JP6242645B2 - プラズマ溶解装置及びプラズマ溶解方法 - Google Patents
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Description
図1及び図2に示すように、プラズマ溶解装置を構成するルツボ11は、同一形状を有する一対のルツボ11a、11bにより形成されている。一対のルツボ11a、11bは、連結体12により180度対向する位置に連結され、連結体12の中央に回転軸13を有する移動機構としての回転機構14によりルツボ11が溶解位置M(図1の右側位置)と非溶解位置N(図1の左側位置)とを取り得るように水平面内で回転可能に構成されている。前記回転機構14は、電源15からリード線16が接続された図示しないモータ等の駆動源により、前記回転軸13を回転させるようになっている。
本実施形態のプラズマ溶解装置は、一対のルツボ11a、11b、移動機構としての回転機構14、プラズマトーチ20等により構成されている。
被溶解物19を溶解できる必要最小限のエネルギーQ1は次式で表される。
Q1=一定電流(I)×一定電圧(E)×加熱時間(t)×係数f1〔被溶解物の質量(w)に基づく係数〕
本実施形態では、少量の被溶解物19をプラズマ28の大きなエネルギーで溶解することから、プラズマ28のエネルギーのわずかの増大により溶湯温度が急に上昇して溶湯品質の劣化を招く。このため、ルツボ11の温度を加味して、必要最小限の補正エネルギーQ2を算出する。この補正エネルギーQ2は次式で表される。
例えば、I=500A、E=85V、t=30秒の場合、被溶解物19の質量(w)とルツボ11の温度(T)とは次のような関係を有する。
Q2=−〔(A×w+B)/C〕×T+D×w+E
このQ2における係数A、B、C、D及びEを、前記図4の検量線に合うようにして求めると、A=1.05、B=0.03、C=800、D=1.40、E=0.18となる。
図2に示すように、本実施形態のプラズマ溶解方法は、まず非溶解位置Nに位置するルツボ11bに被溶解物19を投入する。続いて、回転機構14を駆動し、そのルツボ11bを、回転軸13を中心にして図2の反時計方向に180度回転させ、溶解位置Mに移動させる。その溶解位置Mにおいて、プラズマトーチ20により、ルツボ11b内の被溶解物19に対してプラズマ28を照射し、被溶解物19を溶解して溶湯17を形成する。
さて、アルミニウム等の被溶解物19にプラズマ28を照射して溶解し、溶湯17を形成する場合には、図2に示すように、まず非溶解位置Nにあるルツボ11b内に被溶解物19を投入する。引き続いて、回転機構14を駆動し、そのルツボ11bを、回転軸13を中心にして図2の反時計方向に180度回転させ、溶解位置Mに移動させる。このとき、他方のルツボ11aは、溶解位置Mから非溶解位置Nへ移る。
Q2=一定電流(I)×一定電圧(E)×加熱時間(t)×係数f1〔被溶解物の質量(w)〕+f2〔被溶解物の質量(w)とルツボの温度(T)に基づく係数〕
そして、例えばI=500A、E=85V、t=30秒、w=1kg、T=500℃とし、図4に示す検量線に基づいて係数を算出し、Q2を求めると、ルツボ11bの温度を考慮した場合には、ルツボ11bの温度を考慮しない場合に比べて、プラズマ電力量を53%に低減させることができる。
その後、そのルツボ11bを回転機構14により図2の反時計方向に180度回転させて非溶解位置Nに移動させる。その非溶解位置Nにおいて、コックを回転して開き、ルツボ11b内の溶湯17を、ルツボ11b底部の排出孔33から排出部32へ排出する。そして、排出部32から排出された溶湯17を溶湯受け34に受け、ダイカストマシーン等に供給することができる。
(1)この実施形態のプラズマ溶解装置は、一対のルツボ11a、11bと、それら一対のルツボ11a、11bを溶解位置Mと非溶解位置Nとに移動させる回転機構14と、溶解位置Mにおいて、被溶解物19にプラズマ28を照射して被溶解物19を溶解するプラズマトーチ20とを備えている。そして、溶解位置Mにおいてプラズマトーチ20により被溶解物19を溶解して溶湯17を形成し、非溶解位置Nにおいて被溶解物19の溶解以外の操作を行うようになっている。
(2)前記移動機構は、回転軸13を中心にして回転する回転機構14である。このため、簡易な構成で、複数のルツボ11の配置スペースを効率良く設定することができるとともに、被溶解物19のプラズマ溶解を円滑に行うことができる。
(3)前記複数のルツボ11は、溶解位置Mに配置されるルツボ11と、非溶解位置Nに配置されるルツボ11との一対のルツボ11a、11bで構成されている。従って、2つのルツボ11a、11bを使用して、被溶解物19の溶解操作とその他の操作とを分離して交互に進めることができる。
(4)前記ルツボ11は、被溶解物19の溶湯17の収容部分が断面円弧状に形成されている。そのため、ルツボ11内に収容される被溶解物19に対してプラズマ28を均等に照射することができ、溶湯17の温度均一性を向上させることができる。
(5)前記溶解位置Mに配置されるルツボ11には、その開口部を覆うフード29が配置されている。このため、ルツボ11から上方へのプラズマ28の拡散と放熱及びプラズマ光を遮蔽することができる。
(5)前記プラズマ溶解方法は、非溶解位置Nのルツボ11に被溶解物19を収容し、そのルツボ11を回転機構14で溶解位置Mに移動させて被溶解物19にプラズマ28を照射し、溶湯17を形成した後、そのルツボ11を回転機構14で非溶解位置Nに移動させ、ルツボ11内の溶湯17を排出するものである。よって、ルツボ11の回転により、一対のルツボ11a、11bを溶解位置Mと非溶解位置Nとに交互に移動させることができ、被溶解物19のプラズマ溶解を円滑に進めることができる。
(6)前記ルツボ11を予熱し、そのルツボ11の予熱温度とプラズマ電力量との関係を表す検量線に基づいて、プラズマ電力量を設定する。従って、被溶解物19に対して過剰なプラズマ照射を抑えることができ、溶湯温度の過昇温及び溶湯品質の劣化を抑制することができるとともに、エネルギーの節約を図ることができる。
(7)前記被溶解物19は、0.1〜3kgの少量である。このため、少量の被溶解物19をプラズマ溶解する場合に、得られる溶湯17の品質を良好に維持しながらプラズマ溶解を進めることができる。
・図5に示すように、ルツボ11の数を3つにし、それらのルツボ11a、11b、11cを周方向に120度間隔をおいて配置されるように、連結体12により連結してもよい。この場合には、第1非溶解位置N1に位置するルツボ11bに被溶解物19を投入し、溶解位置Mに位置するルツボ11aに収容されている被溶解物19に対してプラズマトーチ20からプラズマ28を照射し、第2非溶解位置N2に位置するルツボ11cに収容された溶湯17を排出部32から排出するように構成する。このように構成することにより、ルツボへ11の被溶解物19の投入操作と、ルツボ11からの溶湯17の排出操作とを分けることができ、各操作をそれぞれ容易に行うことができるとともに、ルツボ11の取扱性を向上させることができる。
Claims (2)
- ルツボに収容された被溶解物としての金属にプラズマを照射して溶解し、得られた溶湯を排出するように構成したプラズマ溶解装置であって、複数のルツボと、それら複数のルツボを溶解位置と非溶解位置とに移動させる移動機構と、前記溶解位置において、ルツボ内に収容された被溶解物にプラズマを照射して被溶解物を溶解するプラズマトーチとを備え、溶解位置においてプラズマトーチにより被溶解物を溶解して溶湯を形成し、複数の非溶解位置において被溶解物の供給操作、溶湯の排出操作及び溶湯中に含まれる金属酸化物の除去操作を行うように構成したプラズマ溶解装置を用いたプラズマ溶解方法であって、
前記非溶解位置に位置するルツボに被溶解物を収容し、そのルツボを移動機構で溶解位置に移動させてプラズマトーチによりルツボ内の被溶解物にプラズマを照射し、被溶解物を溶解して溶湯を形成した後、そのルツボを移動機構で非溶解位置に移動させて溶湯中に含まれる金属酸化物の除去操作を行った後、ルツボを移動機構で次の非溶解位置に移動させてルツボ内の溶湯を排出し、かつ前記ルツボが溶湯の熱により予熱された状態で溶解位置においてプラズマトーチにより被溶解物を溶解したとき、プラズマトーチによるプラズマ電力量は被溶解物の質量毎にルツボの温度とプラズマ電力量とが直線関係を表し、その直線の傾きと切片とによって定められる直線関係を有する検量線に基づいて設定されることを特徴とするプラズマ溶解方法。 - 前記被溶解物は、0.1〜3kgの少量であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ溶解方法。
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