JP6476767B2 - 電気炉及び電気炉の操業方法 - Google Patents
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Description
このような電気炉を用いた金属材料の溶解操業において、金属材料の溶解が不均一となってしまう問題が従来生じていた。
その結果として、炉体内には電極からの距離が短い(即ち電極に近い)位置の所謂ホットスポットと、電極からの距離の長い(即ち電極から遠い)位置の所謂コールドスポットとが生じてしまう。
そしてこのような溶解の不均一に起因して、溶解の効率が悪く、溶解のための電力コストが高くなるといった問題の他、ホットスポットでは金属材料が全部溶解し終わった後も、コールドスポットの金属材料の溶解が継続して行われる間、その後も引き続いて強く加熱を受ける結果、炉壁等へ熱が逃げることによる投入電力のロス等の他、炉壁の耐火材の溶損が加速され、短い周期で耐火材溶損部の補修作業を行わなければならないといった問題が生じていた。
このため残った金属材料Mに対してバーナ106による加熱が急激に弱くなり、結果としてバーナ106によるコールドスポットの材料に対する加熱効率は悪く、電気炉における溶解の時間が長くなるとともに、所要加熱エネルギーが多く,トータルコストが高くなってしまう問題を生じていた。
また、バーナの本数を増やして加熱範囲を拡大することも可能であるが、エネルギーコストが悪化するため、実用的ではないと考えられていた。
例えば下記特許文献1,特許文献2には前者の電気炉が、また特許文献3には後者の電気炉がそれぞれ開示されている。
尚この場合、炉体を電極に対して周方向に約60°相対回転させることで、当初ホットスポットの周方向の中心部に位置していた電極を、隣接するコールドスポットの周方向中心部に位置させることができる。
請求項4は、請求項3において、前記炉体を連続回転させながら前記電極及びバーナにて前記金属材料を加熱することを特徴とする。
しかも本発明では回転装置による回転によって、金属材料に対するバーナからの加熱位置を変えることができるため、バーナによる加熱自体を金属材料の周方向の広い範囲に亘って及ぼすことができ、バーナからの加熱をより均等化することができる。
このようにすれば、電極から遠い位置で、つまり炉体周壁部に近い位置で溶け残った金属材料に対し、電極よりも近い位置からバーナにて加熱を行うことが可能となり、加熱の効率をより一層高めることができ、また溶解操業に要する時間をより一層短縮化することが可能となる。
かかる請求項3の操業方法では、回転工程を実行することで、金属材料に対するバーナからの加熱位置を回転方向に変えて行くことができるため、バーナによる加熱自体を金属材料の周方向の広い範囲に亘って及ぼすことができ、バーナからの加熱をより均等化することができる。
これにより金属材料に対する溶解をより一層均等化することができ、また溶解の速度をより高速化し得て、溶解操業を短縮化することができる。
図1及び図2は本実施形態の電気炉の構成を示した図である。
図1において、10は電気炉で、筒状(ここでは円筒状)の周壁部12及び炉底部14を備えた炉体16と、炉体16の上端の装入口18を開閉可能に閉鎖する炉蓋20と、炉蓋20を挿通して炉体16内に下向きに挿入される3本の電極22とを備えている。
炉体16内の金属材料の溶湯(溶鋼)は、炉体16全体を傾動させることで、出湯口27から取鍋23(図1)に向けて出湯される。
本例では炉体16全体を上記出湯時とは反対の方向に傾動させることで、溶解操業の際に生じるスラグを出滓口29より外部に排出することができる。
図1において、34は炉体16を支持したまま傾動し、炉体16を傾動させる傾動体で、地面に設けられた炉台36により傾動自在に支持されている。
傾動体34を支持する炉台36の上面及びこれに接する傾動体34の下向きに凸曲形状をなす脚部37の下面にはそれぞれ係合歯が形成されており、傾動の際これら係合歯の係合により炉台36に対する傾動体34のずれが防止されている。
傾動体34は炉体16を支持するための傾動床35を有し、炉体16は後述する回転装置32を介して、傾動体34の傾動床35で支持されている。
即ち回転装置は、イ)炉体を回転可能に傾動体上に支持する支持手段と、ロ)炉体と傾動体との間に設けられ、炉体をその中心軸線周りに回転案内するガイドレールと、ハ)炉体の側に設けられた、回転駆動力を受ける被駆動部と、ニ)傾動体側に設けられ、被駆動部と係合して、回転駆動力を被駆動部に伝える駆動部材と、ホ)傾動体側に設けられ、駆動力を発生させる駆動源と、を備えて構成し、傾動体と一体に傾動する形態で設けておくことができる。
先ずは傾動機構について説明する。
図2に示すように、傾動体34の図中右端には駆動シリンダ38の一端側が回転可能に連結されている。駆動シリンダ38の他端は地面側に回転可能に連結されており、この駆動シリンダ38を伸長させることで傾動体34は炉体16とともに図中左側が下向き、右側が上向きになる様に傾動する。これにより炉体16内の溶鋼が出湯口27から取鍋23に向けて出湯される。
回転装置32は多数の立壁を備えた円形リング状の支持フレーム40を有しており、この支持フレーム40の上面に炉体16が載置固定されている。
リング状の支持フレーム40の下面の内周部にはリング状歯車体42が設けられ、その内周には歯形が形成されている。
内輪部46を包むようにコ字形断面の外輪部48が配設されており、外輪部48の凹面と内輪部46の凸面即ち上下面及び外周端面との間には、コロ軸受49が介設されている。
この実施形態では、支持フレーム40,歯車体42,ベアリング部材44が支持手段を構成し、そのうちベアリング部材44における内輪部46,外輪部48がガイドレールを兼ねて構成されている。
また歯車体42の歯形が被駆動部を、歯車体55,53が駆動部を、更に油圧モータ52が駆動源を構成している。
一方、傾動床35側の架台58上に駆動シリンダ59によって内外方向へ直線進退させられる栓部材60が設けられている。栓部材60は外方側に位置する先端部が先端方向へ漸次縮径する円柱体となっており、栓部材60の後端は駆動シリンダ59のロッド61に連結されている。
各バーナ19は、その配置を径方向について見れば、いずれも電極22と炉体16の周壁部12との間に配置されている。
また周方向について見れば、電極22と電極22の間の位置(詳しくは隣接する電極22の周方向の中間位置)の全てにバーナ19が設けられている。これら3本のバーナ19は、周方向に等間隔(120°間隔)で配置されている。
また図7(B)で示すように、炉体16の周壁部12の下側に溶け残った金属材料Mに対して効率的に加熱できるように、バーナ19の先端が真下よりも少し周壁部12の側に向くように取り付けられている。尚、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、バーナ19は先端を真下に向け配置すること等、バーナ19の下向きの配置は適宜設計し得る。
通常、スクラップ等の金属材料は複数回に分けて炉内に装入される。本例では金属材料を2回に分けて炉内に装入するものとする。
先ず、炉蓋20を旋回回避させ炉体16の装入口18を開放状態とし、金属材料を保持するスクラップバケットをクレーンにて装入口18の上方にまで移動させ、スクラップバケット内の金属材料を炉内に装入する。
ボーリングが完了し電極22が炉底部14近くに到ったところで、電極22周囲の材料を溶解させていく(図8(B))。
これにより電極22の周りに未溶解金属が無くなると、炉体16を電極22に対して相対回転させることが可能となる。尚、図中炉内を網点で示した部分が未溶解金属材料、白地で示した部分が溶解金属材料である。この段階ではいまだ極端な溶解の不均一は生じていない。
例えば図8(D)の状態では、電極22と電極22との間のコールドスポットの金属材料の溶解を行う。
そして炉体16を原位置に停止させて、炉蓋20を閉じ、電極22による加熱とバーナ19による加熱とを行う。
詳しくはコールドスポットからホットスポットへと位置変化した金属材料に対して電極22による加熱溶解を行い、またホットスポットからコールドスポットへと位置変化した金属材料に対してバーナ19による加熱溶解を行う。
特にこの場合には金属材料に対して電極22及びバーナ19による加熱位置を連続的に変化させることができ、金属材料に対して広い範囲に亘って加熱作用を及ぼすことができる。
しかも本実施形態では回転装置32による回転によって金属材料に対するバーナからの加熱位置を変えることができるため、バーナ19による加熱自体を金属材料の周方向の広い範囲に亘って及ばすことができ、バーナ19からの加熱をより均等化することができる。
更に本発明は鉄鋼以外の金属を溶解する電気炉及びその操業に適用することも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
12 周壁部
14 炉底部
16 炉体
18 装入口
19 バーナ
20 炉蓋
22 電極
26 突出部
27 出湯口
29 出滓口
32 回転装置
Claims (4)
- (a)筒状の周壁部及び炉底部を備えた炉体と、
(b)炉蓋の側に下向きに設けられた複数の電極と、
(c)該炉体を上下方向の軸線回りに前記電極に対し相対回転させる回転装置と、
を備え、該電極と該炉体内に装入された金属材料との間に発生させたアークの熱で該金属材料を溶解する電気炉であって、
周方向に隣接した前記電極と電極との間の位置において、且つ該位置全てにおいて、前記炉蓋の側にバーナを下向きに設けるとともに、
該バーナは、その先端が真下よりも前記周壁部の側を向くように傾斜していることを特徴とする電気炉。 - 請求項1において、前記回転装置が、前記電極を周方向に固定とし、前記炉体を該周方向に回転運動させるものであることを特徴とする電気炉。
- 請求項1,2の何れかの電気炉の操業方法であって、
前記炉体の上端の装入口から前記金属材料を前記炉体内に装入する装入工程の後において、前記金属材料の溶解中に前記炉体を前記電極と前記バーナとに対して相対回転させる回転工程を実行して溶解操業を行うことを特徴とする電気炉の操業方法。 - 請求項3において、前記炉体を連続回転させながら前記電極及びバーナにて前記金属材料を加熱することを特徴とする電気炉の操業方法。
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