JP6251843B2 - 層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents

層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム電池の正極活物質として用いることができ、特に電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に搭載する電池の正極活物質として優れた性能を発揮し得る、層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法に関する。
リチウム電池、中でもリチウム二次電池は、エネルギー密度が大きく、寿命が長いなどの特徴を有しているため、ビデオカメラ等の家電製品や、ノート型パソコン、携帯電話機等の携帯型電子機器などの電源として用いられている。最近では、該リチウム二次電池は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などに搭載される大型電池にも応用されている。
リチウム二次電池は、充電時には正極からリチウムがイオンとして溶け出して負極へ移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造の二次電池であり、その高いエネルギー密度は正極材料の電位に起因することが知られている。
リチウム二次電池の正極活物質としては、スピネル構造をもつリチウムマンガン酸化物(LiMn24)のほか、層構造をもつLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2などのリチウム金属複合酸化物が知られている。例えばLiCoO2は、リチウム原子層とコバルト原子層が酸素原子層を介して交互に積み重なった層構造を有しており、充放電容量が大きく、リチウムイオン吸蔵脱蔵の拡散性に優れているため、現在、市販されているリチウム二次電池の多くがLiCoO2などの層構造を有するリチウム金属複合酸化物である。
LiCoO2やLiNiO2など、層構造を有するリチウム金属複合酸化物は、一般式LiMeO2(Me:遷移金属)で示される。これら層構造を有するリチウム金属複合酸化物の結晶構造は、空間群R−3m(「−」は通常「3」の上部に付され、回反を示す。以下、同様。)に帰属し、そのLiイオン、Meイオン及び酸化物イオンは、それぞれ3aサイト、3bサイト及び6cサイトを占有する。そして、Liイオンからなる層(Li層)とMeイオンからなる層(Me層)とが、酸化物イオンからなるO層を介して交互に積み重なった層構造を呈することが知られている。
従来、層構造を有するリチウム金属複合酸化物(LiMx2)の製造方法に関しては、例えば特許文献1において、マンガンとニッケルの混合水溶液中にアルカリ溶液を加えてマンガンとニッケルを共沈させ、水酸化リチウムを加え、ついで焼成することによって、式:LiNixMn1-x2(式中、0.7≦x≦0.95)を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、高嵩密度を有する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体を提供するべく、粉砕及び混合された少なくともリチウム源化合物とニッケル源化合物とマンガン源化合物とを、ニッケル原子〔Ni〕とマンガン原子〔Mn〕とのモル比〔Ni/Mn〕として0.7〜9.0の範囲で含有するスラリーを、噴霧乾燥により乾燥させ、焼成することにより層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体となした後、該複合酸化物粉体を粉砕する層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物粉体の製造方法が開示されている。
特許文献3においては、例えば湿式粉砕機等でD50:が2μm以下となるまで粉砕した後、熱噴霧乾燥機等を用いて造粒乾燥させ、焼成するようにして、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で求められる平均粉体粒子径(D50)に対する結晶子径の比率が0.05〜0.20であることを特徴とする層構造を有するリチウム金属複合酸化物が提案されている。
特許文献4には、リチウム塩化合物、マンガン塩化合物、ニッケル塩化合物及びコバルト塩化合物を含む原料を混合し、粉砕した後、焼成して解砕することによって、層構造を有するリチウム金属複合酸化物を製造する方法において、上記焼成後に、回転数4000rpm以上の高速回転粉砕機で解砕することを特徴とする、層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法が開示されている。
特開平8−171910号公報 特開2003−34536号公報 特許第4213768号公報(WO2008/091028) 特開2013−232400号公報
従来開示されていた製造方法によって、層構造を有するリチウム金属複合酸化物を製造すると、たとえ焼成温度を高くしたとしても、層構造であるがゆえに、リチウム金属複合酸化物中に未反応リチウム化合物が残ってしまい、その結果、サイクル特性を効果的に高めることができないという課題を抱えていた。
そこで本発明は、リチウム金属複合酸化物に残存する未反応リチウム化合物を減らすことができる、新たな層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、一般式(1):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、0≦x≦0.1、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表される、層構造を有するリチウム金属複合酸化物(B)の製造方法であって、一般式(2):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、−0.7≦x≦−0.05、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表わされるリチウム金属複合酸化物(A)を、400℃〜850℃で仮焼成して得る第1工程と、前記第1工程で得られたリチウム金属複合酸化物(A)とリチウム化合物とを混合し、700℃〜1000℃で本焼成することによって、前記リチウム金属複合酸化物(B)を得る第2工程と、を備えた層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法を提案する。
本発明が提案する層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法は、先ず、目的とするリチウム金属複合酸化物(B)の組成に比べてリチウムが少ないリチウム金属複合酸化物(A)を作製し、次に、該リチウム金属複合酸化物(A)にリチウム化合物を加えて再度焼成してリチウム金属複合酸化物(B)を得るという方法により、リチウム金属複合酸化物(B)中の未反応リチウム化合物を効果的に減らすことができる。
よって、本発明が提案する製造方法によれば、特に車載用の電池、特に電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に搭載する電池の正極活物質として特に優れているリチウムイオン電池用正極材料を作製することができる。
実施例における電池特性評価で用いた電気化学評価用セルの概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
本発明が提案する層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法は、上述のように、先ず、製造目的とするリチウム金属複合酸化物(B)に比べてLiが少ないリチウム金属複合酸化物(A)を、仮焼成によって作製しておき、次に、得られたリチウム金属複合酸化物(A)とリチウム化合物とを混合して本焼成してリチウム金属複合酸化物(B)を得ることを特徴とする製造方法である。
リチウム金属複合酸化物(A)を介さずに、製造目的とするリチウム金属複合酸化物(B)を製造すると、層構造であるがゆえに、リチウム金属複合酸化物(B)中に未反応リチウム化合物が残ってしまうため、正極活物質としての性能、例えばサイクル特性が低下してしまう。これに対し、本発明が提案する製造方法のように、先ず、目的とするリチウム金属複合酸化物(B)の組成に比べてリチウムが少ないリチウム金属複合酸化物(A)を作製し、次に、該リチウム金属複合酸化物(A)にリチウム化合物を加えて本焼成してリチウム金属複合酸化物(B)を得るという方法によれば、層構造であってもリチウム金属複合酸化物(B)中の未反応リチウム化合物を効果的に減らすことができる。
<本製造方法>
本実施形態の一例に係るリチウム金属複合酸化物の製造方法(「本製造方法」と称する)は、リチウム原料、ニッケル原料、マンガン原料、コバルト原料、さらには後述するM元素を含むM元素原料を含む原料組成物を仮焼成してリチウム金属複合酸化物(A)を得る<第1工程>と、第1工程で得られたリチウム金属複合酸化物(A)とリチウム化合物とを混合し、本焼成してリチウム金属複合酸化物(B)を得る<第2工程>と、を備えた製造方法である。
この際、前記第1工程又は第2工程又はこれら両方の工程は、それぞれ1回だけ実施してもよいし、また、2回以上実施してもよい。
本発明においてリチウム金属複合酸化物(A)(B)と表現した場合、特に言及しなくても、塊又は粉体を包含する意味である。
<製造目的とするリチウム金属複合酸化物(B)>
リチウム金属複合酸化物(B)は、一般式(1):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、0≦x≦0.1、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表される、層構造を有するリチウム金属複合酸化物である。
ここで、前記「層構造を有するリチウム金属複合酸化物」とは、リチウム原子層と遷移金属原子層とが酸素原子層を介して交互に積み重なった層構造を有するリチウム金属複合酸化物の意である。
上記一般式(1)中の「x」は、0≦x≦0.1であるのが好ましく、中でも0.01以上或いは0.07以下、その中でも0.03以上或いは0.05以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(1)中の「α」は、0.01≦α≦0.35であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは0.33以下、その中でも0.1以上或いは0.3以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(1)中の「β」は、0.01≦β≦0.35であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは0.33以下、その中でも0.1以上或いは0.2以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(1)中の「γ」は、0≦γ≦0.1であるのが好ましく、中でも0.01以上或いは0.08以下、その中でも0.01以上或いは0.05以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(1)中の「M」は、Al、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含んでいればよい。これらのうちの2種以上を組合せて含んでいてもよい。
なお、上記一般式(1)において、酸素量の原子比は、便宜上「2」と記載しているが、多少の不定比性を有してもよい。
リチウム金属複合酸化物(B)は、不純物としてSOを1.0重量%以下、その他の元素をそれぞれ0.5重量%以下であれば含んでいてもよい。この程度の量であれば、リチウム金属複合酸化物(B)の特性にほとんど影響しないと考えられるからである。
<第1工程>
第1工程では、一般式(2):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、−0.7≦x≦−0.05、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表わされるリチウム金属複合酸化物(A)を得ることができればよい。
より具体的には、一般式(2)で示される組成となるように、リチウム原料、ニッケル原料、マンガン原料、コバルト原料、さらには前記一般式(2)のM元素を含むM元素原料を秤量し、混合し、必要に応じて粉砕し、造粒し、焼成し、必要に応じて熱処理し、必要に応じて解砕し、さらに必要に応じて分級して、リチウム金属複合酸化物(A)を得るようにすればよい。
リチウム金属複合酸化物(A)におけるLiのモル比は、リチウム金属複合酸化物(B)中の未反応リチウム化合物を効果的に減らすことができる観点から、リチウム金属複合酸化物(B)におけるLi含有量(モル比)の45〜95%であるのが好ましく、中でも50%以上或いは93%以下、その中でも60%以上或いは90%以下であるのが特に好ましい。
(原料)
リチウム原料としては、例えば水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(Li2CO3)、硝酸リチウム(LiNO3)、LiOH・H2O、酸化リチウム(Li2O)、その他脂肪酸リチウムやリチウムハロゲン化物等のリチウム化合物を挙げることができる。中でもリチウムの水酸化物塩、炭酸塩、硝酸塩が好ましい。
マンガン原料は、特に限定するものではない。例えば炭酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、二酸化マンガンなどのマンガン化合物を用いることができ、中でも炭酸マンガン、二酸化マンガンが好ましい。その中でも、電解法によって得られる電解二酸化マンガンが特に好ましい。
ニッケル原料は、特に限定するものではない。例えば炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケルなどのニッケル化合物を用いることができ、中でも炭酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケルが好ましい。
コバルト原料は、特に限定するものではない。例えば塩基性炭酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、オキシ水酸化コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルトなどのコバルト化合物を用いることができ、中でも、塩基性炭酸コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルト、オキシ水酸化コバルトが好ましい。
一般式(2)におけるM元素を含むM元素原料、すなわち、Al、Mg、Ti、Fe、Zr、W及びNbの原料としては、これらM元素の酸化物、水酸化物、炭酸化物などのM元素化合物を用いることができる。
また、ホウ素化合物を原料として配合してもよい。ホウ素化合物を配合することにより焼成を促進させることができる。
ホウ素化合物としては、ホウ素(B元素)を含有する化合物であればよく、例えばホウ酸或いはホウ酸リチウムを使用するのが好ましい。ホウ酸リチウムとしては、例えばメタ硼酸リチウム(LiBO2)、四硼酸リチウム(Li247)、五硼酸リチウム(LiB58)及び過硼酸リチウム(Li225)等の各種形態のものを用いることが可能である。
(混合)
原料の混合方法としては、水や分散剤などの液媒体を加えてスラリー化させて混合する湿式混合方法を採用するのが好ましい。なお、後述するスプレードライ法を採用する場合には、得られたスラリーを湿式粉砕機で粉砕するのが好ましい。但し、乾式粉砕してもよい。
この際、各原料の焼成時の反応性を向上させる観点から、原料を液媒体中に投入し、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕混合するのが好ましい。
(造粒)
造粒方法は、混合された各種原料が分離せずに造粒粒子内で分散させることができれば、湿式でも乾式でもよい。
造粒方法としては、押し出し造粒法、転動造粒法、流動造粒法、混合造粒法、噴霧乾燥造粒法、加圧成型造粒法、或いはロール等を用いたフレーク造粒法でもよい。但し、湿式造粒した場合には、仮焼成前に充分に乾燥させることが必要である。
乾燥方法としては、噴霧熱乾燥法、熱風乾燥法、真空乾燥法、フリーズドライ法などの公知の乾燥方法によって乾燥させればよく、中でも噴霧熱乾燥法が好ましい。噴霧熱乾燥法は、熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて行なうのが好ましい(本明細書では「スプレードライ法」と称する)。
共沈法により得られた造粒粉を用いることも可能である。共沈法としては、原料を溶液に溶解した後、pHなどの条件を調整して沈殿させることにより、異なる元素が共存する複合水酸化物の製法を例示できる。
中でも、本製造方法においては、上述のように平均粒径が0.5μm以下になるまでスラリーを湿式粉砕混合した後、得られたスラリーを、熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥するのが、本発明の効果をより一層享受できる点で好ましい。
このように熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて噴霧乾燥した場合、粒子内にLiが入り込むため、未反応リチウム化合物が残り易く、残アルカリが高くなってしまう傾向にある。そのため、例えば共沈法により造粒する場合に比べ、本製造方法による効果をより一層享受することができる。
(仮焼成)
第1工程における仮焼成は、焼成炉にて、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、二酸化炭素ガス雰囲気下、又はその他の雰囲気下において焼成すればよい。中でも、酸素濃度20%以上の雰囲気で焼成するのが好ましい。
仮焼成の焼成温度(:焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度を意味する。)は、400〜850℃であるのが好ましく、中でも500℃以上或いは840℃以下、その中でも600℃以上或いは800℃以下であるのがさらに好ましい。
仮焼成の時間は、0.5時間〜300時間、前記焼成温度を保持するように焼成するのが好ましい。
焼成炉の種類は特に限定するものではない。例えばロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
(熱処理)
仮焼成後の熱処理は、結晶構造の調整が必要な場合に行うのが好ましい。
熱処理は、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、酸素分圧を調整して雰囲気下などの酸化雰囲気の条件で熱処理を行うことができる。
また、このような熱処理は、焼成後に室温まで冷却させた後、加熱するようにしてもよいし、また、焼成に引き続き、常温までの降温速度を1.5℃/min以下にするようにして、熱処理を行ってもよい。
(解砕)
仮焼成後若しくは熱処理後の解砕は、必要に応じて行えばよい。
この際の解砕方法としては、一次粒子径を低減しない手段を選択するのが好ましい。具体的には、オリエントミルや乳鉢を使用した解砕などを挙げることができる。
また、低速および中速回転粉砕機などを用いて解砕してもよい。例えば、1000rpmほどの回転数を有する回転粉砕機が挙げられる。低速および中速回転粉砕機によって解砕すれば、粒子どうしが凝集していたり、焼結が弱かったりする部分を解砕することができ、しかも粒子に歪みが入るのを抑えることができる。
但し、上記解砕方法に限定する訳ではない。
仮焼成後の分級は、凝集粉の粒度分布調整とともに異物除去という技術的意義があるため、好ましい大きさの目開きの篩を選択して分級するのが好ましい。
(リチウム金属複合酸化物(A))
前記第1工程で得られるリチウム金属複合酸化物(A)は、一般式(2):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、−0.7≦x≦−0.15、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表わされるリチウム金属複合酸化物である。
リチウム金属複合酸化物(A)は、層構造であっても、層構造でなくてもよい。但し、層構造ではない構造のリチウム金属複合酸化物(A)を介して、層構造であるリチウム金属複合酸化物(B)を製造するのは、エネルギー的に効率が良いはずがないから、中間体としてのリチウム金属複合酸化物(A)は層構造であるのが好ましい。
この際、リチウム金属複合酸化物(A)を層構造とするためには、リチウム金属複合酸化物(A)におけるLiモル比率を適宜多くするように調整するのが好ましい。
上記一般式(2)中の「x」は、−0.7≦x≦−0.05であるのが好ましく、中でも−0.5以上或いは−0.05以下、その中でも−0.4以上或いは−0.1以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(2)中の「α」は、0.01≦α≦0.35であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは0.33以下、その中でも0.1以上或いは0.3以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(2)中の「β」は、0.01≦β≦0.35であるのが好ましく、中でも0.05以上或いは0.33以下、その中でも0.1以上或いは0.2以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(2)中の「γ」は、0≦γ≦0.1であるのが好ましく、中でも0.01以上或いは0.08以下、その中でも0.01以上或いは0.05以下であるのがさらに好ましい。
上記一般式(2)中の「M」は、Al、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含んでいればよい。これらのうちの2種以上を組合せて含んでいてもよい。
なお、上記一般式(2)において、酸素量の原子比は、便宜上「2」と記載しているが、多少の不定比性を有してもよい。
前記第1工程で得られるリチウム金属複合酸化物(A)は、未反応リチウム化合物、言い換えれば残存アルカリ量が低いという特徴を有している。
<第2工程>
第2工程では、前記第1工程で得られたリチウム金属複合酸化物(A)と、リチウム化合物とを混合し、本焼成し、必要に応じて熱処理し、必要に応じて解砕し、さらに必要に応じて分級し、必要に応じて表面処理し、必要に応じてさらに熱処理し、必要に応じて解砕し、さらに必要に応じて分級してリチウム金属複合酸化物(B)を得るようにすればよい。
(リチウム化合物)
リチウム化合物としては、リチウムを含む化合物であれば特に限定するものではない。中でも水酸化リチウム又は炭酸リチウムを用いるのが好ましい。
リチウム化合物は、リチウム金属複合酸化物(A)と該リチウム化合物とをより均一に混合できる点から、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるD50が、1μm〜20μmであるのが好ましく、中でも2μm以上或いは15μm以下、その中でも5μm以上或いは10μm以下であるのがより一層好ましい。
さらにリチウム化合物は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布によるその粒度分布において、((D90−D10)/D50)、すなわち前記D10、D50及びD90の関係が、((D90−D10)/D50)=0.1〜3であるのが好ましい。
((D90−D10)/D50)は、粒度分布のシャープさを示す指標であるから、0.1〜3の範囲にあれば、粒度分布が十分にシャープであり、混合の際、混合不良を起こさないなどの利益を享受できる。
かかる観点から、リチウム化合物の((D90−D10)/D50)は、0.1〜3であるのが好ましく、中でも0.3以上或いは3.5以下、その中でも0.4以上或いは2以下であるのがより一層好ましい。
リチウム化合物を加える量は、リチウム金属複合酸化物(A)にリチウム化合物を加えた際に、製造目的であるリチウム金属複合酸化物(B)の組成、特にLi組成となるように、調整するのが好ましい。
(混合)
リチウム金属複合酸化物(A)とリチウム化合物との混合方法は、リチウム金属複合酸化物(A)の一次粒子径を低減しないような方法を採用するのが好ましい。
具体的には、例えばボールミル、ミキサー、精密混合機などを使用した混合方法を挙げることができる。但し、これらの混合方法に限定されるものではない。
(焼成)
第2工程における本焼成は、焼成炉にて、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、酸素分圧を調整した雰囲気下、或いは二酸化炭素ガス雰囲気下、或いはその他の雰囲気下において焼成すればよい。中でも、酸素濃度20%以上の雰囲気で焼成するのが好ましい。
第2工程の本焼成温度(最高到達温度)は、前記第1工程の仮焼成温度(最高到達温度)よりも高温であるのが好ましい。中でも、第1工程の仮焼成温度よりも10℃〜200℃だけ高温であるのが好ましく、その中でも20℃以上或いは180℃以下だけ高温であるのが好ましく、その中でも30℃以上或いは170℃以下だけ高温であるのが好ましく、その中でも40℃以上或いは150℃以下だけ高温であるのがさらに好ましく、その中でも100℃以下だけ高温であるのがさらに好ましい。
具体的な本焼成温度(:焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度を意味する。)は、700〜1000℃であるのが好ましく、中でも710℃以上或いは980℃以下、その中でも720℃以上或いは950℃以下であるのが特に好ましい。
本焼成の焼成時間は、0.5時間〜300時間、本焼成温度を保持するように焼成するのが好ましい。
この際、遷移金属が原子レベルで固溶し単一相を示す焼成条件を選択するのが好ましい。
本焼成で用いる焼成炉の種類は特に限定するものではない。例えばロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
(熱処理)
本焼成後の熱処理は、結晶構造の調整が必要な場合に行うのが好ましい。
熱処理は、大気雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、酸素分圧を調整して雰囲気下などの酸化雰囲気の条件で熱処理を行うことができる。
また、このような熱処理は、本焼成後に室温まで冷却させた後、加熱するようにしてもよいし、また、本焼成に引き続き、常温までの降温速度を1.5℃/min以下にするようにして、熱処理を行ってもよい。
(解砕)
本焼成後若しくは熱処理後の解砕は、必要に応じて行えばよい。
この際の解砕方法としては、一次粒子径を低減しない手段を選択するのが好ましい。具体的には、オリエントミル解砕や乳鉢を使用した解砕などを挙げることができる。
また、低速および中速回転粉砕機などを用いて解砕してもよい。例えば、1000rpmほどの回転数を有する回転粉砕機が挙げられる。低速および中速回転粉砕機によって解砕すれば、粒子どうしが凝集していたり、焼結が弱かったりする部分を解砕することができ、しかも粒子に歪みが入るのを抑えることができる。
但し、上記解砕方法に限定する訳ではない。
焼成後の分級は、凝集粉の粒度分布調整とともに異物除去という技術的意義があるため、好ましい大きさの目開きの篩を選択して分級するのが好ましい。
(表面処理工程)
本焼成若しくは上記熱処理して得られたリチウム金属複合酸化物(B)は、必要に応じて次の表面処理を行うのが好ましい。
表面処理方法としては、上記本焼成若しくは上記熱処理して得られたリチウム金属複合酸化物(B)に対して、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する表面処理剤を用いて表面処理を行うのが好ましい。
当該表面処理剤としては、例えばアルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する有機金属化合物を含む表面処理剤を挙げることができる。この場合、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する有機金属化合物を含有する表面処理剤と、上記のようにして得られたリチウム金属複合酸化物(B)とを接触させればよい。
このような有機金属化合物を含有する表面処理剤としては、例えばチタンカップリング剤又はアルミニウムカップリング剤又はジルコニウムカップリング剤又はチタン・アルミニウムカップリング剤又はチタン・ジルコニウムカップリング剤又はアルミニウム・ジルコニウムカップリング剤又はチタン・アルミニウム・ジルコニウムカップリング剤などの表面処理剤を挙げることができる。そして、このような表面処理剤を有機溶媒に分散させてディスパージョンを作り、該ディスパージョンと、上記のようにして得たリチウム金属複合酸化物(B)と接触させて表面処理を行うようにすればよい。
また、前記の表面処理剤としては、有機官能基と加水分解性基を分子中に有する化合物を例示することができる。
但し、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する表面処理剤は、上記のような有機金属化合物を含有する表面処理剤に限定されるものではなく、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する他の表面処理剤を用いることも可能である。
この表面処理では、リチウム金属複合酸化物(B)100wt%に対し、0.1〜20wt%相当の上記表面処理剤を接触させるのが好ましく、中でも0.5wt%以上或いは10wt%以下、その中でも1wt%以上或いは5wt%以下、その中でもさらに1wt%以上或いは3wt%以下の表面処理剤を、リチウム金属複合酸化物(B)に接触させるのがさらに好ましい。
なお、上記カップリング剤を有機溶媒又は水に分散させたディスパージョンの量については、リチウム金属複合酸化物(B)100wt%に対し、0.2〜20wt%、中でも1wt%以上或いは15wt%以下、その中でも2wt%以上或いは10wt%以下の量、さらにその中でも2wt%以上或いは7wt%以下の量に調整し、このように調整したディスパージョンをリチウム金属複合酸化物(B)に接触させるのが好ましい。
層構造を有するリチウム金属複合酸化物の場合、接触させる有機溶媒又は水の量が多いと、層構造中のリチウムが溶出してしまうため、表面処理剤の量あるいは表面処理剤を有機溶媒又は水に分散させたディスパージョンの量を、上記のように制限するのが好ましい。
このように少量の表面処理剤を、又は、表面処理剤を有機溶媒又は水に分散させたディスパージョンを、リチウム金属複合酸化物(B)に接触させることにより、大気又は酸素と混ざりながら表面処理剤をリチウム金属複合酸化物粉末に接触させることができる。これにより、粒子表面に酸素を残存させることができるため、後の熱処理時の有機物の酸化反応で消費される酸素の供給に寄与するものと推察することができる。
この際、上記の量の表面処理剤あるいは表面処理剤を、有機溶媒に分散させたディスパージョンは一度にリチウム金属複合酸化物粉末に接触させて混合するのではなく、何回かに分けて接触させて混合する処理を繰り返すのが好ましい。
上記のような表面処理を行った場合、有機溶媒又は水を揮発させるために、例えば40〜120℃に加熱して乾燥させるのが好ましい。
(熱処理)
上記の如く表面処理した後、次の熱処理を行うのが好ましい。
すなわち、表面処理したリチウム金属複合酸化物(B)を、酸素濃度20〜100%の雰囲気下において、700〜950℃温度(:炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度、すなわち品温を意味する。)を所定時間保持するように熱処理するのが好ましい。
このような熱処理により、有機溶媒又は水を揮発させたり、表面処理剤の側鎖を分解させたりすることができると共に、表面処理剤中のアルミニウム又はチタン又はジルコニウムを、表面からより深層方向に拡散させることができ、電解液との反応を抑えて寿命特性を向上させることができると共に、表面処理が施された従来の正極活物質に比べて、低温出力特性を同等若しくはそれ以上にすることができる。
さらに、熱処理温度は本焼成温度以下とすることで、熱処理後の解砕負荷を低減できるため、好ましい。
このような熱処理による効果をさらに高める観点から、熱処理における処理雰囲気は、酸素含有雰囲気とするのが好ましい。中でも、酸素濃度20〜100%の酸素含有雰囲気であるのが好ましく、中でも30%以上或いは100%以下、その中でも50%以上或いは100%以下、さらにその中でも60%以上或いは100%以下、さらにその中でも80%以上或いは100%以下である酸素含有雰囲気であるのがさらに好ましい。
また、熱処理温度は、700〜950℃(:焼成炉内の焼成物に熱電対を接触させた場合の温度を意味する。)であるのが好ましく、中でも750℃以上或いは900℃以下、その中でも850℃以下、その中でもさらに800℃以下であるのが好ましい。
さらにまた、熱処理時間は、処理温度にもよるが、0.5〜20時間であるのが好ましく、中でも1時間以上或いは10時間以下、その中でも3時間以上或いは10時間以下であるのがさらに好ましい。
炉の種類は特に限定するものではない。例えばロータリーキルン、静置炉、その他の焼成炉を用いて焼成することができる。
(解砕)
上記熱処理後、リチウム金属複合酸化物粉末を解砕してもよい。
この際、解砕前後の比表面積(SSA)の変化率が100〜250%となる解砕強度で、リチウム金属複合酸化物粉末を解砕するのが好ましい。
熱処理後の解砕は、表面処理の効果を保持するように、表面処理層の下の新生面が露出し過ぎないように行うのが良いから、解砕前後の比表面積(SSA)の変化率が100〜200%であるのが好ましく、中でも175%以下、その中でも150%以下、その中でもさらに125%以下となるように解砕するのが好ましい。
このような解砕方法の好ましい一例として、相対方向に高速回転する粉砕板に取り付けられたピンにより粉砕する解砕装置(例えばピンミル)を使用することができる。表面処理後の工程で解砕を行う場合は、表面部を削りとらないように、4000〜7000rpm、中でも6500rpm以下、その中でも6000rpm以下で解砕することが好ましい。
上記のようにした解砕後は必要に応じて分級してもよい。この際の分級は、凝集粉の粒度分布調整とともに異物除去という技術的意義があるため、好ましい大きさの目開きの篩を選択して分級するのが好ましい。
<リチウム金属複合酸化物(B)>
このようにして得られるリチウム金属複合酸化物(B)は、次のような特徴を有することができる。
(平均粒径(D50))
本製造方法によって、リチウム金属複合酸化物(B)のD50、すなわちレーザー回折散乱式粒度分布測定法により求められる平均粒径(D50)を、0.5μm〜30μm、中でも1μm以上或いは20μm以下、その中でも特に2μm以上或いは10μm以下とすることができる。
リチウム金属複合酸化物(B)のD50を上記範囲に調整するには、出発原料のD50の調整、焼成温度或いは焼成時間の調整、或いは、焼成後の解砕によるD50の調整をするのが好ましい。但し、これらの調整方法に限定されるものではない。
なお、複数の一次粒子がそれぞれの外周(粒界)の一部を共有するようにして凝集し、他の粒子と孤立した粒子を、本発明では「二次粒子」又は「凝集粒子」という。
ちなみに、レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、凝集した粉粒を一個の粒子(凝集粒子)として捉えて粒径を算出する測定方法であり、平均粒径(D50)は、50%体積累積粒径、すなわち体積基準粒度分布のチャートにおいて体積換算した粒径測定値の累積百分率表記の細かい方から累積50%の径を意味する。
(残存アルカリ量)
本製造方法によって、リチウム金属複合酸化物(B)の残存アルカリ量を0.01〜0.30wt%とすることができ、中でも0.03以上或いは0.25wt%以下、その中でも0.05以上或いは0.20wt%以下とすることができる。
<特性・用途>
リチウム金属複合酸化物(B)は、必要に応じて解砕・分級した後、必要に応じて他の正極材料を混合して、リチウム電池の正極活物質として有効に利用することができる。
例えば、リチウム金属複合酸化物(B)と、カーボンブラック等からなる導電材と、テフロン(登録商標)バインダー等からなる結着剤とを混合して正極合剤を製造することができる。そしてそのような正極合剤を正極に用い、負極には例えばリチウムまたはカーボン等のリチウムを吸蔵・脱蔵できる材料を用い、非水系電解質には六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等のリチウム塩をエチレンカーボネート−ジメチルカーボネート等の混合溶媒に溶解したものを用いてリチウム二次電池を構成することができる。但し、このような構成の電池に限定する意味ではない。
リチウム金属複合酸化物(B)を正極活物質として備えたリチウム電池は、特に電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に搭載するモータ駆動用電源として用いるリチウム電池の正極活物質の用途に特に優れている。
なお、「ハイブリッド自動車」とは、電気モータと内燃エンジンという2つの動力源を併用した自動車であり、プラグインハイブリッド自動車も包含する。
また、「リチウム電池」とは、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー電池など、電池内にリチウム又はリチウムイオンを含有する電池を全て包含する意である。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
次に、実施例及び比較例に基づいて、本発明について更に説明する。但し、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
<比較例1>
炭酸リチウム(D50:7μm)と、水酸化ニッケル(D50:22μm)と、オキシ水酸化コバルト(D50:14μm)と、電解二酸化マンガン(D50:23μm、比表面積が40m2/g)と、水酸化アルミニウム(D50:2.2μm)とを、モル比でLi:Ni:Co:Mn:Al=1.04:0.48:0.20:0.27:0.01となるように秤量し、これらを前記の順番通りに、予め分散剤を溶解させたイオン交換水中へ投入して混合攪拌して固形分濃度50wt%のスラリーを調製し、湿式粉砕機で1300rpm、40分間粉砕して平均粒径(D50)が0.55μmの粉砕スラリーを得た。得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製OC-16)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧には二流体ノズルを用い、噴霧圧を0.3MPa、スラリー供給量3kg/hr、乾燥塔の出口温度100℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。造粒粉の平均粒径(D50)は15μmであった。
得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気中で700℃を5時間保持するように仮焼成した後、常温まで冷却し、得られた粉を解砕し、再度、静置式電気炉を用いて、大気中で900℃を20時間保持するように本焼成した。
本焼成して得た粉を解砕し、目開き53μmの篩にて分級を行い、篩下粉を回収して、リチウムマンガンニッケル含有複合酸化物粉末を得た。
<実施例1>
水酸化リチウム(D50:22μm)と、水酸化ニッケル(D50:22μm)と、オキシ水酸化コバルト(D50:14μm)と、電解二酸化マンガン(D50:23μm、比表面積:40m2/g)と、水酸化アルミニウム(D50:2.2μm)とを、モル比でLi:Ni:Co:Mn:Al=0.83:0.62:0.23:0.31:0.01となるように秤量した。先ず水酸化ニッケルと水酸化アルミニウムと分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製SNディスパーサント5468)とを、スラリー固形分が30wt%となるようにイオン交換水に添加し、湿式粉砕機で1300rpm、60分間粉砕した。次いで、オキシ水酸化コバルトと分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製SNディスパーサント5468)とを、スラリー固形分が50wt%となるようにイオン交換水に添加し、1300rpm、40分間粉砕した。次いで、電解二酸化マンガンを混合し、1300rpm、40分間粉砕した。次いで、水酸化リチウムを混合しスラリー固形分が20wt%となるようにイオン交換水に添加し、500rpm、2分間粉砕してD50:0.55μm、固形分濃度20wt%のスラリーを調製して粉砕スラリーを得た。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製OC-16)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧には二流体ノズルを用い、噴霧圧0.3MPa、スラリー供給量3kg/hr、乾燥塔の出口温度100℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。造粒粉の平均粒径(D50)は15μmであった。
得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気中で、730℃を10時間保持するように仮焼成した後、常温まで冷却し、得られた粉を解砕して、層構造のリチウム金属複合酸化物(A)粉末を得た。
次に、上記のようにして得たリチウム金属複合酸化物(A)粉末に、目的組成Li1.02Ni0.52Co0.19Mn0.26Al0.012となるように、炭酸リチウム(D50:7μm、(D90−D10)/D50)=1.6)を添加して、ボールミルを用いた混合を1時間行った。得られた混合粉を、静置式電気炉を用いて、大気中で、890℃を22時間保持するように本焼成を行った。
本焼成して得た粉を解砕し、目開き53μmの篩にて分級を行い、篩下粉を回収して、リチウム金属複合酸化物粉末(B)を得た。
次に、得られたリチウム金属複合酸化物粉末(B)100wt%に対して表面処理剤としてのアルミニウムカップリング剤(味の素ファインテクノ株式会社 プレンアクト(登録商標)AL−M)1.5wt%と、溶媒としてのイソプロピルアルコール10.0wt%とを混合して、溶媒中にアルミニウムカップリング剤が分散してなるディスパージョンを調製した。
そして、本焼成して得られたリチウム金属複合酸化物粉末(B)100wt%に対して、前記ディスパージョン11.5wt%を添加して、カッターミル(岩谷産業株式会社製ミルサー720G)を用いて混合した。
次に、80℃で1時間真空乾燥し、その後、大気下、100℃で1時間、乾燥器内に置いて乾燥を行った。さらにその後、酸素濃度92%の雰囲気下で品温を770℃で5時間維持するように熱処理してリチウム金属複合酸化物粉末(B)を得た。
熱処理して得られたリチウム金属複合酸化物粉末(B)を目開き53μmの篩で分級して、篩下のリチウム金属複合酸化物粉末(B)(サンプル)を得た。
<実施例2>
モル比でLi:Ni:Co:Mn:Al=0.95:0.56:0.20:0.28:0.01となるように、炭酸リチウム、水酸化ニッケル、オキシ水酸化コバルト、電解二酸化マンガン及び水酸化アルミニウムを秤量した以外は、実施例1と同様にリチウム金属複合酸化物粉末(B)(サンプル)を得た。
<実施例3>
水酸化リチウム(D50:22μm)と、水酸化ニッケル(D50:22μm)と、オキシ水酸化コバルト(D50:14μm)と、電解二酸化マンガン(D50:23μm、比表面積:40m2/g)と、水酸化アルミニウム(D50:2.2μm)とを、モル比でLi:Ni:Co:Mn:Al=0.83:0.62:0.23:0.31:0.01となるように秤量した。先ず水酸化ニッケルと水酸化アルミニウムと分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製SNディスパーサント5468)とを、スラリー固形分が30wt%となるようにイオン交換水に添加し、湿式粉砕機で1300rpm、60分間粉砕した。次いで、オキシ水酸化コバルトと分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩(サンノプコ(株)製SNディスパーサント5468)とを、スラリー固形分が50wt%となるようにイオン交換水に添加し、1300rpm、40分間粉砕した。次いで、電解二酸化マンガンを混合し、1300rpm、40分間粉砕し、次いで、水酸化リチウムを混合しスラリー固形分が20wt%となるようにイオン交換水に添加し、500rpm、2分間粉砕してD50:0.55μm、固形分濃度20wt%のスラリーを調製して粉砕スラリーを得た。
得られた粉砕スラリーを熱噴霧乾燥機(スプレードライヤー、大川原化工機(株)製OC-16)を用いて造粒乾燥させた。この際、噴霧には二流体ノズルを用い、噴霧圧0.3MPa、スラリー供給量3kg/hr、乾燥塔の出口温度100℃となるように温度を調節して造粒乾燥を行なった。造粒粉の平均粒径(D50)は15μmであった。
得られた造粒粉を、静置式電気炉を用いて、大気中で、730℃を10時間保持するように仮焼成した後、常温まで冷却し、得られた粉を解砕して、層構造のリチウム金属複合酸化物(A)粉末を得た。
次に、上記のようにして得たリチウム金属複合酸化物(A)粉末に、目的組成Li1.02Ni0.52Co0.19Mn0.26Al0.012となるように、炭酸リチウム(D50:7μm、(D90−D10)/D50)=1.6)を添加して、ボールミルを用いた混合を1時間行った。得られた混合粉を、静置式電気炉を用いて、大気中で、890℃を22時間保持するように本焼成を行った。
本焼成して得た粉を解砕し、目開き53μmの篩にて分級を行い、篩下粉を回収して、リチウム金属複合酸化物粉末(B)を得た。
次に、上記のようにして得たリチウム金属複合酸化物(B)を酸素濃度92%の雰囲気下で品温を770℃で5時間維持するように熱処理してリチウム金属複合酸化物粉末(B)を得た。
熱処理して得られたリチウム金属複合酸化物粉末(B)を目開き53μmの篩で分級して、篩下のリチウム金属複合酸化物粉末(B)(サンプル)を得た。
<化学分析測定>
実施例及び比較例で得たリチウム金属複合酸化物をICP発光分光分析法で測定し、組成を算出した。
<D50の測定>
実施例及び比較例で得られたサンプル(粉体)の粒度分布を次のようにして測定した。
レーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(日機装株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、リチウム金属複合酸化物粉末(サンプル)を水溶性溶媒に投入し、40%の流速中、40Wの超音波を360秒間照射した後、日機装株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「MT3000II」を用いて粒度分布を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからD50を求めた。
なお、測定の際の水溶性溶媒は60μmのフィルターを通し、溶媒屈折率を1.33、粒子透過性条件を透過、粒子屈折率2.46、形状を非球形とし、測定レンジを0.133〜704.0μm、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値をD50とした。
水酸化リチウムのD50については、レーザー回折粒子径分布測定装置用自動試料供給機(日機装株式会社製「Microtorac SDC」)を用い、サンプル(粉体)を0.414MPaの圧力で分散させることで、日機装株式会社製レーザー回折粒度分布測定機「MT3000II」を用いて粒度分布(乾式法)を測定し、得られた体積基準粒度分布のチャートからD50を求めた。
なお、測定の粒子透過性条件を反射、形状を非球形とし、測定レンジを0.133〜704.0μm、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値をD50とした。
<残存アルカリ量の測定>
残存アルカリ量の測定は、Winkler法を参考にして次の手順で算出した。
実施例及び比較例で得たリチウム金属複合酸化物粉末(サンプル)10.0gをイオン交換水50mlに分散させ、15min浸漬させた後、ろ過し、ろ液を塩酸で滴定した。その際、指示薬としてフェノールフタレインとブロモフェノールブルーを用いて、ろ液とその時の滴定量を基にして水酸化リチウム(LiOH)量(wt%)と炭酸リチウム(Li2CO3)量(wt%)を算出し、その合計量を「残存アルカリの総和(wt%)」として算出し、リチウム金属複合酸化物(A)の残存アルカリ量を表2に示し、リチウム金属複合酸化物粉末(B)(サンプル)の残存アルカリ量を表3に示した。
<電池特性評価>
実施例及び比較例で得たリチウム金属複合酸化物粉末(サンプル)8.0gと、アセチレンブラック(電気化学工業製)1.0gとを正確に計り取り、10分間乳鉢で混合した。その後、NMP(N-メチルピロリドン)中にPVDF(キシダ化学製)12wt%溶解した液8.3gを正確に計り取り、そこにリチウム金属複合酸化物粉末とアセチレンブラックの混合物を加えてさらに混合した。その後、NMPを5ml加えて十分に混合し、ペーストを作製した。このペーストを集電体であるアルミ箔上にのせ、100μm〜280μmのギャップに調整したアプリケーターで塗膜化し、140℃一昼夜真空乾燥した後、線圧が0.3t/cmになるようにロールプレスし、φ16mmで打ち抜き、正極とした。
電池作製直前に200℃で300min以上真空乾燥し、付着水分を除去して電池に組み込んだ。また、予めφ16mmのアルミ箔の重さの平均値を求めておき、正極の重さからアルミ箔の重さを差し引き正極合材の重さを求めた。また、リチウム金属複合酸化物粉末(正極活物質)とアセチレンブラック、PVDFの混合割合から正極活物質の含有量を求めた。
負極はφ19mm×厚み0.5mmの金属Liとし、電解液は、ECとDMCを3:7体積混合したものを溶媒とし、これに溶質としてLiPF6を1mol/L溶解させたものを用い、図1に示す電気化学評価用セルTOMCEL(登録商標)を作製した。
(初期活性)
上記のようにして準備した電気化学用セルを用いて次に記述する方法で初期活性を行った。25℃にて0.2Cで4.3Vまで定電流定電位充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電した。これを2サイクル繰り返した。なお、実際に設定した電流値は正極中の正極活物質の含有量から算出した。
(高温サイクル寿命評価:55℃高温サイクル特性)
上記のようにして初期活性を行った後の電気化学用セルを用いて下記に記述する方法で充放電試験し、高温サイクル寿命特性を評価した。
電池を充放電する環境温度を55℃となるようにセットした環境試験機内にセルを入れ、充放電できるように準備し、セル温度が環境温度になるように5時間静置後、充放電範囲を4.3V〜3.0Vとし、充電は0.2C定電流定電位、放電は0.2C定電流で1サイクル充放電行った後、1Cにて充放電サイクルを50回行った。
50サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り算して求めた数値の百分率(%)を「50cycle後の放電容量維持率(%)」として求めて表3に示すと共に、比較例1の「50cycle後の放電容量維持率(%)」を100とした場合の各実施例の相対値(%)も示した。
Figure 0006251843
Figure 0006251843
Figure 0006251843
(考察)
上記実施例及びこれまで本発明者が行ってきた試験結果から、先ず、目的とするリチウム金属複合酸化物(B)の組成に比べてリチウムが少ないリチウム金属複合酸化物(A)を仮焼成し、次に、該リチウム金属複合酸化物(A)にリチウム化合物を加えて本焼成してリチウム金属複合酸化物(B)を得ることにより、リチウム金属複合酸化物(B)中の未反応リチウム化合物を効果的に減らすことができることを確認することができた。
なお、上記実施例は、一般式(1):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ及び一般式(2):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγにおいて、MとしてAlを用いたものであるが、イオン半径や化学的安定性の点で、Alと、Mg、Ti、Fe、Zr、W及びNbとは共通する性質を有しているから、MとしてAlの代わりに或いはAlと共に、これらMg、Ti、Fe、Zr、W及びNbからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素を用いた場合も、上記実施例と同様の効果を得ることができるものと考えられる。

Claims (6)

  1. 一般式(1):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、0≦x≦0.1、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表される、層構造を有するリチウム金属複合酸化物(B)の製造方法であって、
    一般式(2):Li1+xNi1−α−β−γMnαCoβγ(式中、−0.7≦x≦−0.05、0.01≦α≦0.35、0.01≦β≦0.35、0≦γ≦0.1である。MはAl、Mg、Ti、Fe、Zr、WおよびNbからなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む)で表わされるリチウム金属複合酸化物(A)を、600℃〜850℃で仮焼成して得る第1工程と、前記第1工程で得られた前記リチウム金属複合酸化物(A)とリチウム化合物とを混合し、700℃〜1000℃で本焼成することによって、前記リチウム金属複合酸化物(B)を得る第2工程と、を備えた層構造を有するリチウム金属複合酸化物の製造方法であって、
    前記第2工程における前記本焼成は、前記第1工程における前記仮焼成よりも高温で行うことを特徴とするリチウム金属複合酸化物の製造方法。
  2. 前記リチウム金属複合酸化物(A)におけるLiのモル比は、前記リチウム金属複合酸化物(B)におけるLiのモル比の45〜95%であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
  3. 前記第1工程では、ニッケル原料、マンガン原料、コバルト原料およびM元素原料を混合し、平均粒径が0.5μm以下になるまで湿式粉砕混合し、得られたスラリーを噴霧乾燥した後に前記仮焼成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
  4. 前記第2工程では、上記リチウム化合物として、水酸化リチウム又は炭酸リチウムを用いることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
  5. 前記第2工程では、前記本焼成して得た前記リチウム金属複合酸化物(B)に対して、アルミニウム、チタン及びジルコニウムのうちの少なくとも一種を含有する表面処理剤を用いて表面処理を行い、該表面処理後のリチウム金属複合酸化物(B)を熱処理することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
  6. 前記第1工程では、ロータリーキルンを用いて前記仮焼成することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
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