JP6251981B2 - 太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム - Google Patents

太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、特に太陽電池バックシートとして好適に使用できるポリエステルフィルムに関する。
近年、半永久的で無公害の次世代エネルギー源として太陽光発電が注目を浴びており、太陽電池は急速に普及しつつある。太陽電池は、発電素子をエチレン−酢酸ビニル共重合体(以降EVAと称することがある)などの透明な封止材により封止したものに、ガラスなどの透明基板と、太陽電池バックシートと呼ばれる樹脂シートを貼り合わせて構成される。太陽光は透明基板を通じて太陽電池内に導入される。太陽電池内に導入された太陽光は、発電素子にて、吸収され、吸収された光エネルギーは、電気エネルギーに変換される。変換された電気エネルギーは発電素子に接続したリード線にて取り出されて、各種電気機器に使用される。ここで、太陽電池バックシートは、太陽電池の発電素子を、雨などの外的影響から保護する目的で用いられる。
太陽電池バックシートには、安価で機械特性に優れるポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略することがある。)や、ポリエチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレートなど)樹脂が使用されてきた。太陽電池バックシートは、長期にわたり温度や湿気面で過酷な環境下で使用されることが多い。汎用的なポリエステルでは加水分解により分子量が低下し、脆化が進行して機械物性などが低下してしまうため、その改善、すなわち耐湿熱性の向上が求められている。そのため、ポリエステルの加水分解を抑制すべく様々な検討がなされてきた。例えば、エポキシ系化合物(特許文献1、特許文献2)やポリカルボジイミド(特許文献3、4、5)などの耐加水分解剤を添加して、ポリエステルの耐湿熱性を向上させる技術が検討されている。
また、太陽電池バックシートには、耐湿熱性以外の特性(例えば滑り性、耐紫外線性、反射性など)も有していることが望まれている。そのためにポリエステルに他の成分(例えば無機粒子など)を混合し、より高機能化させるといった検討が行われている(特許文献6、7、8、9)。また、他の成分(例えば無機粒子)を混合したポリエステルをフィルム化するとフィルム内部で凝集破壊が起こりやすくなるが、延伸倍率をある範囲にすることによって凝集破壊を抑制させる検討が行われている(特許文献10)。
特開平9−227767号公報 特開2007−302878号公報 特表平11−506487号公報 特開平9−7423号公報 特開2003−41030号公報 特開2003−155403号公報 特開平2−163155号公報 特開平2−191638号公報 特開2006−270025号公報 特許4881464号公報
しかしながら、ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートに使用する場合には、上述した問題とは別の問題を有している。
太陽電池は、ロット管理のために太陽電池の背面の太陽電池バックシートの表面にラベルを貼り付けたり、太陽電池の裏面にあるケーブルを太陽電池の背面の太陽電池バックシートの表面にテープで貼り付けて固定することがある。この場合に、ラベルやテープを剥がす際には、過大な力が一瞬のうちに太陽電池バックシートの表層にかかる。このとき、ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートに使用する場合、太陽電池基材とポリエステルフィルムの接着力が低い場合は、ポリエステルフィルム全体が太陽電池基材から剥がれてしまい、太陽電池基材を保護する効果を失うという問題が発生する。また、ポリエステルフィルムが、積層フィルムである場合は、機能層が剥がれてしまい、必要な特性(例えば耐紫外線性)を失うといった問題が発生する。
そこで、本発明の課題は、太陽電池バックシートとして好適に使用できるポリエステルフィルムとして、耐湿熱性、耐紫外線性に加えて、ポリエステルフィルムの表面にラベルやテープを貼り付けた後、ラベルやテープを剥離した場合でも、上記の特性を保持できるポリエステルフィルムを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、(1)〜(3)の要件を満たすポリエステルを主成分とした層(以下かかる層をポリエステルA層と称する)を少なくとも一方の最外層に有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)がポリエステルA層のへき開強度よりも大きいことを特徴とする太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムである。
(1)ポリエステルA層のへき開強度(90°)が4.3N/15mm以下であること
(2)ポリエステルA層の厚みが5μm以上であること
(3)ポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープにポリエステルA層が付着し、付着するポリエステルA層の厚みが4μm以下であること
本発明によれば、ポリエステルフィルムの表面にラベルやテープを貼り付けた後、ラベルやテープを剥離した場合でも、耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた構成の一例を模式的に示す断面図である。
本発明のポリエステルフィルムは、(1)〜(3)の要件を満たすポリエステルA層を少なくとも一方の最外層に有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)がポリエステルA層のへき開強度よりも大きいことを特徴とする太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムである。
(1)ポリエステルA層のへき開強度(90°)が4.3N/15mm以下であること
(2)ポリエステルA層の厚みが5μm以上であること
(3)ポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープにポリエステルA層が付着し、付着するポリエステルA層の厚みが4μm以下であること。
本発明にて用いられるポリエステルとは、ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる原料として得られるものである。ここで主たる原料とは、ポリエステルの全原料のうち90質量%以上がジカルボン酸成分とジオール成分であることをあらわす。本発明にて用いられるポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒドロキシカルボン酸成分や、カルボン酸基と水酸基の合計が3以上である多官能成分を原料として用いても良い。
本発明に用いられるジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明に用いられるジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンセンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類等のジオール、上述のジオールが複数個連なったものなどが例としてあげられるがこれらに限定されない。
また、本発明のポリエステルは、機械特性、結晶性、耐湿熱性の観点からテレフタル酸とエチレングリコールを主たる構成成分とするポリエステルであることが好ましい。テレフタル酸とエチレングリコールを主たる構成成分とするポリエステルとは、全ジカルボン酸成分中におけるテレフタル酸成分の割合が90mol%以上100mol%以下、かつ全ジオール成分中のエチレングリコール成分の割合が90mol%以上100mol%以下のポリエステルをあらわす。テレフタル酸成分の割合が90mol%に満たない、またはエチレングリコール成分の割合が90mol%に満たないと、機械特性が低下したり、結晶性が低下し耐湿熱性が低下する場合がある。本発明のポリエステルは、全ジカルボン酸成分中におけるテレフタル酸成分の割合が95mol%以上100mol%以下であることが好ましく、また、全ジオール成分中のエチレングリコール成分の割合が95mol%以上100mol%以下であることが好ましい。
また、ポリエステルには、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子などが添加されていてもよい。特に、無機粒子や有機粒子は、フィルム表面に易滑性を与え、フィルムの取り扱い性を高めるために有効である。
本発明にて用いられるポリエステルは、公知の製造方法に従って製造することができる。例えば、酸成分としてのジアルキルエステルとジオールとの間でエステル交換による化学反応を生じさせた後、この化学反応の生成物を減圧下で加熱して、余剰のジオールを除去しつつ重縮合させることによってポリエステルを製造することができる。また、酸成分としてジカルボン酸を用いて、公知の直接重合法によりポリエステルを製造することもできる。反応触媒としては公知のチタン化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物等を用いることができる。こうして得られたポリエステルに固相重合を施すことにより、さらに重合度を上げることができ、かつカルボキシル末端基量を低減させることができる。
本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層が少なくとも一方の最外層に有する積層ポリエステルフィルムであり、ポリエステルA層が太陽電池と反対側の最外層に位置するように用いられる。太陽電池バックシートの太陽電池と反対側の最外層は、雨、温度、太陽光などの影響を最も受けるため、ポリエステルA層には耐湿熱性と耐紫外線性を両立して有していることが重要である。ポリエステルA層の耐湿熱性、耐紫外線性が不十分な場合、光や熱劣化によりポリエステルA層は表面より削れていき、A層の厚みが経時で減っていく場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の厚みが5μm以上必要である。ポリエステルA層の厚みが5μm未満であると、テープやラベルなどを剥離した際に、太陽電池基材を保護するという太陽電池バックシートとしての機能を喪失してしまう。また、ポリエステルA層の厚みが5μm未満であると、長期間にわたって太陽電池バックシートとしての機能を維持することができない。より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは30μm以上、最も好ましくは50μm以上400μm以下であると好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、接着剤を含有しないことが好ましい。接着剤を有すると湿熱条件下での密着性が低下しやすい。そのため、本発明のポリエステルフィルムは共押出法にて積層して製造することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層のへき開強度(90°)が4.3N/15mm以下であることが必要である。より好ましくは0.1N/15mm以上3.5N/15mm以下、さらに好ましくは0.1N/15mm以上2.5N/15mm以下である。ポリエステルA層のへき開強度(90°)が4.3N/15mmを超えると、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた際に、ポリエステルフィルムの表面にテープやラベルを貼り付けた後テープやラベルを剥離した時に、ポリエステルフィルム全体が太陽電池基材から剥がれてしまったり、ポリエステルA層とは異なる層(B層など)において剥がれが生じたりする問題が発生する。
ポリエステルA層のへき開強度を上記の範囲にする方法としては、特に限られるものではないが、ポリエステルA層を構成するポリエステルの粘度を調整する方法、ポリエステルA層の配向度を調整する方法、ポリエステルA層を構成するポリエステルに無機粒子を添加する方法などが用いられる。ポリエステルA層を構成するポリエステルに無機粒子を添加する方法は、同時にポリエステルA層に種々の機能を付与できるため好ましく用いられる。本発明に用いられる無機粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、タルクおよびカオリン、その他カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系化合物等が挙げられる。
また、本発明のポリエステルA層を構成するポリエステルは、ポリエステルA層を構成するポリエステルに対して無機粒子を5〜30質量%含有することが耐紫外線性の点で好ましい。ポリエステルA層は太陽電池の裏面にある太陽電池バックシートの最外層に該当するため、耐紫外線性があることが好ましい。無機粒子の含有量が5質量%未満の場合には耐紫外線効果が十分に発揮されず、長期使用時において機械的強度が低下することがある。なお、無機粒子の含有量が30質量%より多い場合、フィルムの製膜性が低下したり、得られたフィルムの耐湿熱性が低下したりする場合がある。ポリエステルA層を構成するポリエステルに含有する無機粒子は、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物であると、ポリエステルA層に耐紫外線性を付与できるため好ましい。より好ましくは耐紫外線性に優れたルチル型酸化チタンであり、ルチル型酸化チタンと粒径50nm以上10μm以下の疎水性のシリカ粒子の2種類の無機粒子を組み合せて用いることが特に好ましい。このとき、疎水性シリカ粒子は、ポリエステルA層を構成するポリエステルに対して、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。また耐紫外線性をさらに向上させるために、本発明のポリエステルA層を構成するポリエステルは、紫外線吸収剤を含有する事が好ましい。
本発明で用いられる紫外線吸収剤は、ポリエステルに相溶な有機系紫外線吸収剤が好ましい。ポリエステルに相溶な有機系紫外線吸収剤の例としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤などが挙げられる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、トリアジン系の2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、ヒンダードアミン系のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、その他として、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、および2,4−ジ・t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ・t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
ポリエステルに相溶な有機系紫外線吸収剤の含有量は、ポリエステルA層を構成するポリエステルに対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.25質量%以上8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。ポリエステルに相溶な有機系紫外線吸収剤の含有量が0.5質量%未満の場合には耐紫外線性が不十分であり、長期使用時においてポリエステルが劣化し、機械的強度が低下することがある。また、10質量%より多い場合、ポリエステルの着色が大きくなることがある
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法においてポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープにポリエステルA層が付着し、付着するポリエステルA層の厚みが4μm以下であることが必要である。より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下、最も好ましくは1μm以下である。テープ剥離試験において、ポリエステルA層がテープに付着しない場合は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた際に、ポリエステルフィルムの表面にテープやラベルを貼り付けた後テープやラベルを剥離した時に、ポリエステルフィルム全体が太陽電池基材から剥がれてしまったり、ポリエステルA層とは異なる層において剥がれが生じたりする問題が発生する。テープに付着するA層の厚みが4μmを超える場合は、テープ剥離後のポリエステルフィルムにおいて、耐紫外線性に劣るため好ましくない。テープ剥離試験した際にテープにポリエステル層が付着しているかは、テープ剥離試験後のテープの粘着性を確認し、粘着性が無くなっている場合はテープにポリエステル層が付着しているものと判断する。テープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステル層の厚みは、テープに付着するポリエステル層の厚みが0.1μm以上の場合は、後述する測定方法により求めることができる。
テープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みを上記の範囲にするためには、ポリエステルA層を製膜する際にA層表面付近のポリマーに熱負荷を与える方法や、粘度の異なる2種類以上のポリエステルを特定の条件で混合する方法、ポリエステルA層を製膜する際に高面倍率で延伸する方法、またはそれらを組み合わせる方法などがある。
ポリエステルA層表面付近のポリマーに熱負荷を与える方法としては、フィルム製造ラインでA層表層付近に該当する配管および口金の一部分を局所的に高温にして熱負荷を与える方法などがあげられる。たとえばポリエステルA層の製膜工程において、押出機入り口から口金までの間に、10秒〜10分間、溶融するポリマーに接触する配管あるいは装置の温度を300〜400℃に、局所的に高温にすることなどがあげられる。
粘度の異なる2種類以上のポリエステルを特定の条件で混合した後、特定の条件で製膜する方法において、粘度の異なる2種類以上のポリエステルとしては、最も粘度の高いポリエステルと最も粘度の低いポリエステルの粘度の差は、0.1以上1.2以下であることが好ましく、0.2以上1.0以下であることがより好ましい。2種類以上のポリエステルを混合する条件としては、単軸あるいは2軸押出機を使用し、押出機入り口から口金までの滞留時間10秒〜20分の混練することが好ましい。粘度差のある2種類以上のポリエステルを用い、上記の条件で混合することで、粘度差がある2種類以上のポリエステルが完全に均一にならない状態で存在させることができるため、テープ剥離試験で付着するポリエステルA層の厚みを薄くすることができる。また、ポリエステルA層を製膜する際に高面倍率で延伸する方法としては、延伸面倍率として10〜20倍とすることが好ましい。面倍率を高くすることでポリエステルA層は面配向度が高くなるため、テープ剥離試験で付着するポリエステルA層の厚みを均一に、薄くすることができる。上記条件の組合せとしては、例えば、固有粘度(IV)が0.7〜0.8のポリエステルと固有粘度(IV)が1.0〜2.0のポリエステルを、重量比50:50〜95:5の割合で、単軸あるいは2軸押出機を使用し、押出機入り口〜口金までの滞留時間1秒〜20分の混練した後溶融製膜し、面倍率として10〜20倍と高倍延伸することで、テープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みを上記の範囲にしたポリエステルフィルムを得ることができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法においてポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みむら(A層の厚みの最大値−A層の厚みの最小値)が0〜2μmであることが好ましい。ポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みむらを上記の範囲にするためには、ポリエステルA層を製膜する際にA層表面付近のポリマーに熱負荷を与える方法や、粘度の異なる2種類以上のポリエステルを特定の条件で混合する方法、ポリエステルA層を製膜する際に高面倍率で延伸する方法、またはそれらを組み合せる方法などがある。中でも、ポリエステルA層を製膜する際に高面倍率で延伸する方法において、面倍率を11〜20倍とすることが好ましく、13〜20倍の高倍延伸で面配向をさせることがさらに好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、上記のポリエステルA層をテープ剥離試験した際のテープ剥離強度が0.9N/mm以下であることが好ましい。より好ましくは0.8N/mm以下、さらに好ましくは0.7N/mm以下、最も好ましくは0.6N/mm以下である。上記のテープ剥離強度は、高速(30m/分)でテープ剥離試験したときの剥離強度を表している。30m/分という速度は、手でテープを一気に剥がす速度に近く、太陽電池バックシートに貼られたテープやラベルを剥がす実際の作業に近い評価方法であり、一瞬のうちに大きな力が掛かることが特徴である。テープ剥離強度を上記の範囲にした場合には、ポリエステルフィルムの表面にテープやラベルを貼り付けた後テープやラベルを剥離した時に、ポリエステルフィルム全体が太陽電池基材から剥がれてしまったり、ポリエステルA層とは異なる層において剥がれが生じる問題の発生を抑制する。テープ剥離強度を上記の範囲とする達成手段としては、A層を製膜する際にA層表面付近のポリマーに熱負荷を与える方法や、粘度の異なる2種類以上のポリエステルを特定の条件で混合する方法、ポリエステルA層を製膜する際に高面倍率で延伸する方法、またはそれらを組み合せる方法などがある。中でも、粘度の異なる2種類以上のポリエステルを特定の条件で混合する方法と面倍率を16〜20倍にすることを同時に行うことが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)がポリエステルA層のへき開強度よりも大きいことが必要である。ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)は、好ましくは4.5N/15mm以上であり、さらに好ましくは6N/15mm以上、特に好ましくは8N/15mm以上、最も好ましくは10N/15mm以上であることが好ましい。ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)が上記の範囲であると、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた際に、ポリエステルフィルムの表面にテープやラベルを貼り付けた後テープやラベルを剥離した時に、ポリエステルA層以外の層においてへき開が生じることを抑制することができる。ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)を上記の範囲とするためには、ポリエステルA層以外の層を構成するポリエステルに含有する無機粒子を、ポリエステルA層以外の層を構成するポリエステルに対して10質量%以下にすることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、上述したようにポリエステルA層は太陽電池と反対側の最外層に位置するように用いるため、ポリエステルA層と反対側の最外層(ポリエステルB層)は、太陽電池の部材と接触することになるため、ポリエステルA層と反対側の最外層(ポリエステルB層)は、他の素材との接着性がある方が好ましい。ポリエステルA層と反対側の最外層(ポリエステルB層)は、他の素材(例えば太陽電池材料)との接着性を上げるために、無機粒子を微量加えて、フィルム表面に凹凸を有することが好ましい。ポリエステルB層の3次元表面粗さRaが30nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは80nm以上、最も好ましくは100nm以上である。ポリエステルB層を構成するポリエステルに含有する無機粒子の粒径や種類を調整したり、粒径の異なる複数の無機粒子を使用することにより、上記範囲にすることができる。3次元粗さSRaは、JIS−B−0601に従って、3次元中心線平均粗さ(SRa)は、光触針式3次元粗さ計ET−30HK(小坂研究所株式会社製)を用いて、測定長0.5mm、測定本数80本、カットオフ0.25mm、送りピッチ5μm、触針荷重10mg、スピード100μm/秒で測定した。なお、3回測定を行い、その平均値を用いる。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム中に空洞を含まないことが好ましい。ポリエステルフィルム中に空洞を含むと耐湿熱性が劣る場合があるため、好ましくない。ここでいう空洞とはポリエステル層中に空気の穴が多数あることを意味している。よって、本発明のポリエステルフィルムは、みかけ比重が1.2以上であることが好ましい。より好ましくは1.3以上1.6以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、温度85℃湿度85%RHにおける3000時間エージング前後の破断伸度保持率が20%以上であることが好ましい。これを達成するためには、ポリエステルフィルム全体のカルボキシル末端基量は20当量/ポリエステル10g以下であることが好ましく、より好ましくは1当量/ポリエステル10g以上16当量/ポリエステル10g以下、更に好ましくは、5当量/ポリエステル10g以上10当量/ポリエステル10g以下である。なお、カルボキシル末端基量が1当量/ポリエステル10g未満である場合には、実質上、重合が出来ない。従って、1当量/ポリエステル10gがカルボキシル末端基量の実質的な下限となる。カルボキシル末端基量が20当量/ポリエステル10gを越えると耐湿熱性が低下し、フィルムの劣化が早くなる恐れがある。すなわち、使用期間が長期間に及ぶとフィルム自体が割れたり層間がへき開したりする恐れがある。カルボキシル末端基量を20当量/ポリエステル10g以下とする方法としては、ポリエステルの重合時に固相重合法などを適用し、ポリエステルを高分子量化することによってポリエステル中のカルボキシル末端基量を低減する方法があるが、この方法だけでなく、カルボキシル基末端封鎖剤を含有させる方法によって達成することも出来る。固相重合は、乾燥機中200℃〜250℃の温度で1torr以下の減圧下または窒素気流下で行うことができる。カルボキシル末端基量は、フィルム0.5gをo−クレゾールに溶解し、水酸化カリウムを用いて電位差滴定してカルボキシル末端基量を測定できる。
本発明のポリエステルフィルムの総厚みは10μm以上400μm以下であるのが好ましく、さらに好ましくは35μm以上300μm以下、最も好ましくは50μm以上250μm以下である。ポリエステルフィルムの厚みが10μm未満の場合、フィルムの平坦性が悪くなることがある。また、400μmより厚い場合、例えば、太陽電池バックシートとして用いた場合に、太陽電池セルの全体厚みが厚くなり過ぎる場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の層厚みをT1(μm)、積層ポリエステルフィルム全体の厚みをTt(μm)としたとき、両者の比Tt/T1が3以上50以下であることが好ましい。より好ましくは5以上50以下であり、さらに好ましくは8以上50以下である。ポリエステルA層の厚みT1と積層ポリエステルフィルム全体の厚みをTtの比Tt/T1が3に満たないと、耐湿熱性が低下することがある。また、Tt/T1が50を越えると耐紫外線性が低下する傾向にある。また本発明の積層ポリエステルフィルムを非対称の構成とした際にカールが大きくなりすぎる場合がある。本発明のポリエステルフィルムにおいて、Tt/T1を3以上50以下とすることで、耐湿熱性の低下なく、耐紫外線性を最大限発現させることができる。さらには非対称の構成とした場合においても、耐カール性に優れたフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは二軸配向されていることが好ましい。二軸配向によって配向結晶化部を効果的に形成できるので耐湿熱性を更に高めることができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によって、スガ試験機スーパーキセノンウェザーメーターSX75を使用し、温度65℃、相対湿度50%RHの雰囲気下、強度180W/mのキセノンランプランプで2000時間照射処理した後の色調変化Δbが5以下であることが好ましい。より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。なお、本発明のポリエステルフィルムにキセノンランプを照射する場合、本発明のポリエステルフィルムのポリエステルA層側に暴露されるようにする。また、測定にあたっては、試料を測定片の形状に切り出した後、処理を実施し、処理後のサンプルを測定した値である。このような範囲とすることでフィルムの耐紫外線性を良好なものとできる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、他のフィルムと積層する方法としては、例えば、積層する各層の材料が熱可塑性樹脂を主たる構成材料とする場合は、二つの異なる材料をそれぞれ二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、各フィルムをそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)その他、溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)は接着剤が湿度、熱、紫外線により劣化するため好ましくない。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法を例として挙げて説明する。
本発明に用いられるポリエステルを得る方法としては、常法による重合方法が採用できる。例えば、テレフタル酸等のジカルボン酸成分またはその誘導体と、エチレングリコール等のジオール成分とを周知の方法でエステル交換反応させることによって得ることができる。ここで、ジカルボン酸成分や、その他カルボン酸基を有する共重合成分については、カルボキシル基をエステル誘導体化したものを用いると、カルボキシル基末端基量を低減でき、耐湿熱性をより高められるという点でより好ましい。
反応触媒としては、従来公知のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることが出来る。ポリエステルの重縮合が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物を例に取ると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。重合触媒としてアンチモン化合物、および/またはゲルマニウム化合物を用いる場合は、そのアンチモン元素、ゲルマニウム元素として50ppm以上300ppm以下であることが重縮合反応性、固相重合反応性の点から好ましく、さらには50ppm以上200ppm以下であることが耐熱性、耐湿熱性の点から好ましい。300ppmを超えると重縮合反応性、固相重合反応性は向上するものの、再溶融時の分解反応も促進されるため、カルボキシル基末端基が増加し、耐熱性、耐湿熱性が低下する原因となることがある。好適に使用されるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物としては、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムを挙げることができ、それぞれ目的に応じて使い分けることができる。例えば、色調が最も良好となるのはゲルマニウム化合物であり、固相重合反応性が良好となるのはアンチモン化合物、環境面を配慮し、非アンチモン系で製造する場合には、チタン触媒が重縮合反応や固相重合の反応性が良好となる点で好ましい。
重縮合触媒としてチタン化合物を使用する場合、チタン元素として0.1ppm以上20ppm以下とすることが重縮合反応性、固相重合反応性の点から好ましい。チタン元素量が20ppmを超えると重縮合反応性、固相重合反応性は向上するものの、耐熱性、耐湿熱性、色調が低下する原因となることがある。重縮合触媒として使用されるチタン触媒としては、テトラブトキシチタネートやテトライソプロピルチタネートなどのアルコキシドや、チタンと乳酸、クエン酸などとのチタンキレート化合物などを挙げることができ、中でもチタンキレート化合物であることが耐熱性、耐湿熱性、色調の点から好ましい。
また、重合により得られるポリエステルのカルボキシル基末端基量を低減する手法として、微量の水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物をエステル化反応初期から中期の間、或いはエステル交換反応開始前から反応初期の間に添加したり、静電印加特性の向上を図るために微量のマグネシウム化合物、例えば酢酸マグネシウムなどをエステル化反応終了から重縮合反応初期までの間、或いはエステル交換反応開始前に添加することができる。
また、重縮合により得られるポリエステルのカルボキシル基末端基量を20当量/ポリエステル10g以下の範囲でより低減させ、かつポリエステルの固有粘度(IV)を高めるためには、上記重合を行った後、190℃以上ポリエステルの融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱する、いわゆる固相重合することが好ましい。この場合、第一段階として、上記方法で固有粘度(IV)を0.5以上0.6以下の範囲ポリエステルを重合した後、第二段階として190℃以上ポリエステルの融点未満の温度で、減圧または窒素ガスのような不活性気体の流通下で加熱することによって固相重合することが好ましい。固有粘度(IV)が0.5以下であるとチップが割れやすく、形態が不均一になる結果固相重合した際に重合ムラが生じる場合がある。また固有粘度(IV)が0.9より大きいと、第一段階での熱劣化が激しくなり、その結果、得られるポリエステルのカルボキシル基末端基量が増大して、フィルム化した際に耐加水分解性が低下することがあるため好ましくない。本発明のポリエステルフィルムに用いるポリエステルの重合において、第一段階での固有粘度(IV)を0.5以上0.6以下とすることで、固相重合した際に、カルボキシル基末端基量を低く維持した状態で、均一に固有粘度(IV)を高めることが出来る。その結果、フィルム化した際に耐加水分解性をより高めることが可能となる。
また、ポリエステルに無機粒子を添加する方法は、予め結晶性ポリエステルと無機粒子をベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて、溶融混練して、高濃度マスターペレット化したものを作製し、それを添加する方法が好ましい。
また、ポリエステルにカルボキシル基末端封鎖剤を含有させる場合には、製膜時にポリエステルとカルボキシル基末端封鎖剤を混合する方法、および、事前にポリエステルに高濃度でカルボキシル基末端封鎖剤を含有させたマスターペレットを作製し、それを製膜時にポリエステルにて希釈する方法、いずれの方法も好ましく用いられる。高濃度のマスターペレットを作製する場合の例として、カルボキシル基末端封鎖剤をポリエステルのペレットと混合し、265℃以上275℃以下、好ましくは270℃以上275℃以下に加熱したベント式二軸混練押出機などを用いて、溶融混練し高濃度マスター化する方法が好ましい方法として挙げられる。この時に用いるポリエステルの固有粘度(IV)は0.7以上1.6以下であることが好ましい。より好ましくは0.75以上1.4以下である。さらには0.8以上1.3以下である。固有粘度(IV)が0.7より小さいとカルボキシル基末端封鎖剤と混練するポリエステルのカルボキシル末端基量が多くなるためマスター化する時にカルボキシル基末端封鎖剤との反応が起こりすぎる。そのためフィルム製膜時に原料押出時にカルボキシル基末端封鎖剤と希釈するポリエステルとの反応が起こりにくくなり、カルボキシル末端基量を低下させることができなくなって耐湿熱性が低下する場合がある。IVが1.6よりも大きいと溶融粘度が高くなりすぎるため、押出が安定せずマスターペレットの作製が困難となったり、溶融粘度を低くするために押出機の温度を上げるとカルボキシル基末端封鎖剤が熱分解を起こし、カルボキシル末端基量を低下させることができなくなって耐湿熱性が低下する場合がある。
次に、フィルム化とするための方法について述べる。
まず、ポリエステルA層用の組成物とポリエステルB層用組成物をそれぞれ適切に配合し、それぞれ別に乾燥後、窒素気流下あるいは減圧下で、265℃以上280℃以下より好ましくは270℃以上275℃以下に加熱された2台以上の押出機にそれぞれ供給し溶融する。次いで、スマルチマニホールドダイやフィードブロックやピノール等を用いてポリエステルA層とポリエステルB層を合流、積層させてダイから冷却したキャストドラム上に共押出して未延伸フィルムを得る。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させることが好ましい。
このようにして得られた未延伸フィルムは、ポリエステルのガラス転移温度(以降Tgと称することがある)以上の温度にて二軸延伸するのが好ましい。二軸延伸する方法としては、上述の様に長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。
逐次二軸延伸の場合は、ポリエステルのTg℃以上Tg+20℃以下、より好ましくはTg+5℃以上Tg+15℃以下の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3倍以上5倍以下に延伸し、20℃以上50℃以下の温度のロール群で冷却する。続いて、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、Tg+5℃以上Tg+35℃以下(より好ましくはTg+25℃以下、更に好ましくはTg+20℃以下)の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3倍以上5倍以下に延伸するのが好ましい。
延伸倍率は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸共に、長手方向と幅方向それぞれ3倍以上5倍以下とするが、面積延伸倍率を10倍〜20倍、より好ましくは11〜20倍、更に好ましくは13〜20倍以上、特に好ましくは15〜20倍以上、最も好ましくは16〜20倍となるように延伸する。特に面積延伸倍率を10倍以上とすると、テープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みを薄くすることができるため好ましい。また、面積延伸倍率を11倍以上とすると、ポリエステルA層をテープ剥離試験した際にテープに付着するポリエステルA層の厚みむらを小さくでき、また得られたフィルムの耐湿熱性がより向上するという点からより好ましい。面積延伸倍率が10倍未満であると、得られる二軸延伸フィルムの耐加水分解性が低下することがあるため好ましくない。また面積延伸倍率が20倍を越えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
また、得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて、平面性と寸法安定性を付与するために、結晶性ポリエステルの融点未満の温度で1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却するのが好ましい。一般に、熱処理温度が低いとフィルムの熱収縮が大きくなるため、高い熱寸法安定性を付与するためには熱処理温度は高くするのが好ましい。
ただし、熱処理温度を高くしすぎると非晶部が緩和され、分子運動性が高い状態となり、加水分解が起こりやすくなったり、湿熱雰囲気下において、加水分解後の熱結晶化が促進され、脆化が進行しやすくなることがあるので好ましくない。そのため、結晶性ポリエステルの融点から熱処理温度を差し引いた値が、40℃以上90℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下、更に好ましくは55℃以上75℃以下となるように設定するのがよい。
また、熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。続いて必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行い、巻き取ることにより、本発明のポリエステルフィルムを得ることができる。
また、他のフィルムを積層する場合は前記の共押出法のほか、作製したフィルム上に他の熱可塑性樹脂を溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、本発明のポリエステルフィルムと他の樹脂からなるフィルムとを熱圧着する方法(熱ラミネート法)、本発明のポリエステルフィルムの表面に別の材料を塗布して積層する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等を使用することができる。
また、これら基材には発電素子の封止材料であるEVA系樹脂などとの接着性を付与するために、表面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、易接着処理を施すことも好ましく行われる。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの表面にラベルやテープを貼り付けた後、ラベルやテープを剥離した場合でも、耐湿熱性、耐紫外線性を保持できる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして好適に用いられる。
[特性の評価方法]
(1)層厚みT1、Tt、Tt/T1
下記(A1)〜(A4)の手順にて求めた。なお、測定は10ヶ所場所を変えて測定し、その平均値でもってポリエステル層A層の厚みT1(μm)、積層ポリエステル全体の厚みTt(μm)とし、Tt/T1の値を計算した。
(A1)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に潰すことなく、フィルム面方向に対して垂直に切断する。
(A2)次いで切断した断面を、電子顕微鏡を用いて観察した。なお、観察場所は無作為に定めるものとするが、画像の上下方向がフィルムの厚み方向と、画像の左右方向がフィルム面方向とそれぞれ平行になるようにするものとする。
(A3)前記(A2)で得られる画像中におけるポリエステル層P1層の厚みT1、ポリエステル層P2の厚みT2を求めた。
(A4)TtをT1で除し、積層比Tt/T1を算出した。
(2)ポリエステルフィルム各層のへき開強度
本発明のポリエステルフィルムを、幅20cm×長さ15cmに、長さ方向がフィルム長手方向となるサンプルと、長さ方向がフィルム幅方向となるサンプルを切り出し、ポリエステルA層の表面がぬれ張力58mN/m以上になるようにコロナ処理を実施した。次に、接着剤(“タケラック”(登録商標)A−1102を80質量部と“タケネート”(登録商標)A−22を10重量部を混合したもの)を、切り出したフィルムの長さ方向の片側のフィルム端部から5cmの領域以外のポリエステルA層表面に、塗布膜厚8g/mになるように塗布し、80℃で45秒乾燥させた。次に、事前にぬれ張力58mN/m以上になるようにコロナ処理を実施した厚さ50μm二軸延伸ポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)S105(東レ(株)製)を面に重ね合わる。その後50℃96時間エージングを実施し、張り合わせフィルムを作成する。その後、張り合わせたフィルムを幅15mm×長さ15cmの短冊状に、長さ方向がフィルム長手方向となるサンプル、フィルム幅方向となるサンプルをそれぞれ10サンプル切り出す。次に、張り合わせフィルムの接着剤が付着していない部分を剥離させて、片方をテンシロン引っ張り試験機(東洋測器(株)製UTMIII)のロードセルにつるし、もう片方を下部チャックで把持して、T字剥離(90°)になるように速度200mm/minで引っ張り、剥離強度F(N/15mm)を測定した。なお剥離強度は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた平均剥離力T(N)を求めた。フィルムの長手方向、幅方向のサンプルそれぞれについて測定した後、その平均値をへき開強度とした。なお、上記の方法でへき開が生じなかったポリエステル層のへき開強度は、ポリエステルフィルムの各層をそれぞれ単膜で製膜し、得られたポリエステルフィルムを上記と同様の測定方法にて求めた。また、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。また、フィルムにおける最大の屈折率の方向は、フィルムの全ての方向の屈折率をアッベ屈折率計で測定して求めてもよく、位相差測定装置(複屈折測定装置)などにより遅相軸方向を決定することで求めてもよい。
(3)テープ剥離試験際にテープに付着するA層の厚み
本発明のポリエステルA層の表面に幅25mm長さ300mmの養生用PカットテープNo.4141(株式会社寺岡製作所製)をローラを使用して、長さ200mm分貼り付ける。残りの100mmは粘着部分が内側になるよう折り返して、引張試験のチャックに担持する部分(長さ50mm)を作成する。その後エスペック(株)製恒温高湿器PL−4Jを用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で21日間加熱処理を行う。テープのついた本発明のフィルムをガラス板に固定する。カットテープの折り返し部分を、引張試験機(テスター産業株式会社高速剥離試験機TE−701)を使用し、フィルム面に対して90°の角度になるように、引張速度30m/分でテープを引っ張った。剥離したテープに付着したA層の厚みを、電子顕微鏡で層厚みT1と同様の方法で観察し、厚みを求めた。なお、観察面の中で最も厚い部分を、A層の厚みとして求めた。
(4)テープ剥離試験した際にテープに付着するA層の厚みむら
(3)のテープ剥離試験を100サンプルについて行い、テープに付着したA層の厚みを測定した。その最大値と最小値の差を、テープに付着したA層の厚みむらとして求めた。
(5)みかけ比重
ポリエステルフィルムを50mm×60mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、JIS K−7112(1980年度)のA法(水中置換法)に準じて測定した。なお、測定は温度23℃、相対湿度65%の条件下にて行い、5回測定した平均値を採用した。
(6)ポリエステルA層またはポリエステルB層の無機粒子量
試料を白金るつぼに秤取り、硫酸を添加し、ホットプレートとバーナーを用いて炭化処理を行
った。更に電気炉にて550℃・2時間加熱を行い、灰化処理を行った。得られた灰化物に炭酸ナトリウム−ほう酸の混合融剤を加え、バーナーで加熱して融解処理を行い、放冷後、希硝酸を添加して溶解させたものを試料溶液とした。得られた試料溶液をICP発光分析装置(パーキンエルマー社製 OPTIMA 4300 DV)に導入し、無機粒子の定量を行った。測定回数5回の平均値を使用した。
(7)テープ剥離試験後の耐湿熱性
テープ剥離試験後のA層厚みの測定方法と同様にテープ剥離を実施し、そのサンプルを以下の手順で行いテープ剥離試験後の耐湿熱性を求める。ASTM−D882−97(1999年版ANNUAL BOOK OF ASTM STANDARDS)に準じて、ポリエステルフィルムを幅1cm×長さ20cmの大きさに、長さ方向がフィルム長手方向となるサンプル、長さ方向がフィルム幅方向となるサンプルをそれぞれ10サンプル切り出し、チャック間距離10cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度(初期)を測定した。フィルムの長手方向、幅方向のサンプルそれぞれについて測定した後、20サンプルについて測定された値の平均値を破断伸度(初期)B0とした。
次いで、ポリエステルフィルムを幅1cm×長さ20cmの大きさに、長さ方向がフィルム長手方向となるサンプル、長さ方向がフィルム幅方向となるサンプルをそれぞれ10サンプル切り出し、エスペック(株)製恒温高湿器PL−4Jを用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で3000時間の加熱処理を行った後、ASTM−D882−97(1999年版ANNUAL BOOK OF ASTM STANDARDS)に準じて、チャック間距離10cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度(処理後)を測定した。フィルムの長手方向、幅方向のサンプルそれぞれについて測定した後、20サンプルについて測定された値の平均値を破断伸度(処理後)B1とした。
得られた破断伸度B0、B1を用いて、下記式により伸度保持率を算出した。
伸度保持率(%)=B1/B0×100
なお、フィルムの長手方向や幅方向が分からない場合は、フィルムにおいて最大の屈折率を有する方向を長手方向、長手方向に直行する方向を幅方向とみなす。
(8)テープ剥離試験後の耐紫外線性
テープ剥離試験後のA層厚みの測定方法と同様にテープ剥離を実施し、そのサンプルを以下の手順で行いテープ剥離試験後の耐紫外線性を求める。まずポリエステルフィルムのポリエステルA層側を色差計(日本電色製:ND−300A)を用いて2波長法で測定し、そのときの色調b値をc1とする。次に、試料を測定片の形状に切り出した後、スガ試験機スーパーキセノンウェザーメーターSX75にて温度65℃、50%RHの雰囲気下、強度180W/mのキセノンランプランプで、本発明のA層表面を2000時間照射処理する。照射とスプレーのサイクルは、102分照射後に、18分間照射およびスプレーを実施するであり、2000時間になるまでこのサイクルを繰り返す。2000時間後、同様に色差計を用いて色調b値を測定し、そのときの値をc2とする。次式により色調変化Δbを算出した。
Δb=c2−c1
(9)テープ剥離強度
(3)と同様にして、引張速度30m/分でテープを引っ張った。テープ剥離強度D2(N/mm)は、得られた値D1(25mm幅で測定した強度)を25で割った値である。10回測定し、D2の10回の平均値をもとめた。なお剥離強度は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた平均(N)を求めた。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(PET−1)ポリエステル組成物PET−1を以下の方法で製造した。
ジメチルテレフタレート100重量部に対しエチレングリコール64重量部を混合し、さらに触媒として酢酸亜鉛を0.1重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、エチレングリコールの還流温度でエステル交換処理を実施した。これにトリメチルホスフェート0.1重量部を添加して徐々に昇温、減圧させ275℃の温度で6時間重合を行い、ポリエステル組成物αを得た。得られたエステル組成物αの固有粘度(IV)は0.60であった。このポリエステル組成物αを、回転式の真空装置(ロータリーバキュームドライヤー)に入れ、温度220℃、真空度0.5mmHgの条件下で24時間撹拌しながら加熱し固相重合せしめ、ポリエステル組成物PET−1を得た。得られたポリエステル組成物PET−1の固有粘度(IV)は0.82、カルボキシル末端基量は10.2当量/ポリエステル10gであった。
(PET−2)ポリエステル組成物PET−2を以下の方法で製造した。
テレフタル酸ジメチル100質量部、酢酸マンガン4水和物0.02質量部、および、三酸化アンチモン0.03質量部を、150℃、窒素雰囲気下で、エチレングリコール58質量部に、溶融または溶解させ、中間体(液体)を得た。次いで、前工程にて得られた中間体を、撹拌しながら233℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させることによって、エステル交換反応せしめ、エステル交換反応物を得た。リン酸0.001質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解せしめたエチレングリコール溶液を作製した。前工程にて得られたエステル交換反応物に該エチレングリコール溶液を233℃下で添加し、エステル組成物β1を得た。前工程にて得られたエステル組成物β1を真空下で重合せしめ、ポリエステル組成物βを得た。重合温度は以下のとおりである。重合温度:230℃にて重合を開始し、徐々に温度を上げて、最終的に285℃とした。なお、得られたポリエステル組成物βのガラス転移温度は81℃、冷結晶化温度は158℃、融点は255℃、固有粘度(IV)は0.54、カルボキシル末端基量は13当量/ポリエステル10gであった。前工程にて得られたポリエステル組成物βを160℃で6時間、真空下に置いて、ポリエステル組成物の乾燥および結晶化を行った。その後、これを220℃で19時間、真空下に置いて、固相重合せしめ、ポリエステル組成物PET−2を得た。得られたポリエステル組成物PET−2の固有粘度(IV)は0.81、カルボキシル末端基量は9.0当量/ポリエステル10gであった。
(PET−3)ポリエステル組成物PET−3を以下の方法で製造した。
事前に予備乾燥をしていないポリエステル組成物PET−2を50重量部と、平均粒径0.2μmのルチル型二酸化チタン50重量部とを、ベントした押出機に投入し、該押出機内で溶融混練せしめ、ポリエステル組成物PET−4を得た。得られたポリエステル組成物PET−4の固有粘度(IV)は0.70、カルボキシル末端基量は25当量/ポリエステル10gであった。
(PET−4)ポリエステル組成物PET−4を以下の方法で製造した。
PET−2を90重量部および平均粒径4μmの珪酸アルミナ10重量部を混合し、これらの混合物を溶融混練し、ポリエステル組成物PET−6を作製した。
(PET−5)ポリエステル組成物PET−5を以下の方法で製造した
PET−2を80重量部およびポリメチルペンテンDX820(三井化学株式会社)を10重量部を混合し、これらの混合物を溶融混練し、ポリエステル組成物PET−5を作製した。
(PET−6)ポリエステル組成物PET−6を以下の方法で製造した。
PET−2の製造方法と同様にしてポリエステル組成物βを得た。その後ポリエステル組成物βを160℃で6時間、真空下に置いて、ポリエステル組成物の乾燥および結晶化を行った。その後、これを220℃で36時間、真空下に置いて、固相重合せしめ、ポリエステル組成物PET−6を得た。得られたポリエステル組成物PET−6の固有粘度(IV)は1.01、カルボキシル末端基量は6.0当量/ポリエステル10gであった。
(実施例1〜11)
主押出機と副押出機を用い、主押出機(単軸押出機)に、表1と表2に示した組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後、供給し、275℃の温度で溶融押出後80μmカットフィルターにより濾過を行った後に、Tダイ口金に導入した。主押出機から口金までの滞留時間は1.5分であった。一方、副押出機には、表1と表2に示した組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後、供給した。副押出機から口金までの滞留時間は5分であった。次いで主押出機から供給されるポリエステル層(B層)の一方の片側に、副押出機から供給されたポリエステル層(A層)を、厚み比率が表に示した厚みになるよう合流させ、Tダイ口金内より、溶融2層積層共押出しを行い、積層シートとし、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未配向(未延伸)積層シートを得た。
続いて、該未延伸積層シートを85℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に3.5倍に延伸し、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。
得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃に保たれた加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(幅方向)に4.1倍に延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで、温度205℃で20秒間の熱処理を施し、さらに150℃で3%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、均一に徐冷しポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性結果を表に示す。その結果、表に示す通り、A層の劈開強度(90°)が低く、ラベルやテープ剥離をした場合でも耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できることがわかった。
(実施例12)
副押出機には、表に示した組成となるように混合したものを、180℃の温度で2時間真空乾燥した後、供給した。副押出機から口金までの滞留時間は5分であった。口金から吐出される直前の30秒間ポリエステルA層を構成するポリマーの配管を320℃で局所的に高温にした。それ以外は実施例2と同様に実施した。得られたフィルムの特性結果を表に示す。その結果、表に示す通り、A層の劈開強度(90°)が低くラベルやテープ剥離をした場合でも耐湿熱性、耐紫外
線性などの特性を保持できることがわかった。
(実施例13〜14)
A層原料の配合を表2のように変更する以外は実施例12と同様に実施した。得られたフィルムの特性結果を表に示す。その結果、表に示す通り、A層のテープ剥離強度が低くラベルやテープ剥離をした場合でも耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できることがわかった。
(実施例15)
長手方向(縦方向)に4.0倍延伸し、A層原料においてPET―2のかわりにPET―6を使用することを変更した以外は実施例2と同様に実施した。その結果、表に示す通り、A層のテープ剥離強度が低くラベルやテープ剥離をした場合でも耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できることがわかった。
(実施例16)
A層原料の配合を表2のように変更する以外は実施例2と同様に実施した。その結果、表に示す通り、テープ剥離をした場合でも耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できることがわかった。
(比較例1〜4)表に示した組成になるようにした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたフィルムの特性結果を表に示す。その結果、表に示す通り、ラベルやテープ剥離をした場合、耐湿熱性、耐紫外線性などの特性を保持できない。
(比較例5)
長手方向(縦方向)に2.8倍に延伸し、また長手方向に直角な方向(幅方向)に3.2倍に延伸する以外は、実施例1と同様に実施した。得られたフィルムの特性結果を表に示す。その結果、表に示す通り、ラベルやテープ剥離をした場合、耐紫外線性などの特性を保持できない。
Figure 0006251981
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本発明のポリエステルフィルムは、長期に渡って高い耐湿熱性と難燃性、他の特性(特に、耐紫外線性や光反射性など)の両立性に優れたポリエステルフィルムで、その特性を生かして太陽電池バックシート、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、コンデンサ用材料、自動車用材料、建築材料を初めとした用途に好適に使用することができる。
1:太陽電池バックシート
2:封止材
3:発電素子
4:透明基板
5:太陽電池バックシートの太陽電池と反対側の最外層(ポリエステルA層)

Claims (6)

  1. (1)〜(3)の要件を満たすポリエステルを主成分とした層(以下かかる層をポリエステルA層と称する)を少なくとも一方の最外層に有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層以外の層のへき開強度(90°)がポリエステルA層のへき開強度よりも大きいことを特徴とする太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
    (1)ポリエステルA層のへき開強度(90°)が4.3N/15mm以下であること
    (2)ポリエステルA層の厚みが5μm以上であること
    (3)ポリエステルA層を以下に記載される方法でテープ剥離試験した際にテープにポリエステルA層が付着し、付着するポリエステルA層の厚みが4μm以下であること
    [テープ剥離試験方法]
    ポリエステルA層の表面に幅25mm長さ300mmの養生用PカットテープNo.4141(株式会社寺岡製作所製)をローラを使用して、長さ200mm分貼り付ける。残りの100mmは粘着部分が内側になるよう折り返して、引張試験のチャックに担持する部分(長さ50mm)を作成する。その後エスペック(株)製恒温高湿器PL−4Jを用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で21日間加熱処理を行う。テープのついた本発明のフィルムをガラス板に固定する。カットテープの折り返し部分を、引張試験機(テスター産業株式会社高速剥離試験機TE−701)を使用し、フィルム面に対して90°の角度になるように、引張速度30m/分でテープを引っ張る。
  2. みかけ比重が1.2以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルA層を構成するポリエステルが、無機粒子をポリエステルA層を構成するポリエステルに対して5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルA層をテープ剥離試験した際に、テープに付着するA層の厚みむら(テープに付着するA層の厚みの最大値−テープに付着するA層の厚みの最小値)が0〜2μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルA層をテープ剥離試験した際のテープ剥離強度が0.9N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルA層が太陽電池と反対側の最外層に位置するように用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
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