以下、本明細書で開示する太陽電池の好ましい第1実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、本明細書に開示する太陽電池の第1実施形態を示す図である。図2は、図1に示す太陽電池のエネルギーバンド図である。図3は、図1に示す太陽電池の第1化合物半導体層の組成比等を示す図である。図4は、図1に示す太陽電池の第2化合物半導体層の組成比等を示す図である。
第1実施形態の太陽電池10は、図1に示すように、n型半導体であるn層11と、p型半導体であるp層12と、p層12及びn層11に挟まれたi層13とを備える。i層13は、光吸収半導体層である。太陽電池10では、このi層において、光子が吸収されて電子・正孔対が主に生成される。
i層13は、図1に示すように、n層11の上に積層された第1化合物半導体層14と、この第1化合物半導体層14の上に積層された第2化合物半導体層15と、この第2化合物半導体層15の上に積層された第1化合物半導体層14とを有する。このように、i層13は、上下両側の層それぞれが第1化合物半導体層14によって形成される。
i層13における第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15それぞれは、真性半導体である。
第2化合物半導体層15は、第1化合物半導体層14とヘテロ接合して積層される。
太陽電池10では、第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15それぞれは、平坦な層によって形成される。また、n層11及びp層14それぞれも、平坦な層によって形成される。
このように、太陽電池10は、第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15が積層された、いわゆるタンデム太陽電池である。
p層12は、上側の第1化合物半導体層14の上に積層される。また、p層12の上には、櫛形の上部電極18が形成される。p層12と上部電極18とはオーミック接触される。
n層11は、基板16の上に積層される。基板16の下には下部電極19が形成される。基板16と下部電極19とはオーミック接触される。
太陽電池10では、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15とは格子整合している。本明細書では、格子整合するとは、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15との間の格子定数の差と、第1化合物半導体層の格子定数との比の大きさが0.001以下であることをいう。格子定数がこの程度に一致していれば、一方の化合物半導体層を他方の化合物半導体層上に数μm程度の厚さで積層しても、ミスフィット転位の発生を防止できる。
また、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15とが格子整合する上で、第1の化合物半導体と第2の化合物半導体とは、同一の結晶系はであることが好ましい。
また、太陽電池10では、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15は、各々、基板16に格子整合している。本明細書では、格子整合するとは、第1化合物半導体層14と基板16との格子定数の差と、基板16の格子定数との比の大きさが0.001以下であることもいう。同様に、格子整合するとは、第2化合物半導体層15と基板16との格子定数の差と、基板16の格子定数との比の大きさが0.001以下であることもいう。格子定数がこの程度に一致していれば、化合物半導体層14,15を基板16上に数μm程度の厚さで積層しても、ミスフィット転位の発生を防止できる。
また、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15とが基板16に格子整合する上で、第1の化合物半導体及び第2の化合物半導体は、基板16と同一の結晶系であることが好ましい。
更に、太陽電池10では、n層11とi層13とを格子整合させる観点から、n層11は、n型不純物が添加された第1化合物半導体層によって形成される。同様に、太陽電池10では、p層12とi層13とを格子整合させる観点から、p層12は、p型不純物が添加された第1化合物半導体層によって形成される。
太陽電池10では、図2に示すように、i層13の第1化合物半導体層14が、価電子帯Evと伝導帯Ecとの間に、エネルギーギャップEg1を有する。図2には、n層11と、i層13と、p層12とを有する積層部分と、各層に対応するエネルギーバンド図が示されている。なお、図2では、i層13がn層11とp層12とに挟まれることによって生じる内部電場によって、エネルギーバンドが傾斜している状態が示されている。
また、太陽電池10では、図2に示すように、i層13の第2化合物半導体層15が、価電子帯Evと伝導帯Ecとの間に、第1のエネルギーギャップEg1よりも小さい第2のエネルギーギャップEg2を有する。
更に、太陽電池10は、図2に示すように、第1化合物半導体層14の価電子帯Evの上端と第2化合物半導体層の価電子帯Evの上端との間に、エネルギーギャップEg3(=Eg1−Eg2)を有する。
太陽電池10は、第1化合物半導体層14の伝導帯の下端と第2化合物半導体層5の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップが、室温での熱エネルギーkT以下である。ここで、kはボルツマン定数、Tはケルビン温度である。
従って、太陽電池10は、図2に示すように、第1化合物半導体層14の伝導帯Ecの下端と第2化合物半導体層の伝導帯Ecの下端との間に、室温において電子の移動を妨げるようなエネルギーギャップを有さない。
次に、室温での熱エネルギーを、具体例を用いて以下に説明する。例えば、室温が300ケルビン(27℃)である場合には、室温での熱エネルギーは、kT=4.14E−21J=25.88meVとなる。ここで、小数第3位を四捨五入している。以下の数値も同様である。また、地球上で太陽電池が使用される環境温度として取り得る323ケルビン(50℃)を室温とすると、室温での熱エネルギーは、kT=4.46E−21J=27.86meVとなる。また、集光時に太陽電池が取り得る温度である373ケルビン(100℃)を室温とすると、室温での熱エネルギーは、kT=5.15E−21J=32.17meVとなる。このように、室温での熱エネルギーkTは、温度でいえば、例えば300ケルビン〜373ケルビンの範囲をとることができる。また、室温での熱エネルギーkTは、eVでいえば、例えば25.88meV〜32.17meVの範囲をとることができる。
第1化合物半導体層14の伝導帯の下端と第2化合物半導体層15の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップは小さい程、i層13で生成された電子22がn層11へ速やかに移動できるので好ましい。この観点から、第1化合物半導体層14の伝導帯の下端と第2化合物半導体層15の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップは、10meV以下であることが好ましい。
また、太陽電池10では、n層11は、第1化合物半導体層14にn型不純物が添加されたものであるので、n層11の伝導帯Ecの下端と第1化合物半導体層14の伝導帯Ecの下端との間には、ノッチやスパイク等のバンドの不連続部分がないので、室温において電子の移動を妨げるようなエネルギーギャップがない。
同様に、太陽電池10では、p層12は、第1化合物半導体層14にp型不純物が添加されたものであるので、p層12の伝導帯Ecの下端と第1化合物半導体層14の伝導帯Ecの下端との間には、ノッチやスパイク等のバンドの不連続部分がないので、室温において電子の移動を妨げるようなエネルギーギャップがない。
p層12に隣接する第1化合物半導体層14の厚さは、p層12を透って入射した太陽光に対して、エネルギーギャップEg1以上のエネルギーを有する光子のほとんどを吸収できる厚さにすることが好ましい。第2化合物半導体層15では、エネルギーEg2以上のエネルギーを有する光子を吸収すれば、電子を励起させることができる。従って、エネルギーEg1以上のエネルギーを有する光子は、p層12に隣接する第1化合物半導体層14で吸収させておくことが、太陽光スペクトルを有効に活用する上で好ましいからである。このようにして、エネルギーギャップEg1未満のエネルギーを有する光子のみが、p層12に隣接する第1化合物半導体層14を通過し、第2化合物半導体層15では、エネルギーギャップEg2以上且つエネルギーEg1未満のエネルギーを有する光子を吸収させることができる。
具体的には、太陽電池10では、第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15それぞれは、100nm以上3μm以下の厚さを有することが好ましい。1つの化合物半導体層において、光子を吸収して電子を励起させるには、少なくとも100nm以上の厚さを有することが好ましい。また、化合物半導体層の厚さは、ライフタイムの短い少数キャリアの拡散長よりも小さくすることが好ましい。結晶欠陥をほとんど有さない化合物半導体層であれば、その厚さを3μm以下にすれば、少数キャリアの拡散長よりも厚さを短くできる。
太陽電池10では、第2化合物半導体層15の下にn層11に隣接させて第1化合物半導体層14が更に配置されるので、第2化合物半導体層15を通過したエネルギーギャップEg1以上のエネルギーを有する光子を、この層で吸収することができる。
また、エネルギーギャップの大きい第1化合物半導体層14を、n層11に隣接させることによって、少数キャリアがn層11へ拡散することを抑制できるので、太陽電池10の開放電圧を大きくすることができる。
太陽電池10では、太陽光が照射されると、第1化合物半導体層14の価電子帯Evの電子22は、エネルギーギャップEg1以上のエネルギーを有する光子24を吸収して、伝導帯Ecに励起する。そして、第1化合物半導体層14の価電子帯Evには正孔23が生成される。
また、第2化合物半導体層15の価電子帯Evの電子22は、Eg2以上のエネルギーを有する光子24を吸収して、伝導帯Ecに励起する。そして、第2化合物半導体層15の価電子帯Evには正孔23が生成される。
ここで、太陽電池10では、Eg1以上のエネルギーを有する光子24は、p層12とp層12に隣接する第1化合物半導体層14で主に吸収される。従って、第2化合物半導体層15の価電子帯Evの電子22は、主にEg2以上Eg1未満のエネルギーを有する光子24を吸収して、伝導帯に励起する。
そして、p層14に隣接する第1化合物半導体層14において価電子帯Evから伝導帯Ecへ励起された電子22は、第2化合物半導体層15の伝導帯Ecへ速やかに移動する。また、第2化合物半導体層15の伝導帯Ecへ移動した電子22又は第2化合物半導体層15の伝導帯Ecへ励起した電子22は、n層11に隣接する第1化合物半導体層14の伝導帯Ecへ速やかに移動する。
更に、n層11に隣接する第1化合物半導体層14の伝導帯Ecへ移動した電子22又はこの第1化合物半導体層14の伝導帯Ecへ励起した電子22は、n層11の伝導帯Ecへ速やかに移動する。そして、n層11の伝導帯Ecに移動した電子22は、基板16を介して下部電極19から取り出される。
このように、太陽電池10では、i層13の伝導帯Ecに励起された電子22は、n層11への移動を妨げるようなエネルギー障壁が無いので速やかにn層11へ移動することができる。そのため、i層13の伝導帯Ecに励起された電子22は、再結合する確率が低減する。従って、太陽電池10は、光子24によって励起された電子22を効率良く下部電極19から取り出すことができる。
i層13における第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15それぞれのエネルギーバンド構造によっては、i層13におけるエネルギーバンド構造がTypeI構造又はTypeII構造をとり得る。しかし、どちらのエネルギーバンド構造であっても、i層13の伝導帯Ecに生じるエネルギーギャップは熱エネルギー以下である。従って、i層13の伝導帯Ecに励起された電子22は、n層11への移動を妨げるようなエネルギー障壁が無いので、速やかにn層11へ移動することができる。
一方、第2化合物半導体層15の価電子帯Evに生成された正孔23は、Eg3以上のエネルギーを有する光子24を吸収して励起し、p層12に隣接する第1化合物半導体層14の価電子帯へ移動する。
ここで、太陽電池10では、Eg1以上のエネルギーを有する光子24は、p層12とp層12に隣接する第1化合物半導体層14で主に吸収される。また、太陽電池10では、Eg2以上のエネルギーを有する光子24は、第2化合物半導体層15の価電子帯の電子22の励起にも使用される。従って、太陽電池10では、第2化合物半導体層15の価電子帯に生成された正孔23を、Eg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子24を吸収させて励起することができる。
そして、p層12に隣接する第1化合物半導体層15の価電子帯Evへ移動した正孔23又はこの第1化合物半導体層15の価電子帯Evに生成した正孔23は、p層12の価電子帯Evへ速やかに移動する。そして、p層12の価電子帯Evに移動した正孔23は、上部電極18から取り出される。
また、n層11に隣接する第1化合物半導体層14の価電子帯Evに生成した正孔23は、第2化合物半導体層15の価電子帯Evへ移動した後、上述したのと同様にして、p層12の価電子帯に移動する。
i層13では、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15とが格子整合しているので、歪みの蓄積による結晶欠陥の発生が防止されている。従って、結晶欠陥を起因とする再結合中心の生成が抑制されているので、光励起によって生成した電子又は正孔が再結合する確率が低減される。
このように太陽電池10は、Eg1以上のエネルギーを有する光子と、Eg2以上Eg1未満のエネルギーを有する光子と、Eg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子とを、それぞれ吸収して光エネルギーを電気エネルギーに効率良く変換することができる。
上述した第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15の一例を図3及び図4に示す。
図3には、第1化合物半導体層14がノンドープのInxGa1-xAsyP1-yによって形成される例を示している。また、図4には、第2化合物半導体層15がノンドープのAlzGa0.47-zIn0.53Asによって形成される例を示している。図1には、第1化合物半導体層14としてInxGa1-xAsyP1-yを、第2化合物半導体層15としてAlzGa0.47-zIn0.53Asを用いた場合が示されている。ここで、基板16としては、InPを用いている。
図3では、InxGa1-xAsyP1-yの組成比を変化させた5つの場合が示されている。図3には、各組成比に対して、エネルギーギャップEgと、真空準位から伝導帯の下端までのエネルギー値Ecと、格子不整合度とが示されている。ここで格子不整合度は、InPとInxGa1-xAsyP1-yとの間の格子定数の差と、InPの格子定数との比の大きさを百分率で表した値である。
同様に、図4では、AlzGa0.47-zIn0.53Asの組成比を変化させた5つの場合が示されている。図4には、各組成比に対して、エネルギーギャップEgと、真空準位から伝導帯の下端までのエネルギー値Ecと、格子不整合度とが示されている。ここで格子不整合度は、InPとAlzGa0.47-zIn0.53Asとの間の格子定数の差と、InPの格子定数との比の大きさを百分率で表した値である。
図3及び図4に示したEg、Ec及び格子不整合度は、混晶半導体を構成する2元化合物の物性定数とモル分率(組成)とボーイングパラメータとを用いて算出される。また、図3及び図4の各値は、室温25℃の条件で求められている。
InxGa1-xAsyP1-y及びAlzGa0.47-zIn0.53Asを用いて、太陽電池10のi層13を形成する際には、対応する番号同士の組成比の化合物半導体層が用いられる。図4には、対応する番号同士のInxGa1-xAsyP1-yとAlzGa0.47-zIn0.53Asとの間のEcの差が、ΔEcとして示されている。
図3及び図4の対応する番号同士の組成比の化合物半導体層を用いてi層13が形成される場合には、InxGa1-xAsyP1-yのEgは、AlzGa0.47-zIn0.53AsのEgよりも大きい。
図3に示すInxGa1-xAsyP1-yの格子不整合度、及び図4に示すAlzGa0.47-zIn0.53Asの格子不整合度は共に、InPに対する格子不整合度である。従って、InxGa1-xAsyP1-yとAlzGa0.47-zIn0.53Asとの間の格子定数の差と、InxGa1-xAsyP1-yの格子定数との比の大きさは0.001以下である。
従って、図3及び図4の対応する番号同士の組成比の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合には、InxGa1-xAsyP1-yとAlzGa0.47-zIn0.53Asとは格子整合する。
また、図4に示すように、InxGa1-xAsyP1-yの伝導帯の下端とAlzGa0.47-zIn0.53Asの伝導帯の下端との間のエネルギーギャップΔEcは、0.01eV(10meV)以下である。従って、このエネルギーギャップΔEcは、室温での熱エネルギー以下である。
このように、第1化合物半導体層14としてInxGa1-xAsyP1-yを用い、且つ第2化合物半導体層15としてAlzGa0.47-zIn0.53Asを用いる場合には、組成比x、y及びzは下記の式(1)及び(2)を満足することが好ましい。組成比x、y及びzが、下記の式(1)及び(2)を満足することにより、上述したEg、格子整合及びΔEcの関係が得られる。
y≒−2.16x+2.16 (1)
z≒0.39x−0.15 (2)
ここで、組成比yは、上記式(1)により求められた値に対して、±10%以内の範囲、特に±5%以内の範囲にあることが好ましい。同様に、組成比zは、上記式(2)により求められた値に対して、±10%以内の範囲、特に±5%以内の範囲にあることが好ましい。
例えば、図3及び図4の番号No.1の組成比同士の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合には、第1化合物半導体層14はInPにより形成され、第2化合物半導体層15はAl0.245Ga0.225In0.53Asにより形成される。ここで、InPは、In1Ga1-1As0P1-0=In1Ga0As0P1のことである。このInPは、バンドギャップエネルギーEg1が1.350eV、組成波長が0.92μm、格子不整合度が0.000%である。また、Al0.245Ga0.225In0.53Asは、バンドギャップエネルギーEg2が1.117eV、組成波長が1.11μm、格子不整合度が0.020%である。従って、InPとAl0.245Ga0.225In0.53Asとは格子整合する。また、InPとAl0.245Ga0.225In0.53Asとの伝導帯の下端のエネルギーギャップΔEcは、−0.001eVであって、ほぼフラットバンドとなる。また、Eg3=Eg1−Eg2=0.233eVであり、この組成波長は5.32μmである。
太陽電池10の最大エネルギー変換効率を下記の式を用いて簡易に計算できる。
最大エネルギー変換効率=(Eg1−0.3)×q×(光量子数≧Eg1+Min(光量子数Eg2~Eg1、光量子数Eg3~Eg2))/1000 (3)
ここで、qは電荷素量:1.6x10-19Cである。光量子数≧Eg1は単位時間、単位面積あたりのエネルギーEg1(eV)以上の領域の光子数(s-1m-2)である。光量子数Eg2~Eg1は単位時間、単位面積あたりのエネルギーEg2(eV)以上Eg1(eV)未満の領域の光子数(s-1m-2)である。光量子数Eg3~Eg2は単位時間、単位面積あたりのエネルギーEg3(eV)以上Eg2(eV)未満の領域の光子数(s-1m-2)である。Min(a,b)はaとbの内、小さい方を指す。
次に、図3及び図4の番号No.1の組成比同士の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合の太陽電池について、図5に示すAM1.5Gの太陽光スペクトル(入射光照度1kW/m2)に対する最大エネルギー変換効率を求める。上記式(3)を用いた最大エネルギー変換効率の算出では、Eg1以上のエネルギーを有する光子は全て第1化合物半導体層14中で吸収されるものとした。また、Eg2以上Eg1未満のエネルギーを有する光子は全て第2化合物半導体層15中で吸収されるものとした。また、Eg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子は、全て、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15のヘテロ界面で吸収されるものとした。また、透過損失はないものとした。また、熱エネルギー損失はどの層においても0.3eV相当とした。また、室温25℃とした。
以上の条件を用いて上記式(3)を計算した所、最大エネルギー変換効率として44%が得られた。
上述した太陽電池10は、例えば、以下のように製造することができる。
各化合物半導体層の結晶成長方法としては、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いる。
まず、成長温度620℃にて、基板16であるn型(100)のn−InP基板上に、n層11としてn型のn−InP層(不純物濃度1x1018cm-3、厚み0.3μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第1化合物半導体層14としてノンドープのi−InP層(厚み0.3μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第2化合物半導体層15としてノンドープのi−Al0.245Ga0.225In0.53As層(厚み1μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第1化合物半導体層14としてノンドープのi−InP層(厚み1μm)を形成する。
更に、同一温度にて、p層12としてp型のp−InP層(不純物濃度1x1018cm-3、厚み0.3μm)を形成する。
その後、p層12であるp−InP層上にAu/Zn/Auよりなる櫛形オーミック電極を上部電極18として形成する。更に、基板16の下側にAuGe/Auよりなるベタ状オーミック電極を下部電極19として形成し、最後にダイシングすることにより太陽電池10が完成する。
上述した本実施形態の太陽電池10によれば、i層13を形成する第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15とが格子整合しており、且つi層13とn層11及びp層12とが格子整合する。従って、光吸収半導体層であるi層13のヘテロ接合における格子整合度が高い。
また、太陽電池10は、p層12に隣接する第1化合物半導体層14の厚さを、エネルギーギャップEg1以上のエネルギーを有する光子を十分に吸収できる厚さにしても、第2化合物半導体層15と格子整合しているので、結晶欠陥が生じない。
また、太陽電池10は、複数の化合物半導体層がヘテロ接合により形成されたi層13の伝導帯の下端が、ほぼフラットに形成されるので、光励起された電子を効率良く電極に収集することができる。
また、太陽電池10は、p層12に隣接する第1化合物半導体層14においてEg1以上のエネルギーを有する光子を吸収し、更に第2化合物半導体層15においてEg2以上のエネルギーを有する光子を吸収する。更にまた、太陽電池10は、n層11に隣接する第1化合物半導体層14においてEg1以上のエネルギーを有する光子を吸収する。従って、太陽電池10は、太陽光スペクトルが効率良く利用されるので、エネルギー変換効率が高い。
更に、i層13の価電子帯におけるヘテロ接合の界面のエネルギーギャップにトラップされた正孔は、このエネルギーギャップ以上のエネルギーを有する光子を吸収して励起されることにより、電極に収集することができる。このように太陽電池10は、この価電子帯内の光子の吸収によって、太陽光スペクトルが一層効率良く利用されるので、エネルギー変換効率が更に向上する。
次に、本明細書に開示する第2及び第3実施形態の太陽電池を、図面を参照しながら以下に説明する。第2及び第3実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6〜図11において、図1〜図5と同じ構成要素に同じ符号を付してある。
図6は、本明細書に開示する太陽電池の第2実施形態を示す図である。図7は、図6に示す太陽電池のエネルギーバンド図である。図8は、図6に示す太陽電池の第1化合物半導体層の組成比等を示す図である。図9は、図6に示す太陽電池の第2化合物半導体層の組成比等を示す図である。
本実施形態の太陽電池20は、図6に示すように、第1実施形態と同様に、n型半導体であるn層11と、p型半導体であるp層12と、p層12及びn層11に挟まれたi層13とを備える。
太陽電池20は、第1実施形態とは異なって、i層13が、第1化合物半導体層14とヘテロ接合した第2化合物半導体層15との積層体が複数積層されて形成される。
図7に示すように、第1化合物半導体層14は、第1のエネルギーギャップEg1を有する。第2化合物半導体層15は、第1のエネルギーギャップEg1よりも小さい第2のエネルギーギャップEg2を有する。図7には、n層11と、i層13と、p層12とを有する積層部分と、各層に対応するエネルギーバンド図が示されている。
太陽電池20は、第1化合物半導体層14の価電子帯Evの上端と第2化合物半導体層15の価電子帯Evの上端との間に、エネルギーギャップEg3(=Eg1−Eg2)を有する。
i層13の価電子帯の上端に形成されるエネルギーギャップEg3の数は、第1化合物半導体層14とヘテロ接合した第2化合物半導体層15との積層体の数に対応する。
第2化合物半導体層15の価電子帯Evに生成された正孔23は、Eg3以上のエネルギーを有する光子24を吸収して励起し、p層12側に隣接する第1化合物半導体層14の価電子帯Evへ移動する。
太陽電池20は、i層13の価電子帯Evの上端に形成されるエネルギーギャップEg3を複数有するので、Eg3以上のエネルギーを有する光子、特にEg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子を効率良く吸収することができる。
また、太陽電池20は、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15との積層体を複数有しているので、Eg1以上のエネルギーを有する光子及びEg2以上のエネルギーを有する光子も効率良く吸収することができる。
第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15との積層体の数は、太陽光スペクトルを有効に吸収できるように、適宜設定することができる。例えば、この積層体を10個形成しても良い。
また、太陽電池20では、n層11と基板16との間にバッファ層17が配置される。バッファ層17としては、基板16と同じ材料を用いることができる。
太陽電池20のその他の構造は、上述した第1実施形態の太陽電池と同様である。
上述した第1化合物半導体層14及び第2化合物半導体層15の一例を図8及び図9に示す。
図8には、第1化合物半導体層14がノンドープのAlxGa0.47-xIn0.53Asによって形成される例を示している。また、図9には、第2化合物半導体層15がノンドープのAlyGa1-yAs0.52Sb0.48によって形成される例を示している。図6には、第1化合物半導体層14としてAlxGa0.47-xIn0.53Asを、第2化合物半導体層15としてAlyGa1-yAs0.52Sb0.48を用いた場合が示されている。ここで、基板16としては、InPを用いている。
図8では、AlxGa0.47-xIn0.53Asの組成比を変化させた5つの場合が示されている。図8には、各組成比に対して、エネルギーギャップEgと、真空準位から伝導帯の下端までのエネルギー値Ecと、格子不整合度とが示されている。ここで格子不整合度は、InPとAlxGa0.47-xIn0.53Asとの間の格子定数の差と、InPの格子定数との比を百分率で表した値である。
同様に、図9では、AlyGa1-yAs0.52Sb0.48の組成比を変化させた5つの場合が示されている。図9には、各組成比に対して、エネルギーギャップEgと、真空準位から伝導帯の下端までのエネルギー値Ecと、格子不整合度とが示されている。ここで格子不整合度は、InPとAlyGa1-yAs0.52Sb0.48との間の格子定数の差と、InPの格子定数との比を百分率で表した値である。
図8及び図9に示したEg、Ec及び格子不整合度は、混晶半導体を構成する2元化合物の物性定数とモル分率(組成)とボーイングパラメータとを用いて算出される。また、図8及び図9の各値は、室温25℃の条件で求められている。
AlxGa0.47-xIn0.53As及びAlyGa1-yAs0.52Sb0.48を用いて、太陽電池10のi層13を形成する際には、対応する番号同士の組成比の化合物半導体層が用いられる。図9には、対応する番号同士のAlxGa0.47-xIn0.53AsとAlyGa1-yAs0.52Sb0.48との間のEcの差が、ΔEcとして示されている。
図8及び図9の対応する番号同士の組成比の化合物半導体層を用いてi層13が形成される場合には、AlxGa0.47-xIn0.53AsのEgは、AlyGa1-yAs0.52Sb0.48のEgよりも大きい。
図8に示すAlxGa0.47-xIn0.53Asの格子不整合度、及び図9に示すAlyGa1-yAs0.52Sb0.48の格子不整合度は共に、InPに対する格子不整合度である。従って、AlxGa0.47-xIn0.53AsとAlyGa1-yAs0.52Sb0.48との間の格子定数の差と、AlxGa0.47-xIn0.53Asの格子定数との比の大きさは0.001以下である。
従って、図8及び図9の対応する番号同士の組成比の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合には、AlxGa0.47-xIn0.53AsとAlyGa1-yAs0.52Sb0.48とは格子整合する。
また、図9に示すように、AlxGa0.47-xIn0.53Asの伝導帯の下端とAlyGa1-yAs0.52Sb0.48の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップΔEcは、0.01eV(10meV)以下である。従って、このエネルギーギャップΔEcは、室温での熱エネルギー以下である。
このように、第1化合物半導体層14としてAlxGa0.47-xIn0.53Asを用い、且つ第2化合物半導体層15としてAlyGa1-yAs0.52Sb0.48を用いる場合には、組成比x及びyは下記の式(4)を満足することが好ましい。組成比x及びyが、下記の式(4)を満足することにより、上述したEg、格子整合及びΔEcの関係が得られる。
y≒x−0.36 (4)
ここで、組成比yは、上記式(4)により求められた値に対して、±10%以内の範囲、特に±5%以内の範囲にあることが好ましい。
例えば、図8及び図9の番号No.1の組成比同士の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合には、第1化合物半導体層14はAl0.47In0.53Asにより形成され、第2化合物半導体層15はAl0.11Ga0.89As0.52Sb0.48により形成される。ここで、Al0.47In0.53Asは、Al0.47Ga0.47-0.47In0.53As=Al0.47Ga0In0.53Asのことである。このAl0.47In0.53Asは、バンドギャップエネルギーEg1が1.462eV、組成波長が0.85μm、格子不整合度が0.050%である。また、Al0.11Ga0.89As0.52Sb0.48は、バンドギャップエネルギーEg2が0.958eV、組成波長が1.29μm、格子不整合度が−0.008%である。従って、Al0.47In0.53AsとAl0.11Ga0.89As0.52Sb0.48とは格子整合する。また、Al0.47In0.53AsとAl0.11Ga0.89As0.52Sb0.48との伝導帯の下端のエネルギーギャップΔEcは、−0.001eVであって、ほぼフラットバンドとなる。また、Eg3=Eg1ーEg2=0.504eVであり、この組成波長は2.46μmである。
次に、図8及び図9の番号No.1の組成比同士の化合物半導体層を用いてi層13が形成された場合の太陽電池について、図5に示すAM1.5Gの太陽光スペクトル(入射光照度1kW/m2)に対する最大エネルギー変換効率を求める。上記式(3)を用いた最大エネルギー変換効率の算出では、Eg1以上のエネルギーを有する光子は全て第1化合物半導体層14中で吸収されるものとした。また、Eg2以上Eg1未満のエネルギーを有する光子は全て第2化合物半導体層15中で吸収されるものとした。また、Eg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子は、全て、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15のヘテロ界面で吸収されるものとした。また、透過損失はないものとした。また、熱エネルギー損失はどの層においても0.3eV相当とした。また、室温25℃とした。
以上の条件を用いて上記式(3)を計算した所、最大エネルギー変換効率として54%が得られた。
上述した太陽電池10は、例えば、以下のように製造することができる。
各化合物半導体層の結晶成長方法としては、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いる。
まず、成長温度550℃にて、基板16であるn型(100)のn−InP基板上に、バッファ層17としてn型のn−InP層(不純物濃度1x1018cm-3、厚み0.3μm)を形成する。
次に、同一温度にて、n層11としてn型n−Al0.47In0.53As層(不純物濃度1x1018cm-3、厚み0.3μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第1化合物半導体層14としてノンドープのi−Al0.47In0.53As層(厚み0.1μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第2化合物半導体層15としてノンドープのi−Al0.11Ga0.89As0.52Sb0.48層(厚み0.1μm)を形成する。
次に、同一温度にて、第1化合物半導体層14としてノンドープのi−Al0.47In0.53As層(厚み0.1μm)を形成する。
同様にして、第2化合物半導体層15であるi−Al0.11Ga0.89As0.52Sb0.48層(厚み0.1μm)と第1化合物半導体層14であるi−Al0.47In0.53As層(厚み0.1μm)との積層体を9個形成する。
次に、同一温度にて、第1化合物半導体層14としてノンドープのi−Al0.47In0.53As層(厚み1μm)を形成する。
更に、同一温度にて、p層12としてp型のp−Al0.47In0.53As層(不純物濃度1x1018cm-3、厚み0.3μm)を形成する。
その後、p層12であるp−Al0.47In0.53As層上にAu/Zn/Auよりなる櫛形オーミック電極を上部電極18として形成する。更に、基板16の下側にAuGe/Auよりなるベタ状オーミック電極を下部電極19として形成し、最後にダイシングすることにより太陽電池10が完成する。
上述した本実施形態の太陽電池20によれば、Eg3以上のエネルギーを有する光子、特にEg3以上Eg2未満のエネルギーを有する光子を効率良く吸収できるので、エネルギー変換効率を更に高めることができる。
図10は、本明細書に開示する太陽電池の第3実施形態を示す図である。図11は、図10に示す太陽電池のエネルギーバンド図である。
図10に示すように、本実施形態の太陽電池30は、第1実施形態と同様に、n型半導体であるn層11と、p型半導体であるp層12と、p層12及びn層11に挟まれたi層13とを備える。
図10及び図11に示すように、太陽電池30は、第1実施形態とは異なって、i層13が、第1化合物半導体層14と第2化合物半導体層15との2層のヘテロ接合によって形成される。n層11の上には、第2化合物半導体層15が積層される。
太陽電池30では、第1化合物半導体層14の厚さを、p層12を透って入射した太陽光に対して、エネルギーギャップEg1以上のエネルギーを有する光子のほとんどを吸収できる厚さにすることが好ましい。このようにして、第1実施形態よりも簡易な構造で、高いエネルギー変換効率を有する太陽電池が形成される。
太陽電池30のその他の構造は、上述した第1実施形態の太陽電池と同様である。
図10には、第1実施形態と同様に、第1化合物半導体層14がノンドープのInxGa1-xAsyP1-yによって形成され、第2化合物半導体層15がノンドープのAlzGa0.47-zIn0.53Asによって形成される例が示されている。
上述した太陽電池10は、n層11上に形成される第1化合物半導体層14を形成しないことを除いては、例えば、第1実施形態の製造方法と同様にして、製造することができる。
上述した本実施形態の太陽電池30によれば、光吸収半導体層であるi層13のヘテロ接合における格子整合度が高く且つエネルギー変換効率の高い太陽電池が簡易に形成される。
本発明では、上述した各実施形態の太陽電池は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態又は第3実施形態の太陽電池において、第2実施形態で用いた第1化合物半導体層及び第2化合物半導体層を用いても良い。また、第2実施形態の太陽電池において、第1実施形態又は第3実施形態で用いた第1化合物半導体層及び第2化合物半導体層を用いても良い。
また、上述した各実施形態では、太陽光がp層側から入射されていたが、太陽光はn層側から入射されても良い。
また、太陽光を入射する太陽電池の面に反射防止膜をコーティングしても良い。
また、太陽光を入射する太陽電池の入射側最表面には、少数キャリアの表面拡散を抑制するために、第1化合物半導体層よりもエネルギーギャップが大きい窓層が設けられてもよい。
また、太陽電池に照射する光は、太陽光以外でも、電子・正孔対を生成する波長を有する光であれば良い。即ち、太陽電池は、太陽光以外の光を照射して発電させても良い。
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
n型半導体であるn層と、
p型半導体であるp層と、
前記n層及び前記p層に挟まれたi層とを備え、
前記i層は、
第1のエネルギーギャップを有する第1化合物半導体層と、
前記第1化合物半導体層とヘテロ接合して積層され、且つ前記第1のエネルギーギャップよりも小さい第2のエネルギーギャップを有する第2化合物半導体層と、を有し、
前記第1化合物半導体層と前記第2化合物半導体層とは格子整合しており、
前記第1化合物半導体層の伝導帯の下端と前記第2化合物半導体層の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップは、室温での熱エネルギー以下である、太陽電池。
(付記2)
前記第1化合物半導体層と前記第2化合物半導体層との間の格子定数の差と、前記第1化合物半導体層の格子定数との比の大きさが0.001以下である付記1に記載の太陽電池。
(付記3)
前記第1化合物半導体層の伝導帯の下端と前記第2化合物半導体層の伝導帯の下端との間のエネルギーギャップが、0.01eV以下である付記1又は2に記載の太陽電池。
(付記4)
前記i層は、前記第1化合物半導体層とヘテロ接合した前記第2化合物半導体層との積層体が複数積層されて形成されており、
前記i層は、両側の層それぞれが前記第1化合物半導体層によって形成される、付記1から3の何れか一項に記載の太陽電池。
(付記5)
前記n層が、n型不純物が添加された前記第1化合物半導体層によって形成され、前記p層が、p型不純物が添加された前記第1化合物半導体層によって形成される付記4に記載の太陽電池。
(付記6)
前記第1化合物半導体層及び前記第2化合物半導体層それぞれは、平坦な層によって形成されており、100nm以上3μm以下の厚さを有する付記1から5の何れか一項に記載の太陽電池。
(付記7)
前記第1化合物半導体層がInxGa1-xAsyP1-yによって形成され、前記第2化合物半導体層がAlzGa0.47-zIn0.53Asによって形成され、
x及びyが、
y≒−2.16x+2.16
を満足し、且つ、
x及びzが、
z≒0.39x−0.15
を満足する付記1から6の何れか一項に記載の太陽電池。
(付記8)
前記第1化合物半導体層がAlxGa0.47-xIn0.53Asによって形成され、前記第2化合物半導体層がAlyGa1-yAs0.52Sb0.48によって形成され、
x及びyが、
y≒x−0.36
を満足する付記1から6の何れか一項に記載の太陽電池。
(付記9)
n型半導体であるn層と、
p型半導体であるp層と、
前記p層及び前記n層に挟まれたi層とを備え、
前記i層は、
InxGa1-xAsyP1-y層と、
前記InxGa1-xAsyP1-y層とヘテロ接合して積層されるAlzGa0.47-zIn0.53As層と、を有し、
x及びyが、
y≒−2.16x+2.16
を満足し、且つ、
x及びzが、
z≒0.39x−0.15
を満足する、太陽電池。
(付記10)
n型半導体であるn層と、
p型半導体であるp層と、
前記p層及び前記n層に挟まれたi層とを備え、
前記i層は、
AlxGa0.47-xIn0.53As層と、
前記AlxGa0.47-xIn0.53As層とヘテロ接合して積層されるAlyGa1-yAs0.52Sb0.48層と、を有し、
x及びyが、
y≒x−0.36
を満足する、太陽電池。