以下、本発明の扉錠の実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の扉錠の実施例1を示す図であり、使用状態を室内側から見た正面図である。図2は、図1の扉錠を戸先側から見た図である。図3は、図1の扉錠を上方から見た概略断面図である。図4は、図1の扉錠の分解斜視図である。図5は、図1の扉錠の縦断面図であり、(a)は解錠状態、(b)は施錠状態を示している。図6は、図1の扉錠のサムターン装置を示す横断面図である。
本実施例1の扉錠1は、玄関扉等の各種扉に適用可能であるが、気密性を必要とする部屋の扉に好適に用いられ、たとえば実験室やクリーンルームの扉に好適に用いられる。以下においては、実験室の扉に取り付けられる場合について説明する。
本実施例の扉錠1が使用される扉3は、開き戸形式とされ、たとえば室外側へ開く外開き扉とされる。扉3は、矩形枠状の扉枠5の一側端部に、ヒンジ7を介して回動可能に取り付けられる。
図3に示すように、矩形枠状の扉枠5は、その内周面のうち、室内側端部が内側へ突出して戸当り部9が形成されている。扉3は、矩形枠状の扉枠5のうち、室外側に収容されて閉鎖可能とされる。その際、戸当り部9により、扉3が必要以上に室内側へ入り込むのが防止される。また、本実施例では、扉枠5の戸当り部9の室外側面に、合成ゴムなどの弾性材からなるパッキン11が周方向に沿って設けられており、閉鎖した扉3は、パッキン11に当接する。
本実施例1の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミの操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを主要部に備える。本実施例1では、扉3の室外側にシリンダー装置19が取り付けられ、扉3の室内側(実験室側)にサムターン装置21が取り付けられる。
錠ケース17は、矩形箱状とされ、扉3の戸先側端部の上下方向略中央部に取り付けられる。具体的には、錠ケース17は、扉3に埋め込まれると共に、錠ケース17の戸先側端面23に矩形板状のフロント裏板25が重ね合わされて、ネジ27によりフロント裏板25が錠ケース17の戸先側端面23に固定される。また、このフロント裏板25にフロント板29が重ね合わされて、フロント板29を介して扉3の戸先側端部に取付ネジ31がねじ込まれて、錠ケース17、フロント裏板25およびフロント板29が扉3に固定される。錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29には、デッドボルト15が通される貫通穴23a,25a,29aがそれぞれ形成されている。
錠ケース17に、扉3を施解錠するデッドボルト15が設けられている。デッドボルト15は、左右方向に長い長方形状とされ、錠ケース17の戸先側端面23に固定されたフロント裏板25およびフロント板29から出没可能とされている。デッドボルト15の基端部の上部には、上方へ開口する矩形状の凹部33が形成されている。
また、錠ケース17には、デッドボルト15を出没させる出没操作機構が内蔵されている。本実施例では、出没操作機構として、錠ケース17に回転可能に保持されるハブ35と、クリックバネ(不図示)とを有しており、ハブ35の回転に伴いデッドボルト15が進退する構成とされている。
ハブ35は、略円柱形状とされ、その軸方向両端部35aは縮径して形成されている。ハブ35の中央部には、軸方向に貫通して係合穴37が形成されている。係合穴37は、円形状とされる一方、直径方向に離隔した位置に径方向内側へ突出して三角形状部37aが形成されている。
また、ハブ35の外周面の一部には、径方向外側へ突出して矩形状の係止部39が一体形成されている。ハブ35は、その軸方向両端部35aが錠ケース17の前後壁面の穴17aにそれぞれはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。また、係止部39は、デッドボルト15の凹部33に差し込まれている。ハブ35は、デッドボルト15の突出状態と後退状態とにおいて、クリックバネにより、その安定方向に付勢されている。
シリンダー装置19は、略円柱形状の胴部材41と、この胴部材41の中央部に軸方向に沿って形成された穴にはめ込まれて設けられるシリンダー本体43とを備える。
胴部材41には、径方向に離隔して、2本の丸棒状の取付柱45,45が室内側へ突出して設けられている。この取付柱45の先端部中央には、先端側(室内側)へ開口するネジ穴45aが軸方向に沿って形成されている。
シリンダー本体43の先端部には、矩形板状の作動片47が、先端側へ突出して設けられている。この作動片47は、シリンダー本体43の鍵穴に差し込まれる鍵Kの回転操作に伴って回転する。
シリンダー装置19は、取付柱45を扉3の穴および錠ケース17の穴17bに差し込んだ状態で、胴部材41が扉3の室外側面に当接して設けられる。また、シリンダー本体43の作動片47は、ハブ35の係合穴37に差し込まれる。これにより、シリンダー本体43の鍵穴に鍵Kを差し込み、鍵Kを回転操作することで、作動片47がハブ35を回転させてデッドボルト15を進退させることができる。
サムターン装置21は、回転操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン軸51と、このサムターン軸51を回転自在に軸受する胴部材53と、サムターン軸51の基端部に設けられるツマミ55とを備える。
サムターン軸51は、丸棒状とされ、その基端部は径方向外側へ拡径して鍔部57が形成され、この鍔部57の基端側に矩形板状のツマミ55が一体に形成されている。
サムターン軸51の先端部59は、断面十字状に形成されており、この十字状の先端部59の基端側に、周方向に沿って環状の溝61が形成されている。
また、サムターン軸51には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。
胴部材53は、円柱形状とされ、その中央部には、円形の軸穴65が軸方向に貫通して形成されている。また、胴部材53には、径方向に離隔して2か所に、取付穴67が軸方向に貫通して形成されている。
サムターン軸51は、取付溝63にシール材69が装着された状態で、胴部材53の軸穴65に差し込まれる。本実施例では、シール材69としてOリングが用いられる。胴部材53の軸穴65に差し込まれたサムターン軸51は、その先端部59が胴部材53から突出して設けられ、先端部の環状溝61にEリング71が取り付けられる。
これにより胴部材53が鍔部57とEリング71とに挟み込まれ、胴部材53に取り付けられたサムターン軸51は、胴部材53に対する軸方向の移動が規制される一方、胴部材53に回転可能に保持される。
サムターン軸51の外周部に設けられたシール材69は、サムターン軸51と胴部材53との間、具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間の隙間を封止する。つまり、シール材69の外周部は胴部材53の軸穴65の内周面に当接しており、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間を密閉している。
サムターン軸51が取り付けられた胴部材53は、扉3の室内側面に当接して設けられる。この際、サムターン軸51は、扉3に形成された穴に通されて、その十字状の先端部59が、錠ケース17の穴を介してハブ35の係合穴37にはめ込まれる。これにより、サムターン軸51とハブ35は一体回転可能とされ、サムターン軸51に設けられたツマミ55を回すと、サムターン軸51の先端部59がハブ35を回転させて、デッドボルト15を進退させることができる。
サムターン軸51の先端部59がハブ35の係合穴37にはめ込まれた状態で、胴部材53の取付穴67から、シリンダー装置19に設けられた取付柱45に向けて、ネジ73がねじ込まれる。これにより、扉3の室内側にサムターン装置21が固定され、室外側にシリンダー装置19がサムターン装置21に対向して固定される。
このように扉3に設けられた扉錠1は、室内側からはツマミ55を回転操作することで、サムターン軸51が一体回転し、さらにハブ35が回転する。これによりデッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。一方、室外側からは、シリンダー装置19のシリンダー本体43に鍵Kを差し込んで鍵Kを回転操作することで、作動片47が回転し、さらにハブ35が回転する。これによりデッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。
本実施例1の扉錠1のサムターン装置21は、サムターン軸51と胴部材53との間にシール材69が配置され、シール材69は、サムターン軸51の外周部に当接すると共に、胴部材53の軸穴65の内周面にも当接しており、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間をシール材69が密閉しており、気密性を有している。
これにより、たとえば、実験室内で発生した揮発性ガスや有毒ガスが、サムターン軸51と胴部材53との隙間を通って外部へ流出することがなく、室外で使用される電気機器等の火花によって爆発するおそれもなく、人体に被害を与えるおそれもない。また、本実施例1の扉錠1は、気密性を有していると共に水密性を有している。したがって、実験室内において水漏れが発生した場合でも、水がサムターン軸51と胴部材53との隙間を通って外部へ流出することがない。
次に、本発明の扉錠の実施例2について説明する。
本実施例2の扉錠1は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図7は、本発明の扉錠の実施例2におけるサムターン装置を示す横断面図である。
本実施例では、サムターン装置21の胴部材53は、シール材79を介して扉に固定される。具体的には、サムターン装置21の胴部材53は、その先端面の外周部に、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝77が環状に形成されている。つまり、胴部材53には、扉3の室内側面に当接する面の外周部に、環状の取付溝77が形成されており、この取付溝77の内側に取付穴67が配置されている。この胴部材53の取付溝77に、シール材79がはめ込まれて設けられる。本実施例では、シール材79としてOリングが用いられる。
胴部材53は、取付溝77にシール材79が配置された状態で、扉3の室内側面に当接して設けられる。そして、実施例1と同様にシリンダー装置19の取付柱45にネジ73がねじ込まれてサムターン装置21が扉3に固定される。このように、本実施例2では、胴部材53は、シール材79を介して扉3の室内側面に重ね合わされて固定される。
また、本実施例2では、サムターン軸51と胴部材53との間にシール材69が配置されると共に、サムターン装置21が扉3に取り付けられた状態では、胴部材53と扉3の室内側面との間にシール材79が配置され、シール材79は、胴部材53に当接すると共に、扉3の室内側面にも当接しており、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との隙間を密閉している。これにより、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が一層高められる。
次に、本発明の扉錠の実施例3について説明する。
本実施例3の扉錠1は、基本的には上記実施例2の扉錠1と同様の構成である。そこで、以下においては、上記実施例2と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図8は、本発明の扉錠の実施例3におけるサムターン装置を示す横断面図である。
本実施例3では、胴部材53の取付穴67の基端部に、環状の取付溝83が形成されている。具体的には、取付穴67の基端部67aは、拡径して形成される一方、取付穴67の外周部に沿って基端側(室内側)へ円筒状に突出して円筒状部85が形成されている。
換言すれば、取付穴67の基端部には、取付穴67に連続する円筒状部85を残して、取付穴67の外周部に環状の取付溝83が形成されている。なお、図示例では、円筒状部85は、拡径穴とされた基端部67aの軸方向中途部まで延出している。
本実施例3では、この取付溝83にシール材87がはめ込まれた状態で、実施例1と同様、ネジ73がシリンダー装置19の取付柱45にねじ込まれる。本実施例では、シール材87としてOリングが用いられる。
本実施例3では、サムターン軸51と胴部材53との間、および胴部材53と扉3の室内側面との間にそれぞれシール材69,79が設けられると共に、胴部材53からシリンダー装置19の取付柱45にネジ73がねじ込まれた状態では、取付溝83にシール材87が配置されており、そのシール材87は、ネジ73の頭部に当接すると共に、環状溝83の底部にも当接しており、ネジ73の頭部と胴部材53の取付穴67との隙間を密閉している。これにより、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が一層高められる。
次に、本発明の扉錠の実施例4について説明する。
本実施例4の扉錠は、基本的には前記実施例3の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、前記実施例3と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図9および図10は、本発明の扉錠の実施例4におけるサムターン装置を示す図であり、図9は横断面図、図10は縦断面図である。
本実施例4では、サムターン軸51に、周方向に沿って環状に形成された断面矩形状の取付溝63が、軸方向に離隔して2つ形成されている。また、取付溝63,63間には、断面矩形状の凹溝91が、周方向に沿って環状に形成されている。
胴部材53には、外周面から軸穴65に向けて穴93が形成されている。図示例では、胴部材53の上端部から軸穴65に向けて、胴部材53の外周面に開口する穴93が形成されている。この穴93の一端部には、丸棒状のキャップ部材95がはめ込まれて固定されており、胴部材53の外周面における穴93の開口部は閉塞されている。
また、胴部材53には、その先端面から穴93に向けて、注入穴97が形成されている。この注入穴97はネジ穴とされており、注入穴97の一端部97aは拡径して形成されている。
本実施例4では、サムターン軸51の2つの取付溝63に、それぞれシール材69がはめ込まれた状態で、胴部材53の軸穴65にサムターン軸51が差し込まれて、サムターン軸51の先端部の環状溝61にEリング71が取り付けられる。
胴部材53にサムターン軸51が取り付けられた状態で、注入穴97から液材99が注入される。本実施例では、液材99としてオイルが用いられる。注入穴97から注入された液材99は、サムターン軸51の凹溝91に貯留される。このようにしてサムターン軸51の外周部に沿って環状に液材99が充填されて、サムターン軸51の外周部を液材99が覆う。液材99を注入した後、注入穴97にネジ101がねじ込まれて注入穴97は閉じられる。凹溝91に貯留される液材99は、シール材69,69により外部へ漏れることがない。
このように、胴部材53にサムターン軸51が取り付けられ、さらに、液材99が注入された状態で、上記実施例1と同様にして、扉3の室内側に胴部材53が固定される。
本実施例では、胴部材53と扉3の室内側面との間、および胴部材53の取付穴67とネジ73との間にそれぞれシール材79,87が設けられている。さらに、サムターン軸51と胴部材53の軸穴65との間にシール材69,69が配置されると共に、サムターン軸51と胴部材53との間に液材99が充填されることで、ガスの通過をより一層防止することができ、気密性がより一層高い扉錠1とされる。
次に、本発明の扉錠の実施例5について説明する。
本実施例5の扉錠は、基本的には上記実施例3の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、上記実施例3と異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図11は、本発明の扉錠の実施例5におけるサムターン装置を示す横断面図である。
本実施例では、胴部材53の軸穴65の軸方向中途部に、径方向外側へ凹んで、周方向に沿って断面矩形状の取付溝105が環状に形成されている。
そして、この取付溝105にシール材107が配置されて、サムターン軸51が胴部材53の軸穴65に差し込まれる構成とされる。シール材107には、Oリングが用いられる。
本実施例5では、実施例3と同様、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との隙間、ネジ73の頭部と胴部材53の取付穴67との隙間が、それぞれシール材107,79,87により密閉されており、サムターン装置21および室内の気密性および水密性が高められる。
次に、本発明の扉錠の実施例6について説明する。
本実施例6の扉錠は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図12は、本発明の扉錠の実施例6を示す分解斜視図である。
また、図13は、図12の扉錠の使用状態を示す図であり、サムターン装置を戸先側から見た図であり、図14は、図13の縦断面図である。
本実施例では、シリンダー装置19およびサムターン装置21の取付け方が、実施例1と異なっている。具体的には、本実施例では、サムターン装置21の胴部材53は、略段付き円柱形状とされ、その先端部には、先端側へ突出して取付部111が形成されている。この取付部111には、左右方向(扉の幅方向)に沿って貫通穴113が形成されている。
胴部材53には、軸方向に沿って軸穴65が貫通して形成されており、この軸穴65にサムターン軸51が差し込まれる。本実施例6では、実施例1と同様、サムターン軸51の軸方向中途部に取付溝63が形成されており、この取付溝63にシール材69がはめ込まれた状態で、サムターン軸51は胴部材53の軸穴65に通される。また、実施例1と同様、サムターン軸51の先端部59には、環状溝61が形成されており、サムターン軸51が胴部材53の軸穴65に差し込まれた状態で、環状溝61にEリング71が取り付けられる。これにより、胴部材53が鍔部57とEリング71とに挟み込まれ、胴部材53に取り付けられたサムターン軸51は、胴部材53に対する軸方向の移動が規制される一方、胴部材53に回転可能に保持される。
サムターン軸51が取り付けられた胴部材53は、扉3の室内側面に重ね合わされて設けられるシール材115およびこのシール材115に重ね合わされて設けられるカラー117を介して、扉3に形成された穴にはめ込まれる。
シール材115は、弾性材により形成された板状とされ、本実施例では、合成ゴム製の円板形状とされる。本実施例では、シール材115は、貫通穴115aが形成されたシート状とされ、この貫通穴115aは胴部材53の先端側小径部119の外径に対応している。シール材115は、その貫通穴115aが扉3の貫通穴と連通するように、扉3の室内側面に重ね合わされて配置される。なお、シール材115は、扉3に固定してもよい。
カラー117は、筒状とされ、本実施例では、内外二重の円筒状体とされている。
具体的には、基端側(室内側)へ開口する有底の円筒状の内筒121の基端部から径方向外側へ延出した後、先端側(室外側)へ円筒状に延出して外筒123が形成された二重筒に形成されている。外筒123は、内筒121より先端側へ延出している。
内筒121の内径は、胴部材53の基端側大径部125の外径に対応している。
また、内筒121の底部127には、貫通穴127aが形成されており、この貫通穴127aは胴部材53の先端側小径部119の外径に対応している。
カラー117は、扉3に設けられたシール材115に重ね合わされて配置される。
そして、このカラー117の内筒121内にコイルバネ129が配置された状態で、胴部材53がカラー117の内筒121内に差し込まれる。
カラー117の内筒121に通された胴部材53は、内筒121の底部127の穴127aおよびシール材115の穴115aを介して扉3の穴3aに通される。そして、サムターン軸51の先端部59が錠ケース17に設けられたハブ35の係合穴37にはめ込まれると共に、胴部材53の取付部111が錠ケース17の穴17cにはめ込まれる。
胴部材53の取付部111が、錠ケース17内に突入して設けられた状態で、錠ケース17内に左右方向に沿って棒状の係止ピン131が挿入され、この係止ピン131が取付部111の貫通穴113にはめ込まれて、サムターン装置21が錠ケース17に固定される。なお、本実施例では、ハブ35は、錠ケース17内に設けられる保持部材(不図示)に回転可能に保持されている。
このようにサムターン装置21が錠ケース17に固定された状態において、カラー117に収容されたコイルバネ129は、その一端部が、内筒121の底部127に当接し、他端部が、胴部材53の基端側大径部125に当接して設けられる。
これにより、胴部材53が錠ケース17に固定された状態では、カラー117は、コイルバネ129により先端側(室外側)へ付勢され、シール材115を押圧する。
このように、本実施例では、胴部材53は、カラー117を介して扉3の室内側面に当接して設けられ、カラー117と扉3の室内側面との間にシール材115が設けられている。
シリンダー装置19の胴部材41は、サムターン装置21の胴部材53と同様、略段付き円柱形状とされ、その先端部には、先端側へ突出して取付部133が形成されている。
この取付部133には、左右方向(扉の幅方向)に沿って貫通穴135が形成されている。胴部材41には、軸方向に沿って穴が貫通して形成されており、この穴にシリンダー本体43が差し込まれる。
シリンダー装置19は、サムターン装置21と同様、胴部材41の外周部にカラー137が設けられた状態で、扉3の穴に胴部材41がはめ込まれ、錠ケース17内のハブ35の係合穴37に作動片47が差し込まれると共に、錠ケース17の穴に胴部材41の取付部133がはめ込まれる。そして、錠ケース17内に左右方向に沿って挿入される棒状の係止ピン139が、取付部133の貫通穴135にはめ込まれて、シリンダー装置19が錠ケース17に固定される。
本実施例6では、サムターン軸51と胴部材53との間、および胴部材53と扉3との間にシール材69,115が配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間、および胴部材53の外周部と扉3の穴との間にシール材69,115が配置され、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との隙間、および胴部材53の外周部と扉3の穴との隙間がシール材69,115により埋められて封止されていることで、サムターン装置21および室内は気密性を有する構成とされている。
次に、本発明の扉錠の実施例7について説明する。
本実施例7の扉錠は、基本的には上記実施例6の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図15は、本発明の扉錠の実施例7におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
本実施例7では、サムターン装置21の胴部材53に取り付けられるカラー141は、基端側(室内側)へ行くに従って縮径する円錐台形状とされ、その中央部には、軸方向に沿って段付きの貫通穴143が形成されている。この貫通穴143のうち、基端側大径穴145は胴部材53の基端側大径部125に対応した内径とされる。また、カラー141の貫通穴143のうち、先端側小径穴147は、ネジ穴とされている。
カラー141の先端面の外周部には、先端側へ開口して、断面矩形状の取付溝149が環状に形成されている。この取付溝149には、シール材151がはめ込まれて設けられる。本実施例7では、シール材151としてOリングが用いられる。
胴部材53は、その基端側大径部125の外周面に、径方向外側へ開口する断面矩形状の取付溝153が、周方向に沿って環状に形成されている。この胴部材53の取付溝153に、シール材155がはめ込まれて設けられる。本実施例では、シール材155としてOリングが用いられる。
また、胴部材53の先端側小径部119には、その外周部にネジ溝が形成されており、胴部材53にカラー141がねじ込まれて取り付けられる。
カラー141は、胴部材53に設けられたシール材155が、カラー141の基端側大径穴145内に配置されるまで、胴部材53にねじ込まれて取り付けられる。
カラー141が取り付けられた胴部材53は、実施例6と同様に、扉3の穴に差し込まれ、サムターン軸51の先端部59がハブ35の係合穴37にはめ込まれると共に、胴部材53の取付部111が錠ケース17の穴17cにはめ込まれる。
そして、錠ケース17に左右方向に沿って通される係止ピン131が取付部111の穴113に通されて、胴部材53が錠ケース17に固定されて、扉3に取り付けられた錠ケース17にサムターン装置21が設けられる。
サムターン装置21が錠ケース17に取り付けられた状態では、カラー141の先端面は扉3の室内側面に当接しており、カラー141の取付溝149に設けられたシール材151が、扉3の室内側面に圧着して設けられている。このように、本実施例7では、胴部材53は、カラー141を介して扉3の室内側面に当接して設けられ、カラー141と扉3の室内側面との間にシール材151が設けられている。
本実施例7では、サムターン軸51と胴部材53の間、胴部材53とカラー141との間、およびカラー141と扉3との間にシール材69,155,151が配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴65との間、胴部材53の外周部とカラー141の内周面との間、およびカラー141の先端面と扉3の室内側面との間にシール材69,155,151がそれぞれ配置され、各隙間がシール材69,155,151により密閉されていることで、気密性の高い扉錠1が構成される。
次に、本発明の扉錠の実施例8について説明する。
本実施例8の扉錠は、基本的には上記実施例7の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の異なる部分を中心に説明し、対応する箇所には同一符号を付して説明する。
図16は、本発明の扉錠の実施例8におけるサムターン装置を示す縦断面図である。
本実施例8では、サムターン装置21の胴部材53が、2つに分離された構成とされると共に、サムターン軸51が、2つに分離された構成とされる。
具体的には、胴部材53は、第一胴部材611と、この第一胴部材611に連結される第二胴部材613とを備える。
第一胴部材611は、略円柱形状とされ、その先端部中央には、先端側へ開口して凹部615が形成されている。また、第一胴部材611には、基端部から凹部615に開口するように、軸穴617が貫通して形成されている。
また、第一胴部材611は、その先端面の外周部に、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝619が環状に形成されている。
さらに、第一胴部材611には、基端部から凹部615に開口する取付穴621が形成されており、この取付穴621の基端部には、実施例3と同様に取付溝623が形成されている。
第二胴部材613は、略円柱形状とされ、その先端部には先端側へ突出して取付部111が形成されており、この取付部111には扉3の幅方向に沿って貫通穴113が形成されている。
また、第二胴部材613は、その外径が、第一胴部材611の凹部615に対応しており、第一胴部材611の凹部615にはめ込まれて設けられる。
さらに、第二胴部材613には、軸方向に沿って段付きの軸穴631が形成されている。
サムターン軸51は、実施例7におけるサムターン軸51が、軸方向中途部で分離された構成とされ、基端側に配置される第一サムターン軸635と、この第一サムターン軸635に連結される第二サムターン軸637とを備える。
第一サムターン軸635は、丸棒状とされ、その基端部に鍔部57が形成され、この鍔部57の基端側に矩形板状のツマミ55が一体に形成されている。
第一サムターン軸635には、軸方向中途部に断面矩形状の取付溝63が、周方向に沿って環状に形成されている。
また、第一サムターン軸635の先端部には、その外周面に周方向に沿って環状の溝639が形成されている。さらに、第一サムターン軸635の先端部には、先端側へ矩形板状に突出して係合部641が形成されている。
第二サムターン軸637は、丸棒状とされ、その先端側が縮径して形成されており、軸方向中途部に段部643が形成されている。また、第二サムターン軸637の先端部59は、断面十字状に形成されており、この十字状の先端部59の基端側に、周方向に沿って環状の溝61が形成されている。
第二サムターン軸637の基端部中央には、径方向に沿って、基端側(室内側)へ開口する矩形状の溝645が形成されており、この溝645に、第一サムターン軸635の係合部641がはめ込み可能とされる。
本実施例では、第二胴部材613の軸穴631に第二サムターン軸637がはめ込まれて、第二サムターン軸637の溝61にEリング71がはめ込まれる。
この際、第二サムターン軸637の段部643が、第二胴部材613の軸穴631の段部に当接することで、第二サムターン軸637の第二胴部材613に対する軸方向の移動が規制されると共に、第二サムターン軸637は第二胴部材613に対して回転可能に保持される。
第一サムターン軸635は、その取付溝63にシール材69が取り付けられた状態で、第一胴部材611の軸穴617にはめ込まれて、その先端部の溝639にEリング647がはめ込まれる。これにより、第一胴部材611が、第一サムターン軸635の鍔部57とEリング647とに挟み込まれて、第一サムターン軸635は、第一胴部材611に対して軸方向の移動が規制されると共に、第一胴部材611に回転可能に保持される。
第一胴部材611に装着された第一サムターン軸635は、その先端部の係合部641が、第二胴部材613に装着された第二サムターン軸637の溝645にはめ込まれ、第二胴部材613は、第一胴部材611の凹部615にはめ込まれる。第一サムターン軸635に連結された第二サムターン軸637は、第一サムターン軸635と一体回転する。
第一胴部材611に第二胴部材613がはめ込まれた状態で、第一胴部材611の取付穴621から第二胴部材613にネジ649がねじ込まれて、第一胴部材611が第二胴部材613に固定される。この際、取付穴621の取付溝623には、シール材651が設けられる。本実施例では、シール材651にOリングが用いられる。
このように、第一胴部材611、第二胴部材613、第一サムターン軸635および第二サムターン軸637が一体化された状態で、第一胴部材611の取付溝619にシール材655が取り付けられ、第二胴部材613の取付部111が扉3の穴を介して錠ケース17の穴にはめ込まれて設けられる。
そして、係止ピン131が第二胴部材613の貫通穴113にはめ込まれて、サムターン装置21が錠ケース17に固定される。
本実施例8では、サムターン軸51と胴部材53の間、胴部材53と扉3との間、および胴部材53とネジ649との間にシール材69,655,651がそれぞれ配置される。具体的には、サムターン軸51の外周部と胴部材53の軸穴617との間、胴部材53の先端面と扉3の室内側面との間、および、胴部材53の取付穴621とネジ649との間の隙間を各シール材69,655,651が密閉しており、気密性の高い扉錠1が構成される。
次に、本発明の扉錠の実施例9について説明する。
本実施例9の扉錠は、基本的には上記実施例1の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、両者の対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、同様の構成部分については説明を省略する。
図17は、本発明の扉錠の実施例9の使用状態を室内側から見た正面図であり、図18は、図17の扉錠を戸先側から見た図であり、図19は、図17の扉錠の断面図である。また、図20は、図17の扉錠を戸先側から見た断面図であり、一部を省略して示している。図21は、図17の扉錠の分解斜視図である。
本実施例9の扉錠1は、実施例1と同様、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、鍵Kの操作によりデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミ55の操作によりデッドボルト15を進退させるサムターン装置21とを備え、さらに、錠ケース17に進退可能に設けられるラッチ161と、このラッチ161を進退させるラッチハブ163と、このラッチハブ163を回転操作するハンドル装置165とを備える。
本実施例の錠ケース17は、実施例1の錠ケースと同様の構成とされる一方、錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29には、デッドボルト15が通される穴23a,25a,29aの下部に、さらにラッチ161が通される貫通穴23b,25b,29bがそれぞれ形成されている。
ラッチ161は、ラッチ頭部167と、このラッチ頭部167に接続されるラッチ軸部169とを有している。
ラッチ頭部167は、斜面部と直線部とが形成された平面視三角形状とされ、その基端部167aは矩形状に形成されている。
ラッチ軸部169は、丸棒状とされ、案内部材173に通された状態で、その一端部がラッチ頭部167の基端部167aに形成された穴またはネジ穴に、圧入またはねじ込まれてラッチ頭部167に固定されている。ラッチ軸部169の他端部には、鍔部171が形成されている。
案内部材173は、コ字形状とされ、その開放両端片175,177に貫通穴が形成されており、この貫通穴にラッチ軸部169が通されている。ラッチ軸部169がラッチ頭部167に取り付けられた状態において、案内部材173の一端片175は、ラッチ頭部167に当接しており、他端片177はラッチ軸部169の他端部の鍔部171に当接している。
また、案内部材173には、その他端片177に、矩形板状の凸部179が室内側および室外側へ突出して形成されており、この凸部179は、錠ケース17に形成されたガイド穴181にはめ込まれる。これにより、ラッチ161は、錠ケース17に左右方向に沿って進退可能に設けられる。
ラッチ軸部169の鍔部171には、バネ183の一端部がはめ込まれて、バネ183の一端部は、案内部材173の他端片177に当接して設けられている。また、バネ183の他端部は錠ケース17の吊元側端面に当接して設けられている。このバネ183によりラッチ161は、常時突出方向に付勢されている。
ラッチハブ163は、断面四角形の柱形状とされると共に、その軸方向両端部163aは、円形状に形成されている。ラッチハブ163の中央部には、軸方向に沿って四角形状の貫通穴185が形成されている。このラッチハブ163には、係合部材187が取り付けられている。
係合部材187は、板材を屈曲して形成されたコ字形状材とされ、その前後両端片189には、矩形状の貫通穴191がそれぞれ形成されている。また、係合部材187の前後両端片189には、それぞれ、上方へ矩形状に突出して係合片193が形成されている。
ラッチハブ163は、ねじりバネ195が通された状態で、係合部材187の前後両端片189,189間に配置され、係合部材187の前後両端片189の貫通穴191にはめ込まれて係合部材187に取り付けられる。
このようにラッチハブ163に設けられた係合部材187は、ラッチハブ163と一体回転可能とされる。
係合部材187に装着されたラッチハブ163は、その軸方向両端部163aが、係合部材187の前後両端片189から前後方向外側へ突出しており、この軸方向両端部163aが、それぞれ錠ケース17の穴17dにはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。
図19に示すように、ラッチ161のラッチ頭部167が錠ケース17から突出した状態において、係合部材187の各係合片193は、案内部材173の右端片177に近接して配置される。また、ねじりバネ195の一端部195aは、錠ケース17の壁面を切り起こして形成された板状部197に当接している。
さらに、錠ケース17にラッチハブ163が取り付けられ、ラッチ161が突出した状態では、係合部材187の中央片199の一端部(図19において右端部)が錠ケース17に立設された柱材201に当接している。
錠ケース17に取り付けられたラッチハブ163は、図19においてねじりバネ195により反時計方向に付勢されているが、係合部材187の中央片199が柱材201に当接することで、一定以上の回転が規制されている。
なお、ラッチ161は、案内部材173の凸部179が、錠ケース17のガイド穴181の端部に当接することで、一定以上の突出が規制される。
ハンドル装置165は、回転操作によりラッチ161を後退させる室外側ハンドル205と、この室外側ハンドル205を回転可能に保持する座207と、室内側に設けられ、回転操作によりラッチ161を後退させる室内側ハンドル209と、この室内側ハンドル209を回転可能に保持する座211と、室外側ハンドル205と室内側ハンドル209とを連結する連結軸213とを主要部に備える。
室外側ハンドル205は、略L字形状とされ、操作部215と、この操作部215の一端部から直角に延出する丸棒状の取付部217とにより構成される。
取付部217は、先端側が縮径して形成されている。取付部217の先端部219の外周面には、周方向に沿って環状の溝221が形成されている。
さらに、取付部217の先端部219の中央には、先端側(室内側)へ開口する断面矩形状の穴223が軸方向に沿って形成されている。
座207は、円板形状とされ、その中央部には軸方向に沿って貫通穴225が形成されている。また、座207には、径方向に離隔して、2本の丸棒状の取付柱227,227が室内側へ突出して設けられている。この取付柱227の先端部中央には、先端側へ開口するネジ穴227aが軸方向に沿って形成されている。
室外側ハンドル205は、その取付部217の先端部219が座207の貫通穴225に通されて、環状溝221にEリング229がはめ込まれる。取付部217の基端側大径部とEリング229とにより座207が挟み込まれ、室外側ハンドル205は座207に対して軸方向の移動が規制されると共に、回転可能に座207に保持される。
室外側ハンドル205が取り付けられた座207は、その取付柱227を扉3の穴および錠ケース17の穴17eにはめ込んで、扉3の室外側面に当接して設けられる。
室内側ハンドル209は、略L字形状とされ、操作部235と、この操作部235の一端部から直角に延出する丸棒状の取付部237とにより構成されており、室外側ハンドル205と略同形状とされる。
取付部237は、その先端部239が縮径して形成されている。また、取付部237の先端部239の外周面には、周方向に沿って環状の溝241が形成されている。
さらに、取付部237の先端部239の中央には、先端側(室外側)へ開口する断面矩形状の穴243が軸方向に沿って形成されている。
連結軸213は、断面矩形状の棒材とされ、その一端部が室内側ハンドル209の取付部237の穴243にはめ込まれてネジ245により室内側ハンドル209に固定される。
座211は、略円柱形状とされ、その中央部には、軸方向に貫通して円形の軸穴247が形成されている。この軸穴247には、径方向外側へ凹んで、周方向に沿って環状に形成された断面矩形状の取付溝249が、軸方向に離隔して2つ形成されている。
座211には、取付溝249,249間に開口するように、外周面から軸穴247に向けて貫通する穴251が形成されている。図示例では、座211の上端部から軸穴247に向けて縦穴251が形成されている。座211の外周面に開口する穴251の一端部(縦穴251の上端部)には、丸棒状のキャップ部材253がはめ込まれて固定されており、穴251の一端部は閉塞されている。
また、座211には、その先端面から穴251に向けて、注入穴255が形成されている。この注入穴255はネジ穴とされており、注入穴255の一端部255aは拡径して形成されている。
さらに、座211の先端面の外周部には、先端側へ開口する断面矩形状の取付溝257が環状に形成されている。この取付溝257には、シール材258が取り付けられる。本実施例では、シール材258としてOリングが用いられる。
座211の軸穴247の各取付溝249に第四シール材としてのシール材259がそれぞれはめ込まれた状態で、座211の軸穴247に室内側ハンドル209の取付部237の先端部239が差し込まれて、先端部239の環状溝241にEリング261がはめ込まれる。これにより、室内側ハンドル209は、座211に回転可能に保持される。本実施例では、第四シール材としてのシール材259としてOリングが用いられる。
座211に室内側ハンドル209が取り付けられた状態で、座211の注入穴255から軸穴247に液材263が注入されて、注入穴255にネジ265がねじ込まれて注入穴255は閉塞される。本実施例では、液材263としてオイルが用いられる。
液材263は、取付部237の先端部239の外周部に沿って環状に充填され、取付部237の外周部を覆う。座211の軸穴247に貯留される液材263は、シール材259により外部へ漏れることがない。
座211に室内側ハンドル209が取り付けられた状態で、連結軸213が扉3の穴を介してラッチハブ163の穴185に通されて、さらに室外側ハンドル205の取付部217の穴223にはめ込まれる。そして、室外側ハンドル205の取付部217の外周面から連結軸213にネジ267がねじ込まれて、連結軸213が室外側ハンドル205に固定される。
室内側の座211には、径方向に離隔して2か所に、取付穴269が軸方向に貫通して形成されている。そして、室外側の座207に設けられた取付柱227に、室内側の座211の取付穴269からネジ271がねじ込まれて、扉3の室内外に、ハンドル205,209がそれぞれ取り付けられる。
このような構成のハンドル装置165を有する本実施例9の扉錠1は、デッドボルト15により本締り可能とされる。つまり、実施例1と同様、室内側からはツマミ55を操作することで、室外側からはシリンダー装置19に差し込まれる鍵Kを操作することで、デッドボルト15が進退して施解錠が可能とされる。
また、本実施例9では、ラッチ161が常時戸先側へ付勢されており、扉3を閉鎖した状態では、扉枠5に設けられた受け部材に突入して、扉3を仮締りし、扉3の閉鎖状態を維持する。
本実施例では、デッドボルト15を後退させて解錠した状態で、室外側ハンドル205または室内側ハンドル209を回転操作することで扉3を開けることができる。
たとえば、扉3が閉鎖した状態において、室内側ハンドル209を図19において時計方向に回転させることで、室内側ハンドル209と一体に連結軸213が回転し、さらに、連結軸213がはめ込まれたラッチハブ163が時計方向に回転する。そして、ラッチハブ163と共に係合部材187が時計方向に回転して、係合部材187の係合片193がコ字形状の案内部材173の右端片177を図19において右側へ押し込む。これによりラッチ161が右側(吊元側)へ移動して、錠ケース17内に収容されて解錠され、扉3を開けることが可能となる。なお、室外側ハンドル205を操作した場合も同様に、扉3を開けることができる。
本実施例では、実施例1と同様、サムターン装置21は気密性を有している。
また、室内側ハンドル209の取付部237と座211との間、および座211と扉3の室内側面との間にシール材259,258が設けられ、室内側ハンドル209の取付部237と座211の軸穴247との隙間および座211の先端面と扉3の室内側面との隙間をシール材259,258が密閉しており、気密性を有したハンドル装置165となっている。さらに、本実施例では、室内側ハンドル209の取付部237の外周部にオイルなどの液材263が充填されることで、より気密性の高いハンドル装置165となっている。
ところで、本実施例におけるハンドル装置165は、実施例4のサムターン装置21と同様の構成により気密性を有する構成としたが、実施例1〜実施例3や実施例5のサムターン装置21の構成を利用して気密性を有する構成としてもよい。
たとえば、実施例1のサムターン装置21のように、室内側ハンドル209の取付部237に環状の取付溝を1つ形成して、この取付溝にシール材を取り付けて、座211の軸穴247にはめ込むようにしてもよい。また、実施例3のように、取付穴269の基端部に環状の取付溝を形成してシール材を取り付けた状態で、ネジ271をねじ込むようにしてもよい。
ところで、上記実施例1〜実施例8における扉錠1は、手動で施解錠可能とされたが、実施例1〜実施例8におけるサムターン装置21は、電動で施解錠可能な扉錠にも適用することができる。つまり、実施例1〜実施例8におけるサムターン装置21は、電気錠にも適用可能である。そこで、以下において、実施例1におけるサムターン装置21を備えた電気錠の一例について説明する。
次に、本発明の扉錠の実施例10について説明する。
図22および図23は、本実施例10の扉錠を示す図であり、図22は、使用状態を室内側から見た正面図、図23は、上方から見た図である。
また、図24は、図22の電気錠の縦断面図であり、施錠された状態を示す図である。
以下においては、実施例1と共通または対応する箇所には同一符号を付し、実施例1と異なる部分を中心に説明し、実施例1と同様の構成部分については説明を省略する。
本実施例10の扉錠1は、手動でデッドボルト15を進退させて施解錠可能とされると共に、電動でもデッドボルト15を進退させて施解錠可能な電気錠とされる。
本実施例10の扉錠1は、本締りが可能な錠とされ、デッドボルト15が進退可能に設けられた錠ケース17と、この錠ケース17に設けられ、デッドボルト15を進退させる出没操作機構301と、鍵Kの操作により出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるシリンダー装置19と、ツマミ55の操作により出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるサムターン装置21と、出没操作機構301を介してデッドボルト15を進退させるモータ303とを主要部に備える。
デッドボルト15は、錠ケース17の戸先側端面から出没可能とされ、扉3を施解錠する。デッドボルト15は、長方形状とされ、その基端部は下方へ延出した後、さらに基端側へ延出して形成されており、基端部の上部には、上方へ開口する矩形状の凹部305が形成されている。
錠ケース17には、電気的な施解錠操作により作動するモータ303が設けられており、このモータ303に、デッドボルト15を進退させる出没操作機構301が接続されている。
出没操作機構301は、モータ303の回転軸に設けられた歯車307にかみ合わされる第一歯車309と、この第一歯車309と同軸上に配置され、第一歯車309と共に回転する第二歯車311と、第一歯車309および第二歯車311を保持する軸313に回転可能に取り付けられる第一作動部材315と、この第一作動部材315に設けられ、第二歯車311にかみ合わされる第三歯車317および第四歯車319とを備える。
さらに、出没操作機構301は、第一作動部材315の回転に応じて回転する第二作動部材321と、この第二作動部材321と同軸上に設けられる回動部材323と、この回動部材323と噛み合わされるハブ325とを備える。
第一歯車309は、かさ歯車とされ、錠ケース17に前後方向に沿って設けられる軸313に回転可能に保持される。第一歯車309は、モータ303の回転軸に取り付けられたかさ歯車307にかみ合わされている。
第一歯車309の基端側(室内側)に、第二歯車311が軸313に通されて配置されている。本実施例では、第一歯車309と第二歯車311は、一体化されており、第一歯車309と第二歯車311は一体回転する。
また、第二歯車311の基端側に、板状の第一作動部材315が重ね合わされて設けられており、第一作動部材315は軸313に回転可能に保持されている。
第一作動部材315には、図24において、下端部に矩形状の切欠き部327が形成されている。また、図24に示すように、第一作動部材315には、第三歯車317と第四歯車319が左右に離隔して回転可能に取り付けられており、この第三歯車317と第四歯車319は第二歯車311にそれぞれかみ合わされている。第三歯車317と第四歯車319の間に第一作動部材315の切欠き部327が配置されている。
第二作動部材321は、円板形状とされる一方、その外周部の一部には周方向に沿って円弧状に切り欠かれて開口部329が形成されている。また、第二作動部材321の外周部には、径方向外側へ突出して矩形状の突部331が形成されている。第二作動部材321は、回動部材323の基端側に重ね合わされた状態で、錠ケース17に立設される軸333に回転可能に保持されている。
回動部材323は、円柱形状とされ、その外周部の一部には、歯323aが周方向に沿って多数形成されている。図示例では、径方向に離隔した2か所に、歯323aがそれぞれ形成されている。
また、回動部材323には、径方向外側へ突出して矩形状の支持部341が設けられている。さらに、回動部材323の基端面(室内側面)には、基端側(室内側)へ突出して円弧状の突部343が形成されている。
回動部材323は、錠ケース17に立設された軸部333に回転可能に保持される。この回動部材323の基端側(室内側)に第二作動部材321が重ね合わされて、第二作動部材321は軸部333に回転可能に保持されている。この際、第二作動部材321は、その開口部329に、回動部材323の突部343が配置されるように、回動部材323に重ね合わされて設けられる。
また、第二作動部材321の突部331は、第一作動部材315の切欠き部327に差し込まれている。
回動部材323の支持部341には、付勢手段347が接続されている。
図示例では、支持部341から室外側へ突出するピン349が、付勢手段347の板状部351の穴に、回転可能にはめ込まれて接続されている。
板状部351は、軸353まわりに回転可能とされると共に、バネ355により軸353の径方向外側へ付勢されている。
回動部材323は、施錠状態および解錠状態における停止位置において、付勢手段347によりその安定方向へ付勢される。
ハブ325は、略円柱形状とされ、その軸方向両端部325aは、縮径して形成されている。ハブ325の中央部には、軸方向に貫通して係合穴361が形成されている。この係合穴361は、円形状とされる一方、直径方向に離隔した位置に径方向内側へ突出して三角形状部361aが形成されている。また、ハブ325の外周部の一部には、多数の歯363が周方向に沿って形成されている。さらに、ハブ325の外周面の一部には、径方向外側へ突出して矩形状の係止部365が一体形成されている。
ハブ325は、その軸方向両端部325aが錠ケース17の穴にはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。また、この際、係止部365は、デッドボルト15の基端部の凹部305に差し込まれている。
なお、モータ303や錠ケース17内に設けられる検出スイッチSに接続されるリード線369は、錠ケース17から導出され、扉3内を通されて、扉3の吊元側端部から扉枠5へさらに通されて、制御盤に接続されている。
上記実施例1と同様にして、サムターン軸51の先端部59が、扉3の穴および錠ケース17の穴を介してハブ325の係合穴361にはめ込まれて、室内側にサムターン装置21が取り付けられる。また、実施例1と同様にして室外側にシリンダー装置19が取り付けられる。
このような構成の本実施例の扉錠1は、電気的に施解錠操作がなされるとモータ303が回転して、出没操作機構301によりデッドボルト15が進退する。
たとえば、図24に示す施錠状態において、電気的に解錠操作がなされた場合、モータ303が回転して、第一歯車309が反時計方向に回転し、これに伴って、第二歯車311も反時計方向に回転する。第二歯車311に噛み合わされた第三歯車317と第四歯車319は時計方向に回転し、第三歯車317と第四歯車319を軸支する第一作動部材315は、反時計方向に回転する。
第一作動部材315が反時計方向に回転することで、第一作動部材315の切欠き部327に、突部331が差し込まれている第二作動部材321は、時計方向に回転する。
そして、第二作動部材321の開口部329に、突部343が配置された回動部材323は、開口部329の一端部に突部343が当接した状態で、時計方向に回転する。
回動部材323に噛み合わされたハブ325は、反時計方向に回転してデッドボルト15を後退させて、解錠される。
また、図24に示す施錠状態において、サムターン装置21のツマミ55を操作して解錠する場合、ツマミ55を反時計方向に回転させればよい。
これにより、ハブ325も反時計方向に回転してデッドボルト15は後退する。
なお、図24に示す施錠状態において、ツマミ55を操作した際、ハブ325に噛み合わされた回動部材323は、時計方向に回転する。この際、回動部材323の突部343は、第二作動部材321の開口部329内を移動することで、第二作動部材321が回転することはない。
このように、本実施例10の扉錠1は、手動で施解錠可能とされると共に、電動でも施解錠可能とされる。そして、前記実施例1と同様、気密性および水密性を有した扉錠1とされる。
次に、本発明の扉錠の実施例11について説明する。
本実施例11の扉錠は、基本的には上記実施例10の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、実施例10と対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、実施例10と同様の構成部分については説明を省略する。
図25は、本発明の扉錠の実施例11を示す図であり、使用状態を上方から見た概略横断面図である。
実施例10では、錠ケース17を扉3内に設けたが、本実施例11では、扉3の室外側面に錠ケース17が取り付けられる、いわゆる面付け錠とされる。
具体的には、錠ケース17は、矩形箱状の取付ケース371に収容された状態で、扉3の室外側面に取り付けられる。取付ケース371の戸先側端部373には、矩形状の開口部が形成されて、この開口部から錠ケース17が取付ケース371にはめ込まれて設けられている。そして、フロント板29を介して取付ケース371の戸先側端部373にネジ31がねじ込まれて、取付ケース371に錠ケース17が固定される。
錠ケース17が固定された取付ケース371は、扉3の室外側面に当接して設けられ、取付ケース371の室外側端面から扉3に向けてネジ377がねじ込まれて、取付ケース371が扉3の室外側端面に固定される。
そして、上記実施例1と同様にして、室外側にシリンダー装置19が設けられ、室内側にサムターン装置21が設けられる。
本実施例では、上記実施例1よりサムターン軸51が長く形成されており、扉3を貫通して錠ケース17のハブ35に差し込まれている。また、シリンダー装置19の取付柱45が、上記実施例1より長く形成されており、取付ケース371および錠ケース17を介して、扉3の内部にまで延出している。そして、サムターン装置21の胴部材53からネジ73がねじ込まれて、サムターン装置21およびシリンダー装置19が扉3に固定される。
リード線369は、取付ケース371から導出されて、室外側を通って、制御盤に接続される。つまり、本実施例では、リード線369は、扉3内および室内側へ入り込むことなく、制御盤に接続される。
本実施例では、錠ケース17が扉3の室外側面に設けられていることで、実験室内において揮発性ガスが発生し、万が一、室外側へガスが漏れ出た場合でも、モータ303を駆動させる電気などがガスに引火するおそれがなく、気密性を有すると共に、安全性の高い扉錠とされる。
次に、本発明の扉錠の実施例12について説明する。
本実施例12の扉錠は、基本的には上記実施例11の扉錠と同様の構成である。そこで、以下においては、実施例11と対応する箇所には同一符号を付すと共に、両者の異なる部分を中心に説明し、実施例11と同様の構成部分については説明を省略する。
図26は、本発明の扉錠の実施例12を示す図であり、使用状態を上方から見た概略断面図である。
上記実施例11では、取付ケース371に収容された錠ケース17を扉3の室外側面に取り付けたが、本実施例12では、扉3の室外側に、扉3の室外側面から離隔して取り付けられる。
具体的には、図26に示すように、扉3の室外側面に左右(扉の幅方向)に断面コ字形の棒状の取付部材381が設けられ、この取付部材381に取付ケース371が重ね合わされて設けられる。
そして、取付ケース371の室外側端面から取付部材381を介して扉3にネジ377がねじ込まれて、錠ケース17を収容した取付ケース371が扉3の室外側に、扉3の室外側面から離隔して取り付けられる。つまり、錠ケース17と扉3との間に空間を設けた状態で、錠ケース17が扉3に離隔して取り付けられる。
また、前記実施例1と同様にして、錠ケース17にシリンダー装置19が取り付けられ、このシリンダー装置19の取付柱45に、サムターン装置21からネジ73がねじ込まれてシリンダー装置19およびサムターン装置21が扉3に固定される。
本実施例12では、室外側において、錠ケース17が扉3との間に空間を設けた状態で、扉3に離隔して設けられることで、万が一、実験室内でガスが発生し、室外側へ漏れ出た場合でも、錠ケース17と扉3との間に空間が形成されていることで、ガスは空間部で拡散し、ガスが錠ケース17内に侵入するおそれがなく、ガスに引火するおそれがなく、気密性を有すると共に、安全性の高い扉錠1とされる。
次に、実施例1におけるサムターン装置21を備える一方、電動で施解錠可能な扉錠(電気錠)の別の例について説明する。
なお、以下においては、実施例1と共通または対応する箇所には同一符号を付すと共に、実施例1と同様の構成部分については説明を省略する。
図27は、本発明の扉錠の実施例13を示す図であり、使用状態を室内側から見た正面図である。
図28および図29は、図27の扉錠の断面図であり、図28は解錠した状態、図29は施錠した状態を示している。
本実施例13の扉錠1は、扉3の戸先側端部に内蔵される錠ケース17と、この錠ケース17に設けられ、錠ケース17の戸先側端面から出没可能なデッドボルト15と、このデッドボルト15を進退させるカム401と、このカム401を回転操作するハンドル装置165と、デッドボルト15を後退可能または後退不可能状態に制御する施錠機構403と、この施錠機構403に接続されるソレノイド404と、ハブ465に接続されるシリンダー装置19と、ハブ465に接続されるサムターン装置21とを主要部に備える。
デッドボルト15は、左右方向に移動可能に錠ケース17内に設けられる。
本実施例のデッドボルト15は、錠ケース17の戸先側端面23から突出して扉枠5の戸先側縦枠に設けられた受(不図示)の受穴に突入する頭部405と、この頭部405に設けられる丸棒状の軸部407と、この軸部407が挿通されるガイド板409とを有する。
頭部405は、矩形状のブロック体とされ、その左端部は、室内側へ行くに従って右側へ傾斜する傾斜面405aが形成され、中央部は室内側も直線部が形成されている。
また、頭部405の右端部には、右側へ開口する筒状部411が一体に形成されており、この筒状部411に軸部407の左端部がはめ込まれて頭部405に軸部407が固定されている。
軸部407は、その軸方向が左右方向に沿うように配置されて、錠ケース17の室外側壁面に固定された支持部材413に挿通されている。支持部材413は、板材を屈曲して形成された右側へ開口するコ字形材とされ、その中央片には左右方向に沿って貫通穴が形成されている。この支持部材413の貫通穴に軸部407が挿通されて、軸部407は支持部材413に左右方向に移動可能に保持される。
ガイド板409は、板材を屈曲して形成された上方へ開口する略コ字形材とされ、その左右端片417,419間を架け渡すように軸部407が挿通されて、ガイド板409は軸部407に固定されている。
ガイド板409の左端片417は、頭部405の筒状部411に当接すると共に、その上端部が筒状部411の周側面に沿って左側へ屈曲され、さらに頭部405の右端面に沿って上方へ屈曲されて、略L字形の段部423が形成されている。
また、ガイド板409の右端片419には、室内側および室外側へ突出して矩形状の突部425が一体に形成されている。この突部425は、錠ケース17のガイド穴(不図示)に差し込まれている。
そして、軸部407にガイド板409が取り付けられた状態において、軸部407の右端部427は、ガイド板409の右端片419から右側へ延出している。
このような構成の頭部405、軸部407およびガイド板409は左右方向に一体に移動する。
また、軸部407にガイド板409が取り付けられた状態において、支持部材413は、ガイド板409の左右端片417,419間に配置されている。
さらに、軸部407には、バネ431が挿通されており、バネ431の一端部がガイド板409の左端片417に当接する一方、他端部が支持部材413の中央片に当接している。これによりデッドボルト15は、戸先側へ常時付勢されており、頭部405は、錠ケース17の戸先側端面23、フロント裏板25およびフロント板29の穴23a,25a,29aを介して戸先側へ突出可能とされている。
そして、閉扉された状態においては、図28や図29に示すように、頭部405は錠ケース17から突出して、扉枠5に設けられる受に突入する。
なお、軸部407の右端部には、抜け止め防止のために矩形状の板材430が取り付けられている。
カム401は、断面四角形の柱形状とされると共に、その軸方向両端部432は、円形状に形成されている。カム401の中央部には、軸方向に沿って四角形状の貫通穴433が形成されている。このカム401には、作動部材435が取り付けられている。
作動部材435は、板材を屈曲して形成されたコ字形状材とされ、その前後両端片437には、矩形状の貫通穴439がそれぞれ形成されている。また、作動部材435の前後両端片437には、それぞれ、上方へ矩形状に突出して作動片440が形成されている。
カム401は、ねじりバネ441が通された状態で、作動部材435の前後両端片437,437間に配置され、作動部材435の前後両端片437の貫通穴439にはめ込まれて作動部材435に取り付けられる。このようにカム401が設けられた作動部材435は、カム401と一体回転可能とされる。
作動部材435に装着されたカム401は、その軸方向両端部432が、作動部材435の前後両端片437から前後方向外側へ突出しており、この軸方向両端部432が、それぞれ錠ケース17の穴にはめ込まれて、錠ケース17に回転可能に保持される。
図28および図29に示すように、デッドボルト15が錠ケース17から突出した状態において、作動部材435の各作動片440は、ガイド板409の右端片419に近接して配置される。
また、ねじりバネ441の一端部441aは、錠ケース17に立設された柱材447に当接している。さらに、作動部材435の前後両端片437には、円弧状に切り欠かれて開口部449が形成されている。錠ケース17にカム401が取り付けられ、デッドボルト15が突出した状態では、作動部材435の前後両端片437の開口部449の一端部に、錠ケース17に立設された柱材447が当接している。
錠ケース17に取り付けられたカム401は、ねじりバネ441により図28において反時計方向に付勢されているが、作動部材435の前後両端片437の開口部449の一端部が柱材447に当接することで、一定以上の回転が規制されている。
なお、デッドボルト15は、ガイド板409の突部425が、錠ケース17のガイド穴の端部に当接することで、一定以上の突出が規制される。
ハンドル装置165は、上記実施例9におけるハンドル装置165と同様の構成とされ、室外側に設けられ、回転操作によりデッドボルト15を後退させる室外側ハンドル205と、この室外側ハンドル205を回転可能に保持する座207と、室内側に設けられ、回転操作によりデッドボルト15を後退させる室内側ハンドル209と、この室内側ハンドル209を回転可能に保持する座211と、室内側ハンドル209と室外側ハンドル205とを連結するように設けられ、カム401の貫通穴433にはめ込まれる連結軸213とを備え、上記実施例9と同様にして取り付けられる。本実施例13におけるハンドル装置165は、上記実施例9と同様の構成とされるため、詳細な説明については省略する。
施錠機構403は、ソレノイド404に接続されるテコ部材461と、このテコ部材461の動作に応じてデッドボルト15の後退を規制するストッパー463と、シリンダー装置19およびサムターン装置21が接続されるハブ465と、ハブ465にかみ合わされる従動部材467とを備える。
テコ部材461は、板状とされ、錠ケース17に立設される軸469に回転可能に保持されている。テコ部材461には、図28において、上方へ矩形状に延出して第一片471が形成されており、この第一片471には、コ字状の溝473が形成されている。このテコ部材461の第一片471は、ソレノイド404に設けられたプランジャ475に連結される。
プランジャ475は、ソレノイド404に対して左右方向に進退可能に連結されている。ソレノイド404は、リード線476を介して遠隔の管理室などから通電制御できるようにされており、通電によりプランジャ475を吸引駆動する。
つまり、ソレノイド404に通電された場合、プランジャ475はソレノイド404に引き込まれ、図28において右側へ移動する。
プランジャ475は、円柱形状とされ、その先端部には、室外側へ突出してピン477が設けられており、このピン477が、第一片471の溝473に差し込まれて、テコ部材461がソレノイド404のプランジャ475に連結される。
テコ部材461には、下方へ矩形状に延出して第二片479が形成されており、この第二片479には室内側へ突出して連結ピン481が設けられている。
テコ部材461を回転可能に保持する軸469には、ねじりバネ483が通されており、テコ部材461は、このねじりバネ483により、図28において反時計方向に付勢されている。
ストッパー463は、錠ケース17に前後方向に沿って設けられる枢軸485を共用して回動可能に保持される第一ストッパー487と第二ストッパー489とを有する。
第一ストッパー487は、矩形板状とされ、枢軸485まわりに回動可能に錠ケース17に保持されている。施錠状態において、第一ストッパー487は、その一端部490が、デッドボルト15の段部423に係合する。
第二ストッパー489は、左右に長い略矩形状の板状体とされると共に、その中央部は、上方へ突出して形成されている。また、第二ストッパーの右端部491は、下方へ行くに従って右側へ傾斜して形成され、その下端部は円弧状に形成されている。
第二ストッパー489の中央部の上部には、左右方向に長い矩形状の貫通穴493が形成されている。
また、第二ストッパー489の中央部には、先端側(室外側)へ突出してピン495が一体に設けられている。
第二ストッパー489は、第一ストッパー487の基端側に配置されて、その左右方向中央部に枢軸485がはめ込まれて、枢軸485まわりに回動可能に錠ケース17に保持されている。
枢軸485には、2つのねじりバネ501,503が通されている。
一方のねじりバネ501により、第一ストッパー487が枢軸485まわりに反時計方向へ付勢されている。
また、他方のねじりバネ503により、第二ストッパー489が、枢軸485まわりに反時計方向へ付勢されている。
図28に示す解錠状態では、第一ストッパー487の右端部505は第二ストッパー489の第二ピン495に反時計方向側から当接して、反時計方向側への回転が規制されている。
ハブ465は、円柱状とされ、その中央部には、円形の係合穴511が軸方向に貫通して形成されている一方、係合穴511の径方向両端部には、径方向内側へ突出して三角形状部513が形成されている。また、ハブ465の外周部には、多数の歯515が周方向に沿って形成されている。ハブ465は、錠ケース17に固定された下方へ開口する略コ字形状の保持部材516に回転可能に保持されている。
従動部材467は、板状とされ、軸517に回転可能に保持されている。従動部材467には、歯519が形成されており、ハブ465の歯515と噛み合わされている。また、従動部材467には、その左端部にピン521が室内側へ突出して形成されている。
さらに、従動部材467は、軸517に通されるねじりバネ523により時計方向に付勢されている。従動部材467は、錠ケース17に立設された柱材525に当接することで、反時計方向への一定以上の回転が規制される。
上記実施例1と同様にして、ハブ465の係合穴511に、室内側に設けられるサムターン装置21のサムターン軸51がはめ込まれると共に、室外側に設けられるシリンダー装置19の作動片47がはめ込まれて設けられる。
このような構成の本実施例13の扉錠1は、図28に示す解錠状態において、電気的な施錠操作がなされると、通電されてプランジャ475がソレノイド404に引き込まれて、図28の状態において右側へ移動する。
これによりプランジャ475に接続されたテコ部材461が時計方向に回転し、第二ストッパー489がバネ503の付勢力により反時計方向に回転する。これに伴って、第一ストッパー487もバネ501の付勢力により反時計方向に回転して、左端部がデッドボルト15の段部423に係合する。
このように第一ストッパー487の左端部がデッドボルト15の段部423に係合することで、デッドボルト15の後退が規制され、図29に示す施錠状態となる。
この際、第一ストッパー487の右端部505は第二ストッパー489の第二ピン495に反時計方向側から当接または近接している。
また、第二ストッパー489は、その左端部は第一ストッパー487の左端部より若干右側に配置されてデッドボルト15の段部423に当接または近接している。
施錠状態から解錠する場合、電気的に解錠信号を送ると、制御盤によりソレノイド404への通電が断たれ、テコ部材461は、バネ483の付勢力により反時計方向に回転する。これにより、第二ストッパー489が時計方向に回転し、さらにピン495により第一ストッパー487も時計方向に回転して、段部423から離脱し、図28に示す解錠状態となる。
本実施例では、施錠状態において、サムターン装置21のツマミ55を操作することでも解錠することができる。具体的には、図29に示す施錠状態において、ツマミ55を時計方向に回転させることで、サムターン軸51がハブ465を時計方向に回転させる。
ハブ465が時計方向に回転することで、従動部材467は反時計方向に回転し、ピン521が第二ストッパー489の右端部491を下方へ押し込み、第二ストッパー489は時計方向に回転し、これに伴って第一ストッパー487も時計方向に回転して段部423から離脱して、デッドボルト15の後退規制が解除され、解錠状態とされる。この解錠状態において室内側ハンドル209を操作してデッドボルト15を後退させればよい。
このように、本実施例の扉錠は、電動により施解錠可能とされると共に、サムターン装置21またはシリンダー装置19によりデッドボルト15の後退規制が解除され解錠することが可能とされる。
ところで、本実施例13におけるデッドボルト15は、ダブルスロー方式といわれる二段階突出式とされる。
具体的には、閉扉した状態では、デッドボルト15の突出量は大きくなり(第二段階の突出状態)、図28に示す状態となる。
そして、図28の解錠状態で、例えば室内側ハンドル209を操作して、デッドボルト15を完全に後退させて開扉した後、室内側ハンドル209から手を放すと、デッドボルト15は突出するが、錠ケース17に設けられたトリガー装置Tの作用により、突出量は小さく(第一段階の突出状態)なり、いわゆるラッチの状態となり保持される。
また、本実施例13では、図28に示す状態において、通電されることで、図29に示すように、第一ストッパー487および第二ストッパー489が段部423に係合して施錠される構成とされ、いわゆる通電時施錠型とされたが、通電されることで、図29の状態から図28に示す状態となるものや(通電時解錠型)、通電されることで、図28の状態と図29の状態が入れ替わるものがあり(通電時施解錠型)、本実施例1のサムターン装置21は、これら電気的作動形式に関係なく使用することが可能である。
本実施例13では、実施例1と同様、サムターン装置21は気密性を有しており、さらに、実施例9と同様、ハンドル装置165は気密性を有していることで、本実施例の扉錠12は気密性を有した構造となっており、室内側で発生したガスが外部へ漏れだすことはない。
ところで、実施例10〜実施例13では、実施例1におけるサムターン装置21を備える扉錠としたが、上記実施例2〜8におけるサムターン装置21を備える構成としてもよい。つまり、実施例1〜実施例8におけるサムターン装置21は、各種電気錠に適用可能である。また、実施例13では、実施例9におけるハンドル装置165を備える構成としたが、実施例1〜実施例3および実施例5におけるサムターン装置21の構造を利用したハンドル装置を備える構成としてもよい。
前記各実施例における扉錠1は、気密性を有している。
これにより、実験室の扉に用いた場合、実験室で揮発性ガスが発生しても、外部へ漏れ出ることがなく安全である。
また、ガスが外部へ漏れないので、電気錠を通常の取付方法で使用できる。つまり、扉の内部に錠ケースを内蔵するようにして、電気錠を取り付けることができる。このように、電気錠を使用できることで、実験室と前室との2箇所の扉錠を自動的に制御するインターロック方式が採用可能とされ、極めて有効とされる。更なる安全性を考慮する場合には、前記実施例11や実施例12のように、錠ケースを面付けにしたり、扉との間に空間を設けて錠ケースを扉に固定したりすればよい。
また、有毒ガスが漏れ出るおそれがないので、薬品貯蔵庫の扉錠としても使用することができる。
また、外部出入口に使用することにより、水害や津波によって建物が水没しても、水の建屋内への進入を防ぐことができる。
さらに、浴室に使用することにより、水分(湿気)の建屋内への進入を防ぐことができる。
本発明の扉錠は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
上記実施例1〜実施例3では、サムターン軸51と胴部材の軸穴との隙間、胴部材と扉の室内側面との隙間、または胴部材の取付穴とネジとの隙間にシール材を配置して気密性を有する構成としたが、これらの組み合わせは適宜変更可能である。
また、上記各実施例において錠ケース17に設けられる出没操作機構や、施錠機構の構成は適宜変更可能であり、従来公知の構造を適用可能である。
また、実施例2において、胴部材の先端面にシール材としてOリングを設けたが、実施例6と同様に、板状のシール材を扉3に設けてもよい。つまり、扉の室内側面に板状のシール材を固定し、このシール材に胴部材を重ね合わせて配置し、シール材に形成した穴を介してサムターン軸51を扉の穴に差し込むよう構成してもよい。
また、上記実施例4では、液材としてオイルを使用したが、グリスを使用してもよく、注入される液材は、適宜変更可能である。
また、上記各実施例では、シール材としてOリングを用いたが、他のシール材であってもよい。
上記実施例9では、ハンドル装置の操作部(室内側ハンドル、室外側ハンドル)としてレバー形のハンドルを用いたが、ノブを使用してもよい。
また、実施例9では、座211の軸穴247に取付溝249を形成してシール材を設けたが、室内側ハンドル209の取付部237の先端部239に取付溝を形成して、シール材を設けるようにしてもよい。
さらに、上記各実施例では、外開き扉に扉錠を適用したが、内開き扉に扉錠を適用してもよいことは言うまでもない。たとえば、図26に示す実施例12の扉錠1の変形例として、図30に示すように、室内側に扉が開くよう構成してもよい。このように内開き扉とすることで、室内において爆発が発生し、扉が風圧により室外側へ押し込まれても、扉枠に当接することで扉が開くおそれがない。