JP2016146462A - 太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムおよび太陽電池 - Google Patents

太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムおよび太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】発電効率が向上し、生産性及び低コスト性に優れた太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム、および太陽電池を提供する。【解決手段】フィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であること。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上20重量%以下であること。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、P元素を含有し、かつ、Mn元素、Ca元素の少なくとも1種の元素を含有しており、前記ポリエステル組成物全体に対するアルカリ金属元素が特定の含有量を有する太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム2。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム、および太陽電池に関するものである。
近年、二酸化炭素の増加による温室効果で地球の温暖化が生じることが予測され、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーの要求が高まっている。このような状況下で、太陽電池モジュールを利用した太陽光発電は、安全性と汎用性の高さから非常に注目されている。一般に、太陽電池モジュールは、受光面側から順にカバー材、表側封止材、光電変換を行う太陽電池セル、裏側封止材、およびバックシートが積層され、構成されている。
ここで、太陽電池バックシートは、太陽電池の発電素子を雨などの外的影響から保護する目的で用いられるものである。太陽電池は、屋外で長期間置かれるため、太陽電池バックシートに用いられるポリエステルフィルムは高い耐湿熱性が要求される。これまでに、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高める検討がなされている(特許文献1、2)。
また、近年では太陽電池バックシートに、太陽電池セル同士の間を通過した光を反射させ、セルに取り込むことにより太陽電池モジュールの発電効率を向上させるという機能を付与する検討がなされている(特許文献3、4)。具体的には、太陽電池バックシートに用いられるポリエステルフィルム基材表面に白色粒子と白色バインダーにより反射層を形成し、太陽電池バックシートの光反射効率を向上させる技術や、太陽電池バックシートに用いられるポリエステルフィルムに空洞を含む層を形成することにより高い光反射特性を有するバックシートを提供する技術が提案されている。
国際公開第2012/121076号パンフレット 国際公開第2011/052290号パンフレット 特開2012−179816号公報 特開2012−135952号公報
しかしながら、特許文献3、4のように、空洞を含む層を有すると、耐湿熱性が低下するという課題を有する。また、耐湿熱性を維持するレベルの空洞含有率としたフィルムは、光反射特性が十分ではない。また、添加する粒子種によっては、耐湿熱性を大きく低下させるという課題がある。
一方、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムには、次のような特性も必要とされる。太陽電池は、ロット管理のために太陽電池の背面の太陽電池バックシート表面にラベルを貼り付けて保管される。また、太陽電池の裏面にあるケーブルは、太陽電池の背面のバックシートの表面にテープで仮止めされたまま保管される。太陽電池が保管される倉庫が高温、高湿度環境下となる場合、出荷時や施工時にロット管理のラベルを引き剥がす場合や、ケーブルの仮止めテープを剥がす際に、以下の問題が発生する。ラベルやテープを太陽電池バックシートから剥がす際には、一瞬のうちに太陽電池バックシートの表層に過大な力がかかる。このとき、ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートに使用する場合、ポリエステルフィルムの凝集破壊強度が低い場合は、ラベルやテープの粘着剤と共にポリエステルフィルム全体が太陽電池基材から剥がれてしまい、外観が悪くなると共に太陽電池基材を保護する効果を失うという問題が発生する。また、ポリエステルフィルムが、積層フィルムである場合は、外観が悪くなると共に機能層が剥がれてしまい、必要な特性(例えば耐紫外線性)を失うといった問題が発生する。このように、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムには、高温、高湿度環境下にさらされた後において、ラベルやテープ剥離時にフィルムが剥がれることを抑制する特性(以降本願ではこの特性を湿熱処理後のテープ剥離性と呼ぶ場合がある)が必要である。
本願発明者らが鋭意検討した結果、特許文献3、4のような白色粒子を多く含有させたり、空洞含有量が高いフィルムにおいては、湿熱処理後のテープ剥離性が顕著に悪化することが分かった。
そこで本発明の目的は、これら従来技術の不具合に鑑みてなされたものであり、高い光反射特性を持つことにより太陽電池の発電効率を向上させることができ、かつ、フィルムの耐湿熱性が高く、さらに湿熱処理後のテープ剥離性が良好な太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。
以下(1)〜(3)を満たす太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
(1)フィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であること。
(2)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上20重量%以下であること。
(3)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、P元素を含有し、かつ、Mn元素、Ca元素の少なくとも1種の元素を含有しており、前記ポリエステル組成物全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、前記ポリエステル組成物全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる、前記ポリエステル組成物における金属含有量M(mol/t)と、前記リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記(ii)式を満たすこと。
(i)M=M1/2+M2
(ii)1.1≦M/P≦3.0
本発明によれば、高い光反射特性を持つことにより太陽電池の発電効率を向上させることができ、かつ、耐湿熱性、湿熱処理後の耐テープ剥離性に優れた太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムが得られる。
図1は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。 図2は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。 図3は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。
次に、本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムの実施の形態について詳細に説明する。
本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムは、以下(1)〜(3)を満たすものである。
(1)フィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であること。
(2)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上20重量%以下であること。
(3)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、P元素を含有し、かつ、Mn元素、Ca元素の少なくとも1種の元素を含有しており、前記ポリエステル組成物全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、前記ポリエステル組成物全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる、前記ポリエステル組成物における金属含有量M(mol/t)と、前記リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記(ii)式を満たすこと。
(i)M=M1/2+M2
(ii)1.1≦M/P≦3.0
以下、各構成要素について説明する。
(無機粒子)
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に含有する無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、タルク、カオリン、およびフッ化カルシウム等などを用いることが可能である。これらの中でも、耐候性および光反射特性などの観点から酸化チタンを用いることが好ましい態様である。
(酸化チタン)
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、上述した無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上20重量%以下である必要がある。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物の無機粒子の含有量が0.5重量%未満であると、耐紫外線性が不足し、且つ光反射特性が十分でなく、太陽電池の発電効率を向上することができない。一方、20重量%を超えると、耐加水分解性が悪化し、また、無機粒子とポリエステルの間に発生する微細な隙間がきっかけとなり湿熱処理後のテープ剥離性が悪化する。好ましくは、1.5重量%以上15重量%以下である。
また、無機粒子として硫酸バリウムを含む場合、その含有量がポリエステル組成物全体に対して1重量%以下であることが好ましい。硫酸バリウムの含有量が1重量%を超えると、フィルムの耐湿熱性、湿熱処理後のテープ剥離性が低下する傾向が見られるからである。なお、本願では、硫酸バリウムの含有量は、添加量のことを指すものとする。
(空洞)
また、本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められるフィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であることが必要である。空洞含有率が4%未満であると、光反射特性が十分でなく、太陽電池の発電効率を向上することができない。一方、40%を超えると、製膜性が悪化すると共にフィルムの耐湿熱性が悪化し、また、湿熱処理後のテープ剥離性が悪化する。ポリエステルフィルムに空洞を形成させる方法については、特に限定されないが、詳しくは後述する。
また、本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムであって、以下(4)〜(5)を満たすことが好ましい。
(4)少なくとも1層が、当該層におけるフィルム断面の空洞含有率が5%以上50%以下であること。(以降、当該層を反射層と称する場合がある)
(5)少なくとも1層が、当該層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して無機粒子を1重量%以上50重量%以下含有していること。(以降、当該層を拡散層と称する場合がある)
本発明のポリエステルフィルムは、高い空洞含有率を有する層、高濃度に無機粒子を含有する層を有する積層ポリエステルフィルムとすることで、光反射特性、耐加水分解性、湿熱処理後のテープ剥離性が良好で、かつ、製膜性が良好なポリエステルフィルムとすることができる。少なくとも1層が、当該層におけるフィルム断面の空洞含有率が5%以上40%以下であると、高い反射率を維持したまま、機械強度の低下を抑制し、生産性を向上させることが可能となる。また、少なくとも1層が、当該層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して無機粒子を3重量%以上25重量%以下含有していると、光拡散性能を高めつつ、湿熱処理後のテープ剥離性を維持することが可能となる。
(層構成)
また、(4)〜(5)を満たすポリエステルフィルムを太陽電池バックシートに用いる場合は、(4)を満たす層は、太陽電池バックシートの表層(太陽電池セル側とは逆側の最外層)とならないように用いることが好ましい。
空洞を高度に含有する層を太陽電池バックシートの表層(太陽電池セル側とは逆側の最外層)とすると、フィルムが破れやすくなり、太陽電池バックシートの生産性が悪化する場合がある。また、空洞を高度に含有する層を太陽電池バックシートの表層(太陽電池セル側とは逆側の最外層)とすると、外的負荷によってフィルムに傷がつきやすくなり、その傷に水が浸入する結果、耐加水分解性が悪化する場合がある。そこで、フィルムを強固なものにするため、太陽電池セルと反対側に空洞を多く含まない層を設け、太陽電池セル側に反射した光を拡散して太陽電池の受光部を送るための拡散層を設けることが望ましい。
中でも、本発明のポリエステルフィルムは、3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、最外層が(5)を満たす層であり、内層が(4)を満たす層であることが好ましい。
(フィルム厚み・各層厚み)
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全体の厚みが25μm〜500μmの範囲であることが好ましい。厚みが25μmより薄いと、反射層の反射性能と拡散層の拡散性能の効果が不十分となり、発電効率を向上させるという性能が不足する場合がある。また、一方、厚みを厚くしすぎると、製膜時に配向をつけにくくなるため、耐湿熱性、湿熱テープ剥離性が低下する傾向が見られる。また、厚みが500μmより厚いと、太陽電池バックシートの重量が重くなる。より好ましくは70μm〜500μmの範囲であり、特に好ましくは150μm〜500μmの範囲である。
本発明のポリエステルフィルムが、3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、最外層が(5)を満たす層(拡散層)であり、内層が(4)を満たす層(反射層)である場合、拡散層は、少なくとも片側の層厚みが5μm以上であることが好ましい。8μm以上、さらに12μm以上であるとより好ましい。太陽電池セル側に置かれる拡散層の層厚みが12μm以上であると、太陽電池側から入射される紫外線が反射層で反射した光を拡散することが可能となり、太陽電池の発電効率を高めることが可能となる。
また、太陽電池セルとは反対側の最表層となる拡散層(以後こちらの層は太陽電池の設置場所によってセルの背面から紫外線を受けることが多いため、耐UV層と呼ぶ場合がある)の層厚みを5μm以上とすると、湿熱処理後のテープ剥離性を高めることが可能となる。拡散層は両層とも5μm以上であることが、発電効率、湿熱処理後のテープ剥離性向上の観点から好ましい。また、耐UV層は紫外線を浴びることで少しずつ膜減りすることが知られているため、20μm以上であることがより好ましい。
(空洞の生成)
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下である必要がある。ポリエステルフィルムに空洞を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂に非相溶ポリマーを含むポリエステル樹脂組成物からフィルムを構成することにより形成することが好ましい。ポリエステル樹脂中に、ポリエステル樹脂に非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(例えば、二軸延伸)することにより、この非相溶ポリマーの周りに空洞が形成される。フィルム内に形成された空洞は、ポリエステル樹脂と屈折率差を有するため、その界面において入射してきた光は反射するため、高い反射率を得ることが可能となる。
より好ましくは8%〜20%である。空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合を低くすることで、機械強度の低下を抑制することが可能となり、高くすることで反射率を向上させることが可能である。
(樹脂成分)
本発明のポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、P元素を含有し、かつ、Mn元素、Ca元素のうち少なくとも1種の金属元素を含有しており、前記ポリエステル樹脂組成物全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)とし、前記ポリエステル樹脂組成物全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる、前記ポリエステル樹脂組成物における金属含有量M(mol/t)と、リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記(ii)式を満たすことが必要である。
(i)M=(M1)/2+M2
(ii)1.1≦M/P≦3.0
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物は、湿熱処理後のテープ剥離性の観点から、Mn元素、Ca元素のうち少なくとも1種の金属元素を含有する必要がある。本発明における金属元素とは、原子だけではなく、イオン状態でポリエステル樹脂組成物中に存在するものも含む。なお、一般的には金属元素はポリエステル樹脂組成物中ではイオン状態として存在する。
(ポリエステル組成物の劣化)
一般的に、湿熱雰囲気下におけるポリエステル樹脂組成物の劣化は、ポリエステル樹脂組成物中に含有される水分子による加水分解に起因する。この加水分解を抑制するためには、ポリエステル組成物中に存在する金属イオンによって水分子を安定化させることが効果的である。つまり、水分子を金属に水和せしめることが効果的である。この効果の指標として、金属イオンの水和エンタルピーと金属イオンの半径の積を用いることができる。特に、Mn、Caイオンはこの積が大きいため、より効果的に水分子を安定化させることが可能であり、その結果ポリエステル樹脂組成物の耐湿熱性を向上させることができ、湿熱処理後のテープ剥離性の観点耐湿熱性を向上させることができる。
Mn、Ca元素の合計の含有量が0.59mol/tに満たないと、水分子を安定化させる効果が充分でない。Mn、Ca元素の合計の含有量が11.15mol/tを超えると、湿熱雰囲気下でのポリエステル樹脂組成物に含有される金属元素を触媒とした加水分解反応が優位となり、耐湿熱性が低下する。ポリエステル樹脂組成物中で陰イオンとして存在するリン酸の負電荷は、Mn、Ca元素の陽イオンの正電荷と相互作用することで、これら陽イオンの正電荷を打ち消すことになる。したがって、本発明のポリエステル樹脂組成物はリン元素、および、Mn元素、Ca元素のうち少なくとも1種の金属元素を含み、Mn、Ca元素とリン元素の含有量や含有量比を制御することが非常に重要となる。
(M(金属)の説明)
(i)(ii)におけるMは、ポリエステル樹脂組成物において、リン酸に由来する陰イオンと相互作用する、金属元素の陽イオンの含有量を表すものである。リン酸に由来する陰イオンと相互作用する、金属元素の陽イオンとして、Mn、Caだけではなく、電気陰性度が大きいアルカリ金属元素の陽イオンも考慮する必要がある。
ただし、ポリエステル樹脂組成物中でリン酸に由来する陰イオンは2価であるので、2価の金属元素の陽イオンと1:1で相互作用する。そのため、ポリエステル組成物中で1価の陽イオンとなる金属元素の含有量M1に対しては(i)のように係数0.5を乗じる必要がある。
M/Pは、1.1以上3.0以下とすることによって、耐湿熱性、湿熱処理後のテープ剥離性の観点を良好とすることができる。M/Pが小さい場合(1.1未満である場合)は、リン化合物が過剰となり、重合反応性が低下する結果、末端カルボキシル基量や副生成物(ジエチレングリコールなど)が増加し、耐湿熱性が低下する。一方、M/Pが大きい場合は、金属イオンが過剰となる。過剰となった金属イオンあるいはリン化合物と相互作用することによりポリエステルの結晶化が早まり、耐湿熱性が低下する。特に、フィルム中に空洞を多く含有するフィルムにおいては、M/Pが上記範囲から外れると、耐湿熱性、湿熱処理後のテープ剥離性の低下が顕著にみられる。本発明のポリエステル組成物は、金属元素としてMn、Ca元素以外に、アルカリ金属元素(特に、Na元素および/またはK元素)を含んでも良い。これは、本発明のポリエステル組成物にリン酸のアルカリ金属塩(特にリン酸とナトリウムの塩、および/または、リン酸とカリウムの塩)を含有せしめると、耐湿熱性をさらに向上させることができるためである。ただし、アルカリ金属元素をポリエステル組成物に含有せしめる場合は、(ii)式が充足される必要がある。
また、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で上記以外の金属元素を含んでいても良い。例えば、Sb、Ti、Geなどは、ポリエステルの重合触媒として有用であるので、本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物はSb元素、Ti元素、Ge元素を含んでも良い。
一方で、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物中に過剰に金属元素が存在したならば、ポリエステル樹脂組成物の耐湿熱性が著しく低下することがある。したがって、Mn、Caおよびアルカリ金属元素以外の金属元素を含有せしめる場合は、できるだけ少ないことが好ましく、具体的には1000ppm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、Mn、Ca以外の金属元素の含有量は、は、500ppm以下であることが好ましい。なお、ここでいう金属元素含有量とは、ポリエステル樹脂組成物に可溶な金属元素のことをあらわし、酸化チタンや硫酸バリウムなどのポリエステル樹脂組成物に不溶な金属化合物に由来する含有量を含めない。
(固有粘度)
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物は、固有粘度が0.5以上1.0以下であることが機械特性、耐熱性の点から好ましい。より好ましくは、0.7以上0.9以下である。
(末端カルボキシル基量)
上記ポリエステル樹脂組成物においては、末端カルボキシル基量(以降、COOH末端基量と称する場合がある)が25eq./t(equivalent/ton)以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。さらに好ましくは14eq./t以下である。
上記ポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤が配合されていてもよい。
(フィルムを構成するポリエステル樹脂)
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、あるいは、ヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの誘導体とから縮重合によって得られるポリマーである。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸などで代表されるものである。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明においては、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、このポリエステル樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤および帯電防止剤などが添加することができる。
(非相溶ポリマー)
本発明で用いられる非相溶ポリマーとしては、ポリエステルに非相溶なポリマーであれば、特に限定されない。例えば、ポリ−3−メチルフテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂などから選ばれた融点180℃以上のポリマーなどが挙げられる。
中でも、ポリエステル樹脂母材に対する非相溶ポリマーとしては、ポリオレフィン、特にポリメチルペンテンおよび環状オレフィンが好ましく用いられる。環状オレフィン共重合樹脂とは、エチレンとビシクロアルケンおよびトリシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンとからなる共重合体である。
(非相溶ポリマーの割合)
本発明のポリエステルフィルムは、空洞を高濃度に含有する層(反射層)が、非相溶ポリマーを含有していることが好ましく、その含有量が、当該層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、非相溶ポリマーを8重量%〜40重量%であることが好ましい。より好ましくは、10重量%以上30重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以上25重量%以下である。非相溶ポリマーの添加量を多くすることで高い反射率を得ることが可能となり、添加量を減らすことで機械強度の低下を抑制し、生産性を向上させることが可能となる。
光学特性との関係については、非相溶ポリマーの添加量を増加させるにつれて、空洞核が増加し空洞層数が増加することから、反射率が向上し出力特性向上に貢献する。なお、本願では、非相溶ポリマーの含有量は、添加量のことを指すものとする。
(分散助剤)
非相溶ポリマーを分散させるには、分散助剤を添加することが有効である。分散助剤とは、分散を促進させる効果を持つ化合物のことであり、次に挙げるような化合物にその効果が認められる。
すなわち、分散助剤としては、熱可塑性ポリエステルエラストマーが好ましく用いられる。分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール共重合体、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウム、およびパラアミノベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
本発明で使用される分散助剤としては、特にポリアルキレングリコールが好ましく、中でもポリエチレングリコールが好ましく用いられる。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶ポリマーの分散性を向上させるために好ましく用いられる。
(分散助剤の添加量)
分散助剤の添加量としては、非相溶ポリマーを含有する層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、3重量%以上40重量%以下であることが好ましい。分散助剤の添加量を多くすることで非相溶ポリマーの分散性を向上させることが可能であり、添加量を少なくすることでフィルム母材本来の特性を損なうことなく使用することが可能となる。
このような分散助剤は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整することが可能である。光学特性との関係については、分散助剤を添加し、3重量%以上40重量%以下の領域までは、分散径が極度に小径化することから、同厚み当たりのボイド層数が増加し反射率が向上し、太陽電池モジュールの高効率化に寄与する。分散助剤の添加が40重量%より大きい領域では、添加量を増加させても分散径は、小径化しないことがあり添加しても効果がないことがある。
(層の構成)
本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムが、前記の拡散層と前記の反射層を有する2層以上の積層ポリエステルフィルムである場合、前記の拡散層と前記の反射層が、他の層を介さずに直接積層することが、本発明のひとつの好ましい態様である。太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムの製造方法として、例えば、拡散層と反射層の原料をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む製造方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)などが挙げられるが、本発明のポリエステルフィルムにおいては、共押出法が好ましい。
本発明において、反射層と拡散層の上記の積層方法について具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(共押出法)
非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを用い、分散助剤としてポリエチレングリコール、およびポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を用い、これらをポリエチレンテレフタレートに混合し、それを十分混合し乾燥させて、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。別に、酸化チタンなどの無機粒子を含むポリエチレンテレフタレートを押出機Bに供給し、Tダイ2層口金内で、押出機Aと押出機Bからのポリマーをそれぞれ1層ずつ押し出すことにより、反射層と拡散層が積層されたシートとすることが可能である。
このようにして溶融され積層されたシートを、ドラム表面温度が10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力によって密着冷却固化して未延伸フィルムとし、得られた未延伸フィルムを80〜120℃の温度に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍で縦延伸し、次いで20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜140℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦と横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満では得られるフィルムの白さが不良となり、逆に、面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じやすくなり、製膜性が不良となる傾向がある。このようして二軸延伸されたフィルムの平面性と寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の温度で熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り、本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムを得る。
(湿熱処理後のテープ剥離性)
前述の通り、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして耐湿熱性を有するだけでなく、湿熱処理後のテープ剥離性が良好なことが必要とされる。そのため、本発明のポリエステルフィルムは、湿熱処理後のテープ剥離性の指標として、後に述べる湿熱テープ剥離試験において剥離強度が3N/15mm以上であると、太陽電池バックシートとして長期間高温、高湿度環境下にさらされたあと、ラベルやテープを剥がしてもフィルムの剥がれを抑制し、出力特性、耐紫外線性、絶縁性、耐湿熱性などの特性が大きく低下したり、外観異常などの問題を発生を抑制できるため好ましい。
(太陽電池)
本発明の太陽電池は、前記した本発明の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いて得られる。本発明のポリエステルフィルムが、反射層、拡散層を有する場合、反射層は、太陽電池セルの裏側封止材側に配置されることが好ましい。そして、太陽電池は、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の前述の太陽電池バックシートの順に積層され、加熱され得られる。
本発明において、上記の各材料を積層し加熱する方法については、具体的には大気圧の状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法や、真空状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法などが挙げられるが、太陽電池内の気泡発生を抑制する観点から、真空状態で加圧し熱圧着することが好ましい態様である。
前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されることにより、太陽電池セルの隙間を通過し、反射層で反射された光をより効率的に太陽電池セルに入射することが可能となる。
(図の説明)
本発明の太陽電池の概略構成を図1、図2に示す。
図1は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。太陽電池1は、カバー材5、表側封止材4、太陽電池セル6、裏側封止材3、および本発明のポリエステルフィルム(太陽電池バックシート2)の順に積層され、加熱され得られる。太陽電池セル6が1枚あるいは複数枚が直列、または並列に導電材料を用いて接続されており、表側封止材4と裏側封止材3の間に隣り合う太陽電池セル6同士の間に隙間ができるように設置される。
図2は、本発明のポリエステルフィルムが、拡散層、反射層を有する2層積層構成を有する場合の、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。太陽電池バックシート2は、拡散層7と反射層8が積層されており、拡散層7は封止材3側に位置することが好ましい。
図3は、本発明のポリエステルフィルムが、拡散層、反射層、耐UV層を有する3層積層構成を有する場合の、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。太陽電池バックシート2は、拡散層7と反射層8、耐UV層9が積層されており、拡散層7は封止材3側、および、裏側封止材3とは逆側の最外層に位置することが好ましい。
(カバー材)
本発明で用いられるカバー材は、太陽電池の最表面に位置する材料であり、太陽光が直接照射される部分でガラスがよく用いられる。カバー材には、太陽光に対する透過性と、電気絶縁性や積雪や風圧などに対する機械的強度、酸性雨や長期の温度、湿度および紫外線などに対する耐候性、および砂塵や太陽電池施工の際の耐傷付性などが要求される。
(封止材)
太陽電池に用いられる封止材としては、例えば、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、シリコン樹脂、ポリウレタンおよび変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点からEVAが好ましく用いられる。
<特性の評価方法>
(1)ポリエステルフィルムの厚みと各層の厚み:
ポリエステルフィルムの厚みは、JIS C2151:2006に準じて測定した。ポリエステルフィルムを、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から層の厚みの平均値を採寸し各層の厚みと各層の厚みの合計である総厚みを算出した。
(2)フィルム断面における空洞含有率:
フィルムをミクロトームを用いて厚み方向に切断し、得られたサンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、下記の基準で評価し、3点の撮像から空洞の面積割合を算出し、平均値から空洞のフィルム全体または各層の断面方向に占める面積の割合を、次の式に従い算出した。
・空洞のフィルム全体または各層の断面方向に占める面積の割合
=視野内の空洞の面積/視野内のフィルム全体または各層の面積。
(3) ポリエステル樹脂組成物中のリン元素、Mn元素、Ca元素の含有量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定する。
(4) ポリエステル樹脂組成物のアルカリ金属元素の含有量
原子吸光分析法(曰立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレンー空気)にて測定する。
(5) 末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量について、 Mauliceの方法に準じて、以下の条件よって測定した。ポリエステルフィルム2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基量を測定し、当量/ポリエステル1トンの値で示す。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とする。
なお、ポリエステル組成物を溶解させた溶液中に不溶物がある場合は、溶液を濾過して濾物の重量測定を行い、濾物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量として測定する。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
(6)製膜安定性:
ポリエステルフィルムを安定に製膜することができるか、下記の基準で評価した。
A:24時間以上安定に製膜できる。
B:12時間以上24時間未満安定に製膜できる。
C:12時間以内に破断が発生し、安定な製膜ができない。
(7)モジュール化による発電向上率:
多結晶シリコン型太陽電池セル「ジンテック社製G156M3」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、セル裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。次に作製した1セルストリングスのセルから飛び出している前記の配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極「日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0」の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。この時点において、JIS C8914:2005の基準状態に準じて短絡電流の測定を実施し、セル単体の発電性能とした。
次に、太陽光側から図1のように下の順にセットする。
・カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)
・表側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)
・セル単体の発電性能評価を実施した取り出し電極付きストリングス
・裏側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)
・測定したいバックシート用ポリエステルフィルム
(ポリエステルフィルムが、拡散層を有する場合、拡散層がエチレンビニルアセテート側にくるようにし、190mm×190mmに裁断したもの)
セットしたものをカバー材側から真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で、真空ラミネートし、太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C8914:2005の基準状態に準じて測定した短絡電流の測定を実施し、モジュール化後の発電性能とした。
このようにして得られたセル単体の発電性能とモジュール化後の発電性能から、次の式に従い、モジュール化による性能向上率を算出した。
・モジュール化による発電向上率(%)=((モジュール化後の発電性能/セル単体の発電性能)×100)−100(%)
(8) 発電向上維持率
(7)で作成したモジュールをエスペック(株)製恒温恒湿器PL−4Jを用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で21日間加熱処理を行った後の湿熱試験後の発電向上率として発電向上率の維持率を下の式で算出し、A−Cで判定した。
・発電向上維持率=湿熱試験後の発電向上率(%)/発電向上率(%)×100(%)
A:発電向上維持率80%以上
B:発電向上維持率50%以上80%未満
C:発電向上維持率50%未満
(9)湿熱テープ剥離試験(凝集破壊試験)
本発明のポリエステルフィルムの表面に幅25mm長さ300mmの養生用PカットテープNo.4141(株式会社寺岡製作所製)を圧着ローラで長さ200mm分貼り付ける。残りの100mmは粘着部分が内側になるよう折り返して、引張試験のチャックに担持する部分(長さ50mm)を作成する。その後エスペック(株)製恒温恒湿器PL−4Jを用いて、温度85℃、湿度85%の条件下で21日間湿熱処理を行う。テープのついた本発明のフィルムをガラス板に固定する。カットテープの折り返し部分を、引張試験機(テスター産業株式会社高速剥離試験機TE−701)を使用し、フィルム面に対して90°の角度になるように、引張速度30m/分でテープを引っ張ってその時の強度の最大値を剥離強度とし、以下の通り区分した。また、測定は、フィルムの両面について行い、高い方の値をもちいて評価した。
A:4N/15mm以上
B:3N/15mm以上4N/15mm未満
C:2N/15mm以上3N/15mm未満
(10)無機粒子含有量
測定試料を秤量し、重さをm1とする。秤量した試料を試料ボートに乗せ、試料ボートをマッフル炉に入れ、900℃にて灰化する。デシケータ内で室温まで試料ボートを冷却し、重さを秤量してm2とする。無機粒子含有量(質量%)を下記式で算出する。この試行を5回行い、算術平均を以て含有量(質量%)とする。
(m2−m)/m1×100 ただし、mは試料ボートの重さ
次に、本発明について実施例を用いて説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
(ポリエチレンテレフタラート)
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。
エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、カルボキシル基量16eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.85、末端カルボキシル基量10.2eq/t、融点255℃、ガラス転移温度Tg82℃のポリエチレンテレフタレート1を得た。
(内層(反射層))
内層を構成する原料として、上で作成したポリエチレンテレフタレート1を75重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5重量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10重量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン10重量部とを、調整混合し、反射層材料Aとする。これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入する。
(最外層(拡散層、耐UV層))
一方、最外層を構成する原料として、上で作成したポリエチレンテレフタレート1を70重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を30重量部とを、調整混合し、拡散層材料Aとする。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された押出機Bに投入する。
(積層ポリエステルフィルム)
押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/B/A(拡散層/反射層/拡散層(耐UV層))となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得た。さらに、このフィルムを、表面温度が25℃の冷却ドラムで冷却固化して得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で200℃の温度の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、巻き取り厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして使用した際のモジュール化による発電向上率は、8.1%であり、物性は表のとおりである。この実施例1においては、製膜安定性があり、湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例2)
拡散層材料A、反射層材料Aについて実施例1からポリエチレンテレフタレート1の重合方法としてリン酸、リン酸水素ナトリウム2水和物の添加量をそれぞれP元素換算で2.00mol/t相当、リン酸水素ナトリウム2水和物をP元素換算で3.00mol/t相当に変更すること以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。この実施例2においても、製膜安定性があり、湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例3〜5)
拡散層材料A、反射層材料Aについて実施例1からポリエチレンテレフタレート1の重合方法として酢酸マンガン、酢酸カルシウム、リン酸、リン酸水素ナトリウム2水和物の添加量を表のMn、Ca、P量となるように変更すること以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。これらにおいても、製膜安定性があり、湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例6)
反射層材料について上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を87重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を4重量部と、全ジオール単位中1,4−シクロヘキサンジメタノールを33mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート(PET/CHDM)を4重量部と、非相溶ポリマーとして環状オレフィン共重合体としてガラス転移温度Tgが190℃であるエチレン−ノルボルネン共重合体(COC)5重量部とを、調整混合し反射層材料Bとし、これを用いた以外は、実施例1と同様の方法によってポリエステルフィルムを得た。実施例6においても、製膜安定性があり、湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例7)
反射層材料についてポリエチレンテレフタレート1を45重量部に、そして非相溶ポリマーとしてのポリメチルペンテンを40重量部と変更し反射層材料Cとしこれを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。少し製膜安定性は落ちたものの、モジュール化による発電向上率は良好であり、湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例8)
拡散層材料について、上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を60重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を40重量部として拡散層材料Bを用いた以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、少し製膜安定性は落ち、モジュール化による発電向上率は良好であったが、湿熱処理後のテープ剥離性は実施例1と比べるとやや低下したが、実用上問題ないレベルであった。
(実施例9)
反射層材料として、上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を90重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を10重量部として反射層材料Dを用いた以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好で湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例10)
ポリエステルフィルムの各層の厚みを、A/B/A(反射層/拡散層/耐UV層)の順に188:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得る以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好で湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった。
(実施例11)
ポリエステルフィルムの各層の厚みを、A/B/A(反射層/拡散層/耐UV層)の順に12:126:188となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得る以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好で湿熱処理後のテープ剥離性も良好で、無機粒子の滑落はなかった。
また、湿熱処理後のテープ剥離性は最も高いレベルであった。
(実施例12、13、14)
ポリエステルフィルムの各層の厚みを、A/B/A(反射層/拡散層/耐UV層)の順に12:76:12(実施例12)、8/84/8(実施例13)、5/60/5(実施例14)となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得ることに変更したことと実施例14は縦倍率を3.5倍、横倍率は3.7倍に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。これら実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好で湿熱処理後のテープ剥離性が良好であった。ただ、拡散層の厚みを薄くすると湿熱処理後のテープ剥離性は少し低下する傾向がみられた。さらに、縦、横倍率を高くした実施例14は、耐湿熱性が高く発電向上維持率が高い傾向が見られ、厚みの割りに空洞含有率が大きくなり、比重が小さく、発電向上率が良くなった。
(実施例15)
使用したポリエステルテレフタラートの固相重合の時間を2時間に変更して固有粘度0.60、COOH基40.0eq/t、融点255℃、ガラス転移温度Tg82℃のポリエチレンテレフタレート2を得た。押し出し機に投入するポリエチレンテレフタラートをポリエチレンテレフタレート1からポリエチレンテレフタレート組成物2に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み300μmのポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好であったが、湿熱処理後のテープ剥離性はやや劣る結果であったが、実用上問題ないレベルであった。この結果は、ポリエチレンテレフタラートの耐湿熱性が不足したためと推定される。
(実施例16)
反射層材料として上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を90重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの炭酸カルシウム50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して炭酸カルシウム50重量%含有)を10重量部とした反射層材料Eを用いた以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性があり、モジュール化による発電向上率は良好で湿熱処理後のテープ剥離性も良好であった
(実施例17)
以下の原料を用いて、厚さ126μmの単層(当該層を本実施例ではB層と称する)フィルムとした以外は、実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。B層材料として、ポリエチレンテレフタレート1を73重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5重量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10重量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン10重量部にくわえ、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を2重量部、調整混合して用いた。物性は表の通りである。この実施例においては、発電向上維持率はやや劣るものの、製膜安定性、発電向上率、湿熱処理後のテープ剥離性はまずまずであった。
(実施例18)
積層装置を変更してA層(拡散層)、B層(反射層)のみからなる2層フィルムとなるようにして、ポリエステルフィルムの各層の厚みを、A/B/(反射層/拡散層)の順に24:126となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得ることに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。物性は表の通りである。この実施例においては、発電向上維持率はやや劣るものの、製膜安定性、発電向上率、湿熱処理後のテープ剥離性はまずまずであった。
(実施例19)
外層を構成する原料を上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1のチップ90重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの硫酸バリウム50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して硫酸バリウム50重量%含有)を10重量部とを、180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された拡散層材料Cとしこれ以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、製膜安定性は十分であったが、発電向上維持率にやや劣る結果となった。
(比較例1、2)
実施例1からポリエチレンテレフタレート1の重合方法として酢酸マンガン、リン酸、リン酸水素ナトリウム2水和物の添加量を表のMn、Ca、P量となるように変更すること以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。これらの例では、製膜安定性は良好であったが、発電向上維持率、湿熱処理後のテープ剥離性に劣っていた。
(比較例3)
外層を構成する原料を上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を10重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を90重量部とを、180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された拡散層材料Dとし、180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入する。反射層を構成する原料を上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を41重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を4重量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を5重量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン10重量部と無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を45重量部、調整混合した反射層材料Gを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入する。これら以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この例においては、製膜安定性が悪く、発電向上維持率が不足しており、湿熱処理後のテープ剥離性も劣っていた。
(比較例4)
ポリエチレンテレフタレート1を82重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5重量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10重量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン3重量部とを、調整混合した反射層材料Hを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入する。それ以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この実施例においては、少し製膜安定性は良好であったが、モジュール化による発電向上率が不足していた。
(比較例5)
拡散層材料として、上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を99重量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有)を1重量部とを、180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された拡散層材料Eとし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入する。それ以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この例においては、製膜性は良好であったが、発電向上率は不十分であった。
(比較例6)
ポリエチレンテレフタレート1を35重量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5重量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10重量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン50重量部とを、調整混合した反射層材料Iを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入する。それ以外は実施例1と同じ方法でポリエステルフィルムを得た。物性は表のとおりである。この例においては、製膜安定性が悪いフィルムであった。また、空洞が多いため湿熱処理後のテープ剥離性に劣り、フィルム切れが発生した。
Figure 2016146462
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本発明のポリエステルフィルムは、高い光反射特性を持つことにより太陽電池の発電効率を向上させることができ、かつ、耐湿熱性、耐湿熱処理後の耐テープ剥離性に優れるため、太陽電池バックシート用途に好適に用いることができる。
1:太陽電池
2:太陽電池バックシート
3:裏側封止材
4:表側封止材
5:カバー材
6:太陽電池セル
7:拡散層
8:反射層
9:拡散層(耐UV層と称する場合もある)

Claims (10)

  1. 以下(1)〜(3)を満たす太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
    (1)フィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であること。
    (2)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上20重量%以下であること。
    (3)フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、P元素を含有し、かつ、Mn元素、Ca元素の少なくとも1種の元素を含有しており、前記ポリエステル組成物全体に対するアルカリ金属元素の含有量をM1(mol/t)、前記ポリエステル組成物全体に対するMn元素含有量とCa元素含有量の合計をM2(mol/t)とするとき、下記(i)式で求められる、前記ポリエステル組成物における金属含有量M(mol/t)と、前記リン元素の含有量P(mol/t)とが、下記(ii)式を満たすこと。
    (i)M=M1/2+M2
    (ii)1.1≦M/P≦3.0
  2. 少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムである以下(4)〜(5)を満たす請求項1に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
    (4)少なくとも1層が、当該層におけるフィルム断面の空洞含有率が5%以上50%以下であること。
    (5)少なくとも1層が、当該層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して無機粒子を1重量%以上50重量%以下含有していること。
  3. 3層からなる積層ポリエステルフィルムであって、最外層(拡散層)が(5)を満たす層であり、内層(反射層)が(4)を満たす層である請求項2に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  4. 内層(反射層)が、非相溶ポリマーを含有しており、その含有量が当該層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して8重量%以上40重量%以下である請求項3に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  5. フィルム全体の厚みが70μm以上500μm以下であり、最外層(拡散層)の少なくとも片側の層厚みが5μm以上である請求項3または4に記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  6. フィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が25当量/t以下である請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  7. フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に含有する硫酸バリウムの量が1重量%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  8. フィルムの少なくとも片面が、湿熱テープ剥離試験における剥離強度が3N/15mm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムを用いた太陽電池バックシート。
  10. 請求項9に記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池。
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