JP6257397B2 - 赤血球瀉血用希釈剤、赤血球瀉血用希釈剤充填済容器およびそれを備えた赤血球瀉血用具 - Google Patents

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Description

本発明は、C型慢性肝炎患者の瀉血療法に用いられる赤血球瀉血用希釈剤、赤血球瀉血用希釈剤充填済容器およびそれを備えた赤血球瀉血用具に関する。
C型慢性肝炎患者では、肝組織に過剰の鉄が蓄積する。肝組織に過剰に蓄積した鉄は、細胞傷害性の強いヒドロキシラジカルを生成し、肝硬変や肝細胞癌を発症する可能性がある。瀉血療法とは、赤血球(ヘモグロビン中の鉄)を除去する目的で血液を採取する治療法であり、ヘモクロマトーシスおよび多血症の治療として確立されている。鉄過剰による酸化ストレスが病変の進行の一因と考えられるC型慢性肝炎では、瀉血療法による赤血球(ヘモグロビン中の鉄)除去は補助療法となる。C型慢性肝炎患者に対する瀉血療法は、2006年4月の診療報酬改定により保険適応となった。一般に、鉄過剰と考えられる血清フェリチン値が正常範囲以上のC型慢性肝炎患者が、瀉血療法の適応となる。瀉血療法により、ALT値の改善、肝炎の進展防止、発癌抑制を示唆する報告がされている。
しかしながら、瀉血療法は血漿成分を含む全血を除去する。このため、蛋白合成能や造血能が低下している患者には、低アルブミン血症が進行し腹水や貧血を発症する恐れがあるため行うことができない。一方、アルブミンやトランスフェリンなどの分泌性蛋白質は、肝細胞の小胞体上で合成される。酸化ストレスにより、小胞体内に異常な構造を持つ蛋白質が過剰に蓄積し、蛋白質の翻訳抑制を起こすことが報告されている。また、鉄過剰状態では、赤血球系前駆細胞数の減少や骨髄造血細胞のアポトーシス誘導などが生じることが報告されている。
すなわち、蛋白合成能や造血能の低下した患者に対しては、酸化ストレスを軽減するためにより積極的に除鉄する必要があるにもかかわらず、従来の瀉血療法では、アルブミンなどの血漿蛋白質成分も除去してしまい、低栄養状態を悪化させることから、瀉血療法が行うことができなかった。
特開2010−63712
汎用遠心機を用いたErythroCytapheresisは肝硬変を含めた慢性C型肝炎ウイルス感染症患者の除鉄治療の有力候補である 総合病院 玉野市立玉野市民病院誌 第16巻(2007)
非特許文献1の提案では、抗凝固剤としてACD−A液30ml(100ml中クエン酸ナトリウム2.20g、クエン酸0.8g、ブドウ糖2.20g含有)を用いる市販の血液バッグシステムを利用するものである。ACD−A液には、抗凝固成分としてクエン酸ナトリウムが配合されているため、血漿成分を患者に返血する場合には、クエン酸毒性に関連した副作用が起こるリスクが存在している。
また、特許文献1の瀉血バッグシステムは、採血針1と、第一の接続口21、第二の接続口22及び第三の接続口23を具備する三方活栓2と、抗凝固剤が充填されていない採血バッグ3を備える。採血針1は、第一のチューブ41を介して三方活栓2の第一の接続口21と接続され、採血バッグ3は、第二のチューブ42を介して三方活栓2の第二の接続口22と接続され、三方活栓2の第三の接続口23に、シリンジ、採血デバイス又は輸液ラインの接続手段と接続可能な被接続手段5を有する。
しかし、特許文献1のものでは、抗凝固剤が充填されていない採血バッグ3を用い、採取した血液すべてを瀉血するものであり、アルブミンなどの血漿蛋白質成分も除去してしまい、低栄養状態を悪化させる可能性が高い。
そこで、本発明の目的は、採取した血液より分離された血漿の返還が可能であり、クエン酸毒性を引き起こす可能性が極めて少ない赤血球瀉血用希釈剤、赤血球瀉血用希釈剤充填済容器およびそれを備えた赤血球瀉血用具を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 採血対象者より採血した血液に添加し、赤血球成分と血漿成分とに分離後、前記血漿成分を前記採血対象者に返還し、前記赤血球成分を廃棄する瀉血療法に使用するための赤血球瀉血用血液希釈剤であって、
前記希釈剤は、カルシウムイオンを実質的に含まず、浸透圧が245〜300mOsm/L、pHが6.0〜7.4、クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/Lであり、かつ乳酸イオンを含有する赤血球瀉血用血液希釈剤。
(2) 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、総有機酸イオン含有量が、40mmol/L以下であり、かつ、有機酸イオンである、前記クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/L、重炭酸イオン含有量が0〜40mmol/L、乳酸イオン含有量が5〜40mmol/Lかつ酢酸イオン含有量が0〜40mmol/Lである上記(1)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
(3) 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、ナトリウムイオン含有量が120〜160mmol/L、カリウムイオン含有量が1〜4mmol/L、クロルイオン含有量が90〜150mmol/Lである上記(1)または(2)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
(4) 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、クエン酸イオンを実質的に含有しないものである上記(1)または(2)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
(5) 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、乳酸イオンを10〜30mmol/L含有している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の瀉血用血液希釈剤。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(6) 容器本体と、前記容器本体内部に設けられた薬剤室と、前記薬剤室と連通した排出口と、前記薬剤室内に充填された上記(1)ないし(5)のいずれかの赤血球瀉血用血液希釈剤とからなる赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器。
(7) 前記容器本体における赤血球瀉血用血液希釈剤充填量:採血可能量は、1:1.0〜2.0である上記(6)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(8) 上記(6)または(7)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、前記希釈剤充填済容器と前記採血針もしくは前記採血針装着部とを連通する採血ラインを備える赤血球瀉血用具。
(9) 上記(6)または(7)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、血漿採取容器と、洗浄液充填容器と、連通流路切替具と、前記採血針もしくは前記採血針装着部と前記連通流路切替具とを接続する第1のラインと、前記連通流路切替具と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器とを接続する第2のラインと、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と前記血漿採取容器とを接続する第3のラインと、前記血漿採取容器に接続された第4のラインと、前記連通流路切替具と前記洗浄液充填容器とを接続する第5のラインと、前記第2のラインの端部に取り付けられ、前記連通流路切替具への接続時には開口し、前記連通流路切替具からの離脱時には閉塞するシール弁付コネクターと、前記第4のラインの端部に取り付けられ、前記連通流路切替具への接続が可能であり、かつ接続時には開口し、非接続時には閉塞するシール弁付コネクターとを備える赤血球瀉血用具。
(10) 前記第2のラインおよび第3のラインには、流路開閉手段が装着されている上記(9)に記載の赤血球瀉血用具。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 上記(6)または(7)に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、前記希釈剤充填済容器と前記採血針もしくは前記採血針装着部とを連通する採血ラインと、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器に接続された血漿返還ラインとを備え、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器は、前記採血ラインと連通する第1の血液室と、前記血漿返還ラインと連通する第2の血液室とに区分する血漿透過性かつ赤血球通過阻止性膜部材を備える赤血球瀉血用具。
(12) 前記血漿返還ラインは、一端が前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器に接続されており、他端が、前記採血ラインに接続されており、かつ、前記採血ラインは、前記血漿返還ラインとの接続部と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器間に設けられた第1の流路開閉具を備え、前記血漿返還ラインは、前記採血ラインとの接続部と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器間に設けられた第2の流路開閉具を備えている上記(11)に記載の赤血球瀉血用具。
(13) 前記血漿返還ラインは、一端が前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器の前記第2の血液室と連通する連結チューブと、前記連結チューブに接続された血漿採取容器と、前記血漿採取容器に一端が接続された血漿返還ラインとを備え、前記血漿返還ラインの他端は、前記採血ラインに接続されているまたは採血針もしくは採血針装着部を備えている上記(11)または(12)に記載の赤血球瀉血用具。
(14) 前記赤血球瀉血用具は、前記採血ライン、前記連結チューブおよび前記血漿返還ラインそれぞれに設けられた流路開閉具を備えている上記(13)に記載の赤血球瀉血用具。
本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤は、採血対象者より採血した血液に添加し、赤血球成分と血漿成分とに分離後、前記血漿成分を前記採血対象者に返還し、前記赤血球成分を廃棄する瀉血療法に使用するための赤血球瀉血用血液希釈剤である。そして、希釈剤は、カルシウムイオンを実質的に含まず、浸透圧が245〜300mOsm/L、pHが6.0〜7.4、クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/Lであり、かつ乳酸イオンを含有している。
この希釈剤を採取される血液に所定量添加することにより、凝固をある程度遅延させることができ、赤血球瀉血のための作業時間、言い換えれば、血液の赤血球と血漿成分との分離時間を確保することができ、かつ、実質的に生理的等張液かつクエン酸イオン含有量が少ないものとなっているため、希釈剤を含有する血漿成分を返還しても、クエン酸毒性を発生する可能性が極めて少ない。
また、本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器は、容器本体と、容器本体内部に設けられた薬剤室と、薬剤室と連通した排出口と、薬剤室内に充填された上記の赤血球瀉血用血液希釈剤とからなるものである。
よって、この容器を用いて採血し、血漿成分を分離後、希釈剤を含有する血漿成分を返還しても、クエン酸毒性を発生する可能性が極めて少ない。
また、本発明の赤血球瀉血用具は、上記の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、希釈剤充填済容器と採血針もしくは前記採血針装着部とを連通する採血ラインを備えている。
このため、瀉血操作を容易に行うことができる。
また、本発明の赤血球瀉血用具は、上述の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、血漿採取容器と、洗浄液充填容器と、連通流路切替具と、採血針もしくは採血針装着部と連通流路切替具とを接続する第1のラインと、連通流路切替具と赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器とを接続する第2のラインと、赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と血漿採取容器とを接続する第3のラインと、血漿採取容器に接続された第4のラインと、連通流路切替具と洗浄液充填容器とを接続する第5のラインと、第2のラインの端部に取り付けられ、連通流路切替具への接続時には開口し、連通流路切替具からの離脱時には閉塞するシール弁付コネクターと、第4のラインの端部に取り付けられ、連通流路切替具への接続が可能であり、かつ接続時には開口し、非接続時には、閉塞するシール弁付コネクターとを備えるものであってもよい。
この赤血球瀉血用具では、血液感染のリスクが少なく、患者への採血針の穿刺も1回で済むため、負担も少ない。かつ、希釈剤を含有する血漿成分を返還しても、クエン酸毒性を発生する可能性も極めて少ない。
図1は、本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤を用いた赤血球瀉血用希釈剤充填済容器およびさらにそれを備えた赤血球瀉血用具の一実施例を示す回路図である。 図2は、本発明の赤血球瀉血用具の他の実施例を示す回路図である。 図3は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図4は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図5は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図6は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図7は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図8は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図9は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図10は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図11は、図2に示した赤血球瀉血用具の作用を説明するための説明図である。 図12は、本発明の赤血球瀉血用具の他の実施例を示す回路図である。 図13は、図12に示した赤血球瀉血用具に用いられる赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器の断面図である。 図14は、本発明の赤血球瀉血用具の他の実施例を示す回路図である。
本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤について、実施例を用いて説明する。
本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤は、採血対象者より採血した血液に添加し、赤血球成分と血漿成分とに分離後、血漿成分を採血対象者に返還し、赤血球成分を廃棄する瀉血療法に使用するためのものである。
そして、瀉血用血液希釈剤31は、カルシウムイオンを実質的に含まず、浸透圧が245〜300mOsm/L、pHが6.0〜7.4、クエン酸イオン含有量が10mmol/L以下のものであり、かつ乳酸イオンを含有している。
さらに、希釈剤としては、総有機酸イオン含有量が、40mmol/L以下であることが好ましい。特に、総有機酸イオン含有量が、25〜35mmol/L以下であることが好ましい。さらに、有機酸イオンである、クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/L、重炭酸イオン含有量が0〜40mmol/L、乳酸イオン含有量が5〜40mmol/Lかつ酢酸イオン含有量が0〜40mmol/Lであることが好ましい。
特に、クエン酸イオンを実質的に含有しないものであることが好ましく、重炭酸イオンも実質的に含有しないもの、酢酸イオンも実質的に含有しないものであることが好ましい。さらに、乳酸イオンを10〜30mmol/L含有していることが好ましい。
さらに、希釈剤は、ナトリウムイオン含有量が120〜160mmol/L、カリウムイオン含有量が1〜4mmol/L、クロルイオン含有量が90〜150mmol/Lであることが好ましい。
また、浸透圧は、245〜290mOsm/Lであることが好ましい。pHは、6.3〜7.0であることが好ましい。
この希釈剤は、血液採取量100ml当たり、50〜100ml添加することが好ましい。また、赤血球瀉血用血液希釈剤が用いられる瀉血療法としては、少なくとも400ml以上採血し、その赤血球成分を瀉血することが好ましい。特に、好ましくは、400〜800ml採血することである。また、採血量に対する使用赤血球瀉血用血液希釈剤量としては、全採血量:使用赤血球瀉血用血液希釈剤量が、1:0.5〜1.5であることが好ましい。特に、好ましくは、全採血量:使用赤血球瀉血用血液希釈剤量が、1:0.6〜1.0である。
使用赤血球瀉血用血液希釈剤量が、採血量に対して少ないと、瀉血される赤血球成分とともに捨てられる血漿成分量が多くなり、血漿返還率が低下する。また、赤血球瀉血用血液希釈剤量の使用量が過剰であると、血漿とともに体内に投与される赤血球瀉血用血液希釈剤量も多くなり、循環血液を希釈することになる。
下記表1に示される成分をそれぞれ秤量し、これらをそれぞれ注射用蒸留水に混合溶解して、実施例1ないし3の本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤および比較例1および2の赤血球瀉血用血液希釈剤を調製した。
Figure 0006257397

実施例1ないし3の赤血球瀉血用血液希釈剤および比較例1および2の赤血球瀉血用血液希釈剤を用いて、以下の試験を行った。結果を表2および表3に示す。
採血量としては、瀉血療法として有効と思われ、かつ少ない量である400mlに設定した。また、血漿返還効率を考え、少なくとも採血量の50%に相当する赤血球瀉血用血液希釈剤を添加するものとした。
この試験では、ヒトの血液を用いた。下記表2および表3に示される配合比率になるように表1の血液処理剤を血液に添加・混合後、遠心分離(4500rpm×10分)を行い、赤血球成分と上清(血液処理剤を含む血漿成分)に分けた。上清を採取管に分取した時点から経過時間の測定を開始して、血液処理剤を含む血漿が凝固する様子を調べた。その結果、表2に示すように、クエン酸をまったく含有しない実施例1において、血液との配合比率100:100(400:400)、100:75(400:300)では、60分までは凝固が起こらないこと、また、配合比率100:50(400:200)でも30分までは凝固が起こらなかった。
このことから、瀉血作業を的確に行うことにより、抗凝固剤使用によるクエン酸毒性のリスクを解消しうる瀉血用血液処理剤として利用可能であることがわかった。なお、実施例2および実施例3のものでは、配合比率100:50(400:200)でも90分までは凝固が起こらなかった。
「輸血用クエン酸ナトリウム注射液(局方)」には10%のクエン酸ナトリウムが配合され、1管(5mL)あたりクエン酸イオンが1700μmol含まれる。用法・用量から、通常、血液400mLに対して16〜28mL(クエン酸イオン換算:5440〜9520μmol)が添加される。抗凝固剤として通常使われるクエン酸イオン量に対して、実施例2は10.0〜37.0%、実施例3は21.0〜73.0%と少なく、また、比較例2のものに比べても、十分に低く、クエン酸毒性のリスクは低いものであった。
Figure 0006257397
Figure 0006257397
次に、本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器およびそれを用いた赤血球瀉血用具について、図1に示す実施例を用いて説明する。
この赤血球瀉血用具1は、容器本体30と、容器本体30内部に設けられた薬剤室と、薬剤室と連通した排出口37と、薬剤室内に充填された赤血球瀉血用血液希釈剤31とからなる赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3を備えている。
赤血球瀉血用血液希釈剤31としては、上述したものが用いられている。
そして、本発明の赤血球瀉血用具1は、少なくとも上記の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3と、採血針2または採血針装着部と、希釈剤充填済容器3と採血針2とを連通する採血ライン21を備えている。特に、図1に示す実施例の赤血球瀉血用具1では、さらに、血漿採取容器4と、希釈剤充填済容器3と血漿採取容器4とを連通する血漿移送ライン33と、返血用穿刺針44と、血漿採取容器4と返血用穿刺針44とを連通する血漿返還ライン42を備えている。なお、この実施例では、赤血球瀉血用具1は、採血針2を備えているが、後述する図12に示す実施例の赤血球瀉血用具20のように、採血針を備えず、採血針を装着可能な採血針装着部55を有するものであってもよい。
さらに、図1に示す実施例の赤血球瀉血用具1では、血漿移送ライン33に流路開閉手段12が装着されている。流路開閉手段12としては、クランプ、クレンメなどが使用できる。特に、ローラー16の操作により、流路の封鎖、開閉が容易であるローラークレンメが好ましい。なお、ワンッタチクレンメ、スライドクレンメであってもよい。さらに、図1に示す実施例の赤血球瀉血用具1では、採血ライン21にも、流路開閉手段11が装着されている。流路開閉手段11としては、上述したものが好適である。さらに、図1に示す実施例の赤血球瀉血用具1では、血漿返還ライン42にも、流路開閉手段13が装着されている。流路開閉手段13としては、上述したものが好適である。
また、血漿採取容器4と返血用穿刺針44間(具体的には、血漿採取バックと血漿返還ライン42との連結部)に、破断により流路を開通する流路閉塞部材45が設けられている。よって、流路閉塞部材45を破断しないかぎり、血漿採取容器4と血漿返還ライン42間は、連通しないものとなっている。なお、流路閉塞部材45は、血漿返還ライン42の途中に設けてもよい。また、流路閉塞部材45の代わりに、血漿返還ライン42に流路開閉手段(クランプ、具体的には、ローラークレンメ)を装着してもよい。
赤血球瀉血用血液希釈剤が充填される容器本体30としては、軟質の袋状のものが好適である。具体的には、容器本体30は、上部シール部、下部シール部、側部(側部シール部)、閉鎖空間となっている薬剤室、薬剤室と連通する排出口37を有している。
容器本体30は、インフレーション成形法により筒状に成形されたもの、ブロー成形することにより作製されたもの、樹脂製の2枚のシートの周縁部を融着して形成したもの、樹脂製の1枚のシートを折り返すとともに周縁部を融着して形成したもの、樹脂を押し出し成形により筒状に形成したものの開口周縁を融着することにより作製したもの等のいずれでもよい。
このような容器本体30の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性、また、内容物を視認できる透明性を有していることが好ましい。
そして、容器本体30の容量としては、600〜1700mlであることが好ましく、特に、600〜900mlであることが好ましい。そして、容器本体30内への赤血球瀉血用血液希釈剤31の充填量としては、 200〜800mlであることが好ましく、特に、200〜400mlであることが好ましい。さらに、容器本体30における赤血球瀉血用血液希釈剤充填量:採血可能量は、1:1.0〜2.0であることが好ましく、 特に、1:1.1〜1.6であることが好ましい。
採血針2として、公知の金属針が使用される。
採血ライン21は、採血針2と容器本体30を接続する軟質チューブにより構成されている。血漿移送ライン33は、容器本体30と血漿採取容器4を接続する軟質チューブにより構成されている。血漿返還ライン42は、血漿採取容器4と返血用穿刺針44を接続する軟質チューブにより構成されている。
血漿採取容器4としては、軟質の袋状のものが好適である。具体的には、容器本体30は、上部シール部、下部シール部、側部(側部シール部)、閉鎖空間となっている薬剤室,薬剤室と連通する排出口を有している。また、血漿採取容器4としては、インフレーション成形法により筒状に成形されたもの、ブロー成形することにより作製されたもの、樹脂製の2枚のシートの周縁部を融着して形成したもの、樹脂製の1枚のシートを折り返すとともに周縁部を融着して形成したもの、樹脂を押し出し成形により筒状に形成したものの開口周縁を融着することにより作製したもの等のいずれでもよい。
血漿採取容器4の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性、また、内容物を視認できる透明性を有していることが好ましい。
上述した各ラインの形成に使用されるチューブとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETやPBTのようなポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。その中でも特に、ポリ塩化ビニルが好ましい。各チューブがポリ塩化ビニル製であれば、十分な可撓性、柔軟性が得られるので取り扱いがし易く、また、クレンメ等による閉塞にも適するからである。
次に、本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器を用いた他の実施例の赤血球瀉血用具について、図2ないし図11を用いて説明する。
この実施例の赤血球瀉血用具10は、上述した赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器(全血採血容器)3と、採血針2と、血漿採取容器4と、洗浄液充填容器5と、連通流路切替具6と、それらを接続する複数のラインを備えている。この実施例の赤血球瀉血用具10においても、後述する図12に示す実施例の赤血球瀉血用具20のように、採血針を備えず、採血針を装着可能な採血針装着部55を有するものとしてもよい。
そして、この実施例の赤血球瀉血用具10では、ラインとして、採血針2と連通流路切替具6とを接続する第1のライン21、連通流路切替具6と赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3とを接続する第2のライン32、赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3と血漿採取容器4とを接続する第3のライン33、血漿採取容器4に接続された第4のライン34、連通流路切替具6と洗浄液充填容器5とを接続する第5のライン35を備えている。
さらに、第2のライン32の端部には、連通流路切替具6への接続時には開口し、連通流路切替具6と連通し、連通流路切替具6からの離脱時には、閉塞するシール弁付コネクター7が設けられている。また、第4のライン34の端部にも、連通流路切替具6への接続が可能であり、かつ接続時には開口し、非接続時には、閉塞するシール弁付コネクター8が設けられている。なお、シール弁付コネクター8は、シール弁付コネクター7が離脱された連通流路切替具6のポートに接続可能なものとなっている。
さらに、第2のライン32には、流路開閉手段11が装着されている。第3のライン33には、流路開閉手段12が装着されている。流路開閉手段11、12としては、クランプ、クレンメなどが使用できる。特に、ローラー16の操作により、流路の封鎖、開閉が容易であるローラークレンメが好ましい。なお、ワンッタチクレンメ、スライドクレンメであってもよい。
赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器(全血採血容器)3、採血針2および血漿採取容器4としては、上述したものが好適に使用される。また、洗浄液充填容器5としては、赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器(全血採血容器)3と同様のものが使用される。また、充填される洗浄液51としては、生体に投与しても無害な液体が用いられる。例えば、生理食塩水等の生理的等張液、注射用水などを用いることができ、特に、上述した本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤を用いることが好ましい。
連通流路切替具6としては、図3に示すような、三方活栓が好適である。連通流路切替具6は、第1のポート61、第2のポート62,第3のポート63を備える本体部60と、本体部60に回動可能に装着された回動コック65を備えている。そして、回動コック65内には、コック部65a、コック部対向部65b、コック部65aとコック部対向部65bの中間に位置する中間部65c間を連通する回動コック内流路(図示せず)を備えている。そして、図3に示す状態では、コック部対向部65bが位置する第3のポート63を介して第5のライン35(洗浄液充填容器5と連通)と、中間部65cが位置する第1のポート61を介して第1のライン21(採血針2と連通)が連通するものとなっている。
そして、この流路切替具6によれば、回動コック65の回動により、第1のポート61を介して第1のライン21(採血針2と連通)と第2のポート62を介して第2のライン32(赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器:全血採血容器)とを選択的に連通させること、第3のポート63を介して第5のライン35(洗浄液充填容器5と連通)と、第2のポート62を介して第2のライン32(赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器:全血採血容器)とを選択的に連通させることが可能なものとなっている。また、この連通流路切替具6では、第1のポート61、第2のポート62,第3のポート63を介して、第1のライン21、第2のライン32および第5のライン35の3つを同時に連通することも可能となっている。また、この連通流路切替具6は、第2のポート62に装着された固定用リング部材64を備えている。なお、固定用リング部材64は、すべてのポートに装着されていてもよい。この固定用リング部材64は、ポート62に設けられた環状突出部67を収納する環状凹部69を備え、ポート62に、回動可能かつ離脱不能に装着されている。さらに、固定用リング部材64は、シール弁付きコネクタ7、8の筒状コネクター本体71に設けられたコネクタ側螺合部(雄ねじ部)81と螺合可能なリング部材側螺合部(雌ねじ部)66を内面に備えている。
シール弁付コネクター7、8としては、例えば、図4および5に示すような構成を有するものが使用される。この例のシール弁付コネクター7、8は、筒状コネクター本体71と、各ライン32,34の端部に装着される筒状固定部材72と、コネクター本体71と固定部材72間に収納されたシール部材73と備える。そして、筒状コネクター本体71は、上述した連通流路切替具6の固定用リング部材64のリング部材側螺合部と螺合可能なコネクタ側螺合部(雄ねじ部)81を一端部外周面に備えている。また、筒状コネクター本体71は、他端部に、固定部材の一端と接合される他端側接合部71aを備えている。筒状固定部材72は、一端に上述した筒状コネクター本体71の他端側接合部71aと接合される一端側接合部72aを備え、他端側に、ラインと接合されるライン接合部72bを備えている。さらに、筒状固定部材72は、内筒部79と、内筒部79と一端側接合部72a間により形成された環状底部72cを備えている。
シール部材73は、コネクター本体71の上端環状内面と、固定部材72の環状底部72c間により若干圧縮された状態にて収納されている。シール部材73は、筒状体であり、一端側に設けられた閉塞端部75と、閉塞端部に形成されたスリット78と、閉塞端部75より他端方向に延びる第1の軸方向圧縮変形および拡径方向に変形可能な弾性変形可能部76を備えている。そして、この実施例のものでは、弾性変形可能部76は、他端側に蛇腹状部77を備えている。
そして、このシール部材73は、図5に示すように、コネクター本体71の開口部74より、ポート62、63が挿入された時、言い換えれば、このシール弁付コネクター7、8を連通流路切替具6などのポートに装着したとき、ポートの先端面により、シール部材73の閉塞端75が押圧され、両者間が液密状態となるとともに、シール部材73は、軸方向に圧縮され。そして、シール部材73の閉塞端75が、他端側に移動し、コネクター本体71の拡径部に位置するものとなることにより拡径し、スリット78が開口する。また、シール部材73の蛇腹状部77を含む弾性変形可能部76は、その外周面が筒状固定部材(ライン接合部材)72の内面および内筒部79の外面に密着する。これにより、ポート内とライン内は、筒状固定部材(ライン接合部材)72およびシール部材73を介して、液密状態にて連通するものとなる。また、シール弁付コネクター7、8は、連通流路切替具6などのポート部より、離脱することにより、シール部材73は、図4に示す状態に復元し、スリット78は閉塞状態となる。
次に、この実施例の赤血球瀉血用具10を用いた赤血球瀉血方法について、図2ないし図11を用いて説明する。
図2に示すように、赤血球瀉血用具10を準備する。そして、図6に示すように、連通流路切替具(三方活栓)6を操作し、採血針(穿刺針)2が接続された第1のライン21と赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器(全血採血容器)3が接続された第2のライン32とが連通する状態(第5のライン35はいずれのラインとも連通しない状態)とし、患者に穿刺針2を穿刺し、全血採血容器3に所定量(例えば、400ml)の全血を採取する。なお、この状態では、流路開閉手段(クレンメ)11は、ライン開放状態となっている。
そして、図7に示すように、三方活栓6のコックを操作して、第2のライン32(採血済み全血採血容器3)と第5のライン35(洗浄液充填容器5)とが連通する状態(第1のライン21はいずれのラインとも連通しない状態)とし、洗浄液充填容器5を押圧し、充填されている洗浄液51の一部を三方活栓6を介して、少なくとも初流が、採血済み全血採血容器3に到達するまで送液し、第2のライン32を洗浄液51にて洗浄する。そして、三方活栓6のコックを操作して、第1のライン21(穿刺針2)と第5のライン35(洗浄液充填容器5)とが連通する状態(第2のラインはいずれのラインとも連通しない状態)とし、洗浄液充填容器5を押圧し、充填されている洗浄液51の一部を三方活栓6を介して、少なくとも初流が、穿刺針2を越えて、患者に到達するまで送液し、第1のライン21を洗浄液51にて洗浄する。なお、第1のライン21の洗浄液洗浄は、第2のライン32の洗浄液洗浄より先に行ってもよい。これにより、第1のライン21,第2のライン32および三方活栓6の内部は、洗浄液により洗浄されるとともに血液が押し出され、洗浄液と置換された状態となる。
そして、図8に示すように、第2のライン32を三方活栓6より離脱する。具体的には、第2のライン32のコネクタ7を三方活栓6より離脱する。なお、第2のライン32の洗浄液洗浄を第1のラインの洗浄より先に行う場合、第2のラインの洗浄終了後、第1のラインの洗浄前に、この離脱操作を行ってもよい。また、第2のライン32の離脱の間に、クレンメ11のローラー15を操作し、第2のライン32を閉塞状態とすることが好ましい。そして、三方活栓6より、離脱した採血済み全血採血容器3を含む離脱物を遠心分離器に入れ、赤血球成分と血漿成分に遠心分離する。これにより、図8に示すように、採血済み全血採血容器3の内部には、赤血球成分層91と血漿成分層92に分離される。また、それらの層内には、希釈剤が混ざった状態となっている。
そして、図9に示すように、クレンメ12のローラー16を操作し、第3のライン33を開通状態とし、遠心分離された採血済み全血採血容器3と血漿採取容器4とを連通する。そして、遠心分離された採血済み全血採血容器3を押圧して、上層の血漿成分層92を採血容器3より押出し、血漿採取容器4に採取する。
続いて、図10に示すように、クレンメ12のローラー16を操作し、第3のライン33を再び閉塞状態とした後、第4のライン34のシール弁付コネクター8を三方活栓6のポートに接続する。そして、三方活栓6を操作して、第5のライン35(洗浄液充填容器5)と第4のライン34とが連通する状態(第1のライン21はいずれのラインとも連通しない状態)とする。さらに、血漿採取容器4(第4のライン34)に設けられている破断可能流路閉塞部材45を破断し、血漿採取済み血漿採取容器4と第4のライン34とを連通状態とする。これにより、洗浄液充填容器5と血漿採取済み血漿採取容器4とが連通する状態となる。そして、血漿採取済み血漿採取容器4を押圧し、少なくとも初流が、第5のライン35に到達するまで血漿を送液し、第4のライン34中の空気および血漿採取済み血漿採取容器4内の空気を第5のライン35および洗浄液充填容器5に送り込む。
そして、図11に示すように、三方活栓6を操作して、第1のライン21(穿刺針2)と第4のライン34(血漿採取済み血漿採取容器4)とが連通する状態(第5のライン35はいずれのラインとも連通しない状態)とし、血漿採取済み血漿採取容器4を圧迫し、血漿を患者に変換する。そして、穿刺針を患者より、抜去することにより、赤血球瀉血手技は、終了となる。なお、上記の血漿変換終了後、三方活栓6を操作して、第1のライン21(穿刺針2)と第5のライン35(洗浄液充填容器5)とが連通する状態(第4のライン34はいずれのラインとも連通しない状態)とし、洗浄液充填容器5を圧迫し、第1のライン21中の血漿成分を患者に変換する操作を行ってもよい。
次に、本発明の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器を用いた他の実施例の赤血球瀉血用具について、図12および図13を用いて説明する。
この実施例の赤血球瀉血用具20は、血漿分離機能を有する赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3aと、採血針装着部55と、希釈剤充填済容器3aと採血針もしくは採血針装着部55とを連通する採血ライン21と、血液希釈剤充填済容器3aに接続された血漿返還ライン42とを備える。血液希釈剤充填済容器3aは、採血ライン21と連通する第1の血液室38と、血漿返還ライン42と連通する第2の血液室39とに区分する血漿透過性かつ赤血球通過阻止性膜部材46を備えている。赤血球通過阻止性膜部材46により、血漿分離機能が構成されている。
特に、この実施例の赤血球瀉血用具20は、採血針ではなく、採血針装着部55を有するものとなっている。なお、上述した赤血球瀉血用具1などのように、採血針を直接備えるものであってもよい。
そして、この実施例の赤血球瀉血用具20では、採血針装着部55は、分岐管56に設けられたポート59により構成されている。また、ポート59は、着脱可能に装着された封止部材によりシールされている。また、分岐管56は、2つの接続用ポートを備えている。そして、一方の接続用ポートには、採血ライン21の一端が接続されており、他方の接続用ポートには、血漿返還ライン42の一端が接続されている。
また、この実施例の赤血球瀉血用具20に用いられる採血針2としては、例えば、図12に示すような、先端に刃先を有する穿刺針2とその後端に接続された軟質チューブ22と、チューブ22の後端に取り付けられたハブ24と、穿刺針2に取り付けられた皮膚への固定用部材23を備えるものを用いることができる。
そして、血漿分離機能を有し、かつ赤血球瀉血用血液希釈剤が充填された容器3aとしては、例えば、図12および図13に示すような形態を有するものが好ましい。この実施例の希釈剤充填済容器3aは、図13に示すように、向かい合うように配置された2枚の樹脂シート30a、30bにより、容器本体30が形成されている。さらに、容器本体30は、その内部が、血漿透過性かつ赤血球通過阻止性膜部材46により、第1の血液室38と第2の血液室39とに区分されている。第1の血液室38は、膜部材46の一方の面と樹脂シート30aの内面間により形成されており、第2の血液室39は、膜部材46の他方の面と樹脂シート30bの内面間により形成されている。膜部材46は、その周縁に取り付けられた枠状固着用シート47を備えており、この固着用シート47により、容器本体30を形成する樹脂シート30a、30bに固着されている。また、採血ライン21の端部は、第1の血液室38と連通するように樹脂シート30a、30bに挿入され固着されている。また、血漿返還ライン42の端部は、第2の血液室39と連通するように樹脂シート30a、30bに挿入され固着されている。
血漿透過性かつ赤血球通過阻止性膜部材46としては、血球成分中の赤血球の通過が少なくとも不能である血漿分離膜が好適に使用できる。膜部材46としては、具体的には、硝酸セルロース、酢酸セルロース等の有機酸エステル等のセルロースエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂膜(膜厚30〜200μm)を相分離法、抽出法、延伸法、荷電粒子照射法等の公知の方法で製膜したもので、その平均孔径が0.1〜1μm程度のものが好適である。また、枠状固着用シート47としては、容器本体を構成する樹脂シート30a,30bとの良好な接着性を有する熱可塑性合成樹脂シートが好適であり、特に、樹脂シート30a,30bと同じ、もしくは同じ系統の樹脂製のものが好ましい。
そして、充填済容器3a内には、上述した赤血球瀉血用血液希釈剤が所定量充填されている。
さらに、この実施例の赤血球瀉血用具20では、血漿返還ライン42は、一端が赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3aに接続されており、他端が、採血ライン21に接続されている。そして、採血ライン21は、血漿返還ライン42との接続部(分岐管56)と赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3a間に設けられた第1の流路開閉具11を備える。血漿返還ライン42は、採血ライン21との接続部(分岐管56)と赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3a間に設けられた第2の流路開閉具13を備えている。
また、この実施例のような赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器が、血漿分離機能を有するタイプの赤血球瀉血用具は、上記の実施例のものに限定されるものではなく、例えば、図14に示す実施例のような赤血球瀉血用具40であってもよい。
この実施例の赤血球瀉血用具40と、上述した赤血球瀉血用具20との相違は、血漿採取容器4を備える点であり、基本構成は、上述した赤血球瀉血用具20と同じである。
この実施例の赤血球瀉血用具40では、一端が赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器3aの第2の血液室39と連通する容器間連結チューブ33と、連結チューブ33に接続された血漿採取容器4と、血漿採取容器4に一端が接続された血漿返還ラインとを備える。そして、血漿返還ライン42の他端は、採血ライン21に接続されている。具体的には、血漿返還ライン42は、採血ライン21に設けられた分岐管56に接続され、採血ライン21と連通している。
さらに、赤血球瀉血用具40は、採血ライン、連結チューブおよび血漿返還ラインそれぞれに設けられた流路開閉具11,12,13を備えている。
上述した赤血球瀉血用具20,40に用いられる流路開閉具11,12,13としては、クランプ、クレンメなどが使用できる。特に、ローラー15、16、17の操作により、流路の封鎖、開閉が容易であるローラークレンメが好ましい。なお、ワンッタチクレンメ、スライドクレンメであってもよい。
1,10 赤血球瀉血用具
3 赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器
30 容器本体
31 赤血球瀉血用血液希釈剤
4 血漿採取容器
5 洗浄液充填容器
6 連通流路切替具

Claims (14)

  1. 採血対象者より採血した血液に添加し、赤血球成分と血漿成分とに分離後、前記血漿成分を前記採血対象者に返還し、前記赤血球成分を廃棄する瀉血療法に使用するための赤血球瀉血用血液希釈剤であって、
    前記希釈剤は、カルシウムイオンを実質的に含まず、浸透圧が245〜300mOsm/L、pHが6.0〜7.4、クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/Lであり、かつ乳酸イオンを含有することを特徴とする赤血球瀉血用血液希釈剤。
  2. 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、総有機酸イオン含有量が、40mmol/L以下であり、かつ、有機酸イオンである、前記クエン酸イオン含有量が0〜10mmol/L、重炭酸イオン含有量が0〜40mmol/L、乳酸イオン含有量が5〜40mmol/Lかつ酢酸イオン含有量が0〜40mmol/Lである請求項1に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
  3. 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、ナトリウムイオン含有量が120〜160mmol/L、カリウムイオン含有量が1〜4mmol/L、クロルイオン含有量が90〜150mmol/Lである請求項1または2に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
  4. 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、クエン酸イオンを実質的に含有しないものである請求項1または2に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤。
  5. 前記赤血球瀉血用血液希釈剤は、乳酸イオンを10〜30mmol/L含有している請求項1ないし4のいずれかに記載の瀉血用血液希釈剤。
  6. 容器本体と、前記容器本体内部に設けられた薬剤室と、前記薬剤室と連通した排出口と、前記薬剤室内に充填された請求項1ないし5のいずれかの赤血球瀉血用血液希釈剤とからなる赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器。
  7. 前記容器本体における赤血球瀉血用血液希釈剤充填量:採血可能量は、1:1.0〜2.0である請求項6に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器。
  8. 請求項6または7に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、前記希釈剤充填済容器と前記採血針もしくは前記採血針装着部とを連通する採血ラインを備える赤血球瀉血用具。
  9. 請求項6または7に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、血漿採取容器と、洗浄液充填容器と、連通流路切替具と、前記採血針もしくは前記採血針装着部と前記連通流路切替具とを接続する第1のラインと、前記連通流路切替具と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器とを接続する第2のラインと、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と前記血漿採取容器とを接続する第3のラインと、前記血漿採取容器に接続された第4のラインと、前記連通流路切替具と前記洗浄液充填容器とを接続する第5のラインと、前記第2のラインの端部に取り付けられ、前記連通流路切替具への接続時には開口し、前記連通流路切替具からの離脱時には閉塞するシール弁付コネクターと、前記第4のラインの端部に取り付けられ、前記連通流路切替具への接続が可能であり、かつ接続時には開口し、非接続時には閉塞するシール弁付コネクターとを備える赤血球瀉血用具。
  10. 前記第2のラインおよび第3のラインには、流路開閉手段が装着されている請求項9に記載の赤血球瀉血用具。
  11. 請求項6または7に記載の赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器と、採血針もしくは採血針装着部と、前記希釈剤充填済容器と前記採血針もしくは前記採血針装着部とを連通する採血ラインと、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器に接続された血漿返還ラインとを備え、前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器は、前記採血ラインと連通する第1の血液室と、前記血漿返還ラインと連通する第2の血液室とに区分する血漿透過性かつ赤血球通過阻止性膜部材を備えることを特徴とする赤血球瀉血用具。
  12. 前記血漿返還ラインは、一端が前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器に接続されており、他端が、前記採血ラインに接続されており、かつ、前記採血ラインは、前記血漿返還ラインとの接続部と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器間に設けられた第1の流路開閉具を備え、前記血漿返還ラインは、前記採血ラインとの接続部と前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器間に設けられた第2の流路開閉具を備えている請求項11に記載の赤血球瀉血用具。
  13. 前記血漿返還ラインは、一端が前記赤血球瀉血用血液希釈剤充填済容器の前記第2の血液室と連通する連結チューブと、前記連結チューブに接続された血漿採取容器と、前記血漿採取容器に一端が接続された血漿返還ラインとを備え、前記血漿返還ラインの他端は、前記採血ラインに接続されているまたは採血針もしくは採血針装着部を備えている請求項11または12に記載の赤血球瀉血用具。
  14. 前記赤血球瀉血用具は、前記採血ライン、前記連結チューブおよび前記血漿返還ラインそれぞれに設けられた流路開閉具を備えている請求項13に記載の赤血球瀉血用具。
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