以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面中に「上方」「下方」「前方」「後方」「左方」「右方」の注記がある場合は、明細書中の説明における「上方」「下方」「前方」「後方」「左方」「右方」とは、その注記された方向を指す。
<粘着テープ印刷装置の構成>
まず、図1〜図4を参照しつつ、本実施形態の粘着テープカートリッジが装着される粘着テープ印刷装置の構成について説明する。
<筐体>
図1及び図2に示すように、本粘着テープ印刷装置1は、装置外郭を構成する筐体2を有する。筐体2は、筐体本体2aと、後方側開閉部8と、前方側開閉カバー9とを備える。
筐体本体2a内には、後方側に設けられた収納部3(第2収納部に相当)と、前方側に設けられた収納部5(第1収納部に相当)及び収納部4とが備えられている。
後方側開閉部8は、筐体本体2aの後方側上部に対し開閉可能に接続されている。この後方側開閉部8は、回動することにより、収納部3の上方を開閉可能である。また、後方側開閉部8は、第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bにより構成されている。
第1開閉カバー8aは、筐体本体2aの後方側上部に設けられた回動軸心K1まわりに回動することにより、収納部3のうち前方側上方を開閉可能である。詳細には、第1開閉カバー8aは、収納部3のうち前方側上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、収納部3のうち前方側上方を露出させる開き位置(図示せず)までの間で回動可能である。
第2開閉カバー8bは、第1開閉カバー8aよりも後方側に設けられている。この第2開閉カバー8bは、筐体本体2aの後方側上端部に設けられた回動軸心K2まわりに回動することにより、収納部3のうち後方側上方を、第1開閉カバー8aの開閉とは別個に開閉可能である。詳細には、第2開閉カバー8bは、収納部3のうち後方側上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、収納部3のうち後方側上方を露出させる開き位置(図示せず)までの間で回動可能である。
そして、これら第1開閉カバー8a及び第2開閉カバー8bは、それぞれが閉じ状態であるときに、当該第1開閉カバー8aの外周部18と当該第2開閉カバー8bの縁部19とが互いに略接触して、収納部3の上方の略全部を覆うように構成されている。
前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側上部に対し開閉可能に接続されている。この前方側開閉カバー9は、筐体本体2aの前方側上端部に設けられた回動軸心K3まわりに回動することにより、収納部4の上方を開閉可能である。詳細には、前方側開閉カバー9は、収納部4の上方を覆う閉じ位置(図1及び図2の状態)から、収納部4の上方を露出させる開き位置(図示せず)までの間で回動可能である。
<粘着テープカートリッジと筐体本体の各収納部>
図2に示すように、筐体本体2aにおける、閉じ状態での前方側開閉カバー9の下方にある所定位置13には、後述の印字済み粘着テープ153″を供給可能な粘着テープカートリッジTKが着脱可能に装着される。
図2及び図3に示すように、粘着テープカートリッジTKは、被印字被覆テープロールR1と、基材テープロールR3と、被印字被覆テープロールR1及び基材テープロールR3を連結する連結アーム16とを有する。
被印字被覆テープロールR1及び基材テープロールR3は、粘着テープカートリッジTKが所定位置13に装着された際に回転自在となる。
基材テープロールR3は、繰り出しにより消費される基材テープ150を、予め、軸心O3まわりに巻回している。軸心O3は、基材テープ150の厚さ方向(詳細には後述の基材層151の厚さ方向)に直交する第1方向(図2及び図3の例では左右方向)に延設されている。
上記収納部5には、粘着テープカートリッジTKの上記所定位置13への装着によって、基材テープロールR3が上方から受け入れられ、基材テープ150の巻回の軸心O3が左右方向となる状態で収納される。そして、基材テープロールR3は、収納部5に収納された状態(粘着テープカートリッジTKが所定位置13に装着された状態)において、当該収納部5内で所定の回転方向(図2中のC方向)に回転することにより、基材テープ150を繰り出す。なお、図2中では、基材テープロールR3の基材テープ150が未消費である状態を実線で表し、基材テープ150がある程度消費された状態を想像線で表している。
基材テープ150は、基材層151(テープ基材層に相当)と、所定の粘着剤により構成された粘着層152(貼り付け用粘着層に相当)とを備える。そして、基材テープ150は、その厚さ方向の一方側(図2中部分拡大図b中の左下側。以下適宜「裏側」という)から他方側(図2中部分拡大図b中の右上側。以下適宜「表側」という)へ向かって、粘着層152及び基材層151をこの順序で含む積層(2層)構造となっている。粘着層152は、後述の印字済み粘着テープ153″を適宜の被着体(図示せず)に対し貼り付けるための層である。
被印字被覆テープロールR1は、繰り出しにより消費されて上記基材テープ150の表側に貼り合わされる被印字被覆テープ153を、予め、軸心O1まわりに巻回している。軸心O1は、被印字被覆テープ153の厚さ方向に直交する上記第1方向に延設されている。すなわち、被印字被覆テープ153の厚さ方向と基材テープ150の厚さ方向とは一致し、軸心O1の延設方向と軸心O3の延設方向とは第1方向で一致する。なお、軸心O1,O3が、第1方向の軸線に相当する。
上記収納部3には、粘着テープカートリッジTKの上記所定位置13への装着によって、被印字被覆テープロールR1が上方から受け入れられ、被印字被覆テープ153の巻回の軸心O1が左右方向となる状態で収納される。そして、被印字被覆テープロールR1は、収納部3に収納された状態(粘着テープカートリッジTKが所定位置13に装着された状態)において、当該収納部3内で所定の回転方向(図2中のA方向)に回転することにより、被印字被覆テープ153を繰り出す。なお、図2中では、被印字被覆テープロールR1の被印字被覆テープ153が未消費である状態を実線で表し、被印字被覆テープ153がある程度消費された状態を想像線で表している。
被印字被覆テープ153は、透明フィルム状の被覆層154と、所定の粘着剤により構成された粘着層155(第1貼り合わせ用粘着層に相当)とを備える。そして、被印字被覆テープ153は、その厚さ方向の一方側(図2中部分拡大図a中の右下側。以下適宜「裏側」という)から他方側(図2中部分拡大図a中の左上側。以下適宜「表側」という)へ向かって、粘着層155及び被覆層154をこの順序で含む積層(2層)構造となっている。被覆層154は、上記基材テープ150を被覆するための層である。なお、被覆層154の表側には、適宜の剥離剤によるコーティング(剥離処理)が施されてもよい。粘着層155は、被印字被覆テープ153を上記基材テープ150に対し貼り合わせるための層であるとともに、その裏側に後述のインク層IKが形成される層である。
図3に示すように、連結アーム16は、左・右一対の第1ブラケット部20,20と、左・右一対の第2ブラケット部21,21とを備える。
第1ブラケット部20,20は、連結アーム16における、上記被印字被覆テープ153や基材テープ150の厚さ方向及び上記第1方向(軸心O1,O3の延設方向)に直交する第2方向(図2及び図3の例では前後方向)の一方側(図2及び図3の例では後方側)に設けられている。これら第1ブラケット部20,20は、被印字被覆テープロールR1を、第2方向の一方側において軸心O1に沿った左・右両側から挟みこむようにして支持する。具体的には、第1ブラケット部20,20は、被印字被覆テープロールR1が収納部3に収納された状態において、被印字被覆テープロールR1を、第2方向の一方側において軸心O1まわりに回転自在に支持する。また、第1ブラケット部20,20は、上端部において上記第1方向に略沿って延設された第1接続部22により、被印字被覆テープロールR1の外径との干渉を回避しつつ接続されている。
第2ブラケット部21,21は、連結アーム16における、上記第2方向の他方側(図2及び図3の例では前方側)に設けられている。これら第2ブラケット部21,21は、基材テープロールR3を、第2方向の他方側において軸心O3に沿った左・右両側から挟みこむようにして支持する。具体的には、第2ブラケット部21,21は、基材テープロールR3が収納部5に収納された状態において、基材テープロールR3を、第2方向の他方側において軸心O3まわりに回転自在に支持する。また、第2ブラケット部21,21は、上端部において上記第1方向に略沿って延設された第2接続部23により接続されている。
また、連結アーム16においては、第1ブラケット部20,20及び第1接続部22と、第2ブラケット部21,21及び第2接続部23とが、左・右一対のロール連結ビーム部24,24により連結されている。これにより、連結アーム16によって、被印字被覆テープロールR1と基材テープロールR3とが連結されている。
<各ローラとインクジェットヘッド>
図2に示すように、筐体本体2aにおける収納部3及び収納部5の中間上方側には、搬送ローラ12と、ヘッド保持体10とが設けられている。また、第1開閉カバー8aにおける、閉じ位置で搬送ローラ12と対向する位置には、サブローラ12aが設けられている。
搬送ローラ12は、被印字被覆テープロールR1から繰り出される被印字被覆テープ153(詳細には後述の印字済み被覆テープ153′)の裏側に配置され、当該印字済み被覆テープ153′に対し、その裏側(後述のインク層IK側)から接触する。また、サブローラ12aは、上記印字済み被覆テープ153′の表側に配置され、当該印字済み被覆テープ153′に対し、その表側(被覆層154側)から接触する。すなわち、上記印字済み被覆テープ153′は、搬送ローラ12とサブローラ12aとの間に狭持される。そして、搬送ローラ12は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM1によりギア機構(図示せず)を介し駆動される。これにより、搬送ローラ12及びサブローラ12aは、それらの間に上記印字済み被覆テープ153′を狭持しつつ、協働して、被印字被覆テープ153及び印字済み被覆テープ153′(以下適宜「被印字被覆テープ153等」という)をテープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
ヘッド保持体10には、インクジェットヘッド10a(印字ヘッドに相当)が設けられている。
インクジェットヘッド10aは、搬送ローラ12、サブローラ12a、後述の搬送ローラ14、及び後述のサブローラ14a(以下適宜「搬送ローラ12等」という)による、被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿って、当該搬送ローラ14及びサブローラ14aよりも上流側で、かつ当該被印字被覆テープ153の裏側(粘着層155側)に設けられている。そして、インクジェットヘッド10aは、搬送ローラ12等による被印字被覆テープ153等の搬送に従って、粘着層155の裏側に対し、ノズル(図示せず)からインクを吐出する。これにより、インクジェットヘッド10aは、粘着層155の裏側に、インクによる印字(詳細には鏡像印字)、つまりインク層IKを形成する。なお、粘着層155の裏側へのインク層IKの形成が行われた被印字被覆テープ153を、特に「印字済み被覆テープ153′」という。
すなわち、印字済み被覆テープ153′は、その裏側(図2中部分拡大図c中の右下側)から表側(図2中部分拡大図c中の左上側)へ向かって、インク層IK、粘着層155、及び被覆層154をこの順序で含む積層(3層)構造となっている。
また、第1開閉カバー8aにおける、閉じ位置で被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿ってインクジェットヘッド10aよりも上流側となり、かつ被印字被覆テープ153の表側(被覆層154側)となる位置には、ガイドローラ12bが設けられている。
ガイドローラ12bは、被印字被覆テープロールR1から繰り出される被印字被覆テープ153の表側(被覆層154側)に接触する。これにより、ガイドローラ12bは、当該被印字被覆テープ153が、被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿った上流側から、インクジェットヘッド10aと対向する位置、及び、搬送ローラ12とサブローラ12aとの間に狭持される位置へ向けて略直線状に搬送されるようにガイドする。
また、前方側開閉カバー9における、閉じ位置で被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿って搬送ローラ12よりも下流側となる位置には、搬送ローラ14と、サブローラ14aとが設けられている。なお、搬送ローラ14及びサブローラ14aが、貼り合わせロールを構成する。
搬送ローラ14は、基材テープロールR3から繰り出される基材テープ150の裏側に配置され、当該基材テープ150に対し、その裏側(粘着層152側)から接触する。また、サブローラ14aは、被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿って上流側から搬送されてくる被印字被覆テープ153(詳細には印字済み被覆テープ153′)の表側に配置され、当該印字済み被覆テープ153′に対し、その表側(被覆層154側)から接触する。すなわち、上記印字済み被覆テープ153′及び基材テープ150は、当該印字済み被覆テープ153′の裏側のインク層IKが形成された粘着層155と、当該基材テープ150の表側の基材層151とが対向した状態で、搬送ローラ14とサブローラ14aとの間に狭持されることにより、貼り合わされる。そして、搬送ローラ14は、筐体本体2aの内部に設けられた搬送用モータM3によりギア機構(図示せず)を介し駆動される。これにより、搬送ローラ14及びサブローラ14aは、それらの間に印字済み被覆テープ153′及び基材テープ150を狭持することにより貼り合わせつつ、協働して、被印字被覆テープ153等及び基材テープ150をテープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
上記のようにして、印字済み被覆テープ153′と基材テープ150とが搬送ローラ14及びサブローラ14aにより貼り合わされる、言い換えれば、裏側にインク層IKが形成された印字済み被覆テープ153′の、さらに裏側に対し、基材テープ150が貼り合わされることにより、印字済み粘着テープ153″が生成される。
すなわち、印字済み粘着テープ153″は、その裏側(図2中部分拡大図d中の右下側)から表側(図2中部分拡大図d中の左上側)へ向かって、粘着層152、基材層151、インク層IK、粘着層155、及び被覆層154をこの順序で含む積層(5層)構造となっている。
ここで、上記搬送ローラ14は、被印字被覆テープ153等及び基材テープ150を、当該基材テープ150の粘着層152に接触しつつ搬送を行う。したがって、そのままでは、基材テープ150の粘着層152と搬送ローラ14のロール面とが当該粘着層152の粘着力により粘着して、搬送抵抗が大きくなるおそれがある。
そこで本実施形態では、図4に示すように、搬送ローラ14が、上記第1方向に延設された軸心O4を備えたローラ軸141と、複数(この例では4つ)の円筒状接触部142を備える。
4つの円筒状接触部142は、ローラ軸141の周囲に、軸心O4の延設方向(ロール軸線方向に相当)に互いに離散して配置されている。これら4つの円筒状接触部142は、それぞれが基材テープ150の粘着層152に接触しつつ、上記サブローラ14aと協働して、被印字被覆テープ153等及び基材テープ150の搬送を行う。
すなわち、搬送ローラ14は、軸心O4の延設方向全長にわたって粘着層152に接触するのではなく、4つの円筒状接触部142のみが粘着層152に接触しつつ、サブローラ14aと協働して、被印字被覆テープ153等及び基材テープ150の搬送を行う。
なお、特に図示はしないが、上記搬送ローラ12もまた、上記搬送ローラ14と同様、それらのローラ軸の周囲に複数の円筒状接触部を備える構造となっている。
<巻き取り機構と印字済み粘着テープロール>
また、図2に示すように、上記収納部4には、上記前方側開閉カバー9が閉じ位置へ回動されることによって、巻き取り機構40が上方から受け入れられ、後述の軸心O2まわりに回転可能に支持されつつ、軸心O2が左右方向となる状態で収納される。
巻き取り機構40は、収納部4に収納された状態において、筐体本体2aの内部に設けられた巻取用モータM2によりギア機構(図示せず)を介し駆動される。これにより、巻き取り機構40は、当該収納部4内で所定の回転方向(図2中のB方向)に回転することにより、上記のようにして生成された印字済み粘着テープ153″を、軸心O2まわりにロール状に巻き取ることによって、印字済み粘着テープロールR2を形成する。この際、巻き取り機構40は、印字済み粘着テープ153″を、その裏側(粘着層152側)がロール径方向内側となり、その表側(被覆層154側)がロール径方向外側となる状態で巻き取ることによって、印字済み粘着テープロールR2を形成する。軸心O2は、印字済み粘着テープ153″の厚さ方向に直交する上記第1方向に延設されている。すなわち、軸心O2の延設方向と軸心O1,O3の延設方向とは第1方向で一致する。なお、図2中では、印字済み粘着テープ153″がまだ巻き取られていない状態を実線で表し、印字済み粘着テープ153″がある程度巻き取られた状態を想像線で表している。
図5に、印字済み粘着テープロールR2が形成される様子を表す模式図を示す。
図5に示すように、印字済み粘着テープロールR2は、印字済み粘着テープ153″が、その裏側(粘着層152側)がロール径方向内側となり、その表側(被覆層154側)がロール径方向外側となるようにしつつ、ロール径方向に重ね合わされた状態で、軸心O2まわりに巻回されることにより、形成される。
ここで、印字済み粘着テープ153″は、上述のように、その裏側から表側へ向かって、粘着層152、基材層151、インク層IK、粘着層155、及び被覆層154をこの順序で含む。したがって、印字済み粘着テープロールR2においては、ロール径方向内側の印字済み粘着テープ153″における印字済み被覆テープ153′(詳細には被覆層154)と、ロール径方向外側の印字済み粘着テープ153″における粘着層152とが、ロール径方向に接した状態(ロール径方向内側の印字済み粘着テープ153″におけるインク層IKと、ロール径方向外側の印字済み粘着テープ153″における粘着層152との間に、被印字被覆テープ153(被覆層154及び粘着層155)が介在する状態)となっている。
<カッター機構>
また、図2に示すように、被印字被覆テープ153等の搬送経路に沿って、搬送ローラ14及びサブローラ14aよりも下流側で、かつ巻き取り機構40よりも上流側には、カッター機構30が設けられている。
カッター機構30は、特に図示はしないが、可動刃と、可動刃を支持してテープ幅方向(左右方向)に走行可能な走行体とを有する。そして、カッター機構30は、筐体2の内部に設けられたカッターモータ(図示せず)の駆動により走向体が走向して可動刃がテープ幅方向に移動することにより、上記印字済み粘着テープ153″をテープ幅方向に切断する。
<粘着テープ印刷装置の動作概要>
次に、粘着テープ印刷装置1の動作概要について説明する。
すなわち、所定位置13に粘着テープカートリッジTKが装着されると、収納部3に被印字被覆テープロールR1が収納されるとともに、収納部5に基材テープロールR3が収納される。また、前方側開閉カバー9が閉じ位置に回動されると、収納部4に、印字済み粘着テープロールR2を形成する巻き取り機構40が収納される。
そして、搬送ローラ12等が駆動されると、被印字被覆テープロールR1から被印字被覆テープ153が繰り出されて搬送されるとともに、基材テープロールR3から基材テープ150が繰り出されて搬送される。このとき、搬送される被印字被覆テープ153の粘着層155の裏側に対し、インクジェットヘッド10aからインクが吐出されることにより、粘着層155の裏側にインク層IKが形成され、印字済み被覆テープ153′となる。
そして、印字済み被覆テープ153′及び基材テープ150が、搬送ローラ12等によりさらに搬送され、搬送ローラ14とサブローラ14aとの間に挟持されることにより貼り合わされ、印字済み粘着テープ153″となる。
そして、印字済み粘着テープ153″が、搬送ローラ12等によりさらに搬送されて収納部4へ導入され、巻き取り機構40によりロール状に巻き取られることにより、印字済み粘着テープロールR2が形成される。そして、印字済み粘着テープ153″が、カッター機構30により切断される。これにより、ユーザの所望のタイミングで、巻き取り機構40により印字済み粘着テープロールR2として巻き取られた印字済み粘着テープ153″を切断でき、当該切断後には、印字済み粘着テープロールR2を収納部4から取り出すことができる。
そして、収納部4から印字済み粘着テープロールR2を取り出した後は、ユーザは、印字済み粘着テープロールR2に巻回された印字済み粘着テープ153″をロール径方向内側の部分から引き剥がして所望の長さに切断できる。当該切断後には、ユーザは、所望の長さの印字済み粘着テープ153″を(粘着層152を介し)適宜の被着体に対し貼り付けることにより、例えばラベルや梱包用の封止材として使用することができる。
<粘着テープ印刷装置の制御系>
次に、図6を参照しつつ、粘着テープ印刷装置1の制御系について説明する。
図6に示すように、粘着テープ印刷装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU212が備えられている。
CPU212は、RAM213及びROM214に接続され、RAM213の一時記憶機能を利用しつつ、ROM214に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、粘着テープ印刷装置1全体の制御を行う。
RAM213には、例えばパーソナルコンピュータ等から受信した画像データ形式の印刷データを、被印字被覆テープ153の粘着層155の裏側における所定の印字領域にインク層IKを形成するためのドットパターンデータに展開して記憶する、イメージバッファ213aが備えられている。
ROM214には、所定の制御処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。
また、CPU212は、3つのモータ駆動回路218,219,220、ヘッド制御回路221、適宜の表示を行う表示部215、及び、ユーザが適宜に操作入力可能な操作部216に接続されている。
モータ駆動回路218は、上記搬送ローラ12を駆動する上記搬送用モータM1の駆動制御を行う。また、モータ駆動回路219は、上記巻き取り機構40を駆動する上記巻取用モータM2の駆動制御を行う。また、モータ駆動回路220は、上記搬送ローラ14を駆動する上記搬送用モータM3の駆動制御を行う。
ヘッド制御回路221は、上記印刷データに応じて、上記インクジェットヘッド10aに設けられた圧電アクチュエータの駆動制御を行い、ノズルからインクを吐出させる。
すなわち、CPU212は、ROM214に記憶された適宜の制御プログラムによって、イメージバッファ213aに記憶された印刷データに従って、被印字被覆テープ153の粘着層155の裏側に対し、ヘッド制御回路221を介しインクジェットヘッド10aにより当該印刷データに対応したインク層IKの形成を行う。
<本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態では、粘着テープ印刷装置1に、粘着テープカートリッジTKを装着して使用する。印刷実行時には、被印字被覆テープロールR1から繰り出されて搬送ローラ12等により搬送される被印字被覆テープ153の裏側に対し、インクジェットヘッド10aによりインク層IKの形成が行われる。その後、インク層IKが形成された印字済み被覆テープ153′のさらに裏側に対し、基材テープロールR3から繰り出された基材テープ150が、搬送ローラ14及びサブローラ14aにより貼り合わされ、印字済み粘着テープ153″が生成される。ユーザは、所望の長さの印字済み粘着テープ153″を(基材テープ150に備えられた粘着層152を介し)適宜の被着体に対し貼り付けることにより、例えばラベルや梱包用の封止材として使用する。このとき、上記のようにして構成された結果、印字済み粘着テープ153″は、その表側から裏側に向かって、被印字被覆テープ153、インク層IK、基材層151、及び粘着層152をこの順序で含む積層構造となっている(図2中部分拡大図d参照)。印字済み粘着テープ153″の最も表側に被印字被覆テープ153(被覆層154)が設けられることにより、上記のようにラベルや封止材として使用されるときに表面の擦れによって印字が消えにくくなり、印字の耐久性を保つことができる。
また、本実施形態においては、上記印字済み粘着テープ153″が巻き取り機構40により巻き取られ、印字済み粘着テープロールR2として生成される。上述のように印字済み粘着テープ153″が被印字被覆テープ153、インク層IK、基材層151、及び粘着層152をこの順序で含むことから、上記生成された印字済み粘着テープロールR2においては、インク層IKの表側を覆う被印字被覆テープ153と粘着層152とがロール径方向に接する(すなわち、インク層IKと粘着層152との間に被印字被覆テープ153が介在する)状態となる(図5参照)。これにより、インク層IKと粘着層152とが直接接する場合のように、印字済み粘着テープロールR2から印字済み粘着テープ153″が繰り出されて使用されるときにインク層IKが粘着層152側へと引き剥がされ印字に悪影響を与えるのを、防止することができる。
以上のように、本実施形態においては、貼り付けて使用されるときの印字の耐久性を維持するとともに、印字済み粘着テープロールR2からの繰り出し時に印字に悪影響が生じるのを防止できる、最適な特性の印字済み粘着テープ153″を実現することができる。
また、本実施形態では特に、上述のように、印字済み粘着テープ153″が被印字被覆テープ153、インク層IK、基材層151、及び粘着層152をこの順序で含み、印字済み粘着テープロールR2においてインク層IKと粘着層152との間に被印字被覆テープ153が介在する。これにより、印字済み粘着テープロールR2から印字済み粘着テープ153″が繰り出されて使用されるときにインク層IKが粘着層152側へと引き剥がされ印字品質に悪影響を与える(インクかすれ等が生じる)のを、防止することができる。
また、本実施形態では特に、搬送ローラ14において、4つの円筒状接触部142が軸心O4の延設方向に互いに離間して離散配置され、(搬送ローラ14が軸心O4の延設方向全長にわたって粘着層152に接するのではなく)それら4つの円筒状接触部142のみが粘着層152に接触する。これにより、上記被印字被覆テープ153等の搬送時における粘着層152との接触面積を小さくできるので、搬送抵抗を低減し、より円滑なテープ搬送を行うことができる。
また、本実施形態では特に、被印字被覆テープ153が、その裏側に基材テープ150への貼り合わせのための粘着層155を備える。これにより、被印字被覆テープ153の裏側(言い換えれば貼り合わせ側)に設けられた粘着層155により、被印字被覆テープ153と基材テープ150とを確実に貼り合わせて印字済み粘着テープ153″を生成することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)基材テープが被印字被覆テープの貼り合わせ用の粘着層を備える場合
上記実施形態では、被印字被覆テープ153が、基材テープ150への貼り合わせ用の粘着層155を備えていたが、これに限定されるものではなく、基材テープが、被印字被覆テープの貼り合わせ用の粘着層を備えてもよい。
以下、図7を参照しつつ、本変形例の粘着テープ印刷装置1の構成について説明する。なお、本変形例において、上記実施形態と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
図7に示すように、本変形例では、基材テープロールR3は、前述の基材テープ150に代え、基材テープ150Aを、予め、前述の軸心O3まわりに巻回している。
基材テープ150Aは、前述の基材層151と、前述の粘着層152と、所定の粘着剤により構成された粘着層157(第2貼り合わせ用粘着層に相当)とを備える。そして、基材テープ150Aは、その裏側(図7中部分拡大図b中の左下側)から表側(図7中部分拡大図b中の右上側)へ向かって、粘着層152、基材層151、及び粘着層157をこの順序で含む積層(3層)構造となっている。粘着層157は、後述の被印字被覆テープ153Aに対し基材テープ150Aを貼り合わせるための層である。
また、本変形例では、被印字被覆テープロールR1は、前述の被印字被覆テープ153に代え、被印字被覆テープ153Aを、予め、前述の軸心O1まわりに巻回している。
被印字被覆テープ153Aは、前述の被覆層154により構成されている(図7中部分拡大図a参照)。
また、本変形例では、前述の搬送ローラ12に代え、搬送ローラ12Aが設けられている。
搬送ローラ12Aは、被印字被覆テープロールR1から繰り出される被印字被覆テープ153A(詳細には後述の印字済み被覆テープ153A′)に対し、その裏側(インク層IK側)から接触する。また、本変形例では、サブローラ12aは、上記印字済み被覆テープ153A′に対し、その表側(被覆層154側)から接触する。これにより、搬送ローラ12A及びサブローラ12aは、それらの間に上記印字済み被覆テープ153A′を狭持しつつ、協働して、被印字被覆テープ153A及び印字済み被覆テープ153A′(以下適宜「被印字被覆テープ153A等」という)をテープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
また、本変形例では、インクジェットヘッド10aは、搬送ローラ12A、サブローラ12a、搬送ローラ14、及びサブローラ14a(以下適宜「搬送ローラ12A等」という)による被印字被覆テープ153A等の搬送に従って、当該被印字被覆テープ153A(被覆層154)の裏側に対し、ノズルからインクを吐出する。これにより、インクジェットヘッド10aは、被覆層154の裏側に前述のインク層IKを形成する。なお、被覆層154の裏側へのインク層IKの形成が行われた被印字被覆テープ153Aを、特に「印字済み被覆テープ153A′」という。
すなわち、印字済み被覆テープ153A′は、その裏側(図7中部分拡大図c中の右下側)から表側(図7中部分拡大図c中の左上側)へ向かって、インク層IK及び被覆層154をこの順序で含む積層(4層)構造となっている。
また、本変形例では、上記印字済み被覆テープ153A′、及び、基材テープロールR3から繰り出される基材テープ150Aは、当該印字済み被覆テープ153A′の裏側のインク層IKと、当該基材テープ150Aの表側の粘着層157とが対向した状態で、搬送ローラ14とサブローラ14aとの間に狭持されることにより、貼り合わされる。これにより、搬送ローラ14及びサブローラ14aは、それらの間に印字済み被覆テープ153A′及び基材テープ150Aを狭持することにより貼り合わせつつ、協働して、被印字被覆テープ153A等及び基材テープ150Aをテープ幅方向が左右方向となるテープ姿勢で搬送する。
上記のようにして、印字済み被覆テープ153A′と基材テープ150Aとが搬送ローラ14及びサブローラ14aにより貼り合わされる、言い換えれば、裏側にインク層IKが形成された印字済み被覆テープ153A′の、さらに裏側に対し、基材テープ150Aが貼り合わされることにより、印字済み粘着テープ153A″が生成される。
すなわち、印字済み粘着テープ153A″は、その裏側(図7中部分拡大図d中の右下側)から表側(図7中部分拡大図d中の左上側)へ向かって、粘着層152、基材層151、粘着層157、インク層IK、及び被覆層154をこの順序で含む積層(5層)構造となっている。
そして、本変形例では、巻き取り機構40は、上記のようにして生成された印字済み粘着テープ153A″を、上記実施形態と同様にして、前述の軸心O2まわりにロール状に巻き取ることによって、印字済み粘着テープロールR2を形成する。
以上説明した本変形例においても、上記実施形態と同様、印字済み粘着テープ153A″の最も表側に被印字被覆テープ153A(被覆層154)が設けられることにより、ラベルや封止材として使用されるときに表面の擦れによって印字が消えにくくなり、印字の耐久性を保つことができる。また、上記実施形態と同様、インク層IKと粘着層152とが直接接する場合のように、印字済み粘着テープロールR2から印字済み粘着テープ153A″が繰り出されて使用されるときにインク層IKが粘着層152側へと引き剥がされ印字に悪影響を与えるのを、防止することができる。
以上のように、本変形例においても、上記実施形態と同様、貼り付けて使用されるときの印字の耐久性を維持するとともに、印字済み粘着テープロールR2からの繰り出し時に印字に悪影響が生じるのを防止できる、最適な特性の印字済み粘着テープ153A″を実現することができる。
また、本変形例では、基材テープ150Aが、その表側に、被印字被覆テープ153Aの貼り合わせのための粘着層157を備える。これにより、基材テープ150Aの表側(言い換えれば貼り合わせ側)に設けられた粘着層157により、被印字被覆テープ153Aと基材テープ150Aとを確実に貼り合わせて印字済み粘着テープ153A″を生成することができる。
(2)その他
以上においては、最も裏側が粘着層152である基材テープ150,150Aを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば、粘着層152のさらに裏側に当該粘着層152を覆う剥離紙が設けられた基材テープを用いてもよい。この場合も、上記実施形態等と同様の効果を得ることができる。
また、以上においては、粘着テープ印刷装置1に、インクジェットヘッド10aを設け、当該インクジェットヘッド10aにより、被印字被覆テープ153,150Aの裏側に対し、インク層IKを形成する場合を例にとって説明したが、これに限定されるものではない。例えば、粘着テープ印刷装置1に、インクリボンを用いて印字形成する印字ヘッドを設け、当該印字ヘッドにより、被印字基材テープの裏側に対し、インクリボンからのインクの転写により印字形成してもよい。また例えば、粘着テープ印刷装置1に、感熱材料を用いて印字形成する印字ヘッドを設け、当該印字ヘッドにより、被印字基材テープの裏側に対し、感熱材料による発色により印字形成してもよい。これらの場合も、上記実施形態等と同様の効果を得ることができる。
なお、図6中に示す矢印は、信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。