JP2019053897A - マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置 - Google Patents

マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置 Download PDF

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豪俊 張
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静二 齋藤
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祐司 小田
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Abstract

【課題】本発明は、ランプ照度を改善すると共に、発光管の黒化、発光管の変形等の発生を抑制した、新規なマイクロ波無電極ランプを提供することを目的とする。【解決手段】前記マイクロ波エネルギーを受けて発光するマイクロ波無電極ランプは、希ガス及び発光物質を封入した管状の放電容器を備え、前記発光物質は、亜鉛又はヨウ化亜鉛と、ヨウ化コバルトと、ヨウ化鉄と、前記亜鉛又はヨウ化亜鉛の封入密度は、1.3〜3.2 μmol/ccの範囲内にあり、前記ヨウ化コバルトとヨウ化鉄との合計封入密度は、3.5〜8.9 μmol/ccの範囲内にあり、前記放電容器は、肉厚tが1.0<t<4.0 mmの範囲内の石英ガラスから形成され、OH基含有濃度が5 ppm未満である。【選択図】図2

Description

本発明は、マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置に関する。
近年、塗料、樹脂等の硬化処理のために、波長315〜400 nm(UV−A領域)の紫外線の需要が高くなっている。このUVキュアリング用ランプとして、マイクロ波無電極ランプが好適である。
特開昭59-018561「単一磁電管を使用する電極なしランプ及びそれのための改良されたランプ被包袋」出願人:フュージョン・システムズ・コーポレーション(特許1679992) 特開昭59-087750「改善された遠UV線灯」出願人:フュージョン・システムズ・コーポレーション(特許1601604) 特表2008-512845「紫外放射光および/または真空紫外放射光を放射するための無電極ランプ」出願人:アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド(特許4974007) 特開2016-076452「マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置」出願人:岩崎電気株式会社
UV−A領域の紫外線を効果的に発生するマイクロ波無電極ランプでは、従来、発光物質として水銀が用いられていた。しかし、近年、水銀は環境負荷物質であるため、マイクロ波無電極ランプに対して無水銀化の要請がある。
マイクロ波無電極ランプを無水銀化することによって生じる問題点として、ランプ照度の低下、ランプ始動性の悪化等が挙げられている。
ランプ照度低下の問題に関して、本出願人は、発光管の照度を更に高くすることを検討した。発光管内の添加物として、鉄族元素単体又は鉄族元素のヨウ化物、亜鉛若しくはヨウ化亜鉛を封入することにより、UV−A領域において比較的高い照度が得られることを発見し、この知見に基づき完成した無電極放電ランプの発明に関して、次の特許出願を行っている。
特開2016-035880「マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置」
特開2016-076452:上記特許文献4
特開2016-173965「マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置」
特開2017-103192「マイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置」
特開2017-16966「マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置」
一般に、工場のUVキュアリング工程では、生産効率の向上のため、高いランプ照度が安定的に得られるマイクロ波無電極ランプの実現が望まれている。このような要望に応えるため、本出願人は、高照度のランプの研究・開発を継続している。
そこで、本発明は、発光物質として水銀を用いることなく、安定的にUV−A領域の発光が得られる新規なマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置を提供することを目的とする。
上記目的に鑑みて、本発明に係るマイクロ波エネルギーを受けて発光するマイクロ波無電極ランプは、一面では、希ガス及び発光物質を封入した管状の放電容器を備え、前記発光物質は、亜鉛又はヨウ化亜鉛と、ヨウ化コバルトと、ヨウ化鉄とを含み、前記亜鉛又はヨウ化亜鉛の封入密度は、1.3〜3.2 μmol/ccの範囲内にあり、前記ヨウ化コバルトとヨウ化鉄との合計封入密度は、3.5〜8.9 μmol/ccの範囲内にあり、前記放電容器は、肉厚tが1.0<t<4.0 mmの範囲内の石英ガラスから形成され、OH基含有濃度が5 ppm未満である。
更に、上記マイクロ波無電極ランプでは更に、ニッケルを含み、前記ニッケルの封入密度は、5.9〜14.9 μmol/ccの範囲内にあってよい。
更に、上記マイクロ波無電極ランプでは、前記放電容器は、OH基含有濃度が1 ppm未満であってよい。
更に、本発明に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置は、一面では、マイクロ波発振器と、前記マイクロ波発振器に付属するアンテナと、前記アンテナからのマイクロ波エネルギーを受けて発光する、上記マイクロ波無電極ランプのいずれかとを備えた、光照射装置。
本発明によれば、発光物質として水銀を用いることなく、安定的にUV−A領域の発光が得られる新規なマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置を提供することが出来る。
図1Aは、本実施形態に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の斜視図である。 図1Bは、図1Aの光照射装置を正面から見た正面図である。 図1Cは、光照射装置の筐体の前側内部の断面構成を示す。 図1Dは、無電極ランプの内部にプラズマが励起された状態を説明する図である。 図2は、封入密度比率とランプ照度との関係を示すグラフである。 図3Aは、肉厚t=1.0 mmの石英発光管の点灯20時間経過後の状態を撮った写真である。 図3Bは、肉厚t=2.0 mmの石英発光管の点灯3,000時間経過後の状態を撮った写真である。 図3Cは、肉厚t=4.0 mmの石英発光管の点灯2,815時間経過後の状態を撮った写真である。 図4Aは、合成石英製発光管と従来の溶融石英製発光管との比較実験結果である。 図4Bは、点灯200時間経過後の従来の溶融石英発光管を撮った写真である。 図4Cは、点灯200時間経過後及び3,535時間経過後の本実施例の合成石英製発光管を撮った写真である。
以下、本発明に係るマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面において、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して重複した説明を省略する。
[マイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置の全体構成]
図1A〜図1Dは、本実施形態に係るマイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置の一例を説明する図である。図1Aは、光照射装置10の斜視図である。図1Bは、図1Aの光照射装置10を正面から見た正面図である。相互の位置関係が明確になるように、光照射装置10のランプ軸線方向に沿ってX軸、光照射装置10からの発光方向に沿ってZ軸、X−Z面に垂直方向にY軸と規定する。
光照射装置10は、矩形の筐体4を有し、筐体4の後側内部にマイクロ波発振器3が設けられている。光照射装置10は、更に、マイクロ波発振器3に付属するアンテナ8と、アンテナ8からのマイクロ波エネルギーを受けて発光する無電極ランプ12と、無電極ランプ12の軸線の周囲に沿って配置された反射鏡14を有する。反射鏡14によって囲まれた空間は、マイクロ波空洞5を形成している。即ち、無電極ランプ12は、マイクロ波空洞5の内部に配置されている。
光照射装置10は、更に、無電極ランプ12を冷却する冷却空気供給機構を有する。冷却空気供給機構は、図示しない冷却空気源と、筐体4の上側に装着された冷却用送風ダクト6とを有する。
マイクロ波は、波長1 m〜100 μm、周波数300 MHz〜3 THzの電磁波を指し、電波の中で最も短い波長域である。マイクロ波発振器3として、マグネトロン、クライストロン、進行波管(TWT)、ジャイロトロン、ガンダイオードを用いた回路等がある。本実施形態では、マイクロ波発振器としてマグネトロンを使用する。マグネトロンは、発振用真空管の一種であり、強力なノンコヒーレントマイクロ波を発生する。身近なところでは、マグネトロンは、レーダーや電子レンジに使われている。本実施形態では、電子レンジ、好ましくは業務用電子レンジに使用されているマグネトロンを使用する。なお、電子レンジでは周波数2,450 MHzが使用されているが、これは技術的な制限によるものではなく、法的規制によるものである。
図1Cは、光照射装置10の筐体4の前側内部の断面構成を示す。反射鏡14は樋型楕円面の一部を形成する反射鏡であり、無電極ランプ12は直管型で、好ましくはその中心軸が楕円面反射鏡の焦点に位置するように配置されている。反射鏡14の筐体4の前面には光出射口2が形成され、光出射口は導電性メッシュ16によって覆われている。導電性メッシュ16は、マイクロ波に対しては不透過性であるが、マイクロ波空洞からの照射光18、即ち、可視光線及び紫外線に対しては透過性である。
筐体4の後側内部に設置されたマイクロ波発振器3によって発生したマイクロ波は、アンテナ8を介してマイクロ波空洞5に放射され、そこで定在波を形成する。この定在波によって、マイクロ波空洞5に配置された無電極ランプ12の内部にプラズマが励起される。プラズマから放射される可視光線及び/又は紫外線は、照射光18として、反射鏡14で反射して又は直接に、光出射口2に向かって放射され、導電性メッシュ16を通過して、被照射物(図示せず。)を照射する。
冷却空気源(図示せず。)からの冷却用空気17は、冷却用送風ダクト6(図1A)を経由し、反射鏡14の孔14Aを介してマイクロ波空洞5(図1C)に供給される。冷却用空気17は無電極ランプ12の外周面に衝突し、無電極ランプ12を冷却する。
図1Dは、無電極ランプ12の内部にプラズマが励起された状態を説明する図である。無電極ランプ12は、円筒状の放電容器12Aを有する直管型であり、その両端に突起部12Bを夫々有する。放電容器の両端の突起部12Bを筐体の両側の内壁の係合部4a(図1B)に係合させることによって、無電極ランプ12はマイクロ波空洞5の内部空間に保持される。
マイクロ波発振器3であるマグネトロンを発振させると、2,450 MHzのマイクロ波エネルギーがマイクロ波空洞5に供給され定在波が形成される。マイクロ波が、無電極ランプ12の放電容器12Aと結合されて、ランプ内部にプラズマが励起される。この結果、発光物質から可視光線及び/又は紫外線が放射される。
無電極ランプ12が点灯されると、放電容器12Aの内部に、破線で示すように、2つのプラズマ領域13が形成される。プラズマ領域13は、腹131とその両側の節132を有する定在波を形成する。この定在波の波長は、λ=伝播速度/周波数=2.99×108 (m/s)/2.45 GHz ≒ 123 mmとなる。従って、無電極ランプの放電容器12Aの軸線方向長さは、一波長の長さに略等しく形成されている。
定在波の腹131の部分は比較的温度が高く、比較的強い発光をする。ここは高温領域(ホットゾーン)12a、12bと呼ばれる。定在波の節132の部分は比較的温度が低く、比較的弱い発光をする。ここは低温領域(コールドゾーン)12c、12d、12eと呼ばれる。
本発明者等は、このような無電極ランプ12に関して、発光物質として水銀を用いることなく、安定的にUV−A領域の発光が得られる新規なランプを提供することを目的として、無水銀化によって生じる問題点であるランプ照度の低下、ランプ始動性の悪化等に対して、次に説明する対策を総合的に行った。
[照度向上に伴う添加物の適量化]
本発明者等は、ランプ照度の低下の問題に対し、ランプ照度を高くすることを計画した。一般に、発光管の内壁負荷(=ランプ入力電力÷発光管の内表面積)を高くするとランプ照度は向上する。今回、ランプ入力電力1.5 kWを維持したまま、発光管を従来の内径φ9 mmから内径φ6 mmに変更することにより内壁負荷を高くすることを計画した。この発光管内径の変更に伴い、発光管内の添加物の適量化を検討した。即ち、ランプ照度に悪影響を与えない範囲で添加物を減量することにより、石英製発光管と添加物との反応による発光管の劣化の減少を期待した。
実験に使用したサンプルについて説明する。
比較となる従来品の発光管:
内径:φ9mm、 内壁負荷:約38W/cm2
発光管の素材:溶融石英、 OH基:<5 ppm
本実施例に係る発光管:
内径:φ6mm、 内壁負荷:約60W/cm2
発光管の素材は、二種類用意した。
サンプル(A):溶融石英、 OH基:<5 ppm
サンプル(B):合成石英、 OH基:<1 ppm
上記発光管の添加物密度:
亜鉛又はヨウ化亜鉛の封入密度は、1.3〜3.2 μmol/cc
ヨウ化コバルトとヨウ化鉄との合計封入密度は、3.5〜8.9 μmol/cc
表1に関して、次の事項を注意されたい。
(1) 添加物密度の「CoI2+FeI2」は、左欄の「CoI2」と「FeI2」との合計値であり、これらと別個に封入したものではない。
(2)添加物密度の()内の数値は計算値であり、それ以外は実測値である。Ni等の添加物はペレットで提供されるため、計算値通りに発光管内に封入するのは困難であり、実測値と計算値とを併記している。
表1で使用された発光管サンプルに関して説明する。ここで、封入物密度比率は、第1実施例では、封入密度100 %の状態から、封入物単位で密度を20 %減量したものを封入物密度80 %としている。封入物はペレットで提供されるため、計算値通りに発光管内に封入するのは困難であることを理解願いたい。
従来品と実施例の相違は、ランプ入力電力1.5 kWを維持したまま、発光管を細くして(内径:φ9 mm→φ6 mm)、内壁負荷を高くした(38 W/cm2→60 W/cm2)点にある。第1実施例は、添加物にニッケルNiを含み、第2実施例はニッケルNiを含んでいない。第1実施例のサンプル(A)は、溶融石英製発光管でOH基 <5 ppmであり、サンプル(B)は、合成石英製発光管でOH基 <1 ppmである。第2実施例のサンプルは、合成石英製発光管でOH基 <1 ppmである。
図2は、第1実施例のサンプル(A)(図中■)、サンプル(B)(図中◆)、及び第2実施例のサンプル(▲)に関する、封入物密度比率とランプ照度の関係を示すグラフである。グラフの横軸は封入物密度比率[%]であり、縦軸はUV−A領域におけるピーク照度 [mW/cm2]である。グラフ中には示されていないが、表1に記載されている従来品のピーク照度は、1,577 mW/cm2であった。
先ず、従来品(ピーク照度:1,577 mW/cm2)と比較して、第1実施例(Ni有り:図中■及び◆)及び第2実施例(Ni無し:図中、▲)の全てのサンプルのピーク照度が、従来品より高い値を示していた。即ち、従来品と比較して、発光管を細くして内壁負荷を高くしたサンプルは、ピーク照度が高かった。従って、従来品と比較して、添加物を封入物密度比率100〜40 %の範囲で減量することが出来る。
更に、第1実施例(■,◆)と第2実施例(▲)とを比較すると、第1実施例の全てのサンプルの照度が高く、ニッケルNiを封入することによりピーク照度が増加することが判明した。
更に、第1実施例の溶融石英製発光管サンプル(A)(■)及び合成石英製発光管サンプル(B)(◆)に関しては、ピーク照度は、いずれも夫々の封入物密度比100 %と比較して、溶融石英製発光管の封入物密度比80%の照度を除き、高い値となっている。封入物密度比80%の照度の場合も、封入物密度比100 %と比較して、約3,150から約3,050 mW/cm2へと、約3%程度減少したに過ぎない。一般に、照度バラツキを考慮すると5%程度と言われている。従って、溶融石英製発光管及び合成石英製発光管において、封入物密度比率100〜40 %の範囲が適正範囲であることが判明した。
更に、第1実施例の溶融石英製発光管サンプル(A)(■)と合成石英製発光管サンプル(B)(◆)とを比較すると、合成石英製発光管の方が溶融石英製発光管よりピーク照度が高いことが判明した。(封入物密度比100%では、合成石英製発光管の方が溶融石英製発光管より僅かに低いが、ペレット状封入物に起因したものであり、ほぼ同じ照度と解される。)
従って、表1及び図2の結果から、次のことが判明した。
(1) 従来品と比較して、発光管を細くして内壁負荷を高くしたサンプル(38 W/cm2→60 W/cm2)は、ピーク照度が高かった。
(2) ニッケルNiを封入することによりピーク照度が増加することが判明した。
(3) 溶融石英製発光管及び合成石英製発光管において、封入物密度比率100〜40 %の範囲が適正範囲であることが判明した。
(4) 合成石英製発光管の方が溶融石英製発光管よりピーク照度が高いことが判明した。
[始動性改善の検証]
(発光管の肉厚)
ランプ始動性に関して、マイクロ波エネルギーの発光管内部への伝達特性に関し、発光管の肉厚の影響が懸念された。
当初、発光管の温度上昇によって生じる熱応力に対して、発光管の肉厚を厚くして機械的強度を強化して熱変形を防止することを計画した。しかし、発光管の肉厚を厚くし過ぎると、マイクロ波エネルギーの発光管内部への伝達が阻害され、ランプの始動性が悪化するおそれがあった。
一方、ランプ点灯時に一部の発光管では、比較的温度が高く、比較的強い発光をする高温領域(ホットゾーン)12a、12b(図1D参照)部分において、熱応力により発光管に変形が生じることがあった。即ち、発光管の肉厚が薄過ぎると、高温領域(ホットゾーン)部分において、発光管が膨張して熱変形が生じるおそれがあった。
そこで、本発明者等は、発光管の肉厚の影響を実験により検証し、最適な発光管の肉厚を決定することとした。具体的には、発光管の肉厚t mmを変化させて、ランプ始動性の良否の確認及び発光管の変形の有無の確認を行って、最適な発光管の肉厚tの範囲を求めた。
更に、図3Aは、肉厚t=1.0 mmの石英発光管の点灯20時間経過後の状態を撮った写真である。図3Bは、肉厚t=2.0 mmの石英発光管の点灯3,000時間経過後の状態を撮った写真である。図3Cは、肉厚t=4.0 mmの石英発光管の点灯2,815時間経過後の状態を撮った写真である。発光管の変形は、図3Aに示す肉厚t=1.0 mmの発光管のみ発生していた。
表2に示す結果により、肉厚がt=4.0 mmになると、始動性が悪化することが判明した。同様に、表2及び図3Aに示す結果より、肉厚がt=1.0 mmになると、発光管の膨張・変形が発生することが判明した。
なお、本出願人が既に出願した上記5件の出願には、肉厚1mm及び1〜2 mmの発光管が開示されている。本出願では、先に[照度向上に伴う添加物の適量化]の欄で記載したように、発光管を細くすることで内壁負荷を高くし、更に、本出願は既出願に比べ長時間点灯を試みたことで、その結果、内壁負荷が約60 W/cm2、肉厚1 mmの発光管は点灯後20h後、膨張・変形が発生することが新たに分かった。
従って、始動性不良及び発光管変形が生じた肉厚を除いた範囲として、発光管の肉厚tを1.0<t<4.0 mmの範囲内と規定した。即ち、無水銀化において、1.0<t<4.0 mmまでの範囲内で肉厚を厚くして、機械的強度を強化し、熱変形の発生を防止し得ることが判明した。
(発光管素材のOH基濃度)
次に、発光管の素材のOH基濃度がランプ始動性に与える影響に関して調べた。
OH基濃度に関しては、発光管の素材として、溶融石英と合成石英とを比較検討した。従来、発光管材料として、比較的安価である溶融石英を用いていた。ここで、OH基濃度がランプの始動性に影響を与える可能性を考慮して、一層低いOH基濃度の発光管が得られる合成石英を選定し、従来の溶融石英製発光管との比較実験を行った。なお、OH基濃度の測定は、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて行っている。
表3に示す結果より、合成石英製発光管では、OH基濃度が <1 [ppm]では始動性が良く、溶融石英製発光管では <5 [ppm]の場合であっても高い確率で始動性が良いことが判明した。
[発光管の黒化対策の検証]
ランプ照度の低下の大きな原因の1つが発光管の黒化現象の発生である。そこで、本発明者等は、発光管の黒化対策として、最適な発光管の素材及びそのOH基濃度の影響を検証し、最適な発光管の素材及びOH基濃度の決定を行った。
実験に使用したサンプルの仕様は次の通りである。
(従来品)
素材:溶融石英
OH基:<5 [ppm]
内径:6.5 mm
肉厚:肉厚:2 mm
(本実施例)
素材:合成石英
OH基:<1 [ppm]
内径:6.0 mm
肉厚:2 mm
発光管に黒化現象が発生するとランプ照度が低下するため、黒化現象発生の程度は、ランプ点灯経過時間によるランプ照度の低下を測定することにより評価した。図4Aは、合成石英製発光管(図中、●)と従来の溶融石英製発光管(図中、▲)との比較実験結果である。横軸は、ランプ点灯時間を示し、縦軸は、UV−Aピーク照度維持率を示している。UV−A領域におけるピーク照度維持率は、各ランプの照度を、初期照度を100%として正規化したデータである。
従来の溶融石英発光管では、約100時間経過時の照度は初期照度の80%に低下し、約200時間経過時で70%に低下している。図4Bは、200時間経過後の従来の溶融石英発光管を撮った写真である。発光管の高温領域(ホットゾーン)12a,12b(図1D参照)において黒化現象の発生が確認出来た。
これに対して、本実施形態に係る合成石英製発光管では、約1,000時間経過時で初期照度の90%を維持し、約3,500時間経過時でも初期照度の80%以上を維持していた。図4Cは、200時間経過後及び3,535時間経過後の本実施例の合成石英製発光管を撮った写真である。
図4A〜図4Cに示す結果より、従来の溶融石英発光管では、早期に(約100〜200時間経過時に)黒化現象が現れ、照度維持率が急速に低下することが判明した。一方、本実施形態に係る合成石英製発光管では、約1,000時間経過時で90%、約3,500時間経過時で80%以上を維持しており、黒化現象の発生の程度は、相対的に非常に少ないことが判明した。有害な黒化現象の発生の判定基準を、初期照度から20%低下とすると、従来の溶融石英発光管では、約100時間経過時であり、本実施形態に係る合成石英製発光管では約3,500時間以上経過時となる。
以上の結果より、発光管の素材を合成石英製とし、OH基濃度が<1 [ppm]とする、ことを規定した。
[本実施形態の特徴・利点・効果]
(1)発光管の機械的強度を強化し、熱変形の発生を防止し、更に始動性を悪化させない観点より、1.0<t<4.0 mmの範囲内で肉厚を厚くすることが好ましい。
(2)始動性の観点より、合成石英製発光管でOH基濃度が <1 [ppm]の範囲が好ましく、溶融石英製発光管では <5 [ppm] の範囲が好ましい。
(3)更に、発光管の黒化対策の観点より、発光管の素材を合成石英製であることが好ましい。
(4) ピーク照度の観点より、従来品と比較して、発光管を細くして内壁負荷を高くした発光管とすることが好ましい。
(5) ピーク照度の観点より、ニッケルNiを封入することが好ましい。
(6) 溶融石英製発光管及び合成石英製発光管において、封入物密度比率100〜40 %の範囲が適正範囲である。
(7) ピーク照度の観点より、合成石英製発光管の方が溶融石英製発光管より好ましい。
[その他]
以上、本発明に係るマイクロ波無電極ランプ及びこれを使用した光照射装置の実施形態に関して説明したが、本発明の範囲はこれらの実施形態によって制限されるものではない。当業者であれば容易になし得る実施形態に対する追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
2:光出射口、 3:マイクロ波発振器、 4:筐体、 4a: 5:マイクロ波空洞、 6:冷却用送風ダクト、 8:アンテナ、 10:光照射装置、 12:無電極ランプ、 12A:放電容器、 12B:突起部、 13:プラズマ領域、 14:反射鏡、 14A:孔、 16:導電性メッシュ、 17:冷却用空気、 18:照射光、 131:腹、 132:節、

Claims (4)

  1. マイクロ波エネルギーを受けて発光するマイクロ波無電極ランプにおいて、
    希ガス及び発光物質を封入した管状の放電容器を備え、
    前記発光物質は、亜鉛又はヨウ化亜鉛と、ヨウ化コバルトと、ヨウ化鉄とを含み、
    前記亜鉛又はヨウ化亜鉛の封入密度は、1.3〜3.2 μmol/ccの範囲内にあり、
    前記ヨウ化コバルトとヨウ化鉄との合計封入密度は、3.5〜8.9 μmol/ccの範囲内にあり、
    前記放電容器は、肉厚tが1.0<t<4.0 mmの範囲内の石英ガラスから形成され、OH基含有濃度が5 ppm未満である、マイクロ波無電極ランプ。
  2. 請求項1に記載の無水銀マイクロ波無電極ランプにおいて、更に、ニッケルを含み、
    前記ニッケルの封入密度は、5.9〜14.9 μmol/ccの範囲内にある、無水銀マイクロ波無電極ランプ。
  3. 請求項1又は2に記載のマイクロ波無電極ランプにおいて、
    前記放電容器は、OH基含有濃度が1 ppm未満である、マイクロ波無電極ランプ。
  4. マイクロ波発振器と、
    前記マイクロ波発振器に付属するアンテナと、
    前記アンテナからのマイクロ波エネルギーを受けて発光する請求項1〜2のいずれか一項に記載されたマイクロ波無電極ランプとを備えた、マイクロ波無電極ランプを使用した光照射装置。
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