JP6834554B2 - タンディッシュ内溶鋼の加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュ内溶鋼の加熱方法に関するものである。
一般に、鋼の連続鋳造設備においては、取鍋と鋳型との間にタンディッシュが配置されており、取鍋内の溶鋼をタンディッシュに受け、タンディッシュから鋳型内へと供給する構成とされている。ここで、鋳型内へ供給される溶鋼の温度は、操業の安定性や鋳片の品質に大きな影響を与え、連続鋳造において非常に重要な因子である。
鋳型内へ供給される溶鋼の温度としては、通常、タンディッシュ内温度としてスーパーヒートで管理することができる。スーパーヒートには、適正温度域が存在し、それよりも高温域であっても、低温域であっても、操業の安定性や鋳片の品質に問題が生じる。
以下に、スーパーヒートを、図4に示す通り、高温域、適正温度域、低温域に分類して説明する。
図4に示す高温域ではブレークアウトが発生し易いことから、これを防止するためには、スループットを低下させる必要があり、操業性が低下する。一方、図4に示す低温域では、浸漬ノズル閉塞や鋳型内で温度不足による皮張り発生、鍋を返送しなければならない等、操業、品質上大きな影響がある。
また、タンディッシュ内温度は、加熱しないと、時間経過に従って、溶鋼温度が下がるため、チャージ終了時点でも適正温度域となるように、チャージ開始時点の温度を適正温度域内で適切に設定する必要がある。例えば、図4の上側の点線で示す様に、チャージ開始時点で、適正温度域の上限に設定できれば、チャージ終了時点でも、適正温度域内とすることができる。
しかし、チャージ開始時点の温度は、鋼種による転炉、二次精錬の操業条件のほか、溶鋼鍋や工程間のマッチングに依存するものであり、溶鋼温度はそれらの操業条件及び要因により常に変動することから、常時、チャージ開始時点の温度を適正温度域内で適切に設定することは困難である。例えば、図4の下側の点線で示す様に、チャージ開始時点で、適正温度域の中程度の温度となった場合は、鋳造時間がZの時点でノズルが閉塞して、鋳造が中止されるという事態になることがある。そこで、上述のタンディッシュには、通過する溶鋼を加熱する手段として、プラズマ加熱装置が配設されている。
このようなプラズマ加熱装置は、プラズマトーチを被加熱物に近接させ、被加熱物とプラズマトーチとの間にアークを発生させることによって、被加熱物を加熱する構成とされている。プラズマトーチとしては、黒鉛製の消耗電極(黒鉛電極)や水冷式の金属製トーチが用いられている。
例えば、特許文献1、2には、プラズマトーチとして、ガスを供給するノズルの内部に電極を配置した金属製トーチが開示されている。
また、非特許文献1には、プラズマトーチとして、ガス供給路を備えた黒鉛製の中空電極が開示されている。
ここで、特許文献1、2に記載された金属製トーチにおいては、ノズルの内周面と電極の外周面との間で火花を飛ばし、ノズルと電極との間を通過するガスに着火して、ガスをプラズマ化している。
一方、非特許文献1に記載された黒鉛製の中空電極においては、中空電極と溶鋼とを接触するおそれがあるくらいまで近接させることにより、ガス供給路から供給されたガスに着火し、ガスをプラズマ化している。
特開平03−174957号公報 特開平10−022095号公報
steel research 67(1996)No.11 p.475−478
ところで、特許文献1、2に記載された金属製トーチにおいては、溶鋼のスプラッシュや電極の損耗により、ノズルの内周面と電極の外周面との間の距離が変動してしまい、安定して着火することができず、プラズマアーク不良となるおそれがあった。
また、非特許文献1に記載された黒鉛製の中空電極においては、中空電極と溶鋼とを接触するおそれがあるくらいまで近接させるため、中空電極が早期に損耗するとともに、黒鉛の一部が溶鋼中に混入してしまい、溶鋼の性状が変化してしまうおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、中空電極と溶鋼の接触を抑えつつガスの着火を確実に行うことができ、タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって安定して加熱することが可能なタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るタンディッシュ内溶鋼の加熱方法は、タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュ内溶鋼の加熱方法であって、ガス供給路を有する中空電極を、前記溶鋼に近接配置し、前記中空電極と前記溶鋼との間で電力を印加することによって、前記ガス供給路から供給されるガスに着火し、前記プラズマアークを発生させる着火工程を有し、前記着火工程では、最初に、前記中空電極と前記溶鋼との距離Aを20mm以上120mm以下の範囲内として、前記中空電極と前記溶鋼との間に電力を印加し、着火が確認できるまで、前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させ前記中空電極と前記溶鋼との間に電力を印加する、という制御を行うことを特徴としている。
この構成のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法によれば、ガス供給路を有する中空電極を前記溶鋼に近接配置し、前記中空電極と前記溶鋼との間で前記ガス供給路から供給されるガスに着火して前記プラズマアークを発生させる着火工程において、前記中空電極に対して電力を印加することにより前記ガス供給路から供給されるガスに着火しており、着火が確認できない場合には前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させ、再度、前記中空電極に対して電力を印加して前記ガスに着火する構成とされているので、中空電極の損耗やスプラッシュの付着等が生じた場合であっても、中空電極と溶鋼との間の距離を適切に設定することができ、ガスへの着火を確実に行うことができる。
なお、前記中空電極と前記溶鋼との距離Aが20mm未満の場合には、中空電極と溶鋼との接触が頻繁に発生し、中空電極の早期損耗や溶鋼の品質劣化が起こるおそれがある。一方、中空電極と前記溶鋼との距離Aが120mmを超える場合には、安定して着火を行うことができないおそれがある。
そこで、本発明では、前記中空電極と前記溶鋼との距離Aを20mm以上120mm以下の範囲内としており、前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させることにより、中空電極の損耗や溶鋼の品質劣化を起こすことなく、確実にガスへ着火することができ、タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって安定して加熱することが可能となる。
ここで、本発明のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法においては、前記中空電極の1回当たりの近接距離aが1mm以上50mm以下の範囲内とされていることが好ましい。
前記中空電極の1回当たりの近接距離aが1mm未満の場合には、近接動作を数多く実施しないと着火できないおそれがあり、早期の着火が困難となる。このため、近接距離aは1mm以上とするのが望ましい。
また、前記中空電極が溶鋼に近づかないうちに、早期の着火を行うには、前記中空電極が必要以上に溶鋼に近づく前に、着火を試みる機会を多く設けることが好ましい。このため、前記中空電極の1回当たりの近接距離aは50mm以下とすることが望ましい。
また、本発明のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法においては、前記着火工程では、予め求めた、電極−溶鋼間距離と着火成功率の関係、及び、電極−溶鋼間距離と電極−溶鋼の接触頻度との関係に基づいて、鋼種に応じて、近接開始位置A1、近接終了位置A2、近接距離aを設定しておき、前記中空電極と前記溶鋼との間で、前記ガス供給路から供給されるガスに着火する構成とすることが好ましい。
この場合、タンディッシュ内の溶鋼の鋼種に応じて、近接開始位置A1、近接終了位置A2、近接距離aを設定し、前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させることから、確実に溶鋼と中空電極との間でガスに着火することができる。例えば、不純物の許容量が厳しい鋼種の場合、中空電極と溶鋼との接触を極力避けるために、近接終了位置A2を溶鋼から離間した位置とし、近接距離aを小さくすることが好ましい。
また、本発明のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法においては、前記中空電極が黒鉛電極であることが好ましい。
この場合、ガス供給路を比較的簡単に形成することができ、中空電極の製造が容易となる。また、カーボンの含有量の規定が厳しくない鋼種であれば、中空電極から溶鋼中へカーボン分が混入しても大きな影響はない。また、電極の冷却の必要が無く、安全面・コスト面で有利であるためである。
上述のように、本発明によれば、ガスの着火を確実に行うことができ、タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって安定して加熱することが可能なタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供することができる。
本発明の実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置を示す説明図である。 中空電極と溶鋼間の距離と、着火成功率及び中空電極と溶鋼の接触頻度と、の関係を示すグラフである。 図1のタンディッシュプラズマ加熱装置を用いたタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を示すフロー図である。 鋳造時間とスーパーヒートとの関係を示すグラフである。 実施例1における電極と溶鋼間の距離と着火成功率及び電極と溶鋼の接触頻度と、の関係を示すグラフである。 実施例2における電極と溶鋼間の距離と着火成功率及び電極と溶鋼の接触頻度と、の関係を示すグラフである。 実施例3における電極と溶鋼間の距離と着火成功率及び電極と溶鋼の接触頻度と、の関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法及びタンディッシュプラズマ加熱装置について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法及びタンディッシュプラズマ加熱装置10について、図1から図3を用いて説明する。
本実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法及びタンディッシュプラズマ加熱装置10は、図1に示すように、鋼の連続鋳造設備1において、取鍋2と鋳型3との間に配設されたタンディッシュ5内の溶鋼を加熱するものである。ここで、タンディッシュ5においては、取鍋2から供給された溶鋼を所定の温度にまで加熱し、加熱した溶鋼を鋳型3へと注入する。
このタンディッシュプラズマ加熱装置10は、タンディッシュ5の上部開口部を覆うように配設された蓋部11と、タンディッシュ5内の溶鋼面の上に配設された中空電極15と、タンディッシュ5に設置された固定電極17と、中空電極15及び固定電極17に電力を印加する直流電源装置18と、中空電極15を上下動させる昇降装置19と、中空電極15から供給されるガスに着火してプラズマアークを発生させる着火装置20と、を備えている。
蓋部11は、下方に向けて延在する側壁部12を備え、この側壁部12の下端部分がタンディッシュ5内の溶鋼中に浸漬されている。これにより、図1に示すように、加熱室13が画成されている。この加熱室13の上部に、1本の中空電極15が上下動可能に配設されている。
直流電源装置18は、上述の中空電極15と固定電極17と、の間に配設されている。本実施形態では、図1に示すように、中空電極15側が陰極、固定電極17側が陽極とされている。すなわち、本実施形態では、いわゆる熱陰極型シングルトーチ式のプラズマ加熱装置とされている。
ここで、中空電極15は、概略円筒状をなしており、Ar、N、CO等のガスが供給されるガス供給路16が設けられている。
この中空電極15を構成する材料としては、例えば、タングステン、特殊合金(Cu−W等)、黒鉛等が挙げられる。本実施形態においては、中空電極15は黒鉛で構成されている。また、中空電極15の外径は、例えば50mmから200mmの範囲内とされ、中空電極15の内径(ガス供給路16の直径)は、例えば10mmから20mmの範囲内とされている。
そして、着火装置20は、中空電極15に対して電力を印加する交流電源22を備えた着火回路21と、この着火回路21及び昇降装置19の動作を制御する制御部23と、を有している。
制御部23は、中空電極15を溶鋼へ段階的に近接させるとともに、着火回路21によって中空電極15に対して電力を印加することにより、ガス供給路16から供給されるガスに着火する構成とされている。
なお、中空電極15とタンディッシュ5内の溶鋼との距離Aは20mm以上120mm以下の範囲内とされている。また、中空電極15の1回当たりの近接距離aは、1mm以上50mm以下の範囲内とされている。
ここで、図2に、中空電極15とタンディッシュ5内の溶鋼間の距離Aと、着火成功率及び中空電極15の溶鋼の接触頻度と、の関係を示す。
なお、溶鋼の接触頻度とは、その条件で10回着火を試みたうち、電極が溶鋼に接触した回数をいう。
この場合、電極は黒鉛製の中空電極を用い、ガス供給路16を介して、30〜100Nl/minのArガスを供給した。
図2に示すように、中空電極15とタンディッシュ5内の溶鋼間の距離Aが20mm未満の場合には、中空電極15の溶鋼との接触頻度が高くなり、中空電極15の劣化や溶鋼中への不純物の混入が発生するおそれがある。
また、中空電極15とタンディッシュ5内の溶鋼との距離Aが120mmを超える場合には、着火成功率が大幅に低下し、安定して着火することができなくなる。
ここで、中空電極15の1回当たりの近接距離aが1mm未満の場合には、近接動作を数多く実施しないと着火できないおそれがあり、早期の着火が困難となる。このため、近接距離aは1mm以上とするのが望ましい。
また、中空電極15が溶鋼に近づかないうちに、早期の着火を行うには、中空電極15が溶鋼に近づく前に、着火を試みる機会を多く設けることが好ましい。このため、中空電極15の1回当たりの近接距離aは50mm以下とすることが望ましい。
そして、本実施形態においては、制御部23は、予め鋼種に応じて、中空電極15の近接開始位置A1と、近接終了位置A2と、1回当たりの近接量aを設定している。
A1、A2、aの設定に際しては、予め求めた図2に示す関係を基に、以下のように設定した。すなわち、成分変動の許容幅が狭い鋼種においては、A1、A2を大きめに設定し、かつaを小さめに設定して、電極と溶鋼の接触を確実に抑制する。
一方、成分変動の許容幅が広い鋼種においては、A1、A2を小さめに設定し、かつaを大きめに設定して着火を早期に確実に行う。
具体的には、本実施形態のような黒鉛電極を使用する場合、炭素含有量の許容幅が狭い鋼種においては、黒鉛製の中空電極15と溶鋼との接触を確実に抑制するために、近接開始位置A1を120mm、近接終了位置A2を50mm、1回当たりの近接量aを10 mmとしている。一方、炭素含有量の許容幅が広い鋼種においては、着火を早期に確実に行うために、近接開始位置A1を50mm、近接終了位置A2を20mm、1回当たりの近接量aを15mmとしている。
次に、図1に示すタンディッシュプラズマ加熱装置10を用いた本実施形態であるタンディッシュ5内溶鋼の加熱方法について、図3のフロー図を参照して説明する。
本実施形態のタンディッシュ5内溶鋼の加熱方法においては、中空電極15のガス供給路16から供給されるガスに着火してプラズマアークを発生させる着火工程に特徴を有している。
まず、タンディッシュ5内の溶鋼の鋼種を選択し、近接開始位置A1、近接終了位置A2、1回当たりの近接距離aを設定する(S01)。
次に、昇降装置19を用いて中空電極15を近接開始位置A1に配置する(S02)。なお、中空電極15においては、ガス供給路16を介して中空電極15の先端からAr、N、CO等のガスが供給される。ここで、ガス供給路16から供給されるガス流量は30NL/min以上100NL/min以下の範囲内とされている。
そして、着火回路21を作動させて、交流電源22により中空電極15及び固定電極17に電力を印加する(S03)。このとき、中空電極15と溶鋼との間で火花が飛び、ガス供給路16から供給されるガスが着火される。
ここで、中空電極15のガス供給路16から供給されるガスが着火されたかどうかを確認する(S04)。
ガスの着火が認められない場合には、現時点の中空電極15と溶鋼間の距離Aに近接距離aを加えたA+aと近接終了位置A2を比較する(S05)。A+aが近接終了位置A2よりも大きい場合には、昇降装置19を用いて中空電極15を溶鋼側に近接距離aだけ近接させる(S06)。一方、A+aが近接終了位置A2と同じあるいは小さくなる場合には、中空電極15の近接を実施しない。
そして、再度、着火回路21を動作させて、交流電源22により中空電極15及び固定電極17に電力を印加する(S03)。
中空電極15のガス供給路16から供給されるガスの着火が確認されるまで、この作業S03〜S06を繰り返し実施する。
そして、ガスの着火が確認されたら、直流回路に切り替えて、直流電源装置18により、中空電極15及び固定電極17に電力を印加する(S07)。
すると、中空電極15と溶鋼との間に生じたプラズマアークを介して直流回路が形成され、このプラズマアークによってタンディッシュ5内の溶鋼が加熱されることになる。
以上のような構成とされた本実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法及びタンディッシュプラズマ加熱装置10によれば、昇降装置19によって中空電極15を溶鋼に段階的に近接させるとともに、着火回路21によって中空電極15に対して電力を印加することにより、ガス供給路16から供給されるガスに着火する構成とされているので、中空電極15の損耗やスプラッシュの付着等が生じた場合であっても、中空電極15と溶鋼間の距離を適切に設定することができ、ガスへの着火を確実に行うことができる。
また、着火が確認できない場合には、中空電極15と溶鋼との距離Aを20mm以上120mm以下の範囲内で、中空電極15を溶鋼へ段階的に近接させているので、中空電極15と溶鋼との接触を抑制できるとともに、確実にガスに着火することができる。よって、中空電極15の損耗や溶鋼の品質劣化(炭素の混入)を抑制できるとともに、タンディッシュ5内を通過する溶鋼をプラズマアークによって安定して加熱することが可能となる。
さらに、中空電極15の1回当たりの近接距離aが1mm以上50mm以下の範囲内とされているので、早期にガスの着火を行うことができる。
さらに、本実施形態では、鋼種に応じて、近接開始位置A1、近接終了位置A2、近接距離aを設定しておき、中空電極15と溶鋼との間で、ガス供給路16から供給されるガスに着火する構成としているので、確実に溶鋼と中空電極15との間でガスに着火することができる。
具体的には、炭素含有量の許容幅が狭い鋼種においては、近接開始位置A1を150mm、近接終了位置A2を50mm、1回当たりの近接量aを10mmとしているので、中空電極15と溶鋼との接触頻度を少なくして、中空電極15の損耗を抑え、かつ、黒鉛製の中空電極15からの炭素の混入を確実に抑制することが可能となる。
また、炭素含有量の許容幅が広い鋼種においては、近接開始位置A1を50mm、近接終了位置A2を20mm、1回当たりの近接量aを15mmとしているので、ガスの着火を早期に行うことができる。
また、本実施形態では、中空電極15が黒鉛で構成されているので、ガス供給路16を比較的簡単に形成することができる。
さらに、本実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置10においては、交流電源22を備えた着火回路21を有しているので、この着火回路21を動作させて交流電源22によって中空電極15に対して電力を印加することにより、中空電極15と溶鋼との間で確実にガスに着火することが可能となる。
また、本実施形態では、ガス供給路16から供給されるガスとして、Ar、N、CO等を用いている。
ここで、Arは単原子ガスのため電離しやすく着火成功率が高い。N、COは多原子ガスのためArに比べて電離しづらく着火成功率がやや低い傾向である。しかしながらN、COはArに比べて安価であるため、N及びCOのピックアップに制約の無い鋼種においては加熱ガスとして用いられる。
さらに、ガス供給路16から供給されるガス流量はプラズマアークを安定させるため、ガスの線流速を6m/sec以上19m/sec未満の範囲内とするのが望ましいため、30NL/min以上100NL/min未満の範囲とするのが望ましい(電極内径φ10mmの場合)。
以上、本発明の実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法及びタンディッシュプラズマ加熱装置について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、1本の中空電極を用いたシングルトーチ式のタンディッシュプラズマ加熱装置10を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、ツイントーチ式のタンディッシュプラズマ加熱装置であってもよい。
また、中空電極を黒鉛で構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、タングステン、特殊合金(Cu−W等)で構成した中空電極を用いてもよい。通常、プラズマ加熱装置で使用されている材質として、主なものにタングステン、特殊合金、等がある。黒鉛、タングステン、特殊合金(Cu−W)を電極として使用した場合いずれも着火に及ぼす材質の影響は小さい。
さらに、本実施形態では、炭素含有量の許容幅が狭い鋼種においては、近接開始位置A1を120mm、近接終了位置A2を50mm、1回当たりの近接量aを10mmとし、炭素含有量の許容幅が広い鋼種においては、近接開始位置A1を50mm、近接終了位置A2を20mm、1回当たりの近接量aを15mmとしたもので説明したが、これに限定されることはなく、鋼種に応じて、近接開始位置A1、近接終了位置A2、1回当たりの近接量aを設定することが好ましい。
また、本実施形態では、1本の中空電極を用いたもので説明したが、これに限定されることはなく、中空電極の本数に限定はない。
さらに、タンディッシュや蓋部の構成については、本実施形態で例示したものに限定されることはなく、他の構造のものであってもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
図1に示すタンディッシュプラズマ加熱装置を用いて、タンディッシュ内の溶鋼の加熱を実施した。タンディッシュは、容量30tとした。
ここで、中空電極は黒鉛製とし、直径を150mm、中空電極の内径(ガス供給路の直径)を10mmとした。
また、ガス種はArとして、ガス供給路からのガス流量を30NL/min以上100NL/min以下の範囲内とし、電流値を1000A以上2000A以下の範囲内とした。
予め、電極と溶鋼間の距離を変更して、電極と溶鋼間の距離VS着火成功率との関係、電極と溶鋼間の距離VS電極と溶鋼の接触頻度との関係を求めた(図5)。
この図5に基づいて、極低炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:120mm、近接終了位置:50mm、近接距離a:10mmとした。また、中炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:50mm、近接終了位置:20mm、近接距離a:15mmとした。
結果を表1に示す。
Figure 0006834554
極低炭素鋼については、溶鋼と電極が接触することなく点火をすることができた。中炭素鋼については、早期に着火することができた。
実施例1と同様のプラズマ加熱装置、タンディッシュを用いて、タングステン製の中空電極を用いて加熱を実施した。中空電極の直径は150mm、中空電極の内径(ガス供給路の直径)を10mmとした。
また、ガス種はArとして、ガス供給路からのガス流量を30NL/min以上100NL/min以下の範囲内とし、電流値を1000A以上2000A以下の範囲内とした。
予め、電極と溶鋼間の距離を変更して、電極と溶鋼間の距離VS着火成功率との関係、電極と溶鋼間の距離VS電極と溶鋼の接触頻度との関係を求めた(図6)。
この図6に基づいて、極低炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:120mm、近接終了位置:50mm、近接距離a:10mmとした。中炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:50mm、近接終了位置:20mm、近接距離a:15mmとした。
結果を表2に示す。
Figure 0006834554
極低炭素鋼については、溶鋼と電極が接触することなく点火をすることができた。中炭素鋼については、早期に着火することができた。
実施例1と同様のプラズマ加熱装置、タンディッシュを用いて、黒鉛製の中空電極を用いて加熱を実施した。中空電極の直径は150mm、中空電極の内径(ガス供給路の直径)を10mmとした。
また、ガス種はNとして、ガス供給路からのガス流量を30NL/min以上100NL/min以下の範囲内とし、電流値を1000A以上2000A以下の範囲内とした。
予め、電極と溶鋼間の距離を変更して、電極と溶鋼間の距離VS着火成功率との関係、電極と溶鋼間の距離VS電極と溶鋼の接触頻度との関係を求めた(図7)。
この図7に基づいて、極低炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:120mm、近接終了位置:50mm、近接距離a:10mmとした。中炭素鋼の着火条件は、近接開始位置A1:50mm、近接終了位置:20mm、近接距離a:15mmとした。
結果を表3に示す。
Figure 0006834554
極低炭素鋼については、溶鋼と電極が接触することなく点火をすることができた。中炭素鋼については、早期に着火することができた。
5 タンディッシュ
10、110 タンディッシュプラズマ加熱装置
15、115A、115B 中空電極
18 直流電源装置
20 着火装置
21 着火回路
22 交流電源
22 交流電源

Claims (4)

  1. タンディッシュ内を通過する溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュ内溶鋼の加熱方法であって、
    ガス供給路を有する中空電極を、前記溶鋼に近接配置し、前記中空電極と前記溶鋼との間で電力を印加することによって、前記ガス供給路から供給されるガスに着火し、前記プラズマアークを発生させる着火工程を有し、
    前記着火工程では、最初に、前記中空電極と前記溶鋼との距離Aを20mm以上120mm以下の範囲内として、前記中空電極と前記溶鋼との間に電力を印加し、着火が確認できるまで、前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させ前記中空電極と前記溶鋼との間に電力を印加する、という制御を行うことを特徴とするタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
  2. 前記中空電極の1回当たりの近接距離aが1mm以上50mm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1記載のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
  3. 前記着火工程では、予め求めた、電極−溶鋼間距離と着火成功率の関係、及び、電極−溶鋼間距離と電極−溶鋼の接触頻度との関係に基づいて、鋼種に応じて、近接開始位置A1、近接終了位置A2、近接距離aを設定しておき、前記中空電極を前記溶鋼へ段階的に近接させることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
  4. 前記中空電極が黒鉛電極であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
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