JP6252217B2 - マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置 - Google Patents

マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置 Download PDF

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本発明は、マイクロ波給電方式のマイクロ波無電極ランプ、及び、これを使用する光照射装置に関する。
近年、可視光線又は紫外線を放射する放電ランプとして、マイクロ波無電極ランプが開発されている。マイクロ波無電極ランプを搭載する光照射装置は、典型的には、マイクロ波発振器と、マイクロ波空洞と、放電管(発光管)である無電極ランプを有する。無電極ランプはマイクロ波空洞に着脱可能に支持される。マイクロ波空洞には、無電極ランプからの可視光線又は紫外線を光出射口に導くための反射鏡が設けられている。光出射口には、マイクロ波に対しては不透過性であるが可視光線又は紫外線に対しては透過性の導電性メッシュが設けられている。
放電管には、始動用の希ガス又は不活性ガスと発光物質が封入されている。発光物質を適宜選択することによって、所望の波長の可視光線又は紫外線を得ることができる。波長254nmの紫外線は殺菌用に用いられ、波長315〜400nm(UV−A領域)の紫外線は塗料、樹脂等の硬化処理に用いられる。発光物質として、水銀、鉄、金属ハロゲン化物等が用いられる。
特許文献1には、マイクロ波発振器としてマグネトロンを用いる例が開示されている。特許文献2には、波長350〜450nmの紫外線強度を高め、且つ、ランプ寿命を改善するために発光物質として水銀、鉄、ハロゲン等の封入量を適宜選択することが記載されている。特許文献3には、ランプ寿命と放電安定性を確保するために、発光物質として水銀及び鉄の封入量を適宜選択することが記載されている。特許文献4には、始動時間を短縮化するために、発光物質として臭素と沃素の比を適宜選択することが記載されている。
特公平3−37277号公報 特公平2−31459号公報 特開平6−13052号公報(特許第3496033号) 特公平1−45179号公報
近年、高い発光強度の紫外線を安定的に放射する光照射装置の要望が高くなっている。特に、塗料、樹脂等の硬化処理に用いられる波長315〜400nm(UV−A領域)の紫外線の需要が高くなっている。更に、発光物質として、水銀が一般的に用いられるが、水銀の使用量を低減させたいとの要望がある。
本発明の目的は、高い発光強度の紫外線を安定的に放射することができるマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置を提供することにある。
本発明によると、マイクロ波エネルギーを受けて発光するマイクロ波無電極ランプにおいて、石英ガラス製の管状の放電容器と、該放電容器内に封入された希ガス及び発光物質と、を有し、前記発光物質は、水銀、鉄単体、ヨウ化鉄、臭化鉄、及び、ヨウ化タリウムを含み、前記水銀の封入量は0.3×10-5mol/cc〜1.4×10-5mol/ccであり、臭化鉄(FeBr2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeBr2]、ヨウ化鉄(FeI2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeI2]とし、臭化鉄(FeBr2)の含有比Rを次の式(1)によって定義するとき、
式(1) R=M[FeBr2]/(M[FeBr2]+M[FeI2])
前記臭化鉄含有比Rは0.2〜0.6となるように臭化鉄(FeBr2)とヨウ化鉄(FeI2)の封入量が選択される。
本実施形態によると前記マイクロ波無電極ランプにおいて、前記放電容器は、縮径中央部と、該縮径中央部の両側に接続されたテーパ部と、該テーパ部の外端にそれぞれ接続された円筒部と、を有し、前記縮径中央部の外径は前記円筒部の外径より小さく、前記縮径中央部は、マイクロ波エネルギーによって生成されるプラズマ領域の定在波の節に対応して形成される低温領域に対応する位置に形成されてよい。
本実施形態によると前記マイクロ波無電極ランプにおいて、前記鉄単体の封入量は10.0×10-5mol/cc以下であってよい。
本発明によると、マイクロ波発振器と、該マイクロ波発振器に付属するアンテナと、該アンテナからのマイクロ波エネルギーを受けて発光する無電極ランプと、を有する光照射装置において、前記無電極ランプは不活性ガスと発光物質が封入された放電容器を有し、前記発光物質は、水銀、鉄単体、ヨウ化鉄、臭化鉄、及び、ヨウ化タリウムを含み、前記水銀の封入量は0.3×10-5mol/cc〜1.4×10-5mol/ccであり、臭化鉄(FeBr2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeBr2]、ヨウ化鉄(FeI2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeI2]とし、臭化鉄(FeBr2)の含有比Rを次の式(1)によって定義するとき、
式(1) R=M[FeBr2]/(M[FeBr2]+M[FeI2])
前記臭化鉄含有比Rは0.2〜0.6となるように臭化鉄(FeBr2)とヨウ化鉄(FeI2)の封入量が選択される。
本実施形態によると前記光照射装置において、前記鉄単体の封入量は10.0×10-5mol/cc以下であってよい。
本発明によれば、高い発光強度の紫外線を安定的に放射することができるマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置を提供することができる。
図1Aは、本実施形態に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の一例を示す概略斜視図である。 図1Bは、図1Aの光照射装置を正面から見た概略正面図である。 図2は、本実施形態に係る光照射装置の筐体の前側内部の断面構成を示す図である。 図3は、本実施形態に係る無電極ランプの一例を示す図である。 図4は、本実施形態に係る無電極ランプの例の寸法を説明する図である。 図5は、本実施形態に係る無電極ランプにおいて全ハロゲン化鉄に対する臭化鉄含有率(モル比)と紫外線(UV−A)発光強度の関係を説明する図である。
以下、本発明に係る無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施形態は、例示であって、本発明を何等限定するものではないことを承知されたい。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の一例を説明する図である。図1Aは、光照射装置10の斜視図である。図1Bは、図1Aの光照射装置10を正面から見た概略正面図である。図示のように、光照射装置10のランプ軸線方向に沿ってX軸、光照射装置10からの発光方向(矢印方向)に沿ってZ軸、X−Z面に垂直方向にY軸を設定する。
光照射装置10は、矩形の筐体4を有し、筐体4の後側内部にマイクロ波発振器3(図示なし)が設けられている。光照射装置10は、更に、マイクロ波発振器3に付属するアンテナ8と、アンテナ8からのマイクロ波エネルギーを受けて発光する無電極ランプ12と、無電極ランプ12の軸線に沿って配置された反射鏡14を有する。反射鏡14によって囲まれた空間は、マイクロ波空洞5を形成している。無電極ランプ12は、マイクロ波空洞5に配置されている。
光照射装置10は、更に、無電極ランプ12を冷却する冷却空気供給機構を有する。冷却空気供給機構は、図示しない冷却空気源と、筐体4の上側には装着された冷却用送風ダクト6(図1Bでは省略)を有する。
マイクロ波は、波長1m〜100μm、周波数300MHz〜3THzの電磁波を指し、電波の中で最も短い波長域である。マイクロ波発振器3として、マグネトロン、クライストロン、進行波管(TWT)、ジャイロトロン、ガンダイオードを用いた回路等がある。本実施形態では、マイクロ波発振器としてマグネトロンを使用する。マグネトロンは、発振用真空管の一種であり、強力なノンコヒーレントマイクロ波を発生する。身近なところでは、マグネトロンは、レーダーや電子レンジに使われている。本実施形態では、電子レンジ、好ましくは業務用電子レンジに使用されているマグネトロンを使用する。なお、電子レンジでは周波数2,450MHzが使用されているが、これは技術的な制限によるものではなく、法的規制によるものである。
図2は、本実施形態に係る光照射装置10の筐体4の前側内部の断面構成を示す。反射鏡14は、代表的には、被照射面に集光させる楕円面反射鏡、被照射面に平行光を当てる放物面反射鏡等が有る。楕円面も放物面も少なくとも1つの焦点を有する。図2の実施例では、反射鏡14は樋型楕円面反射鏡であり、無電極ランプ12は直管型で、その中心軸が楕円面反射鏡の焦点に位置するように配置されている。なお、無電極ランプの中心(中心軸)が反射鏡の焦点位置に必ずしも一致している必要は無く、ランプ設置の位置的誤差等も考慮して、ランプ本体の中央部分が焦点を含む位置に配置されていればよい。
反射鏡14の筐体4の前面には光出射口2が形成され、光出射口は導電性メッシュ16によって覆われている。導電性メッシュ16は、マイクロ波に対しては不透過性であるが、マイクロ波空洞からの照射光18、即ち、可視光線及び紫外線に対しては透過性である。
マイクロ波発振器3から発生したマイクロ波は、アンテナ8を介して放射され、マイクロ波空洞5に供給され、そこで定在波を形成する。マイクロ波空洞5に配置された無電極ランプ12の内部にプラズマを励起する。プラズマが放射する可視光線或いは紫外線は、照射光18として反射鏡14を反射し、又は、直接、光出射口2に向かって放射され、導電性メッシュ16を通過して、被照射面に照射される。
図示しない冷却空気源からの冷却用空気17は、冷却用送風ダクト6(図1A)を経由し、反射鏡14の孔14Aを介してマイクロ波空洞5に供給される。冷却用空気17は無電極ランプ12の外周面に衝突し、無電極ランプ12を冷却する。
図3を参照して本実施形態に係る直管型の無電極ランプの例を説明する。無電極ランプ12は、円筒状の放電容器12Aを有する直管型であり、その両端に突起部12Bを有する。放電容器の両端の突起部12Bを筐体の両側の内壁の係合部に係合させることによって、無電極ランプ12はマイクロ波空洞内に保持される。
マグネトロンを発振させると、2,450MHzのマイクロ波エネルギーがマイクロ波空洞5に供給され定在波が形成される。マイクロ波が無電極ランプ12の放電容器12Aと結合されて内部にプラズマが励起される。発光物質から可視光線或いは紫外線が放射される。
無電極ランプ12を点灯すると、放電容器12Aの内部に、破線で示すように、2つのプラズマ領域13が形成される。プラズマ領域13は、腹131とその両側の節132を有する定在波を形成する。この定在波の波長は、λ=伝播速度/周波数=2.99×108(m/s)/2.45GHz≒123mmとなる。無電極ランプの放電容器12Aの軸線方向長さは、一波長の長さに略等しく形成されている。
定在波の腹131の部分は比較的温度が高く、比較的強い発光をする。ここは高温領域(ホットゾーン)12a、12bと呼ばれる。定在波の節132の部分は比較的温度が低く、比較的弱い発光をする。ここは低温領域(コールドゾーン)12c、12d、12eと呼ばれる。放電容器12Aにて定在波は左右対称的に形成される。従って、中央の最低温位置は、放電容器12Aの軸線方向の中央の位置にある。低温領域12c、12d、12eでは、封入物質の蒸発が阻害され、又は、再凝縮が起こることがある。従って、無電極ランプ12の放電容器12Aの温度分布は軸線方向に沿って不均一となる。
図4を参照して本実施形態に係る直管型の無電極ランプの他の例を説明する。本実施形態に係る無電極ランプ12は円筒状の放電容器12Aと両側の突起部12B、12Bを有する。図示のように、放電容器12Aは、円筒状の縮径中央部122、その両側のテーパ部124、及び、更にその外側の円筒部121、121を有する。円筒部の外側に端部123、123が形成されている。縮径中央部122は、放電容器の中央の低温領域12c(図3)に形成され、テーパ部124は、縮径中央部122と円筒部121、121を接続するように両者の間に形成されている。端部123、123は、放電容器の両側の低温領域12d、12eに形成され、従来の直管型の無電極ランプの放電容器12Aの両端部と同様に、球面形状、楕円球面状等の回転曲面状に形成されてよい。
本実施形態では、放電容器の中央の低温領域12cに縮径中央部122が形成されているから、中央の低温領域12cにおいて内部空間が小さくなり、封入物質の再凝縮が回避される。
無電極ランプの軸線方向の寸法をL1、放電容器12Aの軸線方向の寸法をL、突起部12B、12Bの軸線方向の寸法をそれぞれLtとする。縮径中央部122の軸線方向の寸法をLa、テーパ部124の軸線方向の寸法をLb、円筒部121、121の軸線方向の寸法をLc、とする。L1=L+2Lt=150〜160mm、L=130〜140mm、Lt=8.0〜9.0mmである。La=15〜25mm、Lb=15〜25mm、Lc=30〜40mmである。
縮径中央部122の外径をDa、円筒部121、121の外径をDc、突起部12B、12Bの外径をDt、とする。縮径中央部122の外径Daは、従来の直管型の無電極ランプの放電容器12Aの外径Dnより小さい。即ち、Dn>Daである。円筒部121、121の外径Dcは、従来の直管型の無電極ランプの放電容器12Aの外径Dnに等しい。即ち、Dn=Daである。テーパ部124の内端の外径は、縮径中央部122の外径Daに等しく、テーパ部124の外端の外径は、円筒部121、121の外径Dcに等しい。
無電極ランプ12は石英ガラス製である。放電容器12Aは石英ガラス製の密閉容器によって形成されている。突起部12B、12Bは石英ガラス製の棒材である。
放電容器12Aには、始動用の希ガス又は不活性ガスと発光物質が封入されている。発光物質として水銀、鉄、金属ハロゲン化物等が用いられる。以下に、本実施形態の無電極ランプに用いられる発光物質を順に説明する。
まず、鉄(Fe)のハロゲン化物について説明する。1種類のハロゲン化物より2種類のハロゲン化物を封入したほうが、始動時間が短縮できることが知られている。これは、両ハロゲン化物の蒸気圧の和が始動時間の短縮に寄与するからである。そこで、本実施形態では、鉄のハロゲン化物として、臭化鉄(FeBr2)及びヨウ化鉄(FeI2)を封入した。
発光物質中のヨウ素量が過多になるとプラズマ温度が下がることが知られている。また、発光物質中の臭素量が過多になると、電気的陰性度が高い臭素によってプラズマ中の電子が捕捉され、発光に寄与する電子数が減少することが知られている。そこで、2種類のハロゲン化物を封入する場合には、両者の比を適正な値に設定する必要がある。ここで、臭化鉄(FeBr2)の含有比(モル比)Rを次の式(1)によって定義する。
式(1) R=M[FeBr2]/(M[FeBr2]+M[FeI2])
ここに、M[FeBr2]は臭化鉄(FeBr2)のモル濃度(単位:mol/cc)、M[FeI2]はヨウ化鉄(FeI2)のモル濃度(単位:mol/cc)である。
本願の発明者は、実験を行い、式(1)の臭化鉄含有比(モル比)Rを変化させることによって、発光強度が変化することを見出した。本願の発明者が行った実験については後に詳細に説明する。本願の発明者が行った実験の結果から、本実施形態では、式(1)の臭化鉄含有比(モル比)Rは0.20〜0.60である。特に、臭化鉄含有比Rが038のとき、波長315〜400nm(UV−A域)の発光強度が最大となった。
次に、水銀について説明する。本願の発明者が行った実験によると、水銀封入量が少ないと発光強度が不足し、水銀封入量が多くなると放電が不安定となった。本願の発明者が行った実験の結果から、水銀封入量を0.3×10-5〜1.4×10-5mol/ccとすると、良好な発光強度を得ると同時に放電安定性を確保することが可能であることが判った。特に、水銀封入量が0.7×10-5mol/ccのとき、発光強度が最大となった。そこで、本実施形態では、水銀封入量を0.3×10-5〜1.4×10-5mol/ccとした。
次に、鉄単体(金属鉄)について説明する。本願の発明者が行った実験によると、鉄単体(Fe)を封入することによって、発光強度が増加するが、鉄単体(Fe)の封入量が多すぎると、放電容器の内面に鉄の残ることが判った。本願の発明者が行った実験の結果から、本実施形態では、鉄単体(Fe)の封入量は、10.0×10-5mol/cc以下とする。鉄単体(Fe)の封入量が、2.3×10-5mol/ccのとき、発光強度が最大となった。但し、鉄単体(Fe)の封入量は、ゼロではなく、少なくとも、5.7×10-7mol/ccは必要である。
他の発光物質について説明する。本実施形態では、分光特性を改善するために、更に、ヨウ化タリウム(TlI)を封入した。ヨウ化タリウム(TlI)の封入量は1.2×10-7mol/ccとした。以上のように、本実施形態では、発光物質として水銀、臭化鉄、ヨウ化鉄、鉄単体、及び、ヨウ化タリウムを用いるが、更に他の物質、例えば、他の金属ハロゲン化物を用いてもよい。
次に、本願発明者が行った実験に用いた無電極ランプの例を詳細に説明する。本願発明者が行った実験では、図4に示す無電極ランプを用いた。本願発明者が行った実験に用いた無電極ランプでは、L1=L+2Lt=155mm、L=138mm、Lt=8.5mmであった。La=20mm、Lb=19.5mm、Lc=39.5mmであった。Dc=11mm、Da=5mm、Dt=3mmであった。放電容器12Aの肉厚は1mmであった。放電容器12Aの内容積は6.3ccであった。
放電容器には、始動用の希ガス又は不活性ガスとして15±5Torrのアルゴンガスを封入した。鉄単体(Fe)の封入量は、2.3×10-5mol/ccであった。ヨウ化タリウム(TlI)の封入量は、1.2×10-7mol/ccであった。水銀の封入量は0.7×10-5mol/ccであった。
図5を参照して本願発明者が行った実験結果を説明する。本願の発明者は、図4に示した本実施形態による無電極ランプを用いて投入電力を1.6kW一定とし、式(1)の臭化鉄含有率(モル比)Rをパラメータとして、波長315〜400nm(UV−A域)の発光強度の変化を測定した。
図5は全ハロゲン化鉄に対する臭化鉄含有比(モル比)Rと波長315〜400nm(UV−A域)の発光強度の関係を測定した結果を示す。横軸は、式(1)に示す全ハロゲン化鉄に対する臭化鉄含有比(モル比)Rの値、縦軸は波長315〜400nm(UV−A域)の発光強度の相対値(単位:%)であり、臭化鉄の含有量がゼロ(従来技術)の場合を100%とした。横軸の臭化鉄含有比R=0は、臭化鉄の含有量がゼロであり、ヨウ化鉄の含有量が100%の場合を表す。横軸の臭化鉄含有比R=1.0は、臭化鉄の含有量が100%であり、ヨウ化鉄の含有量がゼロの場合を表す。
図5のグラフから、式(1)の臭化鉄含有比Rが0〜0.65のとき、発光強度は増加するが、式(1)の臭化鉄含有比Rが約0.65を超えると発光強度は寧ろ減少することが判る。上述のように、臭素は電気的陰性度が高いため、臭素量が増加すると、臭素によって捕獲されるプラズマ中の電子が増加し、ランプの始動に寄与する電子及び発光に寄与する電子が減少する。そのため、始動性が悪化し、発光強度が低下する。臭化鉄含有比Rが0.38のとき、発光強度は最大となる。このとき、発光強度は、臭化鉄の含有量がゼロの場合と比較して、21%増加する。
本願の発明者は、本実施形態におけるハロゲン化鉄の含有量を設定するに際して、臭化鉄の含有量がゼロの場合と比較して、発光強度が少なくとも10%以上増加することを条件とした。図示のように、臭化鉄がゼロの場合と比較して、発光強度が10%以上増加するのは、臭化鉄含有比Rが0.2〜0.6の場合である。従って、本実施形態では、式(1)の臭化鉄含有比Rは0.2〜0.6とした。
本願の発明者が行った実験から得られた知見を纏める。
(1)良好な発光強度と放電安定性を確保するには、放電容器の水銀封入量を0.3×10-5〜1.4×10-5mol/ccの範囲とすればよい。
(2)所望の分光特性を得るには、放電容器の鉄単体封入量は10.0×10-5mol/cc以下とすればよい。鉄単体封入量は微量であってもよいが、少なくとも、5.7×10-7mol/cc以上である。
(3)発光物質として、臭化鉄(FeBr2)及びヨウ化鉄(FeI2)を封入する。臭化鉄(FeBr2)及びヨウ化鉄(FeI2)の封入量は、好ましくは、式1の臭化鉄含有比がR=0.2〜0.6となるように選択される。
(4)発光物質として、ヨウ化タリウム(TlI)を封入する。ヨウ化タリウム(TlI)の封入量は1.2×10-7mol/ccとしてよい。
(5)放電容器として図3に示す通常の直管型を用いてもよいが、好ましくは、図4に示す中央の低温領域(コールドゾーン)に縮径中央部を備えた形状のものを用いるとよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲はこれらの実施の形態によって制限されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者であれば容易に理解されよう。
本発明は、マイクロ波無電極ランプを搭載した光照射装置は、例えば、インク、塗装等が塗布された面の表面硬化処理などに好適に用いることができる。
2…光出射口、3…マイクロ波発振器、4…筐体、5…マイクロ波空洞、6…冷却用送風ダクト、8…アンテナ、10…光照射装置、12…無電極ランプ、12A…放電容器、12B…突起部、12a、12b…高温領域(ホットゾーン)、12c、12d、12e…低温領域(コールドゾーン)、13…プラズマ領域、14…反射鏡、14A…孔、16…導電性メッシュ、17…冷却用空気、18…照射光、121…円筒部、122…縮径中央部、123…端部、124…テーパ部、131…腹、132…節

Claims (5)

  1. マイクロ波エネルギーを受けて発光するマイクロ波無電極ランプにおいて、
    石英ガラス製の管状の放電容器と、
    該放電容器内に封入された希ガス及び発光物質と、を有し、
    前記発光物質は、水銀、鉄単体、ヨウ化鉄、臭化鉄、及び、ヨウ化タリウムを含み、前記水銀の封入量は0.3×10-5mol/cc〜1.4×10-5mol/ccであり、
    臭化鉄(FeBr2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeBr2]、ヨウ化鉄(FeI2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeI2]とし、臭化鉄(FeBr2)の含有比Rを次の式(1)によって定義するとき、
    式(1) R=M[FeBr2]/(M[FeBr2]+M[FeI2])
    前記臭化鉄含有比Rは0.2〜0.6となるように臭化鉄(FeBr2)とヨウ化鉄(FeI2)の封入量が選択される、マイクロ波無電極ランプ。
  2. 請求項1記載のマイクロ波無電極ランプにおいて、
    前記放電容器は、縮径中央部と、該縮径中央部の両側に接続されたテーパ部と、該テーパ部の外端にそれぞれ接続された円筒部と、を有し、前記縮径中央部の外径は前記円筒部の外径より小さく、前記縮径中央部は、マイクロ波エネルギーによって生成されるプラズマ領域の定在波の節に対応して形成される低温領域に対応する位置に形成されていることを特徴とするマイクロ波無電極ランプ。
  3. 請求項1又は2記載のマイクロ波無電極ランプにおいて、
    前記鉄単体の封入量は10.0×10-5mol/cc以下である、マイクロ波無電極ランプ。
  4. マイクロ波発振器と、該マイクロ波発振器に付属するアンテナと、該アンテナからのマイクロ波エネルギーを受けて発光する無電極ランプと、を有する光照射装置において、
    前記無電極ランプは不活性ガスと発光物質が封入された放電容器を有し、
    前記発光物質は、水銀、鉄単体、ヨウ化鉄、臭化鉄、及び、ヨウ化タリウムを含み、前記水銀の封入量は0.3×10-5mol/cc〜1.4×10-5mol/ccであり、
    臭化鉄(FeBr2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeBr2]、ヨウ化鉄(FeI2)のモル濃度(単位:mol/cc)をM[FeI2]とし、臭化鉄(FeBr2)の含有比Rを次の式(1)によって定義するとき、
    式(1) R=M[FeBr2]/(M[FeBr2]+M[FeI2])
    前記臭化鉄含有比Rは0.2〜0.6となるように臭化鉄(FeBr2)とヨウ化鉄(FeI2)の封入量が選択される、光照射装置。
  5. 請求項4記載の光照射装置において、
    前記鉄単体の封入量は10.0×10-5mol/cc以下である、光照射装置。
JP2014022947A 2014-02-10 2014-02-10 マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置 Expired - Fee Related JP6252217B2 (ja)

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