電子帯から伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移も起きる。
図3は、本実施形態における超格子半導体層10に形成される伝導帯第一超格子ミニバンドと伝導帯第一超格子ミニバンドを介した吸収とを示した概略バンド図である。2つの超格子構造では、量子ドット7の大きさが異なるので、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが異なる。
図3では、伝導帯第一超格子ミニバンド28Bの下端エネルギーが伝導帯第一超格子ミニバンド28Aの下端エネルギーよりも小さいとして、キャリアが伝導帯第一超格子ミニバンド28Aから伝導帯第一超格子ミニバンド28Bへ速やかに移動するとした。このため、図3には、光入射側(p型半導体層12側)に配置された超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンド28Aにはキャリアが存在していない(空)一方、光入射側とは反対側(n型半導体層1側)に配置された超格子構造の伝導帯第一超格子ミニバンド28Bにはキャリアが満たされている場合を示している。この場合、光入射側に配置された超格子構造では、キャリアが価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンド28Aへ遷移する。そして、光入射側とは反対側に配置された超格子構造において、キャリアが伝導帯第一超格子ミニバンド28Bから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへ遷移する。このようにキャリアが伝導帯第一超格子ミニバンド28Aから伝導帯第一超格子ミニバンド28Bへ速やかに移動するので、電子とホールとが空間的に分離され、よって、キャリア再結合を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る受光素子は、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスを提供することができる。なお、図3には明記していないが、伝導帯第一超格子ミニバンド28A,28Bを介さない、価電子帯から伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移も各超格子構造で起きる。
超格子半導体層10が有する2つの超格子構造は、上述のように、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように配置されていることが好ましい。これにより、超格子半導体層10の伝導帯第一超格子ミニバンドに光励起されたキャリアは、伝導帯第一超格子ミニバンドのうち下端エネルギーの大きさが最も小さな伝導帯第一超格子ミニバンドに集まる。つまり、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子構造におけるキャリア占有率が著しく高くなる。よって、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへのキャリアの光励起が高い確率で発生する。
伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように2つの超格子構造が配置されている場合、n型半導体層1は、光入射側とは反対側に配置されていることが好ましい。これにより、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドに励起されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層1へ取り出される。したがって、短絡電流を向上させることができる。
超格子半導体層10が有する2つの超格子構造は、量子ドット7の形状、量子ドット7の材料、障壁層8の厚さ、および、障壁層8の材料のうちの少なくとも1つが互いに異なることが好ましい。いずれの場合であっても、2つの超格子構造では伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが互いに異なるので、キャリア再結合を抑制することができる。
なお、量子ドット7の形状または量子ドット7の材料の組成が、量子ドット層6の厚さ方向では同じであるが、量子ドット層6の面内方向においては異なるような超格子半導体層10であってもよい。
また、超格子半導体層10が有する2つの超格子構造は、それぞれの超格子構造を構成する量子ドット層の価電子帯量子準位によって超格子ミニバンドを形成してもよい。この場合であっても、キャリア再結合を抑制することができる。
また、超格子半導体層10が有する超格子構造のうち伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子構造には、不純物がドープされていても良い。これにより、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子構造におけるキャリア占有率が高くなるので、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移確率がより高まる。
また、n型半導体層1が光入射側に配置され、p型半導体層12が光入射側とは反対側に配置されていても良い。
また、超格子半導体層10は、3つ以上の超格子構造を有しても良い。
また、超格子半導体層10は、i型半導体層であってもよいし、受光により起電力が生じるのであればp型不純物またはn型不純物を含む半導体層であってもよい。
[太陽電池の構成]
本実施形態に係る太陽電池20は本実施形態に係る受光素子を備えているので、本実施形態ではキャリアの取り出し効率に優れた太陽電池を提供することができる。
本実施形態に係る太陽電池20は、さらに、n型半導体層1と超格子半導体層10との間にバッファ層3およびベース層4を順に備え、p型半導体層12上に窓層14を備え、窓層14の上にコンタクト層15を介してp型電極17を備え、n型半導体層1の下面上にn型電極18を備える。バッファ層3、ベース層4、窓層14、コンタクト層15、p型電極17およびn型電極18の各材料および各厚さは特に限定されない。これらの一例は下記[太陽電池の製造方法]において示す通りである。
なお、本実施形態に係る太陽電池は、集光システムと組み合わせることもできる。
[太陽電池の製造方法]
まず、n型半導体層1を有機系洗浄液で洗浄した後、硫酸系エッチング液によってn型半導体層1をエッチングし、さらに10分間、n型半導体層1に対して流水洗浄を施す。その後、n型半導体層1をMOCVD装置内で支持する。n型半導体層1としては、n−GaAs基板を用いることができる。
次に、n型半導体層1上にバッファ層3を形成する。バッファ層3としては、300nmの厚さのn+−GaAs層を形成することが好ましい。バッファ層3の形成により、バッファ層3上に形成される光吸収層(超格子半導体層10)の結晶性を向上させることができる。よって、光吸収層での受光効率が確保された太陽電池20を提供することができる。その後、バッファ層3上にベース層4を形成する。ベース層4としては、300nmの厚さのn−GaAs層を形成することが好ましい。
続いて、ベース層4上に障壁層8と量子ドット層6とを形成する。分子線エピタキシー(MBE)法または有機金属化学気相成長(MOCVD)法などにより障壁層8を形成することができ、Stranski―Krastanov(S―K)成長と呼ばれる方法により量子ドット層6を成長させることができる。具体的には、障壁層8として3nmの厚さのGaAs層を結晶成長させた後、自己組織化機構によりインジウム砒素InxGa1-xA(x=1)からなる量子ドット7を形成し、量子ドット7を形成していない部分にGaAsを結晶成長させる。これにより、量子ドット層6が形成される。その後、障壁層8としてのGaAs層の結晶成長と量子ドット層6の成長とを繰り返す。量子ドット層6の成長方法は上述のとおりである。次に、障壁層8として3nmの厚さのGaAs層を結晶成長させた後、上記量子ドット層6とは異なる形状の量子ドット7が形成された量子ドット層6を形成する。その後、障壁層8としてのGaAs層の結晶成長と量子ドット層6の成長とを繰り返す。このとき、原材料、成長温度、圧力および堆積時間の少なくとも1つを変更することで、異なる形状の量子ドット7が形成された量子ドット層6を形成することができる。その後、キャップ層を形成することが好ましい。キャップ層としては約4nmの厚さのGaAs層を形成することが好ましく、キャップ層の形成により結晶表面の平坦性を回復することができる。このようにして、超格子半導体層10が形成される。
続いて、超格子半導体層10上にp型半導体層12を形成する。p型半導体層12としては、250nmの厚さのp−GaAs層を形成することが好ましい。これにより、pin構造が形成される。
続いて、p型半導体層12上に窓層14およびコンタクト層15を形成する。窓層14としては、50nmの厚さでp−Al0.75Ga0.25As層を結晶成長させることが好ましい。コンタクト層15としては、100nmの厚さでp+−GaAs層を結晶成長させることが好ましい。その後、この積層体をMOCVD装置から取り出してから、n型半導体層1の下面上にn型電極18を形成する。その後、コンタクト層15上にフォトリソグラフィーとリフトオフ技術とにより櫛型電極(p型電極17)を形成し、この櫛型電極をマスクとしてコンタクト層15を選択エッチングする。このようにして、本実施形態に係る太陽電池20を得ることができる。
ここで、基板処理温度を、たとえば、Inの再脱離を防ぐために量子ドット層6を含む超格子半導体層10の形成時には520℃とし、それ以外の層の形成時には590℃とすることが好ましい。
また、たとえば、n型ドーパントとしてSiを用いることができ、p型ドーパントとしてはBeを用いることができる。n型ドーパントは、量子ドット層6および障壁層8の少なくとも一方の結晶成長中に添加されることが好ましい。p型電極17およびn型電極18は、材料としてAuを用いることが好ましく、抵抗加熱蒸着法による真空蒸着で形成されることが好ましい。
なお、本実施形態で示した例は一例に過ぎない。n型半導体層、p型半導体層、バッファ層、量子ドット、n型ドーパント、p型ドーパント、n型電極およびp型電極などの各材料、各プロセスで使用する洗浄剤、基板処理温度、ならびに、製造装置などは、上記記載に限定されない。
[評価実験]
歪とピエゾ電界の効果との影響を考慮に入れた8バンドk・pハミルトニアンの平面波展開法を用いて、超格子構造の超格子ミニバンドの構造および超格子構造の光吸収スペクトルをシミュレーションした。下記(式1)を解くことで光吸収係数αを見積ることができる。
Figure 0006030971
上記(式1)において、|M|は遷移行列要素であり、aおよびbはサブバンド番号であり、nrは屈折率であり、c0は光速であり、ε0は真空誘電率であり、m0は電子の質量であり、LxおよびLyはそれぞれx方向およびy方向のユニットセルサイズであり、Kzは超格子波数であり、fi(i=a、b)は分布関数であり、Gはサイズばらつきおよび組成ばらつきによるガウシアンブロードニング(半値幅=5meV)であり、ωは光周波数である。光吸収については、面内方向であるx偏波(100)またはy偏波(010)をTE偏光と考え、積層方向であるz偏波(001)をTM偏光と考えた。
<実験例1>
実験例1では、超格子半導体層は伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが異なる2つの超格子構造を有すると仮定し、2つの超格子構造に対して別々に超格子ミニバンドの構造を計算し光吸収スペクトルをシミュレーションした。2つの超格子構造では、ともに、障壁層構成する母体半導体材料および量子ドット層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)を用い、量子ドット層を構成する量子ドットの材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。本実験例では、母体半導体材料をGa1-xInxAs(x=0)とし量子ドットの材料をGa1-xInxAs(x=1)としたが、xの値は適宜変更することができる。障壁層を構成する母体半導体材料と量子ドット層を構成する母体半導体材料とは、同じとしたが、異なる母体半導体材料であってもよい。
光入射側の超格子構造(以下「超格子構造1」と記すことがある)では、量子ドットの形状がピラミッド型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを8nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を21nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を4nmとした。
光入射側とは反対側の超格子構造(以下「超格子構造2」と記すことがある)では、量子ドットの形状がピラミッド型であるとして、量子ドットの面内方向の直径サイズを9nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を4nmとした。なお、量子ドットの面密度は、超格子構造1と超格子構造2とで同じとした。また、超格子構造1の厚さを3μmとし、超格子構造2の厚さを3μmとし、超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
図4および図5には、それぞれ、本実験例により計算された超格子構造1および超格子構造2の伝導帯における超格子ミニバンドの構造(10番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図4および図5において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料による歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。
図4および図5から分かるように、超格子構造1および超格子構造2では、それぞれ、量子ドット層の厚み方向に超格子ミニバンドが伝導帯において1つのみ形成されたことが分かった。超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは1.13eVであった。超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドでは、上端エネルギーの大きさは1.14eVであり、下端エネルギーの大きさは1.11eVであった。つまり、超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドの上端エネルギーの大きさは、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさよりも室温における熱エネルギー(26meV)の2倍分だけ小さいエネルギーの大きさ(1.13−26×2×10-3)よりも大きく、超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさよりも小さかった。このような構成では、室温におけるフェルミ分布関数から、超格子ミニバンドの電子が隣り合う超格子ミニバンドに熱緩和される確率を10%以上とすることができる。よって、超格子ミニバンドで生成したキャリアは隣り合う超格子ミニバンドへ効率良く移動することができるので、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドで生成されたキャリアは超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドへ速やかに移動することができる。したがって、電子とホールとが空間的に分離されるので、キャリア再結合を抑制することができる。
図6には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示し、図7には、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示す。本実験例では、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドで生成されたキャリアは全て超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドへ移動したと仮定した。また、価電子帯から超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移に関する計算では、価電子帯にはキャリアが満たされていると仮定し、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドにはキャリアが存在していない(空)(上記(式1)における(fa−fb)=1)と仮定した。超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドから超格子構造2の伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移に関する計算では、伝導帯第一超格子ミニバンドにはキャリアが満たされていると仮定し、伝導帯第二以上の超格子ミニバンドにはキャリアが存在していない(空)(上記(式1)における(fa−fb)=1)と仮定した。図6および図7において、横軸はエネルギーを示し、縦軸は光吸収率を示している。
<比較実験例1>
比較実験例1では、超格子半導体層は上記実験例1の超格子構造2のみを有すると仮定して、超格子ミニバンドの構造を計算し光吸収スペクトルをシミュレーションした。具体的には、障壁層を構成する母体半導体材料にガリウム砒素(GaAs)を用い、量子ドット層を構成する量子ドットの材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。また、量子ドットの面内方向の直径サイズを9nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を4nmとした。超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
本比較実験例により計算された超格子構造の伝導帯における超格子ミニバンドの構造は図5に示すとおりであった。上記実験例1とは異なり、超格子半導体層は超格子構造2のみを有し超格子構造1を有していないので、超格子ミニバンドで生成されたキャリアの移動は超格子半導体層全体に渡って緩やかである。
図8には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示す。本比較実験例では、上記(式1)における(fa−fb)を0.5と仮定した。伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率に関しても、上記(式1)における(fa−fb)を0.5と仮定して計算し、図7と同様の結果を得た。
<考察>
実験例1の超格子半導体層と比較実験例1の超格子半導体層とでは、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における吸収スペクトルにおいては差がなかった。しかし、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端は、実験例1の方が比較実験例1よりも高エネルギーであった。このことから次に示すことが言える。比較実験例1の超格子半導体層では、伝導帯第一超格子ミニバンドの位置に依存して、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの遷移の吸収端および伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端が決まる。しかし、実験例1では、太陽光スペクトルに合わせて、各遷移の吸収端を自由に制御することができる。
さらに、実験例1では、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーは、光入射側の超格子構造の方が光入射側とは反対側の超格子構造よりも大きい。そして、n型半導体層1は、光入射側とは反対側に配置されている。これらのことから、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへ励起されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出される。したがって、短絡電流を向上させることができる。
なお、実験例1では、超格子半導体層は、比較実験例1の超格子半導体層と伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーがより小さな超格子半導体層とを有しても良い。この場合には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における吸収スペクトルにおいて変化はなく、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端は高エネルギー側にシフトする。このことからも、実験例1では、太陽光スペクトルに合わせて各遷移の吸収端を自由に制御できることが分かる。
<実験例2>
実験例2では、障壁層を構成する母体半導体材料を変更することを除いては上記実験例1と同様の方法にしたがってシミュレーションを行った。上記実験例1と同様、超格子半導体層は伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが異なる2つの超格子構造を有すると仮定し、2つの超格子構造に対して別々に超格子ミニバンドの構造を計算し光吸収スペクトルをシミュレーションした。2つの超格子構造では、ともに、障壁層を構成する母体半導体材料および量子ドット層を構成する母体半導体材料にアルミニウムガリウムインジウム燐((AlyGa1-yzIn1-zP)を用い、量子ドット層を構成する量子ドットの材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。本実験例では、母体半導体材料をy=0およびz=0.52として計算したが、yおよびzの値は適宜変更可能である。また、量子ドットの材料をGa1-xInxAs(x=1)としたが、xの値を適宜変更することができる。障壁層を構成する母体半導体材料と量子ドット層を構成する母体半導体材料とは、同じとしたが、異なる母体半導体材料であってもよい。
超格子構造1では、量子ドットの形状がピラミッド型であるとし、量子ドットの面内方向の直径サイズを6nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。また、量子ドット間の面内方向の距離を21nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を2nmとした。
超格子構造2では、量子ドットの形状がピラミッド型であるとして、量子ドットの面内方向の直径サイズを7nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を2nmとした。なお、量子ドットの面密度は、超格子構造1と超格子構造2とで同じとした。また、超格子構造1の厚さを3μmとし、超格子構造2の厚さを3μmとし、超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
図9および図10には、それぞれ、本実験例により計算された超格子構造1および超格子構造2の伝導帯における超格子ミニバンドの構造(10番目までの超格子ミニバンドを図示)を示す。図9および図10において、横軸は超格子波数ベクトルを示し、縦軸はエネルギーを示している。エネルギーの大きさは、量子ドットを構成する材料による歪の影響を考慮する前の価電子帯の頂上を基点として求めた。
図9および図10から分かるように、超格子構造1および超格子構造2では、それぞれ、量子ドット層の厚み方向に超格子ミニバンドが伝導帯において1つのみ形成されたことが分かった。超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは1.24eVであった。超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドでは、上端エネルギーの大きさは1.24eVであり、下端エネルギーの大きさは1.19eVであった。つまり、超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドの上端エネルギーの大きさは、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさよりも室温における熱エネルギー(26meV)の2倍分だけ小さいエネルギーの大きさ(1.24−26×2×10-3)よりも大きく、超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさは、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさよりも小さかった。このような構成では、室温におけるフェルミ分布関数から、超格子ミニバンドの電子が隣り合う超格子ミニバンドに熱緩和される確率を10%以上とすることができる。よって、超格子ミニバンドで生成したキャリアは隣り合う超格子ミニバンドへ効率良く移動することができるので、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドで生成されたキャリアは超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドへ速やかに移動することができる。したがって、電子とホールとが空間的に分離されるので、上記実験例1と同様の効果を得ることができる。
図11には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示し、図12には、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示す。本実験例では、超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドで生成されたキャリアは全て超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドへ移動したと仮定した。また、価電子帯から超格子構造1の伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移に関する計算では、価電子帯にはキャリアが満たされていると仮定し、伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドにはキャリアが存在していない(空)(上記(式1)における(fa−fb)=1)と仮定した。超格子構造2の伝導帯第一超格子ミニバンドから超格子構造2の伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移に関する計算では、伝導帯第一超格子ミニバンドにはキャリアが満たされていると仮定し、伝導帯第二以上の超格子ミニバンドにはキャリアが存在していない(空)(上記(式1)における(fa−fb)=1)と仮定した。図11および図12において、横軸はエネルギーを示し、縦軸は光吸収率を示している。
<比較実験例2>
比較実験例2では、超格子半導体層は上記実験例1の超格子構造2のみを有すると仮定して、超格子ミニバンドの構造を計算し光吸収スペクトルをシミュレーションした。具体的には、障壁層を構成する母体半導体材料にアルミニウムガリウムインジウム燐((AlyGa1-yzIn1-zP)を用い、量子ドット層を構成する量子ドットの材料にインジウム砒素(InAs)を用いた。また、量子ドットの面内方向の直径サイズを7nmとし、量子ドットの積層方向のサイズ(高さ)を3nmとした。量子ドット間の面内方向の距離を20nmとし、量子ドット間の積層方向の距離を2nmとした。超格子半導体層の全体の厚さを6μmとした。
本比較実験例により計算された超格子構造の伝導帯における超格子ミニバンドの構造は図10に示すとおりであった。上記実験例2とは異なり、超格子半導体層は超格子構造2のみを有し超格子構造1を有していないので、超格子ミニバンドで生成されたキャリアの移動は超格子半導体層全体に渡って緩やかである。
図13には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率の計算結果を示す。本比較実験例では、上記(式1)における(fa−fb)を0.5と仮定した。伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における光吸収率に関しても、上記(式1)における(fa−fb)を0.5と仮定して計算し、図12と同様の結果を得た。
<考察>
実験例2の超格子半導体層と比較実験例2の超格子半導体層とでは、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における吸収スペクトルにおいては差がなかった。しかし、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端は、実験例2の方が比較実験例2よりも高エネルギーであった。このことから次に示すことが言える。比較実験例2の超格子半導体層では、伝導帯第一超格子ミニバンドの位置に依存して、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドへの遷移の吸収端および伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端が決まる。しかし、実験例2の超格子半導体層では、太陽光スペクトルに合わせて、各遷移の吸収端を自由に制御することができる。
また、n型半導体層としてGaAs基板を用いた場合、実験例2で用いた障壁層および量子ドット層を構成する母体半導体材料In0.48Ga0.52Pはn型半導体層の材料GaAsに格子整合するので、実験例2の超格子半導体層を含むデバイスを容易に製造することができる。また、障壁層および量子ドット層を構成する母体半導体材料にIn0.48Ga0.52Pを用いた場合、障壁層および量子ドット層を構成する母体半導体材料にGaAsを用いた場合に比べて、伝導帯のバンドオフセットが大きくなる。よって、太陽光スペクトルとの整合を目的として、吸収スペクトルの吸収端をより高エネルギー側にシフトさせることができる。
さらに、上記実施例1と同じく、実験例2において伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへ励起されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層へ取り出される。したがって、短絡電流を向上させることができる。
なお、実験例2では、超格子半導体層は、比較実験例2の超格子半導体層と伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーがより小さな超格子半導体層とを有しても良い。この場合には、価電子帯から伝導帯第一超格子ミニバンドおよび伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移における吸収スペクトルにおいて変化はなく、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへの遷移の吸収端は高エネルギー側にシフトする。このことからも、実験例2においても、太陽光スペクトルに合わせて各遷移の吸収端を自由に制御できることが分かる。
≪実施形態2≫
[超格子半導体層の偏光特性]
まず、超格子半導体層の偏光スペクトルの理論計算の結果を示す。図14は、偏光スペクトルの理論計算に用いた超格子半導体層110の構成を示した断面図である。この理論計算に用いた太陽電池は、超格子半導体層110を活性層として備える。超格子半導体層110は、InAsからなる量子ドット101と、GaAsのマトリックスからなる障壁層102とを有する。量子ドット101は、S−K成長モード(Stranski-Krastanov Growth Mode)により成長されるので、濡れ層103上に島状に形成されることとなり、頂点が途切れたピラミッド形状を有する。
ここで、量子ドット101の底面の一辺の長さを15nmとし、量子ドット101の高さを3nmとし、濡れ層103の厚さを0.5nmとした。量子ドット101の斜めになった側壁部分を(101)面、(―101)面、(011)面および(01−1)面とした。また、[001]方向をz方向とし、[100]方向をx方向とし、[010]方向をy方向とした。図14に示した量子ドット101は、z方向に非対称な形状を有しているので、超格子半導体層の偏光スペクトルには歪または歪によって励起されるピエゾ電界などの影響が顕著に現れる。本実施形態では、これらの効果を取り込んで超格子半導体層の偏光スペクトルを計算した。
上記実施形態1と同様、8バンドk・pハミルトニアンの平面波展開法を用いて、超格子半導体層110の超格子構造の光吸収スペクトルを計算した。この計算には、歪の影響およびピエゾの影響なども取り込んだ。ある量子ドット101の頂部とその1つ上の濡れ層103の下端部との間隔をLzとして、上記(式1)を用いてLzを1nm〜10nmまで変化させたときの吸収係数を計算した。
図15(a)〜(d)は、それぞれ、Lzが1nm、3nm、5nmおよび10nmのときの吸収スペクトルの計算結果である。図15において、もっとも低エネルギー側のピークに着目すると、Lzが1nmのときはTM偏光の強度が大きく、Lzが3nmのときはTE偏光とTM偏光とで同程度の強度であり、Lzが5nmおよび10nmのときはいずれもTE偏光の強度が大きくなっている。これは、言い換えると、Lzを変化させることにより超格子半導体層110の吸収スペクトルの偏光依存性を変化させることが可能であることを示している。その理由は、ホールのバンドラインナップがLzにより変化するからであると考えている。
バンドギャップ付近のホールは、大きく分けて、ヘビーホール、ライトホールおよびスピン分裂ホールの3種類に分類される。歪または量子閉じ込めなどにより、それぞれのホールのバンドは独立して存在するのではなく、混ざり合って存在するようになる。電子とヘビーホールとの間の遷移が生じる際に発生する光は、TE偏光のみである。しかし、電子とライトホールとの間の遷移または電子とスピン分裂ホールとの間の遷移が生じると、TM偏光とTE偏光とが混ざり合った光が発生する。特に、電子とライトホールとの間の遷移では、TM偏光の強さがTE偏光の強さの3倍程度である。スピン分裂ホールバンドは他の2つにくらべて低い位置にあるので、バンド端付近の吸収にはほとんど寄与しない。よって、電子とヘビーホールとの間の遷移の強さと電子とライトホールとの間の遷移の強さとの割合によって、言い換えるとホールのバンドラインナップによって、吸収スペクトルの偏光特性は決まる。Lzが小さいとき(例えばLz=1nm)には、低次(基底近傍)のホールサブバンドについてはライトホールの割合が大きく、Lzが大きくなるにつれて、ライトホールの割合が減っていき、ヘビーホールの割合が増加する。このため、Lzの増加と共にTE偏光の割合が増加していき、Lz=3nmを境にTE偏光の強度の方がTM偏光の強度よりも大きくなる。このとき、本発明者らの計算では、Lzと量子ドット101の高さ(本実施の形態では3nm)との差が±1nm以内であればTE偏光とTM偏光とで同程度の強さとなり、よって、TE偏光とTM偏光とのスイッチが生じることが分かった。
前述の特性を利用すれば、Lzを変化させることで、バンド端付近の吸収スペクトルの偏光を意図的にコントロールすることが可能である。
[太陽電池への応用]
zが3nm近傍の場合、別の言い方をするとLzと量子ドット101の高さとの差が±1nm以内である場合、超格子半導体層の吸収スペクトルは図15(b)に近い形状を有し、超格子半導体層にはTE偏光とTM偏光とが同程度の強度で吸収されるようになる。よって、Lzと量子ドット101の高さとの差が±1nm以内である太陽電池は、入射光の偏光に依存せずに吸収することとなる。しかしながら、一般に、太陽電池では、太陽光は太陽電池の表面から垂直に入射される。したがって、超格子半導体層にTE偏光をより強く吸収させる方が効率の良い太陽電池となる。以上のことから、超格子半導体層110を構成する量子ドット101の間隔Lzは量子ドット101の高さよりも大きいことが好ましく、(Lz−量子ドット101の高さ)は1nmよりも大きいことがより好ましい。
なお、本実施形態において示された太陽電池の構成は一例である。本実施形態と同様の効果を示すことができるのであれば、量子ドットの構造は異なっても良い。たとえば、量子ドットの形状は図14に示す形状とは異なっても良い。また、濡れ層がなくても良い。その場合、上記Lzは、量子ドットとその量子ドットの上に位置する量子ドットとの最小距離を意味する。
≪実施形態3≫
本発明の実施形態3では、上記実施形態1または2の超格子半導体層を備えたフォトダイオード(光センサー)を説明する。フォトダイオードの場合、所望の偏光特性は用途に応じて異なる。たとえば、特定の偏光特性を持った発光源(半導体レーザなど)から発せられる光を直接受ける場合には、発光源から発せられる光の偏光に合わせた偏光特性を超格子半導体層に持たせることが好ましい。これにより、感度またはSN比の向上につながる。また、光ファイバー通信用フォトダイオードなどのように入射光の偏光が定まらない場合には、TE偏光とTM偏光との感度を同程度(偏光無依存)にすることが好ましい。これにより、安定した光検知が可能になる。
上記実施形態2で述べた超格子半導体層の特性を利用すれば、フォトダイオードの感度の偏光特性を自由に設計することが可能になる。つまり、TM偏光の入射光に対する感度を超格子半導体層に持たせる場合には、量子ドットの間隔(Lz)を量子ドットの高さよりも小さくすればよい。TE偏光の入射光およびTM偏光の入射光の双方に対して同等の感度を超格子半導体層に持たせる場合には(偏光無依存の感度にする場合には)、量子ドットの間隔(Lz)を量子ドットの高さと同程度(±1nm)にすればよい。TE偏光の入射光に対する感度を超格子半導体層に持たせる場合には、量子ドットの間隔(Lz)を量子ドットの高さよりも大きくすればよい。
≪実施形態4≫
本発明の実施形態4では、上記実施形態1または2の超格子半導体層を備えた半導体光増幅器について述べる。半導体光増幅器の場合、利得の偏光方向に対する依存性は極力低いことが望ましい。その理由は、光ファイバーを通ったあとの光信号の偏光が一意に定まらないからである。したがって、超格子半導体層には、TE偏光の入射光およびTM偏光の入射光の双方に対して同等の感度を持たせることが好ましい(偏光無依存の感度を持たせることが好ましい)。これにより、安定した光検知が可能になる。
上記実施形態2で述べた超格子半導体層の特性を利用すれば、半導体光増幅器の利得の偏光特性を自由に設計することが可能になる。つまり、超格子半導体層の超格子半導体層においては、量子ドットの間隔(Lz)を量子ドットの高さと同程度(±1nm)にすることが好ましい。
≪実施形態5≫
本発明の実施形態5では、上記実施形態1の超格子半導体層を備えた量子ドット赤外線センサーについて述べる。量子ドットを用いた赤外線センサーでは、赤外線吸収により伝導帯の量子準位から光励起されたキャリアが、高効率で取り出されることが望ましい。これにより、高い量子効率および高感度が可能となる。
上記実施形態1で述べた超格子半導体層の特性を利用すれば、光励起されたキャリアを高効率で取り出すことが可能になる。つまり、2つ以上の超格子構造を有する超格子半導体層10が設けられていることが好ましい。2つ以上の超格子構造は、量子ドット7の形状、量子ドット7の材料、障壁層8の厚さ、および、障壁層8の材料のうちの少なくとも1つを互いに異にすることが好ましく、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが互いに異なればよい。
以上、本発明に係る受光素子および太陽電池について上記実施形態1〜4で説明したが、本発明に係る受光素子は以下に示す構成を備えていることが好ましい。
図1に示す超格子半導体層10は、障壁層8と量子ドット7を含む量子ドット層6とが交互に繰り返し積層されて構成された2つ以上の超格子構造を有する。2つ以上の超格子構造は、量子ドット7の形状、量子ドット7の材料、障壁層8の厚さ、および、障壁層8の材料のうちの少なくとも1つを互いに異にする。これにより、2つ以上の超格子構造では、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーの大きさが互いに異なる。生成されたキャリアは低いエネルギー準位に移動するので、超格子半導体層10の超格子ミニバンドに光励起されたキャリアは伝導帯第一超格子ミニバンドのうち下端エネルギーの大きさが小さい伝導帯第一超格子ミニバンドへ速やかに移動する。よって、電子とホールとが空間的に分離されるため、キャリア再結合を抑制することができる。したがって、n型半導体層1とp型半導体層12と超格子半導体層10とを備えた受光素子は、キャリアの取り出し効率に優れたデバイスを提供することができる。
2つ以上の超格子構造は、それぞれの超格子構造を構成する量子ドット層6の伝導帯量子準位によって超格子ミニバンドを形成することが好ましく、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように配置されていることが好ましい。これにより、超格子半導体層10の超格子ミニバンドに光励起されたキャリアは、伝導帯第一超格子ミニバンドのうち下端エネルギーの大きさが最も小さな伝導帯第一超格子ミニバンドに集まることとなる。つまり、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子構造におけるキャリア占有率が著しく高くなる。よって、伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが最も小さい超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドへのキャリアの光励起が高い確率で発生する。
伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように配置されている場合、n型半導体層1は、光入射側とは反対側に配置されていることが好ましい。これにより、伝導帯第一超格子ミニバンドから伝導帯第二以上の超格子ミニバンドに励起されたキャリアは、再結合または緩和する前に効率良くn型半導体層1へ取り出される。したがって、短絡電流を向上させることができる。
上記実施形態1〜5のいずれかの受光素子では、量子ドット層の積層方向における量子ドット101の間隔(量子ドット101とその量子ドット101の上に位置する濡れ層103との最小距離、別の言い方をすると図14に示す間隔Lz)は、量子ドット101の高さよりも大きいことが好ましい。これにより、受光素子が受光する光のTE偏光/TM偏光の強度比は1以上になる。よって、受光素子は、受光素子の表面に対して垂直な方向から入射する光を効率良く吸収することが可能になる。
図1に示す太陽電池20は、上記実施形態1〜5のいずれかの受光素子を備えているので、効率良くキャリアを取り出すことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 n型半導体層、3 バッファ層、4 ベース層、6 量子ドット層、7,101 量子ドット、8,102 障壁層、10,110 超格子半導体層、12 p型半導体層、14 窓層、15 コンタクト層、17 p型電極、18 n型電極、20 太陽電池、28A,28B,128 伝導帯第一格子ミニバンド、103 濡れ層。

Claims (5)

  1. p型半導体層と、n型半導体層と、前記p型半導体層と前記n型半導体層とに挟まれた超格子半導体層とを備え、
    前記超格子半導体層は、障壁層と量子ドットを含む量子ドット層とが交互に繰り返し積層されて構成された2つ以上の超格子構造を有し、
    前記2つ以上の超格子構造は、前記量子ドットの形状、前記量子ドットの材料、前記障壁層の厚さ、および、前記障壁層の材料のうちの少なくとも1つを互いに異にすることにより、それぞれ量子ドット層の伝導帯量子準位または価電子帯量子準位の下端エネルギーの大きさが異なる超格子ミニバンドを有し、
    前記超格子ミニバンドのうち前記下端エネルギーが相対的に大きい超格子ミニバンドに光励起されたキャリアは、この超格子ミニバンドに隣り合う、前記下端エネルギーが相対的に小さい超格子ミニバンドに移動する受光素子。
  2. 前記2つ以上の超格子構造は、
    それぞれの前記超格子構造を構成する前記量子ドット層の伝導帯量子準位によって超格子ミニバンドを形成し、
    伝導帯第一超格子ミニバンドの下端エネルギーが光入射側に向かうにつれて大きくなるように配置されている請求項1に記載の受光素子。
  3. 前記n型半導体層は、光入射側とは反対側に配置されている請求項1または2に記載の受光素子。
  4. 前記量子ドット層の積層方向における前記量子ドットの間隔は、前記量子ドットの高さよりも大きい請求項1〜3のいずれかに記載の受光素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の受光素子を備えた太陽電池。
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