JP2020050876A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性及び耐湿熱性に優れ、屋外に長期間置かれてもセルを雨などの外的影響から保護することができる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして好適なポリエステルフィルムを容易に提供する。【解決手段】示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において冷結晶化ピークと微少吸熱ピークをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満であり、前記微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)を205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有し、白色顔料を含むポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関するものである。
近年、環境負荷や安全性を考慮し、火力や原子力によらず、風力や太陽光などの再生可能な資源を活用した発電方法が注目されている。中でも、太陽光発電は、二酸化炭素等温室効果ガスの排出が伴わないクリーンなエネルギーであること、また、風力発電ほど設置場所を選ばず比較的コンパクトなモジュールを利用していることなどから、普及が加速している。
一般に、太陽電池モジュールは、受光面側から順にカバー材、表側封止材、光電変換を行うセル、裏側封止材、およびバックシートが積層された構成である。
この中で、バックシートとしてポリエステルフィルムが一般的に用いられており、セルを雨などの外的影響から保護することが主目的となっている。太陽電池は、その特性上、屋外にて長期間使用されるため、バックシートに用いられるポリエステルフィルムには高い耐侯性が要求される。
これまでに、太陽電池バックシート用に用いられるポリエステルフィルムの耐候性(耐光性及び耐加水分解性)を高める検討がなされている(特許文献1〜2)。
特開2012−200981号公報 特開2011−105876号公報 特許5306274号公報
太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムは、屋外に長期間設置されてもセルを雨などの外的影響から保護することが要求されているが、その性能は上記の特許文献1では不十分であった。一方、特許文献3において、フィルムの冷結晶化温度やそれに関連したパラメーターをコントロールすることで、太陽電池バックシートとして用いられるポリエステルフィルムの耐湿熱性を高めることができる旨が開示されているが、本発明者らが鋭意検討したところ、使用する原料として冷結晶化温度が高いものを選択する必要がある等の制約があり、原料を安定的に入手しにくく、容易に提供できると言えるものではなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、耐光性及び耐加水分解性(以下、耐湿熱性とも言う)に優れて屋外に長期間置かれてもセルを雨などの外的影響から保護することができる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして好適なポリエステルフィルムを容易に提供することである。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。
(1)示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において冷結晶化ピークと微少吸熱ピークをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満であり、前記微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)を205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有し、白色顔料を含むポリエステルフィルム。
(2)前記ポリエステルフィルムが少なくとも2層を有する積層フィルムであり、少なくとも一つの層に白色顔料を含有する、(1)に記載のポリエステルフィルム。
(3)ポリエステルフィルム全体に対する白色顔料の含有量が2.5重量%以上であり、白色顔料の含有量が層全体に対して10%重量以上である層を少なくとも一層有する、(2)に記載のポリエステルフィルム。
(4)150℃下に30分保持した時の熱収縮率が1.2%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(5)太陽電池バックシートに用いる(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法であって、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えるポリエステル樹脂を溶融混練・押出し、冷却固化して未配向ポリエステルシートを得た後、フィルムの走行方向(MD方向)および/またはフィルムの走行方向とは垂直な方向(TD方向)に延伸した後、210〜250℃で熱処理しながら、TD方向に0〜10%弛緩する工程を含むポリエステルフィルムの製造方法。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法であって、白色顔料の含有量が40〜60重量%であって、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えて165℃未満であるポリエステル樹脂と、白色顔料の含有量が0.5重量%以下であり、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が165℃を超えて180℃未満であるポリエステル樹脂を、溶融混練・押出し、冷却固化して未配向ポリエステルシートを得た後、フィルムの走行方向(MD方向)および/またはフィルムの走行方向とは垂直な方向(TD方向)に延伸した後、210〜250℃で熱処理しながら、TD方向に0〜10%弛緩する工程を含むポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、耐光性及び耐湿熱性に優れ、屋外に長期間置かれてもセルを雨などの外的影響から保護することができる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして好適な積層ポリエステルフィルムを容易に得られる。
図1は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。
次に、本発明のポリエステルフィルムの実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において冷結晶化ピークと微小吸熱ピークをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満であり、前記微小吸熱ピークのピークトップ温度を205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有することが必要である。
本発明の発明者らが鋭意検討した結果、ポリエステルフィルムは、耐湿熱性の観点からは、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が高いことが好ましいが、実際には、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満が生産性の観点からより好ましい。この現象については、現時点完全に明らかになっている訳ではないが、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が低い、すなわち結晶化しやすく結晶化度が高いフィルムの場合、結晶化している部分では湿熱に対する影響を受けにくくなるものの、フィルムが脆くなりやすくなるためと、本発明者らは推定している。
一方で、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムなどに用いる際には、耐光性が付与されていることが好ましいが、耐光性を向上させる方法として白色顔料を含有せしめることが挙げられる。しかしながら、白色顔料を含有せしめると、特に、細かく分散させた白色顔料を含有せしめるほど、白色顔料の表面積が大きくなり、ポリエステル樹脂の結晶化のための結晶核となりやすくなるためフィルムとした時の冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が低下する傾向がある。また、ポリエステル樹脂中の白色顔料の表面積が大きくなるような場合は、白色顔料が核材となり、フィルム中に白色顔料の周りに樹脂と白色顔料の非相溶性により、空洞を形成しやすくなるため、耐湿熱性が悪化する場合がある。このように、従来技術では、耐湿熱性と耐光性を両立するのは困難であった。本発明では、ポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満でありながらも、ポリエステルフィルムの微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)を特定の範囲とすることで、耐湿熱性と耐光性を両立することを見出したものである。
ポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)を160℃未満にするためには、ポリエステルフィルムの原料に用いるポリエステル樹脂の最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)を高くすることが好ましく、これは既知の方法で達成容易である。一方で、太陽電池用バックシートに用いられるポリエステルフィルムは、後述するように、耐光性の観点から、白色顔料を含むことが必要であるが、一般に白色顔料は、フィルム中の分散性を考慮するために、フィルムの製造に供する前に、あらかじめポリエステル樹脂に白色顔料を混錬したマスターバッチを用いることが多い。また、白色顔料やポリエステルに溶解せず分散するような添加剤は、結晶核となり、ポリエステルの結晶化を促進する効果(Tccを下げる)がある上に、マスターバッチ化やフィルム化の際の溶融混練時に、当該白色顔料に含まれる微量な水分にて加水分解等や、白色顔料自体が熱分解の触媒作用を担っている可能性もあるため、白色顔料を含んだポリエステル樹脂のマスターバッチにおいて最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)は165℃を超えるものとすることが好ましい。これは、耐光性のために白色顔料を添加することでフィルムの製造時における熱による結晶化が進み、フィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が低下しやすくなるため、あらかじめ白色顔料を含んだポリエステル樹脂(マスターバッチ)の最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)をフィルムのTccよりも高く設定することが好ましい。そのため、白色顔料を含んだフィルムにおいて、フィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃を超えるものとすることは容易ではない。また、ポリエステル樹脂に白色顔料を含有させる際に、Tccを低下させない方法としては、ポリエステル樹脂に混錬する前に、あらかじめ白色顔料に含まれる水分を極めて高いレベルで除去したり、特殊な表面処理を施した白色顔料を用いる方法があるがこれらの方法は別の工程を余分に行わなければならないため容易とはいえない。耐湿熱性・耐光性の高いポリエステルフィルムを得るために、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が160℃を超えるポリエステル樹脂では耐湿熱性は良化するが耐光性に劣り、白色顔料を添加するとポリエステル樹脂の最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)は低下するので、白色顔料を考慮した最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)とすることが重要である。
一方、耐湿熱性の観点からは、ポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満の場合でも、微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)を205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有することにより、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池用バックシートとして用いると、耐湿熱性に優れたポリエステルフィルムとすることができる。
しかし、ポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満の場合で、微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)が205〜230℃の範囲にない場合、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池用バックシートとして用いても、耐湿熱性が劣るだけでなく、205℃未満の場合は後述する熱収縮率が高くなり、230℃を超える場合は後述する横延伸工程での熱量過多のためにフィルムの平面性が悪化するため、太陽電池用バックシートとして用いることができない。そのためポリエステルフィルムの微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)は、205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有することが必要であり、210℃以上220℃以下であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)は130℃以上であることが好ましい。冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が130℃を下回ると、微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)が205〜230℃の範囲にあったとしても、耐湿熱性が低下してしまうことがあるためである。冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)は、135℃以上160℃未満であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも2層を有するポリエステルフィルムであることが好ましい。例えば、一方を主層、もう一方を副層としたとき、一方の表層に耐光性、もう一方の表層に太陽電池セルの封止材との接着性を付与するなど、機能分離が可能になるためである。
単層のポリエステルフィルムであると、相反する機能を同居させることができないことがある。例えば、本発明のポリエステルフィルムを、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして用いる場合、太陽電池セルの封止材との接着する側(図1の7)の表層に、光反射率を高めるための空洞や、後述する耐光性を担保させるための白色顔料を多く含むと、密着力が低下してしまうため、太陽電池を組み込んだときに太陽電池を保護する目的を達成できないことがある。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも2層を有する積層フィルムであり、少なくとも1つの層に白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料を含有することで、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして用いる場合、屋外曝露による劣化を抑制し、セルなどを長期間保護することが可能となる。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に含有する白色顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、タルク、カオリン、およびフッ化カルシウム等などを用いることが可能である。これらの中でも、耐光性および光反射特性などの観点から酸化チタンを用いることが好ましい。
白色顔料の平均粒子径としては、白色度や光反射特性の向上や、Tccの低下の抑制、フィルムの空洞発現を抑制する観点から0.03μm以上0.25μm以下であることが好ましい。
特に、太陽電池として本発明のフィルムを用いる場合、白色顔料としては反射性能に優れる酸化チタンを用いることができる。酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。中でも、耐光性の観点からルチル型酸化チタンを用いることが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、前述した白色顔料を含有しており、その含有量がポリエステルフィルム全体に対して2.5重量%以上であり、層全体に対して10重量%以上である層を少なくとも一層有することが好ましい。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物の白色顔料の含有量が2.5重量%未満であると、耐光性が不足するため、屋外設置できず、かつ光反射特性が十分でなく、太陽電池の発電効率を向上する効果が十分に得られない場合がある。また、層全体に対して10重量%以上である層を少なくとも一層有することにより、耐光性を片面で担保し、もう一方の面において封止材との密着性を担保させるなど、機能分離できるため、好ましい。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、あるいは、ヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの誘導体とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸などで代表されるものである。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明においては、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。このポリエステル樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤および帯電防止剤などが添加することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、150℃下に30分保持した時の熱収縮率が1.2%以下であることが好ましい。熱収縮率を1.2%以下であると、封止材との貼合わせ工程などモジュール化までの各工程における寸法変化が小さくなり、モジュール化が容易となるため、好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全体の厚みが23μm〜500μmの範囲であることが好ましい。厚みが23μmより薄いと、光反射性能と光拡散性能の効果が不十分となり、発電効率を向上させるという性能が不足したり、耐光性が不十分となり、屋外での長期間設置に耐えられない場合がある。また、厚みが500μmより厚いと、生産性が悪化し、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いる場合、太陽電池バックシートの重量が重くなってしまう場合がある。より好ましくは38μm〜250μmの範囲であり、特に好ましくは38μm〜188μmの範囲である。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムであり、少なくとも片側の表層に白色顔料を含有しており、当該表層の層厚みが12μm以上であることが好ましい。太陽電池セル側に置かれる表層(以下、副層という場合がある)の層厚みが12μm以上であると、その表層が太陽電池側から入射される紫外線が反射する反射層の役割を果たし、反射した光を太陽電池セルへ拡散することが可能となり、太陽電池の発電効率を高めることが可能となる。また、ポリエステルフィルムが2層からなる場合には、太陽電池セルとは反対側の層(もう片方の層であり、以下、主層という場合がある。)、ポリエステルフィルムが3層からなる場合には、前記反射層に隣接する層(中間層であり、以下主層という場合がある。)の厚みもしくは、反射層に隣接する層(中間層)と中間層に対して反射層の反対側の層(以下、副層と反対側の層という場合がある)の場合はその合計の厚みを12μm以上とすると、耐光性を高めることが可能となる。以上から、2層構成である場合は、副層の厚みと、主層の厚み、3層構成である場合は、副層と主層と副層と反対側の層の合計の厚み、いずれも12μm以上であることが、発電効率、耐紫外線性向上の観点から好ましい。また、ポリエステルフィルムは紫外線や、雨風により少しずつ膜減りすることが知られているため、表層の厚みは20μm以上であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを構成する白色顔料を含有する副層の空洞含有率は、耐湿熱性の観点から、3.0%以上10.0%以下とすることが好ましい。また、中間層、副層と反対側の層においても、空隙率は0.1%以上1.0%とすることがフィルム強度や製膜安定性の観点から好ましく、フィルム全体としては、0.3%以上2.5%以下である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物は、固有粘度が0.5以上1.0以下であることが機械特性、耐熱性の点から好ましい。より好ましくは、0.7以上0.9以下である。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物においては、末端カルボキシル基量(以降、COOH末端基量と称する場合がある)が25eq./t(equivalent/ton)以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。さらに好ましくは14eq./t以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方のフィルム表面側から測定した平均相対反射率が80%以上であることが、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いたとき、太陽電池モジュールの発電効率を向上できるため好ましい。平均相対反射率が80%未満である場合、太陽電池モジュールの発電効率向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法として、白色顔料の含有量が40〜60重量%であって、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えて165℃未満であるポリエステル樹脂(白色顔料マスターバッチ)と、白色顔料の含有量が0.5重量%以下であり、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が165℃を超えて180℃未満であるポリエステル樹脂(希釈用ポリエステル樹脂)を、溶融混練・押出し、冷却固化して未配向ポリエステルシートを得た後、フィルムの走行方向(MD方向)および/またはフィルムの走行方向とは垂直な方向(TD方向)に延伸した後、210〜250℃で熱処理しながら、TD方向に0〜10%弛緩する工程を含むことが好ましい。白色顔料マスターバッチの白色顔料が40重量%未満の場合、本発明のポリエステルフィルムを製造する際の白色顔料マスターバッチ使用量が増えるため、白色顔料マスターバッチ加工費用が増大する上に、白色顔料マスターバッチの方がポリエステル樹脂が結晶しやすく最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)は低くなるため、白色顔料マスターバッチ使用量が増えると、本発明のポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)も下がってしまう場合がある。白色顔料マスターバッチの白色顔料が60重量%を超えると、白色顔料とポリエステル樹脂と混練し難くなり、白色顔料マスターバッチがうまく製造できないことがある上、うまく製造できたとしても、白色顔料マスターバッチの比重が上がりすぎるため、希釈用ポリエステル樹脂との溶融混練前のペレット状態での混合がし難く、押出装置への投入の際に、初期の段階は相対的に比重の大きな白色顔料マスターバッチが供給され、後期に相対的に比重の軽い希釈用ポリエステル樹脂が供給される、すなわち、本発明のポリエステルフィルムの白色顔料の含有率を均一にできなくなることがある。白色顔料マスターバッチの最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃以下であると、本発明のポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)も下がってしまう場合があり、好ましくない。白色顔料マスターバッチの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が165℃以上の場合、前述したように、白色顔料を含有せしめると、それが結晶核となり、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)は下がるため、白色顔料マスターバッチの製造が困難であり、本発明のポリエステルフィルムを継続的に安定生産できなかったり、原料調達コストが著しく上がる場合がある。希釈用ポリエステル樹脂の最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が165℃以下の場合、本発明のポリエステルフィルムの冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)も下がってしまう場合があり、好ましくない。また、180℃以上の場合、ポリエステル樹脂の固相重合時間が長くなったり、高温での処理が必要になったりするため、継続的に安定生産できなかったり、原料調達コストが著しく上がる場合がある。210〜250℃で熱処理することにより、本発明のポリエステルフィルムがTmetaを205−230℃範囲に少なくとも1つ有することができるようになる。また、熱処理温度が210℃未満の場合は、本発明のポリエステルフィルムの熱収縮率が悪化するため、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして用いる際の他部材との貼り合わせなどの後工程にて不具合が生じることがある。同様に250℃以上の場合は、フィルムが冷え切らないまま巻取工程前の搬送工程における張力等によりフィルムが波打つ(ウェービング)ため、後工程に不具合が生じることがある。TD方向への弛緩率が0%未満の場合、熱収縮率が悪化するため、上記同様の不具合が生じることがある。弛緩率が10%を超える場合、巻取工程前の搬送工程にて皺が生じて、上記同様の不具合が生じることがある。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法として、ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合、例えば、主層と副層の原料をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む製造方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)などが挙げられるが、本発明のポリエステルフィルムにおいては、共押出法が好ましい。
本発明において、主層と副層の上記の積層方法について具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
酸化チタンなどの白色顔料を含むポリエチレンテレフタレートをポリエチレンテレフタレートと共に乾燥機にて十分混合し乾燥させて、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。同様に、押出機Bにも供給し、Tダイ口金内で、押出機Aと押出機Bからのポリマーをそれぞれ押し出すことにより、主層と副層が積層されたシートとすることが可能である。単層フィルムの場合は、押出機A及びBに同じ原料を投入する、もしくは、押出機AあるいはBのどちらか一方のみを用いる方法が挙げられる。
このようにして溶融され積層されたシートを、ドラム表面温度が10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力によって密着冷却固化して未延伸フィルムとする。
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、以下(1)〜(6)を満たす製造方法で製造することが好ましい。
(1)ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、押出しし、冷却ドラム上にて冷却固化して未配向ポリエステルフィルムを得る工程(キャスト工程)を含むこと。
(2)(1)により得られた未配向ポリエステルフィルムを、長手方向に、延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.0〜4.0倍で延伸して、一軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(3)(2)の工程で得られた一軸配向ポリエステルフィルムを、幅方向に、延伸温度70〜150℃、延伸倍率3.0〜4.0倍で延伸して、二軸配向ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(4)(3)の工程で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、210〜250℃で熱処理しながら、幅方向に0〜10%弛緩する工程を含むこと。
(5)前記(4)で弛緩した二軸配向ポリエステルフィルムを、ロール形状に巻き取る工程(ワインダー工程)を含むこと。
以降(1)〜(5)の製造方法について説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム(主層、副層)を構成するポリエステル樹脂組成物をそれぞれの押出機で溶融混練した後、押出しし、冷却ドラム上にて冷却固化して未配向ポリエステルフィルムを得る共押出法が好ましい。溶融ラミネート法では主層と副層の間の密着力が弱く剥がれやすいからである。また、前記ポリエステル樹脂組成物として、DSC測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えるポリエステル樹脂を用いることにより、耐湿熱性が良好となるため、好ましい。
(1)のキャスト工程において、冷却ドラムに接触する面をドラム面(D面)と非ドラム面(非D面)とするとき、D面は冷却ドラムにより冷却され、非D面は、10−20℃のエアーで冷却することで破れにくいフィルムを製膜することができる。また、冷却ドラムの温度は、表層を構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度(以降Tgと称する)−70℃以上Tg−30℃以下であることが好ましい。冷却ドラムの温度を上記の範囲とすることで、未配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の熱結晶化度を適当な範囲に維持したまま縦延伸へと進むことが可能となる。上記の範囲から外れる場合、D面側の熱結晶化度が適当な範囲とならないため、これが原因でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。冷却ドラムの温度は、冷却ドラムの温度が冷却ドラムに接する層を構成するポリエステル樹脂のTg−60℃以上Tg−35℃以下であることが好ましく、Tg−55℃以上Tg−40℃以下であることが特に好ましい。
また、前記、冷却ドラムに接触している時間(滞留時間)は、20秒以上120秒以下であることが好ましい。20秒より短いとポリマーの冷却が急激となるため、熱結晶化が大きく発生し、縦延伸以降でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。冷却ドラムに接している時間が60秒を超える場合は、ドラムが巨大になるか、ドラムの回転速度がかなり遅くなるため、経済的でなく、また、熱結晶化が小さすぎて、縦延伸以降でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。冷却ドラムに接触している時間(滞留時間)は、20秒以上60秒以下であることが好ましく、25秒以上45秒以下であることが特に好ましい。
冷却されたフィルムはまず、長手方向に延伸される。このとき、延伸温度は70〜120℃、延伸倍率は2.0〜4.0倍で延伸して、一軸配向ポリエステルフィルムを得ることが好ましい。この範囲で生産すると生産性を良好に維持したまま、得られるポリエステルフィルムの耐久性を良好にできるため好ましい。
幅方向の延伸は、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、70〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸することが好ましい。長手方向、幅方向の延伸温度、延伸倍率を上記の範囲とすることにより、フィルム破れなどの発生を抑制できるため好ましい。
二軸配向ポリエステルフィルムを、210〜250℃で熱処理しながら、幅方向に0〜10%弛緩する工程を含むと、DSC測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えるポリエステル樹脂を溶融混練・押出し、前述するような方法で2軸配向したポリエステルフィルムであれば、耐湿熱性が良好となるため、好ましい。冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が135℃以下のポリエステル樹脂を用いた場合、当該ポリエステル樹脂からなる二軸配向ポリエステルフィルムを210〜250℃で熱処理しながら、幅方向に0〜10%弛緩する工程を含んだとしても、耐湿熱性が低下する場合があり、好ましくない。
次の工程で均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取る工程を含むことが好ましい。巻き取ることで生産されたフィルムを一度に多量に運搬することができるため経済的である。
本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いることで、耐光性及び耐湿熱性に優れる太陽電池を得ることができる。
太陽電池は、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の前述の太陽電池バックシートの順に積層され、加熱され得られる。
本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いるときの、太陽電池の概略構成を一例として図1に示す。
図1は、本発明のポリエステルフィルムが、表層、基材層を有する2層積層構成である場合の、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。太陽電池バックシート2は、主層7と副層8が積層されており、主層7は封止材3側に位置することが好ましい。
太陽電池に用いられる封止材としては、EVA、シリコン樹脂、ポリウレタンおよび変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点からEVAが好ましく用いられる。
以下、本発明のポリエステルフィルムについて実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)製膜安定性
ポリエステルフィルムを原料入手などが容易で、かつ、安定に製膜することができるか、下記の基準で評価した。
◎:原料入手容易で、48時間以上安定に製膜できる。
○:原料入手容易で、24時間以上48時間未満安定に製膜できる。
△:原料入手容易で、12時間以上24時間未満安定に製膜できる。
×:原料入手が困難、あるいは、12時間以内に破断が発生するなど、継続的に製膜ができない。あるいは評価に足るフィルムが得られない。
(2)ポリエステルフィルムの全体厚みと各層の厚み
ポリエステルフィルムの厚みは、JIS C2151:2006に準じて測定した。ポリエステルフィルムを、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から層の厚みの平均値を採寸し各層の厚みと各層の厚みの合計である総厚みを算出した。
(3)白色顔料含有量
測定試料を秤量し、重さをm1とする。秤量した試料を試料ボートに乗せ、試料ボートをマッフル炉に入れ、900℃にて灰化する。デシケータ内で室温まで試料ボートを冷却し、重さを秤量してmとする。白色顔料含有量(質量%)を下記式で算出する。この試行を5回行い、算術平均を以て含有量(質量%)とする。
(m2−m)/m1×100 ただし、mは試料ボートの重さ。
(4)白色顔料平均粒子径 及び 空洞含有率
白色顔料平均粒子径については、フィルムをミクロトームで厚み方向に切断し、得られたサンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、10000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から粒子径を算出し、平均したものとした。
空洞含有率については、前記機器を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から空洞の面積割合を算出し、その3点の平均値から、フィルム全体または各層の断面方向に占める空洞の面積の割合を、次の式に従い算出した。
・空洞のフィルム全体または各層の断面方向に占める面積の割合
=視野内の空洞の面積/視野内のフィルム全体または各層の面積。
(5)固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又はポリエステルフィルム)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計により測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(I)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・(I)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に白色顔料などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2mg/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/100mL))
iv)iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(C)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
(6)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する)
末端カルボキシル基量について、 Mauliceの方法に準じて、以下の条件よって測定した。ポリエステルフィルム2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基量を測定し、当量/ポリエステル1トン(eq./t)の値で示す。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とする。
なお、ポリエステル組成物を溶解させた溶液中に不溶物がある場合は、溶液を濾過して濾物の重量測定を行い、濾物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量として測定する。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
(7)冷結晶化ピークトップ(Tcc)及び微小吸熱ピークトップ(Tmeta)
JIS K7122(JISハンドブック1999年版)記載の方法に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度Tgや結晶化ピークを測定した。結晶化ピークが複数の場合、最も高温側を冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)とした。また、ショルダーピークの場合は変曲点の温度を読み取った。測定は、サンプルパンにフィルムサンプルを5mg秤量し、昇温速度は20℃/min、1stRUNで樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行った。得られた1stRunのDSC曲線における結晶融解ピーク前の微小吸熱ピーク温度をTmetaとした。得られた2ndRunのDSC曲線(結晶化エンタルピー)におけるTgの後、融解ピークの前にある結晶化ピーク(及びショルダーピーク)のピークトップ(及び変曲点)の温度を結晶化温度Tccとした。
(8)平均相対反射率
分光光度計U−3410(日立製作所(株)製)を用いて、波長400〜700nmの範囲の分光反射率を波長10nm間隔で測定し、その平均値を平均相対反射率とした。サンプル数はn=5とし、それぞれの平均相対反射率を測定して、その平均値を算出した。測定ユニットはφ60mmの積分球(型番130−0632)を使用し、10°傾斜スペーサーを取り付けた。また、標準白色板には酸化アルミニウム(型番210−0740)を使用した。なお、フィルムが積層フィルムである場合には、白色顔料含有量が多い側から測定した。
(9)熱収縮率
ASTM D1204記載の方法に準じて、100mm角のフィルムサンプルを採取し、各辺の中央部に3点穴を開ける。このとき、各辺の3点の穴は、長手方向及び幅方向それぞれ向かい合う辺の3点の穴と同じ位置になるようにする。穴を開けたフィルムサンプルを、150℃±2℃の環境下で30分加熱する。放冷後のサンプルの向かい合う辺の穴同士の距離を測定し、次式にて熱収縮率を定義する。
熱収縮率(%)=((加熱前の長さ−加熱後の長さ)/(加熱前の長さ))×100
長手方向、幅方向、各3つの穴同士の距離から算出される熱収縮率の平均を取り、より大きい方の熱収縮率を本発明における熱収縮率とした。
(10)平面性
フィルムをランダムに10cm角に切り出し、平坦なSUS板の上に静置したのち、4辺のうち向かい合う2辺のみテープで固定する。SUS板の表面を0°、SUS板表面から最も浮いているフィルムの点との距離dを測定する。得られた値から平面性を下記のように判定した。
d≦3mm:○
3mm<d≦5mm:△
5mm<d:×
○及び△であれば、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして、好適に用いることができる。
(11)耐光性
ポリエステルフィルムを、アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)にて、波長365nmで100mW/cm、60℃、50%RH、48hrの条件で紫外線照射を行った。積層ポリエステルフィルムの場合は、白色顔料を含有する層側へ紫外線照射処理を行った。照射処理前のサンプルと照射処理後のサンプルのb値をColor Meter ZE2000(日本電光社製)にて、C光源2°視野、反射にて測定を行った。サンプル数はn=3とし、平均値をb値とした。UV照射処理前のサンプルのb値をb0、UV照射処理後のサンプルのb値をb1とし、Δb値を下記の式により求め、得られたΔb値から、耐UV性を下記のように判定した。
Δb値=b0−b1
Δb値17未満:○
Δb値17以上24未満:△
Δb値24以上:×
○及び△であれば、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして、好適に用いることができる。
(12)耐湿熱性
ポリエステルフィルムを幅方向1cm×長手方向20cmの大きさに切り出し、チャック間10cm、引張速度200mm/minでの破断伸度をテンシロンにより測定した。サンプル数はn=5とし、これらの平均値をE0(MD)とした。同じく、ポリエステルフィルムを長手方向1cm×幅方向20cmの大きさに切り出して同様に測定して得られた値をE0(TD)とした。
一方、ポリエステルフィルムを幅方向1cm×長手方向20cmの大きさに切り出した後、高度加速寿命試験装置(エスペック株式会社製 EHS−221)にて、120℃、100%RH、不飽和の条件で60時間処理を行った。処理後のサンプルを、チャック間10cm、引張速度200mm/minでの破断伸度をテンシロンにより測定した。サンプル数はn=5とし、これらの平均値を120℃、100%RH、60時間処理後における長手方向の破断伸度E1(MD)とした。同様の評価を、ポリエステルフィルムを長手方向1cm×幅方向20cmの大きさに切り出したものについても、サンプル数はn=5として実施し、得られた値の平均値を120℃、100%RH、60時間処理後における幅方向の破断伸度E1(TD)とした。
なお、耐湿熱性として、120℃、100%RH、60時間処理の処理前と処理後の破断伸度から、
E1(MD)/E0(MD)×100=MD耐湿熱性(%)
E1(TD)/E0(TD)×100=TD耐湿熱性(%)
として、耐湿熱性を算出した。ここで、長手方向(MD)は製膜方向、幅方向(TD)は製膜方向と垂直な方向(製膜時の幅方向)をそれぞれ示すものである。
ここで、耐湿熱性の評価は以下のように行った。
MD耐湿熱性とTD耐湿熱性がいずれも50%以上:◎
MD耐湿熱性とTD耐湿熱性のいずれか一方のみ50%以上、もう一方が30%以上50%未満:○
MD耐湿熱性とTD耐湿熱性のいずれも30%以上50%未満:△
MD耐湿熱性とTD耐湿熱性のいずれかが30%未満:×
◎〜△が良好であり、◎が最も優れている。
次に、本発明について実施例を用いて説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定して解釈されるものではない。
(ポリエチレンテレフタレート調製)
PET−A
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、カルボキシル基量16eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.85、末端カルボキシル基量10.2eq/t、融点255℃、ガラス転移温度Tgが82℃、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が168℃のポリエチレンテレフタレート(PET−A)を得た。
PET−B
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、カルボキシル基量16eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、12時間の固相重合を行い、固有粘度1.09、末端カルボキシル基量7.7eq/t、融点258℃、ガラス転移温度Tgが84℃、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が179℃のポリエチレンテレフタレート(PET−B)を得た。
PET−C
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度270℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.50、カルボキシル基量14eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.83、末端カルボキシル基量11.0eq/t、融点253℃、ガラス転移温度Tgが82℃、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が165℃のポリエチレンテレフタレート(PET−C)を得た。
PET−D
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度300℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.65、カルボキシル基量12eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、12時間の固相重合を行い、固有粘度1.15、末端カルボキシル基量7.0eq/t、融点260℃、ガラス転移温度Tgが85℃、冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が182℃のポリエチレンテレフタレート(PET−B)を得た。 (白色顔料マスターバッチ調製)
MB−A
PET−Aに白色顔料として数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン(ルチル型)50重量%を分散させた白色顔料マスターバッチ(MB−A)(マスターバッチチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有、当該マスターバッチチップはポリエステル成分として、PET−Aのみを含む)を得た。冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)は142℃であった。
MB−B
PET−Bに白色顔料として数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン(ルチル型)50重量%を分散させた白色顔料マスターバッチ(MB−B)(マスターバッチチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有、当該マスターバッチチップはポリエステル成分として、PET−Bのみを含む)を得た。冷結晶化温度は164℃であった。
MB−C
PET−Cに白色顔料として数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン(ルチル型)50重量%を分散させた白色顔料マスターバッチ(MB−C)(マスターバッチチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有、当該マスターバッチチップはポリエステル成分として、PET−Cのみを含む)を得た。冷結晶化温度は136℃であった。
MB−D
PET−Aに白色顔料として数平均二次粒径0.60μmの硫酸バリウム60重量%を分散させた白色顔料マスターバッチ(MB−D)(マスターバッチチップ総量に対して硫酸バリウム60重量%含有、当該マスターバッチチップはポリエステル成分として、PET−Aのみを含む)を得た。冷結晶化温度は145℃であった。
MB−E
PET−Aに白色顔料として数平均二次粒径0.90μmの炭酸カルシウム40重量%を分散させた白色顔料マスターバッチ(MB−E)(マスターバッチチップ総量に対して炭酸カルシウム40重量%含有、当該マスターバッチチップはポリエステル成分として、PET−Aのみを含む)を得た。冷結晶化温度は148℃であった。
(実施例1)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを99.5重量%と、MB−Aを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを76重量%と、MB−Aを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/B(主層/副層)となり、フィルム層の厚み比で120:30となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、40秒間冷却固化した。その間、ドラムに接触しない側は15℃のエアーを風速20m/秒でかけることで冷却をおこなった。こうして得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で220℃の温度及び弛緩率5%の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例2)
熱固定の温度を210℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例3)
熱固定の温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、実施例1よりも平面性及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例4)
主層構成原料の比率及び副層厚みを変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例5)
副層厚みを変更した以外は、実施例4と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例6)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを99.5重量%と、MB−Bを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを76重量%と、MB−Bを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
上記、及び熱固定の温度を210℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例7)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを99.5重量%と、MB−Cを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを76重量%と、MB−Cを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
上記、及び熱固定の温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表1に示すとおりであり、実施例1よりも平面性及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例8)
全体厚みを23μmに変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、実施例1よりも平面性及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例9)
全体厚みを500μmに変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例10)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを99.5重量%と、MB−Aを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを76重量%と、MB−Aを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
上記、及び熱固定の温度を230℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例11)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Cを99.5重量%と、MB−Aを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Cを76重量%と、MB−Aを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
上記、及び熱固定の温度を215℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例12)
副層原料の比率を変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例13)
横延伸における弛緩率を変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例14)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを99.5重量%と、MB−Bを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを76重量%と、MB−Bを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
上記、及び熱固定の温度を210℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表2に示すとおりであり、太陽電池バックシートとして好適に用いることができる結果であった。
(実施例15)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを99.5重量%と、MB−Dを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを80重量%と、MB−Dを20重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1に比べて耐光性及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例16)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを99.5重量%と、MB−Eを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを70重量%と、MB−Eを30重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1に比べて耐光性及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例17)
副層構成原料の比率を変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1と比べて耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例18)
熱固定温度と弛緩率を変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例19)
積層構成を3層(B/A/B=副層/主層/副層)に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1と比べて耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例20)
主層原料及び副層原料の白色顔料マスターとポリエステルの比率を変更した以外は、実施例15と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性、耐光性、及び耐湿熱性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(実施例21)
副層厚み及び主層厚みを変更した以外は、実施例4と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表3に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性、及び耐光性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(比較例1)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Dを99.5重量%と、MB−Bを0.5重量%とを調整混合し、主層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Dを76重量%と、MB−Bを24重量%とを調整混合し、副層原料とした。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/B(主層/副層)となり、フィルム層の厚み比で120:30となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、40秒間冷却固化した。その間、ドラムに接触しない側は15℃のエアーを風速20m/秒でかけることで冷却をおこなった。こうして得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で255℃の温度及び5%の弛緩率の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性が劣る結果であった。
(比較例2)
弛緩率を12%に変更する以外は、参考例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性が劣る結果であった。
(比較例3)
熱固定温度を205℃に変更する以外は、参考例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(比較例4)
熱固定温度を205℃に変更する以外は、参考例2と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1と比べて平面性が劣るものの、太陽電池バックシートとして用いることができる結果であった。
(比較例5)
主層を構成する原料として、上で作成したPET−Bを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに投入した。
副層を構成する原料として、上で作成したPET−Aを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/B(主層/副層)となり、フィルム層の厚み比で120:30となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、40秒間冷却固化した。その間、ドラムに接触しない側は15℃のエアーを風速20m/秒でかけることで冷却をおこなった。こうして得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で220℃の温度及び5%の弛緩率の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1と比べて耐光性及び耐湿熱性が劣る結果であった。
(比較例6)
熱固定の温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1よりも平面性及び耐湿熱性が劣る結果であった。
(比較例7)
熱固定の温度を205℃に変更した以外は、実施例1と同じ手順で製膜を行い、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの各種評価は表4に示すとおりであり、実施例1よりも耐湿熱性が劣る結果であった。
Figure 2020050876
Figure 2020050876
Figure 2020050876
Figure 2020050876
本発明のポリエステルフィルムは、耐光性及び耐湿熱性に優れるため、太陽電池バックシート用途に好適に用いることができる。
1:太陽電池
2:太陽電池バックシート
3:裏側封止材
4:表側封止材
5:カバー材
6:太陽電池セル
7:主層(裏側封止材(エチレンービニルアセテート共重合体を含む層)と接する側)
8:副層

Claims (7)

  1. 示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において冷結晶化ピークと微少吸熱ピークをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記冷結晶化ピークの最も高いピークトップ温度(Tcc)が160℃未満であり、前記微小吸熱ピークのピークトップ温度(Tmeta)を205〜230℃の範囲に少なくとも1つ有し、白色顔料を含むポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステルフィルムが少なくとも2層を有する積層フィルムであり、少なくとも片側の表層に白色顔料を含有する、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. ポリエステルフィルム全体に対する白色顔料の含有量が2.5重量%以上であり、前記白色顔料を含有する層の白色顔料の含有量が層全体に対して10%重量以上である、請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 150℃下に30分保持した時の熱収縮率が1.2%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 太陽電池バックシートに用いる請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法であって、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えるポリエステル樹脂を溶融混練・押出し、冷却固化して未配向ポリエステルシートを得た後、フィルムの走行方向(MD方向)および/またはフィルムの走行方向とは垂直な方向(TD方向)に延伸した後、210〜250℃で熱処理しながら、TD方向に0〜10%弛緩する工程を含むポリエステルフィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法であって、白色顔料の含有量が40〜60重量%であって、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が135℃を超えて165℃未満であるポリエステル樹脂と、白色顔料の含有量が0.5重量%以下であり、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線において、最も低い冷結晶化ピークのピークトップ温度(Tcc)が165℃を超えて180℃未満であるポリエステル樹脂を、溶融混練・押出し、冷却固化して未配向ポリエステルシートを得た後、フィルムの走行方向(MD方向)および/またはフィルムの走行方向とは垂直な方向(TD方向)に延伸した後、210〜250℃で熱処理しながら、TD方向に0〜10%弛緩する工程を含むポリエステルフィルムの製造方法。
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